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  [No.526] ポケリア+(プラス)! 投稿者:マコ   投稿日:2011/06/14(Tue) 13:59:31   58clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

こんにちは、マコです。
ポケリアの第2部となるこのお話。
これまでは愉快なお話もちょくちょくありましたが、今回は全般的に暗いです。
あと、実際起こったら国が転覆してしまいそうな場面が多いので、読む際は本当に気を付けていただきたいと思います。


全編、【書いてもいいのよ】タグをつけておきます。

【書いてもいいのよ】


  [No.527] 第0話 始まり〜少年と黒幕の戦い〜 投稿者:マコ   投稿日:2011/06/14(Tue) 14:03:42   77clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

今から、ちょうど2年前。ポケモン世界の、イッシュ地方。そこに突如として、大きな城が現れた。
「全てのトレーナーよ、ポケモンを今こそ、解放するのです!!」
人々に対し、そのように語った、プラズマ団という組織がこの城を作り、そして、号令を発した。
それは、全て上手くいくかのように思えた。しかし、そのようなことをする者には、必ず、天罰が下る。彼らも例外ではなかった。
「な、なんだ、こいつ!」
「強すぎる!!」
「プラーズマー!我々は退散しなければ……」
ライト、そう呼ばれる16歳の少年が次々とそいつらを蹴散らしていった。


彼は黒い雷撃竜・ゼクロムを従え、白い火炎竜・レシラムに選ばれた青年・Nと戦い、そして勝った。そして、ライトは今、このプラズマ団の黒幕・ゲーチスと対峙している。
「アナタみたいな人がゼクロムに選ばれるとはねえ、完全に予想外でした。まさか、ワタクシの邪魔をするような人が来るとは!」
「……」
「ワタクシは、アナタの絶望する瞬間の顔が見たいのだ!!」
「おい、てめえ、言いたいことは、それだけか?」
「……フッ、随分と生意気な口を聞くみたいですね。まあいい、邪魔するものは抹消してあげましょう!」


勝負自体は、かなり白熱したものとなった。ゲーチスの初手はデスカーン。ライトはそれに対し、ゼクロムを。金色の棺桶はどくどくを放ち、更に守りに入ることで持久戦に持ち込もうとしたが、猛烈な物理的雷(クロスサンダー)に呑み込まれ、黒く焼け焦げた。

次に黒幕が出したのは、猛牛・バッフロン。ダメージの積算されたゼクロムでは勝機が薄い、そう判断した少年は、勇猛ポケモン・ウォーグルを出した。猛牛の雷を纏った突進、ワイルドボルトを空中に飛翔することで軽やかに躱した大鷲は、そのままの勢いで自分からぶつかっていった。
「いった……か?」
「甘いぞ、そのまま、ワイルドボルト!」
「ウォーグル!!」
倒されたかに思えた猛牛は、しかし、しぶとく耐え、逆に大鷲の苦手なタイプの、先ほどは躱された技を決めた。
「……まだ、まだ終わっちゃいない!!」
しかし大鷲も耐えて、もう一度、飛翔し、空を飛ぶ攻撃を繰り出す。今度こそ、猛牛は地に臥した。

3体目に出てきたのはキリキザン。
「こいつは一撃で倒してやりたい!エンブオー、頼む!瓦割り!」
承知した、と言わんばかりに、相性的にとても良い技がとうじんポケモンに直撃し、こいつはとうとう大火豚に一撃も与えられずに倒された。

4体目、イボガエルのようなポケモン、ガマゲロゲが出てきたのを確認し、ライトは草猿・ヤナッキーを出した。彼自身、ガマゲロゲは手持ちにいる。そのためか、何を当てればよいかは熟知していたようだ。
「一撃で決めるぜ!ヤナッキー、タネ爆弾だ!」
草猿の口から3発もの非常に硬いタネが吹き出し、それは的確に振動ポケモンに直撃した。こいつも結果的に、一撃で倒されたのだった。

「こうも余裕を見せられる、とはね。アナタを見くびっていたようですね。しかし、ワタクシも負けてはいられません!行きなさい、サザンドラ!!」
ライトも見たことがない、三つ首の悪竜。ライトは、進化前と思しきポケモンなら見たことはあったためか、ドラゴン相手に強い氷のポケモン、フリージオを次のポケモンとして出した。
このフリージオも、まあ素早い部類ではあったのだが、サザンドラはその上を行く速さで、大文字をぶつけてきたのだ!
「フリージオ!!大丈夫か!?」
しかし、何とか耐えしのいだ氷は、追撃の冷凍ビームを発射する。冷たさに悶える悪竜だったが、フルパワーの大技、気合玉を放つ。無情にも、氷に直撃し、フリージオは倒れた。
「ゆっくり休んでくれ。でも、ドラゴンだけのタイプじゃねえから、何とかいける!」
彼は、もう一度、大火豚を出し、格闘の技を放った。しかし、倒したはいいが、弱点の技、波乗りを食らったのは、ライトとしては誤算だったらしい。

ゲーチスの残りは、1体。彼が最後に出したのは、「弱点のないポケモン」シビルドンだった。
こいつは、パワーも守りも申し分ないが、速さに難があった。エンブオーの方が速いほどである。少年の一番のパートナーは挨拶代わりに火炎放射を放つが、相手の守りは堅かった。半分程度も相手は体力を残してしまっている。弱点の技、アクロバットをもろに受け、大火豚は倒されてしまった。
「エンブオー、休んでくれ。よく頑張った。……ゲーチス、お前だけは絶対に、倒す!ガマゲロゲ、行って来い!」
少年の出したポケモンは、先程はゲーチスが出していたガマゲロゲ。素早い青蛙は出てきてすぐに、波乗りをぶつける。本当なら、相手は電気タイプのため、マッドショットで弱点を突きたかったが、厄介なことにシビルドンの特性は「浮遊」なのだ。
それでも、もう大部分の体力は削り取った。アクロバットを食らうものの、まだ体力も十分。そして、ライトは、勝負を決定づける一撃を指示した。
「食らえーーーっ!!!波乗り!!!」
大きく押し流されたシビルドンは水流の中で体力を残らず削られ、ライトは勝ったのだ。


「ハア、ハア……終、わっ、た……」
息をつくライト。一方、ゲーチスは、少年の幼馴染・チェレンと、ポケモンリーグの最高の役職・チャンピオンであるアデクに連れられ、悔しそうに城を去った。
この時に、敗れた悪の総帥はこう言い残した。
「覚えていなさい!アナタの前にはもう現れることはないですが、他の場所に標的を移せばまた、ポケモンの解放と邪魔者の抹消はできるのです!!」
ゲーチスは不敵に微笑んでいた。そして、まさか、この2年後に、この世界でなく、別の世界で、あんな悲劇が起こることになろうとは、まだ、誰も知らない。


次に続く……


マコです。
今回は、いつものメンバーが出てこず、ポケモン世界での話になりました。
……ほぼ、自分のポケモンホワイトでのゲーチス戦の話でした。なんかすみません。
ポケモン世界ではゲーチスは倒されたのですが、彼は、標的を別の方向に向けていたのです……。


  [No.528] 第1話 異邦人の侵略 投稿者:マコ   投稿日:2011/06/14(Tue) 14:08:33   60clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

ライト少年とゲーチスとの戦いから2年経った、現在のリアル世界。国内の政治は、政治にあまり興味のないマイコ達にも分かるくらい、荒れていた。
「本日もナガタ町は、与野党の対立が激しく……」
うんざりするくらい、政治家達は茶番劇とも言える罵り合いを繰り返す。マイコを含め、一般庶民はみな、彼らを信じてはいなかった。
ついていたテレビを切った後、彼女は、特に見る番組もないので、手持ちのポケモンと一緒にコミュニケーションでも取ろうか、とした、その時だった。
急に、国会中継にテレビが切り替わり、スイッチも独りでについたのだ!!
「えっ!?みんな、つけた?」
マイコが6匹のポケモン……エンブオー、ウォーグル、ムシャーナ、フシギバナ、ラグラージ、ライボルトに聞くも、みな首を横に振るだけだった。
「おかしいなあ、さっき切ったはずなのに……」
すると、再び画面に異変が起こった。国会中継の画面が急に真っ暗になり、アナウンサーが焦った表情で緊急原稿を読み始めたのだ!
「お伝えします。緊急ニュースです。先程トウキョウ都のナガタ町にある国会議事堂が、」
次の瞬間、誰もが耳を疑う、信じられない言葉が流れた。


「国会議事堂が、消滅、しました……。」


全くもって信じられなかった。ブラックホールに呑まれたという可能性は考えられない。サマヨールやマルノームが呑み込める大きさだって限られている。サーナイトもブラックホールは作れる、とそのポケモンを持つオオバヤシからは聞いているが、作ることなんて滅多にない。ましてや、大きさも建物を呑み込むほどではないし、作ったらサーナイトの命が尽きる。じゃあ、ダークライのダークホールか?それもない。ダークホールは相手を眠らせる技だ。建造物を消滅させる性能はない。
ポケモンに関する知識を総動員しても、マイコには理屈が掴めない。
そうこうしているうちに、テレビが再び切り替わった。

そこには、ゲーチスの姿があったのだ……!!


「こんにちは。ワタクシが、プラズマ団の総帥・ゲーチスです」
「ゲーチス……まさか、あの……!?」
マイコ自身も、ポケモンホワイトをプレイしていたため、ゲーチスと聞いてピンと来るのは早かった。しかし、なぜ、ゲーチスが?
「ワタクシ達、プラズマ団の手によって、日本の政治の中枢は消滅したのです!喜びなさい、国民達よ!」
彼女はそれを聞き、腹から湧き出る怒りを抑えきれずに手が自然と握られていた。


先程消滅させたなら、国会議員が大量にいたはずだ。更に、今日は衆参同時審議の日だと聞いていた。全員消滅……となると、600人以上も犠牲になったと考えられる。明らかに、ロケット団以上の悪さをしているし、ハッキリ言うとこれはクーデターなのだ。
「これによって、日本は不幸から解放されたのです!そして、次は、ポケモン達の解放です!国民がポケモンを持っていても、ポケモン達が不幸になるだけです!さあ、今こそ国民達よ!ポケモンをトレーナーから解放しなさい!」
「こんなの……おかしい……。私は、絶対、そんなことしない」
6匹の仲間達もこくん、と頷く。彼女にとって、ポケモン達は色々と思い出を共にしてきた仲間なのだ。ポカブが送られてきた日から始まったそれは、気づけばフルメンバーが揃い、最終進化までいっていた。何かが起こる度、絆も確かになっていく。最高の信頼で結ばれた1人と6匹は、そう簡単に切り離されるものではない。
「そのことに文句がある者は、トウキョウに来て下さい。ワタクシ達がお相手します」
ゲーチスがそう言い、画面はブチリ、と切れて真っ暗になった。
「あいつ……本当に心がない……。やっぱり外道だ……」
その時、携帯電話がブルッと震えた。着信だ。

着信 オオバヤシ ケンジ

マイコはすかさず受話器ボタンを押した。
「もしもし!?」
『マイコか。さっきのテレビは見たん?』
「見たよ。いきなりスイッチがつくし、聞いてて腹が立って……」
『俺も我慢できへんかった。……まあ、それはそうと、お前に聞きたいことがあんねん』
「何?」
『トウキョウに行こうかって思ってんねんけど……マイコも行くか?』
「行きたいけど……ばーやん、交通手段とか大丈夫なの?」
『テレポートで行くから、大丈夫。準備できたら連絡せえよ。迎えに行くから』
「……分かった」
マイコは急いで身支度を済ませ、ポケモンの準備も整えた。そして、もう一度、連絡を入れた。
「準備完了です」
『分かった。すぐ向かうからな』


5分もしないうちにオオバヤシが来た。
「あいつ……ゲーチスに会いに行く気?」
「決まっとるやろ。あんな不条理なこと受け入れられへん。あいつだけはめっちゃムカつくからな」
そう言いながら、戸締りをし、テレポートで現地に飛んだ……。


次に続く……。


マコです。
ようやく、リアル世界のお話に入りました。
物凄いことになってます。
……誤解の無いように言っておきますが、決して私自身はこうなってほしいとか思ってはいません。
ただ、何してんのかな、こんな時に、とは思うことはありますが。


  [No.529] 今回のストーリー設定 投稿者:マコ   投稿日:2011/06/14(Tue) 14:16:22   53clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

今回は、ストーリーの設定について書きたいと思います。

まず、舞台は、オオサカを離れ、日本の首都・トウキョウです。
そのトウキョウに、史上最悪な悪の集団・プラズマ団が来て、中にいた600人余りの議員や記者ごと国会議事堂を消滅させ、代わりにプラズマ団の城を出現させるのです。
ポケモンBWを最後までプレイした方なら分かるでしょう、アレです。
もう次元的におかしくなっていますが、気にしないでほしいと思います。

そして、マイコ達はその城に乗り込み、プラズマ団を倒しに行くという話です。

プラズマ団と言いながら、Nは放浪したまま出てきませんが、なんと七賢人が勝負するのです!
どんなポケモンを使用するかは本編でのお楽しみ。


  [No.530] 第2話 600族至上主義のトレーナー 投稿者:マコ   投稿日:2011/06/14(Tue) 14:20:21   72clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

※人間の消失場面がありますので、見る方は注意することをお勧めします。






テレポートでトウキョウに飛んだ2人。そこには、もう既にトウキョウに来ていた他の友人の姿も見えた。
「みんな、どうしてここに?」
「劇場のテレビでさっきの映像を見て、トウキョウに行かなアカンって話になってん」
「で、一度6人で来たんやけど、マイコもきっと来るやろうなあ、って結論が出たんよ」
「やから、俺が迎えに行った。これで大体分かったか?」
「……うん」
マイコも物分かりはすんなりと行く方なので、説明を聞いて状況を理解した。
と、ここでマイコが口を開く。
「……ところでさ、ここにいる人数、多くない?」
「ざーっと見て、100人以上は居りそうやな」
実際、マイコ達7人がいるこの場所には、100人以上のトレーナーと思しき人達がいた。そして、マイコはその内の1人から声をかけられた。
「君は何という名前?」
「私ですか?……サカモト マイコと言います。あなたは?」
「僕はイチノセと言うんです。君のポケモンの手持ち、教えてくれません?」
正直、マイコは戸惑った。会って数分も経っていない状態で、ここまでがっついて話をされると、怪しいとしか思えないからだ。
しかし、しばらく悩んだ挙句に、教えた。そして、それを聞いたイチノセから、トレーナーとして失格とも思える発言が飛び出してしまうのである。
「私は……そうですね……エンブオーと、ウォーグルと、ムシャーナと、フシギバナと、ラグラージと、ライボルトを持っていますね」
それに対してのイチノセの返答はこうだった。
「ふーん、合計の種族値が1匹も600にいってないね。特に、ライボルトなんて、種族値475……クズだ、クズ!話にならない」

マイコはそれを聞き、脳の血管が数本ブチブチッと切れるくらい憤った!!


