私の地元、ホウエンのとある町のアーケードには地下街がある。学校帰りに時々寄っているのだが、最近そこに気になるお店が出来た。ぬいぐるみの店である。 ガラス越しに中を覗くとたくさんのジュペッタが並んでいる。大小様々で汚しの具合はも色々。ツギハギがあったりボタンがついてるようなのもいた。 もちろん本物ではない…ぬいぐるみである。にしてもリアルである。 ふと、お店の奥の女主人と目が合った。オカルトマニアがそのまま歳を取ったような彼女はにこりと笑うと手招きをした。
「いつも見ているのね。気に入った子がいたら持って帰ってもいいのよ」
と、彼女は言った。 彼女が云うにはここに並んでいるのは元本物らしい。
「大丈夫よ。中身はもう成仏してるし、クリーニングして綺麗にしてるから。襲ってきやしないわよ」
なんでもこの女主人、夜は除霊師をしているらしい。
「特にこの大きいのは苦労したわね。自分を棄てた女の子に似てる子を三人殺ったのよ」 「ちなみにこの右の子は…」
彼女は次々とぬいぐるみごとの武勇伝を語って聞かせた。なんでも呪いが強いジュペッタほどいいの感じになるらしい。 「まあ、あなたにはこれくらいがいいかしらね」と、一体小さいのを押し付けられた。
「はい、これ説明書。手放す日まで可愛がってあげてね」
説明書を見たところ、術をかけてあるらしいので、処分する際は普通に捨ててもいいらしいのだが、出来れば神社に供養に出してからお焚き上げにするようにとのこと。 とりあえず今は窓際に飾ってある。 ある日、店は唐突に移転していた。 移転先は不明。
次はあなたの街にくるかもしれません。
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