COMBAT MULTI 自分たちは四つ子のトレーナーだ。 実戦練習に付き合ってくれる相手が三人いるというのは便利である。とはいえ、どの片割れに対しても相手の考えていることが一卵性四つ子の勘で何となく分かってしまうため、通りすがりのトレーナーとするようなバトルとはやはり勝手が違うのだが。 しかし知り尽くしたポケモン、技構成、バトルの癖、それらの上でどう相手の裏をかくかを模索するのはそこそこ面白いものだ。四人が四人とも、あっという間に変態型に発展する。 とはいえ、ポケモンバトルというのは使用できるポケモン数や技の数や持ち物の種類ぐらいしかルールらしいルールがないから、何というかセオリーなど無きに等しいのだ。 ところで世の中には、まだポケモンを持てない子供や、どうしても本物のポケモンが育てられないという大人などを対象とした携帯型ゲームが絶賛大普及している。データ化したポケモンだかデータ上で作り出されたポケモンだかを、仮想空間の中で戦わせ合って楽しむというものだ。 そのゲーム内のポケモンバトルにおいては、「ターン」なる概念が導入されており、『1ターン間には、自分も相手も一つずつしか行動できない』というルールが定められている。そのようなルールの下では、まさにオセロや将棋や囲碁のように、ポケモンバトルも理論的な戦略の積み重ねが可能になるのだ。 現実でポケモンを育てているトレーナーにも、このゲーム内における能力の数値化システムなどを利用している者が多く存在するらしいが――その話はここではおいておく。 重要なのは、現実のポケモンバトルはゲーム内のそれほど簡単ではないということだ。 素早さ50のポケモンが一つ技を繰り出す間に、素早さ100のポケモンが二つ行動する。それが現実なのである。 自分たち四つ子からすると、そのようなゲーム内のポケモンバトルなど、野球やサッカーやバスケなんかを無理矢理ゲーム化したみたいな陳腐さしか覚えない。 まあ所詮そんな児童向けゲームが広まっていること自体、未来のトレーナーを育成したい国家政府と儲けたい企業の陰謀でしかないわけなのだが。彼らの戦略はうまく機能しているといえるだろう。ゲームから始まってノベライズ、漫画化、アニメ化、映画化、それらからさらに二次創作市場も広がっていっているし。本日も我が国のカルチャーと経済は平和です。 で、自分たちは四つ子のトレーナーだ。 現実のバトルの賞金で生きている。物だって食うし、宿は要るし、着替えも要る、病気にもなるし怪我もする、歳をとる。 引きこもりのゲームオタクの理論なんて糞だ。技構成くらいは参考にするけれど。 長考なんざ通用しない。「1ターン」に2秒もかけていたら、負けるだろうが? 自分たちはそういう勝負で生きている。***<跋> 試験勉強の息抜きに、オリトレ四つ子にバトってもらいました。 この五秒後に爆発します。ルギア爆誕のあの場面が好きです。 今春には引っ越しもしなければならないので、2Fに放置させていただいている長編作品の更新が滞るかもしれないことこの場をお借りしてお知らせさせていただきます。ました。
お忙しいようでお疲れさまです。長編スレッドのほうに掲載されているキャラクター紹介を拝見した時から思っていましたが、浮線綾さんは絵心もおありなのですね。文章面も達者ですのに二刀流とはお羨ましい!その他の四つ子のイラストも素敵でした。またお暇がありましたらぜひ投稿してくださいね。