この小説は、akuroが執筆する戦隊モノです。厨2病全開なので注意!(笑)なお、DSiで投稿しているので、1話が短くなると思います。前編中編後編はあたりまえだと思ってくださいw[全編に渡って書いても描いても批評してもいいのよ]キャラプロフィール(随時更新)ネタバレ注意!年齢は、人間で言うとこれくらい……って感じですかえん/火炎 ブイレッド種族:ブースター性別:♂年齢:17変身時は体全体が赤くなり、背中にはシンプルな作りの赤いマントを装着する。 首の毛につくバッジのVの色は赤。らいど/雷怒 ブイイエロー種族:サンダース性別:♂年齢:15変身時は体が黄色くなり、背中の黄色いマントは細くて先がギザギザになっている。 バッジのVの色は黄色。みずき/水季 ブイブルー種族:シャワーズ性別:♀年齢:18変身時は体が青くなり、背中の青いマントは幅が広くて先は波形に切られている。 バッジのVの色は青。長老種族:キュウコン性別:♀年齢:不明色々と正体不明なキュウコン。 みーさんからお借りしてます……
これは、ポケモンだけが暮らす世界で起こった奇跡の物語。 空は曇り、木は焼け焦げ、地面はひび割れた見るも無残な広い荒れ地を、赤い体に黄色い首周りの毛……1匹のブースターが走っていた。肩でハアハアと息をして、汗だくで今にも倒れそうだ。 「……くそっ」 その後ろを、かなりの速さで3匹のグラエナが追いかけてきていた。その目は血走っていて、見るからに普通の状態でないことが分かる。 「グルルル……待てぇ!」 「ま、待ってたまるかよ……!」 ブースターはそう言うが、後ろからどんどんグラエナ達は追いついてくる。 そして1匹のグラエナの鋭いキバが自分に遅いかかろうとしたその瞬間、ブースターは覚悟を決めた。 ーーもう、ダメか……! その時だった。「ううううおおりゃああああ!」 その叫びと共に、空から激しい「かみなり」がグラエナ達に降り注いだ。 グラエナ達は「ぐわぁ」や「ギャア」と言いながら地面に倒れ、ブースターは突然目の前に現れたポケモンに驚き、目を見開く。 「だ、誰だ……?」 目の前には、自分と同い年くらいに見える黄色いトゲトゲのポケモン……サンダースがいた。「自己紹介は後だ! オイ、これ食え!」 そう言ってサンダースはブースターに、体力回復効果があるオレンのみを放り投げた。ブースターはすぐさま口に含み、噛み砕いた。「早く逃げるぞ!」「ムグ……て、ちょ!?」 サンダースはそう言って、まだオレンを飲み込めていないブースターの手を握ると、ものすごい速さで駆け出した。 ブースターには周りの景色が風の様に早く過ぎていくように感じた。「オ、オイ! 速すぎる! ちょっとスピード落とせ!」「あ? これでも普段の8分の1だぜ!」「8分の1!? これがか!?」 これの8倍なんて体験したら摩擦で体が燃え上がりそうだ、と感じていたブースターは目の前の光景を見て驚き、叫んだ。「うわあ! おまっ、前見ろ前!」「ああ? 前がどうし……って、おわあああ!」 その叫びと共に2匹は足を滑らせ、盛大な水しぶきと共に橋の掛かっていない川に転落した。 ブースターはひっしでもがく。「お、おい! どうすんだよ! オレ水苦手なんだよー!」「オイラに言われても知るか! こんなとこにある川が悪い!」「川のせいにすんな! ……ゴボッ! み、水が……」「おい! しっかりしろ! 誰か助けてくれー!」 サンダースはブースターを抱えながら叫んだ。 川の上流でその叫び声を聞いた者がいた。 「なんかうるさいわね……行ってみましょうか」 青い体に青い尻尾のポケモン……シャワーズはそう呟くと、下流に向かって泳ぎ初めた。「……」 少女が見たのは、溺れかけているブースターと、それを必死で助けようとしているサンダースだった。「あ、オイそこのシャワーズ! 助けてくれ!」 サンダースがシャワーズに呼びかける。ブースターの方は首の毛に水が入り、その重さで今にも沈みそうだ。 「……とにかく、助けなきゃいけないみたいね」 少女はそう呟くと、巨大な波を操る「なみのり」を繰り出し2匹を岸辺へと押し上げた。 「……ぐぇっ!」 ブースターはまだ辛うじて意識があったようで、地面に激突してうめき声をあげた。 「うわっ! おい、もっと優しくやれよ!」 サンダースの方は自慢の脚力で綺麗に宙返りし、スタッと地面に着地した。 「はあ……助かったんだからいいじゃない」 「よくねーわ!」 ギャーギャーと2匹が騒いでいると、遠くの方から先程のグラエナ達の声が聞こえてきた。 「……ヤバッ! おいお前ら! オイラについてこい!」 「「……はい?」」 サンダースが何故かキメ顔でそう言うと、2匹の声がハモッた。ブースターは大分復活していて、シャワーズの方は陸地に上がっていた。 「いいから早く!」 サンダースはそうまくしたて、走りだした。 「おい、まてよ!」 「なんなのよあんた!」 2匹も急いで後を追う。 「だから速いって! スピード落とせ!」 「ちょっと! 乙女に全力疾走させないでよ!」 「うるっせー! つべこべいわずに走れー!」 3匹は騒ぎながら、近くの森へと消えていった。 ……後編に続く!