「冗談じゃないわよ!!あんた最低!!!あたしのポケモンをクズ呼ばわりすんじゃねえよ!!!!」
彼女の腰についていたボールも、6個ともガタガタ揺れていた。みんな同じ思いのようだ。
「種族値だけで話を進めないでよ!あたしのポケモン達は、みんな信頼というものを持ってるの。さっき出会ったばかりのあんたに何が分かるのよ!!」
「フッ、僕はあいにく、600族のポケモン以外は認めない主義なんだ。それ以外はクズなんだよ、分かるかい?」
「……種族値とか600族とかさっぱり分からんけど……マイコちゃんがブチ切れてるのと、イチノセさんが偏見を持っていて、間違っているのだけは分かるで。マイコちゃんに謝れ」
こうキザキが言うと、イチノセは言った。
「種族値も600族も分からないなんて君も落ちこぼれだね」
(こいつ全体的に人をナメとるな。マイコちゃんが激怒するのも分かるし、実際俺も怒りたいわ)
イチノセはそれを説明していく。
「種族値っていうのは、ポケモンが種族として、どのくらい強いのかっていう数値で、HP、攻撃力、防御力、特殊攻撃力、特殊防御力、素早さのステータスごとに決まっている。同じ種類のポケモンなら、全員一緒だ。そして、その合計が600に達しているポケモンが、600族だ。もちろん、伝説ポケモンは除いての話だ。それを満たすのが、カイリュー、バンギラス、ボーマンダ、メタグロス、ガブリアス、サザンドラの6匹。僕はそれを全部持っているんだ。君のポケモンはどうなんだ?」
「……ダイケンキと、フライゴンと、ジバコイルと、マニューラと、ムウマージにクロバット。イチノセさんが言うポケモンは1匹もいませんが文句はあります?」
こう言ったキザキだったが、もう若干ケンカ腰である。
「……やっぱりいないんだね。クズの友達はやっぱりクズか」
「「ふざっけんなああああっ!!!!」」
ブチ切れている人が2人に増えた。クズと言われると腹が立つのはみんな一緒のようだ。
「やっぱりクズはクズ……ん?」
変わらずイチノセが2人をバカにしていると、空気が一変した。
そして、次の瞬間、熱風やら水流やらがガンガン吹いてきたのだ!!
「な……どういうことだあっ!?」


ざわざわ、ざわざわ
「何か向こうが騒がしいで」
「まさか、揉め事起こしてるんちゃうやろうな?」
オオバヤシの予想は的中していた。残りのみんなが行ってみると、

マイコとキザキの手持ちのポケモン12匹が、今にもイチノセを襲わんとしていたのだ!ちなみにボールは、彼らの足元に12個全部落ちていた。
「!!!」
寸前まで来たポケモン達に、イチノセは、さっきまでの他人を小馬鹿にした口調はどこへやら、すっかり参ってしまっていた。
「あ、あ、やめて……もう、君達のこと、バカにしないから、」
このように、最初は2人に謝罪をしていたイチノセだったが、その数秒後には、
「……ねえ、600族を持っているトレーナーの人!あの人達が明らかに悪いでしょう!?」
反省のかけらもない一言を発していた。
「……あんた、まだそういうこと言うんだ。全部の責任をあたし達に押し付けようとするのね」
「きっかけを作ったのはイチノセ、お前やんか。お前が謝らなアカンやろ?」
こんなのでは、2人の怒りも収まらない。とそこに、ようやく事の次第を理解したみんなが2人の隣に来た。
「俺は、サザンドラを持ってんねんけど……正直、イチノセ、あんたが悪いで。何差別してくれとんねん」
「俺もイチノセの方が悪いと思うで。こっちはガブリアス持っとるけど、ただ単に他人をバカにしたいだけやん」
それぞれ600族である三つ首の悪竜と、青い鮫のような砂竜を持つオオバヤシとトキまでもマイコとキザキの肩を持ったため、もうイチノセに勝ち目はなくなった。
「うう、すみません、でした……」
イチノセが土下座を深々と行ったことで、問題は解決したのだった。


そして、ポケモン達をボールに収め、無事に解決し終えた、その時だった。
マイコ達7人以外の、100人以上のトレーナーがみんな消滅してしまったのだ!もちろん、さっきまで大揉めしていたイチノセも、だ。
「え……!?」
「100人以上は居ったはずやのに……」
すると、どこからともなく声がした。
「わっはっはっは!!これで邪魔者はお前達だけだ!」
「あんたらは……」
「プラズマ団だ!我々の科学力に恐れ入っただろう!」
どうやら、さっきのトレーナーの消滅も、彼らの仕業らしい。
「たくさんの人をどこにやったの!?」
「ポケモン世界に送り届けてやったのさ!もう自力じゃあ帰れねえだろうよ!」
「……ひどい……」
プラズマ団のしていることは、もはや、クーデターを超えてジェノサイドだと言える。
「お前達7人には、ゲーチス様と七賢人様が待っていらっしゃるから、あの方々からじっくりいたぶってもらうことにするぜ!はっはっはっは……」
どうしても、最悪最低のプラズマ団を許すことはできない。
みんなで、国会議事堂の場所にある、プラズマ団の城に入っていくことにした。


次に続く……。


マコです。
イチノセさんの見方は大分いけないと思われます。自分で書いていて腹が立ってきました。
そりゃあ、マイコちゃんもキザキくんも怒るでしょう。
そして、ポケモンBWで行う悪事より数倍パワーアップしている気がするプラズマ団の悪事。
これ以上の悲劇が起こる前に、何としてでも止めなければなりません!!


  [No.554] 第3話 いざ、突入せよ! 投稿者:マコ   投稿日:2011/06/28(Tue) 10:09:24   61clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

さっきまで100人以上もいたこの場所は、今はいやに静かになっていた。悪の集団、プラズマ団が言うには、マイコ達以外の、ここに来たトレーナーを全てポケモン世界に送ったということだ。7人はプラズマ団に、自分達の対戦相手として選ばれてしまったというわけだ。
みんな、いつもは何かしら喋っているのに、今は誰も話す者はいない。あまりの惨劇に言葉を発することができないのと、憤りの感情とがない交ぜになっているみたいだ。
7人はただひたすら歩き、プラズマ団の城の扉を開いた。


ギイイイイ……という重々しい音とともに扉は開け放たれ、敷地内に足を踏み入れるマイコ達。
と、その時、

ババババッ!!!

たくさんの下っ端プラズマ団員が出てきたのだ!ざっと100人以上はいそうだ。
「まずはここから小手調べだっ!!お前達を排除してやる!!!」
「プラーズマー!」
「「「プラーズマー!!!」」」
そう言ってきた水色のフードをかぶった男女……下っ端どもは一斉にポケモンを出してきたのだ!
「幸い、我々に刃向かう人間は男6人女1人、そんなの余裕で倒せる……!!?」
下っ端どもは頭数が多いからか、余裕の表情を浮かべていたが……、正直、彼らは目の前にいる7人の実力を見くびっていた。
実際ポケモン世界に行ったなら、彼らの実力は並みのリーグ挑戦者が10人かかっても勝利できるくらいなのだったから。
炎や水、葉に花、雷、風、影の球。他にも様々な攻撃が悪党どもに襲い掛かり、
「うわあああっ!!何だこいつら!!!」
「プラーズマー……強すぎる……」
「こんな情報はなかったはず、だ……」
傷らしい傷をほとんど与えることができず、下っ端どもは一様に倒された。


そして、奥に進み、広いフロアーにつくと、何やら雰囲気の違う、独特な服を身に着けた老人が待っていた。しかも、6人も。
「来たか、我々に反抗する者どもよ」
「本当はもっといたんだけどね。あんた達が消したからでしょう?」
「そうかもしれぬ。だが、我らが用意した下っ端をあんなに短時間で倒すとはな。なかなかのやり手じゃな」
「どうだ、我々と手を組まないか。お主等もきっと喜ぶような世界が創造できるはずじゃ」
「お前らの考えとるような世界は嫌や。ロクでもないもんになりそうやからな」
「……話し合いでは分かり合えそうにないのう。どれ、ちょいと、実力行使とでもいこうかの」
老人達はそう言うと、7人の前に立ちはだかったのだ!


「我らはプラズマ団の大幹部、七賢人と申すものじゃ」
「ふーん。それにしちゃ、6人しかおらんみたいやけど?」
立ちはだかった6人は、確かに七賢人だった。みな同じ形状の、色違いの服を着ていた。それでも、ここに6人しかいないというのは、「七」賢人と名乗るにはおかしな話かもしれない。
「残りの1人はゲーチス様じゃ。お主等など一ひねりで潰せる」
「大ボスが最後の1人か」
足止めされている暇はないが、頑固そうな老人達は通してくれそうもない。ここは、勝たないと先に行けないようだ。
しかし、止められている彼らにも策はあった。

「マイコ、お前は先に行け!ゲーチスとやらをブッ飛ばして来い!!」
オオバヤシにそう言われ、ほうようポケモンのテレポートで階段上のフロアーに、マイコは飛ばされた。
「何で、私が!?」
「お前ならやってくれるって信じた結果やねん!!」
「俺らの中ではマイコちゃんが一番の実力者やから、きっと勝てるって踏んだんよ」
「せやから自分にもっと自信を持て!!」
若干うろたえたマイコだったが、説教にも似た激励で腹を括った。
「分かった!行ってくる!みんなも七賢人なんかに負けないでよ!!!」
マイコは6人と別れ、必死に先を急いだ……。


「お主等にとって、あの女は相当大事な人か」
「俺らはあいつを信じているから、そうやって送り出した。文句はあるか?」
「特にない」
対峙する老人と若者。6VS6の様相だ。
「我らも汚い手は使いたくないからのう。それぞれ、サシで勝負するかの」
それぞれが別々の部屋へと分かれ、そして、それぞれの部屋で、フルバトルが起こる。
若者達にとっての「負けられない戦い」は、まだ、始まったばかり。


次に続く……。


マコです。
七賢人がとうとう出てきました。
マイコちゃんを先に行かせ、七賢人と対峙した男性陣。
そして、次回からはフルバトルが6回ほど続きます。勝つのはどっちなのでしょうか!?


  [No.566] 第4話 フルバトルその1 VSロット 投稿者:マコ   投稿日:2011/07/05(Tue) 19:09:49   59clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

一人の若者と一人の老人がある部屋に入ると、そこには砂浜、そして海が広がっていた。
「この潮のにおい……わたしが生まれた場所に似ている……」
「……」
静かに語る老人、ロットの話を、青年……カワニシは黙って聞いていた。
「我らが主、ゲーチス様は、出会った時からわたしの望みを理解なさっていた……他人の望みや意思を理解する能力は、この世界を生きる上で大切な能力……そして、その能力を生かすことこそ、完全な世界を得るための計画の一端……」
「それやったら、何で議員の人達を消したん?矛盾しとるようやけど……」
「彼らにはその能力が足りなかったということ。見たところ、お前よりもずいぶんと年をとっているのにも関わらず、な」
「……それは、あんたのエゴやろ?あの人らが話すことは、まああんまりええものではないけど……それでも、居るべきちゃうん?」
「……我らの崇高な目的が、伝わらないということか」
「崇高って言うても、俺には理解し難いねん。伝わらないっていうか、合わないんかもしれへん」
「ならば、実力をもって押さえつけるまで!」
仮想空間に展開された砂浜で、バトルの火蓋は切って落とされた!!


ロットの一番手は岩山ポケモン、レジロック。対するカワニシの最初のポケモンは、彼の一番のパートナーであるドレディアだった。
両者が対峙してすぐに、岩山ポケモンの周囲に尖った岩が出現し、あっという間に花飾りポケモンを取り囲もうとした。しかし、彼女はそれをことごとく必中の葉で砕き、攻撃が来ないと見るや踊りだす。神秘的な蝶の舞を。
それを見て、老人は指示を行った。
「電磁砲」
岩山ポケモンの方も蝶の舞をただ見ているだけではなかった。その間にロックオンで狙いを定め、必中となった攻撃を当てたのだ!
草タイプである彼女は、もともとの相性の良さと蝶の舞による強化が味方してか、電気の大技でダメージをそう食らわなかったが、痛いことにマヒを起こしてしまった!
「……動きを制限されたってことやな。やけど、ここで一気に決めとかなアカン!ドレディア、花びらの舞!!!」
蝶の舞により強化された花びらたちは、意思を持つかのように目の前に佇む大きな岩に向かい、確実に傷をつけていった。そして、さらに、
「ギガドレイン!」
最後の一押し、と言わんばかりの吸収の技が決まり、とうとう岩山は倒れた。


次いでロットが出してきたのは黒鉄の体のポケモン、レジスチル。ドレディアでは有効打を打てずにあっさり倒されるのがオチだ。それに先程の戦闘のダメージもバカにならない。そのため、花飾りポケモンを引っ込めたカワニシは、代わりに火の粉ポケモンのバオッキーを出した。
場に出てきた火の猿は、あっさりと鈍重な黒鉄に近づくと、口を大きく開いて欠伸を行った。ふわあ、という音もはっきりと聞こえるくらいだ。
それに気付いてか気付かずか、老人は指示を行った。
「ド忘れから、鉄壁」
ただでさえ堅い守備をもっと堅固にしようと考えたのだ。

しかし、覚えているだろうか。先の欠伸のことを。

ド忘れは無事に発動したのだが、鉄壁を行おうとした瞬間に、

ドッスーーーン!!!

