ポケモンストーリーズ!投稿板
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  •   [No.2637] Re: ■チャット会テーマ募集 投稿者:No.017   投稿日:2012/09/22(Sat) 12:27:23     139clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5

    フミんさん、どうも。
    実はまさにそのあたりなんですよ。相談したいのは。
    詳しくは後述しますね


      [No.2533] シャル・ノーテ物語 投稿者:   投稿日:2012/07/29(Sun) 09:49:56     52clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5

    とあるオタコンと、とある小説wiki第二回短編小説大会に出馬したお話。
    オタコンには前編だけ投稿。短編小説大会には後編だけ投稿していました。


      [No.2431] 花と嘘 投稿者:レイニー   投稿日:2012/05/22(Tue) 10:30:44     130clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:テスト上げ】 【ポケライフ】 【向日葵「……」】 【やつれてきしんでくのも気付かずに】 【もはや花ではない

     始まりは、一輪の向日葵だった。出かけた先で親切な人から偶然一輪もらったのだ。
     家に帰って一輪ざしに挿してみたら、彼女が反応した。草タイプであるチュリネにとって、やはり花に対して何か思うところがあるのだろうか。
     日課の水やりは、気がついたら彼女がするようになっていた。時折一方的に花に話しかけたりしていた。その姿は花を愛でるというより、共に日々を過ごしているようだった。

     そんな向日葵はあっけなく最期の日を迎えた。
     しょげている彼女を片目に見ながら、枯れた向日葵をゴミ箱に捨ててしまうのは忍びなかった。

     向日葵が去ってから、彼女はすっかり元気をなくしてしまった。
     彼女がふさぎ込んだ姿を見るのがあまりにも辛かったので、僕は嘘をついた。
     彼女のために新たに買ってきたのは、作り物の花。
     紙で出来た偽物だということを知らない彼女は元気を取り戻した。

     この枯れない花のように、彼女の笑顔が枯れなければいい。そう思っていた。
     しかし、僕は彼女に優しい嘘をついたことを後悔することとなる。

     彼女は花に水をやりつづけたのだ。かつて本物の向日葵にそうし続けたように。
     僕がこっそり水を捨てても彼女は水がないことにすぐに気づき、水をやっていた。
     紙で出来た花は水を吸い、枯れないはずの花はどんどんやつれていった。

     彼女は造花が弱っているという不自然な状況には何も気づかず、かつて生きた向日葵に与えたそれと同じように、ちょっと悲しそうな瞳をしながら、それでも水をやり続けた。

     ふと、昔テレビで観た物語を思い出した。
     親がこの世を去ってしまったことを言いだせず、優しい嘘をついた兄。親が戻ってこないことを知らず、帰らぬ親を思い続けた妹。

     ああ、優しい嘘は、何も事態を解決しやしないんだ。

     僕はもう限界が来ていた美しかった紙を捨て、新たな命を購入し、花瓶に挿した。
     今度は命の終わりをきちんと彼女に語ろうと心に決めて。


     時が過ぎ、そんな彼女も今はドレディアになった。自らもいずれ枯れるのだということを理解しながら、そしてその時が近づきながらも、今でも花に水をやり続ける日々だ。
     そして僕も、いずれ枯れる日が来るまで、彼女が花と共に生きるように、彼女と共に生き続けよう。


    ----------------

    最近文章書きから遠ざかってしまっていたので、リハビリのための習作。

    ----------------

    追記:投稿久しぶりすぎてタグ付けるの忘れてました(汗)
    【書いてもいいのよ】
    【描いてもいいのよ】
    【批評していいのよ】


      [No.2327] 桜のはなし 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2012/03/29(Thu) 23:46:04     68clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    たまにはお題に沿って書こうと思いまして、とりあえず二編。
    続くかどうかはわからない。


      [No.2224] Re: >イサリさん >わたぬけさん 投稿者:   《URL》   投稿日:2012/01/24(Tue) 21:18:25     54clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    >> 1感想を投稿すると管理側から操作しない限り編集・削除ができない。
    >
    > これが一番悩ましいですね。
    > プログラムくわしい人がいじったらなんとかなるものだろうか……

    ライセンスを確認したところ、とりあえずは改変はOKな様子。
    実装できるかどうかは分かりませんが、一度ソースを確認してみたいです。
    少し手を加えれば何とかなるかも?


      [No.2119] 冷蔵庫に飛び込めばそこは 投稿者:音色   投稿日:2011/12/15(Thu) 23:25:49     75clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     自宅でした。
     いや、自宅って言うかリビングね。リビングダイニング。後ろには冷蔵庫。
     ・・・え。
     ええ。
     ええええええええ。

    「か、帰ってきた・・のか?」
     返事なし。

     あたりにはひらひらと舞い落ちる鮮やかな千切りキャベツ
     うん、間違いない。これはとんかつ定食『切り切り亭』の店主キリキザンが刻んだものだ。
     ・・・で、なして俺は人間に戻ってるんだ?

     だって俺は、さっきまでビリリダマだったよなぁ?


     さっきまでの行動を振り返ろう。
     俺はPPどころか自分のHP(おもに空腹度的な意味で)が切れかかる中、ラスト一回のテレポートを気力を振り絞って飛んはずだ。
    「そろそろ家に帰りたい・・」とか「いい加減ビリリダマやめたい」とか呟きつつ、なんか食べるものにせめてありつければ良いなーと思いつつ。
     で、瞬間移動。
     着地・・というより墜落した。
     
     今の今までテレポートでろくな場所に飛ばされた事がないのは認める。だからって、皿の上に着地・・もとより墜落するなんて誰が思うか。
     潰されるトンカツ、宙に舞う千切りキャベツ。
     そして怒り心頭に達したキリキザン・・・あれは悪夢だ・・。

     そりゃそうだよね、自分が丹精込めて切った千切りキャベツを盛り付けた直後にビリリダマが振ってくるなんて誰も思わないよね。
     俺だってこんな所に落っこちてくるなんて思っても見なかったよ。
     もちろん、俺が何時だったか夜中に食わせてくれって頼みこんだあのビリリダマってことは気付いてもくれなくて。
     一応今回は営業時間内だけどな!そういう問題じゃないよな!


    「あ、あの」
    「てめぇ・・いきなりどこからはいってきてんだぁぁぁ!
    「さーせぇぇん!でもわざとじゃ」
    「わざともくそもあるかぁぁぁ!」

     ビリリダマは にげだした! ▼

     しかし まわりを かこまれてしまった! ▼

     
     俺をキャベツよろしく千切りにしようと襲ってくるキリキザンから逃げた先にいたチュリネに頼み込む。

    「冷蔵庫はどこですか!」
    「は、はぁ?」

     あぁもうすぐそこまで迫ってきたぁぁお願いします死にたくないですビリリダマの格好で千切りは嫌ですとかなんとか捲し立てる。
     おそるおそる、といった様子で奥を示し、俺はそこへ一目散に転がっていった。
     ジャンプの反動で扉を開けて―――!


     キャベツの千切りと一緒に、飛び込んだ。



     で、いつの間にやらきちんと人間に戻ってキャベツの千切りに塗れながら家に帰ってきた。
     あ――。
     お腹減った。

     冷蔵庫を閉めた。


    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
    余談  冷蔵庫の扉って、別世界への扉っぽくないですかそうですか。


    【読んでくれてありがとうございました】
    【貴方の家の冷蔵庫が変な所に繋がらない事を祈りません】


      [No.2015] マッギョ教 投稿者:あつあつおでん   《URL》   投稿日:2011/10/21(Fri) 10:29:11     84clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     これは今となっては昔の話だが、おかしなことを言ってポケモンたちを惑わすケンホロウがいた。あるとき、ケンホロウはこう言って回った。

    「皆さん、現在はまさに世紀末です。来年にもこの世界は滅亡します! ポケモンたちには一切の逃げ場は残されていません! しかし、私が今から紹介するマッギョの教えを受け入れたものは、この危機から解放されることが約束されているのです! さあ、あなたも今日からマッギョ神を崇めましょう! なお、信仰料として1匹10000円を徴収します」

     今までは馬鹿馬鹿しい話で相手にされていなかったが、ポケモンたちの不安をあおったケンホロウは、たちまち信者を増やしていった。

     こうして1月が過ぎたころ、いつものように布教に励むケンホロウに、とあるテッシードはこう尋ねた。

    「マッギョがポケモンを助けるって言ってるけど、どうやって?」

     ケンホロウは答えることができなかった。このことは瞬く間に各地へ伝えられ、マッギョ教は消滅していったそうだ。



     どんな時でも、冷静さを失わずにいたいものである。



    説話風の話、久々に書きました。多分髭抜き以来。
    巷では2012年に世界が滅びるとか人類が滅亡するとかいった思想が幅を利かせているみたいなので、それを皮肉ってみました。


      [No.1908] blindness(ほぼ完成稿) 投稿者:   《URL》   投稿日:2011/09/23(Fri) 11:10:39     71clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    続いてblindness。これは結構練った後のメモ。

