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霧の深い山奥にあるここは、空気がとても美味しかった。
少々高いところにあるために空気は薄いが、深呼吸するだけで肺の中が洗われるような気分だ。崖を見下ろす線路に揺られ、ところどころ塗装の剥げたプラットホームに降り立つ。蚊との死闘を経ながら舗装されていない道を踏み締める。腐葉土の香りが鼻をくすぐった。
途中、遠くに見える橋をショートカットするべく谷を相棒のエアームドに乗って飛び越え、臓物が縮こまりそうな谷底の深さに息をのむ。
歩いて行ける場所にある、滝のしぶきがもろに降り注ぐ場所で水の香りを楽しんだ。そこで見た目も眩むような絶景は、滝が水の塊でなく飛沫を通り越し霧雨になるほどの高さである。
そこからさらに歩いて登ったところにある竹藪。そこには最後の休憩所があり、ロープウェイを使わずに来た物好きな観光客の疲れを癒すための甘いお菓子とお茶が購入できる。そこで得られる甘味に舌鼓を打って、眼前の石階段を眺める。歩く気力を削がれるような石階段の先に、目的の場所はあった。
表面に苔、石の隙間から雑草が生え放題の石畳の階段は、大抵霧が立ち込め表面も湿っている。登って行くうちに、霧の水滴なのか汗なのかわからなくなるほど体が熱くなり、頂上にたどり着くころには服がびしょ濡れだ。
重い荷物を背に乗せた私は、息も切れ切れ。思わず、ベンチでもない苔むした岩に座り込んでしまった。美しい緑色の苔を指で撫で、イーブイがリーフィアにでも進化できそうだなと考えながら、火照った体から熱を逃がす。汗は乾いてくれそうにないが、空気が冷たいので休んでいれば熱は逃げる。
呼吸も整い、熱も冷めてきた私は、時計についた水滴を拭って、時間を見たところで立ち上がる。
徐々に首の角度を上げながら歩き、出てくる客と正面衝突しないように見上げながら朱色に塗られた城壁のような分厚い門をくぐった。いや、ここは実際に城壁だったというべきか。分厚く高い壁、そして極端な角度の坂。空を飛べるポケモンでもなければ、正面の石段からしか攻められないここは、戦乱に巻き込まれた民間人たちが避難に来るような場所であった。
寺には、チャーレムやサーナイトと共に瞑想を続け、修験に励む修験僧たちが多数在籍しており、地形の助けもあって軍隊とてそうやすやすとは攻め入れない。今でこそ、景色の美しさと建物の荘厳さを仰ぎ見るための観光名所だが、かつてはここが生命線となった者も多いとか。
拝観料を払って門をくぐったその先には、今でもチャーレムがいる。と、いっても観光客の訪れる公衆の面前で瞑想や断食をしているようなこともなく、ポケモンには不釣り合いな大きさである人間用の竹ぼうきを、サイコパワーで操りながら落ち葉の掃除をしているだけである。
その子に会釈をして、石畳の上を歩く。漆喰の塗られた壁の高さと瓦の連なりを見ながら、内部へ。寺院の真ん中にある、腕が六本と顔が三つあるゴウカザルの像を拝顔し、かつて僧たちが断食の苦楽を共にしたという一室や、外部のならず者を探すための見張り台などを見て回る。
そうして一通り回ってみて、最後に残したのがここの目玉となる場所である。屋根のある石畳を土足で突き進むと、下り階段が顔を覗かせた。
天井は固めた粘土がむき出しで、そこから電気のランプが灯る。電線を引っ張って灯された橙色の頼りない光に照らされた、足元が闇にまぎれる手すり付きの階段を下り終えると、土臭く湿っぽく、僅かにかび臭い空気の中に、不気味に浮き上がるヒトガタ達。粘土で作られた物や、兵士たちの防具で作られた物。鍋や食器で作られた物。
木の破片で作られたものもあるし、布で作られたものもある。素材も大きさも無秩序に、そして無造作に置かれたこれらは、戦死者供養のためのヒトガタである。ここにたどり着く前に死んでしまった家族や友人を供養したいと申し出た者たちが思い思いの素材で作ったものだ。
それが行われた当時に作られたものは、一部の素材の物を除いて朽ち果てているが、今でも持ち込まれたヒトガタを、随時受け入れこうして安置しているのだ。
この国ではデモ行進や暴動が度々起き、その度に死者が出る。そういった機会に、当事者の家族がわざわざ来ることもあれば(デモを起こすのは大抵が貧民なので、わざわざこんなところに訪れる暇や路銀の関係で、当事者の来客は残念ながら非常に少ないが)それらの事件で心を痛めた人が勝手に供養を申し出ることがある。
戦場カメラマンなどがここを訪れることもあり、ここには新しいヒトガタが絶えることはない。風景の美しさも相まって、戦死者供養寺としても観光名所としてもそれなりに賑わっている場所だ。
私は、時計を見る。この寺院の開放日は、定期的にここのお話を聞かせてくれるイベントがあり、もうそろそろその時間である。
寺院の職員がベルを鳴らす。袈裟を着た坊主頭の僧が、揺れるロウソクを燭台に乗せて、しずしずと現れた。
「今日は、我らが寺院にお越しいただき、ありがとうございます。ただいま十二時を回りましたので、こちらに飾られたヒトガタと、それに関する逸話の紹介を行いたいと思います。お越しいただいた皆様は、携帯電話の電源を切り、また録音器具や撮影器具なども電源を入れることなく、御清聴をお願いします」
当然、この場所は撮影禁止で録音も禁止だ。メモや絵を残すことまでは禁じていないが、当然の決まりである。建前としては、『戦死者たちの霊がそういうのを嫌うので』だが、大部分の理由は商売への影響が出るという事もあるのだろう。
「さて、皆さん。準備はよろしいでしょうか? それでは、始めましょう」
ある程度は聞き及んでいるこの場所に伝わるお話。地下室に響く生の語り部の声に、私は改めて耳を傾ける。
時は、まだポケモンが超獣と呼ばれていた戦乱の世。農民たちは、若い者が戦に駆り出され、税として収穫を横取りされ、時には飢饉などが襲ってきて、その度に飢えに苦しんできた。戦争に巻き込まれると、田畑を踏み荒らされたりはまだいい方。酷い時には、冬の季節に敵に補給や休息を取らせないための焦土作戦で、家や田畑、森の木などを丸ごと焼き払われたこともある。
そうして、何もかも失って農民たちは多くが死に至る時代。この寺院が注目されたのも、そんな時代だった。
この寺院は当時、攻めにくい地形のこの場所で農作物を育て、自給自足の生活をしながら日々研鑽を積んでいた。俗世から離れた場所にあったここは、存在こそ知られていても訪れる者はほとんどなく。住処を失い故郷を離れた者たちでここにたどり着いたのは僅かであった。
このご時世だ。あまり多くは無理だが、寺の者は部外者を受け入れるのは慣れている。断食の経験も少なくないため、突然の来客で食事が少なくなろうとも、何ら不満は漏らさずに温かい食事を提供した。だが、それにも流石に限界があって、受け入れたはいいものの食事がなくなって結局、避難民が飢えの果てに死んだり、僧が真っ先に死ぬまで断食を敢行した事もある。