ブースターとシャワーズがサンダースについていくと、森を抜け、小さな洞窟に出た。サンダースは迷わずそこに入っていく。「何ここ? ボロいわね」「ボロいとか言うな。オイラ達のひみつきちだぞ!」「え、オイラ「達」?」「ああ、オイラとお前らの♪」「はい? いったいなんなのアンタ!? そもそも名前すら聞いてないわよ?」「お前うるせーなぁ……人に名前を聞く時はまず自分からだろ」「なんで急に正論言うのよ……まあいいわ、私は水季(みずき)よ」「オレは火炎(かえん)だ」「みずきにかえんか。オイラは」「らいど、つれてきたのか?」 サンダース……雷怒(らいど)が名乗ろうとしたとき、ちょうど洞窟の奥にたどりつき、そこにいたポケモン……キュウコンに言葉を遮られた。「あ……長老、なんで遮るんだよ!」「ほっほ♪ すまんのう♪」「はあ……ほら、つれてきたぜ」 そういってらいどはキュウコン……もとい長老のもとにかえんとみずきを押し出した。 「はじめましてじゃのう♪ かえんにみずき」「え……? なんでわたし達の名前を?」「わしはキュウコンじゃ。長老と呼んでくれ♪ さっきの会話を聞かせてもらったのじゃ♪」「……で? オレ達に何の用なんだ?」「ほう……話が早いの♪ では説明させてもらうとしよう」「なあに、簡単なことじゃ♪ おぬし達3匹に、この世界を救ってほしいのじゃ♪」「「……は?」」 みずきとかえんの声がハモった。 ーーそれから30分後……「……で、らいどに頼んで私達をつれてきた……つまり、わたし達3匹に「戦隊ヒーロー」をやってほしいと?」「そうじゃ♪ みずきは物分かりがいいのう♪ かえんはどうじゃ?」「えーと、この荒れた世界に平和を取り戻すということですか?」「2匹とも頭がいいのう♪ らいどなんて、納得するのにきっかり2時間かかったのにな♪」 そう言いつつ長老はらいどの方を向く。「う、うるせぇ! それよりみずき、かえん! やるのか!?」 みずきとかえんは考える。 ーーオレの故郷もグラエナ達に荒らされ、オレは必死に逃げてきた。唯一王と呼ばれているオレがこの世界を救えるなら! ーーわたしの暮らしていた海でもドククラゲが大量発生して、みんな苦しんでいる。わたしが少しでも役にたてるなら!「やります! 長老さん!」「長老さん、わたしやります」「ほっほ♪ いい返事じゃのう♪」「ちょ、オイ! 聞いたのはオイラだぞ!」 らいどは焦りながらそう叫ぶ。「あ……ゴメンな!」「まあ、これからよろしくね」「おう!」 らいどはにかっと笑った。「ほほ♪ 話は決まったの♪ じゃあ3匹とも、こっちに来なさい♪」 ーー洞窟の更に奥「これは……?」 かえん達の前に現れたのは、真ん中に真珠のような白い石がうめこまれ、まわりが赤、青、黄、紫、黒、緑、水色に美しく輝く丸い石版だった。「これは七色石。伝説の七色戦士に変身するための力が封じ込められているんじゃ」「七色石……キレイ……!」「おっと♪ みずき、みとれてる場合ではないぞ♪ 早く変身しなくてはのぅ♪」 そう言って長老はいそいそと七色石に歩み寄ると、真ん中の白い石に前足をのせる。「かえんは赤、らいどは黄色、みずきは青の所に前足をのせてくれ」「はい!」「りょーかいだぜ!」「わかりました」 3匹は言われた所に前足をのせた。「……七色石よ、ここに七色戦士になりえる者がいる。どうかその力を認め、パワーストーンを生み出したまえ……」 七色石が突然光った。 そして3匹が前足を置いていた所から、3つの石が出てきた。「よし♪ そのストーンで早速変身じゃ♪」「えっ……どうするんですか? 長老」「おっと♪ 変身のしかたはの、石を持ち、「七色チェンジ」と唱えるのじゃ!」 かえんは火の玉のような形の真紅の石を握りしめた。「七色チェンジ!」 かえんの体が真紅の光に包まれる。 光が止むと、かえんの姿が変わっていた。 黄色だった首周りや尻尾の毛は赤くなり、背中には真紅のマント。 首の所には白地に赤でVマークが描かれたバッジ。 長老はその姿を見て、嬉しそうに呟く。「ブイレッドの誕生じゃの♪ ほっほ♪」 ……続く!