    -------------------------------------------------------------------------
    <タイトル>
    ・「向こう見ず」
    ・「ただ私のために」

    <テーマ>
    ・「足跡」

    <コンセプト>
    ・「盲目のドーブル」
    ・「足跡は家紋」
    ・「×の付いた足跡」

    <主人公>
    ・絵描き志望の少女

    <プロット>
    ・スランプに陥った少女
     ・某イラストSNSでランクが伸び悩んでいる
     ・固定ファンはいるが、何か物足りない、本質を見てもらえていない気がする
     ・何もかも中途半端な自分が嫌になる、才能のなさが恨めしい
    ・コンビニから帰ってきた直後、家の塀に落書きしているドーブルを発見
     ・背中の足跡に「×」
     ・絵はセンスこそ感じられるが、ところどころ間違っている
     ・背中の文様も「アートの一種」だと考える
    ・ドーブルについての話
     ・大人になると背中に足跡を付けられる
     ・足跡は「家紋」のようなもので、見ただけで「家柄」がわかる。「家柄」のよいドーブルは絵が上手い
     ・学者の見解では、ドーブルは「家柄」によって厳格に階層化されている
    ・後姿を眺めながら
     ・本当に楽しそうに絵を描いている
     ・呆れるほど楽しそうなのが、少女にとって余計に苛立ちを募らさせる
     ・少女のことは一切気にかけていない
    ・ドーブルに呼びかけると、見当違いな方向を向く
     ・確認する素振りを見せた後、また絵を描き始める
     ・このとき、様子がおかしいことに気付く
     ・よく見ると、ドーブルの目には光が宿っていなかった
    ・ドーブルについての話(2)
     ・ドーブルは絵を描くことを生業にしている。よって、絵の描けないドーブルは差別を受ける
     ・目の光を失うようなことがあれば、即座に爪弾きにされる
     ・このドーブルの家柄は、かなりの上流のようである。成人したばかりだということにも気付く
    ・少女とドーブル
     ・よい家に生まれ、それだけの力を身につけ、成人して活躍するばかりだったという状況から一転、失明して一族を追われたという経緯に気付きショックを受ける
     ・それでもなお、純粋に絵を描くことを楽しんでいるドーブルに、さらにショックを受ける
     ・自分が無駄なこと、くだらないこと、つまらないことに囚われすぎていた事を思い知らされ、呆然とその光景を見つめる
    ・ドーブルとの別れ
     ・ドーブルは描きあげた絵を撫でて慈しんでから、静かにその場を後にした
     ・少女は無意識のうちに携帯電話を取り出し、絵を写真に収める
     ・そのまましばらく、写真を眺め続ける
    ・光を失いながらも楽しそうに絵を描くドーブルの絵
     ・その絵はランク入りこそしなかったが、本質を見極めた一人のファンからコメントがもらえた
     ・吹っ切れた少女が気持ちを入れ替え、絵を描く意欲を取り戻す
     ・傍らには、ドーブルが描いた絵の写真を写す携帯電話が――
    -------------------------------------------------------------------------

    後半に完成稿でカットされたシーンが残っている。確かテンポの都合で削ったはず。
    それ以外は軽微な違い(タイトル含む)はあれど、ほぼ完成稿に準じた形の様子。


      [No.1805] 恋は盲目 投稿者:キトラ   《URL》   投稿日:2011/08/28(Sun) 23:34:50     92clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    前書き。
    非常にカップリング色が濃い上に、年齢制限かからない程度の下ネタが多数出て来ます。苦手な人は避けてください。





     ばたばたと足音がする。そして怒号のノック。こんな穏やかな昼下がりに何が起きたのだろう。カギを開けると、肩で息をして、物凄い必死な顔のユウキが立っていた。
    「ダイゴさん!助けて!少しでいいから匿って!!!」
    穏やかではないその様子に、ダイゴは家に招き入れる。彼はダイゴの小さな友達の一人。トクサネシティにある自宅の寝室へと入るよう促した。すると、窓も雨戸も全部しめ、タンスの影に隠れる。こんなおびえているユウキを見た事がなく、ダイゴは一体なにから逃れようとしているのか不思議だった。
     チャイムが鳴る。今日は来客の多い日だ。ユウキにそこにいてねと声をかけた後、玄関に向かう。そしてドアを開けると、そこにはやはり小さな友達の一人、ハルカがいる。とても照れくさそうに。
    「ダイゴさん、こんにちはー!あのですね、聞きたいのですけどお・・・ずばり!ユウキ君来ませんでしたかあ!?」
    まさか。まさかとは思うが、ユウキはハルカから逃げていたのか?玄関で大声出されても困る。とりあえずリビングに招き、お茶を出す。玄米茶の香りが広がる。
    「どうしたんだい?いきなり」
    「ダイゴさん、ユウキ君って酷いんですよ!私たち、付き合ってるのに」
    「うん、知ってる」
    「でしょー!この前、秘密基地で二人きりだったから」
    「ああ、なるほど、青春だね」
    「私のフーディンにかなしばりさせて、監禁してみたんです」
    ダイゴは茶を吹き出す。その様子に構わずハルカは話を続ける。
    「そうそう知ってます?ユウキ君って、全部白髪じゃないんですよ!上は白いんですけど、下は黒いんです。二色なんですよ髪がー!それで、腋の毛は白いんですよぐふふ。それで腹筋は六個に割れてて、がっしりしてるんですけど、男の子にしては細いんですー!」
    「ねえ、待ってハルカちゃん。君たち、付き合ってるのに監禁するのは犯罪じゃないのかな?」
    「どこが犯罪なんですか!?私たちは愛し合ってるのに、ユウキ君がそう望むからしてあげたんですー!」
    「・・・それは本当にユウキ君が望んでるの?」
    「そうでしょ!だって何一つ文句いわないで嬉しそうだったんですよ!」
    犯罪だ。ダイゴは心の中で叫ぶ。ユウキが必死で逃げて来た意味が少しどころかかなり解る。10割解る。
    「待って、そこから先は僕は聞いていはいけない気がするんだけど。僕の予想としては、ハルカちゃんはユウキ君を襲ってるよね?それは逆だったらどう思うの?嫌でしょ、そういうことしたら嫌われちゃうよ」
    「ダイゴさん解ってないなー。私たちは愛し合ってるんですよっ!」
    それは愛とは言わない。そうしたらユウキは逃げて来ない。アクア団に囲まれた時だって、マグマ団に襲われたって毅然と立ち向かうのがユウキだ。それを震え上がらせるハルカはどれだけすごいことをしたのだろう。
    「だってもう脱がした時点でユウキ君すごかったんですからっ!それと下の毛は知ってます?黒いんですよー!」
    「だからっ!!そういうことは大声で言わないの!まだ昼間でしょ!」
    聞いているダイゴの方が恐ろしくなってきた。こんな子だとは思わなかった。家に入れたことを激しく後悔する。
    「えー、ここからが肝心なのに。それでかなしばりが解けて、気づいたらいなくなっちゃって」
    「ねえハルカちゃん。僕がユウキ君だったら同じく逃げてると思うよ。君のやってることは犯罪にしか思えないんだ」
    「だからーそんなことないんですよー。私とユウキ君は愛し合ってるんですー!」
    平行線。どうしたらユウキにそんなことをしてはいけないか教えることが出来るのだろう。このままじゃユウキが不憫すぎる。恋にどっぷりはまり込み、まわりどころか相手も見えてないとは恐ろしい。
    「あーあ、ユウキ君どこいっちゃったんだろーなー」
    「ハルカちゃん、僕の予想を言っていいかい?」
    「解るんですか?」
    「君の行動を見直して、誠意を持って謝らなければ、ユウキ君はもう一生ハルカちゃんと喋りたくもないと思うよ。ハルカちゃんが愛しあってると思っても、一方的であれば勘違いなんだ。そうやって愛を押し付けることは、どんな関係であれいけないことだ」
    「ダイゴさんに何が解るっていうんですか!」
    「ユウキ君の気持ち。ハルカちゃんのことが好きだから君と二人っきりでいたいのに、そんなことをされて、裏切られたようで悲しいと思うよ。それに、これは違うかもしれないけれど、男の子っていうのは好きな女の子の前では見栄を張りたいものなんだ。それなのにそんな姿にされて、プライドも傷ついただろうし」
    とたんにハルカが黙る。解ってくれたのか、大粒の涙を流して。
    「そんな・・・私、ユウキ君がいないと生きていけない!」
    「ユウキ君はハルカちゃんにそんなことされて、泣きたかったと思うよ。いなくなったら寂しいよね?悲しいよね?じゃあ、本当に今日のことを反省して、もう二度としないようにしないと」
    「・・・はい」
    「いい子だ。少し落ち着いたら帰るといい。僕がユウキ君に連絡とってみるから」
    ハルカは素直に頷く。ようやく解ってもらえたようで、ダイゴは安心していた。
     そこから数時間後、ハルカは自分のポケモンで帰っていく。翼を広げたボーマンダは大きく旋回し、大空へと消えていく。見送った後、ユウキが背後に立っていることに気づく。
    「ダイゴさん・・・ありがとうございます」
    「ねえ、ハルカちゃんの言ってたこと本当?」
    「本当です、マジです。一つ言ってないのは、かなしばりの上に俺をロープで縛って、が加わるあたりですかね」
    なるほど、ユウキの手にはうっすらと赤い線が入っている。もうこれは犯罪として成り立つ。ダイゴはユウキに同情する。まさかそんなことされるとは思ってなかっただろうし。奇襲に近い形で好きな人にそんなことされて、喜ぶ人はいない。
    「で、どうするのユウキ君」
    「ハルカですか?俺はもう・・・なんですけど家が近所でしてあいつから逃げることは事実上不可能になってました。親の目もあって、俺は逃げれないんです、あいつから」


