その日、マイコが見ていたニュースで、女性キャスターがこんなことを言っていた。
「今日7月1日に、1000年に1度しか見られないという千年彗星が見られるという現象が起きます!見られた人はとってもラッキーですね!もちろん、見逃すともう一生見られないので、見逃すことのないよう準備は怠らないでくださいね!」
準備とは言っても、天体望遠鏡とかを持っていないマイコにとっては、興味の湧くものではなかった。
しかし、そんな彼女に、千年彗星からの贈り物とも呼べるポケモンが来るとは、彼女自身、まだ知らない。
そして、大学の講義やバイトも終わって、その日の夜。
風呂に入ってその日の疲れを癒し、さあ眠ろうと布団に入りかけたマイコ。しかし、次の瞬間だった。
ピカッ!!!
ベランダの方からすごい光が起こり、彼女は慌てて様子を見に行った。
そこには、黄色い繭のようなものがあるだけだった。
「どうしたのかな、これ。何かのサナギ?」
マイコがその繭に触れようとした瞬間、その繭はスルリスルリとほどけていき、1匹のポケモンを形作った。
そのポケモンは、頭が星のようになっており、短冊が3個ついていた。さらに繭の形態の時に体を包んでいた部分が布のようにヒラヒラとたなびき、腹には目が1つ。全体的には小さく、かわいらしい、願い事ポケモンのジラーチだった。
「キミ、ひょっとして、ジラーチ?」
『そうだよ。僕、ジラーチ!君の名前は?』
「サカモト マイコ。マイコって呼んで。……ところでさ、ジラーチ、」
『どうしたの、マイコ?』
「キミは人の言葉をしゃべれるの?」
『うーん、しゃべれる、というよりは、テレパシーで君の脳に言語を送っているようなものだよ。でも、言葉も分かるよ』
マイコはその突然の来訪者に興味が湧いてきた。千年彗星の贈り物、悪くはない。
「ねえ、ジラーチ、」
『ん、なあに、マイコ?』
「私は、トレーナーなんだ。ポケモンの」
『……僕を捕まえるの?』
「捕まえないよ。私の仲間を紹介しようと思って。……でも、ちょっと外で出した方がいいかな、部屋に入らない可能性も大きいから、さ」
公園に着いた1人と1匹。マイコは持ってきたボールを高く投げた。
すると、マイコの手持ちであるチャオブー、ウォーグル、ムンナ、フシギバナ、ヌマクロー、ライボルトが姿を現した。
「みんな、ジラーチと仲良くしてね。大切な客なの」
6匹は心得たようで、各々自己紹介をしたりして、すぐに打ち解けあっていた。
そこで、ジラーチは大事なことをマイコに伝えた。
『僕は今日を含めて、7日間しか起きていられないんだ。願いを叶えることには沢山エネルギーが必要だからね。マイコは何か願い事をする?』
「今はどういう願い事をすればいいのか、分からないの。……あ、そうだ。私、7月7日が誕生日なんだ。その日、ジラーチは起きているよね?」
『うん。確か最後の日だったね』
「その日、元気があったら、誕生日を祝ってくれないかな」
『僕でいいの?』
「うん!」
こうして、願い事ではないが、小さな約束をし合った1人と1匹。
しかし、ジラーチ覚醒の陰で、この願い事ポケモンを狙い、そしてジラーチを見つけたマイコをも狙う、悪の組織も覚醒したことを、まだマイコは知らない……。
2日目へと続く……
マコです。お話が始まりました。
悪の組織が具体的に動くのはもうちょっと先です。
それまではちょっぴり安息の時間。
マイコの日常を覗いてみましょうか。
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】