遠方のアローラ地方にて、異世界からやってきた生物――通称ウルトラビーストと呼ばれる生物の一体、コードネーム『UB:LAY』の大量出現が起こり、ポケモンとその環境を守るボクらのカントー地方ポケモン省環境保健部からも援軍を出すことになる。
ポケモンバトルがそれなりに出来るという表向きの理由でボクはそのメンバーに選ばれた。まあ、そうはいってもたった一人だけのメンバーなのだけど。
なかなか交流の少ないアローラ地方に恩を売りたいとか、未知の部分の多いウルトラビーストの情報をカントーが得るいい機会だとか、上層部の思惑は知らない。というか、正直どうでもいい。
ただただ降り注ぐ日差しと熱さの前には、そんな前提など溶けていきそうだった。黒タイツ維持は無理だった。熱量半端ない。流石に脱ぐ。
暑さによるだるさもあり初日から嫌になるが、別にカントーに帰りたくもなかった。
何故なら、仲の良かった(と思う)同僚の一人以外の人間からは「可能なら帰って来なくてもいい」という空気が読み取れたからだ。ちなみに同僚からは「お土産にふしぎなおきものをお願いします!」と念を押された。これだけは、買って帰らないと。
仕事の合間にせっかくだし色々出来たらいいな。アローラでリフレッシュ、リフレッシュ――
――なんて……思考を逸らしても、はぐらかしても仕方ないか。
結局のところ、「地方に飛ばされようとしている」のには何も変わりはないのだから。
それほどまでに、ボクは個人で動きすぎて、カントーの闇に突っ込みすぎた。禁則地に足を踏み入れて、あの地方から追い出されようとしている。消されないだけましだと考えた方がいいのかもしれないけど。
その件に関して色々やったのは、後悔はしていない。ただ、色々と嫌になった。
この閉塞した社会が嫌になった。あの集団の中が息苦しかった。
はなから自分の居場所とは思えてなかっただけに、余計に窮屈だった。
はっきり言うなら、集団というものが苦手だった。
ただ、ボクがこれから相手にするウルトラビーストも、このアローラで出会った新たな仲間も、その集団を象徴するような生命体だったのだけれども。
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ウルトラホールという異世界へ繋がる穴から迷い込んだ『UB:LAY』たち。
「重ねる」という意味の名前をつけられたそのウルトラビーストは。やがて「ツンデツンデ」という名前で呼ばれるようになった。石垣が積まれているような見た目からの名前らしいが、名前の響きとは比較にならないほど、今回の問題は可愛いものではなった。
そのツンデツンデが、今回大量発生したのである。
――道路にツンデツンデ、海岸にツンデツンデ、山道にツンデツンデ、砂漠にもツンデツンデ。
花畑に石垣。洞窟の中に石垣、雪道に石垣、樹林に石垣、学校の校庭にも石垣。
まさにツンデツンデ祭り。確かに援軍も必要だ。全部重なったらどのくらいの大きさになるのだろうか……いや、そんなこと考えている場合ではない。
今回の仕事は対策本部から支給されたウルトラビースト専用の捕獲ボール、ウルトラボールでツンデツンデを捕獲すること。ボクはせせらぎの丘と呼ばれる水辺エリアの担当になった。
――ターゲットの一体は池にかかった橋の上に鎮座していた。
昼寝でもしているのか、その濃灰色の四角い巨体は微動もしない。
これでは、通行の妨げになるし、なにより今大人しくしていても傍らを通らなければいけない時に暴れる可能性もあり厄介だ。とにかく、対処しないと。
パートナーのポケモンが入ったボールを手に取り、呼び出す。
「頼んだよ、コクウ」
さる少女が、手持ちのホーホーにニックネームをつけていた。
ボクもニックネームをつけ始めたのは、彼女に影響を受けたといえば、そういうことになるのだろうか。
今までボクにとってポケモンは仕事のパートナーだった。それ以上も、以下もなかった。
