ポケモンストーリーズ!投稿板
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  •   [No.2723] エラー? 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2012/10/29(Mon) 20:15:56     90clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    記事一覧からtweetが出来るけれど
    記事そのものからのtweetが出来ない。窓が開かない。
    google chome です。


      [No.2722] マサポケノベラーさんへ77の質問 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2012/10/29(Mon) 20:12:03     202clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:77の質問】 【質問

    昔流行った○○の質問。
    ふと思い出して、引っ張り出してきた。
    ちょっと今にあわせて改造しようと思う


    マサポケノベラーさんへ77の質問

    ■あばうと みー■ 

    ●1.My name is ○○○. まずは名前を教えてください。

    ●2.↑とは言いましたが、実は×××とも名乗ってるんです…… HN複数持ってます?またそのHNは?

    ●3.年齢・性別・生息地などなど。あなたの正体プリーズ。勿論言える範囲だけでOK。

    ●4.オールジャンルで(※全てにおいて)好きなもの。

    ●5.オールジャンルで嫌いなもの。

    ●6.あなたの性格。自覚している長所や短所……

    ●7.あなたを一言で表すと? 日本語でも英語でもスワヒリ語でもおっけー。

    ●8.あなたの職業は? 真面目に答えてもボケてもいいですよw

    ●9.国語 数学 理科 社会 英語……学校の教科で得意科目と苦手科目を一個づつ上げるとしたら?

    ●10.持ってる資格とか賞罰。何でもいいから書いてみると……


     

    ■インターネットライフ■

    ●11.インターネット歴。いつからだったかなぁ……今何年になるかなぁ……

    ●12.自分専用のPC(パソコン)って持ってます?

    ●13.ネットで便利だと思うこと。不便だと思うこと。

    ●14.お気に入りのポケモンサイト、教えてくださいw

    ●15.自分のホームページありますか?良かったらここでCMタイム。無論ジャンル問わず。



     

    ■ポケモンライフ■

    ●16.ポケモン歴は何年? また、ポケモンにはまった原因って何?

    ●17.『GB(GBA)ソフト ポケットモンスター』あなたの持っているカセットは何色?

    ●18.こいつが俺のパーティだ!ゲームでのベストメンバー、教えてください。

    ●19.私はこんなコダワリを持ってパーティを選んでいます。なんてのがあったら。

    ●20.アニメ見てるかー?ポケスペ読んでるかー?ポケモンカードやってるかー?

    ●21.一番好きなポケモン!どうしても絞りきれなかったら複数回答も可。

    ●22.一番好きなトレーナー!ゲームでもアニメでもポケスペでも……

    ●23.一番好きな、技? アイテム? 属性? ……何かある?

    ●24.21、22、23で答えた中から好きなお題を1つ、全力をあげて語り倒してください。
    ●   惚気OK。親馬鹿OK。妄想暴走勿論OK。

    ●25.17以外のポケモン関連ソフト持ってます?ポケモンミニとかは?

    ●26.ポケモンファンの聖地、ポケモンセンター。行ったことある?

    ●27.主人公の名前=ゲーム中でのあなたの名前は?

    ●28.あなた自身をポケモンに例えると、何が一番近いですか?

    ●29.ポケモン以外にはまっているモノありますか?何ですか?

    ●30.突然ですが、あなたはポケモンワールドのトレーナーだとします。
    ●   名前、出身、手持ち、職業etc……「あなた」の設定を、参加型キャラメイキングの要領で。



     

    ■ノベラーライフ■

    ●31.あなたが今書いている小説。ズバリタイトルは!!

    ●32.↑のあらすじ・特徴的なところ、ウリ等をどうぞ。

    ●33.あなたの小説の中で、あなた自身が一番気に入ってるキャラは?どんな所が気に入ってる?

    ●34.作者オススメw あなたが今まで書いた小説の中で一番気に入っている話は何話?どの辺のエピソード?

    ●35.一番書きやすいのはこんな感じのキャラ。また、自分の小説の中のこのキャラ。

    ●36.オレの小説、何はなくともコレだけは頑張ってるぜ!ってのを最低でも一つ。

    ●37.逆に、ここんとこ何とかしたいな……これからの課題だ、ってのも一つだけ。

    ●38.小説に出すキャラ(ポケモンも含)の名前、どんな感じでつけます? 例もあげて教えてくれたら嬉しいなぁw

    ●39.ついでだから小説のタイトルの由来や、副題(あれば)のつけ方も教えてもらおう。

    ●40.インスピレーションキタ━━━━━(゜∀゜)━━━━━!! アイディアが湧いてくるのはどんな時?

    ●41.アイディアが全然湧かない!!?どうしよう……。

    ●42.あなたの小説主人公は、実はあなた自身の鏡?それともどっちかというと、憧れの姿??

    ●43.小説の中の性的描写。あなたの意見を述べてください。

    ●44.小説の中の死ネタ、殺しネタ。あなたの意見を以下同文。

    ●45.小説の中のやおいネタ、百合ネタ。あなたの以下同文。(意味が分からない人はパスOKです)

    ●46.小説の中のオリジナル技、オリジナルポケ。あな以下同文。

    ●47.打ち切り……

    ●48.スランプと、その脱出法について一通り。

    ●49.後の展開に繋がる伏線を結構張る方だと思う。

    ●50.ぶっちゃけた話、やっぱり年齢が高いほど上手い文章が書ける?

    ●51.同人とかサークル……やってますか?

    ●52.語彙(※ゴイと読む。使える単語量のこと)ってどうやって増やします?

    ●53.ムラムラと執筆意欲が湧いてくる……のはこんな時!

    ●54.ポケモンジャンル以外の小説、書いたことありますか?

    ●55.小説を書く者として、一番大事だと思うもの。

    ●56.そういや今更だけど、ノベラー歴は○○年です。○○歳からです。

    ●57.長く険しい人生。いつまで小説を書いていようかな……

    ●58.この人の本があったら絶対読む! 好きなプロ作家さんっています?愛読書でも可。

    ●59.ノベラーをやっていて嬉しかった事、辛かった事を一つずつ。

    ●60.何だかんだ言っても、自分の小説に誰よりハマッているのは自分自身だと思う……



     

    ■おぷしょん1〜マサラのポケモンノベラー〜■

    ●61.いつ頃この『マサラのポケモン図書館』に辿り着きましたか?

    ●62.『ほびぃすてぇしょん』『おきらく ごくらく』『旧・マサポケ』……何の事だか分かります?

    ●63.他のノベラーさんの小説で、好きな作品を好きなだけ上げてください。

    ●64.他のノベラーさんの小説の登場人物で、好きなキャラっています?誰ですか?

    ●65.他のノベラーさんの小説に、感想つけてますか?どんな内容を?

    ●66.最近流行のオンライン通信。実は私も発行してます?

    ●67.リアルタイムの親善空間・チャット。行きます? どれくらいの頻度で?

    ●68.マサポケ誇る最先端技術、本棚アップローダーシステム。思うところを一言。

    ●69.密かにライバルだと思っているノベラーさんはあの人だ! 最低一人は上げてくださいねw

    ●70.我らがマサポケ管理人、タカマサ様に一言贈ってください。


     

    ■おぷしょん2〜どうでもいいこととか〜■

    ●71.学校好きですか?(学生でない方は、好きでしたか?)

    ●72.ポケモン以外で好きなアニメ・漫画・ゲーム。あります?何ですか?

    ●73.音楽って聴きます? 好きなアーティストとかジャンルをお一つ。

    ●74.ジブリの名作「となりのトトロ」の主人公って誰だと思います?

    ●75.ここでお約束、あなたの恋愛話v 言えるところまで言ってみよう!

    ●76.♪なりたいな ならなくちゃ 絶対なってやる〜…… 将来の夢は?恥ずかしがらなくていいですよw

    ●77.さぁ、最後です。……邪魔するものは何も無い。 今の想いを込め、好きなことを叫べ!!


      [No.2701] 野の火(テスト投稿) 投稿者:九十九   《URL》   投稿日:2012/10/19(Fri) 21:13:03     179clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:シャワーズに邪魔され】 【博士に邪魔され】 【ゾロアークに邪魔された…】 【一体いつになったら】 【もう家出してやる!!!

    九十九です。
    No.017さんが更新してくれないので腹いせにテスト投稿しておきます。
    テスト投稿です…


      [No.2680] FC2が出せない理由を調査 投稿者:   《URL》   投稿日:2012/10/16(Tue) 20:41:17     74clap [■この記事に拍手する] [Tweet]

    URLに入れてテストしてみる。

    以下は文字数稼ぎ用
    ■投稿できる作品

    ・あなたの考えるポケモン世界を『文字数100文字以上』で表現してください。
     イラストや写真をつけても構いません(つけなくてもかまいません)。

    ・ただし、短歌(五七五七七)、俳句(五七五)の形式であれば100文字以下でもOKとします。

    ・文章をつけて欲しいイラスト/写真の投稿もできます。
    イラスト/写真のみの投稿は【書いてもいいのよ】タグ(後述)扱いとさせていただきます。
    イラストのみを複数投稿する際は、前の投稿から一週間経つか、【書いてみた】がついた時点でお願い致します。


      [No.2679] Re: 気がついた事 投稿者:No.017   投稿日:2012/10/16(Tue) 20:30:01     147clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:ツイート機能「新掲示板のタグが拍手で消えたようだな…」】 【必須削除キー「ククク…タグは我ら新掲示板機能四天王の中でも最弱…」】 【改行コントロール「拍手ごときで消えるとは我ら新機能四天王の面汚しよ…」

    > 入力レイアウトは今の5個1行をもう一行追加する感じか
    うん、そんな感じで。

    > 掲示板の文字コード的にちょっと厳しいかも(丸数字とかその辺り
    まあ、ここはしょうがないと思う。


     


      [No.2652] 感想ありがとうございます!! 投稿者:くろすk   投稿日:2012/09/27(Thu) 18:28:50     262clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5

    感想いただけただと…!?ありがとうございます、喜びに舞い上がってます!!

