ポケモンストーリーズ!投稿板
このフォームからは投稿できません。
name
e-mail
url
subject
comment

[もどる] [新規投稿] [新規順タイトル表示] [ツリー表示] [新着順記事] [留意事項] [ワード検索] [過去ログ] [管理用]
  • 以下は新規投稿順のリスト(投稿記事)表示です。
  • 48時間以内の記事は new! で表示されます。
  • 投稿者のメールアドレスがアドレス収集ロボットやウイルスに拾われないよう工夫して表示しています。
  • ソース内に投稿者のリモートホストアドレスが表示されます。

  •   [No.965] 空飛ぶ夢のその先は 投稿者:MAX   投稿日:2010/11/14(Sun) 04:20:06     40clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5


    「おおぅい、おおぅい、コモルーさんや! コモルーさんはおらんかな!」

    「うぅん、こいつはいったい何事か。声だけ聞くにはビブラーバ君か。しかしこの場は険しい山で、どうして君の声がしよう」

    「この声は! やぁ、この声はコモルーさん!
     して、あんたはいったい何者か」

    「そういう君こそ何者か。
     緑の身体のそこの君。その背の翼で空を舞い、長い身体をくねらせる。そんな知り合い、記憶にない」

    「やや、ひとつ名乗りが遅れたか。あっしはかつて、ビブラーバだったものでさぁ。
     砂漠のすり鉢を古巣とし、砂上を走って幾星霜。走った跳ねたを繰り返しては、飛べない翼に悶えたものよ。
     しかしそいつも昔の話。今のあっしはフライゴン。羽の数こそ減ってはおれど、こうして空を舞えまする」

    「あぁ、なんだ。やはり君がビブラーバ君か、いやフライゴン君か。
     すでに気づいているだろうが、こちらもきちんと名乗ろうか。
     自分はかつてコモルーだったもの。空飛ぶ身体になるためと、食うや眠るや身投げをするや、やはり気づけばこの通り。
     今の自分はボーマンダ。身体を包む甲羅は消えて、この背に真っ赤な翼も生えて、飛ぼうと思えば飛べる身だ」

    「おぉ、おぉ、なんと! やはりあなたがコモルーさんか。いやさ、今ならボーマンダさんか。
     いやはや、知らない間に翼も生えて、なんと立派な翼なことか。それほど立派な翼なら、空の果てまで飛べましょう。
     しかしてどうだ。あんたの顔は不機嫌だ。何か事情があるのなら、不肖、あっしが相談などと」

    「態度に出るほど不機嫌か。いや、不機嫌なのは本当だ。
     言うならば、背中の翼は立派だが、どういうわけだか空まで飛べず。
     立派な翼は無闇に風を起こすだけ、ということなのだ」

    「なんと、そいつは面妖な。
     やはり身体が重いのか? はたまた飛び方がわからないだけか。
     あっしなら、進化してすぐ飛べたものだが。はて、羽ばたき方を知ってたからか。
     どれ、ボーマンダさんや。あっしに羽ばたき、見せてくれ」

    「そういうことなら見てもらおうか。
     それ。やぁ、やぁ、やぁ!」

    「おぉぅ、こりゃまた力強い。
     あぁ、しかし、上から下へ動かすだけじゃ、ちょいと空へは飛べませんぜ」

    「……あぁ、ダメか。なかなかどうして難しい。念願かなって手にした翼、こうしただけでは持ち腐れか。
     なぁ、フライゴン君。ひとつ、頼まれてくれないか」

    「どうすりゃ飛べるか教えてほしい。と言うつもりなら、おやすいご用でさ」

    「あぁ、察していたなら話は早い。2枚の翼を持つもの同士、君の羽ばたき、見せてくれ」

    「ほいさ、わかった、頼まれた。
     あっしが羽ばたき見せやすんで、ちょいと真似してみなんせぇ。
     まずは地面に足を着け、ほい、ほい、ほい、と。
     翼の動きは根本から、縮めて上げて、広げて下ろす。風を真下にぶつけるように」

    「翼をしならせ、やぁ、やぁ、やぁ、と。こんな具合か?
     うむ、なにやら身体が軽くなる。持ち上がってる気がするぞ」

    「おぉ、存外うまくやりやすな。もともと筋は良かったか。
     そんな感じでいきやしょう。下ろすときには力の限り、上げるときには焦らず急ぐ。
     ほい、あっしもそろそろ飛び立ちやすぜ」

    「自分もだんだん浮かんできたぞ。これなら空も飛べそうだ。
     しかしこれでは上に向かって浮くばかり。このままどうして空を飛ぶ?」

    「こっから少しコツがいる。ほい、首としっぽをまっすぐ伸ばし、軽く地面を蹴るんでさ」

    「羽ばたいたまま、地面を蹴って進むのか。
     では、やぁ、やぁ、ややや!?」

    「ありゃ!? ひっくり返って落ちるとは! 地面を蹴るのが強すぎた!
     こいつはとんだ一大事! 落ちるにゃ慣れてはいましょうが、いつも無事とは言えますまい!」

