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大きなポケモンは災いを飲み込んだ。そのときポケモンは、大きく傷ついた。
災いの傷跡に、傷ついた身体で残されていた。
ある時、1人の人が傷ついたポケモンを見つけた。
人は尋ねた。
お前はそこで何をしているんだ。
大きなポケモンは答えた。
傷が癒えるのを待っている。
人は、災いから守ってくれたのはこのポケモンなんだ、と考えた。
大きな災いを飲み込むときに、傷ついてしまったのだと。
お前が災いから、私たちを守ってくれたのか。
人はそう尋ねた。
するとポケモンは、答えずに尋ねてきた。
みんなは無事か、と。
お前のおかげでみんな無事だ。だけどお前が無事じゃない。
あの大きな災いを飲み込むほどのポケモンを、人は恐ろしいと思った。
しかし、放っておいてはこのまま死んでしまうだろう。
人は、そのポケモンを助けることにした。
人が近づくと、ポケモンは言った。
俺は勝手に暴れただけだ。また暴れるかもしれないぞ。
人は怖くなった。しかし諦めなかった。
私はお前が怖い。もしお前が暴れたら、私は簡単に死んでしまうだろう。
だからこれ以上近づかない。近づかないが、勝手にする。
そう言うと、人は木の実を投げ置いて、そのまま去っていった。
大きなポケモンの前に木の実が転がる。ポケモンがそれを食べると、少しだけ身体が元気になった気がした。
次の日、同じ人がまた、木の実を投げ置いていった。
その次の日も、人が木の実を投げ置いていった。
それから何日も何日も、人がやってきては、木の実を投げ置いていった。
大きなポケモンは、人が置いていく木の実を食べ続けた。
食べる度に、身体が元気になっていく気がした。
ある日、人がポケモンのいる場所に行くと、そこにポケモンはいなくなっていた。
今日も木の実を持ってきたのに。
人は思った。
あいつは元気になったのか。元気になったから、ここを離れたんだ。
あいつは勝手に守ってくれた。だから私も勝手にあいつを助けた。そしてあいつは勝手にいなくなったんだ。
寂しいと思った。でも仕方ないと思った。
せっかくだからと、ポケモンのいたところに木の実を残して、人は去っていった。
それから、その人と大きなポケモンは、二度と会うことはなかった。
なぜなら大きなポケモンは、罰を受けていたから。
この世の裏を守りながら、大きなポケモンは悔やみ続けている。
さようならを言えなかったと、今でも悔やみ続けている。
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