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  [No.1191] メイとポケモン(完結) 投稿者:焼き肉   《URL》   投稿日:2014/09/16(Tue) 23:44:29   54clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
タグ:ポケモンBW2

 BW2が個人的にとても楽しくて、なんだか手持ちにもやたらと愛着が湧いてしまったので、メイ+手持ち一匹ずつのssを投稿させていただくことにしました。一話完結方式で全六話。読む方も書く方も肩肘張らずにいられるし、もし途中放棄することになっても大丈夫(笑)な構成となっております。

 もちろん最後まで書くつもりですが、そのくらい軽く見守ってくだされば幸いです。

 自分の中でイマイチメイのキャラが定まっておらず、カフェラウンジ1Fで投稿させてもらったものと微妙にメイの性格が違ってたりしますが、その辺も華麗に流す方向で。

 というかこんなんやるくらいなら一粒万倍日企画に出した方をなんとかしろという話ですが、こっちのが先に二話くらい書いちゃっていたもので。ハハハ(乾いた笑い)

 9/22追記
 無事終わりました。完結おめでとう私!


  [No.1192] 1.わたしのルリたま 投稿者:焼き肉   《URL》   投稿日:2014/09/16(Tue) 23:49:01   59clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
タグ:ルリリ→マリルリ

 わたしのルリたまは、ルリリからのつき合い。タマゴからかえったわけじゃなくて、牧場をうろうろしてたら、ひょっこり草むらから顔を出してきて、すっごくかわいかったの。逃げるルリたまを追いかけてたら、うっかり迷っちゃって、ルリたまを捕まえた時には道がわからなくなっちゃってた。

 牧場主さんたちのところか、ヒュウちゃんのところに戻りたくても、戻れない。困ってたら、迷子になってた牧場主さんのポケモンと、変な格好の男の人を見つけた。わざマシンをくれたけど、あんまりいい人って感じもしなかった。

 あ、ルリたまって言うのはね、ルリリのこと。しっぽの先のボールみたいなのがすっごく大きくて目立つから、ルリたま。ルリリの身体も、ボールみたいにまん丸。

 しばらくの間、他のポケモンのみんなと一緒に旅をしてたら、急にきれいな光に包まれて、姿が変わっちゃったけど。なんかね、仲良くなると進化するんだって。不思議だね、ってヒュウちゃんに連絡したら、不思議だねはこの地方にあんまりいないし不思議なのはメイ、おまえの方だって言われた。どういうことだろ?

 進化した後のルリたまは、ますます楽しそうに、わたしのそばをとびはねるようになった。大きかったしっぽの先のたまは、半分くらいの大きさになっちゃった。

 もうルリたまって呼ぶのは変かなあって思って、姓名判断師さんに占ってもらおうかなと思ったりもしたけど、わたしがルリたまって呼ぶと元気にとびはねてくれるし、マリルになったルリたまもやっぱり丸っこいからだから、まあいいかなあって思ってやめちゃった。

 もうしばらく旅を続けていたら、ルリたまがまた光に包まれた。今度のルリたまはもうたまみたいに丸くはなくて、朝ご飯にハムエッグにするたまごみたいに縦長い形になっちゃった。今の姿はマリルリって言うんだって。もうたまってつけるのは変だろうな、って思ったけど、試しにマリルリって呼んでみたら、変な顔をされちゃったから、今もルリたまはルリたま。

 しっぽの先のたまも、ずいぶんちっちゃくなっちゃって、旅の途中で一休みするときにあのたまの上に座ってくつろいでたのが、ヒュウちゃんが巨人に見えてた子どものころくらいに、ずーっとむかしのことに思える。

 だけど、わたしにとって大きくなってもヒュウちゃんがずーっとヒュウちゃんなように、ルリたまもたまじゃなくなってもずーっとルリたま。なんだがそれってとっても楽しい。わたしも大きくなったからって、メイからメイおとななんて呼ばれるようにはならないもんね。