そうしたことは一度や二度ではなく、ある時死んでいった子供を供養するために親がミミロルのぬいぐるみを作った事がきっかけで、戦死者供養が始まった。避難しに来た者や、それに関連する死人が出た際、放っておけば死んでしまうような怪我人や病人、子供や老人を故郷か道端かに置いて来た際には、誰ともなくヒトガタを作って供養するようになっていった。
ヒトガタと言いつつも、前述のとおりミミロルの様な可愛らしいぬいぐるみが置かれたこともあるが、供養するという目的に変わりはない。せめて、戦乱に巻き込まれ、無念のうちに死んでいった者たちが安らかに天道へ導かれるように。それを願って、どんどんとヒトガタは増えてゆくようになったのである。
だが、戦死者の供養というものはそこに魂がなければ意味がなく、そのためなのか、このヒトガタにも魂が吸い寄せられる。それらはもちろんこのヒトガタ達の目的である戦死者やそれに準ずる者たちのそればかりで、魂は皆一様に穢れていた。
戦争が終わって欲しい、平和な世の中が欲しいと前向きな思いを残して死んだ者はまだいい。そういった者は、悲しみを癒してやれば、穢れも浄化してやがて風に溶けてゆく。だが、誰かを殺してやりたいとか、復讐してやりたい。そして、生き残った同胞に嫉妬し、道連れにしたいと思って死んだ魂は、程度によっては性質が悪くなる。
憎悪の念を抱えて死ぬことで穢れた魂は、簡単なもので病を呼んだり、事故を呼び込んだりといった疫病神に成り下がる。それですら怒りが治まらなかったり、似たような境遇、想いを抱えた魂と集合した場合は、非常に強い怨念となってヒトガタに宿ることがある。非常に凶暴なジュペッタとなって、この世に出るのだ。
本来は、大切にされたぬいぐるみに宿った魂が、捨てられたことで悲しみや憎しみを抱き、それが憎しみの感情に惹かれたカゲボウズと触れ合うことでジュペッタとなるものだ。そのジュペッタはぬいぐるみの思い出と憎しみを受け取って本能的に元の持ち主を探し回るが、そういった本来のジュペッタが憑依するぬいぐるみには根底に愛がある。
愛を受けたからこそ、それを捨てられた憎しみや悲しみが生まれるのだ。
けれど、ここで生まれたジュペッタたちには、憑代となったヒトガタに愛なんてものは欠片も存在せず、あるのは憎しみに塗れた魂のみ。死ぬときに誰かを強烈に呪った魂は、その想いだけに偏重し、生前人間だったころに受けた愛も、友情も絆も全て忘れてしまっている。
結果、新しいヒトガタを安置しに来た僧を無残に殺してしまい、寺院に在籍していた僧兵やチャーレムなどで鎮圧するだけでも、手酷い怪我を負ってしまったものだ。鎮圧するだけしたはいいが、殺してしまっても、結局呪いはここに燻ってしまう。それどころか、他のヒトガタに乗り移ってしまえばさらに呪いが凝縮されて厄介なことになりかねない。
結局、そのジュペッタはポケモンたちの力で急造で掘り進めた地下室の中へ厳重に封印された。丈夫な縄に経文を刻み、呪符を用いて幾重にも結界を張り封じ込めた厳重な警戒の元で、ジュペッタは動くことも出来ずに縛り付けられる。その状態では憎しみは癒えるどころか増すばかり。根本的な解決にはならなかった。
その騒動で傷を負った僧たちも怪我が癒えた、ある日のことである。この地に凶星(まがつぼし)が落ちた。この地域では、流れ星は凶兆とされており、それがこの地に落ちたという事で、住人達は大きな不幸の到来を予想していたのだが。不思議と、邪気のようなものを感じることはなく、超獣たちは怯えるどころか、むしろ星が落ちた場所へと興味深げに視線を向ける始末である。
この辺にも生息しているはずのアブソルは、ジュペッタの時こそ寺院の周りにワラワラと集まって激しく威嚇してきたが、凶星が落ちても騒ぎ立てることがないという事は、凶兆というのはもしかしたら全くの杞憂なのかもしれない。
何があったのかといぶかしげな寺院の者たちは、超獣を二匹と人間を二人派遣して、問題の場所を探ることとなった。寺院の入り口となる巨大な階段の反対側には、リオルの足で一日かかる距離、向こうに何もない山脈が広がっている。
その広大な山脈の樹海を踏み入った先に見たのは、黄金色に光る星型の頭部を持った超獣であった。
首から下が布に包まれているような見た目で、星型の頭部には青い短冊のような器官。目の下にある涙模様や、陶器のように白い肌が特徴的な見た目のその超獣。子供に化けた妖魔のたぐいだと疑わなかったわけではないが、どうにも連れてきたチャーレム達の様子を見る限りでは、全く敵意もないようだ。普段は警戒して他の超獣に接するはずのチャーレムが、ほとんど無警戒に近寄ってゆくさまは、僧たちも困惑した。
二匹のチャーレムは、すやすやと眠るその超獣に近寄り、つんと頬を触る。何の抵抗もなく沈み込んだ指を離すと、頬がぷるんと揺れて元の形に戻る。無警戒に眠っている超獣は不快そうに顔をゆがめ、うんうんと唸る。僧たちも警戒する必要がないと感じて近寄ってみると、その超獣はゆっくりと目を開き、布に包まれた首から下を外気にさらす。
四肢は申し訳程度についているだけのような短いもので、腹には一本の横筋。人間の赤子よりも赤子らしい頭でっかちの姿があらわになり、体を包んでいたぬ布のようなものは、襟巻きに近い形状になって首から背中に垂れ下がる。
目を擦った後にぱっちりと開いた目は、真ん丸な瞳が、霧の中で光を照り返して見える、それは綺麗な瞳であった。
「こんにちは」
霧のようにふわふわとした、頼りない声が頭の中に鳴り響く。どうやら、念話のようだ。
「こ、こんにちは」
僧の一人が、戸惑いがちに答える。
「おや、元気がないね。君も寝起き?」
「いや、そういうわけではないが……」
挨拶を返した僧が、返答する。
「すまぬ、こんにちは」
もう一人の僧が、頭を下げる。
「うん、こんにちは。君達はだあれ? 僕はジラーチ。昔はそう呼ばれていたんだ」
目の前の超獣は、ジラーチを自称する。きりもみ回転をしながらふわりと上に舞い上がったかと思うと、今度は滑空して二人の頭上に。
「私は、ツァグン……後ろの山を登ったところにある寺院に住んでいる」
後に挨拶した僧が、頭上を回るジラーチを眺めながら自己紹介する。
「俺はタークです、同じ場所に住んでおります……よろしくお願いします……」
続けて、先に挨拶したほうが自己紹介をする。
「ふぅん、二人とも……よろしく」
言いながら、ジラーチはツァグンと名乗った僧の胸元に飛び込み、数ヶ月は洗濯していないのであろう汗臭い袈裟に顔を埋めてから上目づかいでツァグンを見つめる。
「僕はジラーチ。望みを叶える者……君達二人は、何か望むことはあるかい?」
ツァグンが自分を抱きしめるのを感じながら、ジラーチが問う。
「望む、事……と、言われても、なぁ?」
「私に振られましても……」
上目づかいをしたまま唐突なジラーチの質問に、タークがツァグンに話を振るが、ツァグンも唐突なこの質問には答えを用意していない。
「ふぅん……」
がっかりしたような含みを持たせて、ジラーチはツァグンの腕からすり抜けた。
