【003】鳥籠の隙間 作:戯村影木 ☆=26 ☆☆=9 ☆☆☆=3 合計=53 ☆(リナ) ☆(門森 輝) ☆(西条流月) ☆(匿名) ☆(久方小風夜) ☆(teko) ☆(匿名) ☆(レイニー) ☆(SB) ☆ 長編作品の断片のようでものたりない感じがする。(サトチ) ☆(アポロ11) ☆ 最初に思ったのは、どこが鳥かごの隙間なのだろうと。 主人公の、自分のいるところの捉え方がひねくれてるなあと思った。 それは主人公の感性であるのだけど、パートナーが死んだ時に自分のいるところが温室のようだと言う精神構造が私には理解できない。 それこそ、ポッポを鳥かごで飼っていてという描写があるならば、最後の自分のいるところが温室だという対比にもなる。だが、いきなり温室が出て来ても、何の深みもなく、主人公の気持ちを想像して楽しむことも出来ない。 また、なぜ与えられただけだと思ったのか。 いきなりそんな中二病的考えに飛んでいて、味がでていない。中二病的な考えというのは上手く使わないとそれだけが目立ってしまって、味が解け合わない。 (きとら) ☆ こいつは……。 「彼」の死生観。これが大切な誰かを失くしたことのある人間の言葉ならまだしも、未経験の人間に言われたくないでしょうね。 死を良い経験と言うってことは、どんな知り合いの死も全部似たようなものだと言っていると取れます。無関係の人間ならともかくとして、それは関わった相手に感謝の一つもないってことになりませんか。 人間も動物も、他者無しに一人で生きていけるとでも思っているのでしょうか、この男は。 僕は彼の浅はかさに非常に腹が立ちました。 聞いてる方も何か言い返していたら、僕がこんな文章を書くことはなかったのですが……。 タバコというモチーフを使ったのは良かったと思います。 (乃響じゅん。) ☆ ・どういうことなのかよく分からない ・何が言いたかったのかよく分からない ・トレーナーやブリーダーは煙草を吸わない、わけがないと思う ・このおっさんは何者だ。何がしたいんだ ・お金持ちの主人公、一人称どっちですか。私ですか、僕ですか。統一願う ・結局、よくわからなくて、あんまりおもしろくなかった (音色) ☆ 2でも触れましたがわたしみたいなのが死に関する題材を扱ったこの作品に、感想を書いていいのやらちょっと迷いましたが、まあ感想だし思ったことを書かせてもらいます。 死に関する倫理観についてはわたしは何も言えません。理由は2に書きました。 で、分からないことが少しあったので、それを感想の一つとして挙げさせていただきます。 ・バグとは何か ・バグを交換などよりも前に持ち出した意図は何か ・なぜ地の文と会話文で私と僕に分けたか わたしの読解力不足だと思いますが、機会さえあれば是非とも教えていただきたい次第です。必要とあればメールアドレスも貼りますので何卒よろしくお願いいたします。 あと、後半に上がった「あなた」は読者を指すのでしょうか? もしそうなら、なんだか急に世界が「ズレ」た気がします。 あらかじめ読者へ語りかけるタイプならまだしも途中まで普通の小説で進行していたので、とても気になりました。 あとこの男なんて失礼なやつだ(`Δ´) (でりでり) ☆ ポケモンの葬式をするトレーナーと、それに付き添ってくれた年上の誰か……という状況までは理解できたものの、それ以外の状況が不明ということで、少々理解が難しく、それが物語に入り込むのを阻害してしまったかもしれません。 読者の想像に任せるという手法を悪く使ってしまったのではないかと、そう思ってしまった作品だと思います。 肝心の内容自体も、タバコを吸っている人が何かいい言葉を言っているようにみえますが、状況が分かりにくいためにいまいち言葉に届かない。物語に入り込めないという点は、少し冗長になってでも文字数を増やして解決するべきであった気がしました、 (リング) ☆ 最後にタバコを渡すシーンが非常に良い。なんか白黒映画のワンシーンっぽいなぁなんて思った。良家に育った主人公にはおおよそ似つかわしくないアイテムであり、際立っている。 が、それにしては主人公のバックグラウンド描写に唐突感があるのが惜しかった。主人公が男に会うまでの過程を回想、あるいはポッポとの生活を回想する形でそれらしい描写を入れてもよかったのではないか。たとえば墓にくるまで運転手付の車で送られてくる描写があるとか。