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[No.373] ズイ農生の日常。 投稿者:こはる  投稿日:2010/08/11(Wed) 20:57:56   31clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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 ズイ農林高等学校、略してズイ農。広大な敷地面積をほこり、飼育するポケモン数は全国屈指。ー次産業に携わることを志した若者が全国から集まってくる農林高校である。

 刈り入れ期のライグラスが風にゆれ、伝書ポッポたちが訓練に飛ぶ。遠くでは、のんびりミルタンクたちが放牧されていた。そんなのどかな酪農風景に似合わない悲鳴がとどろいた。
「四号が逃げたぁッ!」
 南の放牧場に面する牛舎からだ。
 悲鳴に次いで、とどろいた破壊音。壁がゆらぎ、埃がもうもうと立ち上がっている。
「今日の当番、誰だっけ?」
「たしか、ハルだ」
 牛舎に近いライグラス畑で刈り取り作業中の生徒が、牛舎をみた。他人事のように、のんきに話し合っている。
「だれが四号に[ころがる]を覚えさせた!?」
 叫びと悲鳴と轟音から察するに、今日の牛当番であるハルが、四号に[ころがる]をされているらしい。飼育されているポケモンには、危険な技を覚えさせないようにしているのだが、誰かが覚えさせたらしい。
「ハセ先生だろ」
「あのバネブー男か」
 あっけらかんと笑いながら、ライグラスを刈り取っていく。[ふみつけ]だの[とっしん]だの[たいあたり]だのを食らうのは、日常茶飯事だ。
「まぁ、ハルは不運だったってことで」
「あとで忘れじいさん、呼んでもらわないとな」
 危なくって、搾乳できやしない。
 笑いながら、ふたりはせっせと鎌を動かしてライグラスを刈る。刈ったライグラスは、ケンタロスがひく車で乾燥舎まで運ぶことになっている。
「いやぁ、晴れてよかったな」
「ホントに。雨降ったら、土日返上だもんなぁ」
 風が吹きぬけるライグラス畑は、どこまでも広い。ライグラスをつまみ食いするケンタロスの毛が、淡く輝いている。


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《書いてもいいのよ》《描いてもいいのよ》


[No.376] 先生! 実習に行かせてくださいっ! 投稿者:No.017  投稿日:2010/08/12(Thu) 07:56:27   3clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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> ズイ農林高等学校、略してズイ農。
この発想は、ありそうでなかった。これはよい。
こいつは全国の学生がホイホイだぜえ。学生時代を思い出すねぇ
少なくとも私はホイホイされたっ

> 伝書ポッポたちが訓練に飛ぶ。
実習に行ったら伝書ポッポ係にして欲しいですっ
ポッポたんの届ける手紙ハァハァ

> 「四号が逃げたぁッ!」
いかにも牛っぽいです。
きっと伝書ポッポもなんとか号ってつくんだろうな。
コシヒカリ号とか(待て

> 「だれが四号に[ころがる]を覚えさせた!?」
ここで爆笑!
10年以上前にアリゲイツを惨殺された私は
アカネのミルタンクの恐ろしさを身にしみて知っています…

> 「ハセ先生だろ」
> 「あのバネブー男か」
このハセ先生なる男の正体が気になって仕方ありません。
次はぜひ彼をクローズアップしてくださいませ!
(希望的観測)

> 「あとで忘れじいさん、呼んでもらわないとな」
ああ、わすれじいさんってこういう需要あったんだ…
大繁盛ですね、もう

>  危なくって、搾乳できやしない。
ポケモンの世界では乳搾りも命がけです。
いやリアルなほうも牛に蹄の回し蹴り喰らったりして大変らしいですが……。
モーモーミルクの裏にはこのような苦労があるわけですね。

>  風が吹きぬけるライグラス畑は、どこまでも広い。ライグラスをつまみ食いするケンタロスの毛が、淡く輝いている。
こらっ! つまみぐいはいけません! めっ


とりあえず直売所にあるチーズをひとついただこうか……。
え? ソフトクリームもあるの? じゃあ食べてく。


[No.390] Re: 先生! 実習に行かせてくださいっ! 投稿者:こはる  投稿日:2010/08/14(Sat) 15:15:28   3clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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> 少なくとも私はホイホイされたっ
 予定通り(むふふ。
 入学志望者は多い方が良いのです。