彼女とポケモンの関係を見て、(彼女がそうだったかは置いておくが)普通のトレーナーとはこういうものなのかと思った。
だから、ボクも手持ちのポケモンたちに名前を与えてみようと、ふと考えたのであった。
薄茶の皮膚に、白い骨で覆われた頭と、同じ白の骨こん棒を構えたカントーのガラガラ。
ボクのパートナーコクウは、指示を待っていた。
「まずは『ホネブーメラン』」
初手を指示する。いかにも頑丈そうな身体をもった石垣の身体に、骨こん棒のブーメランを直撃させてみる。さてどこまでコクウの攻撃が通じるか。
『ホネブーメラン』の不意打ちを受けたツンデツンデは、その場から動かずに堪えた。やはり硬い。ならば……
「『いやなおと』だ」
骨をすり合わせた耳障りな音で相手の防御を崩しにかかる。これでもう少し攻撃が通るようになればいいのだけれど。
しかし、着実な削りを狙った一手のつもりだったが、どうやら相手をかなり不快にさせたようで。
いままで沈黙して積まれていた石垣たちが……すべて一斉にこちらを睨みつけた。
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ツンデツンデは多数の石垣の一体一体が集まっているポケモンだった。
群れているのに一体のポケモンとして扱われているのは、タマタマとか、ダグトリオとかが代表的だ。つまりは、この集団で睨みつけてきたのが、全部「ツンデツンデ」というポケモンということであった。
水色の眼をもつそのひとつひとつの石垣が、怒りを表したがごとく目を赤く光らせていく。
全て赤い目になった時、ツンデツンデの身体がバラバラにはじけ飛んだ。
「! 打ち返せ!」
瞬く間に飛んできた2、3個のツンデツンデをすばやくコクウに打ち返させる。分散した石垣の群は、宙を浮いていた。
その瞳のついた石垣たちは、互いにぶつかり合って自身の身体の不要な部分をそぎ落としていく。
「『ボディパージ』で素早くなってきたか……来るよコクウ!」
身軽になって素早くなったツンデツンデは、上空に球を描きながら集まっていく。
それから一気に『いわなだれ』で降り注いできた。
「まずい、な……」
この範囲と物量は……防ぎきれない。コクウも察したのかこちらに向かって走ってきてくれる。
「よし、逃げるよ」
そのままふたりして橋を駆け、撤退をしようとする。だけど、雪崩れるガレキがやはりというか、橋を壊しにかかる。
必死に走るも素早くなったツンデツンデの攻撃から、逃げ切ることはできそうにない。
コクウが前に出た。ボクを……庇ってツンデツンデに立ち向かった。
「コクウ! 『まもる』でやり過ごして!」
コクウは青いバリアを展開して、ツンデツンデの猛攻を耐える。耐える。耐えてくれる。
急いでこのまま耐えきった後の次の取る手を考えなければ……。
なんて、悠長なことを考えさせてくれる間を与えてくれる相手ではなかった。
「っ?!」
まず、背中に衝撃が走る。
弾き飛ばしたツンデツンデたちが背後から攻撃を仕掛けに来ていたのだった。
なんとか踏みとどまるも、ガレキの軍が組み合わさり、腕を構築してボクの方をわしづかみにしてくる。
まずい、捕まった。これではウルトラボールに賭けるどころか別の手持ちを出して状況を変えることもできない。このままでは、このままではまずい。
すかさず、コクウが腕に変形したツンデツンデの付け根を攻撃する。
その一撃は偶然だったのだろう。コクウの突き出した骨こん棒が、付け根にいた一個の石垣の目を突いた。
複数のうちの一体を怯ませたことにより、ツンデツンデの連携が崩れる。
その結果ボクは――――投げ飛ばされた。
結構、遠くまで、投げ飛ばされた。
