ポケモンストーリーズ!投稿板
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  •   [No.1637] トワイライト 投稿者:紀成   投稿日:2011/07/25(Mon) 21:12:34     73clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5

    −●さんが入室しました−
    ●:こんばんわー
    △:こんばんわー●さん 遅かったですね
    ●:すみません、ちょっと電話してて
    △:電話?
    ●:ええ。嘘にしてはちょっとマジっぽく話すもんだから
    △:?
    −燐さんが入室しました−
    ●:ばんわー
    △:こんばんわー燐さん
    燐:気になったから入ってみました 何の話ですか?
    ●:あれ ご存知ありませんかー 最近じゃ見たって人も多いんですけどね
    燐:??
    ●:友達がねー

    黄昏堂を見たって言うんですよー


    一人の少女が、泣きながら道を歩いている。目元は真っ赤に腫れ、また頬も腫れていることからかなり長い時間泣いているようだ。
    『二学期にはね、学校行けそうなんだ』
    『そう、良かったね』
    そう言って笑った後で、彼の母親から聞かされた、真実。
    『あの子…あと二ヶ月ちょっとしか生きられないのよ』
    寒気がして、吐きそうになった。どうして。どうして。あんなに元気だったじゃない。またポケモンバトルできるって喜んでたじゃない…
    そこで、少女はふと立ち止まった。嗚咽がスッと止まる。彼女の見る先に、一つの建物があった。
    「…」
    綺麗なレンガ造りの建物だった。煙突がついてて、煙を吐き出している。まだ夏なのに…
    違和感がある建物だが、不思議と目を逸らすことが出来なかった。夕方の光が建物を照らして、とても素敵な雰囲気に見える。まるでおとぎ話の世界のようだ。
    誘われていたのかどうかは、分からない。だが少女は誘われるかのように建物に近づいた。木で造られたドアには、こんな立て札が。

    『黄昏堂 お悩みのある人はお入りください お力になれると思います』

    変なキャッチコピーだ。まるで悪徳商法みたい。それでもボロボロになった彼女の心は、自然とドアノブに手をかけるように命令していた―

    店内は英国を思わせる造りになっていた。絨毯が敷かれ、可愛らしい小花模様の壁紙が張られている。壁にはガラスに入れられた商品が展示されている。
    サイドに置いてある白木の机には、人形やポケドールが所狭しと並べられている。かなり精巧な作りだ。まるで生きているかのように。
    「素敵…」
    「いらっしゃい」
    ハッとして前を見た。いつの間にか、一人の女性が小さなソファに座っている。黒くて長い髪、蝋のような白い肌。そしてスラリとした長身。細い指が、煙管を巧みに操る。
    「あの」
    「分かってるさ。アンタの悩みは。いい子じゃないか。不治の病にかかったボーイフレンドを助けたいなんて」
    「なっ…」
    顔が真っ赤になっていくのが、自分でも分かった。
    「彼はボーイフレンドじゃありません!只の幼馴染です!」
    「はいはい。でも治してやりたいことに変わりは無いんだろ?」
    図星だった。だがそれでも良かった。本当のことだから。また一緒にバトルをしたい。一緒にバトルサブウェイに挑戦したい。
    「さて、出す商品が間違わないように最初から詳しく話してくれないか?」
    「…はい」
    言われるがままに、私は話していた。

