きれいに晴れた夏は朝6時に目が覚める。
窓枠の先から蒼く染まった空が小さく顔を出していた。
頭上から降りてくる透明な朝日と腰のあたりに散乱した光を
ふと見て、ちゃんと寝たかどうか瞼の重さと相談してまた横になる。
程よい朝の冷たさが心地いい。
そしてベッドの上からこの小さな部屋をぼんやりとみていた
ある人をこの部屋に入れたことがあった。
「本がやたらと多いな。こんなにたくさん必要なの?」
そう言ってベッドの反対側、壁一面を占拠する本たちを見上げた。
部屋の体積の3分の1ぐらいを彼らが支配していた。
この部屋は天井が低いから。
「そうかなぁ。こんなに沢山、部屋に本を詰められるなんて
知らなかったぜ。もちろん全てちゃんと使ってるよな。」
彼は遠慮しない男だった。そしてよく笑う元気な人だ。
私と彼は少しの間、この真っ黒な本棚とその無秩序を見ていた。
大きさもまちまちな本の集まりで斜めに寄ったり、横にして無理やり詰めたりしていた。
それは今もあまり変わらない。