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  [No.3505] メラルバのメラちゃん 投稿者:キャンディミミック   投稿日:2014/11/16(Sun) 18:33:00   113clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
タグ:短編小説】 【メラルバ

 メラルバのメラちゃんは元気いっぱいな男の子。女の子のトレーナーといっしょに、イッシュ地方を旅しています。
 今日はリゾートデザートにやってきました。リゾートだというのに実際は古びたお城と砂漠で、観光客も疎ら。行く手を阻む砂嵐を前に、これ以上は危険だと思ったトレーナーがボールに戻そうとした瞬間強い風が吹き、メラちゃんは飛ばされてしまいました。

 気が付くと彼は宙に浮いていました。シンボラーに捕まっていたのです。食べられてしまうと思って慌ててジタバタすると、シンボラーはすぐに離したので、かなり高いところから落ちてしまいました。幸い柔らかい砂の上だったので怪我はしなかったけれど、周りはどこを見ても砂、砂、砂。パーティリーダーのダイケンキさんも、カッコいい秘伝技で旅を助けるミルホッグくんも、優雅に空を飛ぶスワンナさんも、友達になったばかりのキバゴくんも、だーれもいません。
 心細くなって、メラちゃんは泣き出してしまいました。なにぶん彼はまだLv5。タマゴから孵って以来トレーナーと離れることがなかったものだから、どうしていいかわからないのです。
 そこへメグロコがやってきました。メグロコはメラちゃんをよいしょと背中に乗せて、お城へ入っていきました。奥にあるまだ埋もれていない部屋に着くと、デスマスが丁寧にお辞儀して、メラちゃんを高いところへ座らせました。怖い顔のデスカーンも、メラちゃんの前ではニコニコ笑顔。木の実を器一杯に盛ってくれました。ワルビルやマラカッチ、ナックラーやサボネアやサンドもやってきて、みんなで楽しませようと踊り始めました。
 確かに木の実はおいしいし、踊りもとってもおもしろいのですが、どうしてこんなによくしてくれるのか、メラちゃんにはわかりませんでした。

「メラちゃーん!」
 その内、遠くでトレーナーの声がしました。
「めらぁー!」
 呼びかけに答えるように鳴き声を出して、ここだよと伝えます。声を頼りにトレーナーがこっちへ走ってくるのが見えました。ポケモン達は人間が入ってきたことで身構えましたが、メラちゃんが嬉しそうによじ登っていくのを見ると、警戒を解きました。

「よかった。無事だったのね。すぐボールに戻してあげなくてごめんね」
 トレーナーにぎゅっと抱きしめられて、メラちゃんは安心したように「めらっ」と一声鳴きました。

「みんなに遊んでもらっていたのね。ありがとう。さ、帰ろう」
 トレーナーが立ち上がると、出口の方向をヤジロンが光線で示してくれました。みんなに見送られてお城を出る途中、六枚の羽根を持った蝶のような、蛾のような神々しいポケモンが描かれた壁画を見つけました。
 しかしメラちゃんがその意味を知るのは、もっともっと先のお話。