    彼と私は、幼稚園の頃からの幼馴染。いつもはしゃいでドジばかりする私に比べて、彼は先に考えて行動するタイプの人だった。小学校に入ってから、彼は成績優秀のいい子、私は万年ビリに近い駄目な子のレッテルを貼られるようになっていった。
    でもそんな私に彼は構わず接してくれた。勉強も教えてくれたし、十歳になってポケモン取り扱い免許を貰った時も色々教えてくれた。先生よりも分かりやすいくらいだった。
    おかげで成績も中の上くらいまでになって、皆喜んでくれてたんだけど…
    それは去年の春頃だった。中学入学式に彼が来ていなかった。家は近かったから、帰りに見に行ったんだけど誰もいなかった。隣の人に聞いたら、一週間前に救急車の音が聞こえて以来、戻って来たのはお母さんだけだって。
    不安になって病院に行ってみた。彼は特別病棟にいた。その時は面会できなかったけど、後で聞いたら一刻を争う容態だったんだって。
    やがてお母さんに聞いたら、突然倒れて入院することになったんだって。その時はあんまり大事とは思っていなかった。彼おろか、私も。
    だけど彼が学校に来ることは無かった。会いに行く度にやせ細っていくのが分かった。昨日は調子がいいから面会できたんだけど、お母さんから聞いた。
    彼、癌だったんだ。あやゆる手を尽くしたけど、病状は悪化するばかり。このままいけば、あと二ヶ月。何とかしてあげたい。出来るなら、私が代わりに苦しみを背負ってあげたい。
    でもどうにもならない。どうすればいいの…

    途中からまた泣いていた。彼女は煙を吐き出すと、いつの間にか用意していたテーブルをこっちに寄せた。そして側にあった革の椅子を私に促した。
    「座りな」
    私は座った。彼女が一冊の本を取り出す。古めかしい、アンティークみたい。
    「彼を助けたい。そのためなら自分が苦しんでも構わない。…その気持ちに、偽りは無いね?」
    「…はい」
    「分かった。ならチャンスをやろう」
    本を開いた。絵が動いている。ポケモンのようだ。古いタッチで分かり辛いけど、多分これは…シャワーズと、イーブイ二匹、それにポチエナだ。目の前にある川を渡ろうとしているようだ。
    「話だけなら聞いたことがあるかもしれないな。川渡りパズルだ。ここにある通り、シャワーズとイーブイの親子、そしてポチエナが川を渡ろうとしている。それで…」
    彼女が言うには、こんな内容だった。
    『ポチエナとイーブイは、自力じゃ川を渡れない。そこでシャワーズが、口に咥えて運ぶことにした。ただし一度に運べるのは一匹のみ。しかもシャワーズが一緒じゃないと、ポチエナはイーブイと喧嘩してしまう。
    さて、無事に渡り切るにはどうすればよいか?』
    私は頭を抱えた。友達にパズル好きがいるけど、こういうのは見たことが無い。悩んでいると、彼女が思い出したように言った。
    「あ、そうそう。日没までに解けなきゃりゃ、商品はやらないからな」
    「!!」
    落ち着け。落ち着くんだ私。えっと、多分ポチエナを最初に…

    二時間後。午後五時五十二分。私は彼女に声をかけた。
    「解けました」
    「ほう」
    私は解説した。
    「まず最初に、シャワーズがポチエナを向こう岸に連れて行く。そして何も咥えずに戻って来る。次にイーブイ一匹を咥えて連れて行く。そしてポチエナを咥えて戻って来る。そしてまたイーブイを連れて行く。何も咥えずに戻って来る。そして最後にポチエナを連れて来れば、完成」
    彼女が笑った。見る者を不安にさせる笑みだ。ゾクリとする。
    「正解だ。じゃあ、それに見合った品を渡してやろうか」
    彼女が指を鳴らした。途端に、手の上に薬のような物が現れる。不思議な色合いだ。
    「ホウオウの羽を煎じて作った、フェニックス・ドラッグ。万病に効くと言われている」
    「これで、彼は元気になるの?」
    「ただしあくまでこれは薬。使っても、彼の気持ち次第では全く反対の結果を生み出すかもしれない」
    私は話を聞いていなかった。お辞儀をした後、走って店を出た。そう。彼女が不適に笑うのを見ずに…