    >  しかもザングースにタカアキさん。親子の血というか脈々と流れるなにものかの存在を感じざるを得ません。

    それはもう、親子ですからネーミングセンスとか似通いそうだなと(笑)
    また手持ちが増えても主人公さんはこんな感じで名前付けるんでしょうね

    >  あれ? それ結構重大事件では……

    自由奔放な母親のおかげで、ちょっとやそっとでは堪えない強かな子に成長した主人公さんです。
    彼女にとってこのくらいよくあることのようで

    お父さんと暮らしたらこんな感じかなぁと妄想しつつ書いてみました。
    座布団でゴロゴロするお父さんとか、一緒にテレビ見たりしてるとことかも書きたかったです。
    お庭にはきっとゴスの実が植えられているんだろうなぁ…。
    またネタが降臨したら、お父さんと主人公さんのドタバタが書けたらいいなぁと思っております。

    ちょっとでも笑っていただけたら幸いです!
    こちらこそ読んでいただきありがとうございました!!


      [No.2631] Re: 祝! ポケダン新作発表! 投稿者:サン   投稿日:2012/09/21(Fri) 20:24:57     116clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5

    うおおぉぉはじめまして!!紀成さんからコメントいただいちまったぜひゃっほう!

    > ふっかつのタネ売ってたとかバカだよね!そして空探イーブイはパートナーにしてはいけなかったよ!
    > HP少なすぎ+特性発動で全く使えやしねえ!

    にげあしがこんなにもイライラ特性とは思わなんだ……
    「わたし主人公を信じるよ!」とか言っておきながら逃げるとかどういうキャラを目指しているんだろうか。


    > > ゲンガー「ケケッ、とうとうオレたちイジワルズの活躍をドラマチックに描いた待望の新作が発売するってのか」
    > >
    > > ハスブレロ「んなわけねーだろ」
    >
    > 辛辣なコメントありがとう
    > あの時はまだゲンガーの可愛さに気付いていなかったのだよ 今更やる気起きないけど

    ならゲンガーさんは私がもらっていきますねww
    ゲンガー派とヨノワール派に分かれたのはポケダンが原因だと思うんだ……
    次回作はシャンデラあたりが参戦するのかな。


    > > ジュプトル「ヨノワール、やはりキサマが黒幕か」
    >
    > ちょっと違うぞジュプトル!空のスペシャルエピソードはガチ泣きした

    あの朝焼けのシーンでおいセレビィそこかわれとか思ってたアホな人間は私だけでいい。
    ぽけだんわよいこのためのげーむです


    > > モルフォン「新技ちょうのまいからのぎんいろのかぜで今まで以上に暴れてやんぜ」
    > >
    > > デンチュラ「ふっかつのたねなんぞ食わせるか」
    > >
    > > ゴローニャ「がんじょうで堪えてじしんで全体攻撃します」
    > >
    > > チラチーノ「夢特性次第で無双します」
    > >
    > > エルフーン「いたずらごころでおいかぜします」
    >
    > ごめんなさいお願いだからそれだけはやめて子供が泣いちゃう
    > どうせならエンディング後に出てくるチートダンジョンに出てきてくれ……

    意外なポケモンが意外な強さを発揮する、それがポケダンの醍醐味です。
    さあ…きゅうじょいらいを消化する日々が始まるぜ。

    コメントありがとうございました!



    【みんなもポケダンの思い出語るといいのよ】


      [No.2610] うふふふふ 投稿者:moss   投稿日:2012/09/07(Fri) 21:51:15     68clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    > 怖い!怖すぎる!下手なホラーよりずっと怖いぞ!
    > でも多分この怖さが分かるのはポケモン好きだけなんだろうな……

    ありがとうございます。怖いの不気味なの書こうと思ってたんですよw
    ポケモン好きのみわかる恐怖……なんかいい響きですよね

    > そうだよね。よくよく考えたらタウリンとかブロムへキシンとか薬なんだよね。
    > 使いすぎたらヤバイよね。ジャンキーだよね。
    > 当たり前なんだけどゲームの中にサラリと出てくるものだから気付かない。変な盲点。

    さらっと出てくるからこそわからない。ましてやゲームの中ですからね、薬なんて意識ないですもんねw
    みなさんも使いすぎには注意しましょう。


    感想ありがとうございました!

    テンションがすごく上がりました。最近リアルが忙しくてなかなか長時間ネットできる日がないのですが、
    一応小説のところだけは毎日チェックしてるというね。

    本当に読んでくださってありがとうございます。


      [No.2588] Re: 作品完成! 投稿者:   《URL》   投稿日:2012/08/25(Sat) 21:45:15     81clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    (大方の予想通り)背景のオオタチに心を奪われました!(´ω`)


      [No.2567] いつも一緒 投稿者:ヴェロキア   投稿日:2012/08/11(Sat) 11:09:44     55clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    どうも、ヴェロキアです。
    お題の『ポケモンのいる生活』を書きたいと思います。
    よろしくお願いしまーす。


    では次の回からスターートッ!!


      [No.2546] DQNネーム 投稿者:小春   投稿日:2012/08/02(Thu) 15:57:57     94clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    「おとうとの かたきを とるのです!」
    「いやだね やったね たぶんね へんだね」

     上記の文章はすべて、実際につけられたポケモンのニックネームである。
     近年、ポケモンに珍名をつけることが流行っている。俗に言うキラキラネームである。ユニーク過ぎる名付けに一部ではDQN(ドキュン)ネームとも揶揄されている。

     全国トレーナー協会の定めでは公式戦に他種族名をつけたポケモン、同一ニックネームのついたポケモンを使用することが認められていない。また、卑猥な単語、他人を貶める単語をニックネームとしてつけられたポケモンがグローバルトレードシステム上に預けられるということが多発したため、トレーナー協会は2010年より新規個体登録の際に禁止単語をもうけることにした。
     イッシュ地方から広まったバトル形式、トリプルバトルも珍名を助長しているのではという愛護団体もいる。いままでのシングルバトル、ダブルバトル形式ではみられなかった文章を表現する珍名だ。ネット上では、そういった文章ネームとでも呼ぶものを投稿するサイトまでできている。
     
     ニックネームはポケモンとのきずなを深めるものだ。おや登録されたトレーナー以外は変えることができず、リリースされたあとに別のトレーナーに捕獲されてもニックネームを変えることはできない。 捕獲したポケモンがおや登録がされているリリース個体であり、ニックネームが不愉快だったためリリースではなく、ボールに入れられたまま数年間放置されてしまったという事件も起きている。

     個体登録の際に、そのポケモンの将来を考えてみてはどうだろうか。


     ☆★☆★☆★

     暑いですね、暑いとカキゴーリとでも名付けたオニゴーリを触りまくりたくなります。「ねぇ、カキゴーリ。かき氷食べる?」とか言ってカキゴーリ(オニゴーリ)をあたふたさせてやりたくなります。


      [No.2523] 【ポケライフ】とある夏の日 投稿者:穂風奏   投稿日:2012/07/21(Sat) 21:27:14     112clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    「あっつ……」
     パソコンからくる熱に耐えきれず、机から離れてソファの上に倒れこむ。
     ポニータ型の温度計を見ると33℃を指していた。どうりで汗が止まらないわけだ。
    「グレーイ……」
     下では、グレイシアが腹をフローリングの床につけてぐったりしていた。
     私ですらこんな有様なのだから、氷タイプのグレイシアにとっては地獄のような暑さなのだろう。
    「扇風機の方が涼しいわよ。風が来るし」
     言いかけたのを遮って、グレイシアは顔だけで扇風機の方を指した。
    「あー、なるほど」
     扇風機の前ではオオタチが陣取っていた。後ろ足だけで立ち、常に風を浴びようと扇風機が首を振るのに合わせて、細長い身体を左右に揺らしている。
     風が来ないと思ったらそういうわけか。器用な奴め。
    「グ……レイ……」
     ついにグレイシアが顔まで床に突っ伏した。なんとかしてあげたいけど、あいにくエアコンは故障中。修理の人は来週にならないと来れないらしい。で扇風機はあれだし――。
    「仕方ないわね――」
     冷凍庫からとっておきのヒウンアイスを取り出して二つに割り、半分をグレイシアの前に置く。
     本当は夜中にひとりで食べようと思ったけど。
    「融けないうちに早く食べちゃいなよ。じゃないと――ほら来た」
     さっきまで思う存分涼んでいたはずのオオタチが、「私も私も!」と膝をぽんぽん叩いてきた。
     バレずに食べようとしたのに、見つかっちゃったか。
    「はい、どうぞ。私はいいからさ」
     口に持って行っきかけた残りの半分を、オオタチにあげる。これで私の分はなくなってしまった。また買うのにだいぶ並ばなきゃいけないんだけどなあ。
    「〜〜〜!」
     目の前ではオオタチが気持ちよさそうに目を瞑っている。
     ――この子たちの嬉しそうな顔見れたから、良しとしますか。
     一昨日はグレイシアに氷りつくってもらった恩もあるし。
    「さてと、もうひと頑張りっと」
     さっさと仕事片づけて、コンビニへアイスを補充しに行こう。
     そんなことをふと考えながら、夏の一日は過ぎていくのだった。