 ルリたまがルリたまらしかったのは、ずーっとむかしのこと。でもね、ルリたまをルリたまって今も呼ぶのは、大事な思い出がこなゆきみたいに降り積もった結果なの。



 それとね、旅の途中で、わたしと同じ旅のトレーナーさんに聞いて知ったんだけど。不思議だねってポケモンがカントー地方にいるんだって。ライブキャスターでお話ししてた時にヒュウちゃんが言ってたのはこのポケモンのことだったみたい。だけどわたしが不思議って言うのはまだよくわからない。


  [No.1193] 2.ワシワシはワシワシ 投稿者:焼き肉   《URL》   投稿日:2014/09/16(Tue) 23:51:57   52clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 ワシワシはタマゴから生まれた。通信交換でもらったタマゴからかえって、わたしの仲間になってくれたの。
またいい忘れてたけど、ワシワシっていうのは、ワシボンのことね。実はわたし、ワシワシの本当の名前をワシ
ボシだと思ってて、タマゴからかえった時、図鑑で見てみて、びっくりしたんだあ。

 ウメボシってつけようと思ってたのに予定が狂っちゃって、どうしようかって思った。困ってるわたしなんか
ぜーんぜん関係ない、って顔で、ワシボンはじっとわたしのことを見てた。

 見てはいるけど、近寄っては来ないの。怖いっていうよりは、様子を見てるって感じだったかなあ。どうも何
をするにも慎重な性格みたい。変なことしててよく怒られるわたしよりはずっと、頭も良さそう。

 ワシボンは大都会のヒウンシティでタマゴからかえったけど、怖がったり珍しがったりして辺りをチョロチョ
ロすることもなく、わたしのそばで、わたしを見上げて、じっとしてた。

 かしこいなあって思って頭をなでなでしたら、素直にワシワシ頭をなでさせてくれた。

 その時、これだー!! ってひらめいたの。

「今からあなたのお名前はワシワシね、決まり!」
「ワシワシワー!」

 ワシボン改めワシワシは、元気よく返事をしてくれた。

 ワシワシはそれから立派な大きな鳥さんになったけど、マリルリのルリたまと違って、今度は名前を変えよう
かなって悩まなかった。

 だって大きなカッコいい鳥さんになっても、わたしにワシワシ頭をなでさせてくれるのは、変わらないんだも
ん。


  [No.1194] 3.ミネズミの思い出 投稿者:焼き肉   《URL》   投稿日:2014/09/17(Wed) 21:01:37   46clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 ミルホッグのキョロは、結構のんき。バトル中にピンチに陥っても、ボロボロになりながら平然としてるから
、逆にわたしがキズぐすりを片手にオロオロしちゃうこともある。それでよくその辺をキョロキョロしてるから
、キョロ。

 あと、これはオスだからか、街の外で休んでる時に、物をその辺にポイポイ投げるのが困りもの。

 街の外にはいっぱいポケモンが住んでるんだから、散らかしたらダメだよ。って言うんだけど、なかなかこの
癖は直らない。今日もポイポイものをその辺に散らかしている。どうもわたしが持たせている道具とはまた別に
、いろんなものを毛皮の中に隠してるみたい。

 キョロなりの宝物なのか、休んでいる時にそういうものを取り出しては眺めている。

 それはビー玉だったり、何の変哲もない石だったり、さびたどこかのカギだったりするけど、なんとなく大事
にしてるのもわかるかなーって気もする。

 その宝物の山の中に、わたしは見覚えのある物をみつけた。オレンジと黄色のストライプも、見るからに甘く
ておいしそうな缶。

 ミックスオレの入っていた缶。

「キョロ、まだこれとっておいてたんだ」
「ギュギュ……ホグー」

 あ、そっぽ向かれちゃった。もう結構仲良くなれたと思ったんだけどなあ。

 「これって なあに?」のミルホッくんみたいに、言ってることがわかればいいのになあとときどき思う。

 ○

 キョロとは、ザンギ牧場のちかくにある、20ばんどうろで出会った。わたしは、ちっちゃいころからネズミ
ポケモンが好き。だからルリたまも仲間にしたし、ミネズミだったキョロも仲間にした。

 でも……ミネズミには、ちょっと気まずくなっちゃう思い出がある。だから、わたしがミネズミのキョロを仲
間にした時最初に言ったのは、よろしくね、でもはじめましてでもなくて、

