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  [No.3948] 求婚 投稿者:αkuro   投稿日:2016/08/07(Sun) 03:36:22   85clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
タグ:R-18】 【キュウコン

 彼とは私が卵の頃から一緒で、産まれた時も、キュウコンに進化した時も、彼は綺麗な笑顔で一緒に喜んでくれました。
 親がいない彼は私を唯一の家族として大切にしてくれました。私もひとりきりでしたから、私達は互いを唯一無二の存在として想い合い、いつしか体を重ねる関係になっていました。
 人の寿命は短い。私達キュウコンは1000年生きますが、人はその10分の1も生きられません。彼が亡くなった時、私は自身の運命を呪いました。
 あれから800年と少し。
 私は彼の墓の前で、ずっと眠り続けていました。彼がそばにいないのが寂しくて、悲しくて、辛くて。100年もの間泣き続けて、そのまま。
 彼の墓も私も、生い茂った草花が覆い隠して外からは見えません。私も、外がどうなっているのかは分かりません。
 ああ、今日もまた、彼が私を呼ぶ声が聞こえます。
 
 ぶちぶちと蔓が引きちぎられる音に目を覚ますと、そこには小さな体で傷だらけになりながら私の名を呼ぶ男の子がいました。
 私には、すぐに彼だと分かりました。
「やっと見つけた……」
 彼は私の名を呼び、私は彼の名を呼び、互いに抱きしめあいます。
 嬉しくて、嬉しくて、9つの尻尾が勝手に動いて彼を組み敷いていました。
「ひとりにしてごめんな、これからはずっとそばにいるから……」
 彼は私の大きく膨れ上がった愛の象徴を受け入れながら、本当に久しぶりに頭を撫でてくれました。
 懐かしい彼の体を味わいながら、私達はもう一度、愛を誓いました。