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壊れた橋のある池とは別の湖面に背中から叩きつけられ、そのまま体が沈んでいく。水中から見上げる水面は、とてもきらきらと綺麗な光を放っていて――――懐かしさを憶えた。
以前にも、こうして溺れかけたことがあったなと古い記憶を思い出す。
あの時助けてくれたあの人は、今どうしているのだろうか。なんてことも浮かんでくる。
……まあ、今は自力でなんとかしなければ二度と会うことすら叶わなくなってしまう。
昔ボクを救ってくれたその人にも、今ボクを守ってくれたコクウにも再会できない。だから足を動かせ、必死に。必死に。ばたつかせろ。
生き残るために、水面を目指せ。生きることに、執着しろ。
――水面が近づいていく途中、視界の端に白い魚が見えた。
その涙目な小さなポケモンは、ボクの前に来て水面までの方向を示してくれる。
まるで「生きろ」と言わんばかりに……必死に、導いてくれた。
何とか岸までたどり着く。先程まで溺れかけていた水面を見ると、その魚のポケモンは顔を出してこちらの様子を見ていた。多分、心配してくれているのだと思った。
「一応……ありがとう。助かった」
お礼をしたいとけど、今の手持ちだときのみくらいしかないな……。とりあえずオボンのみでも渡しておこう。
きのみを受け取った魚のポケモンは、それを口にすると、すごい勢いで食べきった。
……結構な食べっぷりだ。どうやら、気に入ってもらえたらしい。
端末を使ってこのポケモンがなんの種族かを調べたかったが、水没したばかりなのでそれも叶わなかった。
「……そろそろお別れだ。叶うなら、健やかに暮らしてほしい。それじゃ……っ?!」
別れを告げようとしたら、顔面に『みずでっぽう』をくらう。既にびしょびしょとはいえ、多少のショックはある。
けれど、その攻撃は軽いもので……襲われている雰囲気ではなかった。それが確信に変わったのは、その魚のポケモンの表情を見てしまったからだ。
「……行くな、って言いたいのかい?」
投げかけた問いに、首肯で返される。
「困ったな。ボクは仲間との合流を急いでいるのだけれど……それでも引き留めるのかい?」
鋭い『みずでっぽう』が頭の横を通過する。相手の意思は、示された。なら、こちらも考えねばならない。
「仕方ない……頼んだヴァレリオ」
モンスターボールから、丸っこい体のくさばねポケモンのモクロー、ヴァレリオを出す。ヴァレリオはアローラ生まれだから故郷に連れてきてやろうと思った控えのつもりだったけど、タイプ相性を考えてこの局面を任せる。
「じゃあいくよ 『はっぱカッター』!」
ヴァレリオが翼から葉で出来た斬撃を飛ばす。魚ポケモンは水中に潜ってそれを回避。そのまま逃げてくれるといいのだけれど……そういう訳にも、いかないか。
ディグダ叩きのようにひょこひょこと水面に顔を出しては、『みずでっぽう』を打ってくる相手。技の撃ち合いが続く。
ヴァレリオにこそ当たらないけど、水浸しになった周囲から泥水が跳ねて鬱陶しい。
相手は水面に『はっぱカッター』が着水するタイミングで的確に反撃を返して来る。
だったら……
「曲射、角度真上!」
上空に打ち上げた葉のブーメランカッターが潜っている相手に向かう。
『はっぱカッター』が外れて着水し、相手が顔を見せる。
その背後に、ヴァレリオが音を立てずに飛んで回り込んだ。
上空に技を放ったことでできた時間の隙間で、相手の不意を突く。
「『おどろかす』!」
相手の真後ろからヴァレリオが大きな音を立て、驚かして飛び上がらせ水中から引きずり出した。
そのチャンスを、狙い水色のダイブボールを投げ当てる。
ヴァレリオがボールをわしづかみにして、ボクのところまで運んでくれる。
何回か揺れた末、ダイブボールはカチリと音を立てる。捕獲、成功だ。
「ふう……出ておいで」
捕まえたその子を出す。その子は割と元気そうだった。きのみをよこせと要求してくるくらいには、がっついていた。