ブースターのかえんは、パワーストーンの力で七色戦士の1人、赤い体のブイレッドになった。「なんだよ……めちゃくちゃ格好いいじゃん! オイラもいくぜー! 七色チェーンジ!」 らいどがそう叫ぶ。 まばゆい黄色い光がらいどを包み、新たな姿へと変えてゆく。 光が止んだらいどの背中には、レッドのものよりシャープな作りで、先の方がギザギザになっている黄色のマントが揺れていた。首周りのギザギザは黄色くなり、白地に黄色でVが描かれたバッジは、レッドのものと色違いだ。「うおおお! オイラかっけぇ! かえんがレッドなら、オイラはイエローだな!」「まあそうなるだろうな」「うおおお……! かえんもオイラもかっけええ!!」「うるさいわね! らいども人のこと言えないじゃないの!」「だってかっけぇじゃん! みずきも早く変身しろよ!」「はいはい。七色チェンジ」 三匹目、みずきもそう呟く。 ほかのニ匹とは違う、やさしい青い光がみずきを包みこむ。「……じゃあわたしはブルーなのね、まったく、子供みたい」「それ言ったらダメだろ」 ブルーの格好はレッドやイエローと同じように体は全体的に青くなり、えりまきには青いVのバッジがついている。 背中のマントは少し幅が広く、先はまるで海を思わせるような波型に切られている。「みずき、「子供みたい」は禁句じゃよ♪」「長老さん……もう少し捻った名前にしてください」「じゃあ「ブイエターナルクライシスアクアティックメランコリィ」なんてどうじゃ?」「……ブイブルーでいいわ」「そうか? まあ、これで七色戦隊「ブイブイズ」の3匹が誕生したのう♪」「……長老さん、もしかして七色戦士って七匹いるんですか?」 かえんが長老に尋ねると、長老はニコニコと微笑み応えた。「そうじゃよ♪ しかもみんなイーブイの進化系、つまりブイズじゃ♪」「ブイズ……はっ! だから「ブイブイズ」なのか!? 長老!?」 今度はらいどが長老に詰め寄る。「まあそういったところじゃの♪」「……わたし、長老さんのセンスが分からなくなってきたわ……ブイブイズって……」「ほっほ♪」長老は穏やかな笑みを浮かべた。 その時突如、空を切り裂くような轟音が鳴り響き、激しい揺れがレッド達を襲った。「きゃあ!? な、なに?」「敵が来たんじゃの〜」長老は涼しげな顔で言った。「て、敵ぃ!?」「そうじゃ♪ レッド、イエロー、ブルー! 外に出て、敵を蹴散らしてくるのじゃ〜!」「はい!」「いーっえっさー!」「了解しました……ハァ」 そう長老に告げると、三匹は外へと駆け出していった。 「……頼んだぞ、ほっほ♪」 中編に続く!