    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
    暑い日が続いていたので短いのを一つ
    キンキンに冷えたヒウンアイスを食べたらおいしいんだろうな、とか暑さにやられてだらーんとしたグレイシアもかわいんだろうなとか思いながら書いてました
    そういえば、ヒウンアイスってどんな味がするんでしょうか
    ソーダ味かはたまたシーソルト味か。一回食べてみたいです

    【何してもいいのよ】


      [No.2502] 曇天のさらに上空は晴天だと信じてる 投稿者:ラクダ   投稿日:2012/07/07(Sat) 22:33:19     62clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     しゃらしゃらと涼しげな音を立てながら、大きな笹が夜風に揺れています。
     その枝葉には、色とりどりの短冊がいくつも結び付けられていました。柔らかな風に踊るそれらには、人とポケモンの祈りや願いが書き込まれています。
     
     道の向こうからくたびれた様子の駱駝が一頭、とぼとぼと歩いて来ました。
     足を引きながら笹竹の前にやってきた駱駝は、大きな溜息を吐いて背中の荷を下ろしました。小さな袋に詰め込まれた短冊の束です。
     あれからもう一年が経ったんだなあ、と呟きつつ、さらさらと手元の用紙に何かを書き付けています。
     肉厚の蹄で器用に――どうやってという疑問は胸にしまっておきましょう――結び付けられたそれには、『藁一本で背骨が折れそうなこの現状を、なんとか打破できますように』とありました。なんとまあ、辛気臭いことです。
     ……それはさておき、自分の分を書き終えた駱駝は、預かってきたらしい短冊たちを次々と結び付け始めました。

    『ブラック3・ホワイト3で主役級に抜擢されますように  風神・雷神』

    『またポケンテンの新作料理を食べられますように  学生A・B』

    『監督の尻をひっぱたいてとっととロケを終わらせて、年内には上映できますように  飛雲組』

    『世界中での百鬼夜行を望む  闇の女王』

    『第三部及び完結編まで続きますように!  甲斐メンバーの一人』

    『今年の夏休みも、あいぼうといっぱい遊べますように  夏休み少年』

    『いつまでも“彼”と一緒にいられますように  名も無き村娘』

    『もう大爆発を命じられませんように  ドガース』

    『今年も美味しい食事にありつけますように。  桜乙女』

    『僕たちが無事に「割れ」られますように  タマタマ』

    『彼らの旅立ちを祝福できますように……  マサラの研究員』

    『この世界に生まれ出ることができますように  未完の物語一同』

     さらさら、しゃらしゃらと笹が揺れています。
     一年分の願いを括り終えて、駱駝はふうと息をつきました。
     しばらくぼんやりと色紙の踊るさまを眺めていましたが、やがて意を決したように首を振ると、元来た道をのろのろと引き返して行きました。

     おや? 駱駝の立っていた場所に、二枚の短冊が落ちています。どうやら、付け忘れてしまったようです。
     仕方がないので、私が結んで締めくくりましょう。


    『受験・就職・体調・原稿その他もろもろの、皆様の願いが良い方向へ向かいますように』

    『自分の思い描くものを、思い描いた形に出来ますように。今後も地道に書き続けられますように』

     七夕の夜に、願いを込めて。


      [No.2480] エリートトレーナーテスト 投稿者:ことら   《URL》   投稿日:2012/06/22(Fri) 22:01:41     62clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5

     僕の恋人はポケモントレーナーだ。その実力は僕をも凌ぐ。はっきりいって嫉妬している。年齢の割に開花した才能。長いこと頂点にいたとはいえ、僕の才能が開いたのは時間をかけてのことだ。
     その嫉妬に気付いたのは、彼女に負けた時だった。
     チャンピオンとしてトレーナーの頂点に長いこといた僕は、トレーナーのやる気や見た目である程度の強さは解る。会った時になんとなくいつか追い越されるかなと感じていたけど、まさか本当に負けるとは思ってはなかった。彼女は僕と真っ正面から挑んできて正面突破していったんだ。
     勝負がついた時はなんだかチャンピオンとしての重荷が終わって嬉しいような清々したような気分だった。彼女はすっごい複雑そうな顔してたけど、これでやっと自由だと家に帰ったんだ。
     でもだんだんと悔しさが出て来た。だって、何となく解ってたとはいえ、あんな年下の女の子に負けるなんてさ……そう思ったらなんか一矢報いるためイタズラを仕掛けてもいいかなと思った。
     初めて会った時、彼女の尊敬する肩書き「ジムリーダー」を一蹴した。だから、それより強いチャンピオンになったのだから、絶対に僕に何か言いに来るに決まってる。だったら僕の家で何か仕掛けてその反応を見て、大人に反抗するなんて早いと言おうと、仕掛けるまでは楽しかった。何を言うのか、どんな反応をするのか想像しただけで楽しいじゃない?
     そしてもうその時の顔といったら……大泣きされてしまった。
     僕に会いたいと涙を流して叫ぶ彼女は予想外だった。素直になりきれないクセに僕にあの手この手でかまってもらおうと画策して大抵失敗している。そのことは解っていたけど、僕の見ていないところではあんな素直になるなんて。
     やっぱり、と思った。会った時に負けるとも思っていたけど、なんとなく僕を見る目が言ってた。僕のことを好きだと。でもその後はずっと反抗的な態度しか取ってないんだから、気のせいだとは思っていた。僕は確信した。
     僕はこの子に嫉妬していたのではない。好きだけど素直になってくれないことにイラついていたんだ。隠れてる僕が見てることも気付かずダンバルを抱きしめて泣き続ける彼女を後ろから唖然と見ていた。もうイタズラだと言い出すタイミングを見失いすぎた。
     だから敢えて明るく、冗談めいた声で話しかけた。多分今までだったら容赦なく叩いたり蹴ったりしてきてもおかしくない。それなのに泣いたままの顔で僕をじっと見て、目をこすって何度も見てた。僕の存在を確認してたね、あれは。
     僕が幻ではないと解ったら、元の彼女に戻ってかわいくない態度をとっていた。さっきまでの大泣きが嘘みたいだね。もう一回からかってみた。今度は引っかからないかなと思った。
     そこは子供だったね、僕が買いかぶってたかも。また引っかかって。僕に張り付いてじっと見ている。言いたいことが言えないんだろうね。さてどうやって僕を止めるのかな。
     そうかと思えば、僕にポケモンを教えてくれと大胆な行動に出てきた。まさかこんなことを言われるとは思わなかった。強さは彼女のが上なのに、何を教えることがあるのだろう。そう言ってわざと突き放してみた。予想通り食い下がってきた。
     いいだろう。僕もこの才能がどこまで通じるものか見届けたい。こんなかわいらしい女の子から繰り出されるポケモンたちの共演をずっと見守り続けるよ。


