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  [No.3704] 我が主人公諸君に愛を込めて 投稿者:GPS   投稿日:2015/04/10(Fri) 22:21:45   60clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

拝啓

久しぶり。元気にしているだろうか。
君はまずこの手紙を見て「どうしてこんな山奥まで封書が届くのだろうか」と思うのだろう。そうして「こういう煩わしいものが絶対来れないような場所を選び抜いたはずなのになんてこった」と地団駄を踏むのだろうね。
どっこい残念、君がどこにいようと私からの手紙は届くのだ。そういうものなのだ。好きなだけ疑問に思えばいいし、好きなだけ地団駄を踏むがいい。踏み続ければ、そのうちダンスも上手くなってシンオウのコンテストにも出場出来るに違いない。

君の地団駄はさておき本題だが、私は君に文通の提案を持ちかける。理由は問う必要が無い。全ての物事に理由を求める方が間違っているのだ、それに理由などを追求したら、君がそのようなアクティブ引きこもりライフを送っている理由を明確にしなくてはなるまい。それは君にとっていい話では無いはずだ。というわけで、君は私の申し出に理由を聞かない方が良いだろう。

君が便箋を買うために山を降りる可能性は恐らくゼロだし、シロガネ山に便箋屋さんがある可能性も同じくゼロだろうから返信用の紙は同封してある。切手も同様だ。一週間後にまた運び屋を送るから、それに渡してもらいたい。
何、気負うことはどこにもあるまい。私からの文面を読んだということと、あとは適当なことさえ書いてくれればいい。山のことでも、奇特な挑戦者のことでも、君のポケモンのことでも、何でもだ。
とりあえず返信を頼む。私が求めるのはただ一つ、君からの返事なのだ。一言でも構わないから送ってくれたまえ。

シロガネ山
原点にして頂点 レッド様

追伸
ここまで君がきちんと読んでいればの話だが、もし君から返事があれば、回復アイテム等を送ることを約束しよう。尚、内容の充実さによってその量及び種類は変動する。



拝啓

やぁ、この前は何十回目、いや何百回目かの殿堂入りをおめでとう。この前というか昨日かな? 相変わらずで何よりだ。
しかし一つ言わせていただくと、ポケモンリーグというのは君のATMでは無い。お小遣いをくれるおばあちゃんのおうちでも無い。あそこは神聖なる戦いの場所なのだ。君は『ちょっと自販機の下を覗き込んだら10円手に入った』くらいの気持ちかもしれないが、向こうにとってはそうでは無い。それをわきまえてくれたまえ。

それに君は、手に入った賞金をコガネのスロットで残らずスっているそうでは無いか。どれだけ阿呆な金の使い方なのか。スロットが悪いと言っているのでは無い、君が悪いと言っているのだ。馬鹿に強さを与えると碌なことにならない、とはまさに君のことである。
というわけで、今日から君には毎日の収支を報告してもらうことにした。どこからいくら手に入れたか、どこにいくら使ったか。それを残らず教えてもらう。しっかり書くように。

コガネシティ
ジョウト地方チャンピオン ゴールド様



拝啓

こんにちは。この前は手紙をありがとう。君は字が綺麗だから、悪筆の私にとってはどうにも恥ずかしいものだ。読みにくいと思うが多目にみて欲しい。
さて、文通をしてみたいとは今時の子供としては珍しい申し出だね。でも私は大歓迎だ。最近はパソコンだのメールだのポケナビだの……いや、君はポケッチだったっけ? ともかく、ああいう電子機器が普及して手書きのものを送る機会も減る一方だから。こうして一文字一文字書くというのも、またいいものだね。

君はミオシティにいるということだけど、そこは良い町だ。本が好きな君にはたまらないところだろう。何せ、あの図書館の本は一生かかっても読み切れないだろうからね。
それに君の手紙によると、君は自分で書くこともするというでは無いか。是非とも見せてもらいたいものだ、君さえ良ければ送っていただきたい。シンオウを旅し、様々な者に出会い、豊かな経験を積んだ君がどんな話を紡ぐのか。全く想像もつかないよ。