「うわあああ!」 レッドが驚き、「おー!」 イエローがなぜか歓喜の声をあげ、「えー……」 ブルーは若干冷めた声で呟く。 それもそのはず、3匹の目の前では大勢のワルビルが暴れていのだ。 その内の1匹と目が合うとそのワルビルが他の奴等に呼びかけ、ワルビル達が一斉にこちらへ目を向けた。 その目は血走っていて、レッドは先程のグラエナ達を思い浮かべた。「こいつらを蹴散らせばいいんだな……イエロー、ブルー、行くぞ!」 レッドはそう叫ぶと、真紅のマントをはためかせワルビル達に向かって走っていく。「うおっしゃー! いくぜぇ!」「いちいちうるさいわね! まったく……」イエローの叫びにブルーがすかさずつっこむと、2匹もレッドに続きワルビル達に向かっていった。「グオオオオ!」 ワルビル達に飛びかかったレッドはその地の底から響くような唸り声に一瞬怯んだが、大きく息を吸い込み気を引き締め、自分に噛み付こうとしたワルビルに「かえんほうしゃ」を放つ。 その隙をついて地中から「あなをほる」を繰り出したワルビルをさっとかわし、尻尾にググっと力を入れ渾身の「アイアンテール」をお見舞いする。 その時レッドは気付いた。 なんだかいつもより力強い気がするのだ。 これが七色戦士の力だろう……これで「フレアドライブ」が出せればな、と一瞬思ったが今はそれどころではない。 レッドは4、5匹で襲い掛かってきたワルビル達を蹴散らす為、形だけでも……と覚えた「ニトロチャージ」でぶつかった。 同じ頃、他の2匹もいつもと違うことに気付いていた。 イエローは飛ぶように走ってワルビル達を翻弄し、木の枝に飛び乗ると「ミサイルばり」を連射する。 ワルビル達はそれを受け、倒れた。 しかしまだ沢山いるワルビルにイエローは舌打ちをしながら木から飛び降り、その急降下の勢いで「ずつき」をぶちかました。 ブルーはワルビルの攻撃をまともに食らっていたが、その体には傷1つ付いていない。 ブルーは体をかがめて「アクアリング」を発動し、とどめとばかりにワルビル達が繰り出した「すなじごく」をやり過ごして、「なみのり」で一気に吹っ飛ばした。 そうしてワルビル達をあらかた倒した時、先程と同じ振動と地響きが聞こえた。 3匹が聞こえた方を向くと、そこにはーー イエローが口角を上げて呟く。「……へっ、ボス登場……ってか?」 赤と黒の縞模様の体、大きく伸びた顎。 ワルビルと似ている目つきだが、威圧感はこちらの方が何倍もある。 ーーそこには通常の2倍はありそうな巨体の、ワルビアルが鎮座していた。 後編に続く!
「グオオオオオオオ……!」 ワルビアルの巨大な咆哮が地に響く。それに連動するかのように、倒れていたワルビル達が次々に消滅していく。 「き、消えた!?」 レッドが驚愕し、叫ぶ。 その時、3匹の頭に声が響いた。 (レッド! イエロー! ブルー! 聞こえるか!?) 「長老さん!?」 一体どこから話しているのかと、ブルーはきょろきょろと辺りを見回す。 (聞こえているな! これはテレパシーじゃ!) 「テレパシー!?」 イエローは長老の言葉に、危うく木から滑り落ちそうになった。 (今はそんなこと、どうでもいい! 大変なことが分かったんじゃ! おぬし達が倒したワルビルは、作り物じゃ!) 「作り物!?」 (ああ、それ故にいくらでも作り出すことが可能なのじゃ! そこにいるワルビアルも作り物じゃが、それ故に普通のとは段違いに強い! 覚悟してかかるのじゃ!) そこまで言うと、長老の声は聞こえなくなった。 「ええ!? ちょっと! それだけ言われても困るんですけど!?」 ブルーが抗議するが、長老からの応答は無い。 「とにかく、倒しゃいいんだろ倒しゃあ!」 イエローは木から飛び上がり、「ミサイルばり」を乱射する。ワルビアルはそれを受けた……が、何も感じていないようにイエローの方を向いて、自らの周囲に尖った岩を無数に生み出し「ストーンエッジ」を放った。 「うわあああ!!」 イエローはそれをまともに受け、地面に激突し、気を失った。 「イエロー! くっ……!」 ブルーは、「ハイドロポンプ」を至近距離から放つ。 ワルビアルはそれを間一髪の所でよけた。 「あっ……!」 「グオオオオ!!」 ワルビアルの叫びが耳を付く。 レッドは恐怖に震えていたが、なにかを決意するような眼差しで、ワルビアルをぐっと睨んだ。 「オレは……ここで負ける訳にはいかねぇんだ! 負けて……たまるかあああ!!」 その叫びと共に、レッドのバッジが真紅に輝き、レッドの体が赤い炎に包まれる。 「うおおおおお!!」 レッドは風のように疾走し、飛び上がった。そして。 「フレアドライブ!!」 ……そう叫びながら、ワルビアルに激突した。 ーー薄れてゆく意識の中でレッドが見た物は、発光しながら消えていくワルビアルと、駆け寄ってくるブルーの姿だったーー ……続く!