     ダイゴは仁王立ち。ハルカは腕を組んでそっぽを向く。その間にはメタグロスが申し訳なさそうに立っている。
    「絶対に炎技を耐える調整がいい」そう主張するのはダイゴ。
    「炎受けはラグラージがいる。ならコメットパンチの威力を少しでもあげるから攻撃に全振りする」そう主張するのはハルカ。
     ハルカがダイゴにポケモンを教えてほしいと頼んだ。その関係はもう長いこと経った。
     そして二人が今、目標にしているのはエリートトレーナー試験。そう呼ばれているが、正式名称はポケモン訓練士1級である。これに受かるとポケモントレーナーとして施設で働くことも出来るし、ジムリーダーを勤めることができる。なお、これはリーグとは別なので例えチャンピオンとなっても資格がなければ働くことができない。プロスポーツと同じように登録してもらえない。登録のための資格である。
     将来、ハルカはジムリーダーになりたいと言う。才能もあるし、夢を現実にするには申し分ない。だが、資格が必要だよ、とダイゴが案内したのがきっかけである。
     筆記試験の勉強はいいとして、問題は実技だ。これは受験者同士の戦いである。勝てばいいというものではない。どのように勝つかが問題となっているので、勝ったところで落ちる可能性もある。
     どのように勝つのかと言えば、全く普通である。ポケモンをいたわって命令しているか、命令に無茶はないか。上に立つポケモントレーナーほど、倫理が強く求められる。そのことはダイゴが何度も話しているし、筆記試験でもマナーやポケモン勝負禁止の範囲などが出される。賠償や保険、責任の所在など子供には難しい話ばかりだ。けれどこれを理解しなければ次に進むことができない。
     今、両者真っ向から対立しているのは、明日の実技試験で使うメタグロスのことだ。瀕死にさせられる前に技を出さなければならない。メタグロスはそんなに素早いポケモンではない。下手したら何もできないのにノックアウトしてしまう可能性だって高い。そうダイゴは主張し、少しは耐えるようにと話した。
     対するハルカは、メタグロスの高すぎる攻撃力と技でがんがん押すと主張する。確かにコメットパンチの破壊力は素晴らしいものだ。そうして乗り切ると話す。
     二人とも主張は一向に曲げない。そうするとお互いにイライラしてくる。そしてついに。
    「わかったよ。好きにしたらいい! 君が落ちる姿をちゃんと見といてあげるから!」
    「ええ好きにします! それでダイゴさんに言われるまでもなく受かりますから!」
     決裂。その後はずっと無言。お互いに一言も声をかけない。
     ただの試験とはいえ、エリートトレーナー試験の試合は全国ネットで中継されている。地域ごとに試験日が違う。本気の人は、その試験日の違いを利用して全て受けるほどだ。
     そしてその試合の解説に呼ばれたのがダイゴ。試合をリアルタイムで見守る中継席にいるのだ。だからこそ教え子に無様な負け方をして欲しくない。目の前で大好きな子の負け方を解説するほど惨めなものはない。
     しかし受けるハルカは全く違う意見を持っていた。負けても仕方ない。そして落ちたらまた来年があると。
     無言でハルカは出て行く。家に帰るのだ。攻撃系統に最終調整したメタグロスと共に。
    「自分が教えてくれって言ったんじゃないか」
     誰も聞いてない空間にダイゴは言った。

     実技試験の日。筆記試験を通った強そうなトレーナーたちがわんさか集まっている。受験票をなくさないようにハルカは会場に入っていく。
     プレッシャーと、昨日のダイゴとの意見の相違が尾を引いている。ハルカの心は怒りでざわついていた。
    「ダイゴさんは私が意見もったポケモントレーナーだって思ってくれてない」
     つい心の声が音声になってしまった。だけど他のトレーナーたちはそんなこと微塵も気にしていない。もし耳に入ったとしても、自分の試験のことで頭がいっぱいで、すぐに忘れてしまう。
     ハルカは試験に集中する。ダイゴが思考を中断しにくる。何度も昨日の「落ちる姿を見ておく」という言葉が刺さる。それは同時に絶対に落ちないとハルカを決意させた。
    「それでは、番号1002番の方から1021番までの方から始めます」
     係員の声が届く。10人ほどのトレーナーが立ち上がった。

     試験開始から何試合目。大きなスタジアムの中継席から双眼鏡を覗き込み、マイクに向かって解説を続ける。これが意外にハードなのだ。なぜその技か、なぜそのポケモンなのか。特性から技からタイプから、全国のポケモンに全く触らない人にも解るように話さなければならない。つい使ってしまいそうになる略語や専門用語を避け、誰でも知ってる言葉を瞬時に選ぶ。
     試合のインターバルにダイゴはため息をつく。喉を休ませる貴重な時間だ。
     昨日はあんな喧嘩をしてしまったが、ハルカのことは気になる。順番はまだ来ていない。
     今日は快晴だ。炎タイプの威力が上がる。それを利用したトレーナーたちは多い。天候を変えようとしても、それは一時的なものだから、すぐに干上がってしまう。
     炎技が上がる。それはすなわち使う予定のメタグロスの弱味を増やすことだ。そして炎を受けるといったラグラージは水タイプ。こんな天気では水タイプの技は威力が下がってしまう。
    「では、次の試合です。大物ですよ。なんと解説のチャンピオン、ツワブキダイゴさんに勝ちながら年齢や資格がないのでなれなかったという経歴の」
     アナウンサーの話を聞いて、ダルい体が一気に起き上がる。ハルカだ。
    「ではツワブキさん、彼女と戦ったのですよね?」
    「え、ええ。彼女は強かったですね。初めて見る相手にも、ラグラージの特性を巧みに使う。トレーナーは軍師のようでなければなりませんが、彼女は策士といったところでしょうか」
     何をやっている。ラグラージを出して、相手がロゼリアなら逃げるしかないだろう。何を聞いていたんだ。
    「ツワブキさん? では解説を……」
    「え、ええ。そうですね、ラグラージとロゼリアは基本的に相性が悪い。そしてこの天候からして、ソーラービームをためなくても使えます。それにギガドレインがある可能性だってありますね。大抵はこの状況なら交換を……」
    「なるほど。おや、ロゼリアはソーラービームのようですね。対するラグラージは、交換しない!」
     何をやっている!!! ダイゴは実況席から身を乗り出した。ガラスに頭を打ったが本人はそれどころではない。
    「ツワブキさん、これはどういうことでしょうか」
    「いやー、私もこういう展開はあまり見た事がないので」
    「おや、ラグラージの様子がおかしいですね。耐えましたラグラージ。ロゼリアのソーラービームを耐えて……ミラーコート!?」
     全てを反射するような光にロゼリアは耐えきれなかった。助かった、とダイゴは大人しく着席する。
    「ミラーコートは特殊技を2倍にして返す技ですね。ラグラージはタマゴから生まれる場合のみ覚えることができます」
    「なるほど。知識の量も実力もチャンピオンを破ったトレーナーということですね」
     それもダイゴが全部教えたことである。しかしこのソーラービームを耐えるとは思わなかった。
     いや、それはダイゴが見落としていたこと。違うラグラージとはいえ、メタグロスの攻撃を何度か耐えた種族だ。あっさりさようならということはないのだろう。
    「次のポケモンは、キュウコンですね」
    「とても素早いでしょうから、ラグラージの減った体力では……」
     ダイゴの解説を待たず、ラグラージはキュウコンの電光石火で倒される。
     次をどうするかが不安だ。今の天候のメタグロスは危険だ。そしてもう一匹は攻撃を受けるということを考えていない。なぜならそれは翼を欲しがる青い竜。ボーマンダだ。
    「おや、ボーマンダですね! これを持っているとはやはりレベルが」
    「ドラゴンは炎タイプに相性がいいですからね」
    「キュウコンがこれは炎の渦! ボーマンダを閉じ込めるつもりですね。対するボーマンダは、踊ってる?」
    「あれは竜の舞ですね。攻撃力と素早さを上げます。遅めであるボーマンダの技としては最良ですね」
     しかし火傷しないとは限らない。火傷をすると攻撃力が下がってしまう。攻撃を上げるボーマンダとは相性が悪い。
    「おや、ここで、ボーマンダが」
     ボーマンダはキュウコンを見据え、飛び上がった。空を飛ぶという技にも思えたが違う。着地の瞬間、大きくフィールドを揺らした。
    「さすがボーマンダの地震となると、ここまで揺れますな」
    「そうですね。キュウコンはもっと食らってると思いますが」
     スタジアム全体が揺れた。後ろで指示しているハルカ自身も揺れに耐えられず手をつく。キュウコンがそこに倒れていた。
    「さあ、最後のポケモンは、チャーレムだ!」
    「相性は悪いですね。ボーマンダの攻撃力と素早さが上がっていますし、ボーマンダは……」
    「おっとボーマンダを引っ込めたぞ。そして出て来たのはメタグロス!」
     ダイゴの心は許す限り叫んだ。けれど音声が全てマイクに拾われる今、そのまま素直に出すわけにはいかない。
     なぜそのままいかない。そのまま押せば勝てたし、無理をさせた試合ではない。トレーナー倫理に引っかかる試合でもない。なのになぜそこでメタグロスを敢えて出した。格闘技を半減するボーマンダと違って、メタグロスはそのままダメージが通ってしまう。
    「チャーレムの飛び膝蹴りがメタグロスに入りましたね。急所に入ったようで痛そうです」
    「メタグロスは防御力が高いポケモンですからね」
     そこまで言いかけて、自分のメタグロスと違うことを思い出した。ダイゴのメタグロスならばもう一度チャンスがあったかもしれない。けれどハルカのメタグロスは……
    「チャーレムの飛び膝蹴りがまたもや入る! メタグロスの足元がふらついてますね。もうダウンでしょうか」
     ポケモンもポケモンでトレーナーに似るんだから! もしそこでメタグロスが倒れなければ試合は続行し、ハルカは瀕死の状態のメタグロスを戦わせたということで、落ちる可能性だってある。倒れろメタグロス、倒れろ!
    「おっと、メタグロスの足が光りました。これはコメットパンチ!」
     試合は盛り上がる。チャーレムの急所をメタグロスのコメットパンチがとらえた。チャーレムは倒れた。多いかぶさるようにメタグロスも倒れる。
    「コメットパンチは反動がないはずですが」
     余計なことを実況が言ってしまった。瀕死状態をかばってメタグロスは攻撃したのだ。これでは審判も見逃せない。
     試合は終了となり、審判が難しい顔をして話し合っている。
    「ツワブキさん、どうなるでしょうね」
    「解りませんね。メタグロスがコメットパンチをするだけの元気がないサインをトレーナーに見せていたかも判断になりますが」
     この頃にはすっかりダイゴはイスにだらけていた。落ちた。落ちてしまった。あそこでなぜメタグロスにした。なぜだ。メタグロス!

