シオンタウンの片隅に、メゾン・ド・シオンと呼ばれる築数十年の木造ボロアパートがある。
ラジオ塔に姿を変えたポケモンタワーが、建築される以前から存在するらしい、年期のある物件だ。
噂では墓跡地に建てられているらしく、お化けや幽霊の目撃談が多い他、入居者の自殺や変死が後を絶たない呪われたアパートと噂されている。
火を見るより明らかに、問答無用の訳あり事故物件だが、ワンルームで月二万の家賃で住める格安物件だけあり、訳ありな人や物好きな人は好んで引っ越してくるそうだ。
適応できるかはさて置き。
元102号室住人の証言
『あ、あそこは本物のバケモノ屋敷だ!嘘だと思うならアンタ等も実際に住んでみやがれ!部屋に居ても常に誰かの視線を感じて落ち着けやしねぇし、夜な夜なガキの泣き声が聞こえてくるんだ!寝不足で昼寝するつもりが一週間昏睡状態に陥って、目覚めてみりゃ病院のベッドだぜ?無断欠勤で会社は首になるし最悪だコンチクショー!あんなところに引っ越した俺が馬鹿だったよ!』
103号室住人、談
『バケモノ屋敷?大袈裟ですねー。ここはそんな物騒なところじゃないですよー。かく言う私は物騒な噂に惹かれて引っ越してきたオカルトマニアなんですけどねー。オカルトマニアにしてみれば、こういういわく付きの場所って聖地なんですよねー。でも正直、期待はずれでしたよー大したことありません。何というか未知との対話を期待してたんですけどねー。もっとこう・・・カヤヤとかトッシーきゅん的な呪いの産物とか欲しいんだけどな〜あれ違う?』
105号室住人、談
『期待はずれで大したことない?そりゃ・・・ハナビちゃんは言わば専門家だからなぁ。365日、ゴーストポケモンと慣れ親しんでる彼女にしてみりゃ、ここは遊園地のお化け屋敷にでも思えるんだろう。俺はどうかって?ここの生活にはだいぶ慣れてきたよ。バケモノ屋敷にゃあ違いないが、郷に入りたければ郷に従えばいいだけの話だ。ここで一晩撮影するなら二階に住んでるポピーかチュイちゃんに話を聞いてみるといいよ。それじゃ俺はこれからバイトだから失礼させてもらうよ』