文字数はある。もっと主人公のバックグランドを。 男も墓でたまたま会った人なのか、知り合いなのか、はたまた車の運転手なのか、よくわからない。いきなり出てきて失礼なことを言い始めるので「えっ」となる。(それがインパクトではあるんだけど)もう少し説明があってもいいのでは。 あと、男は「経験ない」とか言ってたけど、これ絶対嘘だよね。 「パートナーを看取ったやつは、もう二度と違うパートナーを作らないって聞いたことがある」 実はこれ彼の経験なんじゃないだろうか。 「その覚悟が出来た時に、吸うといい。決別出来るだろう」って台詞からそんなことを考えた。 墓にいるのも案外相棒の墓参りだったのかも知れない。あくまで妄想だけど。 【タグ】ポッポ、死別 【お題解釈】死んだ物を送る。葬送。) (No.017 ☆ 中々素敵な会話でした。ただ、 >私は何かを言い返してやろうかと思ったが、墓前で口汚い罵りをしたくはなかった。 口汚い罵りを勃発させそうな人とそんな仲良く会話できるものかな、と。それだけ疑問点です。静かでしんみりした雰囲気、よかったです。 (きとかげ) ☆ ・大事なポケモンが死んで悲しんでるとってもかわいそうなひとに、こんな失礼な口の効き方するやつはもう通報されるべきだと感じました。ただただもう、“陋劣な彼”がムカつきます。中二病ひきずっちんじゃねえよタバコ吸うような年齢になってまでよ! というものが主な感想です。 ・真面目な話、喪失の直後(喪服を着ているなどの描写から察するに、亡くなってすぐみたいですね)だと、「居なくて悲しい」よりも、「何が起こったのかよくわかりません」という気持ちのほうが強いのではないか、と思います。そして徐々にじわりじわりと居ないことに強制的に気が付かされるというのが、大切なひとやものがいなくなったときの感覚なのではないかと思います。個人的な亡くした経験からすると、とてもこんなに言葉は出てこなかったような気持ちにすらなります。 ・なので、一年ぐらい経った設定で、ポッポへの手紙という形にすればいいのではないかと思います。 (りえ) ☆ どうして花を手向けるのかという問いに始まり、煙草に終わる。お節介な彼が真理のような構造で、作中主体はまるでマリオネットだ。とても気持ち悪い、悪質な勧誘のような話だった。何かを乗り越える、成長する、「喪失と再生」を描くのなら、作中主体は自ら花を手向ける理由を見つけなければならない。 がんばりましょう:☆ (渡邉健太) ☆ 良きも悪きもこもごもと言った感じの作品。……内容自体は好きなのですけれども(汗) 恵まれた人生を送って来た主人公が、ある出来事を境に己の生涯を振り返る。テーマ自体は格別珍しいものではありませんが、所々にキラリと光る表現や描写がちりばめられており、局所的には素晴らしい味わいがありました。 特に後半の行から終盤にかけてのシーンは、映画のそれを思わせるほどに雰囲気が出ており、殊更良かった。予め強調していた背景や状況描写も相まって、作品の幕を引くのに相応しい雰囲気を、実に上手く醸し出せています。 しかし半面、そのために犠牲になっている部分も少なからずあった。……と言うより、作品全体がその雰囲気を引き立てる事に重きを置くあまり、反って引きずられていたような印象ですね(汗) 特に問題だと感じたのが、前半と後半との境目部分。主人公に対する『彼』の言い分や態度が、それまでとはいきなり打って変わって、ほぼ真逆のものに変わってしまっています。正直、殆ど豹変に近い印象を受けました。 突如として前触れもなくひっくり返されてしまったせいで、ここまでに読み込んでいた情報は一遍に置いていかれてしまい、事実上殆ど無意味なものに…… 物語の構成上、一度方向性を変えねばならないのは分かりますが、せめてもう少し緩衝材を挟むなりして、丁寧に描写して欲しかった。 更に言うと、その前半部分自体にしても、後半の存在感や味わいと比べると、大分見劣りがする気が致します…… 後半部分ではあんなにマッチしていたシリアス調の文体も、前半部分ではどちらかと言うと空回り気味な印象で、難しい言い回しや重苦し目の表現も、説明されている内容と見合わせてみると、少々装飾多過な感触が否めませんでした。 無論前半部にしても、彼が傍らで吸っている煙草の煙をどう感じたかなど、魅力的な表現は確かにあります。