【035】Re:Birth 作:No.017 ☆6 ☆☆20 ☆☆☆4 =58 ☆☆☆ 叙述トリックの技術が光っていました。最初の電話での会話は、タツミだと思わせておいて実はミチユキの……というトリックなんですよね?(勝手に勘違いしてたらどうしよう)比喩的なお題の使い方にも問題はありませんでしたし、リスタートを切るまでの心情の変化を描いた心温まるストーリーだったと思います。 鶏 ☆☆ お題:タマゴ(モンスターボールを例える)、鏡(タツミに自分の姿を映す) 主人公がタツミを導く先輩としての人物と思わせておいて、実はタツミ自身も諦めかけていた夢をタツミのおかげで取り戻すという、関係の二重性がいいなと思います。プレミアボールをタマゴに見立てるというアイディアも素敵。ちょっとツッコミ。「3×3」のボタンだと、0が抜けるんじゃないだろうか(爆)あと、ここだけ算用数字になってしまうのも(漢字だとイメージでませんが)、やはり気になってしまいます。 レイニー ☆☆ 読後感のいい話でした。そうじをするダイノーズとおばちゃんがすてきです。プレミアボールが「ただのおまけ」以外で使われたことに感動しました。漫画を読むようなテンポの良さでした。 ☆ それで、タツミはどうなったの!? 読了後、最初に抱いた感想はこれでした。スマトラとカラメルのやりとりがかわいいとか、流れが凄く分かりやすいとか、電話に始まり電話に終わるというまとまりの良さとか、光が消える瞬間のぞっとする感覚(ただ「少し」は余計だったかも)のリアルさとか、いい点はたくさんあるんです。だけど、タツミのその後が書かれていないせいで不完全燃焼に。それだけが残念なのです。ほぼもう一人の主人公状態だったのに、描かれていないせいで、話の良さが半減してしまいました。僕の瞳から光が消えました。非常に惜しい作品です。電話の描写全て削るくらいのダイナミックさがあれば、恐らくタツミのエンドも1万字以内に収めることが出来たのではないかと思います。 乃響じゅん。 ☆☆ テーマはタマゴだろうか。鏡だとも言えそうである。初めに、誤字脱字誤用を4箇所確認(最期→○最後、5/20確認)。全て同じミスであった。また、一人称の混同と思われる部分が1箇所(×僕→○俺、5/20確認)。そして、副詞の使い方が甘い(「明らかに年下の少年に奢らせるのもどうかと思うが」の部分にて、「明らかに」は不要である)。しかし、話の流れに不自然な点は見当たらなかった。テーマは、鏡であろうがタマゴであろうが重要な使われ方であったと判断できる。以上の点から☆☆とした。前半読んだ時点で誤字脱字誤用のフルコースで、そのまま☆にしようかと考えていたが、後半のストーリーは素晴らしかった。次からは、辞書を使ってほしい。Yahoo!の辞書でも十分。また、推敲をしてほしい。 あつあつおでん ☆☆☆ グッと来た文【「彼はこう言っているんだ。カチリと音を立てて、世界が開かれる。中からはポケモンが出てくる。その姿はさながらタマゴから生まれるときのようだと」】 まず一言、やられました。(汗)個人的には今回の作品群の中では一番タマゴと鏡のお題を巧みに両方とも取り入れている作品だと思いました。(汗)タイトルはBirth=迷っていた過去に対するRebirthなのか、それともRe:=返信=変身=生まれ変わる(解釈間違っていたらすいません)なのか、色々な意味が込められていそうなタイトル名にも惹かれました。そして内容の方はレンギョウさんのプレミアボールの見方に感心したり、ミチユキさんの本当はまだ諦めたくないといった葛藤も印象的でした。それとスマトラさんとカラメルさんのやり取り(?)には和みました。ちなみにナックラーさんの名前がカラメルさん、ってことは……もしかして、この作品の作者さんは。(ニヤリ&間違っていたらすいません) 巳佑 ☆☆ タツミと自分を重ね合わせ、そして再スタートを切ろうとする姿勢はよく描写することができていた。ただ、いきなり挫折したところからスタートしていたので、ミチユキがどのように挫折したかを書いてくれた方がより感情移入することができたと思う 西条流月 ☆☆ 本コンテストの、トリを務める一作。 ……投稿者の方は、まさか狙われた訳ではありませんでしょうが(苦笑)――結果的に、ラストを飾るに相応しいテーマだった事は、何か嬉しいですね!