黒鉄ポケモンが倒れて動かなくなったのだ!口がどこにあるかは分からないが、ご丁寧に寝息まで立てていた。
「お前、一体、何を……」
「欠伸、ようやく効果が出たみたいやな。時間差でそっちを眠らせてん」
レジスチルにイビキや寝言といった対策技があれば、ここから展開を変えることができたかもしれない。交代させれば効果が発動しなかったので、そうすれば良かったのだが、もう遅い。更に、対抗できそうな技がなかったために、何もできない。反撃をされない状態の火猿は容赦なく炎を吹き付けた。
大の文字を形どった炎が黒鉄を燃やし、とうとうそいつは反撃する間もなく倒されたのであった。


ロットの3番手は氷山ポケモンのレジアイスだった。対抗してカワニシはドリルポケモン・ニドキングを出した。
「……愚かな。氷のタイプを持つポケモンに、地面のタイプで挑もうとは」
「あんまり高をくくって欲しくないなあ。相性不利でも、逆転可能ってよう言うから」
氷山ポケモンは、相性が有利なのをいいことに、一撃で倒そうと吹雪を放った。
しかし、大きな体に似合わぬ反射神経をいかんなく発揮したドリルポケモンは、それをあっさりと回避し、反撃の炎を撒き散らす。あっという間に、レジアイスは瀕死寸前まで追い込まれた。
「ここまでやるとは。……こうなったら、……道連れにしてやるっ!!!」
「マズイ……!」
突如、レジアイスが光り出したのだ!それが何を指すか、分かったカワニシは急いで指示を発した。
「ニドキング、守れーっ!!!」
そのまま、爆風が一面にブワッと広がり、場の様子が分からなくなった。

モクモクとした煙が晴れ、そこにいたのは、

傷らしい傷を負ってはいないニドキングと、倒れこむレジアイスだった……!


ロットが4番目に出してきたのは、場を覆いつくしてしまいそうなくらい大きな浮きクジラ、ホエルオーだった。
(でか過ぎる……どう攻めようか……)
迷った末にカワニシが選んだのは、サンダースだった。

ポケモン最大級の大きさを誇る浮きクジラは、潮吹きを行い、小さな雷ポケモンを一瞬のうちに倒そうとした。水は容赦なく、その黄色い獣に当たった、かのように思えた。

しかし、そこにいたのは、怪獣のような、もふりとしたぬいぐるみ。
「まさか……」
とっさの回避だった。身代わりに騙されたともとれる。
本体はどこなのか、ロットが血眼になって探していると、突然、ホエルオーはものすごい量の電撃に当てられ、墜落していた。
探していたサンダースはホエルオーの背中に乗っていたのだ!
「ようやったな、サンダース!」
身代わりを行った影響で若干フラフラしていた雷ポケモンを、カワニシは優しく撫でてあげた。


こうなるとロットの方にも焦りが見えるのは明白だ。自分はあと2匹。対する青年は、まだ万全とは言い切れないが、6匹残している。
ここで老人が出したのは、赤の体を持つ夢幻ポケモンのラティアスだった。迷うことなく、青年は大ボスポケモンのドンカラスを場に送り出した。


さすが、大ボスというだけあって、プレッシャー特性を持っていないながらも、ドンカラスの威圧感はすごいものがあった。怯えの表情を見せるラティアス。
しかし、両者ともすぐに戦闘モードに切り替わり、攻撃に次ぐ攻撃の応酬を繰り広げることとなった。
竜の波動に悪の波動、ドラゴンクローに辻斬り。一旦間合いをとって瞑想に悪だくみ。トレーナーの指示なしで、激しく攻防が繰り返され、そして、

ヒュルルル、……ドシャ、

落下してきたのは、……夢幻ポケモンの方だった。


ロットの最後の1匹は、ラティアスと対になる存在の夢幻ポケモンのラティオスだった。
一方のカワニシは、最後のポケモンに、2枚貝ポケモン・パルシェンを据えた。
「こんな鈍重な貝が、幻のポケモンに勝てるはずはない!お前、勝負を捨てたか!」
「ナメんといてほしいねんけど。伝説とか関係ないで」
素早さで勝る青の竜は、破壊力満点の光・ラスターバージを繰り出す。さらに10万ボルトも追加する。
しかし、大量の棘を持つ2枚貝は殻を固く閉じることで強力な攻撃を受け切ったのだ!
そんなことが数度続き、夢幻ポケモンに疲労の色が見え始めたところで、パルシェンは反撃の狼煙を上げた!
「殻を破れ!!!」
すると、棘だらけの貝の薄皮にヒビが入り、パリーンという音とともに割れた!
そして、その薄皮が氷の針を形作り、
「連撃を決めろ!氷柱針!!!」
ラティオス目がけて大量に飛んでいった!
「フッ、氷柱針は一撃の攻撃力なんぞたかが知れている。そんなもので倒せると踏んだのか」
ロットはカワニシが殻を破るからの氷柱針のコンボを敢行した意味を知らなかったのかもしれなかった。
「おじいさん、タネを教えたろうか。殻を破ることで、結果的に守りは犠牲になったけど、攻撃と速さは一気に上がってん。ほんで、俺のパルシェンの特性は『スキルリンク』。氷柱針も最大回数ヒット可能や。これでもたかが知れているって言えるん!?」
「!!!!」
ロットの視界の片隅で、ラティオスが力なく墜落していくのが見えた……。


「わたしの完敗だ……この鍵を受け取ってくれないか」
ロットはカワニシに何かの鍵を手渡した。
「これ、は……」
「先に進むのに必要なものだ。向こうに見えるあのドアをこの鍵で開くと、勝負を終えたお前の仲間達と再会できる。6人揃ったなら、お前達が先に行かせたあの女と再会できるかもしれない」
「!!!!」
大事な情報を聞きとったカワニシはドアの元に向かい、施錠を解き、先を急いだ……。

七賢人完全撃破まで、あと、5人。


次に続く……。


マコです。いよいよバトル。
七賢人のポケモンのほとんどは、トレーナーから奪った希少なポケモン。
ですが、それを一般的なポケモンで打ち破る。
これはなんとも言えず、カッコイイです。
次に出る七賢人は誰でしょうね。
ヒントは……「しょあっ!!!」


  [No.572] 第5話 フルバトルその2 VSアスラ 投稿者:マコ   投稿日:2011/07/08(Fri) 12:35:16   43clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

先程とは打って変わって、うっそうと茂る森の中。
そこに入った青年、ハマイエは戦うべき老人がいないことに妙な疑問を抱いていた。
「七賢人とかいう奴……どこ行ってん……まさか、逃げた、とか……」
そんなことを言っていると、背後から大声がした。

「しょあっ!!!」

誰だって背後から大声を出されると驚くものだ。彼も例外なく驚く。なんなら、驚きすぎて膝から倒れたくらいだ。
「ハア、ハア、びっくりした……」
「驚きましたか!?我々に挑もうとする青年よ。……おっと、紹介が遅れましたね。わたしは七賢人が一人、アスラ。相手をこうして驚かせることで、心の隙を作るのですよ。その隙に日本という国を掌握しようとしたのですが……あなた方のように反逆する人がいますとはね。容赦なく叩き潰させていただきますよ!」
「とりあえず、お前みたいな卑怯な奴には負けるかあっ!!」
こうして、戦いの幕は上がった!


アスラが先発で出してきたのは、ジョウトという地方を駆け巡るポケモンのうちの1匹で、雷を司るライコウ。対して、ハマイエが出したのは大きく毒々しい色のメガムカデ、ペンドラーだった。
「スパークで鈍重な虫を仕留めてあげなさい!」
先に動いたのはいかずちポケモンの方だった。体に眩い電気を身に纏い、一直線にぶつかっていく。
しかし、アスラはペンドラーの素早さを確実に勘違いしていた。
このメガムカデ、大きな体を持っている割に素早い動きができるのが売りなのだ。決して鈍重ではない。むしろ、ライコウの足に追いつけそうなくらいだ。無論、スパークはあっさりと回避された。
「なっ!?」
「そろそろやな。嫌な音を思いっきり響かせろ!!」
ギュイイイイーーーン!!!
ものすごい音が響き、いかずちポケモンは動きを一瞬止めた。その隙を見計らって青年は指示を飛ばす。
「どくどくをかませ!!」
ムカデの口から紫色の液が飛び、しっかりと雷獣にかかった。苦しそうな表情を浮かべるライコウ。
それでも、攻撃は行う。放電によって広範囲に広がった電撃はムカデにヒットしていた。
しかし、猛毒は体を蝕んでいく。この場合、じわりじわりと、時間を経るごとに毒のダメージは倍加していくのだ。
「ここで決める!ペンドラー、ベノムショック!!」
指示が飛ぶやいなや、ムカデから特殊な毒液が振り掛けられる。それを、まともに食らってしまったいかずちポケモンは悶え苦しみ、とうとうノックアウトされた。
「ベノムショックがこんなに強いとは……」
「毒の状態をかけといたからな。威力が倍になってん」
「……まだ1匹目です。あなたをこれからいたぶってあげましょうか!!」


老人が出してきた2匹目はエンテイ。炎を司る、ジョウトを駆けるポケモンの1匹だ。一方の青年は、この世で最も美しいと称される慈しみポケモンのミロカロスを出した。
火山ポケモンは登場してすぐ、佇む海蛇に火炎放射を見舞った。
しかし、その炎は相性を含めた技の効果によってほとんど効果のないままに終わる。いつの間にか、辺りは水浸しになっていた。海蛇の体も、水で濡れて何とも言えず、美しくなっていた。
「水遊びで炎を緩めたというわけですね」
「そういうこと。ミロカロス、そこからアクアリングを!」
さらに慈しみポケモンの周囲に水の輪が出現する。火山ポケモンは攻め方を変えざるを得なかった。
「ならば、神通力!!」
不可視の念の力がごう、と巻き起こり、攻撃を行おうとした海蛇を怯ませる。それでも、ぷかぷかと浮かぶ水の輪は攻撃を受けるたびにミロカロスにさらなる体力を供給し続ける。もともとの防御に自信のあるミロカロスを、エンテイはなかなか打ち崩せない。
そして、ここまでじっと耐えていた海蛇から、容赦のない一撃が飛ぶこととなる。
「ハイドロポンプ!!!」
彼女の口から激しい水流が迸った!その水流はしっかり命中し、仮想空間の木々をバキボキと何本かなぎ倒しながらエンテイを吹き飛ばし、とうとうノックアウトにまで至った。


3匹目にアスラから出されたポケモンはスイクンだった。それを見て、ハマイエは新たなポケモンを出した。彼の一番のパートナー、エルフーンを。
「一撃のもとに沈めてあげましょう!オーロラビームを発射してあげなさい!」
「悪いけど、先に行かせてもらうわ。エルフーン、綿胞子!!」
風隠れポケモンの動きは速かった。オーロラポケモンが虹色の光をためる前に、もうすでに体の綿を膨らませ、其処ら中にばらまいたのだ!纏わりつく綿達にスイクンがやきもきしていると、今度は黄色い粉が降ってきた!それは痺れ粉だった。
イタズラ心の特性を持つ風隠れポケモンの、変化技をふんだんに使う攻めはトリッキーと言えよう。
さらに嘘泣きまで追加されたものだから、スイクンにとってはたまったものではない。
「くっ……こうなったら……吹雪を仕掛けなさい!」
突然、冷たい風がびょう、と吹いて、風隠れポケモンに襲い掛かってきたのだ!この時ばかりは避けきれなかったようで、ふわもこの綿が一部凍ってしまっていた。嘘泣きで特殊攻撃力を大幅に削いでいたことがラッキーだったようだ。
「ちっ……簡単には勝たせてくれへんわけか」
「そういうことです。もう一度吹雪でなぎ倒してあげなさい!!」
そのまま、先程より強い冷気がエルフーンに襲い掛かってきた、が……

大技でも、当たらないと意味がない。空しく回避されるに至った。
「今度は、こっちが……!エルフーン、エナジーボール!!!」
飛び上がった風隠れポケモンの周りに、無数の緑色の生命の力がめぐり、それらはすべてオーロラポケモンに命中したのだ!
スイクンはそのままバタリと倒れ、ノックアウトされた。


4匹目に老人の手によって出されたポケモンは、シンオウの大地を飛び回る三日月のポケモン・クレセリア。対して青年が送り出したのはとうじんポケモンのキリキザン。
先に動いたのはクレセリアだった。ここまでハマイエに変化技で散々苦しめられているアスラは、変化技の効果を避けたい、とばかりに神秘の守りと白い霧を繰り出す。
「じいさん、妨害だけが変化技やないってこと、教えたるわ。剣の舞を踊れ、キリキザン!」
白い霧は相手の能力降下技を躱せる技である。神秘の守りは状態異常を防ぐものだ。先のエルフーンになら、この戦法をとって勝てたかもしれない。
しかし、目の前にいるとうじんは、自分の能力を高めることで障壁を意に介さないものとしていた!攻撃力を高めた悪鋼のとうじんの前には、耐久力に優れているとされる三日月の幻のポケモンもただの無力な存在と化していた。
「辻斬り!!!」
黒いオーラを纏った刃はクレセリアを一閃し、その一撃のうちにノックアウトさせた。


5匹目にアスラが送り出したポケモンは筋骨ポケモンのローブシンだった。対して、ハマイエは独特な形状の鳥もどきポケモン・シンボラーを出した。
先に動いたのはシンボラーだった。星や宇宙の力をその身に与えるコスモパワーを行い、光に包まれつつ守りを重ねることにしたのだ。それに対し、両手にコンクリートの太い柱を持つ筋骨ポケモンは、高い集中力から放たれた気合いパンチで鳥もどきを打ち据えた!
しかし、格闘のダメージは相性によってかなり軽減された上、宇宙の守護によってさらにダメージを抑えられる結果になったため、攻撃の割にはシンボラーはピンピンしていた。
それを見たアスラは次の指示を飛ばす。
「ストーンエッジで浮かぶ鳥を落としてしまいなさい!」
「させるか!サイコキネシスで押し返せ!」
鋭い石のかけらは、次から次へと鳥もどきに向かっていくが、それらはピタリとストップし、逆にローブシンを襲う結果となった。さらに波及していく念動力に、さすがの筋骨ポケモンも白旗を上げざるを得なかった。


アスラが最後に出してきたのは、怠けてしまってはいるものの強力なパワーをその身に秘めているケッキング。一方のハマイエは、最後を託すポケモンとして、手掴みポケモンのヨノワールを出した。
「あなたが幽霊のポケモンを出した時点であなたは負けるのですよ」
「何でそう言い切っとんねん」
「だって、あなたは幽霊に指示を出せないという心の弱さを持っているのですからね」
「……お前が、いつの話をしとるんか知らんけど、俺はお前が言う通りの奴やないからな!!」
ここで先に動いたのはものぐさポケモンの方であった。隠し持っていた大きな球体をドスッという音とともに投げつけてきたのだ!「投げつける」によってヨノワールに降ってきたものは黒い鉄球。人間がまともに食らったら気絶してしまうだろう。
攻撃を終えて、特性の効果でだらりと怠けているケッキングに向かって、ヨノワールはある技を発した。それは……

「ヨノワール、呪いを使え!」
指示するなり太い釘がグサグサと、何本も手掴みポケモンに突き刺さるではないか!
「自分を傷つけるだけの技を、何故簡単に行える?」
「それだけの技と思うな!!こっちだって考えとんねん!!」
ハマイエの言葉に、アスラがケッキングの方を向いてみると、ケッキングは、

苦しそうに荒げた息を発していた……!!

