ここは…カントーやジョウトといった世間的に広く知られている地方とははるか遠くにある、ランパ地方。
この地方は、今まで発見されたポケモンがほぼすべて生息しているという、非常に珍しい場所である。
しかし、この地方では、新種のポケモンは未だ発見されていない。否、あるいは…存在しないのか。
どちらなのかは、誰も知らない。誰にもわからない。
だが、真相をするべく、ランパ地方について研究している研究者は少なくない。
そして、このランパ地方では、毎年ポケモンリーグが行われている。
全国から腕自慢のトレーナーが集まる、ランパ地方屈指の祭典である。
この話は、ポケモンリーグ優勝を目指す、三人の少年少女の成長を画いた物語である。
だが、彼らはまだ知らなかった。
自分達がこの旅のなかで、ある大きな事件に巻き込まれることを…。
* * *
ここは、ランパ地方の始まりの町とも呼ばれる、『コノハタウン』。
今日、このコノハタウンから、一人の少年が旅立とうとしていた…。
「っは〜、いよいよ今日から旅立ちかぁ。」
彼の名はアレン。今日で15歳の誕生日を迎える少年だ。
彼は、旅立ちの日を15歳の誕生日と決めていたのだ。
「どんな旅になるか、楽しみだな!ゴチミル!」
アレンにそう聞かれゴチミルは頷いた。
このゴチミルはアレンが幼いころからずっと一緒にいる、彼の良き相棒である。
「そうだ!シラサギ博士が旅立ちの選別にポケモンをくれるって言うんだ!ゴチミル、研究所にいくよ!」
アレンとゴチミルは町外れにあるシラサギ博士研究所に向かった。
* * *
「シラサギ博士ー!」
アレンは研究所の扉を思い切り開けた。
「よっ、アレン!今日から旅立ちだな!」
甘いマスクでメガネをかけた20歳前後の青年が気さくに声をかけてきた。
彼こそがシラサギ博士である。この地方について研究を進めている。
何故この地方にほぼすべてのポケモンが生息しているのか、この地方に新種のポケモンは存在するのかを。
「シラサギ博士、前に旅立つ時にポケモンをくれるっていってたじゃん!早くポケモンをちょうだいよ!」
「早速だな…。まぁいいや。この三匹から好きなのを選んでくれ。頑張って探したんだけど、こいつらしか見つけられなかったんだよな。」
そう言ってシラサギ博士は三つのボールを出した。
ボールの中にはそれぞれヒノアラシ、ミジュマル、キモリが入っていた。
「うーん…。よし!これに決めた!」
アレンはミジュマルのボールを手にとった。
「おっ。なかなかいいのを選んだじゃねーか!そいつはきっとお前のいいパートナーになってくれるぞ。」
「ああ。僕はこいつを立派に育て上げて見せる!そして、ポケモンリーグで優勝してやるんだ!」
「おおっ!ポケモンリーグ優勝かぁ!いい目標だな、頑張れよ!」
「もちろんさ!それじゃ、行ってくるぜ!」
「ああ!たまには顔見せに来いよなー!」
こうして、少年・アレンの旅が始まったのであった。