    「ユウキ君いたっ!!」
    聞き慣れた声。思わず二人は横を向く。帰ったはずのハルカがそこにボーマンダと一緒に立っていた。
    「ハルカ!?」
    「ハルカちゃん!?なんでここに?」
    「忘れものしちゃった。ユウキ君会いたかったー!もう離さないからね」
    ハルカがユウキに抱きつく。逃げれないんだろうな、とダイゴは思った。
    「ハルカ、やめろ、やめろぉっ!!」
    「ユウキ君・・・私のこと嫌いになっちゃったの?前はしばってでも物にしたいって言ってくれたのに!」
    ダイゴは固まる。事実かどうかなんてどうでもいい。ユウキに少しでも同情した自分がアホらしい。
    「ユウキ君、それは・・・」
    「確かにそうですよ、俺とハルカはそんなことを・・・」
    「そうですよ!ダイゴさん、私たち愛し合ってるんです!」
    「ユウキ君、今回の件は僕の記憶から消しておくよ。だってそれはね、自業自得っていうんだよ!!!」
    急いで家に入り、内側からカギをかける。バカップルに付き合って、まじめに考えていた時間が無駄すぎる。
    「ダイゴさん!ダイゴさん助けて!!」
    「ユウキ君はこっちー!」
    二人の声は聞こえるけれど、もう何も聞こえないフリをした。もう二度と関わるものか。そう考えてダイゴは旅支度をする。ここは居場所が割れてしまっているから、どこか遠く、洞窟の奥とかに行こう。そうだ、それがいい。石も探せるし、一石二鳥。ダイゴはそう決意していた。


    ーーーーーーーーー
    ごめんなさい。
    【好きにしてください】【ホウエン主人公男子は白髪の方希望】


      [No.1698] それでも僕はやっていない 投稿者:ワタル   投稿日:2011/08/07(Sun) 00:56:53     105clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     それでも僕はやっていない 〜 改造説を信じるあなたへ 〜


    目次

     序章 …… 潔白のチャンピオン 歩む正義の道筋

     ・生い立ちから滲む正義 〜竜の里の少年〜
     ・ポケモンとの絆 〜竜の里の試練〜
     ・チャンピオンへと至る道
     ・不正を許さぬ心 〜ロケット団残党排除へ〜

     第一章 …… 改造とは何か?

     ・ポケモンの生態 〜竜でもわかる携帯獣学〜
     ・ポケモンの進化レベル 〜低レベルでの進化〜
     ・ポケモンの技習得レベル 〜習得速度の相違〜
     ・ポケモンの特性 〜夢特性は改造じゃない〜

     第二章 …… 許されざる改造(チート)

     ・改造がポケモンに与える悪影響
     ・生態系へのダメージ 〜いかりのみずうみに見る〜
     ・そもそも改造っていう響きがよくない
     ・改造、ダメ、ゼッタイ

     第三章 …… チャンピオン・ワタルに改造は要らない

     ・チャンピオンの実力 〜百戦錬磨の竜使い〜
     ・進化は愛情の成せる奇跡 〜カイリューと歩む365日〜
     ・命に代えても守りたいもの 〜竜翼と黄金の壁〜
     ・改造の要らない理由 〜強さを求めて〜

     第四章 …… 徹底検証 改造説の盲点

     ・改造説と情報操作 〜ネット世界の動向〜
     ・ズバリ! 改造説のここがおかしい
     ・切断厨のほうがタチが悪い
     ・チャンピオンの見解 〜名誉職へ批判は付き物〜

     終章 …… それでも僕はやっていない


    序文

     僕は竜の里と名高きフスベシティに生まれ、幼い頃からドラゴンタイプのポケモンと触れ合って生きてきました。厳しい掟の下、竜族という扱いの難しいポケモン達との生活を続ける中で、感じられた自然との一体感、世界(ほし)の呼吸、そして生命の神秘――これらは筆舌に尽くしがたいものがあります。
     そして僕の最も憎むべき「改造(チート)」とは、それらを冒涜する立場にあります。自然界で培われてきた営みに手を加える行為は、とても許されるものではありません。以降何度も触れますが、かつてこの美しいカントー地方を根城に活動していた『ロケット団』という組織は、人間の持つ文明技術を悪用し、ポケモンの改造に手を染めていました。それにより、いくつもの地域で野生のポケモンの分布に悪影響が起こっています。特に彼らの解散後、残党が起こしたいかりのみずうみでの事件は有名でしょう。これについては、僕自身も、あの美しい湖がみすみすと汚されてゆくことに黙っていられず、自ら足を向けました(詳しくは第一章P43、不正を許さぬ心 〜ロケット団残党排除へ〜に書いたとおりです)。
     しかし、巷では僕の手持ちポケモンに対して「そのレベルで進化しているのは、不自然ではないか?」「なぜ、本来覚えない技を習得しているのか?」など、疑惑の声が上がっています。あまつさえ「チャンピオンでありながら、改造を行っている」などと心ないことを言われることもあります。
     考えてもみてください。
     僕は物心のつく前からドラゴンポケモンと共に暮らし、彼らの最も自然たる姿の雄大さをこの目で、この身体で、この心で感じ続けているのです。
     そして、チャンピオンというこの名誉職は、決して小手先の改造などで守り得るものではありません。幾度もの挫折と敗北を乗り越え、愛すべきポケモン達と傷を分かち合い、成長し、戦略を究めたからこそ、僕はこの地方の頂点を名乗ることができたのです。
     また、ポケモン世界にはまだ多くの謎が秘められています。トレーナーからの愛情を受けることで進化するポケモン、新たな技、種族、特性、既存のポケモンの新たなる進化形態――年を重ねるごと、ポケモンに関する発見は留まることを知りません。それは時に、奇跡としか形容し得ないような結果を残し、学会に波紋を起こすことも少なくありません。
     人は未知のものに触れるとき、おのずとそれを躊躇し、恐怖するでしょう。僕も一番最初にカイリューの背に跨ったときの、あの胃の腑の浮かぶような感覚は忘れられません。しかしそれらは、同時に強い好奇心を伴います。未知の存在に触れるという恐怖と期待、その表裏一体こそがこの話題を燻らせてやまない人々の深層心理なのではないか、と僕は考えます。
     ただ、一つだけ言わせて欲しい。
     それでも僕は、改造など、やっていないと。

     僕自身と、そして神聖な「チャンピオン」という肩書きにかけられた無実の汚名を晴らすため、こうして僕は慣れない筆を執ることとなりました。
     これを読んで、僕の考えるポケモンというものへの理想と情熱を、そして改造というタブーの絶対的無価値を感じ、考えていただければ幸いです。

     カントー・ジョウトポケモン連盟 チャンピオントレーナー ワタル


     1580円 


      [No.1597] ダークライ厳選ネタのように見えた 投稿者:キトラ   《URL》   投稿日:2011/07/13(Wed) 20:27:07     62clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5

    なぜかダークライ配布の厳選に見えました。
    あれもリセットリセットリセット、できっと配達員の真っ暗な鞄に入ってるんじゃないかと。
    ヨマワルに渡してもらってるのはちょっと面白い。


      [No.1496] 星に野望を 投稿者:風間深織   投稿日:2011/07/07(Thu) 13:18:28     88clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     今日は曇り。
     毎年思うのだけど、これは雲が「リア充爆発しろ」って思ってワザと曇りにしてるの?よくわからないけど…

    「ふゆーん(フユンテ)」
    「フユンテが風車に引っかかりますように(フユンテ少女)」
    「ディスタンスをどうにかしてほしい(葡萄)」

    では、私も…
    「マステの値段が下がりますように(深織)」

    ---+*---+*---+*---
    ちなみに、私の通う学校は毎年実際に笹をかざるのですが、学校の短冊には「世界人類が平和になりますように」って書きました。
    その笹には友人の書いた文字ででっかく「影…(事情により省略)」がかかっているのは言うまでもないですよねw


      [No.1395] エモンガの特等席 投稿者:巳佑   投稿日:2011/07/05(Tue) 02:29:28     59clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     ふわりとエモンガ春の旅、桜の中で木の実かぷり。ふわりとエモンガ夏の旅、緑葉の影で涼を取る。ふわりとエモンガ秋の旅、紅葉を静かに眺める。ふわりとエモンガ冬の旅、真白な枝に足跡ひとつ、ふたつ、君に捧ぐ。



