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  [No.3528] こんなホムホムをかきたい。 投稿者:きとら   投稿日:2014/12/07(Sun) 02:12:57   25clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

この文章はメモに近いです。
この文章内には、ネタバレふくみます。








 わたしが物心ついた時には、母親と二人で暮らしていました。友達にはお父さんがいるのに、わたしにはいないのが不思議でした。
 母はとにかく必死で働いていたので、わたしはそれに応えようと勉強をしてしました。テストでいい点を取るとクラスの皆がすごいと言ってくれるのですが、わたしには誰一人言ってこなかった。
 その理由を知ったのが、父の来訪です。わたしの目はアブソルの目、災厄の目ということで父の母、つまりわたしからみたら祖母が捨てるように言ったようなのです。それを知ったとき、なぜ皆が見ただけで怯えたように目を逸らしてどこかへ行くのかわかったような気がします。
 虹彩が赤い。これはアブソルというポケモンが災厄をもたらすことから赤い目の子供は、災厄の子、アブソルの子として殺すようにと父の田舎の風習ではあったようです。
 その名前を知らなくても、目をみて逃げる。本能で赤い目は災厄の目だと感じているのです。わたしは孤独な学生時代を送りました。なるべく目をみないように、見せないようにしていたら、多少話しかけてくれる友達がいましたが、ふと気が緩んだ瞬間にみせるアブソルの目が、みんなを離していきました。
 初めて内定をもらえた時は夢のようでした。みんなから避けられてるわたしが、一流企業のデボンから内定をもらえるなど思っても見なかった。もう人生大逆転したような錯覚に陥りました。
 研究室に配属になり、実験と報告の連続ですが、やはりここでも孤独でした。誰もわたしに話しかけてくる人はいません。ものすごい美人である同期は、昼休みなどとても楽しそうに会話していますが、わたしは一人でした。でもその方が楽です。仕事だけ考えて生きていけるならそれで。アブソルの目をみて怯えられる、そんな人生に疲れました。
 カラーコンタクトも考えましたが、そこまでいって店員さんの反応で無理だと悟りました。幸い、視力はそんなに悪くないので、よかったです。
 時間は早く、いつの間にか後輩が出来る時期になりました。その日、出勤すると何やらエネルギーの話になり、それと連動するという話でした。でもどうやらそのエネルギーの出処がポケモンの生体エネルギーというのです。聞いたことがあります。発表でも何人かその論文をしていました。
 しかしそのエネルギーを繋げてどうしようと。永久のエネルギーなどつなげたら。わたしはその場にいる全員に対して、おかしいと反対しました。アブソルの目で睨みつけながら。
 その時の空気は最悪でした。みんながわたしから気まずそうに目を逸らし、部屋から出ていきます。残されたのはパソコンと実験装置だけでした。
 ここにもいられない。アブソルの目は災厄の目。そんなものをおいておくところはどこにもないとわたしはデボンを去りました。
 研究室からそのまま出て、わたしは偶然にも訪問者とすれ違いました。見ないようにと顔を背けると、わたしを呼び止めました。
「失礼、研究室から出てきたようだが、何かあったのだろうか?」
 目を見られないように、わたしは何でもないですと答えました。何もない訳がない、と言われ、アブソルの目を見せれば納得するかとわたしはその人をじっと見つめました。
「なるほど、焔の目か」
 地方によって呼び方が違うようですが、結局は同じようなものです。災厄を呼び寄せるものとして、不吉につけた名前には変わりありません。では、と去ろうとしてその人はさらに続けました。
「焔の目でも、研究室になるくらいの頭脳だ。何も腐らせる必要もない。私はある目的のためについてきてくれる仲間を探している」
「どうせダメになってしまいますからね、それでもいいなら行くところもないので」
 そうは言ったが、わたしにはその人が神様のように思えました。皆に必要とされず、のけ者にされてきたわたしに手を差し伸べてくれた。この時、わたしはこの人に尽くそうと決めました。そう、リーダーマツブサです。

 リーダーマツブサに拾われ、わたしがミナモシティにある職場に初めて行ったのはそれから一週間後のことです。
 引越しなどで遅れてしまいましたが、初めて制服を着た時の嬉しさはいままでで体験したことのない嬉しさでした。
 リーダーマツブサのところに挨拶に行くと、知らない人がすでにいました。淡い紫色の髪と目。ラベンダーのような女性で、思わず見とれてしまいました。
「おはよう。そうだホムラ、紹介する。ホムラの研究と並行してエネルギー研究の責任者になるカガリだ」
「………カガリです。…………よろしく、サブリーダーホムラ」
「わたしはホムラです。耐久繊維の開発をします」
 カガリから手を差し伸べられてわたしは手を取りました。その時、気づいたのです。彼女はわたしをじっとみていました。瞬きする瞬間がわかるくらいに。わたしの目をみていたのです。それがわかった瞬間、わたしは彼女から手を放し、目を逸らしました。
 初対面とはいえ、カガリにわたしは心奪われたのです。いままで好きになった人もいました。気持ちを伝える前に逃げて行きました。アブソルの目を見て。同じことを繰り返したくはない。
 挨拶もそこそこに、わたしは施設内の説明をされて、そこから何のために何を作るのか、どんなものがいいのかと説明されました。
 地底の奥底に眠るエネルギーにたどり着くには、圧力や熱に耐えられるものでなければなりません。宇宙服より丈夫ではないと、そんなところ耐えられません。早速、班の皆で素材の目星や設計図を話し合いました。