「ここで鬼火を出してくれ!」
苦しみに悶えるものぐさポケモンに追い打ちをかけるが如く、怪しい炎がふわりふわりと舞い、そして燃やした。火傷と呪いのダブルパンチが容赦なくケッキングを追い詰める。さらに攻め手を緩めぬハマイエ。だいぶ弱ってきたところを見て最後になるであろう指示を飛ばした。
「ヨノワール、ここで決めるで!気合い玉!!!」
橙色のフルパワーの塊がものぐさポケモンを覆い尽くした……!!


「わたしはあなたの心の隙を作ろうとしましたが、むしろわたしがあなたに心の隙を見せてしまったようですね……わたしの負けです。これを受け取りなさい」
ハマイエはアスラから、勝利の証となる鍵を受け取った。
「こいつでどこの鍵を開けるん?」
「あなたの目の前のドアです。……あなたは強かった……さあ、先へ行きなさい!」
アスラに送り出され、ハマイエは扉の施錠を外し、先へと進んだ……!

七賢人完全撃破まで、あと、4人。

次へ続く……。


マコです。
変化技をふんだんに使ってのバトル。
猛攻撃型の自分にとっては羨ましい限りです。
二人目の七賢人も撃破です!
次回の七賢人のヒントは……「海内存知己 天涯若比隣」。
読み方と意味も次回、一緒に出します!


  [No.582] 第6話 フルバトルその3 VSジャロ 投稿者:マコ   投稿日:2011/07/12(Tue) 18:41:14   55clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

また別の部屋では、川が流れ、大きな滝もいくつかあった。そこに、老人と青年がいた。
「青年よ、そなたはこの言葉を知っているか」
そこにいた老人、ジャロは、青年、キザキに言った。
「海内存知己 天涯若比隣(かいだいちきをそんすれば てんがいもひりんのごとし)という言葉を」
「え……すみません、知りません……」
「これは初唐の詩人、王勃(おうぼつ)の詩《送杜少府之任蜀州(としょうふのにんに しょくしゅうにゆくをおくる)》の一節だ。この世界に自分を理解してくれる者がいれば、天の果て、地の果てと離れていようとも、隣にいるようなものである、という意味。そなたはあの女のことをそう思うが故に、先を急がせたということか」
「俺は、あの子なら、あんたらを止められると踏んだんよ。あんたらが思うより、信頼は強いと思うわ。もちろん、あんたらの仲間の人と戦っている先輩方も同じ気持ちやろうと思いますけどね」
確信を持って、そう言い切ったキザキ。
「そう、か。では、そなたをわたしが思い切りひねり潰してあげようではないか」
「ひねり潰されるのはあんたやっ!!!」
こうして、バトルの幕は上がった!


老人が先発で出したのは、シンオウでは「感情の神」として崇められている感情ポケモン・エムリット。対して、青年が出してきたのは鍵爪ポケモンのマニューラ。進化前のニューラと大きさはそう変わらないが、体から溢れる威圧感が桁違いだ。それでも、感情ポケモンは怯えたのも最初のうちだけであり、すぐに平常心となっていた。そこ辺りは希少なポケモンといえる所以だろう。
先に動いたのはマニューラ。しかし攻撃ではなく、あくまでも準備態勢といった感じで、爪とぎを行っていた。シャッ、シャッという音だけが不気味に響く。そうやって研がれた爪で、切り裂いていく準備は万端のようだ。対して、エムリットの方も攻撃は行わず、何やら祈りを捧げていた。すると光が一筋、感情ポケモンのもとへ降りてきて、包み込んだ。守護のおまじないのようだ。
「そなたは慎重に行くつもりなのだな」
「そっちこそ。やけど、そろそろこっちも行かせてもらおうかな!マニューラ、氷の礫を出してやれ!!」
鍵爪ポケモンの手から生み出された尖った氷の欠片達は、意思を持ったように一斉に感情ポケモンへと降りかかっていった。が、
「神通力!!」
不可視の念の力がたくさんの氷を粉砕し、相殺したのだ。
「そうきたか……」
「そなたの悪のポケモンに対し、わたしの方はエスパー。ダメージを与えられるわけではないが……相殺くらいなら簡単だ!」
バッサリと断言したジャロ。その様子を見て、キザキは少し悩んだ。
「うーん、……あんまり使いたくはないけど……、しゃあない、使うしかない!!」
少し悩んだ末に発した指示は、
「袋叩き!!!」

ヒュバババッ!!!
指示をした直後だった。青年の腰についていたマニューラ以外のボールから、他の5匹のポケモンが出現し、エムリットに一斉に殴りかかるではないか!もっともその中には、手と呼べるものがないポケモンもいたが。
そして、鍵爪ポケモン以外が自分のいたボールに帰るころには、かなりの打撃を受けて力なく墜落してしまったエムリットがいた……!
その技は第三者から見ると卑怯に見えるかもしれないが、立派な技なのだ。ただ、使う人が使ってもよいものか、と少々悩んでしまうこともあるようだ。


ジャロが2匹目として出したのは、シンオウでは「知識の神」といわれる知識ポケモンのユクシーだった。一方、キザキが出したのは「砂漠の精霊」といわれる虫のような竜のフライゴン。
「せっかく地震という大技を持っているのに、これでは勿体ない。とんだ判断ミスだな」
「……俺もナメられとるもんやなあ。悪いけど、地震だけがコイツの得意技ちゃうからな」
ポケモン達が技を出す前から、トレーナー側が口論になっていた。


そうして、先に動いたのはフライゴンであった。翼をはためかせ、辺りに砂を巻き起こす。精霊ポケモンには平気なこの環境も、ユクシーにはいささか酷な状況だ。
それでも、何とか堪え続けることで、緑の地竜から容赦なく吐き続けられるブレス(竜の息吹)攻撃を凌いでいた。
そして、砂が晴れ、ようやく視界が開けた頃、知識ポケモンに異変が起こっていた。
「ユクシー、置き土産で次につなげなさい……!?何故動かない!?」
何と、ビリビリ震え、動きが鈍っていたのだ!
「麻痺の追加効果やな。竜の息吹をあれだけ食らったらそうもなるもんな」
「……マズイ!ユクシー、眠りなさ……」
指示を放とうとしたジャロだったが、一歩遅かった。
「噛み砕くを使え!」
回復に入る前に攻撃を行ったフライゴンのスピードが勝ったようだ。


ジャロの3匹目は「意志の神」といわれるアグノムだった。キザキは先程頑張ったフライゴンを戻し、ムウマが闇の石の力で進化したマジカルポケモン・ムウマージを出した。
先に動いたアグノムが集中している隙を突き、ムウマージは影でできた球体、シャドーボールをいくつも当てていった。
しかし、ちょうど、その時!

念の力がぐわん、と巻き起こり、マジカルポケモンを吹き飛ばしたのだ!その様子に、青年は唖然としていた。
「今……何が起こったん!?」
「悪だくみを最大限まで積んだ神通力だ。大抵のポケモンはそれで一捻りだが……しぶといな。まだ戦おうとするのか」
ムウマージは何とかふわりと浮いてはいたが、かなり限界が近かった。
「まあいい、もう一度、神通力で今度こそ倒す!」
「……ムウマージ!『アレ』を使えーっ!!!」
ほどなくして、強力な念の力が幽霊を直撃した、が、その瞬間にマジカルポケモンの体が青白く光った!そして、次の瞬間には、

2匹のポケモンが同時に墜落していたのだ……!

「今、何を行った?」
「攻撃の瞬間に『道連れ』を使わせてもらった。一方的に倒されるくらいなら、相討ちの方がまだええからな。……ムウマージ、よう頑張った」
攻撃力の上昇したアグノムに対し、ムウマージは執念でドローに持ち込んだ。


老人の4匹目はトルネロス。イッシュでは暴風雨を巻き起こすポケモンとして知られる。一方、青年はレアコイルが磁場の影響を強く受けて進化したポケモン、ジバコイルを出した。
その瞬間にジャロが苦虫を噛み潰した表情になっていた。有効打がないことを自覚したのかもしれない。それでも、イタズラ心で先に動き、何とかして自分の得意なフィールドである雨の状況を雨乞いによって作りだした。先程のフライゴンと同じ手である。精霊ポケモンとの決定的な違いは、雨にダメージを与える性能はないということだ。
しかし、雨を呼び起こすことは、磁場ポケモンにも有利となっていたことに、ジャロは気付いていなかった。
「これなら、一撃打てる。ジバコイル、雷!!」
雨には雷を必中にさせる効果もあった。太い光がきらめき、旋風ポケモンはフラフラになっていた。そこに追い打ちをかけるように先とは異なる鋼の力を持った光、ラスターカノンが炸裂し、とうとう風神は倒された。


5匹目にジャロが出してきたのはでかいトンボのようなポケモン、メガヤンマだった。ヤンヤンマが原始の力を得て進化した姿である。それに対してキザキは4個の翼をもつ蝙蝠、クロバットを出した。
まず先に動き出したのは紫の蝙蝠の方であった。すうっ、と近づき、猛毒を帯びた牙を楔のように打ち込んだ!強烈な毒にオニトンボはのたうちまわり、加速して引き剥がそうとするが、簡単に離れてはくれない。原始の力を至近距離で当てたことで何とか剥がれてくれたが、予想以上の弱りっぷりにジャロは頭を抱えていた。
しかも猛毒なので、動き回るごとに毒がハイスピードで回って行く。加速による速さで立ち回るこのポケモンなだけに、とてつもなく痛い攻撃だった。
風の刃、エアスラッシュを打って怯みを狙っても、蝙蝠には怯みを無効化する特性、精神力がある。毒で弱ったところに、逆にエアスラッシュを食らってしまい、メガヤンマはノックアウトされた。


老人が出した最後のポケモンは、昔に使われた銅鐸の形をしたドータクン。耐久力が持ち味である。対して、青年が最後に送り出したのは、自らのパートナー、ダイケンキ。
銅鐸の動きが遅いのを見て、先に動いたのはダイケンキの方だった。
「水の波動!」
貫禄ポケモンから出された水は、銅鐸に当たった途端に響いた。衝撃によって混乱するかもしれない攻撃をドータクンが食らったわけだが、見たところピンピンしていた。
そして、ようやく動いた銅鐸が繰り出した技はこれだったのだ!

「トリックルーム」

銅鐸が何やら力を発すると、周りにたくさんのパネルが浮かんだようになっていた。それと同時に、貫禄ポケモンの動きが目に見えて遅くなっていた!
「そなたはすばしっこそうなポケモンをたくさん持っておるようだな。しかし、それもこの技の前では無力だ。ここの空間では遅いポケモンが速く、逆に速いポケモンが遅くなってしまうのだからな!」
神通力がバシバシとダイケンキに当たってしまう。
「これでおしまいだ!神通力……!?何故速く動ける!?」
トリックルーム内での速さを活かし、先制で神通力を決めようとしたドータクンだったが、何とそれよりも速く水をまとったダイケンキに激突されてしまったのだ!
「そなた、今、何をした!?」
「トリックルームでも先制技は先制技やねん。アクアジェットで攻撃したってわけ。いつまでもあんたの思い通りになるって思うな!」
さらに、トリックルームの時間切れが起こり、お互いが元の速さに戻ってしまった!
「こんな……生意気なガキに……」
「とどめや!ハイドロカノン!!!」
トリックルーム内で散々痛めつけられた貫禄ポケモンから、特性の効果でもっと強力になった水の究極技が発動され、銅鐸を弾き飛ばしていった!!!


「わたしに恐れずに立ち向かうとは。大したものよ」
キザキはジャロから、勝利の印となる鍵を受け取った。
「それでも、あんたはなかなか強かったで。……やったことは許せへんけど」
「そなたらが行動を起こせば、世界だって変えられるはずだ。さあ先へ進み、行動を起こせ、若き者よ!」
施錠されたドアを開き、キザキは先を急いだ……!

七賢人完全撃破まで、あと、3人。

次へ続く……。



マコです。
ちょうど折り返し地点の3人目。
道連れとか、自分ではなかなか使わないような技も、小説内なら結構、登場人物が使いますね。
漢詩は必死に調べました。高校では確か習わなかったような……。
とにかく、これで半分撃破です!
次に登場する七賢人。ヒントは……
コンテナの中でブルブル震えていた人です!