「あの時はゴメンね!」
 
 という、ゴメンなさいの言葉だった。なんのことだかわからないキョロは周りをキョロキョロするばかりだっ
たけど。

 わたしはむかし、ミネズミをいじめちゃったことがある。と言うと、元プラズマ団の人に怒られそうなんだけ
ど、わたしとしてはいじめるつもりはなかった。

 ただ、ヒオウギの町の中に迷って入ってきたミネズミが、すっごくかわいくて、一緒に遊ぼうと思って、追い
かけ回しちゃったの。そのミネズミは、もちろん野生だったから、ちっちゃい頃のわたしが追っかけ回してくる
のが怖かったんだと思う。

 行きなり逃げるのをやめたと思ったら、あのするどそうな歯を、わたしに向けてきた。びっくりしたわたしは
どうすることもできなくて、ただ体が固まっちゃって、あと少しで噛まれちゃう、ってところで、ヒュウちゃん
が割って入って代わりに噛まれちゃった。

 わたしはミネズミがヒュウちゃんを噛んで逃げちゃったことと、ヒュウちゃんがわたしのせいでケガしちゃっ
たのとで、悲しくてボロボロ泣くばっかりで、あの時のわたしって本当にバカだったんだなあって思う。今もバ
カってたまにヒュウちゃんに言われるけど。ともかく、そういうことがあったから、わたしはキョロに反射的に
ゴメンねって言っちゃったんだ。

 もちろんあの時のミネズミとキョロは別の子だってことは、わたしにもわかってた。でも同じミネズミである
キョロを見ていると、勝手に言葉が出てきちゃったの。

 それからわたしは、いつもミネズミだったキョロのことを注意して見てた気がする。のんきな性分が変な方向
に行っちゃってるのか、キズだらけになってもボケっとしてるのが、なんだかわたしよりも危なっかしくて。

 その日のキョロの回復のお薬が、少しおそい仲間になったお祝いも兼ねたミックスオレだったっていう、ただ
それだけのお話。
 
「なつかしいね。いろんなことがあったから、ずっと前のことみたい」
「ギュウウウウ……」

 Nさんじゃないから、ポケモンの言葉を理解するのはムリだけど。
 今のキョロの気持ちはなんとなくわかった。
 恥ずかしかったんだ。


  [No.1198] 4.フカフカフワフワワンワンディ 投稿者:焼き肉   《URL》   投稿日:2014/09/18(Thu) 20:19:26   55clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 わたしのガーディの名前は、ワンディって言う。理由は、ワン、って鳴くから。バウ、じゃねえのってヒュウ
ちゃんに言われたけど、ワンって聞こえるからバウディじゃなくてワンディ。

 タチワキシティの近くのタチワキコンビナートの草むらから、呼ばれてないけど飛び出てきたからつかまえた
。タチワキコンビナートには、他にも真っ赤な炎の体のブビィもいて、なんでだろってヒュウちゃんに聞いたら
、コンビナートだからだろって言われた。なんでコンビナートだからワンディがいたんだろう。というかコンビ
ナートってなんだろう。

 フカフカのワンディの体は抱きしめるとあたたかい。ちょっとトゲトゲしてる白い毛皮はラブタのみみたい。
でも苦くはないよ、きっと甘い。

 フカフカの毛皮があたたかいのは当たり前かもしれないけど、お布団とかジャンパーとはまた違うあたたかさ
があると思う。なんというか、生き物のあたたかさが一緒に来てる感じ。
 
 抱きしめるとあたたかいっていうのは、ミルホッグのキョロとかワシボンのワシワシも同じなんだけど……、
やっぱり他のみんなよりあたたかい感じがする。

 それはガーディって種族がほのおタイプなのもあるんだと思う。お布団やジャンパーよりも、他のポケモンよ
りもあたたかいワンディは、触ってもヤケドをしない炎みたい。
 
 街の外で野宿しなくちゃいけない時、ワンディがそばで丸まっていると、ずっとたき火の炎がそばで燃えてい
るみたい。

 寝るときはワンディが寒くないように、フカフカのタオルケットでワンディのちっちゃな体を包むのだけれど
、ワンディはあんまり何かを被って寝なくてもだいじょうぶみたい。
 