主なテーマと思われるのは、『挫折』と『再出発』。 内容と致しましては、なんと言っても冒頭の電話での会話が直接ラストに繋がるという、記述配置の妙が光りましたね。 境遇の違う二人の少年が同じ立場に立っていたと言うのも、この物語の面白かった点です。しかし一方で、両者の交流が最も佳境に差し掛かる場面に於いて、会話や反応がほぼ一方通行だったのは、返すが返すも残念な部分…… 是非ともあそこで、片一方の心理描写だけでなく相手の反応や周りの情景描写も含めて、今一歩感慨深いシーンを再現して欲しかったところです。……まぁ、ナックラーが淡々と心を開き、ゆっくりと差し出されたボールを咥える描写も相応の味わいがありましたから、無理にでも変えた方が良いとは申しませんけれども(汗) なんだかんだで、あれも好きですから……! 後、時折流れる周囲の状況に関する描写が、地味に好きですね。 レントラーの尻尾に飛びつくナックラーや、ダイノーズと清掃婦のおばちゃん、テーブルを齧るあり地獄ポケモンなど、描かれる風景が非常に脳裏に浮かび上がらせやすく、それが作中の世界観に入っていく際、とても良い働きをしてくれました。更にもう一つあげると、最期に電話をかける際、『3×3に並んだ番号ボタン』や、アクリル板に映った自分の顔など、敢えて細に渡った情景描写を駆使している点に、強く惹かれましたね。 こうして丁寧な描写をする事によって、作者は読者に対して無言の内にも、そこが作中に於いて重要なパートであることを、ごく自然な形で伝えることが出来ます。 ……ここは、まさに書き慣れた方ならではの仕事振りだったように感じられた部分。 違ってたなら御免なさい! クーウィ ☆ 最初にまず一つ伝えます。 >最期の最期でこんな話をしてしまって。 最後と最期を勘違いしてます。最期っていうのは死ぬ直前とか国家滅亡とかの直前に用いる言葉です。(広辞苑より) タツミは死ぬ気ですか。とはいえわたし自身、タツミのセリフがなければ対して調べなかったので、こちらが勉強になりました。わたしも間違って使ったことある気がする。だって最後より最期の方がカッコいいですしね。 スマトラはネーミングすごい好きです。あとナックラー可愛い。 話の流れも割りと明快で分かりやすく、特に飽きずに読めました。 でも最初の電話のシーンはちょっと考えました。会話にしては繋がらなさすぎだと。読みはじめからいきなり何事かと思いました。いや、結局ちゃんと一人のセリフを分割したものか、ってわかったんですけど、ちょっとややこしいなと。 >閉店間際の店の店員は迷惑そうな顔をしながらも、僕の目の前にシールを並べてくれた。 志村ー一人称一人称。他にも変わってるところがありました。仕様……ではないですよね。 >迷惑そうな顔をしている店員の顔は見ないようにしてさっさと俺達は店を出る。 迷惑そうな顔って普通に見えてますがな! それと部分部分で無駄な描写があります。減らすとベター。 オチは綺麗でしたが、盛り上がりがやや駆け足な印象でした、じっくりしてほしかったかも。 で、結局タツミはどうなったのでしょうか。 でりでり ☆☆ 一読目:おぉ、珍しい。ラスト一作がコンテスト!というかヨスガシティにびっくり。ダンスの奴も舞台ヨスガだったろ。まぁいいか。とりあえずスマトラとカラメルの攻防に和む。ショップに飛び込み『にらみつける』。ていいんの ぼうぎょが さがった! ▼ なんてふざけてる場合じゃない。出だしの電話でもしやこれ…?と思ったらお前かいミチユキ!途中でタツミ君か?とも思ったけどね(おい) 二読目:じっくり読むと上手いよな。プレミアボールがタマゴ。そういえばなんで白いんだろな、あれ。どうでもいいけど失敗するたびにボール変えてたら面倒くさくないのかな。というかボールって変えられるんですか?初耳だよそんなん。とか言ってみる。まぁありなんだろう多分。じゃなきゃこのお話成立しないし。思ったけどバトル系のお話はあってもコンテスト系の話って少ないよね。着眼点は上手い。けどなんか丸けりゃ全部タマゴかい!?(笑) 三から八読目:しかし、初めてゲットしたのがカラメルってどうやって仲良くなった。ていうか、ポケモンもらわずにポケモンをゲットするってつまりどういうこと?とか考えてみる。これ言いだしたらこれ以前の作品全部突っ込みなおさなきゃいけない名だけれども(爆) 九から十読目:☆2つ!