「……い、おい、かえん!」 ハッと目を覚ますと、そこは洞窟の中で、長老さんとみずきがオレの顔を覗きこんでいた。変身は解けていて、オレの首にはいつのまにか七色戦士に変身するためのパワーストーンが下げられていた。 「やっと気がついたか」 「かえん……大丈夫?」 「ああ……大丈夫だ。けど……長老さん。一体アイツらは何だったんですか? それからオレ、「フレアドライブ」を出せたんですが……」 「待て待て待て。そんなに矢継ぎ早に質問するな。ちゃんと答えるから」 長老さんは咳払いを1つすると、話し始めた。 「ーーまず、あのワルビル達はの、テレパシーで伝えた通り、作り物じゃ」 「作り物って、どういうことですか?」 オレの隣にいたみずきが、長老さんに詰め寄る。 「つまり、何者かがこの地を荒らすためだけに作った命の宿らぬ兵器……ということじゃな」 「兵器!? でも……一体、誰がそんなことを?」 戦った感触では、普通のポケモンとはなんら変わりないように感じた。そんな物をあんなに大量に作り出せるポケモンなんて……とオレとみずきが考えていると、長老さんが驚くべき名前を口にした。 「ーーアルセウス」 「アルセウス!? ……って、神話に登場する、この世界を作ったとされるポケモンのことですか?」 「そうじゃ」 神話によると、アルセウスは何もない所にあったタマゴから生まれ、この世界を作り出したポケモン……らしい。 「確かに、創造神と言われているくらいだから、ポケモンを作り出すことだってできるわよね……」 「でも、アルセウスって本当に存在するんですか? 神話でしか聞いたことないんですが……」 そこで長老さんが、本日2度目の爆弾を投下した。 「アルセウスは存在するぞ? わしは合ったことがあるからの♪」 一瞬の沈黙……そして、 「「えええええーーっ!?」」 洞窟にこだまする、オレとみずきの叫び声。 「……しまった、これは内緒の話じゃったな」 長老さんは気まずい顔をしている。 「あ、あったことがあるって、長老さんって本当に何者なんですか!?」 「テレパシーといい、気になるんですが!?」 オレとみずきの2匹で、長老さんに言葉を浴びせる。 「あー……ま、今のところは ひ み つ じゃ♪」 「秘密って……!」 ……長老さんは本当に何者なのだろうか……。 「それよりもうひとつ、かえんが何故「フレアドライブ」を出せたのかじゃろ♪」 オレはハッとして、未だ長老さんに「つららばり」の如く言葉を次々と浴びせているみずきを押しのけ、長老さんに詰め寄った。 「そうです! なんでオレ、「フレアドライブ」を出せたんですか?」 「それはの、七色戦士の力の一つじゃ。七色戦士はそれぞれ「究極技」という物を持っておっての。ブイレッドの究極技が、「フレアドライブ」なのじゃ」 「究極技……」 「しかし、究極技は多大なリスクを伴う技が多くての……一回の変身で一回しか放てないのじゃ。 そして体力を大幅に消耗する上、変身が解けてしまうこともある」 「なるほど……」 オレは納得した。変身が解けていたのは、究極技を使ったからなんだな。 と、そこでオレはあることに気付いた。 「長老さん、あの……1つ質問いいですか?」 「なんじゃ? かえん」 「すっかり忘れてたんですが……らいどはどこにいるんですか?」 「……あ、らいど!」 オレが質問すると同時にみずきは走り去る。 「ああ、らいどはの。ワルビアルから受けた攻撃で気を失って、かえん、おぬしと共にみずきが運んできたのじゃ。今は別の部屋で休んでおるぞ」 「……部屋?」 「おや、気付かなかったかのう? この洞窟は案外広くての。 えーと、ここのすぐ隣の部屋じゃ」 「そうなんですか……痛っ」 オレが動こうとすると、体に痛みが走った。 「かえんはもう少し寝ているといい。 わしはらいどの様子を見てくるでの♪」 長老さんはそう言うと、いそいそと部屋を出ていった。 長老は部屋を出てらいどがいる部屋へ向かいながら、小さく呟いた。 「ふう、危なかった……。かえん達にはまだ、「あのこと」は秘密にしておかねばの……♪」 ……中編に続く!