 寝てる間に被っているタオルケットが燃えたりもしない。だけどワンディと一緒に寝ていると明らかにそのま
ま寝るよりあたたかい。

 おとなしい性格なのも影響してるのかも。ごはんの時も、一番静かに、だけどおいしそうに食べるお利口さん


 だけど、優しい炎は強い。覚えたてのフレアドライブを初めて放った時のワンディは、きれいなフワフワの毛
皮を焦がしながらも、すごく勇ましかった。

 強くなったあなたをもっと強くしたくて、PWTで頑張って、この地方じゃめずらしいほのおのいしをもらっ
たのに。

 後でヤマジタウンを歩いてたら、誰も落として困ってそうもない、ホコリをかぶったほのおのいしを見つけて
、二人して笑っちゃったよね。

 ウィンディになってわたしよりも大きくなったワンディは、前よりもあたたかくなったような気がする。ちょ
っぴり夏場は大変そう。

 大きくなった体に炎をまとって、バトルの相手にとっしんしていくあなたは、わたしのポケモンの中で一番動
きが軽やかです。 



 カフェラウンジ1Fの一粒万倍日企画に昨日出したもの。今日出すとか言ってしまったので書いて投稿しまし
た。


  [No.1199] 5.リオールと骨 投稿者:焼き肉   《URL》   投稿日:2014/09/19(Fri) 23:18:14   60clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
タグ:リオル→ルカリオ

 サンギぼくじょうにリオルがいるって聞いた時は、ずいぶん粘った。ルリリヨーテリー(牧場主の夫婦さんたちのじゃない、)ルリリメリープメリープメリープコダックコダックノコッチヨーテリーヨーテリーヨーテリー……。

 クタクタになって、やっと草むらの影にリオルのたれ耳(だと思ってた部分)を見つけた時には、私の服とか
髪とか顔は草まみれになってた。もしこの時にガーディのワンディがいたら『草くさいな』って感じで鼻をふん
ふん鳴らされてたかも。

 その時のわたしは頭のお団子まで草がくっついてても、ベタベタする草の実がスカートにくっついてても全然
気にならなかった。 

「見つけたー! 青いたれ耳わんこ!」

 わんこだと信じて疑わなかったリオルを、やっとのことで見つけたうれしさいっぱいだったから。

 リオルは、草まみれのわたしが喜んでいるのに気がついたのか、耳──頭から垂れてる黒いとこじゃなくて、
てっぺんについてる体と同じ、青い耳──をピクピクさせて、変な顔をしていた。

 その時初めて、リオルの頭の横に垂れてる黒い何かは耳じゃないということを知った。
 その後ポケモンずかんを見て、犬ポケモンじゃなくて「はどうポケモン」だということも知った。

 ○

 わたしに慣れてくれたころ、リオルはルカリオに進化した。進化したら目立たない耳がピーンと伸びて、そっ
ちが耳だとわかりやすくなった。
 
 リオルの時からこんな感じだったら、わたしも間違えずに住んだのに。ヒュウちゃんに耳の位置を間違えたって
ライブキャスターで言ったら、マンガみたいにゲラゲラ笑い転げた。ひっくり返ったせいでライブキャスターか
らヒュウちゃんの姿が消えて、しばらく笑い声だけが聞こえてた。酷い。

 それに耳の下から垂れ下がっていたアレも二つから四つに増えたから、そういう意味でももう耳とアレを間違
えることはないと思う。

 本当にアレはなんなんだろう。トロピウスの顎の下にみのってるフルーツみたいなものかな? って思ったけ
ど違うみたい。引っ張ってみたかったけど絶対痛いし二度と生えてこないだろうからやめた。

 でもバトル中、動くたびにアレも一緒に動いてるのを見ると、こう……背後から引っ張ってみたい気持ちが…
…ダメダメ、昔似たようなことしてミルホッグのキョロの仲間を驚かせちゃったじゃない。
 