     夕方になり、全ての試験が終わった。結果はその場で受験番号で公表される。スタジアムの電光掲示板が光った。
    「合格者の番号がつきます」
     アナウンスが入った。そして番号が順番に光っていく。ハルカは受験票を握りしめた。

    「1019、1023、1024、1026」
     ああ、まだだ。まだまだ。まだ順番にならない。
     受験票は原型を留めてない。ハルカの手汗で文字はにじみ、もとの番号がかろうじて読める。

    「1045、1056、1058、1060」
     緊張で心臓の音が聞こえる。こんなに緊張しているのは初めてだ。

    「1081、1083……」
     次だ。次のランプが点灯しなければハルカは落ちたことになる。








    「1084……合格だ……」






     
     ポケモン訓練士一級。通称エリートトレーナーに合格した。あまりに嬉しくて、思わず叫ぶ。
    「やった、やったよ!!!」
     正しかった。メタグロスの攻撃力があったから、チャーレムは一撃で倒すことできた。これでよかったのだ。ハルカの試合は、ハルカの読みが当たったのだから。
     
     発行されたばかりの一級免許を持って、会場の外に行く。
     すっかりお祭り騒ぎで、屋台も出ていた。その中で報告のためにポケナビを鳴らす。まずは家に。母親が出て、合格したことを伝えるとおめでとうと帰って来た。その場で父親が取り次ぐ。
    「ハルカおめでとう。ジムリーダーはこれからが大変だが、まずは一歩だ」
    「うん、お父さんありがとう! これから帰るから遅くなるね!」
     ポケナビを切る。そして次にかけたのはダイゴだった。もう仕事終わっていて、今はどこにいるのだろう。
    「もしもし」
     ほら私の言う通りだった。あそこでメタグロスがチャーレムを倒せたのは私の意見が正しかった。さてそのことをどう言ってやろうか。その時どんな返事をするのか楽しみで仕方ない。
    「ハルカちゃん、君は何をしたか解ってる?」
     ポケナビの相手を確認するまでもなく、ダイゴの第一声はこれだった。
    「あのままボーマンダで押し切れば、メタグロスは不要に傷つかずに済んだ。トレーナー倫理審査も行なわれることなく、君は勝てた。相手も合格しただろう。それなのに君はあえてメタグロスに交換した。そして急所に当たり、瀕死なのを庇ったメタグロスのおかげで勝てた。それ解ってる?」
     早口でまくしたてられ、ハルカは状況が解らない。解るのは、ダイゴがひどく怒っているということ。
    「ダイゴさん? なんで怒ってるんですか?」
    「君はあと少しで倫理審査で落ちるところだったんだ。それを解っているのかと聞いている」
    「なんでですか? そもそも瀕死になったらポケモン動けないじゃないですか」
    「だからメタグロスは君に遠慮してコメットパンチをしたんだろう。チャーレムに攻撃した後にすぐ倒れたのが何より証拠だ」
     通話が切れる。その必要がなくなったから。目の前に声と同じく表情が怒ってるダイゴがいる。
    「おいで。君のしたことを教えてあげる」
     手を引かれ、スタジアムから遠ざかる。楽しげな声が彼方まで来た。
     するとダイゴは突然ハルカを突き飛ばす。今までこんなことをされたことがなかったので、ハルカは驚くばかりだ。地面に手をついたままダイゴを見上げる。
    「ジムリーダーって何だろうね。チャンピオンってなんだろうね。君は結局、中身を伴わない肩書きだけのエリートトレーナーだよ」
     ダイゴの隣にはエアームドがいる。そしてダイゴは命じた。ハルカに向けて鋼の翼と。なぜそんな仕打ちを受けなければならないのか解らない。とっさにハルカは手で顔を庇った。
     何があったのだろう。なぜこんなダイゴは怒っている。そして今まで怒ったことはあっても、こんなことされたことがなかった。それなのにどうして。
     怖い。こんな言葉が通じないダイゴはダイゴじゃない。
    「ハルカちゃん。顔をあげて」
     穏やかなダイゴの声に、ハルカは顔をあげる。エアームドはボールに戻っていた。
    「怖かったかい?」
    「……はい」
    「無駄に攻撃を受けたメタグロスはこうだった。痛かったと思うよ、急所だったし。もしボーマンダがそのままいけば、怖い思いをしなくて済んだだろう。君は無駄にメタグロスを痛めつけただけだ」
     ダイゴはハルカを抱き起こす。彼女はようやく彼が怒ってる理由が解って来たようだ。試験合格の高揚感が抜けて、冷静になってきた。
    「調整なんかは後でいくらでも何とかなる。でもジムリーダーやチャンピオンに求められているのは、違うことじゃないかな」
    「ごめんなさい。私、昨日ダイゴさんに言われたのが悔しくて、絶対メタグロスで勝ってやろうって。だからボーマンダに戻ってもらったんです」
    「その負けず嫌いがハルカちゃんのいいところだけど、ポケモンを傷付けるのだけは気をつけて。それと謝るのは僕じゃない。メタグロスに謝りなさい」
     ハルカはボールを開いた。回復してすっかり元気になったメタグロスが出て来る。夜のライトに反射して眩しい。
    「ごめんねメタグロス。無駄な攻撃されないようがんばるから、もう少しいてくれる?」
     メタグロスは答えない。そのかわり、ハルカの足元にしっかりと寄り添った。主人と認めたトレーナーにする行動だ。いつでも命令が聞けるように待機するのだ。
    「メタグロスの調整、確かに攻撃もありかな」
     ダイゴは言う。今までメタグロスは防御力で防いできたから、ほとんどそれしか知らないのだ。
    「僕も完全に固定観念にとらわれてたよ。そういう戦い方もある。僕も勉強になった」
    「もし防御にしてたら、急所うけても瀕死にならなかったかもしれないし、防御もありですね」
     ダイゴと目が合う。そして彼の胸に飛び込んだ。苦しいほど抱き返してくれる。
     師匠といっても解らないことだってあるんだ。そしてそれについていくだけが弟子じゃないんだ。解らないことがあれば試していけばいいんだ。それで二人で進んでいけばいいんだ。
    「エリートトレーナーおめでとう」
    「ありがとう、ございます」
     ジムリーダーなんて名前だけ。私の夢をけなした彼に訳の分からないまま惹かれて、反抗して。
     世界が干上がるかもしれない時に、私を信じて最後まで応援してくれた。待っててくれたからがんばることができた。
     チャンピオンとして戦った時、なんで名前だけなんて言うのか解らなかった。何手も先を読んでるような目だった。お金やコネで何とかなる実力じゃないのに、不思議だった。 こういうことなんだ。実力のある人ほど、自分がそれに相応しいか不安なんだ。
     ダイゴさん大丈夫だよ。実力は私よりかなり上の、そして私の師匠は、チャンピオンなのだから。




    ーーーーーーーーー
    ポケモン世界の資格ってどーなってんのか気になる。
    なんだかポケモンもったらポケモントレーナーみたいな感じではあるけど、その前に講習とかないのかね。普通ありそうな気がする。一日でも出ないと、ポケモンきっちり管理できないと思うし
    しつけ教室なんてのもあると思う
    エリートトレーナーは上級資格の一種、ベテラントレーナーは要経験という解釈でダイハルぎみに書いてみた。
    バトル廃人みたいなところがあるので攻撃に調整するとか防御に調整するとか言ってる。解らない場合は雰囲気で読み取ってください。