  [No.584] 第7話 フルバトルその4 VSヴィオ 投稿者:マコ   投稿日:2011/07/15(Fri) 14:02:56   55clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

これまた別の部屋では、氷のブロックがいくつも置かれてあって、明らかに寒そうな場所であった。そこに、老人と青年が一人ずついた。
「……呼吸をしている、心臓が鼓動を刻んでいる。それは生命として、ただ存在している、それだけのこと。ワタシは、それだけでは生きているとの感覚が得られぬ。楽しくても、苦しくても、生きているという実感は重要なのだ」
「それじゃあ、普通の所にいても生きている実感はないってわけなんや」
青年、トキのこの言葉に、老人、ヴィオはこう返した。
「ワタシは、その実感を得るために、わざとこのような過酷な場所に身を置いている。……オマエにはこのことの素晴らしさが分からないだろうな」
「……」
「まあ、ワタシのこんな下らない話に付き合ってくれたのだ。ここから先にオマエを通すわけにはいかない!」
「やったら、俺はお前を突破してやるっ!!!」
戦いは始まったのだ!


老人が最初に出してきたのは、カントーでは伝説の3匹の鳥ポケモンとして知られるうちの1匹、ファイヤーだった。対して、青年は大きな牙を持つ氷割りポケモン、トドゼルガを出した。
見た目通りというか、何というか、先に動いたのは火の鳥の方で、眩い光を放ちながら室内に光球を出現させた。日本晴れである。
この光球によって炎の技の威力が上がるわけなのだが、怖いのはそれだけではなかった。
「トドゼルガ、波乗り!」
大きな氷割りポケモンが大波を出現させ、弱点の技で火の鳥を飲み込んだわけだが、
「……そこまで効いてへん!?」
天候効果で、水の技の威力が下がってしまっていたのだ。よって、弱点を突くことには突けるのだが、思うようにダメージが上乗せできない。逆に溜めなしのソーラービームを食らってしまい、劣勢であった。
「こんなくらいではワタシを倒すことなんて夢のまた夢ですよ!」
「……それはどうやろうか?」
「何故そんなに自信に満ちた表情をしている!?……!!」
何と、ダメージを食らいつつも、トドゼルガはファイヤーに近づいてしがみつき、重量通りのパワーで地面にたたき伏せているではないか!
「なっ……嘘だ!」
「至近距離で絶対零度!!!」
命中率がいくら低い技と言えど、かなり近い距離から放たれると回避も厳しいものである。間近で必殺の一撃を食らうと、いくら伝説とか幻のポケモンの類でもノックアウトされてしまうだろう。例に漏れず、ファイヤーは氷の一撃技の前に地に伏した。


ヴィオが2匹目に出してきたのはギガイアス。見た目と特性、両方の面からして、いかにも頑丈そうなポケモンである。一方、トキはまだ日本晴れの影響が続いていることを考え、トロピウスを送り出した。
普段は若干ゆっくりとした印象が否めないフルーツポケモンだが、天気が晴れている今、一気に活発になった。葉緑素の特性が発動しているのだ!
そして、晴れの天候での草ポケモンの常套手段である、溜め動作なしのソーラービームを高圧ポケモンに食らわせたのだ!
それが当たった瞬間に、ドオオオン!!!という激しい音と光が発せられ、高圧ポケモンは倒されたかに思われた。
「いったか?」
「まだ甘いぞ、青年よ!」
「……!!?」
大ダメージを与えたのは紛れもない事実だ。しかし、ギガイアスの怖い所は、その特性にあった。体力が満タンである限りは、どんなに強力な攻撃を食らおうとも、突っ張りなどの連撃を食らわなければ絶対ギリギリのところで持ちこたえるのだ!
「分かったか、甘いという意味が!ギガイアス、大爆発!」
「避けろトロピウス!!」
広がった爆風に多少巻き込まれながらも、フルーツポケモンは何とかノックアウトされずに済んだのである。ここでちょうど、光球が消滅し、もとの寒い環境に戻った。


老人が3匹目に出したのは他人を化かすことで有名な化け狐ポケモンだった。だが、特性を使わずにストレートに出してくることに、裏のようなものを感じたくもなる。出されたポケモンを見て、少々考えたのちに、青年は武術ポケモン、コジョンドを出した。
お互い攻撃力は高そうで、防御力は逆に低そうだった。なので、短期決戦になるだろうというのを、トキは薄々感じていた。
(ここは、先に行かんと負ける!)
「コジョンド、猫騙し!」
パチン、という音とともに、ゾロアークの動きが止まる。そこに青白い球体がいくつも降りかかる。波導弾だった。それに負けじと高速移動で化け狐は紫のオコジョに接近し、辻斬りを食らわす。しかし、接近戦は格闘のポケモンのテリトリー。拳を狐の体に当てたオコジョは相手の体内にある「気」を吸収していき、化け狐ポケモンを倒すに至った。ドレインパンチの効果は、草ポケモンの吸い取り系統の技同様、恐ろしいものであった。


4匹目にヴィオが出してきたのは、カントーの雷の鳥、サンダーだった。一方、トキは青い鮫のような砂竜のガブリアスを繰り出した。
「この状態だと、最大の武器である地震が使えないことも知らぬのか。愚かな者よ」
「分かっとるわそんなこと!地震以外にも使える技はあんねん!ナメんな!!」
先に動き出したマッハポケモンは、強靭なジャンプ力をもってサンダーに近づき、腕のヒレを硬質化させた刃で真一文字に相手を切り裂いたのである。ドラゴンクローの炸裂であった。
しかし電撃ポケモンが黙っているはずもなく、氷の力を持った目覚めるパワーで反撃する。砂竜は氷4倍の弱点を突かれ、さらに氷が腕を覆う格好になってしまった。
「どうした。もう降参か?」
「そんなんするかっ!!!腕に火炎放射をして氷を融かせ!」
ガブリアスならば、自分に火を当ててもそう堪えない。炎で氷を融解し、そして、
「逆鱗を使え!」
とんでもないオーラに包まれたかと思うと、一瞬にして、本当に音速に近いスピードでサンダーに接近し、数十発もの打撃を食らわせた。ドラゴン物理技最強クラスの攻撃をもろに食らった雷鳥は、ボロボロの状態で墜落していった。


ヴィオの5匹目はフワライド。気球のようにふわりと浮いている。先程の逆鱗のマイナス効果で混乱を起こしているガブリアスを戻したトキは、次のポケモンとして電気の獅子、レントラーを出した。
眼光ポケモンはその凛々しい姿から、相手の士気を減退させる雄叫びを発した。気球が少しだけ、びくんと動いたのは、気のせいではないだろう。
しかし先に動いたのは、先程驚いてしまった気球の方だ。人の指の腹くらいの大きさまで体を小さくし、そこから怪しい風を吹き起こす。
「レントラー、ここは電撃波で確実に行け!」
その作戦は当たった。いくら回避に自信のある小さな状態でも、必中技は必中技なのだ。たまらず元の大きさに戻る気球ポケモンに、追撃とばかりに氷の牙を食らわす。
ガチゴチに固まったところで10万ボルトを行った、の、だが。

ズドーン!!!

かなりの音が鳴り響いた。見ると、凍っていたはずなのにフワライドはレントラーに接近して、死に際の誘爆を炸裂させていたのだ!
「嘘やろ……10万ボルトは接近技ちゃうのに……」
「倒れ際に至近距離まで近づいておけば、誘爆は発動できるからな。……しかし倒すまではいかぬか。しぶといものよ」


とはいえ、ヴィオはもう後がなくなっていた。次が最後の1匹。その局面で出してきたのは、カントーの氷の鳥、フリーザーだった。そして、最後にトキが出したのは、彼のパートナーである誘いポケモン、シャンデラ。
ここでヴィオは、とんでもない指示を行ったのである!
「この部屋全体に絶対零度」
指示するなり、猛烈な冷風が部屋中を駆け巡っていく!!幸い、シャンデラに当たることはなかったものの、二人の足場はみるみるうちに凍っていった。
「お前、何してんねん!そんなことしたらお前も」
「ワタシにとってはこれが生きているという実感を得られる証拠!これでポケモンとオマエを揃って倒し、そしてオマエの亡骸からポケモン達を解放してみせるっ!!!」
自分が最も力を発揮できるというこの環境で、とてつもなく残酷な野望を語るヴィオ。追い詰められたことで本性がむき出しになったのかもしれない。とにかく、こんな場所に長時間いては、凍傷でボロボロになってしまいそうだ。ポケモンはともかく、人間が。
「シャンデラ、俺の足元の氷を融かしてくれ。焼かない程度で」
それでも、傷の具合はまだツイていた方かもしれない。そうひどい凍傷ではなかった。勝負が済んで温めれば何とかなりそうなレベルだ。
「フリーザー、生意気な奴に冷凍ビームを食らわせろ!」
ただ、相手の冷凍ポケモンが明らかに人間に向けてのダイレクトアタックを仕掛けてきており、非常に危険な状況に変わりはなかった。公式戦では卑怯・危険行為で失格になりかねないが、今目の前にしている相手は七賢人。こんなことザラにしてくる。
そして、冷凍ポケモンが幾度目かの冷凍ビームを出してきたときに、シャンデラが一撃必殺の反撃を試みたのである!
「シャンデラ、オーバーヒート!!!」
もともと特殊攻撃力の強い誘いの霊灯は、自分の持つフルパワーを超高温の炎に込め、それを発射した!
その炎は、伝説のポケモンの発した氷でさえも赤子同然に呑み込み、そのまま直撃し、冷凍ポケモンを落下させたのだ……!!


「ワタシはオマエにとんでもないことをしようとしていたようだな……反省が必要だ……」
「……反省のレベルを飛び越えてもうてる気がすんねんけど」
部屋にあった氷のブロックは先程の高熱の塊ですべて融けてしまった。その空間の中で、ヴィオはトキに勝利の証である鍵を手渡していた。
「オマエは、ワタシのような卑怯な男にだけはなるな!さあ、先へ急ぐがいい!!」
トキは施錠されていたドアを開き、先へ進んでいった……!

七賢人完全撃破まで、あと、2人。

次へ続く……。


マコです。
自分のゲーム中のバトルスタイルはこんな感じです。ひたすら攻撃しまくるんです。
実際のバトルではダイレクトアタックは禁止ですよ!
さて、いよいよフルバトルも終盤戦です。
次に登場する七賢人、ヒントは……
ウルガモスをゲーチスに献上しようとした人!
ちなみに、あの「セリフがおかしい下っ端」も出てきます!


  [No.666] 第8話 フルバトルその5 VSリョクシ 投稿者:マコ   投稿日:2011/08/27(Sat) 17:40:53   52clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

ここは仮想空間の中の砂上の楼閣。そこにいた青年、アキヤマの目の前に、プラズマ団の下っ端が1人、立ち塞がっていた。
「この反逆者め、お前をこれ以上先に通すわけにはいかねえんだよ!」
「……何言うとんねん、お前。そっちの方が邪魔やねんけど」
「うるせえ!!もう話が通じねえみてえだな!叩き潰してやるから覚悟しやがれ!!」
そう言うなり、そいつは真っ赤なワニ型の威嚇ポケモンを繰り出してきた!!
「よし、ワルビアル、地震……!?」
下っ端は指示を出そうとしたが、その前に勝負がついていた。ワルビアルが地震を繰り出す前に、ジャローダのリーフブレードによって倒されていたわけだ。目を回している威嚇ポケモンの上で、ロイヤルポケモンはフン、と鼻を鳴らしていた。
「指示が届く前に倒したったからなあ。それはそうと……、お前、他のポケモン持っとんの?」
アキヤマがそう言うと、下っ端の顔色が蒼白になっていき、そして、真っ青な彼はこう言い放ったのだ!
「うわーっ、弱い俺のバカバカバカ!もひとつおまけにバカ!可愛く言ってアンポンタン!!」
アキヤマは呆然としていた。ジャローダも驚きを隠せない。
「そんじゃ、俺はこれで……」
「おい待てこら」
その隙に逃げようとした下っ端であったが、ジャローダが伸ばした蔓のムチによって捕縛され、アキヤマの所に連れてこられた。
「七賢人の場所を吐く前に逃げるとは、お前ええ度胸しとんなあ……」
「ひいい、すみませんすみません!!これではリョクシ様に申し訳がたちませ……」
その時だった。老人が1人、いつの間にか姿を見せていた。
「リョ、リョクシ様!こいつが反逆者です!」
下っ端はアキヤマを指してこう言うが、リョクシというその老人は聞く耳を持たなかった。
「……その前に話すべきことがあろう。お前がそこの男に負けたということを」
「……すみませんでした!!!」
下っ端はすぐに土下座していた。老人はその様子を横目でちら、と見て、青年に言う。
「わしの部下が見苦しいことをしたな……、青年よ、わしはお前に、きっと負けるだろう。だが、それでも真剣にお手合わせ願いたい。良いか?」
「……?良い、ですけど……」
七賢人の口からそのような言葉が出るとは、意外でしかない。しかし、人として、そんな決意を述べられた以上は、それに応えてあげないと失礼なものだ。


リョクシがトップバッターとして出したのは、イッシュで非常に珍しいポケモンとされているてっしんポケモン・コバルオンだった。それに対し、アキヤマはゴルーグを出した。それを見た瞬間、リョクシは若干顔をしかめた。ゴルーグには格闘技が通用しないからだ!
しかし、すぐに考えを切り替えたリョクシは、コバルオンに鋼の頭による頭突き、アイアンヘッドを指示した。動きが若干鈍重なゴーレムポケモンに、着実にダメージを積算させていく。
それでも、ゴルーグも負けじと地震を放つ。重量感あふれる巨体から放たれる揺れは、てっしんポケモンが思わず、膝をついてしまうくらいだ。そして、その隙を見逃すまい、と、アキヤマは指示を飛ばした。
「アームハンマー!!!」
ゴーレムポケモンが腕を振り下ろすドッスーン!!という音とともに、コバルオンは力なく倒れていた。