 なんなんだろう、って言えば、ルカリオの分類もそうだ。見た目的にはぜったいワンコだと思うんだけど、図
鑑での分類は「はどう」ポケモン。

 でんきとかかくとうみたいなタイプとはまた違う、ポケモンの種族の分類の仕方は、一番目立つ特徴を元に分
けられるみたい。

 ミネズミがいかにもネズミ! って感じにあのプクプクほっぺにごはんを詰めたり、そのものズバリミ「ネズ
ミ」って言われてるのに「みはり」ポケモンって言われてるのもそういう理由からみたい。確かにミルホッグの
キョロは、ミネズミの頃ずっとキョロキョロしてたもんね。

「ねえねえリオール、あなたってわんこじゃないの? それとその耳の下についてる黒いのはなんなの?」
「くわん?」

 関係ないけどわたしのルカリオはリオールって名前だ。リオルが訛っただけじゃねえかというのはヒュウちゃ
んの意見。

 リオールははどうでなんとなくこっちの言ってることがわかったみたいなんだけど、さあ? って感じに首を
ブンブン振られた。

 一刀両断。

 一刀両断するのは、あいてのポケモンだけでいいんだよ。

 それより遊ぼうよ、って感じに、リオールは顔をわたしのむねに押しつけてきた。胸のトゲトゲがちょっと痛
い。わたしはこっそり耳の下にぶらさがっているアレを触ってみる。

 なんていったらいいのかな……鉄を触ったような感じ。ヒオウギの見晴らし台の手すりとかと触ってる時の感
触が似てる。頭とか耳は生き物って感じにあたたかくてやわらかいから変な感じ。 純粋なはがねタイプじゃな
くて、かくとう・はがねタイプなことも関係してるのかな。

 頭のアレと同じ色のお手手も握ってみたら、やっぱり鉄みたいに硬かった。これで相手を殴ったりしてるわけ
かーって思うと、強いわけだなあと納得してしまう。

 ○

 まさに鋼! って感じで硬いリオールのお手手だけど、わたしはどっちかっていうと、あのお手手で戦う技じ
ゃなくて、別の技をよく使わせてる。

「リオール、ボーンラッシュ!!」
「くわーん!!」

 洞窟の中、わたしの指示する声と、リオールのよく響く鳴き声が響き渡って、それからリオールは右手を空中
に掲げた。

 薄暗い洞窟が一瞬照らされ、次の瞬間リオールは一本の長い骨を右手に握っていた。
 長い足が洞窟の硬い地面を蹴る。
 手に持った長い骨が、離れたところに立ってるガントルに直撃した。
 一発!

 本当ならここでノックダウンするはずのガントルは、ふらつきながらも体を硬い地面に寝かせることはなかっ
た。

 ──特性・がんじょう。

 洞窟を探検していると、効果抜群でレベルに差がある技でも一撃では倒れない、このがんじょうなガントルが
いっぱい出てくるから、結構やっかい。でも。

 二発!

 両手で握り直したリオールのボーンラッシュが、見事連続攻撃を決めた!
 元々レベルに差があったガントルは、そこでクラクラと体のバランスを崩して倒れた。
 二回ヒット。
 ガントルはがんじょうなポケモンだから、二回攻撃してやっと倒れてくれる。

「お疲れさま、リオール」
「くわん!」

 骨を握ったまま、勇ましく鳴いてみせるリオールは本当にカッコいい。剣と魔法で華麗に戦う、ファンタジー
小説の勇者様みたい。名付けるならそう、『波動の勇者』って感じ。これわたしが考えたんだよ。我ながらカッ
コいい。

 シュウウン、っと骨が消える。これ本当にどういう仕組みになってるんだろう。

 わざマシンを使えばサイコキネシスも覚えられるルカリオには、エスパータイプのポケモンと同じ性質もある
っていうから、そういう能力で骨も作ってるのかなあ。

 リオールにはやっぱり骨が似合うと思う。だってわんこに似てるし。アララギ博士は「他に分類するなら、キ
ツネや天狗じゃないかしら」って言ってたけど、やっぱりわたしは、はどう以外で分類するなら、ガーディとか
と同じわんこだと思う。だって懐っこくてむじゃきだし。