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遠方から、聞きなれた音がした。それはコクウが骨を叩いて送ってくるサインだった。
サインはこう伝えていた。対象、西へ、それを追っている。と。コクウが無事でよかったが、わりとこちらとの距離も近かった。
手持ちの笛で了解、そのまま続けてと音を刻んでから、対策を考える。
ボクの手持ちはもともと、あまりツンデツンデに対しての有効なポケモンが少ない。
そして、まだ戦えているコウウだけでは、だいぶ消耗しているだろうしおそらく任務達成は厳しいだろう。
「さっそくキミに頼むしかないか……」
見つめられたキミは、きのみを咀嚼しながらいまいち現状を飲み込めていないようだった。
「ボクは、キミに助けてほしいんだ。死の淵から救ってくれたキミの、力を借りたい。お願いだ……“フィーア”」
フィーアは4という意味だ。死から連想して4というのはちょっと悪い気もするけれど、それでもボクのことを死の危険から助けてくれたということを忘れないために、ボクはこのニックネームを贈った。
自分のニックネームとして受け取ったフィーアは任せろと言わんばかりに飛び跳ねた。
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「コクウ……無事で、なにより。まだいけそう?」
ボクの質問にコクウは、深く頷く。本当によく無事でいてくれた。でもまだほっと一息を吐くわけにはいかない。
コクウと無事合流し、コクウの追っていたツンデツンデを再び発見する。
休息しているのだろうか。ツンデツンデが湖のほとりでまた四角い箱のような形になって鎮座していた。位置取り的に都合がいい。
コクウにフィーア顔合わせをさせたのち、ヴァレリオも交えて作戦を伝える。
「――つまり……正直、気分が悪いけどこれは不意打ちになる。真正面から殴り合ってじゃあ、こちらに分が悪い。みんな、危なくなったら逃げることに躊躇わないで。いいかい? ……じゃあ、頼んだよ」
それぞれが頷くのを見て、ウルトラボールを握りしめる手に力を入れる。
大きく息を吸い、呟く。
「リベンジマッチだ」
――ツンデツンデ捕獲作戦、再開。
○○○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
湖のほとりで休憩中のツンデツンデの前に、ボクは単身姿を現す。
その辺で拾った石ころを片手に、ツンデツンデに声をかける。
「さっきはよくも投げ飛ばしてくれたね、ツンデツンデ」
やはり、攻撃しない限り、相手にされない。見向きもされない。だったら……やるしかない。
大きく振りかぶって、石ころを全力で投げつける。
すると、一斉にツンデツンデたちの目が機嫌悪そうにこちらに向いた。
(来たか)
すかさずもう一つの石ころを、今度は下手投げで上に投げる。
投げられ石と目の前のボクに目を取られていたツンデツンデは――――背後から音もなく飛んで忍び寄るヴァレリオに気づかない。
不意打ちされると怯んで動揺する、ヴァレリオの『おどろかす』音が周囲に響く。
――――ツンデツンデは突然のことに驚き、すべての目を使い周囲をくまなく探し、ヴァレリオの姿をとらえる。
と、同時に。
「フィーア、みずでっぽう!」
湖に潜んでいたフィーアが高く飛び跳ねてからツンデツンデたちの目に勢いよく水を噴射して、目潰しをした。
「コクウ!!」
ボクの横を走り抜けていくコクウは、ぐらぐらと戸惑うツンデツンデめがけて、飛んだ。
そして……飛び乗って四つ目の技を仕掛ける。
「今だ『じしん』!」
大地を揺るがす衝撃で、ツンデツンデに大ダメージを与える。
これだけ体力を減らせば、確率は跳ね上がるはずだ。
ウルトラボールを手に取り、ボクは投げようとした。
「くっ……よけろ!!」