それでは、風邪などひかないよう体調にはくれぐれも気をつけて。まあ、あのキッサキをあんな薄着で訪れた君にかける言葉でも無いけれど……。

ミオシティ
シンオウ地方チャンピオン ヒカリ様



拝啓

やあ。地下鉄ライフはエンジョイしているかな? いい加減に太陽の光も浴びないとディグダになるぞ。
冗談はさておき、全くどういう了見だ。バトルサブウェイに篭って出てこない君が連絡を寄越すなど。初めは何かのイタズラだと思ったものだよ。不審に思って君からの電話を着信拒否した私を許してほしい。
言っておくが、切符代の無心ならば丁重に丁重を重ねて遠慮させていただく。いくら賞金が出ないからと言って、それは自分で用意するべきだ。ちょっと空を飛べばポケモンリーグというATM、じゃなかった、神聖なる戦いの場所があるのだから。一度行けば一ヶ月分の地下鉄ライフが約束されるだろう。
ともかく、連絡の理由を知りたいから返事の手紙をくれないだろうか。地下鉄内にも流石にポストくらいあるだろう、封筒の住所に送り返してくれれば構わない。電車の待ち時間などに書いてくれたまえ。

ライモンシティ
伝説のトレーナー トウヤ様

追伸
申し訳無いけれど、電話はなるべく遠慮してほしい。地下鉄の電波はお世辞にも良いとは言えないのだ。



拝啓

こんちは。お元気ですか。私は元気です。
イッシュ地方もすっかり春だそうですね。そっちはどんな花が咲いているのですか? もし良ければ写真を送ってください。
この頃、君からの電話があまり無いので心配しています。メールを送ってもナナシのつぶて。SNSのアカウントもみんな消えてしまった。もしやまた何か思い詰めているのでは無いかと私は心配でたまりません。

君は強い。それ故色々と思い悩んでしまうこともあるかもしれない。誰かに相談しようにも、迷惑をかけてしまうだろうと思うのかもしれない。誰にもわかってもらえないだろうと諦めているのかもしれない。そもそも人に話したく無いのかもしれない。
しかしそういう時こそ、私を頼ってほしい。私はいつでも君の味方だ。なにせ敵になりようが無い。どんな時だって、君の目の前を真っ暗にしたりはしまい。

困ったことがあるならば、遠慮無く相談してくれたまえ。なに、もっと軽く考えるのだ。理想も真実も体重の減らし方も、なかなか答えが出ないのが世の常だよ。
悩んでばかりじゃ頭が凝り固まってしまう。君の防御値が上がるくらいしかメリットは無いよ。気楽にいこう。

ヒオウギシティ
イッシュ地方チャンピオン メイ様



拝啓

どうも。いつも写真をありがとう。流石はアイドル志望だけあって、相変わらず君はとてもオシャレだね。清楚系で攻めるつもりかな、髪を黒く染めたのは新境地だ。私としてはロングがオススメだぞ。
ところで、今回は何故文通などを所望したのかな。どうせ君のことだから、アイドルとしてデビューした暁に「趣味は文通なんです」などと言ってカメラの前に手紙を並べ、かわいさアピールするのが魂胆だろうけど、まあ私は歓迎しよう。生まれた時からメールが当たり前の君達だ、色々な文化に触れるのも悪くない。

手紙には君の書きたいことを書けば良いのだ。何を書いたら良いのかわからない、だなんて考える必要は無い。君だって友達と他愛の無いことをメールだの電話だので伝え合ってるのだろう? そういう感じでいいんだ、ただし将来的にマスコミに見せるつもりなら、あまり過激なことは書かない方が良いかもしれないな。過激な話題には過激な返事しか出来ない。私が禁書を生まないような文面を頼む。
では、返事を楽しみにしているぞ。