けれどもやっぱり、全体としての比重はかなり偏っており、些か前半部分のインパクトが弱過ぎた感が、最後まで付き纏っていました。 雰囲気や見所となるシーンは素晴らしかっただけに、尚更惜しかった。字数はまだまだ余っていましたから、もう少し丁寧な運びや描き込みが欲しかった所です。 (クーウィ) ☆ 本文「肺に吸い込む煙も、既に暗くなった心には、むしろ心地良い毒素だった」に共感しつつ。 鳥籠の隙間から与えられるだけだった私……の状況があまり描写されないせいか、礼を欠いた発言を繰り返す彼のほうに目がいきました。たぶん相当の腐れ縁なんだろうなあなどと思いつつ読みました。 「俺には経験がないよ。何故って、それを回避しているからさ。」 「そういうの、羨ましいと思うよ」 付き合いの長く深い友人ほど関係は複雑になるものと思います。自分は若輩者ですので、一番長い相手でも十年も一緒にいやしません、なので的外れかもしれませんが、彼の台詞の端々から、私を羨むような、というか、慰めようとするところの隙間から、羨望するために叩く憎まれ口のような、なんとも言えない複雑なものを感じました。彼はかなりしちめんどくさい方向に入り組んだ天邪鬼のように思います。凄まじいシンパシーです。私凹んでいる友人をどうしても慰めるためにはこうなる。自尊心があるために、自分であったなら〜とか、なによりはましだ、とか、どうも普通に声をかけるのが合わないようで、へんに気取ってしまう。自分で言いながらもだいぶ、うざったいこと言ったなあと思うので、彼ももしかしたらそう思っているかもしれません。とか思いながら読み返すと、パートナーと幸せな巡り合いをして、別れを看取ることができた友人のために、ヒヤヒヤしながらも居直ろうと煙草すっぱすっぱしつつ、手前勝手な慰めを投げる男のぐらぐらを思って死ぬかと思いました。あなや。 なんと言ったらいいんだろうか。 詳しく書くには余白がなさすぎるのですが、とにかく彼の一挙一動にとてもびくびくしました。物静かなインパクト。この感想から自分自身のことについてアタマがしばらく逸れてしまいましたが、そんないやおうなしの何かがありました。 ただ、ポケモンストーリーとしては、少し弱いのかもしれません。(私がかってに彼にほれ込み過ぎてるのかもしれませんが)、一連のことがらから彼を描いているというわけではなさそうですから、きっと私が主人公なのだと思いますが、わりには内心の動きがあまり現れていなくて、とてももったいないと感じました。ポッポについても、彼についても、鳥籠についても。ぜひ、煙草の香りとか、沈黙の耳に響く感じとか、東屋のベンチで座って話す距離とか、声とか、いろいろぐーっと感じながら、そこから彼の言葉などを拾って、変化していく私の感情を、もっともっと書いてあげてください。独特の雰囲気とか緊張感とかがさらに際立って、素敵なお話に仕上がると思います。 (CoCo) ☆ 短いのが惜しい。残りの文字数でポッポとのその一対一の特別性を書くべきだったと思います。 感情移入ができなかったし、扱っているテーマがテーマだけに、心情の描写が不足してる感があって薄っぺらい印象を受ける。しかし会話を組み立てるのが巧いと思いました。あのやり取りがなければ本当に陳腐な作品になっていたと思います。それとこうした普遍的なテーマを扱うときは、あえて難しい単語を使うよりも、誰でもわかる単語で読ませたほうが、理解しやすいし印象はいいはず。難しい単語で哲学的な雰囲気を出すには背景や物語としての前提が不足しています。そうした意図もなく自然と出てきた言葉なら、探してでも易しい単語に替えるべきでした。具体的には「陋劣」と「阿諛」。そんな中味のない二文字よりも、辞書で調べて出てきた意味を書くほうが、よっぽど語彙が豊富でいい描写だと思いませんか。単語の使い方は誤字や誤用と違ってストーリーや世界観にも関わってくると思うのでちゃんと評価に加味します。次回に期待します。 まったく関係ないですけど、この作者さんは葉山嘉樹が好きそう。 (鶏) ☆ グッと来た文【「そうじゃない。幸せだった時間と、それを幸せだったと思える時間を、お前はもらえたんだ。思い出とか、絆とかな……そういうの、羨ましいと思うよ」】 なんだか『彼』がすごい達観しているような感じで話していた気がして、一つ一つの台詞は考えさせられるなぁ、と思いました。 でも大切な者を失くして、まだ日が浅い『私』にはちとばかしキツイかなぁと思ったり。