あたまがいたい。ずきずきとずぅっとあたまがいたい。どうしてかぼくはいつもいつもかんがえるけれどぼくにはやっぱりわからない。ぼくはあたまがいたい。ずーっと、ずーっと、ぼくはあたまがいたい、どうしたらいいのかぼくにはわからない。ずっとずっとねるときもたべるときもあるいているときもはしっているときもたたかっているときもにげているときもずっとずっとぼくはあたまがいたい。しんか?っていうのをするとあたまのいたさからかいほうされるってきいたけれど、でもいまはいたい。いたいものはいたい。なれてしまえばぼくはらくになれるともおもったけれど、いたいものはいたいから、なれることはないのだろうとぼくはおもっている。でもいたい。おもっているだけじゃかわらないし、ぼくはきょうもなやみつづける。しんか?ということをしなければいけないとおもうけれど、そのためにはつよくならなきゃいけないのだろうけれど、やっぱりいまはあたまがいたい。
ずきずきと、じくじくとあたまがいたい。けれどぼくはあまいくだものがすきだ。そして、ぼくはあたまがもっといたくなるのとひきかえにちょっとだけふしぎなちからをつかえる。あまいくだものがきになっている。ぼくはそれをほしいとおもう。そうすると、あたまがもっといたくなる。そのかわりになんだろう、ぼくのあたまからてがのびるようなかんかくができて、それはじっさいにくだものまでとどく。とどいて、つかむとつかんだかんしょくがする。はだにもふれていないのに、どうしてか、つかんでいるかんかくがする。そのまま、ぶちってちぎるようにちからをいれると、そのくだものがきからはなれる。あたまはいたいけれど、ぼくにはちからがあった。だからおいしいくだものをたべられる。ぼくのいつもあたまにのせているてをまえにだして、ぼくのあたまからでているもうひとつのみえないてから、くだものをうけとろうとしたとき、いっぴきのはむしがさっとぼくのめのまえをよこぎっていった。あっ、お前!お前!許さないからなお前!握り潰してやる!!僕の手は素早いんだ!!逃げられると思うなよ!!!!
ボギュボギュベギィゴギャブチュッ!!
ああぼくのくだものがちまみれになってしまった。あたまはもっとずきずきといたむし、くだものにはちやにくやほねがこびりついているし、みずであらおう。えっと、かわはどっちだったっけ、ああ、こっちだ。あたまがいたい。くだものはべとべとになっちゃったしぼくのからだもよごれてしまったし、あまりいいことないなあ。でもまあ、かわであらえばいいか。そのあとでくだものもたべればすこしはいいきぶんになるかな。
かわについた。だれかいるかな。いない。たぶん。あたまがいたい。かわでくだものをあらうときれいないろがもとどおりになる。ぼくのからだもさきあらおうかな。うん、そうだな。くだものはここにおいて、うん、だれもいない。からだをあらうとかぴかぴしたちにくもおちて、うん、いいきもち。あたまはあいかわらずいたいけど、さきほどまでじゃない。いたいけど。いたいけど。どうしてぼくのあたまはずぅっといたいんだろう。でも、とりあえず、くだものをたべよう。あれ、え、くだものは?ぼくのくだものは?僕の果物は!!??どこ行った!誰だ!誰であろうと生かして返すか!!ん?あ、かぜでちょっところがっただけか。なんだ、よかった。ひろって、ぱっくりとたべる。うん!おいしい!もうひとふさ、たべて、おなかもそこそこ。あたまはいたいけど、ちょっとはいいきもち。さて、これからどうしようか。このあたまのいたさといつまでつきあわなきゃいけないのかなあとかんがえてしまうとやっぱりいやなきもちになる。しんか?すると、もっとはやくおよげるようになるし、ぼくのみえないてももっとつよくなるってきいている。じゃあ、やっぱりきょうもがんばろう。つよくなろう。ぼくとおなじすがたのこにそれはきいたんだろうけど、そのことつよくなろうとおもってたら、きづいたらしんじゃってたし、もうちょっとだれかつよいあいていないかなあ。あ、ニンゲンだ。ニンゲンさーん、ぼくのれんしゅうあいてになってくれない?あ、それ、きらい。でんきはぼく、きらい!嫌い!