ミアレシティ
カロス地方チャンピオン セレナ様

追伸
そのコートは新しく買ったのかな? ワンピースみたいなシルエットでよく似合ってるよ。ミアレのブティックはなるほどオシャレだね。
もし良ければ、値段など教えてもらえないだろうか。高いらしいと風の噂で聞いたけれど、具体的にどのようなものなのか気になるのだ。



拝啓

御無沙汰しております。御活躍の御様子存じ上げております。あらためてお慶び申し上げます。
この度は、突然の手紙御容赦くださるよう誠にお願い申し上げます。卑しき存在である私めの愚筆など御覧になることすらお気に障ってしまいますでしょうが、どうかお情けを頂戴したいところであります。

誠に身勝手な申し出ではありますが、お一つお尋ねしたいことがありまして一筆奏上させていただきます。現在私めは少々理解し難い窮地に立たされておりまして、勿論それは私めの不徳の致すところであると重々承知の上でございますが、どうかこの卑しき民に貴女様のお力を貸していただきたく存じます。
単刀直入に申し上げます。いつか私めが貴女様にお貸し致しました、回復アイテム及び各種ドーピングアイテムの御返済について、それがまだ為されていないことについて、少しばかりこの愚脳が反応を示しているのです。勿論、今すぐ返せなどと申しているのではございません。ただ、少しばかり、少しばかり気になっただけでございます。

御返事は、御手空きの際で構いません。今の私めには、貴女様の明晰な頭脳と並々ならぬ美貌と天井知らずの技量と、そして回復アイテムが不可欠なのでございます。
御一報を心よりお待ちしております。

追伸
もしも御気持ちを損ねてしまうことがありましたら、どうかその時は、どくどくだまを送りつけるのだけは御勘弁願います。あれは大変苦しい。しかも鼻が曲がるほどの悪臭がする。御慈悲を。

バトルリゾート
ホウエン地方チャンピオン ハルカ様



拝啓

急にこんなものを送りつけて申し訳無い。君が多忙なことはよく知っている、しかし私は今まさに、君の助けを必要としているのだ。
君は冒険家にして探検家、そして救助隊だ。だからこれは依頼だ。君の救助を要請する依頼なのだ。パラダイスランクがマスターの君にお願いだなんておかしいかもしれないが、しかし頼めるのは君しかいないのだ。

このダンジョンから、私を助け出してほしい。

いわゆる、でられません! というアレだ。閉じ込められてしまったのだ、謎の迷宮に。
暇で暇で仕方ない。おかげで、手紙を書くくらいしかすることがない。
不思議なことに手紙のやり取りだけは可能なんだ。ダンジョンから手紙を送れるって、本当のことなんだな。

ポケモンパラダイス
チームポケモンズ ピカチュウ様


  [No.3722] 我が主人公諸君に愛を込めて 二通目 投稿者:GPS   投稿日:2015/04/15(Wed) 20:24:30   61clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

※ゲームに登場するキャラクター、とりわけプレイヤーキャラに酷い改悪してます。御容赦と御理解を何卒宜しくお願いします。


拝啓

こんにちは。元気にしているかな。いくら若いと言っても油断は禁物だ、風邪などひかないようくれぐれも気をつけてほしい(これは私なりのジョークである。雪山に、しかも半袖で自ら望んで篭るような輩の身体の心配など本気でする者もそういまい)