    【百文字で書いてみました】

     私も百文字に挑戦してみました。(ドキドキ)
     端的に、でもしっかりと伝えることは難しいですね。(汗)


     ありがとうございました。



    【何をしてもいいですよ♪】
    【皆さんもぜひ、100文字を!】


      [No.1294] 過去絵を持ってないのです…… 投稿者:イケズキ   投稿日:2011/06/07(Tue) 20:24:30     52clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    巳佑さんと風間さんの過去絵を拝見しつつ、「例の曲」を聞いていたら泣きそうなった、イケズキです。 (笑


    好きなら続きますし、続けば上達する。やはり何事も上達には、そのものが好きだって事が大切なんですね。
    自分は今まで受け身でいるだけで、絵を含めて、これまで積み重ねてきたようなものが無いので、古くからの絵を持っている巳佑さんや風間さんがうらやましいです。


    ・巳佑さんへ
     
    >  ある日の放課後、一人の少女が膝にロコンを乗せて、公園のブランコで遊んでいた。
    >  
    > 「お譲ちゃん、絵を描くのは好きかい?」
    >
    >  縁が茶色の丸い眼鏡をかけ、ベレー帽をかぶったおばちゃんが微笑んでいた。

    ロマンだなぁw 精霊さんのロマンを予感させる最後でした。  
    少女のロコン絵を期待してます!   …………違うかw
     
    >  昔はスケッチブックとかに描いていたのですが、今は無地のノートに『落描き帳』と銘打って描き続けています。
    >  ポケモンだったり、オリジナルキャラだったり、その他、少し。(汗)
    >  あっという間に5冊溜まりました。
    >  ちなみにマサラのポケモン図書館に通い始めてからは更に刺激をもらい、ポケモン率が上がり、6冊目ももう少しで終わりそうです。(キラーン)

    六冊! すげー!!
     

    ・風間さんへ
      
    しかし……風間さん、幼稚園時代とは思えないウマさ! 自分が幼稚園の時……いや、小学校時代でもそれだけの絵は描けなかった自信がありますw


    > そして今。
    > 私はマスキングテープという色を使って絵を描く「マステ絵師(?)」というものになりました。
    > 写真に私の右手がうっかり写っていますが、なんという残念な指。マステをいじるせいで爪がはがれたりして、すごいことになってます。みなさん、マステをいじるときは気をつけましょう。

    指をお大事にしつつ、さらなる「マステ絵師」風間さんの作品を期待させていただきます!


    > いつか、水彩画みたいな淡いマステ絵が描けたらいいなと思っています。
    > その前に、受験がんばります(^^;

    受験も、いつかは水彩画も、頑張ってください!



    【好きこそ物の上手なれ!】【継続は力なり!】


      [No.1192] 感涙なり…! 投稿者:ラクダ   投稿日:2011/05/15(Sun) 21:34:32     45clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    返信が遅くなってすみません。
    再掲を希望してくださった上に愛まで叫んでいただくなんて、本当にありがとうございます!
    ログが消えたときには、正直(自作に限り)ラッキー、ぐらいの気持ちだったのですが、こうしてコメントを頂けると再掲して良かった…!としみじみ思います。
    喜びのあまり下駄履いて踊りだしそうです(落ち着け

    うおお、こんな馬鹿話を読み込んでくださっている…!

    > マメパトやぁい……このあと、ハトーボー、ケンホロウとつながっていったのがたまらないです。最後は♂♀の姿の違うケンホロウが番で現れる。このかちりとハマって幸福感がじんわり漂ってくるのが大好きなんです。

    当初、「どこにでもいるポケモン」という枠で、登場するのは ポッポのはずでした…が、よく考えたらイッシュではこっちが外来種だったので、急遽マメパトに変更した次第です。気が付けば、どんどん進化した上に美味しいとこ(大トリ)持ってっちゃったよ!なハト一族。
    やったねハト一族!大好きって言ってもらっちゃったよ!

    > > 「うむ。ここまでくる途中、民家があってな」
    > > 「吹き飛ばしたのか」
    >
    > このやり取り、本当にいいなあ……

    実はBWやっていないので、外見以外どんな奴らなのか分からず、ニコニコ大百科さんのポケモン図鑑にお世話になったという……。そこで読んだ図鑑説明が元です。
    ホント迷惑な奴だな!というのが第一印象でした(笑)

    > 遭難のくだりもよく読み込んで書かれたことが分かって、いやはや脱帽です。
    > 実は、遭難の話を書いているとき、風神雷神の役目というものにさっぱり思い至らず……(ですからあんなにフルボッコにしたわけでして)この話を読んで、ああ! と合点がいきました。目から鱗です。

    実は私も役目なんて考えてませんでしたw
    遭難こそが風神雷神の本家である、という認識ですので、何度も読み返して楽しませていただきました。特にバトル場面はじっくり拝見し、皆さんなんて格好いいんだ…と感慨に浸っていたら、クーウィさんのトレーナー氏(というかクーウィさん)の発言の中に、『雨は万物の精であり、風は新たな命を旅へと誘う。 天から轟き落ち、地に伏す者を撃ち貫く稲妻でさえも、地に生きる者に刺激を与え、恵みを齎す事があるのだから』という一文がありまして。なるほど!と目からパールルが落ちたくらいの衝撃を受けました。

    ただ、これは“人間”視点なので、“ポケモン本人”ならばどうだろう、と。ウィキで調べた結果、雷神=田に雨をもたらす豊穣神として崇められる、とのことなので、そういう役割になってもらいました。果たしてイッシュに稲作文化があるのかは分かりませんが…。え、豊穣神は他にいるって?ナンノコトデショウ?
    ちなみに、風神(風人)=黄色い息を吐きかけて人の体調不良を引き起こす妖怪、というのが一番に出てきて爆笑したのは秘密。

    > 【もうアーカイブ入りしちゃえばいいと思うのよ】
     
     【それだけは勘弁して欲しいのよ】
    面白がって書いた代物に過ぎませんので、本家と同じところに掲載されるのはあまりに面汚しで恥ずかしいです。それに、元がチャットネタなので、分からない方には全くの意味不明かと……。
    でも、そう言って頂けた事はとても嬉しいです!


    改めて、愛を叫んでいただきましてありがとうございます!


      [No.1086] 続き希望! 投稿者:サトチ   投稿日:2010/12/26(Sun) 11:18:34     42clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    ステキだぜ、カゲボウズどもー!!!P(≧▽≦)q
    インテリボウズにぷちボウズいい味だしてるわ可愛いわ、最高っす(笑)ぜひ早急に毒男パートを拝読したく!

    ・・・ところでシャペッツって何?(^^;)

    誤植一件:「はなぢ」が「はなじ」になっております〜。


      [No.979] The songs :”LatiS” 投稿者:巳佑   投稿日:2010/11/21(Sun) 03:02:32     31clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    The songs :”LatiS” (画像サイズ: 774×334 79kB)

    [Track.1  紺碧の雫の祈り]
    
    アナタといた日々が何よりの幸せだった。
    無邪気に飛び回る赤い夢に、
    手を焼く日もあったけれど。
    唯一無二の紅玉の笑顔が
    とてもアナタに似合っていた。
    
    だから――
    
    ただ祈るよ。
    ……祈る事しか叶わないけれど。
    アナタの笑顔を見れないのは寂しいから。
    僕も、そして、アナタの心も。
    ただ祈るよ。
    ……祈る事しか叶わないけれど。
    一緒に過ごした日々を思い出す時、
    アナタが笑顔になる事を。
    唯一無二の紅玉の笑顔を
    また見せて欲しい。
    
    
    赤色と青色で紡いで来た日常。
    アナタにとって『これから』の日常に
    青色が途切れたかもしれないけれど。
    僕はそっと、アナタの日常に添えるよ。
    青色の音色をアナタの隣に。
    
    だから――
    
    ただ祈るよ。
    ……祈る事しか叶わないけれど。
    アナタの笑顔が咲いていると幸せだから。
    『これまで』も、そして『これから』も。
    ただ祈るよ。
    ……祈る事しか叶わないけれど。
    『これまで』の幸せは嘘ではないから。
    どうか『これから』の幸せを。
    アナタの心から零れてゆく雫の光が
    幸せでありますように。
    
    
    もう、アナタを抱きしめる事も
    もう、アナタに触れる事も
    もう、アナタと話す事も
    もう、アナタと遊ぶ事も
    
    叶わない
    この体だけれども。
    
    見守る事は出来るから。
    
    祈る事は出来るから。
    
    アナタの幸せを
    
    祈る事しか叶わないけれども。
    
    
    ただ祈るよ。
    ……祈る事しか叶わないけれど。
    一緒に過ごした日々を思い出す時、
    アナタが零す涙の雫が
    どうか、悲しみに埋もれないで欲しい。
    ただ祈るよ。
    ……祈る事しか叶わないけれど。
    一緒に過ごした日々を思い出す時、
    アナタが笑顔になる事を。
    唯一無二の紅玉の笑顔を
    また見せて欲しい。
    