「望めば、どんな願いだってかなえられる。それとも、君達は欲がないのかな?」
「欲……は、無くなるようには努力しているが……」
タークは口にしてみたはいいものの、様々な願いがここで浮かんでくる。断食がしんどいのでたくさん食べたいとか、避難してきた女性に触れてみたいだとか、実に生物的な欲求が。しかし、そんな願いよりも、大事なのは平和やら、飢えをしのぐための豊作祈願といった、民のための願いではなかろうか。
願わくば自分たちの飢えもなんとかしたいものだが、仏道に属する身としては、私利私欲のために願いを使うわけにはいかないし、何でもと言うほど凄いのであれば、なおさら相談なしに、勝手な願いを叶えることは出来ない。
「皆に、相談したほうがよろしいでしょうかね?」
「そうだな、俺達が勝手にどうにかできる話題でもなさそうだ」
ツァグンの提案に、タークが賛成する。
「すみません、ジラーチさん。ちょっと、私たちの住処まで来てもらってよろしいでしょうか?」
「うん、いいよ。よろしくね、お二人さん」
結局、その場で願いを叶えることはせず、ジラーチは寺院の中まで連れてゆかれることになる。正体不明の超獣を連れてきたことで、凶星の言い伝えを信じる者たちは気味悪がって近寄るのを恐れたが、一番最初の願いで、その恐れも羨望のまなざしに代わる。
と、いうのも。避難してきた農民の女性が一人、肺の病を患っていたのだが、ためしにと願いを投げかけたところ、咳がぴたりと止まってしまったのだ。死んでしまったのではないかと思うほどの早業に、最初は誰もがいぶかしげであったが、咳が再発するような様子もない。
ジラーチの愛らしい見た目の良さも相まって、夜になるころには皆がちやほやするようになってしまった。だが、同時に問題も出てきた。
「あんな願いを、何個もかなえられるのか?」
さっきまで病人だった女性の夫が尋ねる。
「んーん」
ジラーチは首を横に振った。
「僕がかなえられる願いは三つだけ……僕の頭についている短冊の数と同じ。だから、叶える願いは慎重に決めようねー」
「そ、そうなのか……」
「僕らジラーチは、皆の恨みや憎しみ、悲しみや恐怖といった、嫌な気持ちを幸福に変えるんだ……でも、そういう気持ちを、僕の中に取り込むにはとても時間がかかるの……だから、そのための制限。あんまり大きなことを願いすぎると、僕の中の憎しみの力が足りなくなって、思い通りに願いをかなえられないからね。
それに、どうしても浄化しきれない嫌な気持ちもあるんだ……そういうものは、願いをかなえ終えた後に眠って、魂を空に飛ばして宇宙に流すんだ……太陽の光ならば、どんな嫌な気分も浄化する力があるからね。だから、僕たちは願いを叶えた後に千年も眠るの」
「憎しみの力……か」
話を聞いていた者たちが、意気消沈したように声を挙げた。
「そんな物、彼らは無尽蔵に取り込んでゆくというのに……なんというか、世の中適材適所とはいかないものだな」
僧である彼が思い浮かべるのは、地下室に隔離、封印したジュペッタ達。ジュペッタになりかけのヒトガタも一緒に、軒並みあちらに封印しているので、もはや地下室は魔窟と化している。迂闊に入り込めば拘束されていても、張りつめた殺気で死んでしまいそうなほど、異様な雰囲気に包まれているのだ。
「まてよ……」
と、傍で聞いていた僧はひらめく。残る二つの願いは、一つは豊作を祈願するとして、もう一つの願いをどうするかを決めかねていたのだ。戦乱の世を終わらせるというのも考えたし、それが最も良い願いだと思っていたが。
大量の憎しみを抱いたジュペッタ達の憎しみを抱えている。もしもその憎しみを願いの力に変えることが出来るのであれば、それはとてもすごい事なのではなかろうか?
「出来るよ」
尋ねてみると、ジラーチは可能だと答える。
「その気になれば異世界や未来に誰かを送ることも出来るし、人間をゲンガーみたいな超獣に変えることだって出来る。だから、僕の力でそのジュペッタをジラーチに変えることだって不可能じゃないよ」
何とも魅力的な事をジラーチは教えてくれた。そのことをこの寺にいる者たちに話すと、ジュペッタの封印に従事していた者たちは、ようやく結界の様子に神経を張り巡らす生活から解放されるかもしれないと、非常に喜ばしい表情を浮かべている。
結局、残る二つの願いは豊作祈願と、ジュペッタをジラーチに変えることで、憎しみの力を消費するというものであった。皆の見ている前で豊作の願いをしてみたが、特に様子は変わらず。もちろん、いきなり草木や作物がニョキニョキと生えてきたら気味が悪いわけだが、目立った変化はすぐには訪れなかった。
そして、最後の願い。ジュペッタをジラーチにするという願いだ。封印されたジュペッタ達は、原種とは比べ物にならないほど凶暴なため、腕に自信がある僧と超獣のみを連れて、封印された地下室の前へ。
ジラーチに願いを告げてからその中に入ると、中ではジュペッタ達が山吹色の淡い光に包まれながら、次々と元のヒトガタへと戻ってゆくではないか。そして、淡い光は一ヶ所。ひときわ強力な封印が掛けられたジュペッタの元へと集まり、まばゆい光となって収束する。
地下室の中に太陽が出来たと見まがうほど強力な光が収まると、そこにはジラーチとは似ても似つかない、長さの違う直方体の結晶を束ねたような紫色の宝石がふわりふわりと浮かんでいた。これを見届ける役にも参加していたツァグンとタークは首を傾げていた。
「君の願いは叶えたよ……さて、僕はもう三つの願いを叶えたことだし……もう、眠るね」
「ちょっと待ってくれ……ジュペッタのあの姿は?」
「繭のようなものだよ」
「繭?」
ジラーチの返答にオウム返しに僧が尋ねる。
「うん、僕も、今でこそこんな姿だけれど、ずっと眠っている普段はずっとこの姿なんだ。大丈夫、あの子はもうすぐ目覚めて、僕と似た姿になると思うから。それと、僕ももうすぐあの姿になる……お休み」
「お、あぁ……もう眠るのか? ずいぶんと急ぎ足だな……」
「うん、ごめんね。また千年後……」
ジラーチがゆっくりと目を閉じる。彼を包んでいた淡い光は徐々に激しい光となって、紫色の結晶に代わってゆく姿を覆い隠した。そして、紫色の結晶に代わった体は、抱いていた手を煙のようにすり抜け、天井も同様に水面に飛び込むかのようにすり抜け、天へと昇って行った。元となったジラーチが天球へと還って行くのを見守り、この場に集まった僧たちは、まだ繭の状態のジラーチに注目する。孵化の時を待つ卵を見守るような面持ちであった。
やがて、繭の状態のジラーチは、白い光を放ってジラーチとなる。体を黄色い襟巻きで包むことなく、最初から覚醒した状態でのお披露目である。
顔も体型も色も、先程天へと還って行ったジラーチとほとんど相違なく、言われなければ違いには気付かないだろう。
「……僕を憎しみから救ってくれたんだね」
第一声がそれであった。
「ずっと、辛かったけれど……君たちのおかげで救われたよ。ありがとう……」