    【好きにしていいのよ】【他にもポケモン関係の資格試験あったりするのかしら】


      [No.2459] 【改稿版】廻り道は雨 投稿者:朱烏   投稿日:2012/06/15(Fri) 19:30:56     69clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     人間、時には落ち込むことだってあるさ。以前、父さんが電話口で言っていた言葉だ。たぶん、会社の部下あたりにでも電話していたんだろう。父さんの座右の銘もどきであるその言葉は、僕に対しても頻繁に使われた。
     例えば、友達と喧嘩したときに。例えば、学校のテストで失敗したときに。
     入試で結果が出ず落ち込んでいた際に言われた時は、その無神経さにティッシュ箱を投げつけて反抗したが。
     父さんの言葉は特別に僕を救ってくれたわけではないが、一人暮らしを始めて半年経った今でも、しっかりと耳にこびりついている。
    『人間、時には落ち込むことだってあるさ』
     カーテンを閉め切った部屋の中、朝起きたあとに片付け忘れた布団の上で、仰向けになりながらその言葉を思い出す。
    「落ち込む……ねぇ」
     友達と喧嘩しても、テストでいい点数が取れなくても、それはそれで、落ち込みながらも前に進むことができる。仲直りしたり、勉強に励んだりすれば解決できるものだからだ。
     今現在、学校生活は順調で、友達もそれなりに作れ――いわゆる「普通」の生活を送れている。にも拘わらず、休みの日の真っ昼間からカーテンを閉じて部屋を暗くしている理由は、解決とはほど遠い場所にあった。
     ちゃぶ台に乗っていたノートパソコンを布団に引き込んで、電源をつける。僕はうつ伏せになり、枕を退けてノートパソコンをセットした。
     控えめに設定された音量の起動音とともに、デスクトップの明かりが僕の顔を照らす。
    「はぁ……」
     そこに映った父さんと母さん、そしてもう一匹の家族であるニューラのチヅル(雌である)を見て、僕は嘆息する。
     僕の家族は、茶色の革のソファに仲良く並んで座っていた。数日前に電子メールで送られてきた写真だが、それをデスクトップに配置するほどに、僕の心は沈んでいた。
     俗にいうホームシックだが、気がついたのはつい最近だった。
     ここに引っ越してくる前、チヅルを連れていかないかと父さんに言われた。父さんは、僕が家族と離れて寂しがっている姿が見えていたようだった。僕もチヅルを連れていくことを考えたが、彼女の世話をしていたのは僕よりも父さんや母さんの方だったから、チヅルの気持ちを考えて連れていかなかった。断りを入れておくが、僕とチヅルは仲が悪いというわけではない。
     今の僕の気持ちを考えれば、チヅルを連れて来なかったのは失敗だったのかもしれない。でも父さんの腕に抱かれながら、ご自慢の白く磨かれた鉤爪でピースサインを作っている彼女を見ると、やっぱり連れて来なくて正解だったと思う。いや、思いたい。
     僕は静かにノートパソコンを閉じて、外出用の服に着替える。暗い気分を一新するために、公園にでも行こうと思い立ったのだ。


     ◆◇◆◇◆


     公園までは歩いていった。自転車を使った方がもちろん早いのだが、この長い道のりも含めて気分を一新する旅だ。時間なんて有り余っているのだから、何も急ぐ必要はない。
     空は曇っていた。といっても、薄曇りが空全体を覆っている程度だ。ラジオで聞いた天気予報通りの雨が降るのは、もう少し先のことらしい。
     町中から離れていくほど、歩くスピードは遅くなった。元来、変わりゆく景色を眺めて楽しむなんて粋なことはしない性分だ。
     だが、灰色の機械的な人工色がどんどん消えて、記憶の隅へと追いやられていた自然色豊かな地元の景色――に似た緑が顔を出してくることに、不思議と心が躍る。
     今住んでいる場所は、地方都市としてそれなりに発展している場所だ。駅の近くにはビルが立ち並んでいるし、人もポケモンも沢山行き交っている。僕の生まれ育った辺鄙な村とは大違いだ。
     ある程度、此処の暮らしにも慣れてきたつもりだ。しかし、十数年間暮らしてきた村にはなかった息苦しさがこの町にはあって、それが僕の生活に影を落としていた。
     郊外に延びる道路を進む。僕の両側は、ごちゃごちゃした住宅街から、黄金色の猫じゃらしの生える草叢に変化していた。電信柱と街灯だけはいつまで経ってもなくならない。白い自動車がすれ違って、僕は草叢へ体を寄せた。
     そうしてしばらく歩いていると、右手に草叢を拓いたような小道を見つける。一見すると小さなポケモンが行き来を繰り返しているうちにできた獣道のようだが、一応は人が作った通路である。ただ、小道の両脇に生える秋草は伸び放題で、管理は行き届いていないようだった。とてもじゃないが公園の入り口とは思えない。
     例えるなら、まるで秘密基地。僕の背丈の倍ほどもあるすすきが公園全体を囲っているから、『一見さん』にはまず見つけられない。故郷で友達と作った秘密基地も大人たちにはなかなか見つけにくい場所に作ったが、目立ちにくさに於いては此処もそれに匹敵する。
     手で邪魔な草を掻き分けながら小道を進む。すすきの縁で腕や手を切らないように注意した。その途中、何かのポケモンの尻尾が、右手の深いすすきの群生からひょっこりと出ているのを見つけたが、すぐに引っ込んでしまった。クリーム色と茶色の縞模様が印象的だった。
     公園に辿り着くと、以前見た時と変わり映えのしない景色に、心なしか安堵を覚えた。広さはそこそこの円形の公園。公園の真ん中には直径三十メートルほどの丸い池がある。つまり、この公園はドーナツ型なのだ。
     池の水底からは綿毛を飛ばさんとする蒲が自生していた。池の周りには何本か灌木が植わっており、また小さなベンチが三つほど適当な位置に設置されている。
     ベンチはそれぞれ、小さな東屋の下にあった。長い年月を経たせいなのか、東屋の柱は削れ、色は剥げ落ち、屋根はぼろぼろで見る影もない。ただの木の塊にしか見えないが、雨を防ぐには事足りるようだった。
     人はいなかった。子供を集めるような遊具もなければ、池があるせいでボール遊びもできないのだから仕方ない。時期が時期なら、ヘイガニ釣りに勤しむ子供も見られるのだが、季節が秋ではどうしようもない。此処は公園とは名ばかりの、広い休憩所のようなものだった。
     一つのベンチにゆっくり腰掛ける。ぎし、と腐った木が軋む音がしたが、壊れるようなことはなかった。改めて公園全体を見渡す。すすきなどの背丈の高い秋草に囲まれて、公園の周りには何も見えない。そして、ふと、水面に沢山の蓮の葉が浮いているのに目が留まった。まだ晩秋には差し掛かっていないが、いくつかはもう萎れかけていて、全てが敗蓮(やれはす)となってしまうのは時間の問題だった。
     あの中に、もしかするとハスボーが紛れ込んでいるのかもしれないと思った。そのうち、一枚の蓮の葉がすっと水面を滑って移動すると、蒲の群生に入り込んだ。
     僕は、ベンチに仰向けになった。東屋の腐りかけた屋根は、所々穴が開いていた。木目に沿って細く割れている隙間からは、ペールブルーの空が見えた。白い雲が流れてきて、青色が隠れたり、現れたりした。天気予報は外れるのかもしれない。
     目を瞑る。思い出すのは家族のこと。デスクトップに飾った写真の中で笑う、父さんと母さん、そしてチヅルの顔が、真っ黒なスクリーンに焼きつく。なんだか、涙が出てくる。
     しばらくぼんやりとして、目を開け、屋根の隙間の空を眺めた。それから目を閉じて、深呼吸して落ち着くと、そのまま眠りに落ちてしまった。