    アナタの心の雫が紅玉の笑顔で溢れますように。
    
    
    
    
    [Track.2  ルビー・スマイル]
    
    あなたが握ってくれた手の平からもらった
    たくさんの物語が夢写しのように思い出されていく。
    いつも傍にいて勇気をくれた。
    キミと初めて出逢った、あの青空の下は
    今も私の心に元気をくれる。
    
    数え切れないほどのあなたとの笑顔が
    今の私に育ててくれた。
    キミが引っ張ってくれた手の繋ぎが
    私に新しい熱を教えてくれた。
    
    あなたが守ってくれたこの笑顔も。
    キミが守ってくれたこの笑顔も。
    抱きしめて、
    私は力強く明日に向かって羽ばたいていくよ。
    
    あなたが守ってくれたこの想いも。
    キミが守ってくれたこの願いも。
    「ありがとう」と
    青空に向かって歌い続けていくから。
    
    
    
    あなたと一緒に遊んでいたブランコの
    古びた傷が温かく胸に沁みこんでいく。
    いつも私のわがままに笑っていてくれた。
    キミとあの日、遊んだ、この庭には、
    今も明るい風が吹いてくれてるよ。
    
    あなたが描いてくれた心からの手紙は
    今もこの手にしっかりと握っているよ。
    キミの帽子の温もりを思い出すと、
    こんなにも笑顔がこぼれてくる。
    
    あなたが守ってくれたこの笑顔も。
    キミが守ってくれたこの笑顔も。
    抱きしめて、
    私はこの青空の下で前を向いて生きているよ。
    
    あなたが渡してくれたこの温もりも。
    キミが教えてくれたこの勇気も。
    忘れないよ。
    受け止めた幸せからの雫を受け取りながら。
    
    
    
    キミは今、どんな空の下で足跡を残しているのかな。
    また、一緒に手を取って笑いあえる日を楽しみしているよ。
    
    あなたにはもしかしたら心配をかけているかもしれない。
    けどね、怖がりな自分とは『さよなら』したから。
    私の背中を見守っていて欲しいんだ。
    あなたが守ってくれたこの街に生きれて、
    ……幸せだよ。
    
    「……ありがとう」
    
    
    あなたが守ってくれたこの笑顔も。
    キミが守ってくれたこの笑顔も。
    抱きしめて、
    私は力強く明日に向かって羽ばたいていくよ。
    
    あなたが守ってくれたこの心を。
    キミが守ってくれたこの心を。
    離さないよ。
    悲しい涙に手を振って、
    新しく見えて来た日々を羽ばたいていくから。
    
    青空に響け、この笑顔。
    
    
    
    
    
    【歌ってみました】
    
    念の為、読み方を書いておきますね。
    
    紺碧……こんぺき
    紅玉……こうぎょく
    零れてゆく……こぼれてゆく
    沁みこんでいく……しみこんでいく
    
    
    とりあえず、なんのポケモンの歌かと言いますと……。
    ポケモンの劇場版の第五弾である『水の都の守り神 ラティアスとラティオス』の
    ラティアスとラティオスです。
    映画の話のその後の二匹のそれぞれの想いを考えてみて
    そして歌ってみました。
    表題の"LatiS"(ラティズと呼びます)は
    もちろんラティアスとラティオスを示してます。
    
    紺碧の雫の祈りはバラード調に
    ルビー・スマイルはアップテンポ調となっております。
    ちなみに、『ルビー・スマイル』での
    『あなた』はラティオスで、
    『キミ』はサトシを表してます。
    
    個人的にラティアスとラティオスの映画が一番好きで、
    クライマックスの津波のシーンは見る度に涙腺が熱くなります。
    兄妹の絆に感動しました。
    BGMも素敵過ぎます……!!
    
    後、今回、初めてイラストを載せてみました……。(汗)
    CDのパッケージみたいに描こうと試みてみました……緊張してます。(汗)
    
    
    
    ありがとうございました。


      [No.877] 船鬼始末 投稿者:クーウィ   投稿日:2010/10/29(Fri) 16:17:11     263clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    注:このお話には、テーマがテーマだけに残酷な表現を用いている部分が、幾つか存在しています。

    ですので、そう言った表現に抵抗のある方は、この作品をご覧になる事は、予め御控えください――
     
     




    昔々のお話です。
     
     
     
    それは、或る年の秋頃――村々が今年の収穫を祝って執り行う祭りが無事に終わり、吹き鳴らす笛の音の余韻が、まだ里山から抜け切らぬ頃合の事でした。

    事の始まりは、秋津国は豊縁の地、ムロの島に於いて。 
    その日の朝、普段と変わらぬ夜明けを迎えようとしている島の沖合いに、突如として数をも知れぬ異形の船団が、水平線の彼方より現れました。

    見慣れぬ大船小船に乗り組んでいたのは、異国の鎧兜に身を固めた異人の兵士達と、屈強な船乗り達。  
    彼らは静々と島に近付くや、即座に獰猛な軍兵を満載した小船の群れを無数に発し、大挙してムロの島へと上陸すると、折からの変事に驚き騒ぐ住民達に、一斉に襲い掛かったのです。

    それは酷い有様でした。
    島を守ろうと戦いを挑んだ数少ない武者の一団は立ち所に全滅し、生きている者は人獣の区別もなく矢を射掛けられ、追い立てられます。
    辛うじて難を逃れようと舟に取り付いた者は、漕ぎ出した小船諸共打ち砕かれて波間に沈み、情けを乞うて膝を突き、頭を下げて捕まった者達も、一人として永らえた者はいませんでした。

    虜(とりこ)は必要な定数を除いて皆、男は刃物の試しとて撫で斬りにされ、女は慰み物にされ、老人は戯れに海に突き落とされ、幼子や獣達は遠矢や投げ槍の的に使われて、小さな島に静かに暮らしていた者達は、僅か3日にして全く絶えてしまいました。
    ・・・辛うじて逃げ延びることが出来た数少ない生き残りが、何とか海を越えてトウカの町に辿り着き、恐ろしい異国の軍勢が押し寄せて来た事を、在地の番所に告げたのみです。
     
     
    しかし、知らせを受けたトウカの町も、すぐに戦乱の巷となりました。  ・・・ムロを落とした異国船が、息もつかさずに豊縁本土に舵を切り、最も近かったトウカの町に向け、凄まじい勢いで殺到してきたからです。

    トウカの人々と土地の獣達とは、襲われたムロの有様を逃げ延びた者達から聞き知らされていた為、互いに協力し合い、必死になって戦いました。
    豊縁の他の地域に対しても救援を請い、加えて秋津国の時の支配者に対しても、助力を願う旨の急使を派遣して、何とか自分達の故郷と家族とを守ろうと、死力を尽くしたのです。

    ――この緊急事態に、幾度となく『赤』と『青』と言う二つの陣営に分かれて戦を繰り返して来たこの地の実力者達も、互いの間に長く蟠っていた確執を投げ捨て、共通の敵に対して立ち向かいました。

    ・・・しかし異国の軍勢は、守る豊縁連合軍よりも遥かに強大で、多勢でした。 
    しかも、彼らは豊縁の人々が見た事も無い様な武器や獣達を従えており、守る豊縁側の抵抗を物ともせずに、どんどん粉砕・制圧していきます。

    豊縁の人々と獣達は、見た事も無い異国の武器に散々に痛めつけられ、目にした事も無い獣達に追い立てられ、聞いたことも無い様な戦法に打ちのめされながら、なす術も無く自分達の故郷や家族達が蹂躙されて行くのを、ただ傷付いた身を隠し、息を潜めて見つめているしかありませんでした。
     
     
    ――けれどもそんな中、希望の光も見え始めていました。
    急を知った秋津国の支配者の号令により、他の地方から派遣されて来た救援の兵力が、次々とこの豊縁の地に、到着し始めていたからです――
     
     
     
     
     
    ――ここで一度、物語の舞台は豊縁を離れ、他の地方へと移ります。 
     
     
    豊縁より、ずっと東に位置する城都の地――その一角にあるタンバの町の周辺には、無数の島が点在しています。
    ――渦巻き島を始めとするそれらの島々を領していたのは、この周辺の海をまたに掛けて活躍する、警固衆―いわゆる、海賊達でした。
    彼らは古くから、船を自在に操って遠方の地に繰り出し、漁労や交易、時には略奪を繰り返しながら、諸国の海を渡り歩いて生計を立てていました。

    そんな海の専門家、警固衆達の中でも、タンバ北方地域の島々に根城を置く集団―『瀬戸衆』と呼ばれる一派の実力は、一際抜きん出たものでした。  ・・・何故なら、彼らは代々海の神―翼を持ち、渦巻き島の奥深くに棲むと言う大いなる獣を祭りつつ、その海神と心を通わせ合った術者を、集団の頭目として戴いていたからです。
    海の神の声を聞き、気持ちを通じ合わせる事によって、その助力を請う事の出来る人物―『風守(かざもり)』と呼ばれるその巫(かんなぎ)は、例えどれ程海が荒れようとも、率いている船数を一隻も損なう事無しに、嵐を乗り切って目的地へと導き通す事が可能でありました。