 わたしとしては、ふといホネを持たせてあげたいくらいなんだけどなー。ルカリオであるリオールに持たせた
ところで、全然意味ないんだけど。

「ねえねえ、リオールはやっぱりわんこなんでしょ?」
「くわん?」

 さあ知らない、って感じに、リオールは首を傾げた。わんこを押しのけてはどうポケモンの枠に入っているだ
けあって、リオールは他のポケモンより意思疎通がしやすい。

 けど、リオールも知らないことを聞いたところで、前と同じ。
 答えは返ってこない。
 ボーンラッシュ覚えるし、わんこだと思うんだけどなあ。


  [No.1200] 6.ツルのツジャータツタージャです 投稿者:焼き肉   《URL》   投稿日:2014/09/21(Sun) 16:05:44   66clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

「ツジャータじゃなくて、ツタージャなんですか?」
「うん、そうだよ?」

 ベルさんは赤いメガネの奥にある緑の瞳を、ちょっと細めてうなずく。わたしは今のいままでツジャータだと
思ってた。

 後でワシボンの名前も間違えて覚えていたことに気がつくんだけど、それはまた別のお話。

 ツタージャ、ツタージャ……。

「ツタージャ、ツタージャ……」

 頭の中で唱えてから、口にも出してみると、たしかにそっちのほうがしっくり来るような気がした。ツジャー
タなんて言いにくくて嫌な感じ。何で間違えてたんだろう。

 ツタージャって名前が言いやすいのは、日常で使っている言葉と同じ響きを連想させるからだ。

「もしかしてツタージャのツタ、って植物のツタのことですか?」
「うん、そう。この子はね、少し育てれば「つるのムチ」って技を覚えるんだよ。一番早く覚える草タイプの技
が、ツルなんだよねえ。手よりもツルのほうが、器用に動くみたい」

 ベルさんの補足説明してくれたけれど、カントーの方で新人トレーナーがもらえる、背中に種を背負った草タ
イプのポケモンは、種をまく技を最初に覚えるらしい。名前がそのまま、行動とか姿を表してるんだね。ツター
ジャかあ。そういえば何となくこの子はハブネークとおんなじ感じがするけど、分類はヘビさんなのかな?
 
「ツタとヘビかあ……よし、あなたの名前は、ツル!」

 植物のツタは、ツルを伸ばして大きくなるもんね。わたしはツタージャ改めツルの入ったボールに向かって笑
ったら、ボールが怯えたように震えた。

 どうしたのかと思ったけど、後でツルはおくびょうな性格なのだとわかった。

 ○

 おくびょうで驚いてばかりのツルは負けず嫌いでもあったから、バトルに出すと自分より大きな体のポケモン
でもゆうかんに立ち向かっていった。そのおかげでツルは、まさに植物って感じにグングン成長していって、あ
っという間にジャノビーになっちゃった。

 かわいいけれど怖いキバを持ったメグロコを、ツルの首の後ろから伸びた蔓が容赦なくひっぱたく。効果抜群
の技に、たった一撃でメグロコは倒れた。

「ツルすごい! つのドリルみたいな一撃必殺だったよ!」

 砂漠の中に一人で立っているツルわたしが心からの拍手を送ると、ツルは当然って感じに、大きくなった体を
後ろにそらしていばるのポーズを取った。

 ツルはいばる覚えてないんだけどね。カッコよかったから、口を開けてのびてるメグロコのキバを見てひいっ
てなったのは見なかったことにしてあげよう。

 ○

 ジャローダになるころにはバトルの経験も積んでツルなりに自信をつけたみたいで、バトル中でもこう、貫禄
のようなものが出るようになった。

「ツル、やどりぎのタネ!」

 体からツルと同じ色のツル植物が伸びたかと思うと、先端に白いつぼみをつけ、咲かせ、あっという間に枯れ
て、大きな種を作り上げる。この間、わずか数秒。遠くの地方の森にいるという、時の神様がお手伝いをしてい
るみたいな早ワザだ。

 その種が、対戦相手のヒヤッキーに向かって飛んで行く。ヒヤッキーの体についた種は、さっきよりも速いス
ピードで体を伸ばし、ぐるぐるとヒヤッキーの体を覆う。

 みずポケモンだからか、心なしか他のポケモンに種を植えつけた時より成長スピードが早い気がする。気のせ
いだろうけれど。ヒヤッキーが一瞬ガクリと膝をつく。膝をつきながら彼女(彼?)は、いつも笑顔だけれど、
目の奥は闘志にメラメラ燃えている。

 相手トレーナーが指示を出した。笑顔の瞳がキラリと光る。ホースのように伸びたしっぽがツルを見る。フワ
フワのしっぽから、鉄砲のような勢いで水が発射された!

