|
おやおや、よくきてくれたねぇ。
我の語りが気に入ってくれたかね?それは良かった。
ならばまた話そう、これはある青年の話だ。
今からだいたい250ほど前の時であったな。
城都はエンジュのある宿屋で、大きな事件が起こった。
その事件とは、当時の政を気に喰わず、王族の者を誘拐したのち、政の中心となる人物を暗殺せんとする者たちの討伐であった。
それを聞きつけた、当時は警察と言ってもよい組織の者たちは、刀を片手にその宿屋へ赴き、そこに巣くう悪しき輩共を討伐、もしくは捕縛しようと派手に乗り込んだ事件でなぁ。
きなくさい風に乗って血の臭いが僅かにしたので行って見てみれば、騒然としておった。
宿屋の中に4人ほど乗り込んだ者がおり、その中の1人はとても鮮やかな剣技であった。
そやつは見目が18〜20程青年でな、なかなかの美青年であった。
暗殺などを企む輩どもが血の海に溺れ、縄で身動きできずにいるなか、その青年に異変が起きよった。
そう、突然血を吐き、胸を抱え込むように倒れたのだよ。
その前に1人、返り血を眼球に浴びてしまい、離脱した者が1人おったので、そやつが抜けたことによっていったん不利になったものの、1人の男が仲間を連れて加勢したために、その事件は事がより肥大する前に解決したのじゃ。
しかしその青年は、それ以来刀を握れなくなったのじゃ。
原因はその当時、不治の病とされていた「結核」でのぉ、その者はのこりの余生を仲間と隔離されて過ごしておった。
我はその姿に寂しさを感じておったよ。
ついこの間まで剣を振るい、悪しき心を持つものをその刀を持って切り捨てた阿修羅の如き姿の見る影もなかった。
そしてそれから半年したのち、そやつは若くして死を迎えた。
短くも立派に生きたという。
その青年だがな、剣の腕はなかなかではあったが、色恋沙汰ではなかなか純情なところかあったようだ。
街医者の娘と親しい関係にあったとされるが、やはり病気のこともあってか、結局は実らずに終わったという。
なんとも切ない話であったわ、せめてその者とは結ばれてほしいという願いもあったよ。
さて、若くして病で死を迎えた青年剣士の名を教えよう。
そやつの名は「沖田総司」、新撰組と呼ばれる部隊で1、2を争う剣豪であったよ。
+あとがき+
さて、今回は新撰組隊士の沖田総司の史実を脚色しましたぁ。
ちなみにサブタイトル適当です、すんません(泣)
しかしこはるさんの書く外伝のような「語り部九狐」がまぁおもしろくって、にやにやしっぱなしですよ。
うふふ〜♪
ではでは、次も頑張って書いていきますよっと。
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】
【批評してもいいのよ】
【告白してもいいのよ】
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |