ここは、マサラタウン。
この街で、三つの物語が始まろうとしていた―――――
「ごめんな。ナオキ、ユーカ。二人の出発遅らせちまって。」
「いいのよ。ユーヤは気にしなくて。」
「三人一緒って、前から決めてたじゃないか。」
ここは、オーキド研究所。ポケモン研究の世界的権威、オーキド ユキナリ博士が日夜、ポケモン研究に 励んでいる『あの』研究所だ。
そして今日は、3月19日。とある少年の誕生日で、三人のトレーナーが旅立つ、記念すべき日だ。
「君たち、ほかの子たちに随分遅れをとっとるが、だいじょうぶかの?」
「心配すんなって、博士。俺がちゃちゃーっとチャンピオンになって、皆を驚かせてやるぜ!」
「は!?チャンピオンになるのはあたしよ!」
「俺だ!」 「あたしよ!」
睨み合っている二人を尻目に、オーキドは会話に参加していないナオキに目をやる。
彼の瞳からは、確かな決意が見えた。
「そんなことで睨み合ってないで、こっちに来なさい。」
「なにそれ?ポケモン?」 すかさずユーカがたずねる。
「そうじゃ。ここに三つのモンスターボールがある。それぞれ、ピカチュウ、イーブイ、ポッポが入っておる。」 そういって、ボールからポケモンをだす。
「イーブイか・・・・よく残ってたな。」 ナオキの指摘。それに対してオーキドは、
「ま、まあ良いじゃないか。偶然じゃろ。偶然」 明らかに何か隠している様子。
「残しておいてくれたんだろ?」 と、またナオキの鋭い指摘。 「うっ・・・そうじゃよ。」
そんな話など聞いてないユーカは、「いっせーのーせできめましょ。」と提案。
「いいぜ」 「ああ」 「本当にそんなのでいいのかの?」
「いっせーのぉーでっ!!」 三人が、それぞれポケモンを指さす。
ユーヤは、ピカチュウを。 ナオキは、イーブイを。 ユーカは、ポッポを。選んだ。
なんと、三人が選んだポケモンは、被らなかったのだ。オーキドはそのことに驚きながらも、
「そのポケモンで、良いんじゃな?」 「「「はいっ!!」」」
ここは、マサラタウン。 今日は、3月19日。 物語が、始まる。