※肉体に痛みはありませんが、ルカリオに対して精神的苦痛を与える話です。
表現力がないのでぬるめですが閲覧注意。
R-18ではないけどR-15くらい?R-12?
いつもいつも、来なければいい、うっかり忘れて、そのままになってしまえばいい、と願っている。
でも、無情にも時計が午後十一時を告げる。
柱時計の音を耳にしたご主人は、それまで読んでいた雑誌から顔を上げた。
「あら、もうそんな時間なのね」
ご主人は雑誌を閉じると立ち上がり、私の名前を呼ぶ。
「クオン、おいで?」
艶やかに笑ってご主人様はそう言った。
普段なら喜んで駆け寄るのに、今はそうしたくない。ああ、またこの時間がやってきてしまった。
固まって動かない私を見たご主人が小さくため息をつく。私はその音を聞いてびくりと震えた。
ご主人をがっかりさせたくない。叱られたくない。
「悪い子」
囁くような小さな声だけど、私の耳はその声をしっかりと捉えてしまう。
悪い子。
その言葉に体が震える。私は慌てて立ち上がる。
「ふふ、クオンは、いい子ね」
ご主人様には褒めてもらいたい、いい子ねっていつだって褒められたい。
重い足取りで、でも一歩、一歩と微笑むご主人の下へと歩み寄る。
「いい子、いい子」
ご主人の手が私の頭を撫でる。私はその感触を目を閉じて味わう。
ご主人の手が私の頬までおりてくると、反対側の頬に柔らかな感触がした。
薄く目を開ければご主人の顔がすぐそこにある。軽く口づけしてくれたのだ。
「いい子にしてたら、もっといいご褒美をあげるから。ね?」
さあ行きましょうとご主人が私の手を取る。
連れてこられたのは私が寝転がるための台。台を前にしてなかなか動き出さない私に、ご主人が言う。
「もう、クオンたらいつまでたっても慣れないのね。大丈夫よ。痛くないって、知ってるでしょう?」
決してそういう問題ではないのだ。でもご主人様に悪気なんて、悪意なんてないのは知っている、よかれと思ってやっているのも。それは今だって感じ取れる。
「クオンはいい子だから、わたしの言うこと、聞いてくれるわよね?」
そう、私はいい子。ご主人の言うことをよく聞くいい子でありたい。だから私は台の上に仰向けに寝転がる。
私は落ち着こうと深く息を吸っては吐き出す。けれど、どうしたって逃げ出したくってたまらないのだ。それを意志の力で強引にねじ伏せる。呼吸に集中して気を落ち着かせていると、ぱちん、ぱちんと手足を拘束する枷をはめられる。
ひ、と喉が鳴り、どくどくと心拍数が上がる。大丈夫だ、大丈夫、これはご主人が私のことを思ってしてくれることだ。自分に言い聞かせて、荒れる息を強引に静めようと深呼吸を繰り返す。荒い息をしている口に枷がはめられる。目を閉じて大丈夫だと心の中で呟いていると、ゴリ、と胸元で嫌な感触がした。
ガツッと手足に衝撃が走る。手足が動かせない! どうして。逃げなければ逃げなければ嫌だ嫌だ嫌だやめて逃げなくちゃやめて嫌だやめてやめてやめ――――
私が暴れている間にもゴリゴリと嫌な感覚が続く。
「動いちゃだめじゃない、クオン」
大好きな、大好きなはずのご主人の声が降ってくる。そうして私は幾分かの正気を取り戻す。
今、ご主人は私の胸にある突起部分をやすりで削っているのだ。何もしなければ尖っているそれは、日常生活を送る上では危険なものでしかない。大部分は昔、病院で削られたけれど、放置すればまた元に戻ってしまう。だから定期的に削る必要がある。これはそういう、必要な処置だ。
でも、
ゴリ、という振動が体に響くたびに体中を不快感が襲う。はめられた口枷のせいでうーうーとしか唸ることしかできず涎がだらだらと口からこぼれて不快だ。首を振り手足を必死に動かし逃げようともがいても、ガチャガチャという音がするばかりでわずかしか動かせない。枷とこすれる部分に痛みが走るけれどそれすら些事に感じられる。気が狂いそうな不快感とゴリゴリという自分の一部が削られていく振動が体中を這いずり回る。
ああああああ嫌嫌嫌嫌嫌嫌やめてお願いやめてやめてやめてお願いやだやだやだ気持ち悪いあああああああカワイイ嫌嫌嫌嫌嫌嫌やめてスキお願いやめてやめてやめてお願いモットやだやだやだ気持ち悪いキモチイイああああああやめてお願いやめてやめてやめてアイお願い嫌嫌嫌嫌嫌嫌やだやだやだシテル気持ち悪いやめてお願いやめてやめてえええええええええええ――――
…………………………。
気がつくとかちゃり、かちゃり、と枷が外されていく。
「クオン、よく頑張ったわね」
ご主人が笑っている。上気したように赤らむ頬が艶めかしく、潤んだ瞳は恍惚とした光を宿している。
「ご褒美に、いいことしましょう?」
私はばんやりとしたまま頷いた。
――
一年くらい前に、ルカリオのあの金属の突起って危ないよなー、バトルしない子には不要だしそういう場合は削っているのでは?なんてツイッターで呟いたことがきっかけでした。
削られるのをルカリオ自身が嫌がってるとなおよし、などと呟いたような呟いてないような。
そういうわけです(
もっとねっとり書きたかったんですけど、それを成し遂げるには盛大に力不足でした。
いろいろテキトーに済ませた部分もあります(
このあとたぶんR-18展開になると思いますが、まあ書かないです。
ご想像にお任せします。
解説するのは野暮かとは思いますが、一応書いておきますけど、ルカリオがやだやだ言ってるとこに挟まるあれは、こう、読み取ってしまった波動的なあれが入り交じってですね。
えーあと、ご主人はこう、ぐしょぐしょですね(察して
以上です。