まさか君から本当に返事が届くとは思わなかった。それ以前に君がきちんと手紙を読んだらしいことに驚いた。というか、雪山の中で普通に字を書ける君にもビックリした。そもそもシロガネ山の山頂まで手紙を送れる世の中だとは。まさにインドぞうもびっくり、人生驚きの連続である。
それはそれとして、結構な長さの返事をもらえて私は嬉しい。しかしこの喜びも、どうせ回復アイテム目当ての文章なんだろうなぁと思いながら読み返してみるといとも容易く水泡に帰す。あわだ。バブルこうせんだ。なんで泡にまみれると素早さが下がるんだろうな。風呂で泡まみれになれば滑るからむしろ上がりそうなのに。
というかよく読んでみたら君酷いな。沢山書いてあると思ったらこれ九割九分手紙じゃ無いじゃないか。ちゃんと私に向けられてる文面最初の二行だけで、後はひたすら「ポケモンいえるかな」の歌詞じゃないかこれ。しかも同じ歌だけ繰り返しやがって。せめてneo入れるくらいの工夫はするべきだ。あと最後、10回目となると飽きてきたのか知らないが、ピカチュウを20回くらい書いてお茶を濁すのはやめたまえ。

こんなものをまともな手紙と呼ぶわけにはいかない。これを手紙だと言ってしまったら、手紙の神様に失礼である。
手紙の神様などいまい、君はきっとそう主張して苛立ち紛れに雪玉を投げつけるのだろう。だがそれは無駄である。手紙の神様はいる。ミュウという最初のポケモンがいるにも関わらず、アルセウスという創造神が存在しているのだから、手紙の神くらいいてもおかしくない。

そういうわけで、今回は回復アイテムの送付は無しとする。これは君の怠慢が要因であり、アテが外れて手に入らなかったとかそういった理由では決して無い。


シロガネ山 山頂
レッド? へ



拝啓

やぁ。返事をどうもありがとう。

早速だが言わせてもらおう、君の金銭事情はどうなっているんだ。収入も支出も何もかもがおかしい、君の周りだけで貨幣の大移動が起きている。金とはこんなにも容易く行き来して良いものなのだろうか、いや、そんなわけはあるまい。
君がこの一週間余でポケモンリーグから100万円以上を徴収、いや、もはや君にとっては回収レベルの気安さかもしれない。もうこのことについて今更どうこう言わない。とりあえずリーグの財政が破綻する前に挑戦は控えろとだけ伝えておく。良い見方をするのならばそれだけ君が強いということでもあるし、ともかく、これ以上収入の面には触れないことにする。
問題なのは支出の方だ。これだけの収入がある君が、何をどうしたら赤字になるというのか。何故支出が収入を上回ってるのか。君は一体全体、コガネのゲームコーナーのパトロンにでもなっているのか。

わかる。私も、ゲームコーナーの景品が魅力的だということは十分わかっている。とりわけタマムシでもらえるポリゴンは喉からガメノデスだ。
だが、こんなに稼いでるのだからわざわざゲームなどしなくても、直接コインを買ってその場で景品と交換してしまえばいいじゃないか。何故ゲームをするのか。そして、君ほどの実力トレーナーがどうしてそんなにもゲームがへったくそなのか。『何度やっても、7どころかモンスターボールすら揃わへん。どないすればええんか』じゃない。どないすればええんはこちらのセリフだ。

世の中わからないことが沢山ある。だけど一つだけわかっているのは、君が今すぐリーグ挑戦をやめるべきことと、ゲームコーナーに通うのもやめるべきこと、そして君は自分のゲームスキルの無さがスズの塔以上に天井知らずであることを自覚すべきだということだ。なんてこった。三つだ。
君は未来ある少年なのだから、今からゲームコーナーに溜まっていてはいけない。もう少し人の役に立つことをしたまえ。そうすれば手紙の神様も君に目をかけて、ちょっとは運も良くなるだろう。