ぶちゅう。
ニンゲンさん、なんでにげるのさ!ぼくまだいったいしかたおしてないよ!逃げないでよ逃げないでよ!ほら、ぼくのまえにほかのだれかだしてよ!なんでそんなへんなかおしてるのさ、ねえ、だしてくれないと、ぐちゅってやっちゃうよ?やっちゃうけどいいのかな?うーん、だめだこのニンゲン。
ぼきゅっ。
あ、そうか、ぼくニンゲンさんつかまえてたんだった、てもうごかせないんじゃ、そりゃだせないよね。えーっと、たしかまるいものからニンゲンさんはだれかをだすんだよね。あー、あったこれだ。ん?みんなおびえているなあ。まあ、いいや、みんなぼくのれんしゅうあいてになってくれない?ほら、みんなだしてあげるからさ、あ、にげないでよ、にげるならおいかけるからね、まってね、まっててね、かならずつかまえてあげるからね!
ぼく、あしおそいけど、あたまもずぅっといたむけれど、さがしものはとくいなんだ!だってぼくのみえないてはこうやってたいぼくをへしおってふりまわすこともできるしさ、ほかにもてのかたちをかえて、ちょっときりのようなもやもやしたかんじにしてみれば、あたりのことをなんでもかんじとることもできるんだ。すごいでしょ!あ、あしあとみつけた!でも、ちょっとかなしいことにぼく、あしおそいんだよね。ふつうにおいかけてもにげられちゃうしなあ。さーて、どうしよう。あたまいたいけど、ぼくはがんばるよ。だって、がんばらないとこのあたまのいたさからかいほうされないんだもの。がんばらないとね。でも、がんばるっていってもどうしたらいいかなあ。ふつうにはしってにげられていたら、ぼく、おいつけないものなあ。えーっと、じゃあ、あ、いいところにむしがいた。そらとぶむしで、けっこうはやいやつだ。そいつつかまえて、ねえ、ちょっとおねがいあるんだけど、このあしあとおってくれない?あ、ありがと。ぼくせなかにのせてね。うわ、なんかのりづらいし、ちょっとぺたぺたする。でもがまんするか。なんかきみ、ふるえてるけどだいじょうぶ?だいじょうぶならいいんだけどさ。じゃあ、おねがい!れっつごー!はやいはやい、ぼくのあしじゃこんなはやさぜったいにでないよ。ぶぅーんっておとちょっとうるさいけど、がまんするよ。がんばって!あ、そこ、みぎね。うん、あしおとつづいている。あ、みえてきた!あのくろいの!さて、きのえだおって、はっぱとかとりのぞいて、さきをとがらせて、えいっ!
「ギャンッ!」
めいちゅう!じゃあ、あ、いや、まだいかないでね!ほかにもにげたのいるからさ。うん、まってて。さて、おいついて、つかまえたけど、ぼくのれんしゅうあいてになってくれる?ねえ、あしにえだつきささったのにまだにげようとしてるの、きみ。ちょっとなんかきずつくなあ。ねえ、ぼくのれんしゅうあいてになってくれないの?そんなかおしないでよ、ぼくつよくなりたいだけなんだって。でも、だめ?ころして?なんでよ。うーん。なんかいつもこうなんだよなあ。じゃあ、どうしようか。あ、そうだ、あたまちょっとさわらせて?なんかできそうなきがするんだけど、ほら、そんないやがらないでさ、ちょっとだけだからさ、うん、ちょっとだけ!
「あびゃべるふぇぎゃめにかヴぁをべべべべるるるるるぎぃぃぃぃぃいいいいいいいいいい」
あ、しんじゃった。まあ、いいや、ほかのみつければいいんだけど。
あ、きみにげないでよ!ほら、にげようとしてもぼくつかまえるのとくいだからさ、もうちょっとつきあってね。あ、きみ、れんしゅうあいてになる?ならないかあ。