そのジラーチには、人間を見かけたら問答無用で襲い掛かり、そして犠牲者の一人を原型が分からなくなるほどに切り刻んだような、恐ろしいジュペッタの面影はまるでない。穏やかな、本当に穏やかな、赤子のような笑みをたたえるジラーチであった。
「今度は、僕が君たちの願いを叶える番だ……さぁ、願いを言ってよ」
「願いか……」
「そうして、僧たちが願ったのは、戦乱の世を終わらせること。ここのヒトガタ達が、もうジュペッタにならないようにすること。そして、ここに避難してきた人たちの下山の無事……その三つでした。
その三つの願いを叶え終えたジラーチですが、元がジュペッタなおかげなのか、そのジラーチは眠ることはなく、願いを叶えた見返りにと自分に名前を付けてもらうことを望みました。僧たちよりシャル=ノーテと名付けられたジラーチは、名前を付けて貰えたことにお礼を述べた後、山奥のどこかへと消えてしまったそうです」
長い話を一区切りつけて、語り部はため息をつく。
「このジラーチのおかげで、今でもこの寺院にジュペッタが発生することもなく、戦死者供養に相応しい聖域を保っております。憎しみのような、後ろ向きで暗い感情から生まれた呪いを、ジラーチは前向きな想いを叶える願いに変える……まさしく、慈愛に満ちたポケモンと言えましょう。
この寺院には、常に戦死者たちの怨念が渦巻いておりますが、それらを救えるのは神の愛以外にありえません。我らも欲を捨て、見返りを求めずに人に親切できるようにと頑張っておりますが、ジラーチはそれを生まれながらにして出来る、素晴らしいポケモンです。
我らも、生まれながらになどという贅沢なことは言えませんが、出来る事ならば、争いが起こらない世を作るべく、こんな寺院が必要なくなるような世界にするべく、愛を心に持って生きてゆきたいものですね。これで、私の話は終わりです」
最後に深くこうべを垂れ、語り部が話を終える。
「なにか、質問はございますか?」
私は手を挙げ、真っ先に指名される。
「そのジラーチ、今もまだどこかに生きているという噂ですが……どう思いますか?」
私が尋ねると、語り部はつばを飲み込んで質問に答える。
「今でも、この寺院ではヒトガタが突然行方不明になることがあります。それはきっと、どこかへと消えた元ジラーチの仕業じゃないかと考えられています。たまに、そのジラーチを求めて冒険者がここに訪れますが……貴方のその大荷物は……」
「あぁ、退屈を打ち壊しに来たんだ。いや、夢の中でジラーチに誘われちゃいましてね。旅行する場所も特に決まっていなかったので、ここにしたんです」
階段を上る時は捨てていきたかったくらいの大荷物。これは、山の中に踏み入るためのもの。
「そうですか……たまに遭難者も出ているので、お気を付けてください」
語り部が私を気遣って言う。大丈夫、私は旅慣れているつもりだから。
「ありがとうございます」
そうして、質問タイムは続く。私はそれを聞き流すように右から左へ受け流し、これからの旅路を想う。ジラーチが本当にいるのかどうかはわからないが、私の相棒であるエアームドと旅が出来るなら、結果なんておまけのようなものだ。
語り部との質問タイムも終わり、私は寺院を後にしてこれから踏み入る山脈を見下ろす。
「神の愛、か……」
見返りを求めない愛。憎しみを、喜びに変える力を持つというのはなんと素晴らしい事であろうか。
「でも、私はお前を愛するだけで精いっぱいだがなぁ……それが本当なら、すごいポケモンだよ」
なんて、隣を歩くエアームドの首に右手を回し、顎を撫でながら言う。彼女は気分がよさそうに首を傾け、私の顔に頬擦りをした。霧が出初めているせいか、すでに濡れている彼女の体は頬を湿らせる。
「でも、こういう風に平和に暮らせるのがそのジラーチってポケモンのおかげならば、良いもんだよな」
そのジラーチのおかげなのかは知らないが、この土地は自然災害も減り、それに応じてアブソルも姿を消したそうである。
この平和がジラーチのおかげならば、それを壊さないような無邪気な願いでも願ってみるとするかな。
「さ、いくぞー」
まずは山を下なければならない。空気の薄いこの場所で上りを飛ばせるのは負担がすさまじいのでやらないが、滑空するくらいならば彼女への負担も少ないので、湿った風を切りながら彼女の温もりを感じよう。
足爪で獲物を掴むフリーフォールの要領でトレーナーを運べる縄梯子のバーをエアームドに握らせ、私は珍しく霧の晴れている山肌を翔け抜けた。
私の学校の裏山は春になるとそりゃあ見事なものです。
というのも昔、この土地を治めていた殿様が桜を植えさせたらしく、毎年三月にもなると山が薄いピンク色に染まるのです。
だからこの時期になると学生も先生達もみんなお弁当を持って、競うように裏山に行きます。
桜の咲き具合が綺麗な場所をみんなして争うのです。
この為に四時限目の授業を五分早く切り上げる先生がいるくらいです。
けど、今日の先生はハズレでした。数学の先生は時間きっちりに授業を終わらせるから、今日はいい場所がとれませんでした。おまけに私のいる二年五組ときたら、学校の玄関からは学年で一番遠いのです。
案の定、山を歩いても歩いても、いいところはすでに他学年や他クラス、先生達に占拠されていました。
私は落ち着く場所を求めて、裏山を上へ上へと登っていきました。
けれども上に登っても登っても、良い場所はもう陣取られているのでした。
あまり高くはない山でしたから、結局私は一番上まで行ってしまいました。
「ここは咲きが遅いんだよなぁ」
私はぼやきました。
山の一番てっぺんのあたりは、麓とは種類が違う桜であるらしく、満開の花が咲くのがしばらく後なのです。今はようやく蕾が膨らんできた程度でした。幹が立派な桜が多いのですが当然あまり人気がなく、人の姿は疎らでした。
しかし贅沢も言っていられません。私はそこにあるうちの一本の下に座り込むと、弁当の包みを解き、蓋を開けました。
今日のお昼ご飯は稲荷寿司です。それは母にリクエストして詰めてもらったものでした。
「今日はいい天気だなぁ」
私はそう呟いて、稲荷を一つ、口に入れました。
そうして、頭上で何かが揺れたのに気がついたのは、その時でした。
稲荷を頬張りながら上を見上げると、黄色い大きな目が印象的な緑色のポケモンが桜の枝の上からこちらを見下ろしています。
それはキモリでした。初心者用ポケモンとして指定されているだけあって、我々ホウエン民にはなじみのあるポケモンです。
弁当狙いだな、と私は思いました。学校近くに住む野良ポケモン達はみんな学生の弁当を狙っているのです。スバメやオオスバメに空中から、おかずやおにぎりをとられたなんて話はよく聞きますし、私もやられたことがあります。ましてや学生達が自ら進んで裏山に入るこの時期は彼らにとっては絶好のチャンスなのです。
「悪いが食べ盛りなんでね」
私はそう言うと弁当の蓋で残り五つほど並んでいた稲荷をガードしました。
キモリは不満そうな視線を私に投げましたが、それ以上はしませんでした。てっきり技のひとつも打ってくるかと思って少々身構えたのですが、そこまでする気はないようでした。技を使って強奪するまでは飢えていないということでしょうか。