    この渦巻き島一帯では古より、稀に風のめぐりや潮の変わり目を生まれながらに正確に予知し、感じ取ることが出来る、『風読(かざよみ)』と呼ばれる特別な才能の持ち主が、現れる事がありました。
    ――その『風読』の中でも、特にその能力に長けた人物は、生まれながらにして獣と心を通わせる事が出来、更に長じるに従って、自然と渦巻き島に住まうと言う海の神とも、心が通じ合うようになっていきます。  

    彼らは海上で嵐にぶつかる時、予め不思議な通力によって、海の神からその存在を告げられますし、万が一逃れられなかった時にも、その助力を願えばたちどころに時化が和らぎ、船が嵐に飲み込まれる様な事は一切ありません。
    ――風の定めを曲げて、共に海で暮らす仲間達や、獣達を守る。  ・・・そしてまたその返礼として―または、代わってその意思を伝える良き友垣として―海風を司る海神を祭り、その生活の場でもある海を護る。

    これが、彼らが『風守』と呼ばれる所以でした。


     
    豊縁で厳しい戦が続いている一方、東に位置する城都の地では、時の支配者より豊縁地方に救援の遠征軍を派遣するよう号令が下り、その準備に追われている真っ最中でした。

    海から攻めて来た異国の兵団との戦いですから、当然戦いの中核となるのは、海上兵力―海の上での働きに慣れた、警固衆達です。
    そんな訳で、当代の風守に率いられていた瀬戸衆の精鋭達も、多聞に漏れず着実に戦備を整えて行き、やがて後は、出陣の命令を待つばかりとなりました。
     
     
    ・・・ところがしかし――その当時瀬戸衆の頭目として戴かれていた風守は、まだうら若い、一人の娘でありました。

    流石に急場とは申せども、当時はただでさえ武勇が尊ばれ、戦の作法が重んじられていた時代。
    よってまだ若い女性である彼女が、軍船に乗って出陣の勢に加わるというのは、如何にその存在が必要であろうとも、許される事ではありませんでした。

    けれども、娘がこれから戦いに赴こうとする者達の頭領であることも、また揺るぎの無い事実。
    故郷を離れていく軍船の群れを見守る彼女の心は、ただただ重苦しくなるばかりでした。

    出征する船には、娘とも縁の深い、沢山の人達が乗り組んでいました。  ・・・元より数こそ多かれど、小さな島々のこと。
    乗り組んでいる者達全員が、一度は娘と顔を合わせた事のある人々です。
    親戚縁者に、同じ村の人々。 幼馴染に、親しい友達。 祭りや神事の時に介添えをしてくれた人や、幼い彼女を何時も可愛がって、頭を撫でてくれた近所の小父。
    ――それに、既に将来を約束し終わっていた、掛け替えの無い思い人。

    船端に並んで手を振ってくれる彼らの姿が小さくなっていく中、残された人々と共に浜に並んで見送りつつ、娘は心から祈りました。
    ――彼らが再び無事に元気な姿で、この美しい平和な島まで、戻って来れるように、と・・・
     
     
      
    しかし――娘の願いは、それから3月も経った頃、無残にも打ち砕かれました。

    前夜、胸騒ぎが兆してろくに眠れぬままに夜明けを迎えた娘が、居ても立ってもいられずに、夜明けの海岸へと歩み出たところ――折から昇ってきた朝日に照らされ、美しく輝いている海の向こうから、一羽の小燕が息も絶え絶えに、島に向かってくるのが見えたのです。
    慌てて近くにあった小舟を丸木の梃子で海上に押し出し、艪を操り迎えに行った彼女の元に、小燕はよろめきながら飛び込んで来て、伝書を括り付けられた自らの足を突き出して、弱弱しく啼きました。

    しかし、先ずは岸につけてから、小燕を介抱してやる方が先決です。
    獣達の様子が、幼い頃より分かり過ぎるほどに分かる彼女には、小さな子燕の衰弱振りが、嫌と言うほど突き刺さっていたからです。  ・・・それに、無意識の内に文の内容を確かめることを、恐れていたのかも知れません。


    結局彼女が文を開いて見たのは、自分の住居に帰って、臨時の従者をしてくれている老婆に、伝書を運んできてくれた小燕を託した後でした。
    ――そして・・・畳まれた文を恐る恐る開き、中身を読み進めていった所――予想通り、それはまさしく凶報以外の、何物でもありませんでした。

    その余りの内容に、彼女は幾度も読み進める事を中断し、その度に涙に暮れました。
    ・・・取り乱ししゃくり上げる有様は、もし周りに他の者が居たとしても、真っ直ぐ彼女を見る事は出来なかったであろう程に、悲痛な悲しみに満ちていました。

    それは、この島から出陣していった幼馴染の一人からの走り書きで、出陣して行った軍船の、全滅を告げるものでした。

    彼らは幾度と無く戦果を上げて、敵の内陸への進行速度を大幅に抑制、以って異国の軍勢を海岸に釘付けにすると言う成果を上げておりましたが――  2日前に味方と共に夜襲を仕掛けたところ、逆に敵の罠に落ち、海に慣れぬ味方の軍船を逃がす為の殿戦を重ねる内に包囲され、尽く打ち沈められたと言うのです。
    ――その際、怨み重なる彼らに対する敵の攻撃と追及は苛烈を極め、一党はその大半が共に戦っていた獣達諸共討たれ死んで、討ち漏らされた者は二十が一にも満たない、と書かれておりました。

    ・・・もう、誰にも会えません。
    親戚の人々も、村の友達も死にました。 幼馴染達もこの世にはおらず、神事の時に周りで見守ってくれていた老人達も、言葉を交わすことは出来ません。 
    頭を優しく撫でてくれた小父さんは、生きながら捕らえられて拷問された挙句、掌に穴を空けられて船端に吊るされ、苦しみ抜いて亡くなりました。

    ――それに、ずっと従者として幼い頃から一緒に過ごし、海に出るときは艪を握って、彼女を何処まででも連れて行ってくれた大切な思い人も、もう帰っては来ないのです。

    その上、この文を小燕に託して知らせてくれた、数少ない生き残りである幼馴染とその仲間達も、既に乗るべき船を失った状態で、辛うじて泳ぎ着いた岸沿いに隠れ潜み、敵の勢力下、何とか命を永らえていると言うのです。
    豊縁では今この瞬間にも、彼女の大切な仲間達以外にも沢山の人々が怯えて逃げ惑い、山野には獣達の骸が冷たく野晒しになって、山を為していると言うのです。 
     

    暫くの間泣きはらした後、やがて娘は、静かに顔を上げました。  
    前を見つめる表情は、もう泣いてはいません。  ――代わりに浮かんでいたのは、とても固い決意の色でした。

    立ち上がった彼女は、小燕の事を老婆にくれぐれも宜しく頼む旨を言い置くと、直ちに島に残っている年寄衆を呼び集めて、この度の凶状を周知させました。
    そして更に、今後の善後策について話し合いで決めるよう命じて置いた後、彼らに猶予を与えないまま、一度評定を終わらせて、それぞれの村や周辺の島々へと、回状を回させます。

    年寄衆が息を切らせて、それぞれの村や担当の島へと急を告げに、散っていく中――娘は一人住居に取って返すと、一枚の文を書き上げました。
    書き上げたそれを評定に使っている部屋に置手紙として残すと、去り際とて、建物の庭に番犬として放されている紅犬に、お別れを言います。
    気配を察知してか離れようとしない紅犬に、しゃがみ込んで何とか言い聞かせ終えると、最後に娘は誰にも気取られぬように注意して、浜辺へと続く抜け道を下っていきました。

    海辺に着けば、もう既に昼も近い時刻でもあり、居残りの漁師達は一日の稼ぎを得るべく沖へ出て、僅かに浜で作業をしていた者達も、慌てて駆け走って来た年寄衆の言葉を聞くや、急いで村の方へと引き返した為、そこには人っ子一人居りません。


    ――置いてきた文が読まれれば、必ず村の者が止めにやってくるでしょう。
    それを知っている娘は、急いで岸辺に乗り上げていた小舟を押しやって、上手く返す波の合間に浮かべると、素早く船縁を越えて乗り込み、沖に向けて漕ぎ出していきます。

    艪を扱う手並みは、戴帯される頭とて、流石に島に生きる者。  ・・・小舟は見る見る沖に向けて滑る様に進んで行き、やがて浜からは点の如き大きさとなり果てて、それも仕舞いにはふっつりと消える。
     