咄嗟に気づけた。けど遅かった。コクウの攻撃から免れている石垣たちがいることに、それらがヴァレリオとコクウに突進していることに……気づくのが遅れた。
重たい二つの衝撃音が鳴り響く。それからツンデツンデの特性……相手を倒した数だけもともと高い能力、防御力が上昇する『ビーストブースト』が発動する。
「ヴァレリオ! コクウっ!」
危なくなったら逃げて、って言ったのは失敗だった。逃げにくい、不意を突かれやすい相手だということに、注視できていなかった。
動揺してしまったボクに、ツンデツンデが『いわなだれ』をしかけてくる。
ボールを投げる動作が、追い付かない。
(卑怯だろ、そんな数の暴力に任せて押しつぶして来るのは)
心の中で短い悪態を付き、間に合わないと知りつつも、それでもウルトラボールを投げようとした。
ボールを投げるのは、間に合わなかった。
けれど、ボクはツンデツンデに押しつぶされてはいなかった。
「フィー、ア……?!」
フィーアと思われる謎の巨大な青い魚が、横からツンデツンデを突き飛ばす。
進化したのか? いや、よく見ると大きな魚ではなく。小さな魚が群れを成して、巨大に見せているだけだった。目のあたりにあの食いしん坊なフィーアがいた。
このポケモンは、紛れもなく、フィーアだった。
フィーアが『みずでっぽう』をツンデツンデに放つ。それは、鉄砲というレベルを超え、大砲みたいになっていた。
「すごい……じゃなかった。今が、チャンスだ」
語彙を失いかけたボクは、気を取り直してウルトラボールを投げ当てることに成功する。
短く揺れた後、ツンデツンデは無事捕獲された。
無事というには、なかなかに被害が大きかったけど、それでも、任務を終えることができた。意識を取り戻しへろへろになってこちらによるコクウとヴァレリオ、そして大きい姿から戻って地面の上でびちびちしているフィーアを拾い上げ、労いの言葉をかけた。
「お疲れさま……疲れた……お疲れさま」
そのまま意識が遠のきかけたところを、フィーアの『みずでっぽう』に叩き起こされた。
そしてポケモンセンターまでの道のり、フィーアが水を吹きかけ、ヴァレリオがちょくちょく驚かしてきたり、コクウの骨こん棒で突っつかれたりしながら……なんとか意識を保って歩き続けた。
トレーナーが倒れたら、ポケモン困るし仕方ないよね。と自分に言い聞かせながらなんとかこんどこそ無事に到着出来た。
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フィーアは、“ヨワシ”という種族のポケモンだった。
普段の白くて小さな姿は「単独の姿」、あの巨大な姿は「群れた姿」という名称がついているらしい。ヨワシは基本戦いになると群れる習性があるらしい。言ってしまえば、群衆で戦うといえばツンデツンデと大差はないのかもしれない。
でも、びちびちしているフィーアをみて、あの巨大な姿を保っていたフィーアを見て。
たとえ、群れた中にいても、あの白く輝いていたフィーアはフィーアだったと思った。
つまり、フィーアは群れの中でも、自分を見失っていなかった。むしろ群れの力を借りて引き出していた。
もともと集団なんて嫌いなくせに無理して群れの中にいてハブられていたボクと違って。フィーアはちゃんと自分のポジションを見つけていた。
「強いね、キミは」
ボールの中のフィーアは、その言葉の意味をどうとらえたのかはわからないけど、きのみをよこせと口をぱくぱくさせていた。
お土産コーナーでふしぎなおきものを探しながら、ボクは今の仕事を辞める決心をした。
ボクが、活き活きできる居場所を、ポジションを見つけるために。ボクは今のところから離れようと思った。
さしあたって、昔の恩人を探しにでも行こう。
まだ、ボクの故郷にいることを願って、会いに行こうと心に決めた。
あとがき
サモンさんの昔の仕事話。ヒンメル地方に帰るきっかけになったできごとでした