それならば場所を変える理由もあるまいと、私は蓋を少し上げて、二個目を取り出し、口に入れました。
その時、
「ふーむ、今年も駄目だのう」
不意に後ろから声が聞こえて、私は声のほうに振り向きました。
見ると、古風な衣装を纏った男が一人、一本の桜を見上げながら呟いているところでした。
変な人だなぁ、と私は怪しみました。
男の衣装ときたら、なんとか式部やなんとか小町が生きている時代の絵巻の中に描かれた貴族みたいな格好なのです。その一人称がいかにも麻呂そうな男が、地味な衣を纏った男を一人伴って、葉も花も蕾もついていない桜の木を見上げているのでした。
「もう何年になるか」と、麻呂が尋ねると「十年になります」と従者は答えました。
「仕方ない。これは切って、新たに若木を植えることにしようぞ。新しい苗木が届き次第に切るといたそう」
しばらく考えた後、麻呂は言いました。従者と思しき男も同調して頷きます。
「では、さっそく若木を手配いたそう」
「できれば新緑の国のものがよいのう。あそこの桜は咲きがいいと聞く」
そのような相談をして、彼らはその場を去っていったのでした。
後には裸の桜の木が残されました。
私はなんだかその桜の木がかわいそうになりましたが、咲かないのでは仕方ないかなとも思いました。
改めてその木を見上げましたが、葉もついていませんし、花はおろか蕾もついていません。周りの桜は満開なのに、ここの木だけ季節が冬のようなのです。この木が春を迎えることはもうないように思われました。
立派な幹なのになぁ、と私は思いました。きっと最盛期には周りにの木にまけないくらい枝にたくさんの花をつけたに違いありません。私の視線は幹と枝の間を何度も何度も往復もしました。
そして、何度目かの上下運動を終えた頃に幹の後ろで蠢く影に気がついたのでした。
「おや」
と、私は呟きました。幹の後ろから姿を現したのはジュプトルでした。
ジュプトルはキモリの進化した姿です。その両腕には長くしなやかな葉が揺れていました。
「ケー」
ジュプトルは沈黙を守る桜の木に向かって一度だけ高い声で鳴くと、ひょいひょいと跳ねながら颯爽と山を下りていきました。
森蜥蜴の姿が消えた時、いつの間にかここは夜になっていました。あれから何日かが経ったようで、月に照らされた山の中で周りの桜が散り始めていました。まるで何かを囁くように花びらが風に舞い散っていきます。穏やかな風が山全体に吹いていました。けれど老いた桜は裸の黒い幹を月夜に晒したまま、沈黙を守っているのでした。
山の麓のほうから何者かがこちらに登ってきたのが分かったのは、月が雲に隠れ、にわかに風が止んだ時でした。それは、先ほどこの場を去っていたジュプトルの駆け足とは対照的な、落ち着いた足取りでした。そうして、月が再び天上に姿を現した時、その姿が顕わになりました。
花の咲かぬ桜の木の前に現れたのは、背中に六つの果実を実らせた大きなポケモンでした。その尾はまるで化石の時代を思わせるシダのようでありました。
それはジュカインでした。キモリがジュプトルを経て、やがて到る成竜の姿でした。
「ケー」
ジュカインは低い声で桜に呼びかけました。
そうして、自らの背中に背負った種を引きはがしにかかりました。まるで瑞々しい枝を折るような、枝から果実をもぐような音がしました。密林竜は一つ、また一つ、全部で六個の果実を自らの手でもいだのでした。
もがれた果実は桜の木を囲うようにその根元に埋められました。ジュカイン自らが穴を掘り、丁寧に埋められました。
「ケー」
ジュカインは再び低い声で鳴きました。
その時急に、止んでいた風がびゅうっと強く吹きました。
嵐のように、桜の花びらが一斉に飛び散ります。花びらが顔面にいくつも吹きつけて私は思わず手で顔を覆い目をつむりました。
そして再び風が止んだ月夜の下、再び目を開いた私は、不思議な光景をまのあたりにしたのでした。
先程まで蕾のひとつもついていなかったあの裸の桜の木が、満開の花を咲かせていました。
月夜の下で、まるで花束を何本も持ったみたいに枝にたっぷりの花が咲き乱れているのです。
ついさっきまで、見えていた月が桜の花に覆い隠されているのです。
あまりに劇的な変貌を遂げたその光景が信じられず、私は目何度も瞬きをしました。
「ケー」
ジュカインが満開の桜を見上げ、鳴きました。
風が吹きます。まるで答えるように桜の枝がざわざわと鳴りました。
桜の花びらがひらりと舞って、密林竜の足下に落ちました。
それからはまるで早送りのようでした。
みるみる花が散っていき、葉桜となることなく、再び木は裸になったのでした。そうして沈黙を保ったまま、今度はもう二度と答えることがありませんでした。
瞬きをする度に時が移って、いつのかにか木は切り株となっていました。いつのまにかその隣に新たな苗木が植えられたことに私は気がつきました。
桜はいつか散るが定め。
最後に大輪の花を咲かせた後、老いたる桜はこの山を去ったのでした。
昼休みの終わりを告げるベルが聞こえて、私は薄く目を開けました。
「……あれ?」
いつの間にか木の下でうたた寝していたことに気がついて、私は間抜けな声を上げます。
キンコンとベルが鳴っています。
「やべ、戻らないと」
すぐに五時限目が始まってしまいます。
私は、すっかり空になった弁当箱に蓋を乗せると元のように包みで来るんで、校舎に向かって駆け出しました。
【描いてもいいのよ】
【書いてもいいのよ】
★その1:『巳畑の収穫祭』(仮)
【帯】
やっちゃいましたっ☆
【内容】
第三回のポスケコで撒いた種が育って短編集ができました。
【目次】
・送贈-SouZou-
・あわにのって
・あかむらさき
・One daybreak One yell!
・カボチャンデラ
・巳の這いずりながらの後書き
頑張ってイラストも描きま(以下略)
【特典】
未定(コラ
【価格】
テイクフリー(え
★その2:『お狐様のもふもふガーデン』(仮)
【帯】
買ってくれた奴はもふもふ。
買ってくれなかった奴は鬼火でもふもふ。 by長老
【内容】
ある日、長老と呼ばれているキュウコンに言われた一言。
「狐が出てくる物語九つ書けー! 書かなきゃ、鬼火でもふもふの刑じゃ♪」
「いきなりクライマックス!?」
そんな無茶振りを振られた巳佑の運命は――。
【目次】
・『もふパラ』から見た世界史
・語り狐
・雨宿りも悪くない。
・こなゆ。(ただしポケスコに提出したものから大改稿、とりあえず最後のシーンとか削ります)
・ねつき屋(仮)
他四作品の予定。
「九人から話を集めるのも面白そうじゃのう、ほほほ♪」
「それ某イラスト集じゃ(欲しかったなぁ……というのはここだけの話)
【特典】
長老があなたをもふもふして狐にしてくれるよ!
レッツ、もふパラデイズ!
【価格】
「99円なんてどうじゃ?」
「まさかの(以下略)」
★その3:『狐日和』
【帯】
鳩尾崩壊注意の高校生活に青年、大ピンチッ!?