コガネシティ ゲームコーナー
ゲームの腕前に関してはヒマナッツである少年ゴールドへ



拝啓

こんにちは。元気にしてるかな。ダイエットが云々と書いてあっけれど、君くらいの歳の子供は食べた分だけ育つものだ。むしろ多めに食べなくてはいけない時期なのだから、そんなことをしてしまうと身体に良くない。
シンオウはご飯が美味しい。食べ過ぎてしまうというのもよくわかる。しかし食べてもそこまで太らない年齢などとうに過ぎ去ってしまうものだ。今のうちに食べたい分だけ食べておくことをオススメしたい。それでもやはり不安だと言うのなら、是非とも私に相談したまえ。何、君の知人にそれが知れることはまずあるまい。ユクシーの力を借りるまでも無く、情報漏洩の心配は皆無である。何せここには私しかいないのだからね。

さておき、君は相変わらず図書館にいるようだ。読んだ本のタイトルや感想など、大変楽しませてもらったよ。
それにしても君の読書は多種多様も極まれり、といった調子だね。ミオ図書館のお家芸である神話から小説、エッセイ、携帯獣学の学術書、料理本、果ては医学書やゴルフ入門まで手を伸ばしているというのだから驚きだ。『初代けつばん大百科』などを読んでいる人は初めて聞いた。書評を見る限りどの本もしっかり読み込んでいるみたいだからベロベルトにでもなって舌を巻きまくるしか無い。ベロベロ。

君は幅広い読書の意義を、自分の執筆の参考にしたいからと言う。それなら一層気になってしまうのが人間というものだよ。一体どんな話を書いているんだい? 恥ずかしいからナイショ、なんて、そんな乙女のようなことを言わずに教えてくれると嬉しいのだけど。失敬、君はロズレイドも恥じらう乙女であるね。
挙げてくれたタイトルからはどうにも予想がつきそうにない。この手紙への返事で、君が教えてくれるのを期待しているよ。

ミオ図書館
なぞのぶんがくしょうじょヒカリへ

追伸
そう、「ポケモンの好む果実である『きのみ』を人間が食べた場合の身体的・精神的反応を出来るだけ詳しく知りたい」だなんて、本当にどんな話なんだろう。
気になりつつもとりあえず、ご所望の内容が書かれた本を伝えておく。PM新書より発行された『きのみと人間 〜食卓から暗殺まで〜』が良いのではないかな。食用に出来るものは一般的な調理方法など、毒性がある種は摂取時の症状や毒の取り除き方がわかりやすく説明されている。最新版は現在発見されている全てのきのみが載っているが、第二版はぼんぐりについての記述が豊富だからどちらも読んでみるといい。



拝啓

こんにちは。いや、おはようございますというべきか? それともこんばんは、だろうか。地下鉄には朝や夜の概念があるのかどうかわからないから困ってしまう。
前々から気になっていたのだけれど、バトルサブウェイに篭っている君はお腹が空いたりしないのかい? バトルというのは頭も使うし、身体的疲労も溜まる。決して弱いとは言えないトレーナーを何人も連続で相手にしていては、きっと空腹になるだろう。眠くもなる。お風呂でゆっくりしたくもなる。温度は39度、カレーは中辛布団は羽毛……。
流石に踊りはしないだろうけれど、地下鉄ライフはなかなか興味深い。後学のために君さえ良ければ教えていただきたいものだ。

さて、本題に入ろう。地下鉄廃人まっしぐらの君がどうしてわざわざ、手紙など書いてよこしたのか理解した。諸事情あって私も暇人、喜んで協力、いや片棒を担ぐと言った方が正しいかな? まあ、どちらにせよ歓迎だ。
それにしても『色々と謎の多いバトルサブウェイの実情を書籍化して一発当てる』だなんて随分と俗っぽい、短絡なことを言い出すものだね。こういう言われ方は嫌かもしれないが、かつてのチャンピオン、ひいてはイッシュの伝説のすることでもあるまい。まるでどこぞの動画サイトで儲けようとしている何とかバーだとかいう奴らのようだよ。ピカキンだか何だか、そんな名前をしている輩のことだ。まあ、真実も理想も選ばずあっさり捨て置いて「そういうのをいちいち口にする時点でロクな人間ではない」と言いきった君らしいと言えば君らしい。
しかし考え自体には大いに賛成である。何を隠そう、私とて謎深きバトルサブウェイにはとても興味があるからね。先程の質問だってそうだ、何故地下鉄では腹も空かさず何連続もバトルをすることが可能になるのか、眠くならずに戦い続けられるのか、そしてどうしてそういう人達が当たり前のように、何人も何人も存在しているのか。
実に不思議だ。手を打とう。君から聞いたことを私がまとめ、ぜんこくに向けて発信する。バトルサブウェイの核心に迫った情報は今まで目にしたことが無い、きっと多くの人が飛びつくに違いあるまいよ。