 昼休みに、わたしが外でサンドイッチを買ってくると、カガリが一人でランチタイムをとってました。先ほどのことも気になるし、声をかけようとしました。でも、アブソルの目を見ていたくらいですから、話しかけられていい気はしない。
「……食べないの?」
 一人分と思われるカレーは、一口二口でスプーンを置いたのです。声かけられてカガリはわたしをみました。やはりじっと見てきます。あまりじっと見られる経験がないので、恥ずかしいです。わたしの方が目を逸らすことになりました。
「……いらない……」
「あ、あのもしよかったらもらっても?」
「……いいよ」
 カガリは表情があまりなく、どう思ってるかわからないのです。それくらい、隣に座ったわたしをじっと見てました。

 日を追うごとに、カガリのことは気になります。初めて目を逸らすことなく見てくれた人です。全く別分野の人だから研究内容はよくわからないのですが、AZのエネルギーを研究していると言っていました。
 感情に乏しいのか、笑ってるところを見たことがありません。でも、リーダーマツブサの写真を眺めては楽しそうにしているのは何度も見かけました。この人もわたしと同じ、リーダーマツブサについていこうと誓ったのでしょう。
 完全なるオフの日、わたしはカガリを誘って外へ行きました。この時、わたしは完全にカガリに落ちていたのです。リーダーマツブサへの気持ちも知っています。けれど、わたしはアブソルの目を見てくれたカガリを逃がしたくなかったのです。
「付き合ってくれませんか!」
 勇気を振り絞ってわたしはカガリに言いました。カガリは黙ってわたしの目をじっと見ました。
 しばらくの沈黙の後、カガリが口を開きました。
「……いいよ」
 嬉しさのあまり、わたしは聞き違えたかと思いましたが、カガリははっきりとそう言いましたし、わたしがカガリの手に触れても拒否されることはなく、握り返してもらえました。
 後悔しました。カガリは完全にリーダーマツブサしか見ていないのです。わたしの存在と思いはどこにあったのでしょう。なぜ期待を持たせる返事をしたのでしょう。オフの日はなるべく時間を過ごそうとたくさん誘っているのに、カガリは笑ってもくれません。
 惚れた弱味とはこのこと。そんなことで焦っていたのです。まだ加工していない繊維を耐久テストに出してしまいました。目の前で燃える繊維、火事をつげるサイレン。やってしまったとリーダーマツブサに報告し、ガッツリ怒られました。さすがにへこみました。好きな人が夢中な人からこんなに怒られるのはキツイです。
 今日はもう何もすることができない。早めの解散にして、わたしは反省文を書いていました。
「……サブリーダーホムラ」
 カガリが来たのです。いつも来ることはなかったのに、どういう風の吹き回しでしょう。
「……元気だして……まだこれから」
 まさかの言葉にわたしは思わず涙ぐんでしまいました。こんな声かけられるのは初めて、というか失敗したのが初めてなので、まさかカガリから励まされるとは思ってもなくて。
 さらに頭を撫でて、大丈夫と言いました。カガリなりにわたしのことを気にしてくれているんだと、わたしは嬉しくなりました。
 カガリに抱きつきました。わたしと違ってなんて細いんでしょうか。食事もあまり手をつけないし、カガリとデートするたびに体重が増えたような気がします。
「カガリっ! 好きだ!」
「……知ってる」
 返答はあっさりしていました。けどそんなの気にせず、わたしはカガリへの気持ちを吐き出さずにはいられませんでした。
「カガリ、やらせてください!」
「……何を?」
「セックス」
 大胆に言い過ぎました。こんな堂々と言われて誰がいいと言うのでしょう。カガリはわたしの頭をなでて言いました。
「……いいよ」
 カガリの気持ちはよくわかりません。けれど了承の返事をもらったのですからここで押し倒してしまえば
「……でもまだ……仕事のこってる……終わったら」
「絶対ですよ!!!」
 強引に口づけしました。カガリは抵抗せずになすがままでした。
「……はやく終わらせるから」
 いつもより若干、カガリの口調は早くなっていました。表情は変わりませんけど、カガリも嬉しく思ってくれたのだと思いました。
 


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彼の目が赤いのはリメイク前からか。
リメイクされたら、キレたときに開眼し、普段は閉じてるカットですね。
あとエピソードデルタ後は2人付き合ってるよねって思いましたのでここに。