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  [No.3989] [一年録 ブイズと共に] 投稿者:マクス   投稿日:2017/04/09(Sun) 00:49:50   64clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
タグ:ブイズ】 【日記

 山間に居を構える、とある家庭の家主の日記。
 季節の廻りをここに記す。春の訪れより、我が家は今年も四季を過ごす。


 芽吹きの季節。
 日陰に見える冬の名残。トドメを刺さんとブースターが炎を見せ、グレイシアが割って入るのがこの頃の常。
 新芽ごと焼きかねないブースターをリーフィアと共に諌めつつ、残雪を掘り返せばフキノトウの新芽を発見。消し炭にされては食うに食えぬ、と摘み取ればリーフィアの目から光が失せる。

 新緑の季節。
 物臭故に草はらと化した畑。柔らかな草葉の感触をサンダースが全身で楽しむ。針のような体毛が畑を耕し、雑草は無惨な姿へと。
 今日もリーフィアが怒りの形相。こちらもサンダースの汚れ様に諦観のため息。さりとて畑は程良い加減。あとはブースターに焼き払わせ、改めて耕し整える。

 晩春に雨降り。春雨というには少し遅いか。
 昼下がりは暖かく穏やかな雨音に昼寝が捗る。曇天に切なげなエーフィもまた不貞寝。
 雨に惹かれたシャワーズは、表に出たきり流れるままに行方知れず。しかし探して見つけられるものでなし。水は巡るというだけに、雨上がりには庭先の水たまりにいることだろう。

 晴天の初夏。
 動けば暑い程度の気温。日差しはいよいよ眩しさを増してゆく。
 畑の野菜は上々の生育にてリーフィアも満足げ。水やりにシャワーズが吹き付ける飛沫は日差しを散らして虹を見せる。楽しむのは良いがしかし根腐れはさせない。

 夏の盛り。
 夕暮れ時は連日の夕立と雷鳴にサンダースがはしゃぐ。もう少し明るければ出歩いていたことだろうが、夕食が許さない。
 長く日を浴びてボリュームを増したブースターは、たてがみを風になびかせてご機嫌よろしく。しかし扇風機の風を間近に浴びようとすれば総員総出の妨害が襲う。そこはグレイシアの特等席だ。

 盆を過ぎて。
 暑さは緩まず晩夏を疑わせる。長い夏を疎みつつ、川縁にて皆を連れて水遊び。
 木陰で弱るブラッキー、そも水を避けるブースターを除けばそれぞれの楽しみ方がある模様。
 水と陽光をその身に満たすリーフィアは、しかしエーフィが作り出した水の膜による光の集中に戦く。眩さはともかく、これで焦げない不思議。
 こちらは魚捕りに勤しむシャワーズを労いつつ、グレイシアと共に水風呂と洒落込む。今夜は魚尽くしとなるだろう。
 と、ここでサンダース・リング・イン。気づいた時には焼き魚ができていた。

 残暑の夜。
 皆の寝静まる頃。しかし止まぬ虫の声が寝苦しさを高める。
 縁側で横になり、トマトの輪切りをブラッキーと摘む。どうせどこで寝ても風邪などひかない。目の前にある蛍のような月輪を眺めつつ、瞼が重くなるのを待つ。

 嵐の季節。夏の終わりに台風来たる。
 土砂降りで軒先庭先、畑が一大事。浸水こそなかれど、道に小川ができている。方々で土が削られていることだろう。
 さしものポケモンたちもこの時期に濡れれば身体を冷やす。ブースターの火で乾かし暖め、外出禁止。シャワーズも流されすぎるため同じく。
 この時ばかりは総員不貞寝。雨上がりを待つ、皆がひとつになる瞬間。

 中秋の日暮れ。
 早い日没にエーフィは不満気。反して月夜にブラッキーは躍る。
 サンダースが山から集めてきた栗を茹でて振る舞えば、エーフィの機嫌も少しは立ち直る。
 しかしそろそろ猛獣が冬眠に備える季節。サンダースには感謝と共に言って聞かせる。

 紅葉の季節。
 日差しは未だ暖かいが風の冷たさは時期相応。日陰で涼むグレイシアを後目に、今のうちに干物作り。
 干し柿は渋柿でこそ甘くできる。リーフィアならば甘い渋いの判別も可能だ。忠告を聞く前に噛り付いたサンダースに、せっかちの報いを見せ付けられる。

 初冬に降雪。
 急な冬模様にリーフィアと凍える。雪囲いもまだなのに。喜ぶのはグレイシアばかり。
 浅く積もった雪はまもなく晴れ間に消えるだろう。が、それすら待たずブースターとサンダースを駆り出して雪を除去し、雪囲いの設置を急ぐ。

 年の瀬を前にして小春日和。
 意外な暖かさに大掃除が捗る。特に雪囲いの内側は熱が篭り、滲み出る汗に風邪への警戒を高める。
 シャワーズのおかげで水洗いは早く、エーフィの念力で家具の移動も楽なもの。尚、グレイシアは暑さに耐えかね行方知れず。

 新春。めでたき日の出。
 十分な備えと共に冬を迎えられたことを感謝しつつ、近場のお宮さんへ初詣。
 冬としての冷え込みに今後の降雪とグレイシアのはしゃぎ様を予感する。そしてこの時期のブースターの好かれ様もまた知れたもの。

 晩冬の晴れ間。
 雪を降らす曇天と、秋から続く日の短さにエーフィの不服は極まる。しかし冬の晴れ間、その不服をしばし忘れる。
 日差しは雪を輝かせ、照り返しと相まって肌を焼く。屋根雪を下ろす傍らで、エーフィは天地の光を存分に浴びる。

 春告げ鳥の鳴く頃。
 少しずつ高まる気温にシャワーズが雪解けの音を聞き、長くなりつつある日照にエーフィが胸を高鳴らせる。
 その傍らで、積もりに積もった雪を溶かし消さんとブースターとサンダースが猛る。雪囲いのトタンが傷むのでほどほどに。
 今年もまた、新芽を焼かれないよう気を張る時期となる。


 これにて季節は一廻り。そして我が家は、新たな四季をまた過ごす。
 時を辿るにつれ、日記の項は増えゆくだろう。きっと、いつまでも。