そうと決まれば善はS振りだ。これから我々は一蓮托生、一心同体、さながら互いにてだすけを使い合う如き協力関係だ。実際にてだすけをし合ったところでどうしようも無いけれどね。それはそれ、もののたとえと思ってくれたまえポケモンバトル廃人よ。
さぁ頼むぞ。君は今日から未知の世界に踏み出す調査員である。スパイだ、諜報機関だ、秘密警察だ。この、きんのたまのなる木をみすみす見逃すわけにはいかぬ。イッシュの地下に潜む、一つでも多くの真実を奮って捜してくれること願ってやまない。


バトルサブウェイ
地下鉄廃人兼秘密調査員ホワイトへ



拝啓

こんにちは。返事をどうもありがとう。
いや、本当にありがとう。まさかA4の便箋にびっしり15枚も来るとは思わなかったから少々戦慄してしまった。あんなに書くのは大変だったと思う。申し訳無いことに最近長い文章を読むと目のHPゲージが赤くなってしまうからまださらっと流しただけなのだけれども、今度じっくり読ませてもらおう。本当に、ありがとうね。

手紙の内容だけれども、君は少し考えすぎなように思えるよ。この前にも書いたけれど、そんなに思い詰めたところで何がどう変わるわけでもあるまい。理想に今すぐ追いつくことも、真実を即日知ることも、ライモン遊園地にある観覧車が不審者事件の温床になっているにも関わらず何故規制されないのかわかることも無い。よく言うだろう、千里の道も一歩から、地下鉄廃人も1Vから。育て屋は厳選のはじまり。君はそうなってはならない。
バトルサブウェイはともかく、確かに君には背負うことがありすぎる。チャンピオンとしての重荷、新星ミュージカルスターとしての期待、ポケウッド俳優としての脚光、Nなどという面倒、もとい複雑怪奇な人格をした存在の相手。年端もゆかない少女が一手に引き受けるには重すぎるだろう。君くらいの年齢の少女は、いかにスカート裾を上手く翻しつつバトルするか考えるのに忙しい娘がほとんどなのだろうし。

だけど、君ならばその重荷をゴースの如き軽さに変えてしまえるのもまた事実なのだ。君はすごいことを成し遂げた、そのことは確かなのだ。もっと自分に自信を持ちたまえ。あれは偶然だ、もう二度と不可能だ。君はそう言うかもしれないけれど、それは絶対に違うと私は言い切れる。君はダイヤモンドの原石、いや、こんごうだまの原石なのだ。
気負う必要はどこにも無い。他の娘達のように、スカート裾翻しコンテストに情熱を傾けたければ、それはそれで全然構わないのだ。むしろ私としては大歓迎である。何もレギンスにこだわら無くて良いのだ、君はきっとニーソックスも似合うぞ。

だから少女よ。とりあえず一歩、部屋から出てみてはどうだろう。外の世界のことは、窓の向こうに広がるイッシュのことは誰よりも君が知っている。楽しいことも辛いことも、悲しいことも嬉しいことも。イッシュがどれだけ彩りに満ちた世界なのか、君は心からわかっているだろう。
嫌なことも確かにある。だが、好いこともあるに違いない。もう一度、君がイッシュの地を楽しめることを心から祈っているよ。