【内容】
関西弁のロコンさんがひたすら鳩尾を撃つお話です。
……おや誰か来たようだ(ドキャバキャグシャ!!)
【目次】
『未定』と赤い字で書かれている……。
【特典】
灯夢さんのピンナップでいいんじゃ。
なんなら裏表紙は灯夢さんのセクシーな写真でいっぱいにしてもいいし。
……おや誰か来たようだ(ドキャドキャバキャバキャグシャグシャ、ゴスゥ!!)
【価格】
『みたらし団子』と赤い字で書かれている……。
*全て、あくまでも妄想です。タブンネ。
少年の帰郷とか野の火でようやくブラインドネスレベル。
最初から書かずに、小説本文を書きながらあの形にもってく感じ。
もっとメモ書きっぽくて台詞なんかが多いけど、消化した項目から消すので、記録が残らない。
参考:
長編のプロットってどうやってまとめていますか? - No.017 [ザ・インタビューズ]
http://theinterviews.jp/pijyon/1515900
まさか本の中身を書いていただけるとは!本当にありがとうございます。
しかも、元記事より評価多い
嫉妬じゃないぞ!嫉妬なんかじゃないやいっ
改造やっていないですというのがこれでもかと書かれてますが
それが余計に妖しいとなるのでしょうか
というか、そのレベルで〜というならなぜ進化したのか、なぜ覚えてるのか理由書いた方が潔白の証明になるはず……ますます妖しいような。
何はともあれ、ありがとうございました。
ワタルさんサイン入り欲しい
五月頭にすげぇ暑ちぃ日があったじゃん。
あんまり暑いんで学校帰りにコンビニ寄ってアイス買ったわけよ。
やべぇ溶ける――つって急いで家に帰って。
そしたらアイスは無事だったけど、俺のフリージオが溶けてたんだ。
――――――――――――――――――――
100文字小説の味を占めて第二弾。
前作はスペースがカウントに入ってて実質97字だった模様 orz
ちょこっと修正致しました。
フリージオでなくても溶けそうだー
【好きにしていいのよ】
がじゃりと少しだけ派手な音がするように噛み砕く。しばらく口の中でそれを転がしてみるが、別に味に変化はない。このまま飲み込むには少し大きすぎるので、もう少しだけ口を動かてみる。
小さくなったそれを飲み込み終えると、手の中に残っていたもう半分の塊を口に投げ込む。
やっぱり、面倒くさがらずにきちんと研磨してから食えばよかったと後悔するころには、口の中は空っぽになっていた。
暗闇の中で光る両目が近づいてきた。
軽い足音がして、同僚がやってくる。
「よぉ」
小さく声をかけてきて、そいつは俺の隣に腰かけた。返事を返す前にそいつが出したのは、労いの言葉だった。
「さっきはお疲れー」
「あぁ」
「しぶとかったんだって?根性あるよなー」
出来れば、根性も体力もない奴がいいけど。
腰に下げた袋に手を突っ込んで、握り拳程度の原石を引っ張りだす。爪を立てながら少しずつ削っていけば、やがて綺麗な水色が浮かび上がってきた。
「ヨノワールが言ってたんだけどよ」
削る音が止まる。
「何を?」
「あいつら、また過去に飛ぶ気らしいぜ」
そのセリフは何度も聞いた、と返すべきなのか、それともため息をついて見せるべきなのか。
無言を押し通すと、「あいつら馬鹿だよなー」と同僚はつぶやく。
「過去を変えたら、未来は消える。そしたら俺たちも消える、あいつらも消える。こんな簡単なことがなんで分からないんだろうな」
「分かっちゃいるだろうさ」
不意に口から出た本音に、ちらりと疑心の目を向けられる。
取り繕うように「あいつらは自分たちが消えても良いと思ってやってんだろ」
「なんで?」
ううんと唸って見せて、あいつらが死ぬ寸前まで必死に叫んでいた言葉を復唱する。
「こんな暗黒の未来じゃなくて、本来の時間が流れる未来にする。そのためにはこの未来に繋がる過去を変える。本来のあるべき姿に戻すために、自分たちの命は惜しくない・・ってことだろ」
けど、その理屈は、おかしい。
ならば、この世界になってしまって、生まれ出た自分たちは、過去のどこかでこの世界に繋がる要因を取り除かなかったばっかりに、消えてしまう運命にあると言うのか?
死にたくなど、無い。消えたくなど、さらにない。
だから、ヨノワール・・メジストは神の意志の代行者を名乗った。
「お前たちが消える必要はない。全ては過去の責任だ。我々が存在を歴史から消されてしまう事は阻止せねばならない!」
綺麗に削り終わった宝玉は、暗闇の世には無い色を浮かびあがらせた。止まってしまった流水でさえ、これほど澄んだ蒼色はしていない。
「そりゃ、あいつらが叫んでいることだって分からないわけじゃないんだ」
「?」
同僚が俺の言葉に疑問符を返す。
「あいつらが思っていることは、少なからず、俺たちだって心の中で考えていることだからさ」
それでも、死への恐怖が大きいものは、みな、ヨノワールの言葉に魅かれていった。
こうして、この暗黒の世において、命は二つの勢力に分かれた。
まぁ、なんだな。
「過去を変えようとしているあいつらにとって、メジストや、ましてや俺達なんて、飛んでもない“悪”、なんだろうな」
締めくくって、同僚は立ち上がる。食べ損ねた宝玉を袋に戻しながら同意する。
確かにその通りなんだろう。
死刑執行人、それが俺たちの肩書だ。
この暗闇の世界で、幸か不幸か、ヤミラミという種族の俺は、最初は大して不便を感じなかった。
喰らうものはそこらの鉱石で十分だったし、もともと日光なるものが苦手な種族らしい。もっとも、生まれてこのかた、そんなモノを拝んだ記憶はないのだが。
だから、それ以外の種族がどんなふうに苦しんだかなんて、知りもしなかったし、この世界が異常と叫び続けるあいつらを冷めた目で見ていただけだった。
当然のように、真っ先にメジストについていった。
そして、この役職を与えられた。
過去に飛ぼうとするあいつらを、神は察知し、ヨノワールが指示を出し、俺たちが捕える。
そして、殺す。
生かしておいても、何の意味もないから。
両手の爪は、それはそれは鋭く相手の肉を抉り、少しでも長く苦痛が続くように嬲り殺す。
あるポケモンは死に際に皮肉そうにこう言った。
「死にたくないと願うお前たちは、今日も同じ願いを持つ者を殺しにかかるのか」
俺はそれにこう言った。
「過去を変えてこの“今”を消そうとするお前らが、命を捨てる気ではないと言うのか」
止めを刺した。
そいつは何も言わずに言切れた。
特に神が敏感だったのは、時を超える力を持つとされるポケモンへの弾圧と排除だった。
セレビィ。全てを殺害にかかるよう命令が下された。
はじめて見た時、あれは本当にポケモンなのかと目を疑った。暗緑色しかない森に、生きた宝石が飛びまわる。
淡い緑色のそいつらは、とてつもなくすばしこかった。逃げまどいながら奴等は歌う。