「ハイドロポンプ……!」

 わたしは奥歯を噛み締めた。くさタイプのツルに、水タイプのハイドロポンプはあまり効かないけれど、強力
な技が勢揃いな水タイプの技の中でも、最終兵器ともいえるこの技は、向こうがこっちと相性が悪いと言っても
油断できない。ただでさえこのあたりのトレーナーは強いのだ。

 直撃を受けたツルは、吹っ飛びそうになりながらもしっぽを地面に突き立てて耐えた。すごい勢いの水しぶき
がこっちにも飛んでくる。わたしのところに来る頃には威力は弱まっていたけれど、それでもあっちのレベルが
高いのもあって、結構なパワーが残ってた。

 髪の毛も服もずぶ濡れになって、踏ん張った足が濡れた地面に足を取られて転びそうになる。ツルもそれなり
のダメージを受けたみたいだけれど、流石はくさタイプの貫禄、まだまだ大丈夫そう。

 ヤドリギの植物がツルに持ってくるヒヤッキーの体力も、こっちを助けてくれる。
 
「よーし、ツル、ギガドレイン!!」 

 若草色の光球がヒヤッキーの体から飛び出てきて、ツルの長い体に入っていく。

 対抗して、もう一度ホースのしっぽがハイドロポンプを撃ってきた。

 だけどやどりぎとドレイン、二重に水から栄養を奪いとったくさタイプのツルは、元気に飛び跳ねてその攻撃
をよける!

 当然こっちに来た流れ弾を、わたしも間一髪でよけたけれど、一瞬髪がかすった。鉄砲水に引っ張られてちょ
っと痛い。

 日よけの水を被ったサンバイザーの位置を直しながら、わたしはツルに向かって叫んだ。

「もういっちょ、ギガドレイン!!」

 それで勝負がついた。やどりぎに巻きつかれたまま、ヒヤッキーの体が地面に向かって倒れる。

 ……それにしても。わたしが頼んだんだけど、結構怖いバトルの仕方かも。このやどりぎとドレイン戦法、相
性さえよければ結構一方的にのしちゃうことも出来るから、ツルもお気に入りみたい。

 これをやってる時のツルも怖い。さっきから「フシャシャシャシャシャ!」とか笑い声が止まってない。まさ
に女王さま。ツルはツタージャにはちょっとめずらしい、女の子だったからね。男の子だったら王さまになるの
かなあ。

 なんて考えてたら、通りすがりのヤンヤンマが高笑いしてるツルに直撃した。

 すっかり成長したツルなら、ちょっとたいあたりされたくらいじゃ全然痛くないと思うんだけど、ツルは「フ
ジャー!!!」って少しチョロネコっぽい感じの叫び声をあげた。タイプ的に虫ポケモン自体が怖いっていうの
はわかるんだけど……。

 ああ、女王さまになってもおくびょうなのは相変わらずなんだなあ。


  [No.1201] ちょっとしたエピローグ 投稿者:焼き肉   《URL》   投稿日:2014/09/21(Sun) 23:21:59   55clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 思い出を振り返った先にはみんながいる。

 ルリたまも、ワシワシも、キョロも、ワンディも、リオールも、ツルも。お母さんも、ヒュウちゃんも、アラ
ラギ博士も、ベルさんも、チェレンさんも、Nさんも。

 前を向けば、思い出はまだまだ続いているみたい。

 たまには帰って来て顔を見せなさい、ってお母さんは言うけれど。

 ごめんなさい、お母さん。

 もうちょっと。

 もう少しだけ──。

 たのもしいみんなと一緒に、歩いてくるね。


  [No.1202] メイとポケモン・おまけ 投稿者:焼き肉   《URL》   投稿日:2014/09/21(Sun) 23:45:06   40clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 というわけで、自然保護区に行くための、ポケウッドスターになるための、黒の摩天楼攻略のための、メイち
ゃんの旅はもう少し続くのです。