     ◆◇◆◇◆


     額に冷たさを感じて、僕は目を覚ました。屋根に開いた穴から、水滴が落ちてきたようだった。――水滴?
     僕は飛び起きた。土砂降りだった。天気予報が雨だということを忘れて眠ってしまった。あの青い空は何だったのだろう。
     とりあえず、屋根の穴の下から避難した。が、依然東屋の下からは出られない。
    「参ったな……」
     どうしたものかとしばし思案する。空の色は見事なまでに濃い灰色に染まっている。雨が止むのを待っていたら、帰るのはかなり遅くなってしまいそうだった。
     池の水面は大粒の雨に打たれて激しく揺れていた。蒲の穂先の綿毛は濡れて、その白さは萎れていた。
     気紛れで傘も持たずに遠出するのも考えものだ。そう思った矢先のことである。
     きゅう、と、僕の後ろで何かが鳴いた。振り向くと、実家の周りでも何度か見たことのあるポケモンが、後ろ足で器用に立っていた。
    「……オオタチ?」
     また、きゅう、と鳴く。短い手足に、長い胴、茶色とクリーム色の縞模様が体から太い尻尾の先に掛かっている。そして特徴的な二本線の頬にある模様と、円らな瞳がとても印象的だった。雨に濡れて、艶のありそうな毛は寝てしまっていた。
     多分、さっき公園に入ってくるときに見えた尻尾は、このポケモンのものだろうと思った。
     オオタチは一度ベンチに飛び乗ると、そのまま池の方へ駆けていった。その動きはせわしく、泥を撥ねて体を汚すことも厭わないようだった。
    「……何する気なんだろう」
     池のほとりに立ち止まったオオタチを、注意深く観察する。オオタチの目の前にあるのは、水辺に生えている蕗。大きな葉が特徴の植物だが、オオタチはそれを根元からもいでしまった。それも二本である。
     突飛なことをするもんだなあと、僕はその様子を面白可笑しく眺めていた。しかしそれよりも驚いたのは、オオタチがその蕗の葉を携えて僕の元にやって来たことである。
     オオタチは、きゅう、と鳴くと、蕗の葉の一つを僕に渡してきた。茎も長く、葉もかなり大きい。立派な蕗だった。
    「くれるの?」
     オオタチは無言だったが、僕はそれを受け取った。しかし、これを何に使えと言うのだろうか。
     オオタチは僕から離れ、東屋の外に出た。そして、持っていた蕗の茎の部分を持って頭の上にかざした。
    「ああ、成程」
     つまり、傘として使えということだろう。オオタチは雨宿りしている僕を見かねて、傘をプレゼントしてくれたのだ。土砂降りにはちょっと頼りないかもしれないが。
     僕も同じように蕗の葉を頭の上にかざして、東屋から出た。オオタチの作った傘は、もちろん人工のそれよりも防雨機能はない。でも、雨にされながら寂しく帰るよりは幾分かましな気がした。
    「ありがとな、じゃ」
     僕はオオタチにお礼の言葉を述べて、その場を立ち去ろうとした。しかし、オオタチは僕のあとをついてくる。僕は立ち止まって、後ろにぴったりとついているオオタチに話しかけた。
    「どうした?」
     オオタチはただ、きゅう、と鳴くだけだった。物言わぬ野生のポケモンに、僕は一体何をしているのだろう。
     ものは試しと、冗談半分で訊いてみた。
    「見送ってくれるのか?」
     今度は、嬉しそうに鳴いた。変わったポケモンもいるものだ。
    「そっか……。じゃあ、一緒に行こうか」
     そう言うと、オオタチは僕の横にぴったりとくっついた。僕はオオタチに泥を撥ね飛ばさないように、ゆっくりと歩いた。
     小道を塞ぐ草を、傘を持っていない右手で掻き分ける。道は細いので、この時のオオタチは僕の後ろを歩いていた。
     道路に出る。辺りは暗くなり、街灯が点き始める時間だった。自動車は通らず、雨がアスファルトを打ち付ける音だけが響く。僕とオオタチは、水溜りに足を入れないように並んで歩いた。
     傘が受け止めきれなかった雨水が、僕の肩にかかる。オオタチの、傘に収まりきらない尻尾は、すっかり濡れてしまっていた。
    「君は本当に野生のポケモンなの?」
     野生のポケモンにしては随分と人に慣れている様子のオオタチを、僕は不思議に思った。人間の元で暮らしたことのあるポケモンなのかもしれないと、何となしに感じた。オオタチは僕の顔をじっと見つめていたが、問いの意味が理解できなかったのか、再び前に向き直った。
     しばらく、無言のまま歩いた。街灯に照らされながら、蕗の葉を叩く雨の音を聴く。心地よかった。
     オオタチは、傘の柄を回して遊んでいた。葉の上に溜まった水が弾き出され、僕の足にかかる。オオタチはとても楽しそうな顔をしていた。僕と一緒に歩くのがそんなに楽しいことなのだろうか。
     ふと、後ろから何かが迫ってくる気配に気づく。自動車が僕たちのそばを通りかかろうとしてした。そのとき、僕たちのそばに大きな水溜りがあることに気づいた。
     咄嗟にオオタチを抱き上げる。意外な重さに戸惑っているうちに、自動車の車輪が水溜りを撥ね上げた。僕のズボンはびしょびしょに濡れてしまった。じっとりとした冷たさが両足に滲みる。オオタチの方はと言えばは尻尾が少し濡れただけだった。
     あまりに突然のことだったから、傘は落としてしまった。おかげで、頭からシャワーを浴びるような格好になる。僕の両腕に挟まれているオオタチが、僕の頭の上に、持っていた傘を被せる。
    「……ありがとう」
     僕は屈んで、落とした傘を拾う、その傘の汚れを軽く払うと、それをオオタチに被せた。僕はオオタチを抱きかかえながら歩いた。でも、その重さに耐えきれなくなって、大した距離も歩かないうちにオオタチを降ろしてしまった。もう少し体力をつけなければ、と身に染みた出来事だった。


     ◆◇◆◇◆


     随分と長い距離を歩いた。街の灯りが見えてくる。民家も疎らに現れて、オオタチの棲む自然溢れる世界は遠くなってゆく。
    「そろそろ僕の家に着いちゃうけど……来るの?」
     オオタチがまた、きゅう、と鳴いた。一応家までは見送ってくれるらしい。変に律儀な所があって、ちょっと可笑しかった。
     幸いにも、雨の勢いは弱まってきていた。東の空に、雲から透けた、朧な月明かりが見えた。
    「家に着いたら、体拭いてやるよ」
     僕を見送ってくれたのだから、それくらいの恩返しはしなければ。オオタチがそれを望んでいるかどうかはわからないけど。
     泥水だらけの僕たちは、ようやく町の中に入る。さっきまで雨が強かったこともあり、出歩いている人もポケモンも殆どいなかった。
     細く曲がりくねった道を突き進み、見えてきたのは僕の棲むボロアパート。客を招待するのはかなり抵抗があるが、多分このオオタチはそんなことは気にしないだろう。
     ポケットから鍵を取り出し、一○二号室のドアの鍵穴を回す。オオタチはその所作を興味津々に見つめていた。雨はすっかり止んでいた。
     濡れた靴と靴下を脱ぎ捨て、部屋の中に入る。照明からぶら下がっている紐を引っ張って、灯りを点けた。オオタチは玄関先に留まって、家の中に入ってこなかった。僕が何かを言ったわけではないが、躊躇いがあるようだった。
     箪笥の中を乱暴に探ると、バスタオルが一枚出てきた。オオタチの大きく長い体を拭ききるのはこれが最適だろう。
     オオタチの元に向かうと、オオタチは鳴きながらぴょんぴょんと飛び跳ねていた。体を拭いて貰えるのがそんなに嬉しいのだろうかと思って、笑みが零れる。
     頭から順番に優しく拭いてやる。体毛が吸収した水分を吸い取り返すように、ゆっくりと拭いてゆく。拭き終わった部分はまだ若干水分が残り、一瞬ビロードのような艶やかな光沢が見えた。
     足の裏の肉球まで拭き終わると、気持ち良さそうに太い尻尾を振りながら、きゅう、と鳴いた。この鳴き声は、いつしか僕にとって心地よいものとなっていた。オオタチが嬉しいことは、僕も嬉しいのだ。
     何だか、このまま別れてしまうのが名残惜しい。けれども、もう夜の闇はすぐそこまで来ている。オオタチは棲み処に帰らなければいけない。オオタチもそれをわかっているようで、僕に抱きついて甘えてきた。
    「ははっ、重いよ……」
     何もない、平凡な一日の至福の時は、静かに幕を下ろそうとしていた。


     ◆◇◆◇◆


     オオタチの棲み処まで見送ることはできない。だから、オオタチの姿が見えなくなるまで、僕はずっと手を振っていた。途中、オオタチは何度か僕の方へ振り返って、その度に鳴いた。また遊びに来てね、絶対だよ。そう言っているような気がした。
    「また遊びに行くよ」
     近所迷惑も省みずに、僕は大きな声でオオタチに向かって言った。
     見送りが終わって、玄関のドアを開ける。そこには散らかった靴と共に、土で汚れた大きな蕗の葉と、それよりも一回り小さい蕗の葉が、逆さまに置かれていた。



    ------------------------------------------------------------

    以前書いたやつをところどころ修正して投稿しました。
    オオタチかわいいよオオタチ


    【書いてもいいのよ】
    【描いてもいいのよ】
    【オオタチぃいぃぃぁああぁああ!!】


      [No.2438] 【ポケライフ】大図書館の司書 投稿者:穂風奏   投稿日:2012/05/26(Sat) 21:51:44     103clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     とある休日。私は巷で噂の大図書館を訪れていた。
     なんでも、今まで来館者がほとんどいなかったのが、近頃急に多くの人が来るようになったらしい。
     そのわけを知るべく、雑誌記者として館長に話を伺うことにした。