> 10年以上前にアリゲイツを惨殺された私は
> アカネのミルタンクの恐ろしさを身にしみて知っています…
 あれは恐ろしかった……。 【えんまく】に助けられた覚えがあります。

> いやリアルなほうも牛に蹄の回し蹴り喰らったりして大変らしいですが……。
> モーモーミルクの裏にはこのような苦労があるわけですね。
 農業生のネタ提供に感謝感謝です。ほんとに骨折したりするみたいで。

 お読みいただき&感想くださり、ありがとうございます!


[No.811] ハトと男・とある牛当番の日に。 投稿者:こはる  投稿日:2010/10/24(Sun) 17:32:44   12clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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 朝もや漂うズイタウン郊外。あと数日もすれば、ズイ農祭という名の戦争が控えているが、澄んだ空気のなかにその緊張感はない。


 朝もやの海を泳ぐように飛ぶポッポたちがいる。薄もやの中に入り、また出る。大きく旋回しては、その高度を増していく。ときどき、ちいさな翼が朝陽をはじいてまぶしい。
 なんとも絵画的風景だが、いかんせんBGMが悪い。ぱーひょろろーだのぴゅーびょーだの、この世の物とは思えない奇音が響いている。
 牛当番で早朝出校してきたアキラは、奇っ怪な音の正体を探ろうと試みた。なにせ、この奇っ怪な音が聞こえはじめると、ミルタンクたちがイライラする。音に敏感な彼女たちのご機嫌を損ねれば、ミルカーもろとも蹴り飛ばされること必定。
「ったく、どこのどいつだ。不協和音とか、どうでも良いぐらい奇っ怪だッ!」
 転がっていた小石を蹴飛ばして、なんとかイライラをぶつけてみたら。
「……だれ、あれ」
 図体のでかい奴が、なにかを吹いている。音の発生源は、おそらくあそこ。誰だ、吹奏楽部長のいる日に、こんなトンデモ曲を吹いている寝ぼけた奴は!
 と、憤っていたのだが……
 後ろ姿ではあるが、微妙に分かる位置にまで近づいてアキラは首をかしげた。さらに数歩近づいて、その人物を確認すれば、もはやアキラは驚いた声を呑み込めなかった。
「なにやってんです、ヤマノ先生!?」
「アキラッ、おま、おまえこそココでなにを!?」
 相手も、驚いた表情で振り返ってアキラを凝視する。奇っ怪な音の発生源は、畜産科学担当教員のヤマノであった。
 さらに驚いたのは、一心に吹いていたのがトランペットということだ。よくもまぁ、トランペットであんな奇っ怪な音が出せる物だと、ちょっとばかり感心する。
「うちの美牛ちゃんたちを苛立たせる、奇っ怪な音の正体を探りに」
「ちょっと待て、いくらなんでも奇っ怪は酷すぎる。せめて、下手といえ」
「いや。下手の分類に入れてもらっちゃ、困ります。うちの下級生のがよっぽどマシですから」
 それは酷い言いぐさだ……とヤマノは頭を抱えるが、そんなの関係ないとばかりにアキラは冷めた顔だ。
「だいたい、なんだってこんな朝っぱらから。朝の搾乳終わったばっかですよ」
 あきれた声で聞いてみると、ヤマノは意外にも強く答えた。片手にもったトランペットを振り回して、なぜか力説をはじめる。
「朝もや、鳩、朝陽、トランペットと来たら、朝って決まってるんだ!」
「んな決まり初めて聞きました! なんだって朝なんです」
 アキラが怪訝な顔で訊ねると、今度はトランペットを抱え、ヤマノは思い出に浸りはじめた。
「いつか観た映画がある。その中で、主人公がトランペットを吹いて、朝陽を浴びた鳩が飛んでたんだ。たったそれだけのシーンなのに、俺は泣けた」
 たぶんあの映画だろうなと見当がつく。だが、泣くのか。そこで泣くのか、この団塊の世代男は。ふつうは黒服と対峙した女の子のほうが泣けるだろ、とアキラ主観で考える。胡乱な顔をしていたのだろう。ヤマノが釘を刺すように言う。
「鳩と一緒に空を飛んでいた。だがな、物理的な意味じゃないぞ」
「わかってます。……で、先生はいま、ポッポさんたちと飛べてますか?」
 苦い顔のヤマノを見ていれば、おのずと答えなどわかってくる。それでも訊ねてみたのは、今朝、ミルタンクに踏みつけられたばかりの右足が痛むからだ。
「それが、そういう気分にはなれないんだ」
「奇っ怪ですもんね」
「奇っ怪言うな」
「空飛びたいなら、ピジョットに進化させればいいじゃないですか。あのポッポたち、先生のでしょう? ピジョンじゃちょっとムリかも知れないけど」
 違うんだ、とヤマノは首を振った。ポッポを見上げる顔が、あまりにも静かに凪いでいたので、さすがのアキラも声をかけられなかった。
「そういう飛ぶじゃないんだ。あいつらは空、俺は地上。それでも、一緒に飛んでみたい。――男なら、一生に一度はそういう夢を抱くもんだ」
 ふぅん。なんか、わかるかも。
 朝の冷たい風が、アキラのちいさな呟きをさらっていく。ヤマノは聞き取れなかったらしく、トランペットを撫でて、ケースにしまっている。
「先生。もしよかったら、トランペットのコツ、教えましょうか?」
「そういえばアキラは吹奏楽部長だったな……」
「見てみたくなりました。先生がポッポたちと空飛んでるとこ。もっとも、部長指導はスパルタだって噂ですけども」
「……よろしく頼む」
 ヤマノがもう一度、トランペットを取り出した。よく手入れされたトランペットだ。あんな奇っ怪な音しか出せないなんて、可哀相だ。ふうっと笑って、アキラは自分のトランペットを取り出した。
 ふたつのトランペットの音が合わさっていく。ひとつは奇っ怪、ひとつは美音。なんとも言えないハーモニーがズイ農の朝を奏でる。