「どうして色を取り戻さない。私の体と同じ色の、森や大地をみたくはないのかしら」
そんな奴等を捕まえて、首元を切り裂きながら返事を返す。
「鈍色の大地と空で十分だ。自分が消え去るよりはよっぽどな」
綺麗な色をしたポケモンは驚くほど華奢でもろかった。
根絶やしにしたと思っていたのに、まだわずかに勢力は残っているらしいと分かって、メジストは神経質そうに招集した俺たちを見回して指令を伝える。
「ディアルガ様よりご命令だ。奴等の最後の生き残りが、過去へ飛ぼうとしているらしい」
見つけ次第即刻排除せよ。何度聞いた命令だろうか。
これが最後になるといいんだけどな、甘い考えを持ちながら、その場を離れた。
一体どれほどの数の命を殺めてきたのだろう
あと何回この腕を他人の血で染めあげれば終わるのだろう
殺すたびに考えた
答えはいつでも出なかった
過去に望みを託すものは、俺達なんかよりも、たくさんいた
死にたくないと思いながら この世界はおかしいと言い続けて 死んでいった
それを見るたび考えた
俺はいったい何をしているのかと問うてみた
最終的にたどり着くのは 俺がやっていることは 少なくとも正義なんてものじゃないってことだ
さっき殺した奴を思い出す。
俺より少し若いくらいの、緑色のトカゲだった。
捕えるまでに随分と抵抗したらしい、少し色の悪い体中に、無数の浅い傷が見て取れた。
こいつがいったい何をしでかしたのか、聞かされていない。俺たちのところには、いつも命令と殺す対象がやってくるだけだから。
分かっているのは、こいつは、この未来を変えようとしている奴等の、一人である。だからここに殺されに運ばれた。
幼さの中に虚勢を張って、そいつは柱に縛りあげられながらも、俺を睨みつけていた。そうしていれば、自分が恐れを知らない強者であるかのよう見せられると信じているようだった。
特に命令がなければ基本的に殺す方法は、執行人に一任される。
中には殺し続けるうちに、自分の趣味をぶちこんで仕事を私刑化する奴もいたが、そんな殺害マニアになれるほど、俺は壊れちゃいなかった。
「これから始まることは」俺はそいつに言ってやる。「拷問でもなければ公開処刑でもない。俺がお前を、殺す。それだけだ」
「処刑には変わりないだろ」
震えた、しかしどこか拗ねたような声だった。
「お前たちは世界の命と自分たちの命を秤にかけて、自分たちを優先したんだ。この世界が死んでいく重大さなんて、考えもしないで!」
「公開はしていないから公開処刑ではない、というつもりだったんだが」
俺の言葉に、どこかそいつは一瞬、間の抜けた表情を見せた。そこかよ、と呟いて「ふざけるな!」激情した。
ふざけたつもりなど毛頭ない。むしろ、真面目腐って答えたつもりだった。
「早く殺せよ」
急に声に覇気がなくなった。
張り続けていた緊張が、どうやらさっきのセリフで消し飛んだらしい。随分もろいものだ。
「悪いがその願いは叶えられない」否、叶えてはいけない。相手を楽にしてしまう。だから、苦しめて苦しめて、殺す。それは、執行人すべてに最初に叩きこまれた命令だからだ。
「俺がお前を殺す間に、お前は生きる以外の全てができる。喚いてもいい、泣き叫んでもいい、助けを求めてもいい、何をしゃべるのも何を考えるのも勝手だ」
ただし、何をしても生きること以外は絶対にできない。
そう言って俺は静かに爪を研ぎ始める。
「お前、変だな」
予想外の言葉が飛び出す。
「いまから命を一つ消すっていうのに、変も普通もへったくれもない」
「そうじゃなくて、何も聞かないんだな」
言葉の意味を取りかねてマジマジとそいつを見据える。
「遺言を聞いても伝えてなんかやらないぞ」
「そういう意味じゃない」
じゃあなんだ。俺はこいつの相手をするのがだんだん面倒くさくなってきた。さっさと殺して黙らせたいが、しかしどうもこの先が気になってしまう。
「もっと、仲間のいどころを吐けとか、そう言うの聞かないのかよ?」
「聞いてほしいのか?」
そうじゃないけど、と口ごもる。おかしな奴だ。
これは拷問じゃない、故にお前が何をしゃべっても俺はそれを聞き流すだけだ。答え終ると同時に、俺の処刑道具が研ぎあがった。
喉笛を切った感触はまだ残っている。闇色の肌は当の昔に赤黒い液体で塗り替えられた。元の色に戻ることはおそらく二度とあるまい。
全ての色を黒で割ったような配色の世界を走る。
探し出す対象がどこにいるのか、ましてやどんな種族なのか、情報一切よこさずに、見つけて殺せとのご命令、こんな無茶振りどうしろって言うんだ。
途中でサボってやろうかと、足を止めて先ほど削った青色の宝玉を取り出そうとして、手が滑った。
食い物として惜しいという気持ちはあまりなかったが、思わずそれを追いかけはじめる。
するりと抜け落ちたそれは、灰色の大地を転がっていく。
段々とそれに追いつくことばかりに集中し始めて、他のことが頭から抜けていく。
あと少しで追い付く、とばかりに手をのばして、俺は地面が嫌に不安定なことに気がついた。しかしもう遅い。
宝玉は空中へ転がり落ちて、俺はそれを掴みにかかる。
そこで、ぶっつりと意識が途切れた。
目が覚めるとそこは暗闇だった。両目に圧迫感があることで、目隠しがされていると判断する。
両手は後ろ手に縛られていて、両足も動かせない。左足は何かに固定されているようで、少し動かすと痛みが走る。座らせられているのは分かるが・・
一体何がどうなっている?
「あぁ、起きたのか」
知らない声が聞こえた。随分と落ち着いていて、穏やかな声だった。
同僚にこんな声の奴はいない。いたとしても俺を拘束なんてしないだろう。とすると、声の持ち主は限られる。
「おい、むやみに話しかけるな」
別の声が諌める。冷静だが、どこか怒りを含んでいた。
そりゃそうだろうな。目の前に憎むべき悪がいるんだから。
「空から落ちてきたときは驚いたぞ。お前、空を飛べるんじゃないよな?」
穏やかな声が冗談交じりに俺の方へ向けられる。諌めた声の内容など、耳に入っていないようだった。
そんなわけはない、と返すと、「じゃあなんで崖から飛び降りる様な真似を?」
宝玉を追いかけていた。正直に答えると、笑われた。石ころを追いかけて片足折ったのか!
どうやら、俺の足が使えない理由の一つが分かった。しかし、固定されているという事は・・手当てがなされている。
「何故助けた?」
「助けたくなんて無かったんだけどな」
先ほどの諌めたほうの声が飛んでくる。どうやら穏やかな方とは違い、明確に俺に対して敵意を向けている。
となると、穏やかな方が俺を助けた、という事か。頭の中で 冷静<穏やかという図解が出来上がる。
助けた、という事は。
「殺さないのか?」
「殺してやりたいとも、だがな・・」
感じた疑問を口に出すと、怒りを押し殺した声が答えた。では何故そうしない?
