0時6分
俺は名前も分からない町を歩いていた。
本当はこの日[育成施設]という
まあ人間の世界で言えば学校みたいな所だ。
しかしもうこの時間帯ならば明日という事になるだろう。
ざっと感じて今の気温は-2℃といったところだろうか。
あ、自己紹介が遅れたな。
俺の名前はイーブイ。特に名前などは無い。
よく「俺」って言うから雄と間違えられるのだが………
一応雌だ。
別に理由なんて物は無かった。いつの間にか俺と言っていた。
俺は何故育成施設をさぼっているのか?
理由はただ一つ
人生にうんざりしていたからだ。
育成施設にいっても良いことなんて無かった……
むしろ、悪い事しか起こってないと言っていいだろう。
育成施設というのは自分の技を磨いたり、
相手と戦ったりして自分を強くしていく所だ。
その育成施設の中で俺が一番強かった。
だが……
ある日を境に友達が俺の相手をしてくれなくなり、しまいにはみんなが相手にしてくれなくなった………
更には集団で戦ってきた時もあった……
いくら自分が施設の中で一番強くても集団となると話が違う。
当然やられた。
イジメもあった………
例を挙げるとなると数えきれないし、何から話せばいいのか分からない。
でも、かなりイジメられた………
正直言って、イジメの領域を越えていた。
それで今 ここにいるという事だ。
ちなみに、俺の背中に背負っている物は剣。
道に捨てられていた剣だ。
俺はこの剣をどうにかして利用出来ない物か……
それでいま、背負っているという事だ。
……まあ使った事はほとんどない。
親もいない。この世界なら50%のポケモンは親がいない。
食べ物は、そこらへんに生えている野菜ぐらいだ。
で……………
今俺は何処に行こうとしている?
というと
[運命の塔]という場所を目指している。
運命の塔というのは、その塔のてっぺんに人生をやり直す事が出来る魔法の部屋があると聞いたからだ。
もし俺がやり直したなら
とにかく目立たないように、ひっそりと過ごしたい
それでは、自己紹介を終わりとしよう。
でも、その人生にうんざりしているのは俺だけじゃない。
育成施設にいたやつも、俺と同様にそこらへんでさぼっている。
別にさぼり仲間という感覚なんてない。
カッカッカッカッ……………
俺の爪が地面に当たっている。
俺の足音がより一層に孤独感を高める。
1時42分
そろそろ眠気が差してきた。
「寒いな……」
地面に転がるしか眠る方法はなかった……
俺は橋の隅っこで寝ることにした………