次いで老人が出したのは、コバルオンと同系列で語られる草原ポケモンのビリジオン。青年はそれを見て、ヘルガーを出した。
お互い弱点を突くことができるが、ビリジオンの特性、正義の心によって悪タイプの技は相手を強化してしまうために、ヘルガーは主に炎で攻める他なかった。
そして、ビリジオンと比較すると小柄なヘルガーは、最初に素早く小さな炎を繰り出していた。
それは、鬼火だった。
ダメージを与えるほどの技ではないが、しつこくまとわりつき、草原ポケモンの体に火傷を重ねていく。草原ポケモンが、ダークポケモンの弱点である格闘の物理技である聖なる剣を繰り出しても、攻撃力の落ちたそのツノではまともな傷を与えられるはずがなかった。逆に火炎放射の波状攻撃を食らったビリジオンは、ほぼなすすべなく倒れた。


3匹目としてリョクシが出したのは炎の蛾、ウルガモスであった。羽から炎の粉がいくつもこぼれ落ちるほど、火の蛾は威勢が良いらしい。一方、アキヤマが送り込んだのはエルレイド。礼儀正しいこのポケモンは相手に向かって一礼すると、戦闘態勢に入った。
刃ポケモンは心の刃を具現化して相手に叩きこむサイコカッターでウルガモスを攻める。
一方の太陽ポケモンは、それを甘んじて受けつつも、蝶の舞で速さと、さらなる攻撃力を得ていた。
「攻撃するたびに強くなる炎の力を受けてみろ、炎の舞!!」
先程の蝶の舞は「補助の踊り」であるが、こちらの舞は「攻めの踊り」だ。踊るたびに炎が宙を舞い、刃ポケモンに降り注ぎ、いくつかの炎は太陽ポケモンに還り、また強くなる。
脅威でしかないその攻撃ではあったが、太陽ポケモンが見せた一瞬の油断を、刃ポケモンは見逃さなかった。アキヤマの指示が飛ぶ。
「ストーンエッジをぶち込めっ!!!」
一撃に力を込め、尖った石をぶつけていったのだ!この攻撃には、いくら強い炎の蛾といえど、白旗を挙げざるを得なかった。ウルガモスにとって、岩の属性は最大の弱点、というわけだからだ。


リョクシが繰り出した4匹目はギャラドスであった。攻撃力が高く、手懐けることが難しいポケモンとしても知られる。それに対し、アキヤマが出したのはライトポケモン・デンリュウであった。
両者出揃ったところで、凶暴ポケモンはライトポケモンの戦意を削ぐ咆哮を発した。威嚇の特性効果である。さらに竜の舞まで踊っていた。
しかし、このデンリュウは結構図太い精神の持ち主なのかもしれなかった。咆哮を意に介さず、電気を含ませた綿を発射する。進化前のメリープやモココは体表に綿があるため、そこから生み出されていると分かるが、デンリュウのどこに綿の産生器官があるのかは分からない。そんな、どこから出したかも分からない綿は、ギャラドスにしっかり貼りつく。
さらに、綿に含まれた電気が水・飛行タイプの凶暴ポケモンにかなりのダメージを負わせていたのだ!
そんな大ダメージを受けながらも、竜の舞によって強化された、水を纏った尻尾によるアクアテールをデンリュウに食らわす。
2撃目のアクアテールを凶暴ポケモンが撃ち込もうとしたその時だった。

ギャラドスの周囲に、キラキラ光る宝石が舞っていた。リョクシは思わず、何事か、と注視していると、
「パワージェム!!」
宝石は意思を持って凶暴ポケモンに襲いかかり、ノックアウトさせていた。
「そんな技まで使うとは、大したものよ」
「この技は相手の不意を突けそうやからな。意外なとこからの攻め、という分にはええかな」


老人の手持ちは後2匹。そのうちの1匹、ノクタスを出してきた。青年はそれに対し、エンペルトを出す。
3本の伸びたツノが王者の風格を醸し出している皇帝ポケモンは、カカシ草ポケモンに向かって冷凍ビームを発射する。普通の攻撃より早くその攻撃はノクタスに到達し、腕の一部を凍らせていた。
「これはすごい威力。それならば……砂嵐を起こせ!」
カカシ草ポケモンを中心として、砂がフィールドを覆った。砂隠れの特性を持つノクタスにも、鋼タイプを持つエンペルトにも、砂嵐によるダメージはないが、厄介な砂隠れの効果が発動し、カカシ草の回避の力が上昇していた。
これをチャンス、とばかりに攻め立てるノクタス。ニードルアームやリベンジといった技を食らわせていく。
それらの攻撃に、エンペルトは耐えていた。
「反撃をしてこない、とは……何を考えているのか?」
「よし、そろそろ……やな。エンペルト、我慢を解放!」
「そういうことか!!!」
今まで食らったダメージを解放とともに倍返しにする我慢のパワーにより、ノクタスは大ダメージを受けて吹き飛ばされていった。そして、そこに、エンペルトの嘴が回転しつつ直撃していた。我慢とドリル嘴によって、ノクタスも倒された。


最後にリョクシが出したのは、コバルオンやビリジオンと同系列の岩窟ポケモン、テラキオンであった。一方、アキヤマが最後に出したのは、彼のパートナーで、下っ端戦では一瞬で勝利を収めたジャローダだった。
岩窟ポケモンは登場するなり岩雪崩を撒き散らしていた。しかし、ロイヤルポケモンも負けてはおらず、次々降る岩をリーフブレードで壊しつつ、逆にテラキオンの周囲に種を蒔いていた。これをテラキオンが踏んだ瞬間、種が萌芽し、複雑に絡みついていった。
そこから奪った体力は、ジャローダのものとなっていく。
「刺激を与えることで発芽する種を蒔いたのか」
「鋭いですね。ただ発芽するだけやと、何もおもろくないですから」
ストーンエッジがロイヤルポケモンを掠めるが、その度に草の締め付けが強くなり、ジャローダの傷を癒していく。テラキオンがやっとの思いで締め付ける宿り木を引きちぎったところで、ロイヤルポケモンは、大技の準備を整えていた。
「食らえーっ、ハードプラント!!!」
アキヤマの指示とともに、大きく太い根っこが岩窟ポケモンを飲み込んでいった……。


「あ……あ……リョクシ様が……負ける……なんて……」
下っ端はかなり泣きじゃくっていた。今の光景が信じられないのだろう。
「わしの全力を超えるものを見させてもらった。ありがとうよ」
「いいえ、でも、あなたも強かったです。正直、敵味方っていう状況を無視しても、俺はあなたのことをすごいって思いました」
リョクシはアキヤマに鍵を渡し、そして言った。
「お前の仲間達はきっと優勢に事を運んでいるように思う。しかし……スムラと当たった者は……負けを覚悟した方が良いかもしれん」
「それは……何故?」
「奴はとにかく、卑劣であるからだ。対峙する者が強ければ強いほど、奴に倒されやすい。事実、そのようになって、ギロチンで処刑された者を、わしは何人も見てきた。……大切な仲間を失うことになってしまうかもしれんぞ?」
「……誰と当たるとしても、誰が当たるにしても、俺らは誰も失いたくないんです。……負けないと、信じているんです」
アキヤマは、そう、しっかりと言い切った。そして、扉を開き、先を急いだ……。

七賢人完全撃破まで、あと、1人。

次へ続く……。



マコです。お久しぶりです。約1か月振りの更新です。
無事に試験も済み、合格も無事にもらえました。
さて、本編です。
七賢人に1人くらい、こういう考えの人がいてもいいと思います。
さて、いよいよ次回、七賢人編ラストです。
リョクシが言っていたスムラがラストの七賢人です。
これは……スムラと戦うあの人がヤバい目に遭ってしまうかもしれません……。


  [No.684] 第9話 フルバトルその6 VSスムラ 投稿者:マコ   投稿日:2011/09/01(Thu) 11:44:30   53clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

仮想空間内にある洞窟に、オオバヤシはいた。この洞窟は、電気の力が働いており、岩も浮遊していた。視界も利く。そして、彼の前に、男女の下っ端プラズマ団がいた。
「プラーズマー!来たな反逆者め!ここがお前の墓場だ!」
「私達とのダブルバトルに勝ったなら、ここを通してあげる。言っておくけど、私達手強いからね!あんたなんか足下にも及ばないくらいよ!」
(自分で手強いとか言う奴は大体弱いねん)
「分かったわ、相手になったる」
トレーナー1VS2という、変則的なダブルバトルだ。下っ端の方は、警戒ポケモンとゴミ捨て場ポケモンを、それぞれ出してきた。
「ミルホッグ、お先にどうぞ!ダストダスに順番を渡すわ!」
「よーし、この勝負もらった!ダストダス、あのムカつく男にヘドロ爆弾!」
いかにも毒々しいヘドロの塊がオオバヤシ目がけて飛んでいく。明らかなダイレクトアタックだ。
しかし、その目論見はほうようポケモン、サーナイトの放ったサイコキネシスによって未遂に終わる。楽々と念動力でヘドロを止めたかと思うと、その放出の軌道を変え、跳ね返す要領でミルホッグへとぶつけ返したのだ!ヘドロ爆弾とサイコキネシスのダブルパンチを食らった格好の警戒ポケモンはすぐにノックアウトされていた。
「何で攻撃がこっちに来るのよ!あんた卑怯よ!」
「俺に直接攻撃しようとしたお前らに言われとうないわ。こっちは普通に攻めただけ。悪いか?」
一方のゴミ捨て場ポケモンも、能天気ポケモン、ルンパッパが放ったバブル光線と冷凍ビームによって氷の中で目を回していた。
「サーナイト、ルンパッパ、よう頑張ったな。……どうしてんお前ら。もう終わりか?」
「……くっ、まだまだ!ウツボット、行ってきなさい!」
「こっちはペリッパーだ!蓄えまくれ!」
まだまだ戦意の喪失の見られない悪党どもは、オオバヤシの挑発に単純に乗っていた。見る限り、まだいけるようだ。


そして、次いで出されたハエ取りポケモンと水鳥ポケモンは、どちらも何かを蓄え始めていた。どうも、蓄えたものを吐きだしたり飲み込んだりして、攻撃と回復を同時にこなす気であるようだ。
その様子を見ながら、オオバヤシは指示を飛ばす。
「ゴウカザルはペリッパーに雷パンチ、ほんでデンチュラはウツボットに虫のさざめき!」
炎の大猿は腕に火炎ではなく電気を纏わせ、隠れ特性「鉄の拳」の特性効果によって重みを増した拳で水鳥ポケモンに殴りかかる。一方の電気蜘蛛は、体をすり合わせることで衝撃波を発し、それをハエ取りポケモンにぶつけた。
それに対し、ペリッパーは溜め込んでいたものを飲み込むことで何とか対処していた。ウツボットの方はというと、溜め込んでいたものを吐きだしていた。もっとも、デンチュラには避けられていたが。
「キーッ、何で攻撃が当たんないのよー!」
「そうだそうだ!お前は卑怯だ、卑怯、卑怯」
自分の非を認めようとしない下っ端2人に、オオバヤシはため息をつきつつ言った。
「あんなあ、卑怯や卑怯言う前にお前らで考えろ。……少なくとも、強い奴は誰かに非をなすりつけるようなことはせえへんで?」
そして、ゴウカザルとデンチュラから放たれた炎のパンチと10万ボルトが、下っ端のポケモン達を同時にノックアウトさせていた。


「次のポケモンで最後ね……行ってきなさい、ハクリュー!」
「こっちはコモルーだ!どうだ、ダブルのドラゴンポケモンは!」
アンカーとして出された下っ端のポケモンはどちらもドラゴンタイプ。もう後がないからか、本気らしい。
「どうだ反逆者、参ったか!さあ、大人しくポケモンを渡せ……!?」
下っ端が驚くのも無理はなかった。オオバヤシのアンカーは、最古鳥ポケモンのアーケオス、そして、その隣で圧倒的な存在感を放つ凶暴ポケモン、サザンドラだった!!
下っ端にとっては最凶ともいえるタッグに、彼らは恐れおののいた。
「ちょ、ちょっと待って、こんな相手怖すぎる……」
「あんた何でこんな強いポケモン持ってんのよ!あんたみたいな奴は強いポケモン持っちゃダメなのよ!」
もはやここまで来ると、下っ端の言葉は妄言ともとれてくる。
「それ何のルールやねん。ほんで、誰が作ったん?」
「今私が作ったルールよ!すぐに従いなさいよ!!」
「やるかボケ。ポケモンを持つのにルールなんぞないやろ」
最古鳥は低空飛行の後に、鋭い爪でもってドラゴンポケモンを引っ掻いた。ドラゴンクローだ。威力の高い一撃にふらつくハクリューに追い打ちをかけるが如く竜の波動がサザンドラから放たれる。ハクリューは攻撃に耐えられるはずもなく、ノックアウトと相成った。
「え、ちょっと待って、残り1体……」
「とどめや!サザンドラ、流星群!!!」
三つ首の悪竜は口から橙色の光球を打ち出す。それが弾け、容赦なく忍耐ポケモンに降り注ぐ。もちろんコモルーは一撃ノックアウトとなった。
「人に責任をなすりつけるお前らは俺に勝たれへんねん。分かったか」
「うう、すみませんでした……」
「スムラ様ならば、私達の無念を晴らしてくれましょう……あなたは大いに後悔するわ」
「それはどういう事やねん」
「あんたが自責の念にさいなまれながら死んで行くからよ」
オオバヤシに対し、女の下っ端がそう言ったところで、老人が姿を見せた。


「わたしはスムラと申します。……わたしの手で、あなたを送ってあげましょう」
「お前、どうにも胡散臭いな。何か隠してるんちゃう?」
スムラから漂う胡散臭さを感じ取ったオオバヤシ。すると、スムラの手に、黒いボールが見えた。普通のものではなさそうだ。
そのボールは一瞬にして、オオバヤシが腰につけていた6個のボールを奪ったのだ!
「お前何しとんねん!この泥棒が!!!」
「フフ、これがわたしの解放の方法。わたしの手にポケモンが渡ることにより、野生の気持ちが目覚め、持ち主を殺し、ポケモンをトレーナーという鎖から解き放つ!行きなさい、我がしもべたちよ!」
スムラがそう言うなり、操られたデンチュラ、アーケオス、ルンパッパ、サザンドラ、ゴウカザル、サーナイトがオオバヤシに接近していく!
「お前の解放は間違っとる!トレーナーを殺したポケモンは幸せになんかならへん!!」
「あなたの言っていることは無駄なこと。ポケモン達にその言葉は届かない!自分とともに強くなった分だけ、あなたは死に近くなる。さあ、行ってしまいなさい!」
「うるさい、スムラ!お前がおかしいねん!……お前ら、俺のことを忘れたんか?忘れてへんなら、攻撃を止めろ。止めてくれ。そんな幸せ望んでへんぞ。やから頼む、止めてくれーーーっ!!!!」
その時だった。オオバヤシの想いが通じたのかもしれない。6匹の動きが止まり、目からぽろぽろ、零れるものも見える。
「どうしたしもべども、あいつのことを殺せと言っているのが分からないのか!?」
スムラが罵った瞬間、黒のボールがガタガタ揺れ出し、ひびも入っている。どんどん広がっていく。
「ま、まさか、洗脳を破るなんてことが……」

パリーーーン!!!