だが、まぁ、そうだな。
地下鉄に引きこもるなんてことになるくらいならば、そのまま部屋にいた方がずっと平和的かつ健康的かもしれない。
その辺りの判断は私にはつけられぬ。君自身でじっくり考えて決めてくれたまえ。

ヒオウギシティ
悩みも手紙の量もタワーオブヘブンな少女メイへ



拝啓

ご機嫌麗しゅう。ミアレの風はいかがだろうか。
いや、この前君が送ってくれた写真、コートの値段を教えてくれてありがとう。目玉が飛び出るかと思った。メガストーンならぬメガドカーンってな具合だ。実際目玉は流石に出なかったけど鼻水は出たぞ。

三十万て、なんだ三十万って。布だぞ。布に三十万だぞお前。よく考えたまえ、だってもう一度言うけど布だぞ。布。カロスらしく言うならエトッフだ。
可愛いものを着たいという気持ちはわかる。そして質の良いものが高額であるというのもわかっている。それにしても限度というものがあるだろう、そのコート一枚で三十万っていうのはちょっと高すぎだと思わないか。だってそれ、ファッションセンターゆめしまで同じ用途のものが何着買えるのか考えて見て欲しい。実に、一着一万出したとしても三十着買えるという計算になるのだ。

いや、いいのだ。君の好きなものを着ればいいのは勿論なのだ。カロスにはバトルシャトーという良いATMもあることだし、アイドル志望がポケモンリーグの財政を傾けるなどという事態に陥ることもまずあるまい。だから、君がどんなに高い服を着ようとそれは君の自由なのだ。
私が案じている所は別にある。そのコートは君によく似合っている、似合っているのだけれども、アイドルらしさが無いのだ。カントー地方で流行っているアイドル達を見たまえ、今時のアイドルというものは「会いにいける」存在である。さあ考えてみようではないか、一着三十万のコートを着てミアレのカフェでコーヒー片手にくつろぐアイドルのどこに、会いに行けるっぽさがあると言うんだ。今の君にある会いに行けるっぽさは、移動費をケチってタクシーを使わず足腰を鍛えまくっているところだけである。何故そこはケチるのか。

思うに、ミアレのブティックはそれこそカルネさんのような女優のためにあるのだろう。時々ならば良いけれど、やはりアイドルという感じはしない。カントー地方で活動しているアイドルの資料を送っておくから、参考にしてもらいたい。
私の知っているアイドルは、アイドル活動略してアイカツと称し、崖を身一つでよじのぼったりしていたものだ。また、これは男性アイドルになるけれども畑を開墾したりラーメンを麺から作っている人達もいる。アイドルとは恐らくそういうものなのだ。まあ、その分野については他人様のアジトに気安く上がり込んで大計画をぶち壊した君なら事欠かないだろうけれど。普通のアイドルは生命を司る神をモンスターボールで捕まえない。


ミアレシティ
ブルジョワアイドールセレナへ

追伸
髪をロングにしたのか、清楚なイメージで良いと思う。しかしコートもあいまってどうにも『おじょうさま』っぽさがあるな。アイドルならばツインテが基本の型だと言われている。
どうだろう。



拝啓

春暖の候、御嬢様におかれては益々御健勝のことと存じ上げます。文字通り。あまりポケモンリーグの財政や威厳をダストシュートするのはやめた方がいいと思われますよ。ぜんこく的に問題になっておりますので。

御返事拝見いたしました。何とも酷いことを仰る。『今更返せと言われても困る。大体あれは借りたんじゃなくて貰ったんだ』などとお書きになっていらっしゃいますが、あれが貸借行為であるのは明確でございます。というか、貸してと先に言ったのはそっちじゃありませんか。
しかも強引に話を終わらせた上、また貴女様は無理難題を仰るのだから手に負えない。流星の民の末裔を探し出せと言われましても、私にはどうすることも出来ません。彼女が何処に行ったかなんて私の知り得る所ではありませんし、そもそも私は彼女に会ったことさえ無いのです。もう一つの世界にきっといるんだろうからちょっと連れて来い、だなんて無茶も良いとこですよ。コイキング一匹で殿堂入りしろと言っているようなものだ。

