ポケモンストーリーズ!投稿板
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  •   [No.1437] whale song 投稿者:キトラ   《URL》   投稿日:2011/07/05(Tue) 21:25:39     77clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5

     ハルカは目を覚ました。夜中だというのに、なぜか目がさえて。船のエンジンは静かに動いているというのに。夜風に当たろうとハルカは甲板に出て行った。
    「うわぁ・・・。」
    満月の海。真っ黒の海の中に波間が見え、そこだけ白く照らしている。風はそんなに強くない。
    「きれい・・・。海ってこんなにきれいなんだ・・・。」

    ふぁーーーーーーーん

    「あれ?何かきこえ・・・。」
    船の横を大きなホエルオーが飛んだ。ホエルオーの鳴き声だ。黒い海を船とぶつかりもせず、遊ぶようにして飛んでいる。

    ふぁーーーーーーーーーーん

    さっきよりも長い鳴き声で、ハルカを呼んでいるようだ。
    「ホエルオー!?私と勝負するー!?」
    その言葉を理解したか、ホエルオーは海へと潜り、見えなくなった。
    「なんだ、勝負したいんじゃないのか・・・。野生のポケモンってみんな自分を大事にしてるんだな。」

    ふぁーーーーーーーーーーーーーーーん

    「まだいるの?いじめないから出ておいで!」
    再びホエルオーが顔を出す。今度は船尾の方に。ハルカはデッキを走る。
    「遊ぼう!夜の海くらい遊べるよー!」
    船の作る波を受け流し、ホエルオーは再び鳴く。深く、そして低い鳴き声。ユウキのホエルコを見せてもらった時とは違う、野生の鳴き声。闇に入ろうとして、手すりに足をかけた瞬間、ハルカは後ろから抱きかかえられた。
    「こら、ハルカちゃん、危ないじゃないか。」
    「あ・・・ダイゴさん・・・。」
    「夜の海に落ちたら、危ないんだよ。いいかい、まず見つからないから死んじゃうかこのへんのサメハダーに食べられちゃうかなんだ。」
    「・・・はーい。」

    ふぁーーーーーん

    「あ、まだいる・・・。」
    「ホエルオーかい?」
    「うん、そうみたい。さっきから1人で船のまわりにいるよ。」
    「・・・仲間を探してるんだね。」

    ふぁーーーん

    「仲間?」
    「そう、ホエルオーは群れで暮らすポケモンなのに、一匹だけ、船のまわりをまわってるなんておかしいだろ?」
    「あのホエルオー、1人なの?」

    ふぁあああああああん

    「そうかもしれないね。」
    ダイゴはホエルオーを見つめていった。
    「かわいそう・・・パパもママも、お姉ちゃんとかお兄ちゃんもいないのかな・・・。」
    「分からないな、野生だからね。」
    「寂しくないのかな・・・。」

    ふぁーーーーーーーーーん

    「寂しいと思うよ。だから、ああやって仲間を探してるんだ。」
    「友だち、船じゃなくて早く見つかればいいのに・・・。」
    夜風がハルカの髪をさらう。
    「そうだね。」
    「かわいそう・・・。」

    ふぁーーーーーん

    「ハルカちゃんは優しい子だね。」
    「え?なんで?」
    「他人の痛みが分かる、優しい子だよ。」
    「分からないよ。ホエルオーは・・・私と同じだから・・・。」
    「なぜ?」
    ホエルオーの声が遠くに行った。それでもまだ低い声は聞こえる。
    「私は・・・ずっと1人だから。」
    「なんで?お父さんは?ユウキ君は?」
    「ユウキ君は・・・違うの。お父さんも・・・ダイゴさん、あの・・・お父さんは、本当のお父さんじゃないの。」
    「え?それは本当なのかい?」
    「・・・・うん。この前、初めて知っちゃった。戸籍が必要でね、それで、お母さんに聞いたら、本当のパパとママは交通事故で死んじゃったって言ってた。それで知り合いだったパパが引き取ってくれて、でも、その時はまだトレーナーだったパパが子どもなんて養えるわけなくて、パパは家にいなかったよ。それでも私はパパとママの家族が好きだったの。」

    ふぁーーーーん


    「本当の家族だと思ってたの。でも、違うの。ダイゴさん、あのね、私ね、時々、この世で1人だと思うの。なんでか分からないけど、パパも、ママも、誰もいないように思うの。誰かに頼りたいのに、誰かが分からないの。仲間なんて・・・・いない気がして、なんでそう思うのか、最近わかって。ねえ、ダイゴさんは時々、自分が1人だけって思わないの?」
    「・・・思わないな。昔はそうだったかもしれない。でもね、ハルカちゃん。必ずどこかに孤独だと感じる人がいるなら、それをうめてくれる人っていうのはいるんだ。もうハルカちゃんは出会ってるかもしれない。まだ出会ってないかもしれない。誰だかは分からないよ?でもね、必ず会える。だから、会う時までは絶対に生きていなきゃいけないんだ。」
    自然とハルカを後ろから抱き締めていた。ここまで強気で張ってきた子。泣き顔を見られるのは、一番嫌がるだろうから。
    「ホエルオーのように、寂しいと言えば誰かきてくれるかもしれない。それでも、孤独を感じる度にその人が来てくれるとは限らない。」
    「うん・・・。」
    「・・・ハルカちゃんは強い子だね。」

    ふぁーーーーーーーん

    「・・・なんで?」
    「人間は野生の生き物のように孤独に耐えられないんだ。耐えられないから言葉で孤独にならないようにしてるんだ。だからずっと耐えてるハルカちゃんは、強い子だよ。」

    ふぁーーーーーん
    ふぁーーん

    トーンの違う二つの声。近くにホエルオーが2匹以上いる。ハルカは海を見た。
    「あ、ダイゴさん、ホエルオーが・・・。」
    「どうやら、仲間が迎えにきたようだね。」
    「・・・よかった・・・。」
    「ハルカちゃんも、もう迎えに来てくれた人がいるかもしれないね。」
    「え?いないよー。」
    「ほらまた。ハルカちゃんが思ってても、みんな思ってるかもしれないんだから。冷えるからね、もう戻ろうか。」
    「うん。」
    ふぁーーーーーーーーん


    ーーーーーーーーーーーー
    チャットで鳩さんの話を聞いてから、昔のをまた引っ張りだして来た。

    オーボエの素朴でどこか哀愁のあるソロと、ティンパニのクジラの鳴き声が合わさるwhale songを聞きながら。

    【お好きにどうぞ】【見た事ある?】【あるならその人と名前一緒よ】【昔のだからね!】
    参考音源:海の男たちの歌より「whale song」


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