    「あぁ! あぁ! 落ちる! この期に及んでまだ落ちる!
     ひっくり返って羽ばたけない! このまま地面に落ちるのか!」

    「そうは問屋が卸さない! しっぽをつかんで持ち上げよう!
     むむ、こいつはとんだ重量級! 持って耐えるが精一杯!」

    「おぉ、おぉ、これは宙ぶらりん。ゆっくり落ちてはいるものの、このまま落ちればケガもない」

    「あまり長くはもちませぬ! ひと度放せば真っ逆さまだ! はやく自分で飛びなせぇ!!」

    「やや、それはなんとも恐ろしい。そうなる前に羽ばたこう。
     やぁ、ちょっと身体をくねらせて、体勢なおして やぁ、やぁ、やぁ」

    「おぉ、おぉ、おぉう! 暴れてくれると手が滑る!」

    「ほんの少しの辛抱だ! もう少しだけ耐えてくれ!
     やぁ、やぁ、やぁ、やあやあやあ!!」

    「おぉ、これは! まっすぐ飛んではいやせんか!」

    「やぁ、飛んだ! 飛んでいる! やっと自分が飛んでいる!
     こんなに遠く、見渡せたとは! まだまだ雲は遠かれど、やけに地面が遠いじゃないか!
     いやしかし、こうして飛ぶのは疲れるな。地面もどんどん遠ざかる」

    「まだまだまっすぐ飛ぶだけなれど、そこまでできりゃぁまずまずだ。
     しかして、羽ばたくだけが飛ぶにはあらず。今度は翼を広げて風に乗ろう。そして右に左に飛び回ろう」

    「やや、羽ばたかずとも飛べるのか? いや、飛び立つために羽ばたくのだな。
     そういえば、空飛ぶ鳥は羽ばたくが、いつもそうとは限らんな」

    「そうそう、鳥がお手本さぁ。こうして身体をまっすぐ伸ばし、翼を大きく広げたならば、ゆっくり空を飛べますぜ」

    「少々怖いが、やぁ、こんな具合か。
     なるほどな、これならなかなか疲れない。だがしかし、なにやら落ちてる気がするが?」

    「や、羽ばたかなければ落ちるもの、そいつは仕方がないですぜ。上がりたかったら羽ばたきやしょう。疲れりゃもっかい、こうすりゃいい」

    「そういうことか。上がって下りてを繰り返し、こうして空を飛ぶんだな。
     あぁ、だんだんコツがつかめてきたぞ」

    「そうそう、そんな具合でさ。あとはゆっくり慣れればいい。
     身体を傾け上下左右、翼を広げて風に乗り、翼を縮めて風を切る。やるこたいろいろありやすが、急いで覚えることもない。
     まぁ、ちょいと手本を見せやしょう」

    「やや、フライゴン君。離れて寄って、それが左右の動きかね」

    「だいたいそんな感じでさ。あとは、身体を傾けて、翼を縮めて急降下!」

    「おぉ、フライゴン君! どこへ行く!」

    「翼を広げて風を受け、首を持ち上げ急上昇! ちょいと羽ばたき姿勢制御。まぁ、これぐらいならそのうちコツも掴めやしょう。
     お? 野を越え山越え森を越え、そろそろ海が見えてきた」

    「海? おぉ、あれが! 山に棲み、木々に囲まれ生きてきて、こうして空から眺めることになろうとは!
     あぁ、すごい! これが雲の目線というわけか!」

    「馴染みの砂漠も彼方にあるか。
     いつかどこかへ旅立ちたいと、願うことなどあるにはあるが。まさかここまで飛ぼうとは、正直夢にも思わなかった」

    「ははは、いやまったくだ。自分もまさか、念願かなって手にした翼、ここまで飛ぶとは思いも寄らず、だ!
     あぁ、そうだ。これが感動だ! 自分は今、心の底から感動している!!」

    「おぉ、おぉ、威勢の良い炎だ。
     さて、ボーマンダさん。そろそろねぐらに戻りやしょう。あんまり飛んでも疲れるさ」

    「そうなのか。いや、自分はそれほど疲れてないが。
     できればこのまま海を行こう、と自分は思っちゃいたのだが」

    「しかしまだまだ飛ぶのは不慣れ。海は広いし降りれない。疲れりゃどこで休めやす? 水に落ちたらどうしやす?
     あっしらまだまだ未熟さね。海の向こうはまだ遠く、もっと上手く、もっと長く、飛べればいずれ目指せやしょう」

    「もっと上手く、もっと長くか。君はどうかな、フライゴン君。なかなか上手に飛んでるが」

    「あっしもまだまだ未熟でさ。空飛ぶ翼が生えたのも、ついこの間のことでさぁ」

    「なるほどそうか。君もまだまだ若いのか。
     しかしこうして翼が生えて、念願かなったところだが、まだまだ夢は広がるな」

    「えぇ、そうでしょう。海の向こうはまだ遠く、雲の向こうは尚遠く、目指すは彼方のそのまた向こう。
     いやはや、茨の道というものか。退屈せずにすみそうだ」

    「目指すは彼方、なるほどな。そういうことなら引き返そう。
     落ちるばかりの日々は終わった。今日から空を舞う日々だ。目指すは雲と海の向こう。
     今は下積み、その先に」

    「夢は終わらず、良いことで。
     あっしも彼方を見てみたい。こうしてきたのも腐れ縁。行けるとこまで付き合いやしょう、ボーマンダさん」

    「行けるとこまで行こうじゃないか、フライゴン君」

    「さぁ、そうと決まりゃぁ特訓だ。特訓特訓また特訓」

    「自分と君とで特訓だ。彼方を目指して特訓だ。
     彼方は遠く、まだ遠く。遙か遠くにあるのだから……」


    | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |


    - 以下のフォームから自分の投稿記事を修正・削除することができます -
    処理 記事No 削除キー

    - Web Forum Antispam Version -