黒いボールは弾けた。元のボールは全てオオバヤシの手に戻り、ポケモン達も呪縛から解放され、元の心を取り戻したのだ!
そして、6匹は向き直り、スムラに向かって攻撃を放ったのだ!
「うわああああっ!!!!」
当てるつもりはなく、ただ戦意を喪失させるためだけのものであったため、ケガはさせなかった。それでも、悪だくみを壊すだけの効果はあったようだ。
「無理矢理の洗脳くらいじゃ、俺と仲間は引き離されへんで。……こいつらは俺の大事な仲間や。……お前のやり方は間違ってんねん」
「う、うああ……か、鍵を渡す、から……先に行け。お前の顔なんか……見たくない……」
オオバヤシはスムラから鍵をとると、先へと走った。
彼が去った後、スムラは子供のように泣きじゃくっていた……。

七賢人完全撃破。

次へ続く……。



マコです。
とうとう七賢人を完全撃破しましたね!
命の危機にまでさらされた人もいましたが(特に今回のオオバヤシさん)、着々とプラズマ団を撃破できています。
基本的には、一行の戦いは順調なようです。
さて、次回は、久し振りにマイコちゃんの登場です。
彼女も彼女で、少し厄介な目に遭っているようです……。


  [No.703] 第10話 予期せぬ協力者 投稿者:マコ   投稿日:2011/09/08(Thu) 11:19:14   48clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

七賢人と戦っている6人と別れ、ゲーチスの元へと走るマイコ。
(みんな大丈夫なのかな……?いや、心配は無用なはず。みんな絶対勝ってくれるんだ。私が信じないで、誰がみんなを信じるの?)
そんな彼女の前に、何と、100人以上の下っ端が待ち構えていたのだ!
「相手が多すぎるじゃん……」
「来たぞ!反逆者は1人だ!」
「プラーズマー!かかれ!どんな奴でも数で圧倒すれば怖くない!」
そう言うなり、下っ端どもはみんなでポケモンを出してきた。ざっと200匹以上はいるに違いない。
それを見たマイコは腹をくくり、自分のパーティを全員出した。
「エンブオー、ウォーグル、ムシャーナ、フシギバナ、ラグラージ、ライボルト!みんな、一斉に攻撃して突破するよ!」
マイコは6匹に指示を発し、立ち塞がる相手を容赦なく叩きのめしていく。
その様は、女帝というに相応しいものだ。
「火炎放射!ツバメ返し!10万ボルト!サイコキネシス!マジカルリーフ!熱湯!……」


そして、30分ほどたった頃だった。
「はあ……はあ……何とか……勝った……」
下っ端はみんな一様に倒されていた。だが……
「ごめん……みんな……ゲーチスの……ところ……に……辿り……つけそうに……な……」
マイコの方にも限界が来ていた。いくら下っ端といえど、マイコ1人に対して100人相手では精神力の消耗も早かった。そのままフラッと倒れこみ……



「……じょうぶですか、大丈夫ですか?」
「……!?」
マイコは見慣れない部屋で目を覚ました。状況が全く掴めない。
(あれ、さっき、私、倒れたはず……何でベッドにいるの?)
彼女の目の前には女性が2人。桃色の髪の人と金髪の人だ。そして気付く。
(腰につけてるはずのボールがない!!)
「あのっ、私のボールをどこにやったんですか!?もしかして、プラズマ団に渡したとか」
マイコがまくしたてると同時に、桃色の髪の人がすっと立ち上がり、トレイに乗った6個のボールを運んできた。
「心配はいりません。6匹ともあちらの回復マシンで完全回復させておきました」
マイコは自分の元に運ばれたボールを覗き見る。6匹とも皆、自分の主人が無事だったことを喜んでいた。
「良かった……無事だ……みんな私のポケモンだ」
心配が1つ消えて、マイコも少し安心していた。そして、今度は金髪の人が薄緑色の薬湯らしきものを持ってくる。
「これはトレーナーの気力・精神力を回復させるという秘湯です。飲んでください」
「え……でも」
色からして苦そう、という言葉が出そうなくらい、ゲテモノ系の雰囲気があった。
しかし、マイコは腹を決めて、ぐいっと一気に飲み干した。
「んっ、え!?甘い!!……ああ、何か力が湧いてくる感じがする」


体力も気力も十分なところで彼女は2人に聞く。
「あなた達は一体、誰なんですか?」
まず答えたのは桃色の髪の女性。
「私は、愛の女神という者です」
次いで、金髪の女性が口を開く。
「私は平和の女神と名乗っております」
「愛と平和……確かに、お二人とも美しいですからね……それはそうと、何故私を助けたんですか?プラズマ団であるあなた達にとって私は敵とも言える存在ですから、私を幹部に突き出すという手段もあったでしょう?」
マイコの質問に、愛の女神はこう言った。
「行き倒れる者に、敵も味方もありません。ましてや、1人で100人を相手にして倒れない方が普通ではないですからね」
「は……はあ」
今度は平和の女神が話し出す。
「このプラズマ団という集団の中にいて、私達はフェアな立場でありたいのです。ですから、死地に飛び込んでいったあなた方を助けるという使命が私達にはあるのです」
マイコはそれを聞き、立ち上がってすぐにでもゲーチスの元へ向かいたい気持ちになったが、大事なことに気づく。
「ここは……どこの場所にあるんです?プラズマ団の城の中、ということだけは分かっているんですが……」
「ここはゲーチスの待つ場所の1フロア前の部屋です。もうあと少し行けば、辿りつけるはずです」
「あなたも、あなたの仲間も十分に強いのです。もっと自分に自信を持ってください。ゲーチスは強いですが、あなたならきっと倒せるはずですよ」
2人の励ましの言葉に、マイコは笑顔でこう言った。
「色々と、ありがとうございます!……それでは、行ってきます!!」
マイコは走り出した。
いざ、最終決戦の場へと。


次へ続く……。


マコです。
久し振りにマイコちゃん、登場。
ゲーチスの元へ向かうまでに紆余曲折あるんですね。
さて、次回、万全の状態になったマイコちゃんは、いよいよゲーチスと戦います!
勝負はどうなるのか!?乞うご期待!


  [No.750] 第11話 最終決戦! VSゲーチス 投稿者:マコ   投稿日:2011/09/29(Thu) 11:00:07   50clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

鈍臭い足を精一杯動かして走り、ようやく玉座の間に辿り着いたマイコ。
そこには、緑の髪を持つプラズマ団の総帥が待ち構えていた。
「アナタがやはり来ましたか。待っていましたよ。途中でくたばってしまったのかと思いましたけどね」
「ゲーチス!私はあんたを倒すために来たの。くたばるわけがないじゃない。これ以上あんたの好きにはさせない!!」
「フフ、孤独のアナタに何ができるのです?仲間の方々はみな七賢人と戦っていて、なおかつみな負けるというのに」
「少なくとも、あんたの手下みたいな奴なんかに、私の友達は負けない。絶対に負けないんだから!!」
「そう言い切りましたか……。マイコさん、ワタクシは……アナタの絶望する顔が見たいのだ!!!」
「絶望の表情を見せるのはあんただっ!!!」
その言葉とともに、バトルは幕を開けた。


ゲーチスの先発は金色の棺桶ポケモン、デスカーン。一方のマイコはウォーグルを出していた。
「ワタクシの攻撃手段を少し封じる作戦に出ましたか……、しかし!それはアナタも同条件。ノーマルの技が通じないのですよ」
「それは知っているよ。じゃあ、ウォーグル、まずは遠距離攻撃で様子を見ようか。岩雪崩!」
勇猛ポケモンの周囲から大きな岩がいくつも飛び出し、棺桶ポケモンに命中していく。しかし、デスカーンの方も守りの障壁を張り、衝撃を軽減していた。
「じゃあ、今度は近距離で!シャドークロー!」
マイコのこの指示をゲーチスは嘲笑う。
「ハッハッハ。アナタはデスカーンの特性《ミイラ》を知らないのですか?押し付けられて困るのはアナタなのですよ」
「そこは大丈夫。心配される必要なんてない。倒すことが優先よ。それより、心配すべきなのはそっちなんじゃないの?」
影でできた爪が棺桶ポケモンに対し、何条もの傷を与えていった。特性が《鋭い目》から《ミイラ》に変わっても構わず攻撃を重ねた結果、堅い守りが特徴のデスカーンは、早くもノックアウトされるに至った。


2匹目にゲーチスが出したのはバッフロンだった。出てきた瞬間から鼻息荒くいきり立っていた頭突き牛は、なんと、マイコに向かって突進してきたのだ!
「あんたの相手は私じゃないわ!お願いムシャーナ、あの牛を止めて!!」
ウォーグルを引っ込め、半分慌てながらも夢現ポケモンを出す。マイコの呼びかけに応じたムシャーナは、バッフロンをサイコキネシスで押しとどめ、逆に弾き飛ばしていた。
「危なかった……。まさか、ダイレクトアタックが来るとは、ね。ありがとう、ムシャーナ」
頭突き牛は体に雷を纏い、突進を見せてくる。ワイルドボルトだ。そして夢現ポケモンに当たる、その瞬間だった。

ガキイッ!!!

すごい音とともに、バッフロンは弾かれた。さらに遠くに弾かれていく。
「アナタ、今一体、どんなトリックを行ったのですか?」
「リフレクターを張った後にサイコキネシスを使ったの。こっちも負けられないから……」
「そうですか。それではバッフロン、地震を行いなさい!」
ゲーチスの指示に応じ、頭突き牛が地面を揺らそうとした、その時だった。
「何故浮き上がるのですか!?」
足をバタバタ、せわしなく動かすバッフロン。そのまま浮いていく様はとても滑稽だ。
「よーし、そのまま破壊光線!!」
目を開いたムシャーナから放たれた極太の光が、テレキネシスによってしっかりと猛牛を飲み込んでいった……。


ゲーチスの手から出された3匹目はキリキザンだった。対してマイコはライボルトを出す。
のっけからとうじんポケモンは鋭い石の欠片を投げていく。ストーンエッジだ。
「電撃波であの石を相殺して!」
耐久力には優れない放電ポケモンは、避けることではなく攻めることで、相手に立ち向かう。「攻撃は最大の守り」を体現した形だ。狙い通りにストーンエッジを壊していく。
「ぐっ、遠距離の攻撃を消されるとは!さらにダメージも与えられるほど育てているとは、ね。ならば今度は接近して見せましょう。辻斬り!!」
腕にある刃でライボルトを仕留めようと向かうキリキザン。しかし、スピード勝負ならば、ライボルトの方に分があるもので、ことごとくかわしていく。
「最初は10万ボルト!」
放電ポケモンの体から鋭い電撃が浴びせられる。それによる痺れでキリキザンの方は思うように体が動かなくなる。マイコは次の指示を出す。
「そして火炎放射!!」
ライボルトは口からエンブオー顔負けの炎を放つ。とうじんの弱点を突くとどめの一撃で、ノックアウトに追い込んだ。


そして4匹目。ゲーチスは振動ポケモン、ガマゲロゲを出す。
「ヘドロウェーブを使いなさい!」
何とマイコが次のポケモンを出す前に、毒の大波によって彼女を亡き者にしようとしたのだ!しかし、彼女は落ち着いていた。
「フシギバナ、出てきて!」
草と毒、二つのタイプを併せ持つ種ポケモンは、主人を庇うように出現し、毒の大波を防ぎきったのだ!毒のタイプがあるために、そこまで大きなダメージも受けていない。
マイコは種ポケモンを撫でてあげた。
「ありがとう、フシギバナ。……ゲーチス!!ダイレクトアタックをしないでほしいわね!2回もそんなことしてさ。あんたにはモラルってものがあるの!?」
2回目ともなると、彼女にも言い返す余裕が出た。
「ポケモンの解放をするためなら、その様なこともいとわないのが、我々プラズマ団のポリシー。アナタみたいな危険ランクAAA(トリプルエー)の方は、抹殺するに相応しいのです!」
「……あんた、相当堕ちているものね。まあいいわ。あんたに痛い目を見せてあげるんだから!!!」
スピード、という点で勝るガマゲロゲは、接地面積の大きいフシギバナに地震をお見舞いする。しかしフシギバナは動じず、青蛙の体にいくつもの種を植え付け、締め上げるように体力を吸っていく。唯一の弱点である草技を決められたガマゲロゲに最早勝ち目はなく、とどめのタネ爆弾によって倒された。


5匹目にゲーチスが出したのは、三つ首の悪竜、サザンドラ。オオバヤシも連れているあのポケモンだ。マイコは次のポケモンをラグラージに決め、場に出した。
凶暴ポケモンはかなり素早く、竜の波動や気合い玉といった大技を次々出していった。それこそ、ラグラージの付け入る隙がないほどに。しかし、沼魚は強靭な耐久力によって、そこまで消耗はしなかった。
さらに、大技の連続使用のツケが回ってきたのか、サザンドラの方が疲労の蓄積が大きく、息を荒くついていた。
マイコはその疲れを見逃さず、指示を発した。
「ラグラージ、チャンスよ!ジャンプして冷凍パンチ!」
沼魚は一気にジャンプを決め、凶暴ポケモンの背に乗り、凍った太い腕の一撃を与える。サザンドラはみるみるうちに凍りつき、浮遊していたはずなのにドスーン、という音とともに地に墜ちた。そして、
「アームハンマー!!!」
力強い腕の一振りで難敵の凶暴ポケモンを倒したのだ!