けども、ラストにふさわしい、おいしかったです。御馳走様でした。 音色 ☆☆ なるほど、こう落としたか! モンスターボールからの登場を卵からの誕生に例える比喩は良い。でもタツミの意識を変える≒将来を変えようとするためにやったことが、結果的にボールカプセルを変えただけというのはちと弱い気が・・・ストーリー的にもう1ひねりあるか、生まれなおす比喩を読者が納得するだけのボールの装飾の描写の工夫が欲しい気もする。 >髭が回収し切れなかった大きなゴミを鉢で拾い上げ「鉢」で拾うというのが良くわからなかったのだが・・・? ところでポケモン同伴可レストランの設定は好き(笑)ハブネークとか連れていったら何を出してくれるのかなあ(^¬^) サトチ ☆☆ <作品情報> テーマ種別 →タマゴ 作品タグ →【観念的なタマゴ】【呪縛からの解放】【境遇を重ねる】 ポケットモンスターシリーズの二次創作としての意義 →十分満たしている。地名・アイテム・ポケモンなど、満遍なく要素が盛り込まれているという印象。 テーマの消化度合い →前半からきちんと下地を作っていき、〆の台詞に説得力を持たせている。問題ない。 <講評> 夢に破れかかっている主人公が少年と出会い、少年と対話していくにつれて少年の境遇に自らを重ね合わせ、そして最後に自らも再び夢に向けて歩き出す。非常に分かりやすく、疑問も残さないスマートなカタチに仕上がっていると言えるでしょう。モンスターボールをタマゴに引っ掛けているくだりも説得力があり、テーマの消化という点でも抜かりありません。話を通して筆者が「言いたいこと」が明確になっていることで、ブレのない構成になっています。タイトルもそれを踏まえたものになっていて、違和感はありません。本当に良くまとまっています。 ただ、まとまっているのはいいのですが、一歩踏み込みが欲しいという感も残ります。高水準でまとまってはいますが、突き抜けた何かがある、といった印象は受けません。今のまとまりを無理に変える必要はないと思いますが、個性派揃いのこのコンテストにおいては若干おとなしいかな、という印象です。とはいえ、ブレのなさと安定感は抜群で、欠点といえるものはこれと言ってありません。今後の更なるご活躍に期待しております。 586 ☆☆ 情熱の始まりは美しく、食事中の会話は楽しくていい。 まだ何も達成していないが、逃げ出さなかったところは評価したい。それがステレオタイプなのだとしたら、つまりそれが人間なのだ。 “タツミの長い長い話”の件、ただの腰抜けチキンを“コンプレックスの塊”と評するあたりは、負け犬同士の傷の舐め合いかと思ったら、そのときは本当にミチユキも逃げ出すところだった。いやはや。 しかし負の数を乗じると、正の数になる。うまい組み合わせが出会い、掛け合わさったものである。人生の転機にはこうした出会いがあるだろうし、そのときどきの自身を持ち上げるモチベーターの役割を担う他者がいるものだ。やはりステレオタイプだが、そこに人間の不思議な魅力を感じる。 レストランの設定や、モンスターボールとシールの細かな記述は丁寧でいい。買い物のシーンが勢い任せで荒かったので、店員の描写などを精査し直した方がいいだろう。ホスピタリティ産業を舐めた学生バイトのように見える。 渡邉健太 ☆(作者の為、参加点のみ) 言い訳をさせてもらおう。鏡で書きはじめたんだけどあきらかに1万字超えるのが確定になってもういいやーって諦めてたら、締切前の金曜日の寝るときになって急にネタが出てきたので、1日で書いた。最期の誤用は、あんまり考えずに使いました。ろくに推敲が出来てなくて申し訳ない。反省もテンコ盛りだし、挫折の経験に関してはもう少し懲りたかった。どう考えても上位は狙えない作品だけど、言いたいことは描けたのでその点は満足している。誰かを助ける。それは誰かの為なのだけど、それによって救われる自分がいるのではないか。それが本作のテーマです。 タマゴ題にて書いているが、ミチユキが見たタツミの姿は、ミチユキ自身の鏡写しでもある。タツミのタツはタツベイ(空飛ぶことを夢見てやがて大空に飛びたってゆく)のタツであり、ミチユキは読んで字のごとく道行き(道の途中)と言う意味をこめています。 お題:タマゴ タグ:一人称、レントラー、ナックラー、コンテスト、ヨスガシティ、情けは人の為ならず 地方:シンオウ 死亡:なし No.017 |