すると、穏やかな声がこう言った。
「だって、お前は悪くないから」
・・・。意味が分からない。
「俺はたくさんのお前らの同胞を殺してきたし、お前らの敵だ。お前らにとって、俺は悪の象徴みたいなものだろう?」
ディアルガが闇の神でメジストが悪の権化であるならば、死刑執行人である俺たちは、さしずめそんなものだろう。
かなり昔にそんなことを喚いていた奴を殺した記憶がある。
「いいや」
声は否定する。
「悪なのは、ボク達の方さ」
だって
「お前は何一つ間違っていないもの」
穏やかな声は言う。
「この世界を、何処かで歴史を踏み間違えた世界だと言い張るのはとても簡単だ。でも、それは真実であるかどうかなんて、分からない。この未来が、本来の歴史の姿だと言うのであれば、お前がやっていることは、至極真っ当なことなんだ」
当惑を通り越して、何を感じていいのか分からなくなった。
生まれて初めて、自分が悪ではないと言われた。
たくさんの奴が俺たちを否定しながら死んでいった。なのに、どうしてこいつはこんな簡単に俺たちを肯定してのける?
「お前、なんなんだ?」
絞り出すように出てきた疑問に、穏やかな声は答えた。
「ボク?ボクは・・人間だよ」
にんげん。
そんなポケモンがこの世にいたのか?
「人間は、牙もなければ爪もない、空も飛べなければ泳ぐことが得意なわけでもない、壁をすり抜けることもできないし走るのが早いわけでもない、植物を操るわけでも炎が吐けるわけでもない、電撃を放出することも、なにもできない。そんな、生き物さ」
できるのは、生きることだけさ。
声はそう言って、立ち上がる気配がした。
じゃあ行こうか。
殺していかないのか?
別に、見られてるわけじゃないんだし。
そんな会話が聞こえてきて、足音が去っていく。
奴等は過去に行くんだろうか
そこはココより綺麗なところなんだろうか
過去とは、そんなに素晴らしいところなんだろうか
握りしめている宝玉の色を思い出す
この色の無い世界は 果して幸福なんだろうか
数時間後、俺は同僚に発見された。
他の奴らも結局取り逃がしたらしく、メジストは苛立ちのあまり俺たちに労いの言葉一つかけずに神のところへ向かったらしい。
俺はあいつらのことを言わなかった
相手がどこに行ったのかも、どんな姿をしているのかも分からないし、そんな情報が役にたつとも思えなかった
足が使えない、という理由で、俺はしばらく仕事からはずされた。
それをいいことに日々石を削る。
色の悪い奴は口に投げ込んで、それ以外を寝床の隅に並べてみる。
さまざまな色を眺めて、俺はそれに一応満足する。
あいつらが過去で何をしているのか、もちろん、この未来を変えるためのことなんだろう。
それが功を成し遂げて、この未来が変わるとすれば、俺たちは消えるんだろう。
それはそれで、もう良いんじゃないだろうか。正義の味方のやることなら、それがきっと正義なのだろう。
あいつらがいかに自らを悪だと称しても、俺達から見ればやはり悪なのは俺達なのだから。
――――――――――――――――――――――――――――――――
余談 御題【悪】で趣味に突っ走った作品
キモリ殺すシーンがなんか微妙な気もするけどもうどうでもいいやと投げた。
久方様の作品に影響されて書きました。いやほんと。
【好きにしていいのよ】
【プレゼントフォー久方様(迷惑】
これおもしろいですね。
いろいろつくれそうだ。
誰かクリスマス中止のお知らせ系で!(もう期限切れ?w
どうもです、No.17さん。 コメントありがとう御座いますです。
・・あれですな・・・近頃皆さんがお書きになられている様々な作品を拝見させて頂いているお陰で、この大根のミイラが詰まった頭を戴いているやつがれも、不思議なぐらい作文意欲を刺激されて、今まで止まっていた幾つかの妄想話が、少しずつ進み始めて参りました。
・・・これもみな、作品を投稿なされておられる皆様方のお陰です。 ありがたや・・・
> 読んでいて、蒙古襲来がモデルになっているのかな?
> と思っていましたがやっぱりそうでしたか。
やっぱりそうなのです。
・・まぁ元々このお話は、別のお話を構築している最中に、背景を固める過去の出来事の一環として思い付いた物ですので、捻りも何もありは致しません(爆)
ですので、先ずは元にしているテーマを出来るだけ分かり易く伝えられる事に、重点を置いています。 ・・・残念ながら、やっぱり出来栄えの程は怪しいものですが(爆)
> 二晩でよくぞここまでの量を……!
> クーウィさんて打鍵魔でいらっしゃるのね。フフフ
お褒めの言葉を頂きながらも、残念な事に・・・元々このお話は、5割弱ぐらいは出来てたんですよ・・(爆)
ですので、実際に二晩かけて打ち込めた量は、たったの半分程度なんです・・・
元々書き始めた当初から、構想は既に完全に纏まっておったのですが・・・いざ書き始めると、国語能力の貧しさと文才の乏しさ故に、すぐにドン詰まりになりがちで・・・
それで半分近く書いた時点で、半年近くお蔵入りとなってました(爆)
・・・こんな感じで書き途上で放置されているのが、メモ帳の中で怨念を伴って溜まっている状態ですね(苦笑)
> 実際の蒙古も嵐がきっかけで撤退しますが、
> そことポケモンをうまくあわせたなぁ、と。
どちらかと言うと、先にポケモンから入った感じですね。
ルギアの図鑑説明に、『羽ばたくと40日間嵐が吹き荒れる』・・的なヤツがありましたので・・・
「それじゃ仮に何処か行こうにも、空も飛べねぇじゃん」――とか思った所で、大まかなあらすじが浮かび上がりました。
> それにしてもここの人達はカゲボウズとキュウコンと伝奇・歴史系好きですよねw
自分もガチンコで大好きですよー!
だからこそ、『豊縁昔語』や『野の火』なんかの作品が、頭から離れないんですから・・!
・・と言うか、実際昔にキュウコンが主人公でグダグダ語る形式のお話も、書いた覚えがありますし(苦笑) ・・・だってあのポケモン、ネタにしやす過g(爆)
個人的に文学的な題材としての『ポケモン』は、人と対比させるに当って非常に容易な形で、『自然』の擬人化として機能させる事が出来るものだと感じています。
・・故に、物語の中で『人』と言うものを浮き彫りにしようとした場合、普通は周囲の自然を描きこむ事によって、間接的に対比関係を強調せねばならないものですが・・・これがポケモン小説だと、最初から『人とは違う価値観を持った存在としての自然』が、『ポケモン』と言う明確な『個々の意思』を伴った形で描き出せるため、結果として『歴史』と言う、人の営みそれ自体を描くテーマに、生かしやすいのだと思います。
・・なんか、何言ってんのか分かりませんよね・・・ 御免なさい。
・・まぁ一言で言えば、『ポケモン』と言うソース自体が、『人と自然との対比』、『人と歴史』と言うテーマを描写する能力に、非常に優れていると思うのですわ。 ・・・個人的にはですけども。
> 【いいぞもっとやれ】
まぁ時間がある時は、またきまぐれに頑張らせて頂きますよー
・・・とは言っても読み専の言う事ですから、当てにはしないでくださいね(笑)
あくまで自分は気長にねちっこく、皆さんの作品を待ち受けて、読ませて頂く方が専門ですから。 ・・これだけは、絶対譲りませんぜっ!()
・・では。 ありがとう御座いました・・・!
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