「さあ、ゲーチス、あんたも残り1匹ね」
「……バトルというものは、最後の最後までわからないものなのですよ。行きなさい、シビルドン!!」
「最後の相手は、一番のパートナーで倒してあげる。行っておいで、エンブオー!!」
浮遊特性によって若干宙に浮く電気魚と、どっしりとした大火豚が対面する。緊張の糸がピンと張り詰める。
最初はお互い火を吹き付けていた。二つの炎がぶつかり合う。
「炎タイプをなめるなあっ!!!」
マイコの絶叫とともに激烈に燃え盛る炎はシビルドンを飲み込む。しかし炎を食らいつつも電気魚はアクロバットを決めようとする。そこに巻き付くいくつもの草。エンブオーは草結びを放っていたのだ。
「マイコさん、アナタは相当ポケモンを信頼しているようですね。しかし!勝つのはこのワタクシなのです!!シビルドン、ワイルドボルト!」
「フレアドライブで迎え撃って!!」
炎と雷がぶつかり合い、大きな煙が巻き起こる。
それが晴れると、お互いのポケモンが肩で息をしていた。
「しぶといですね……。では、次の一撃で決めてあげましょう!全力の雷で葬ってあげなさい!」
「こっちはこれで決める!炎の究極技、ブラストバーン!行けええっ!!!」
猛火特性が発動し、普段の威力よりもさらに強くなった究極技。さらにマイコの「想い」まで乗ったその力は、雷を消し飛ばし、電気魚を一気に飲み込み、倒した。
マイコの勝利は、これで決まった。ガッツポーズをした彼女であったが、もう立っていられなかった。膝から崩れ落ちるように倒れていた。
「ハア……ハア……これで……プラズマ団は……倒した……」
負けたゲーチスは、しかし、不敵に笑っていた。
「クックック……ワタクシをこれほどまでに圧倒しようとは、ね。しかし!『試合に負けて勝負に勝つ』とはよく言いますよね?」
そう言う悪の総帥の後ろには……

たくさんのポケモン達が、ギラギラと目を光らせていた姿があった……!


次へ続く……。


マコです。久し振りの更新です。
とうとうゲーチスを倒したマイコちゃん。
それでもまだ脅威は収まりません。
どうなってしまうのでしょうか!


  [No.751] 第12話 ほんとうの決着 投稿者:マコ   投稿日:2011/09/29(Thu) 12:24:04   55clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

ゲーチスとの勝負は、確かに決着がついた。
しかし、そんな彼女を認めないというように、たくさんのポケモン達がいた。
「嘘だ……私……もう……こんなに……たくさん……戦えない……」
先のバトルで精神力をほぼ使い果たしたマイコに、こんな大群と戦うことなんて無理な話である。
そんな彼女を嘲笑うかのように、ゲーチスは冷たく、下賤に笑った。
「動けないアナタをいたぶってあげましょう。みなさん、総攻撃をしてあげなさい!」
ポケモン達から一斉に技が放たれ、マイコに迫ってゆく。
(みんな……ゴメン……折角……ゲーチスを……倒したって……いうのに……)
マイコは死を覚悟した。その時であった。

ズゴバキグシャッ!!!

ドアが粉々に破壊され、それとともにポケモンの大群も1匹残らず瀕死状態になっていたのだ!
こんなことを平気で出来るのは、彼女の知る限りでは、数人しかいなかった。
(まさか……?)
マイコがその音の発生した方向を向くと、そこには、七賢人と戦っていた6人の仲間……オオバヤシ、ハマイエ、トキ、カワニシ、アキヤマ、キザキがいた。そして、その傍らには6人の所持するポケモンが勢揃いしていた。恐らく、ドアを全力の技で吹き飛ばし、後ろの相手すら簡単に打ちのめしたのだろう。
「みんな!来てくれたんだ!!」
マイコは思わぬ助太刀にただただ感激していた。
「ごめんな、思ったより手こずった……」
「マイコちゃん、大丈夫?」
「……結構、限界……。もう、自力じゃ、立てないよ」
「ほんなら、肩貸すわ。……これで大丈夫か?」
「ありがとう。助かったよ」
マイコを助けた6人だったが、実は彼らも立っているのがやっとな状態だった。合流した直後に例にもれずプラズマ団下っ端の大群と一戦交えていたわけだ。しかも、マイコの場合より数が多くなっていたのだ。
「バ……バカな……他の七賢人がアナタ達を倒しているはず……なのに……」
「俺らがここに来れたんは、その七賢人を倒したから、や。分からんのか?」
「……特に、スムラと戦った者は、絶対に再起不能になるはずなのに……どうして誰もそうならない!?」
ゲーチスは動揺していた。七賢人が倒されたこと、そして、その中でも、洗脳を得意とするスムラが倒されたことに。
「よう聞けおっさん。物事に絶対なんてないねん。ほんで洗脳なんてそんな付け焼き刃みたいなもん効くか。今頃はスムラの方が再起不能かもしれへんけど」
その洗脳を破った張本人であるオオバヤシがそう言うと、ゲーチスの顔がみるみるうちに強張る。そして本性むき出しで叫んだ。
「こうなったら……こうなったら、貴様等まとめてあの世へ送ってやるっ!!!」
彼の手には、一つのスイッチがある。
「これは、ポケモンと人をまとめて殺せる、いや……世界を壊せるほどの核爆弾だ。これで反逆者であるアナタ達をまとめて処分してあげましょう」
「そんなことしたらお前らも……」
「負けた下っ端にも、七賢人にも用はない!ワタクシはここから脱出します、アナタ達はこのワタクシを怒らせたことを後悔しながら死ぬがいい!!!」
そして、大群の中の1匹であった念力の小鳥を引っ張りだし、指示した。
「ネイティ、テレポートしなさい!」
しかし……全く動くことができなくなっていた。動揺するゲーチス。
「何故離脱できないのですか!?」
7人はそれを横目に話し出す。
「え?誰かのポケモンが黒い眼差しを使った?」
「いや……使ってへんで」
「使えるポケモンはボールの中やしなあ……」
「影踏みの特性を持っているポケモンは?」
「誰も持ってる人はおらんで。……あっ!!!」
気がつくと、7人の傍にソーナノがいた。ゲーチスの影を踏んで喜んでいる。
さらに、もう一人男が増えていた。
「ったくよお……一度助けてやったっていうのに、また死にかけのパターンか……こりねえよな、あんた達……」
前に会った時の姿とは異なっていたが、彼とマイコ、ハマイエ、カワニシは面識があった。
「博物館での戦いの時に、私達を助けてくれた……」
ポケリアのその5で、博物館にてあわや生き埋めとなるところだった3人を助けた、あの少年である。
「あんたらもかなり強くなったことだしな、もう正体を明かしてやるぜ。僕はカイトっていうんだ……そこの彼女の、ひ孫なんだぜ」
「「「ひ孫!?」」」
「え、え、そうなんだ……」
各々絶句していた。マイコは苦笑するしかなかった。
「アナタ達、ワタクシがいることを忘れてやしませんか?アナタ方の生殺与奪はワタクシが握っているのですよ!」
「てめえは……ゲーチスか。100年も前にこの世界で悪事を働いた大悪党……」
「このボタン1つで世界を壊せるのですから。邪魔者であるアナタも排除できるのです」
「じゃあてめえ、そのボタンを押してみろ」
カイトの発言に怒ったのはマイコ達だ。
「お前、何てこと言うとんねん!」
「押されたら誰も助からへんねんで!?」
「それはやめて!!!」
ゲーチスは下品な笑いをフハハ、と見せた。
「カイト君のお望みとあらば、押してあげましょう!」
「やめて!!!」
「やめろ!!!」
『やめてくれ!!!!!』
7人の願いもむなしく、カチッとボタンが押された。



しかし……何秒待っても、何十秒待っても、一分待っても、何も起きない。
「な、何故だ……何故世界は壊れない!?」
ゲーチスは絶叫した。それを見てカイトが話し出す。
「お前がろくでもねえことを始めようとするから、僕の友達の伝説ポケモンに色々頼んで止めさせたのさ。セレビィには爆弾の設置される時間に飛んで、爆弾をそっと運んでもらった。後、アルセウスには、安全な場所で裁きの礫を使ってそれを壊してもらったのさ。全部、お前の知らない場所でしたんだよ!」
「そ……そんな……」
「後、お前にはそれに相応しい罰を受けてもらおうかな……ギラティナ、出てきてくれ」
すると、床の一部が闇に包まれ、反骨ポケモンが姿を見せる。
「何をする気です!!」
「お前は色々とやりすぎてしまったんだよ。こいつのもとで根性叩き直してきてもらえ。まあ、一生出られねえだろうけど」
霊竜は触手のような影の翼を伸ばすと、ゲーチスを掴み、闇の中に引きずり込んだ。
「うわああああ……」
闇は小さくなり、そして消滅した。
「さてと、あんたら、ここをとっとと出るぜ。ここは危なすぎるからな……」
7人とカイトは手をつないだ。
「行くぜ、ケーシィ、テレポートで安全な場所へ!」
禍々しい場所から全員が脱出に成功する。
そして、その直後、プラズマ団の城は崩壊していった……。


次へ続く……。


マコです。
ゲーチスを完全に倒し、プラズマ団の城からも無事に脱出したみんな。
次はいよいよフィナーレです。


  [No.763] 最終話 すべてが終わって 投稿者:マコ   投稿日:2011/10/04(Tue) 13:55:27   53clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

プラズマ団との激戦が終わって、3日後のことだった。
マイコは、病院の一室でようやく目を覚ました。
彼女の周りには、脱出の際にいたカイトを含め、7人の男性が勢揃いしていた。
「3日も眠り続けとったから、マイコはこのまま起きんかと思ったわ」
「失礼な!私はそんなにヤワじゃないからね!」
「でもこいつらだって1日眠り続けたって看護師さんが言ってたぜ。おあいこじゃねえのか?」
『カイト!!!余計なこと言うなや!!!』
カイトの一言がきっかけで、マイコの目の前で追いかけっこが始まっていた。


「悔しかったら捕まえてみろよ!」
「デンチュラ、クモの巣を張れ!」
「エルフーンは綿胞子で動きを止めろ!!」
「ドレディアは眠り粉を撒いてくれ!」
「クロバットは黒い眼差しで見張って!」
もう、あらゆる手を使ってでもカイトを捕まえようとしている。
そして、ようやくカイトが捕まる、となったその時だった。

ゴオッ!バチドカグサッ!!!

爆音とともに、ベッドを抜け出し、6匹のポケモンを従えたマイコがいた。
その表情は、まるで鬼のようであった。
「誰が追いかけっこを大規模に病院の中でしていいって言った!?病人は大人しくベッドで寝てなさい!!!騒がしすぎるんだよ!!!」
『すみません……』
マイコの恐ろしすぎる説教に、全員が委縮して謝っていた。
しかし、彼らの心中では、
(お前が一番病人やんけ)
(一番騒がしいのはお前やろ)
こんなことが言われていたのを、きっとマイコは知らない。


そもそも、何故、マイコ達が病院にいたか、というと、プラズマ団の城から脱出した際、みんなのたまり場としての劇場に着地点を決め、降り立ったのだが、

ドサドサドサッ!!!

「きゃああああっ!!!」
カイト以外の7人が意識を失い、その場に倒れこんでしまった。当然、目の前でそれを見た女の子達(劇場に来場してきた人)は大絶叫。結局、カイトがユクシーに頼んで彼女達の記憶からそこの部分のみを消してもらい、7人を病院に入院させた、というわけだ。


そういうわけで新聞沙汰になることは避けられたが、全員しばらく眠り続けていたのだ。戦いで削られた精神力を回復させるためには、特殊な薬湯を飲むこと以外には、眠ることくらいしかないらしい。
暇になったマイコは、テレビのニュースをつけた。
するとそこには、ニュース原稿を読むキャスターの姿があった。
「速報です!3日ほど前に失踪した人々が続々と見つかったとの情報が入ってきました!みなさん軽い怪我くらいで済んだとのことです。700人以上の安否がつかめなかった未曾有の大事件が、ようやく終止符を打ちそうです!」
その画面に夢中になっていると、ギイッ、という音とともにドアが開き、みんなが入って来た。
「さっきはゴメンな」
「マイコの気も知らんとワーワー騒いで……」
「……もう怒ってないし、いいよ。元気じゃないと楽しくないし。それより、トウキョウで失踪したって人達、こっちに戻って来れた、ってさ。さっきニュースで言ってたよ」
すぐに仲直りする様子を物陰で見ていたカイトは、7人に聞こえないように、言った。
「……どうやら、僕のサポートはもうなくても大丈夫みたいだな。あのみんななら、どんなことがあってもやっていけそうだし。ひいおばあちゃんもちゃんと生きていけそうだし。邪魔にならないうちに、行くとするか」
そして、テレポートで飛んで行った。


日本を揺るがす大きな邪魔者は消え去った。彼らは、彼女は、日常を生きてゆく。
絆で結ばれたポケモン達とともに。


おしまい



マコです。ようやく完結です。
平和な日常が戻ってきました。
でも、皆さん、病院内では決して騒がないでくださいね。
これにて、ポケリア+(プラス)!はフィナーレです。
また細々と色々書いていくつもりです。
それでは!