失礼は承知の上で申し上げますが、もうヒガナのことは諦めた方が良いと思います。いいじゃ無いですか、あの娘一人失った所で、御嬢様を慕う者など星の数ほどおりますでしょう。それこそ御嬢様がレックウザに鞭打ち飛び立ったという、銀河に輝く星よりも多く存在しているはずです。
それに御嬢様は贅沢が過ぎる。エリートトレーナーからたつじんまで、ホウエン中の女を手玉にとっているのだからそれで十分と考えるべきです。おまけに、最近はとうとうルチア嬢にまで手をお出しになったそうじゃないですか!
言っておきますけど、バッチリスキャンダルになっておりますよ。フライゴンの大見出しで『No.1コンテストアイドル、リーグ制覇少女と熱愛発覚!? カメラがとらえた夜のコンテストライブ!』などとあった。何ですか夜のコンテストライブ! って。夜のバトルだの夜のポケパルレだのは度々目にする揶揄ですが、もはや何も伝わりませんよ。

ルチア嬢にせよ全ホウエンの女にせよユウキさんにせよ、御嬢様の美貌と技量があれば大抵の者は落とせるに違いありません。立てばキュウコン座ればメガサ、歩く姿はミロカロス。ミロカロスが歩くのかどうかは私の知るところではございませんが、ともかくヒガナ一人にそこまでこだわる必要性もあまり感じられません。
そんなに好み、ハッサムど真ん中であったのなら適当な野生児でも捕まえてくれば良いのではないでしょうか。ヒワマキ辺りならば同じくらい日焼けし、同じくらい運動神経に優れた少女くらいいると思います。そして似た服を着せてゴニョニョを横に並べとけば八割方わかりませんよ。

兎にも角にも、早いところ回復アイテムを返してください。私は大いに困っております。


ミナモシティ コンテストマスターランク会場
立ち姿の迫力はむしろゲンシグラードンな御嬢様ハルカへ



拝啓

でられません!

って言っているだろうが。何故助けに来てくれない。繰り返すようだがこれは歴とした依頼なのだ、私は君に救助を依頼しているのだ。どうして助けにこない。
ノコッチやオノノクスのことは助けるのに、私を見捨てるというのか。命に貴賎も個体値も無いという言葉を知らないのか。私は知っているぞ。何故なら私が今作ったからだ。最近わかったのだ、自分で物事を定概してしまえば好きなだけ物知り博士になれるのだということをな。君もやってみるといい、これはなかなか気分がいいぞ。

しかしどっこい、この場所はちっとも気分が良くない。手紙を書くくらいしかやることがない、面白みにかける毎日である。6V目指して自転車を漕ぎまくる奴らよりも彩りに欠ける日々を送っている自信があるぞ。それ以前の日々に彩りがあったかどうかは定かでは無いが。
どうせ何処にいようとお前は暇なのだから別段問題無いだろう、そんなことを君はのたまう。なんて非常なことを言ってのけるのだろうか、君はそれでも人間か。破壊神イベルタルでももうちょっと慈悲というものがあるに違いない。

頼むから助けてくれ。このまま一生手紙を書くだけの人生を送っていいわけがあろうか、いや、無い。
思わず反語表現などを使ってしまった。このダンジョンごと丸々甲羅のイワパレスになってしまう前に、私を連れ出してくれたまえ。ツボツボよりも優位性が高いからといって別になりたくない。


ポケモンパラダイス
そう言えば人間じゃなくてポケモンだったピカチュウへ