夏の終わり。
今も煉瓦造りの古い町並みが通りを続くこの街なら、この頃の夕焼けはとても美しいのだけども、残念ながらここらへんの気候では、残暑の頃には雨が多くなる。特に黄昏時の通り雨。
でも坂の上で天気雨なんかに遇うとね、夕日に家々の影がすっと伸びて、どこまでも黄金色の空、赤く染まった街、どんな素晴しい画家のカンバスでも出会えないような、本当に眼の焼けるような美しい夕暮れが見られるんだ。凄いと思わないか?
しかし最近、妙な噂があるんだ。
岬のほうにある例のでかい塔、あすこにはいつも雲がかかってるじゃないか。あれが暗雲に囲まれると、街のほうでは黒い雨が降るって。
しかも、それを降らす渦巻き雲の下にはいつも、真っ黒いコウモリ傘を差した少女が立っているんだと。
不吉だよなあ。
うちのグラエナもよくなんでもないことで吼えたりしてるし。よくないことが起こりそうで嫌だね。
そういえば最近寝覚めが悪いよ。湿気があるせいかな……。
【黒い慈雨の降る街】
お前もあんまし寝てないみたいだな。目の下が真っ黒だぞ。
今度はズバットだっけか? 便利屋気取りもいいが、身体は壊さないようにしろよな。
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【描いてもいいのよ】
【批評していいのよ】
連載掲示板は過疎気味なので逃げてきたチキン。
完結したら書いてもいいのよを付け足す予定です。
しかし完結予定は微妙。