     
    遂にただ独り切りとなった娘は、そんな事には構うこともなく、ただひたすらに沖に見える小島―彼ら瀬戸衆が海の神様の住まう場所として敬っている、渦巻き島へと近付いて行きます。
    ・・・やがて島を守るようにして荒れ狂っている渦潮に、小さな小舟が差し掛かった時――娘は艪を使うのを止めると、艫に歩み出でて真っ直ぐに立ち、静かに目を閉じると、何やら一心に祈り始めました。
    祈りはとても長く、漂う小舟はあちらの潮に流され、こちらの流れに捉まりますが、娘は動じる風も無く目を見開きもせず、小舟も荒れ狂う潮の流れを乗り継ぎ走り渡るばかりで、かやる気配もありません。

    そしてやがて、半刻も経った頃――不意に彼女は目を見開くと、静かに何か思うところがあるような目で島の方を見つめて、小さく何か呟きました。  ・・・しかしその呟きは、ざわめく潮の流れにかき消され、遂に言葉として誰かの耳に届くことは、ありませんでした。
    次いで、次の瞬間――娘はゆっくりと己の利き手を腰に伸ばし、そこに束んでいた短い小刀に手をかけると、スラリと流れるように引き抜いて、あっという間に自分の喉を突き通し、前にのめって船縁を越え、波間に沈んでしまいました。

    ・・・例えその時側に誰か居ようとも、彼女の行動を止めることは出来なかったでしょう。 
    それほどまでに、その一連の動きは一糸の乱れも無く、傍から手を出すことを許さないほどに、不思議な畏ろしさがありました。


    そして、娘の姿が波の下に消え、海面を僅かに染めていた血潮が、逆巻く渦潮の中に溶け去ってから、暫くの後に――
    時ならぬ悲痛な咆哮が辺りを振るわせると共に、大きな影が海原を割って天へと駆け、急速に雲気が満ち、風が渦を巻き始めつつある空を、真っ直ぐ西に向けて進み始めました。
     
     
     
     
     
    その日は、昼の間は一日中晴れており、先だって海上で大勝利を得た異国の兵士達は、勢いを駆って戦線のあちこちで大攻勢を仕掛け、集まって来ていた在地の武者や獣達を、散々に打ち破っていました。
    各地で大損害を受けた秋津国側の正面兵力は激減し、分断された戦線の合間に取り残された敗残兵は、地に伏せる事を得意とする獣達と共に山深く逃げ延びて、息を潜めるばかりでした。

    しかし、彼らは未だに諦めてはいません。  ・・・故郷を焼かれ、家族を奪われた怒りは余りにも激しく、怒りは憎しみに姿を変えて、彼らの復讐心を駆り立てていたからです。
    ――最早、敵愾心を煽る必要さえありませんでした。  友を失った者は激情に駆られ、肉親を奪われた者は夜叉となって、敗残の身も忘れ血刀を下げて、異国の兵士達を夜な夜な襲い、脅かします。

    そういった襲撃による無用の損害を避ける為、最近は異国の兵士達は、夜になると自らの船に戻って、夜明けまで守備防衛に徹するようになっていました。


    そしてそんな中、それは起こったのです。

    その日の夕刻が近付くに連れ、何処までも青く澄み渡っていた秋空は、一変して東から流れてくる分厚い雲に覆われ始め、更に闇が濃くなって行くに連れて、冷たく湿った風が、どんどんと強まっていきました。
    ・・・どんどん急を告げていく雲行きに、異国の兵士や船乗り達も流石に慌て始め、急いで互いの船の間を鎖で繋ぎ、舷側に防舷物をかませて荒天に備えましたが――しかし何分、敵地での事。
    作業はろくに捗らない上に、波風はどんどん荒々しくなって、ともすれば作業に従事している小舟共を、軽々とひっくり返そうとします。  
    陸地に上陸して難を避けようにも、ただでさえ危険な深夜の、それも極端に見通しの悪くなる嵐の夜の事ですから、とてもではありませんが、無事で居られるとも思えません。

    結局彼らは、そのまま船上で嵐をやり過ごすことにして、兵卒水夫一丸となって奮闘し、何とか迫り来る嵐を乗り切ろうと、全力を尽くします。
    ・・・その間に、一番外側に位置していた幾艘かの船がこっそりと抜錨して、何かに導かれるように沖に向けて脱出を開始したことに気が付いた者は、その付近にいた敵味方両陣営共に、一人も居ませんでした。


    そして、その日の深夜――異国の兵士達と水夫達の努力を嘲笑うかのように、凄まじい烈風と打ち付けるような豪雨が、豊縁地方を襲いました。
    あれ程力を尽くして被害を押し止めようとしたにもかかわらず、船団はまるで玩具の様に時化の海に翻弄され、互いにぶつかり合って揉みくちゃにされながら、次々と沈んで行きます。

    僚船にぶつかられた軍船の船腹は障子紙の様に破れ、船倉に大量の海水を飲み込んだ船は、縛り付けてある僚船も道連れにして、怒り狂う白い泡(あぶく)の狭間へと、飲み込まれて行きました。
    甲板を右往左往する人影や獣達は、時折気まぐれに襲ってくる突風に煽られ、木っ端の様に舞い上げられては、悲鳴さえもかき消されたまま、逆巻く波に飲まれて見えなくなって行きました。
    帆柱を吹き折られた小型船は苦も無くひっくり返され、乗り組んでいた者達は他の船の同僚達に気づいてすらもらえぬまま、ぶつかり合う大船の間に挟まれて、押し潰されて行きました。
     
     
     
     
    ――際限なく沈んで行く異国の船と、なす術も無くただ海底に引きずり込まれて行くだけの、船上の兵士達や獣達。


    彼らの末期の悲鳴と断末魔を感じ取りながら、天空に羽ばたく大きな獣は、自らの引き起こした惨禍の程を、ただ黙って見つめていました。

    ――確かに彼らは、この地に於いて大きな罪を犯してきました。  
    略奪と殺戮を欲しい侭にし、抵抗する術も無い者を嬲り殺しにし、平和な村々を焼き尽くし、獣達を狩り立てました。

    しかし彼らにもまた、故郷がありました。  ・・・親兄弟を持ち、愛する人を待たせ、主人と獣達との間には、お互いをいたわり合い思い合う、紛れも無い絆がありました。
    彼らは日々故郷を偲び、縁もゆかりも無い土地で果てていく同僚達を哀れみ、帰郷を待ち望んでいる家族への思いを募らせながら、一刻も早く戦を終えて故郷に帰ることを、何よりも強く願い続けていたのです。

    ・・・そんな彼らが発する末期の叫びは、心無きけだものの呻き声などでは、決してありません。
    みな絶望の中にも張り裂けるほどに故郷を思い、愛する人の名を叫び、共にある大切な仲間を呼び合いながら、無慈悲に荒れ狂う嵐の海へと、無力に消えて行くのです。
     
     
    大きな獣には、それが全て『聞こえ』ました。  
    彼はこれまでずっと、その生まれ以って備わっていた『通じ合う力』で他の多くの命と触れ合い、互いに心を通わせる事によって、その絶大な力故に伴う隔絶と孤独とを、慰めていました。

    この能力のお陰で、大きな獣は何時でもずっと、大切な友人達と繋がっている事が出来ました。
    幼く無邪気な頃から、優しく純粋な若草の時――  
    凛として情け深い駿馬の時代より、思慮行き届き懐深い熾き火の季節まで――
    何人もの友人達と、その成長を見守りつつ、やがて訪れる別れの時まで・・・神と呼ばれし孤独な獣は、何時だってそうやって、互いに絆を深め合う友人達と共にある事で、幸せでした。

    しかしその時ほど、彼は生まれ以って備わっていたその能力(ちから)を、悔いた事はありませんでした。
    ――耳を塞ぎ、心を閉ざす術は心得てはいましたが、自らの運んだ災厄から目を背けることは、どうしても出来なかったのです。

    けれども、自らの命を絶ってまで、彼にこの地に住まう者達を助けて欲しいと願った友の思いに心を馳せれば、この苦痛に満ちた災厄の火種も、消すことは許されませんでした。

    耳の奥底に響いてくる、哀しみの叫び。 魂を突き刺す、絶望の祈り。
    引っ切り無しに心を切り裂く眼下の悲痛な渦に、思わず彼の頭は救いを求めて大きく揺れ、最早何も見ることも叶わぬ沖合いへと、その苦悩に満ちた双眸を打ち振ります。

    ・・・その方角は西。 異国の者達の生まれ故郷がある、広大な大陸が広がっている方角でした。
       
     
     
      
    やがて、夜明けが訪れた時――

    すっかり風雨の収まった、台風一過の空の下――豊縁の人々が目にしたのは、トウカ周辺の海岸一帯を埋め尽くしている、膨大な量の船材の破片と、異国の人と獣の亡骸でした。 

    色とりどりの原色に染め分けられていた異形の船団は、僅か一晩で無残な残骸に成り果て、水面を覆う水死体は河口を埋め尽くして、数も知れません。
    ・・・そしてそこかしこには、未だに死に切れなかったり九死に一生を得た異国の兵士や獣達が、重い傷の痛みに呻吟したり、助けを求めて手を振ったりしています。

    しかし勿論、彼らに助けの手が差し伸べられるような事は、ありませんでした。

    日が昇りきり、再び戦備が整えられるや否や、今までずっと怒りと憎しみに駆られて戦って来ていた地元の人々を中心とした秋津国の軍勢は、既に抵抗の術も殆ど残っていない異国の軍勢の生き残り達を、まるで手足を縛られた家畜を殴り据えるが如く、次々と打ち殺して行きました。
    ――元より大切な家族を奪い、故郷を荒らし、共に戦っていた同胞や、罪も無い善良な隣人達を殺し続けて来た、憎(にっく)き『鬼共』です。  抵抗も出来ない彼らを狩り立てるのに、躊躇う者は殆ど居ませんでした。

    そしてやがて、それから2ヶ月も経った頃――豊縁に攻め入った、数十万にも及ぶ異国の兵隊と獣達からなっていた侵略軍は、最早ただの一人・一匹として、この秋津国の中に残ってはいませんでした。
     
     
     
     
     
    ・・・ところで一方、大きな獣が嵐を伴って豊縁へと現れる少し前、密かに抜錨して沖合いに逃れた異国船は、その後どうなったのでしょうか?
     