「そういえば、先生? あのポッポたちって、どうして学校で飼ってるんですか」
「家に置いておいたんだが、嫁さんに叱られた」
「『わたしとハトとどっちが大事なの!?』って感じにですか」
「よ、よくわかったじゃないか」
「まぁ、そんな噂は流れてましたし。で、行き場の無くなったポッポたちは学校にってワケですか」
「男の決断だ。わかるか、アキラ」
「……わかりません。だって、先生――。私、これでも一応、女の子ですから!!」

◇◆◇◆◇◆
古いのあげて、ごめんなさい?
つい、出来心で書いちゃったらこうなった。一度で良いから、やってみたい。有名なあの映画の一場面。

※ネタ元はございますが、すべて架空のお話です!
【書こうが煮ようが、お好きにどうぞ】


[No.815] 最高のショーだとは思わんかね? 投稿者:No.017  《URL》   投稿日:2010/10/24(Sun) 21:19:58   5clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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どうみても「見ろ! 人がゴミのようだ!」の大佐が出てくるあの映画です。
本当にありがとうございました。

ポッポ、ポッポはかわいいよねぇ。
ポッポ−!




「流行の服は嫌いですか?」


[No.837] Re: 最高のショーだとは思わんかね? 投稿者:こはる  投稿日:2010/10/25(Mon) 19:32:09   3clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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> どうみても「見ろ! 人がゴミのようだ!」の大佐が出てくるあの映画です。
その映画です。その映画! 一度で良いから、あれをやってみたい。でも、絶対に近所迷惑だろうとやめる

> ポッポ、ポッポはかわいいよねぇ。
> ポッポ−!
 ちっこいままで、どうやったら一緒に飛べるかと思案してたら、こうなりました。でも、できたらフワンテと飛びたい派。

> 「流行の服は嫌いですか?」
 ズイ農で流行中の服は、薄緑色の実習服(牛舎のかほり込み)ですww