格安アパートのチラシを発見、カゲボウズ付きで巷じゃちょっとした有名株らしい。
・・が、地方が違ったら関係ないよな―。苦笑。いくら安くてもそこには行けません。よって選択肢から除外。
となると、他に残された選択肢は・・
「よっしゃー今日からここの主じゃいやー」
残った選択肢、森の中に佇む立派な屋敷。まさかの家賃ゼロ円。シェア用住宅。でも入居者今のとこ自分ひとり。なんて素敵な環境。サイコー。
もちろんあれこれうわさはある。もとはとある資産家の屋敷だった。幽霊が出る。夜中に像が動きまわる。テレビから手が出てくる等々。無茶苦茶だな。
霊感ゼロだから大丈夫!とゆーことで決定して下見もせずにやってきました。無料の二文字に負けたんです。チャレンジャーだな自分。
電気とガスと水は一応引いてあるらしい。らしいだから未確定。いざとなればサバイバル確定。電話があるかどうかまで確認してない。まぁ、どうにかなるか。
とりあえず、衣食住の内の住を確保。衣は実家から送ってもらう。食は働かざる者食うべからず。ってことで。
「まずは掃除するか」
バンダナ締めまして腕まくりしまして割烹着着て軍手はめて、戦闘準備完了。ただいまより館の大掃除を開始いたします。
まずは頑固な埃を吸い取っていくか、とゆーことで掃除機のスイッチオン。掃除機使えるから電気は大丈夫だな、勝手に安心。
そんなこんなでエントランスとりあえず終了。あとで謎の像に雑巾かけるか。食堂は・・あとでいいや。いまんとこ。
二階。今更だけど掃除機持って上がるの結構重いな。
一番左の部屋に突入。本棚いっぱいの本。そしてたくさんの埃。掃除機の前にハタキを持ってくるべきだったか。しかしもう遅い。何故なら面倒くさいから。
掃除機の先端をはずして細かいところをやり始める。なんかでっかく黒い埃が隅にたまっているのを発見。なんじゃありゃ。
一応吸い込もうと努力するが手ごわい。なんだこれは。このままだと科学が敗北を認めることになる。許せん。掃除機マックスパワー発動!
ぎゅおおおぉんとちょっとやばげな音がして「ぴぎ―――」よし吸い込んだ科学の勝利。で、ぴぎ―って何。
まぁ、この部屋一帯の埃を吸いこんでから確認すればいいや。掃除続行。
二時間後。本棚終了。他の部屋やる気になれないくらい疲れた。一休みするか。
そういやさっきの怪音の正体はなんだ。カパッとな。掃除機を開けた。
埃まみれのゴ―スが恨めしげな眼でこっちを見てた。
しかも三匹。
いやいやいや、何やってんですかお前ら。ガス状ポケモンだろ。ていうかゴーストタイプだろ。なんで抜け出さなかったのよ。
もしかして空気の流れに逆らえないってか。ガスだけに。マジで。
あぁもうそんな目で見るな。分かった、分かったから。洗ってやるってば。
掃除いったん中断。これよりゴ―スの洗濯にうつりまーす。
・・ポケモンってどうやって洗うんだ?そういえばポケモントリマーなる職業があるとか。この辺にあるのか?なさそうだ。それに金かかりそうだ。
となれば自力で洗うしかないな。よし、洗濯と言えば洗濯機の出番でしょう。
埃まみれのゴ―ス三匹をすすぎ、脱水コースにご招待。悪いけど柔軟剤はないから洗剤だけで勘弁。
え、なんだよその目は。科学を信じろ。大丈夫だって、多分。
ぽいぽいっと投げ込んで、ふたをして、スイッチオン。よし、こっちにも電気来てるな。さらに安心。
30分後。どうなってますかなー。かぱっとな。
目をまわしているゴ―スが三匹。しかもあんまり埃取れてなかった。あらまー。失敗ですかな。まぁ、ガスだし。
気がついた?だからそんな目で見るなって。誰だってはじめは失敗するじゃんか。よし次の案行ってみよー。
やっぱり手洗いが基本でしょう、と思ったけどガスをどうやって洗えば良いんだ。
空気洗浄機?そんなバカ高いもん持ってるわけないじゃない。ていうか、埃どころか色の薄いゴ―スになっちまうじゃない。
そういえば実家の母さんがテレビ通販で買ってきたあれどうよ。
ちょっと探してくるから待ってろよ―。
『夢のポケネットタナカ〜』のCMでおなじみ、あの通販自宅を改造してスタジオにしたって本当なんだろうか。まぁそれおいといて。
全国1000セット限定スチームクリーナー参上。蒸気だから多分大丈夫。・・火傷しないかな、あいつら。
まぁ、物は試しだ。やってみますか。
結論。まぁ、洗濯機よりはましになった。埃は落ちたし。ただあいつらじめじめしてたけど。
あとは天日干しにでもすればいいんだろうけど、ここ日当たりめちゃくちゃ悪いからな―。しかしとても気持ち悪そう。
しかたがないからドライヤーを引っ張り出して強制的に乾かしてみた。
あ、こらちょっと飛んでくな。そこはなんとか耐えろ。スチームクリーナーに耐えたお前ならできる!
なんだかんだで洗濯終了。こいつらさっぱりした顔してやがる。
もう掃除機に吸いこまれんなよてめーら。
・・二時間後。
ゴ―スの吸いすぎで掃除機が目詰まりを起こした。
「お前ら何匹おるんじゃぁぁぁ!」