    大きな獣が西の沖合いに暗い目を向けた、丁度その頃――先に船団から離れた数隻の異国船からなる船団は、荒れ狂う雨風に揉まれながらも、自分達の故国に向けて必死に舵を取り、激浪を掻き分けて戦っていました。

    時折天空を走る稲光が、船上で奮闘する大勢の船乗りと兵士達の姿を浮き彫りにし、彼らの必死の形相を、互いの視界の隅に刻み付けます。
    ――浮かび上がったその顔色は幽鬼の如く青ざめており、必死に生きる為に立ち働くその姿からは、ここ数日侵略者として振舞って来た残酷さや傲慢さは、何一つ見出すことは出来ません。
    しかも良く見てみれば、あか汲みを持って必死に船倉から水を掻い出している者共の中には、どう見ても虜囚であるとしか思えない、襤褸布の様な布子を纏った者達も、幾人か混じっていました。

    しかし今、立ち働く者達の間には、恨み事も互いに対する敵意の程も、一切存在してはいません。
    ・・・今の彼らには、敵味方を演じて憎み合うよりも、差し迫った事態を乗り切る事の方が、大切だったからです。

    そんな一団の船団を、荒れ狂う時化の海は容赦なくいたぶって、ひた走る箱舟を一塊の材木に変えてしまおうと、猛威を振るい続けます。
    ――しかし、何故かそんな絶望的とも言える状態であるにもかかわらず、数隻の船は互いにバラバラに離散する事すらなく確実に前に進み続け、徐々にではあるものの、荒れ狂う暴風域の外側へと、抜け出で始めつつありました。

    やがて波飛沫が徐々に小さくなって行き、次いで風が弱まって、空を切り裂いていた稲妻の轟音が、遥か後ろに過ぎ去った時――  漸く顔色を改めた船上の者達は、やがて面上に喜色を現すと誰彼構わず抱き合って、互いの無事を喜び合い始めました。  
    ・・・兵士達は既に海に捨てていた鎧を惜しむ事も無く、水夫達は船倉から残っていた酒樽を引っ張り出して来て蓋を叩き壊し、虜囚達も漏れる事なく回された欠け茶碗でがぶ飲みして、互いに肩を叩き合い、通じぬ言葉を交し合って、命を永らえた喜びを、共に分かち合っています。


    ――そんな船上の光景を確認した後、彼らを無事にここまで導いて来た獣達は、自分達が生まれ育った故郷に向け、前方に広がる暗黒と風雨の帳も眼中に無いかのように、悠然と反転し始めました。

    それに気がついた船上の男達が船縁に並び、声を涸らして心からの感謝の気持ちを伝えるのに答えるかのように、彼らは数匹で見事な編隊を組むと、体を傾け傾け、東の空へと飛び去って行きます。
    煌々と輝く月が西の空に傾き、夜明けの到来が近い事を告げようとしている中、未だ日の昇る気配の遠い東の空に向けて消えて行く竜達の背中を、彼らは何時までも何時までも、見送り続けるのでした。
     
     
     

      
    やがて戦災による傷跡も徐々に癒え、豊縁地方には、また静かな日常が戻ってきました。

    派遣されて来ていた他の地方の援兵も随時引き上げて行き、更に半年も経った頃には、秋津国の各地方はほぼ全て落ち着き終わって、嘗ての戦乱を感じさせるようなものは、何も残ってはいませんでした。
    炊事の煙が絶えていたムロの町も、逃げ延びていた僅かな人々が小さな村を再興しましたし、多大な損害を出して悲嘆に暮れていた瀬戸衆支配下の島々でも、居残っていた者達や無事に生きて帰ってきた少人数の者達を中心として新たな舟手方を編成し、空座となっていた頭領の座を埋めることは叶わぬまでも、新造船を次々と舟入させて、再建の道を歩み出し始めていました。
     
     
     
     
    ・・・しかし、以前とは変わってしまった事も、無かった訳ではありません。


    先ず一つは、あの嵐の夜が過ぎて後――タンバ周辺に於いて稀に見られた『風守』の能力者が、一切現れなくなってしまった事です。
    ――それは、海の神様が彼ら人間達に対して、心を閉ざしてしまった事を意味していました。

    それは、今までずっと海の神様と共に歩んで来た瀬戸衆の人々にとっては、本当に衝撃的な出来事でした。
    彼らは様々に手を尽くして、再び海神との絆を取り戻そうと苦心しましたが、『風の守人』が再び現れるような事は、もうありませんでした。

    ――それでも諦め切れなかった彼らの一部は、海の神様との絆を取り戻す為の掟を定め、それからずっと幾世代にも渡って、それを守り抜いて行く事になります。
     

    もう一つの変化は、まだ中央の権威が及んではいない新奥を除く、秋津国の全ての地域に於いて、異国を意味する『ムクリ・コクリ』と言う鬼の名前が、子供達に対して囁かれるようになった事です。

    「良い子にしないと、ムクリ・コクリの鬼が来る」――大人達の口からそう言って脅される度に、子供達はピタリとむずがるのを止めて、大人しくなります。
    ――それほどに恐ろしい、『ムクリ・コクリの鬼』。  ・・・しかし、果たしてあの時波間に消えて行った者達の内どれだけの者が、本当に『鬼』と呼ばれるに相応しい蛮行を、嬉々として行っていたのでしょうか?

    けれどもそれを知る術は、最早永遠に失われたままでした。

     
    そしてもう一つ――最後の変化は、豊縁地方で起こりました。

    同じく、あの嵐の夜以来――豊縁地方の全ての池や湖、そして周辺の海域から、水竜の眷属・一族が、全く姿を消してしまったのです。
    それはあの恐ろしい夜、生来船乗り達を見守る性(さが)のある彼ら水竜の一族が情に負け、嵐が訪れる前に異国の船団の幾艘かにその到来を告げて、無事に故国へと送り返した事への、自責の念の現れでした。

    共に生きている人間達や獣達の思いを余所に、敵である筈の彼らに情けをかけて、永らえさせてしまった事への面目無さ――
    後悔こそはしていないものの、自責の念は拭えない――そんな彼らなりの責任の取り方が、豊縁からの一族総退去でした。

    ――故に今でも豊縁の地では、水竜の一族を見ることは出来ないのです。
     
     
     
     
     
     
     
    ・・・さて――では、その後心を閉ざしてしまった海の神と、彼を慕う瀬戸の船乗り達との絆は、一体どうなったのか・・・?


    それはまた、別の物語――。
     
     
     
     
     
     
     参考書籍 『蒙古の槍』
    ―――――

    我がメモ帳にのたくられし妄想、其の一


    ・・・何故か仕事中急に書き進めたくなって、帰宅後、深夜二晩かけて完走。

    しかし最後の方は完全失速気味の中、人力操舵と自転車操業で無理矢理書き切った為、最早何を書いていたのかちょっとうろ覚えと言う罠・・・(爆)

    突貫作業だった為に幾つかシーンを割愛したり、ろくすっぽ推敲作業してなかったりですので、日本語的に意味不明な部分もあるやも知れませぬが、もしそう言う所を見つけましたなら、この哀れな生物に是非一言、お叱りの言葉を頂ければ幸いです。
    ・・後、多分細かい修正がひたすら入るかも・・・(爆)


    それでは・・・。  
    末尾になりましたが、日頃から様々な作品をお書きになって、この活字中毒者を大いに喜ばせて下さる皆様に改めて御礼を申し上げて、とっととメイクマネマネに行って参ります・・(爆)


    【批評していいのよ】

    【と言うか、お好きになさって下さいまし】


      [No.549] Re: カゲボウズー! 投稿者:てこ   投稿日:2010/08/27(Fri) 23:50:38     43clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5


    > 「ベランダに干していたカゲボウズのとなりに」
    > ↓
    > 「ベランダに干していたジュペッタのとなりに」
    >
    > ?


    今気がつきました!なんというミスを……
    ジュペッタ で、合ってます……


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