    「キリ!良い物が手に入っ…て」
    病室のドアを勢いよく開けた私の目に映った物は、誰もいないベッドだった。カーテンが夜風に揺れている。白いシーツは全く乱れていない。
    「キリ?」
    「何」
    「うわっ」
    後ろに彼が立っていた。相変わらずの無愛想な顔だ。パジャマ姿も見慣れている。
    「こんな時間にどうしたの」
    「あ、あのね、さっき綺麗な物を見つけたから、見せてあげようと…」
    キリの顔は青白かった。ふらふらとベッドに座り込む。
    「どうしたの…」
    「知ってたんだろ。僕がもう永くないってこと」
    「え」
    キリの目が鋭くなっていた。今まで見たことがないくらい、鋭い目。
    「さっき屋上に行ったんだ。風に当たろうと思ってね。そうしたら僕の母さんとお医者様がいた。僕の話をしていたよ。もうあと二ヶ月ちょっとだって。なんて可哀想な子。
    …君は知っていたんだな!?知っていながら、知らないふりをしていた」
    「だって、キリを悲しませたくなかったから」
    「もう嫌なんだ!ずっと白の世界を見ているのも、ポケモンバトルができない生活も!僕のポケモンはもう僕のことを忘れかけている。たとえ回復したとしても、もう二度と僕はバトルが出来ないんだ」
    「そんな!」
    キリが睨んだ。
    「…もういい。出て行ってくれ。奇跡でも起きない限り、僕はもう」
    私はだんだん腹が立ってきた。そして気がついた時には―

    パン

    「…え」
    「何よ、このヘタレ!どうして諦めようとするの!?貴方を思って泣いてくれている人がいるのに!
    …貴方を思ってくれている人がいるのに」
    私の手から、薬を入れたビンが落ちた。パリン、という音と共に薬が消えていく。
    「奇跡だって、あるんだから!」

    私は走った。もう黄昏堂は閉まっているかもしれない。でも奇跡が起きたら―
    「そんなに慌てなくても、店は逃げないよ」
    後ろから彼女の声がした。側に一匹のゾロアークが立っている。まるで執事のように。
    「あのボーイフレンドの目を覚ます方法」
    「ええ」
    戻れない。もう戻ることが出来ない。

    「私を犠牲にして、彼の病気を無かったことにしてくれる?」


    ●:その友人が言うには、自分には六年生から中一までの記憶が全く無いって言うんですー
    △:へー キオクソウシツとかじゃなくて?
    ●:ちがいますよー でも時々、何か大切なことを忘れている気がするって
    燐:どんなでしょうね
    ●:で、今日の帰り道にコンクリで造られた建物を見つけて、今まで無かったから入ってみたら、すごく変な感じがしたっていうんです
    燐:デジャビュみたいな?
    △:何かロマンチックー
    ●:そしたら中にいたすっげー綺麗なお姉さんが、『待ってたよ』って
    燐:キターーーーー
    △:運命の出会いっすか
    ●:まだまだ そのお姉さんが一つの人形を差し出して、『もらってやってくれ』って腕に押し付けたんだそうです
    燐:人形!?
    ●:友人曰く、『何か気になるからもらっとく』って言ってそのまま持ち帰って部屋に置いてるそうです
    燐:うかつに女の子部屋に呼べませんねww
    ●:ですねー でも何か捨てたり出来ない感じだって言ってましたね あ ちょっと落ちます
    −●さんが退室しました−
    燐:おつかれです
    △:では私も
    −△さんが退室しました−
    燐:あらら 一人になっちゃった


    ソファに座って、マダム・トワイライトはパソコンを見つめていた。藍色の画面に、白い文字が映える。
    「人の口に戸は立てられず…か」
    「いいんじゃないか?広まれば広まるだけ、コレクションも増えるだろ」
    ゾロアークが紅茶を運んできた。オボンの実を使った、五味の紅茶だ。
    「それにしても、ちょっと残念だ。彼を人形にした方が雰囲気に合った気がする」
    「はいはい」
    ドアが開いた。マダム・トワイライトが立ち上がる。
    「いらっしゃい」


    黄昏時に現れる不思議な店、『黄昏堂』。
    貴方の知力、そして時には肉体と引き換えに、貴方の願いを叶えてくれる―

    ―――――――――――――――――
    以前チャットで音色さんに話した物。カクライさんでも大歓迎ですよ!
    ただしファントムと鉢合わせすることもあるかもしれないので、その点は。
    [来てもいいのよ]
    [実は着ぐるみ話の続編になるのよ]


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