 同時進行でXYもちょこちょこやってるから、捕まえたポケモンとかの情報がごっちゃになってます。

 イッシュ図鑑が無事埋まったらHGSSもやり直したいし、その前にめぼしいポケ全部BW2にうつしたいし
、ますますごっちゃになりそう。

 以下はssのモデルになったポケモンのデータ。

 マリルリ♀/ルリたま Lv79 しんちょうな性格。力が自慢。
 おんがえしにはずいぶん助けられました。

 ウォーグル♂/ワシワシ Lv77 しんちょうな性格。のんびりするのが好き。
 BW1からタマゴを貰ってきました。進化するのがおそいぶん、結構強い。

 ミルホッグ♂/キョロ Lv69 のんきな性格。ものをよく散らかす。
 ひでん兼捕獲要員。だけど、でんじはとタイプ一致かいりきで結構ストーリーのバトルでも頑張ってくれまし
た。 

 ウィンディ♂/ワンディ Lv73 おとなしい性格。食べるのが大好き。
 何にも考えずに使っても強い。フレアドライブはやっぱり強力。

 ルカリオ♂/リオール Lv70 むじゃきな性格。粘り強い。
 波導の勇者は大好きなポケモン映画の一つだけど、使ったのは今作が初めて。
 技がどれもカッコいいし普通に強い。ボーンラッシュ覚えさせてるのはXYアニメの影響です。

 ジャローダ♀/ツル Lv62 おくびょうな性格。負けず嫌い。
 ゲーム下手くそなんで、しょっちゅう瀕死にさせてばかりだったような。(そのせいかレベルも一番低い)
 くさタイプの弱点の多さが悲しい。ツタージャに限らず、デザイン好みな子多いんですけどねー。
 やどりぎのタネは結構な強みだと思います。



 育成全くわからないのでその方面のツッコミは許してやってください。
 連載形式でss書いたことなかったんで割とぐったりしてます。一気に書くからいけないんでしょうけど。
 できたらXYでも似たようなことやりたいなあ。
 


  [No.1204] Re: メイとポケモン(完結) 投稿者:砂糖水   投稿日:2014/09/28(Sun) 01:24:11   44clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

もぎゃー!私が感想書くの手間取ってるうちに完結した、だと…。
焼き肉さん筆早すぎて追いつかないですよ…?
それはさておき。
一粒万倍日企画のご活用ありがとうございます!

焼き肉さんらしいほのぼのとしたお話でとってもぐーっ!です。
BW2を実際プレイした時はライバル?のヒュウはなんかこう、嵐のようにやってきて去る感じで、あまり親しみとかを感じなかったんですよね。
でもメイちゃんがヒュウちゃんって呼んでて、なんだこれかわいいwってなりました。
一匹一匹について書かれているから、メイちゃんがみんなのことをそれぞれどう好きなのかがわかってほっこりしました。
ウインディは夏場大変そうですよね…でもフカフカふわふわは憧れ。
エピローグの
>  たのもしいみんなと一緒に、歩いてくるね。
がすごくぐっときました。もう少しだけ、みんなと一緒。
うーん好きです。


  [No.1206] Re: メイとポケモン(完結) 投稿者:焼き肉   《URL》   投稿日:2014/10/02(Thu) 22:02:01   47clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

 砂糖水さん、感想ありがとうございます。やたら書く手が乗ってこんな量になってしまいましたが、なんか全
部に目を通してくださったみたいで恐縮です。

 企画主とはいえ、全部の作品に目を通して感想を送ってらっしゃるそのパワフルさには恐れ入ります。

 ヒュウ好きなんでちょっとかわいさとか感じていただけてたらとてもうれしいです。エピローグはホントにオ
マケって感じなんですが、ちょっとでもいいなーって思っていただけたなら幸いです。