特に最初の台詞は少し凶器めいてるような気が。(汗) しかし……相手のことを分かっている上で彼もかけた言葉だったのですかね、確かにキツイところもあったけど、そのおかげもあってか『私』の心がちょっと晴れたかなぁという描写が最後の文にありましたし。きっと彼なりのエール……だったのかなぁと思ったりしました。 (巳佑) ☆ 家族ともペットとも違う、パートナーの死。一対一の関係ですか。 若干解釈の難しい部分もありましたが、主人公の心情が綴られていく物静かな雰囲気が良かったです。 (レイコ) ☆ 行間が空いていなかったので、正直読み辛かったです。それと、死という話題を語るために、無理やり話を硬く・重苦しくしているように感じました。結果、話が繋がらない箇所や会話の唐突感が出てきてしまったのではないでしょうか。 【紫煙が匂う。だが、肺に吸い込む煙も、既に暗くなった心には、むしろ心地良い毒素だった。】 毒素、と言い切っているなら「臭う」表記の方が良かったのではないかと。(個人的に、ですが) 【あいつら、とんでもない長寿なんだ。普通にしていれば、まず死なないよ。そんな生き物を看取ってやれたっていうのは】 とんでもない長寿、の部分はともかく、普通はまず死なないと言いつつ看取ってやれて良かったと続けるのは何とも……。 【なあ、大概は、生涯を終える前に別れることが多いのさ。バグだったり、交換に出しちまったり、どこにしまったか忘れて永遠に会えなくなったりさ。人間の墓に比べて、数、少ないだろ。それが証拠さ。お前は、出会ってから死ぬまで一緒にいられただけ、幸せだ】 この部分は驚きでした。現実感溢れるゲームの世界の話だったんですね。なるほど、消失や紛失に比べれば、老衰死は相当の幸せだ……。 残念ながら、タイトルと内容と「鳥籠」の意味が噛み合っていない様に見受けられました。もう少し練っていただきたかったな、ということで☆1を。。 (ラクダ) ☆☆(小樽ミオ) ☆☆(匿名) ☆☆(朱雀) ☆☆(匿名) ☆☆こう、物語から漂う薄暗い感じがすごく好きです。(砂糖水) ☆☆ まさかポッポでこんな深い文章を読むことになるとは…。たとえ序盤でよく出るザコ敵でも、人によっては運命の出会いだったりするんだし、価値観の違いなんですなあ。そこら辺がいい感じに現れていたと想います。あと最後の煙草のくだりがかっこよかったっす。いいなあ! (tac-ティス) ☆☆ 最初に思った事『これで3500か!?』彼の言葉に主人公が気付いていくこと。送る、というテーマの中、やはり失う虚無や喪失感を書いた物がある中、これはそこからまた何かを感じさせられた作品でした。読み終わってからも、ちょっと字数を見て驚いたくらいです。それほどにボリュームがありました。 (銀波オルカ) ☆☆ お題について、「人生を“送”る」と使っていたのは意表を突かれました(もし違っていたら申し訳ありません)。が、お題が話の陰に隠れてしまい、生かしきれてないように思えました。 そして、もう一点気になったのが、雨が降り始めた描写がどこにもないことです。 4行目「雨が降りそうな空模様」→中盤「雨の降りそうな匂いが充満する。それは墓標を〜」 →最後「もう雨が上がっていた」 確認のため読み返してみたのですが、「雨が降り始めた」というような文章が見当たりませんでした。これでは、せっかくの感動も薄れてしまいます。頭の中ではこういう風景があると思っていても、読者には伝わらないことが多いので、作品を完成させてから数日置き見直してみると新たな発見があるかもしれません。 (穂風奏) ☆☆ 紫煙のおっさんカッケーよ! 最初の嫌な感じから一転、カッケー台詞言いやがって! 主人公の一人称が、地文だと「私」で台詞だと「僕」なのもなんかイイ。内側の自分と外側の自分の差が現れているような (匿名) ☆☆☆(匿名) ☆☆☆ 短的に言ってしまえば、失ったパートナーの思い出を語る話で特に事件が起きるわけでもありません。でも、この物語の空気はなんとなく好きです。うらぶれた酒場で酒でも酌み交わしているような、シックな雰囲気ですよね。 最後に雨が上がってるのが、主人公がきっと立ち直るんだなと思わせる演出でニクいですね。 (クロトカゲ) ☆☆☆ 文章を読んでいるだけで悲しく重い雰囲気がきました。 ちっちゃいけどおっきいポッポ。 (海星) |