    「どうぞ、おかけになってください」
     通された部屋は、二階にある小会議室だった。ソファが八つとテーブルが一台だけというシンプルな場所だ。
     ゆったりとしたスーツに身を包んだ女性――館長は私を中に入れると、ドアを半開きにしたままで私の向かいに座った。館長の隣ではエーフィが大人しく座っている。
    「さて、単刀直入に訊きますが、なぜ多くの人が訪れるようになったんですか?」
    「やはりその質問ですね。では逆にお聞きしますが、記者さん。この図書館を訪れた感想はどうですか?」
    「えっと、とても広くて多くの蔵書があり、さすが地方一の図書館だと思いました。ですが、ここから目当ての本を探すのは一苦労しそうですね」
    「そうでしょう。一生費やしても読めないほどの本の量がここの自慢ですから。そのおかげで、『探すのが面倒だ』なんて言われて、全然人が来てくれなかったんです」
    「それは今でも変わらないんじゃないですか?」
    「いえ、違うんです。――その秘密がこの子でして」
     そう言うと、館長はあくびをしていたエーフィを抱え、テーブルの上――私の正面に乗せた。
    「話すより実際に体験した方が早いでしょう。何か悩み事はないですか? 早起きできるようになりたいとか、手軽な運動法を知りたいとか」
    「悩み事ですか。そういえば、何か楽器ができたら、と最近思ってるんです」
    「わかりました。それじゃフィフィ、いつものお願いね」
     フィフィと呼ばれたエーフィは面倒そうにもう一度あくびをすると、一歩私の方へ近づいた。
     薄紫の瞳が淡く光り、じっと私を見つめる。「ねんりき」だろうか。
    「何が始まるんですか?」
    「もうすぐわかりますよ」
    「はあ……」
     よくわからないまま見つめられるのは落ち着かないが、こらえてエーフィの両目を見つめ返す。
     そうして、不思議なにらめっこがしばらく続いた後、エーフィは扉の方へ体の向きを変えた。まだ瞳は光っている。
    「そろそろですね」
     館長がそういったのとほぼ同時に、半開きにされていたドアから二冊の本が現れた。正確に言うと宙に浮いてやってきた。
    「この本はフィフィが今、本棚から『ねんりき』で持ってきたものです。どうぞ手に取ってみてください」
     館長に言われた通り、二冊のうち少女とオカリナの写真が表紙の本を手に取ってみる。
     タイトルには『フルーラの簡単オカリナ入門講座』とあった。
     数ページめくってみると、オカリナの持ち方から音の出し方、簡単な練習法などがイラスト付きでわかりやすく書かれていた。
    「どうですか? 今のあなたにピッタリな本でしょう」
    「これは……驚きました。ちょうどオカリナに興味があったんです。しかし、私はオカリナとは一言も口にしてませんよ」
    「それがこの図書館が人気の理由なんです」
    「というと?」
    「エーフィの特性はご存知ですか?」
    「はい。『シンクロ』――それと最近『マジックミラー』のエーフィも確認された、ですよね」
    「その中でこの子は前者の特性を持ってるの。『シンクロ』を使って相手の気持ちになり、その人の目線からぴったりな本を選ぶ。これがフィフィの図書館でやってることなんですよ」
    「『シンクロ』にそんな使い方もあるんですか。――けどそれは、エーフィが図書館のどこに何の本があるか把握していないとできないのでは?」
    「フィフィは本が大好きで、毎日本を読んでるんですよ。繰り返し読むうちに本の位置を覚えてしまったんでしょうね」
    「人間の文字で書いた本をですか?」
    「ええ。最初は絵本を楽しそうに読んでいたんですけど、そこから字を覚えていったのか、今では『多角的視点創世論』なんていう難しい本まで読んでいて」
    「聞いただけで頭が痛くなりそうな題名ですね」
    「ええ、前までは読み聞かせをしてあげられたんですけど」
    「さすがに、そんな本は読み聞かせできませんね」
    「フィフィがシンクロを使うと体力を消耗するので、一日1〜2時間ぐらいしか仕事はさせてないんですが、睡眠・食事以外はずっと本を開いているんです」
    「本当に本が好きなんですね。私も帰ったらこの本を読んでみることにします。返却期限はいつですか?」
    「二週間です。きちんと返しに来てくださいね。本に触れる人が多くなったのは嬉しいことなのですが、延滞や返しに来ない人も増えているので」
    「わかりました。記事でも借りた本は返すように伝えておきたいと思います。それでは、本日は取材に協力いただきありがとうございました。フィフィもありがとうな」
     フィフィの顎の下をなでると、彼女は気持ちよさそうに喉を鳴らした。
    「では、受付で貸し出し手続きをしましょう。私についてきてください」
    「お願いします」
    「そういえば、こっちのもう一冊は?」
    「あら、フィフィったら。記者さんが独身だと知って気を利かせてくれたみたいですよ」
    「はは……。そっちの方も頑張らないと、ですね」
    「応援してますよ。そうそう、オカリナの本の作者さん知ってますか? オレンジ諸島では結構有名なオカリナ奏者で――」

    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    こんばんは、穂風です
    「特性「シンクロ」をうまく使って、図書館のお手伝いをしてるエーフィ」を書いてみました
    エーフィがおすすめの本を選んでくれたらどんな本でも読んでしまいそうです
    毎日エーフィに会いに行って、おやつあげようとしたり、なでなでしたりしようとして館長さんに怒られる人がたくさん出そうですね


      [No.2417] にほんばれ 投稿者:紀成   投稿日:2012/05/13(Sun) 14:29:10     46clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    あめが ふりつづいている

    あめが ふりつづいている

    あめが ふりつづいている

    あめが ふりつづいている

    ハスブレロの あまごい!
     
    あめが ふりつづいている

    あめが ふりつづいている

    あめが ふりつづいている

    あめが ふりつづいている

    オタマロの あまごい!

    あめが ふりつづいている

    あめが ふりつづいている

    あめが ふりつづいている

    あめが ふりつづいている

    あめが ふりやんだ!

    キレイハナの にほんばれ!

    ひざしが つよくなった!

    ひざしが つよい

    ひざしが つよい

    ひざしが………


      [No.2396] 地理のテストの大問五は犠牲になったのだ 投稿者:音色   投稿日:2012/04/18(Wed) 23:45:33     56clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     おもに俺の空想(妄想)に

     へーいマグロ丼いっちょおおぉぉっ!

    > うおおおおおキターーーーー!!!!!
    > あんな後ろ向きのクイタランからこんなお話ができあがるとは...!!有難く頂戴致します。ありがとうございます!

     休み明け地理のテストの最中、大問4の後半で詰まる
     ふと外を見ると桜だがだいぶ散っている
     その中に山合いに一本だけまだ初々しい枝垂れ桜
     見上げるクイタラン
     ダージリン
     桜フレーバー
     こ れ だ
     そして時間が切れる。
     とか言いながら元々のネタは絵を見た3秒後位に出来ていたのに形にするのに時間がかかりまくりましたすいませぬ。

    > クイタランは元からあんな目してるせいで、ひねくれてるというかこういう屋台の親父さんとかによく合うキャラですね。いいですねえ、俺もこんな桜散る屋台で一杯やってみたいものです。あ、お酒はすぐ赤くなるんでダージリンでネ

     アールグレイは少しきつめらしいですね。
     クイタランと紅茶は何処かに書いた奴と同個体ですタブンネ。

    > 自分の絵からこのように物語を連想し形にしてくれるなんて今まで無かったのでとても嬉しいです。
    > ワンチャンあったらこりゃもうメッチャ画力上げて音色さんの文章に似合うのを描かんとあかんな...

     な ん だ と
     となれば俺はさらにタクティスさんの画力に見合う文章に昇華せねばならんっ!

    > 今後も影ながら応援させていただきます

     ありがとうございまするっ!
     それではっ


      [No.2375] 夜回る 投稿者:リング   投稿日:2012/04/09(Mon) 22:04:55     59clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    「ばあちゃん、そっちで元気にしてるかなぁ……教えてくれよ、おチビちゃん」
     私はフラフラと宙を漂っていたヨマワルに、余ったお供えのおはぎを差し出し、尋ねてみる。
     甘い匂いに誘われたヨマワルは、真っ白な骨の仮面をおはぎに口付け、その裏にあるのだろう口を動かしせかせかと放り込んでいる。
     観光客というわけではないが、多くの人間が訪れる場所である。人に慣れてすっかり甘えることを覚えたヨマワルは、他のヨマワルが寄ってこないうちに全てを食べてしまおうという算段のようだ。

    「答えない、か」
     当然だよな、と私は笑う。
     声を掛けられたヨマワルは、仮面の下にある一つ目でこちらを一瞥したが、それっきりおはぎを食べるのに夢中である。死者へのお供え物のつもりだったがやはり生きている者に与えたほうが、こういった可愛い反応を見られて楽しいものだ。
     そう思う反面、もう少しばあちゃんに孝行をしてやれれば良かったなとも思う。
     私は早くして両親を亡くし、母方の祖母夫婦に引き取られた。しかし、高校の頃に祖父は他界。祖母も社会人になって一年目、大した恩返しも出来ないままに急死してしまった。祖母は、善人の塊みたいな人であった。私の世話を嫌な顔一つせずに行い、反抗期もめげずに世話を焼いてくれたが、そんなのは序の口だ。
     若いころ、勇敢だった祖母は箒を持ってゴロツキ相手に啖呵を切るなど、無謀なこともしたようで。その威勢の良さでご近所のトラブルを解決したこともあり、諍いの解決という一点においてはその武勇伝の数は二桁の半ばまで聞かされたものだ。
     敬虔な仏教徒というわけでもなく、普通に肉や魚を食べている人ではあったが、今思えば善人を絵にかいたような人だと思うし、近所の人たちもそう言っている。

     そんな祖母は天国へ行っただろうか。
     私はこの彼岸の日にふと思う。
     遥か西の彼方にあるという極楽浄土に、祖母はたどり着けたであろうか。せめて弔いだけはきちんとやったつもりであるから、私は祖母がたどりつけたと信じたい。
     死者を迎え、手招きするというこのヨマワルという種族ならば、死後の世界にも行けるんじゃないかとは思ったが、狩りに行けたとして祖母にあったという保証はないし、祖母と私のつながりが分かる望みも薄かろう。
     たとえ、ヨマワルが人の言葉を流暢に操ったとして、無駄なことだとは分かっていた。
     やがておはぎを満腹になるまで食べ、喰いかけのおはぎを後にしたヨマワルを見送り、私は昔どこかで教えてもらった歌を思い出す。


    『ひがしずみ にしの方へと 夜回る 日が沈む様 夜のお迎え』
     日が沈む時間帯に、彼岸の日を済ませた祖先の霊たちは、再び西のかなたにある浄土に帰り、死の方へと夜と共に向かう。その案内をするのはヨマワル、サマヨールであるという事を歌った内容だ。
     掛け言葉の多さが評価の一つとなっていることが一つの評価につながっているが、当然それだけではない。実際に彼岸の前後の夜ではこのヨマワルやサマヨールの目撃例は多く、当時の人間はこの短歌の内容を本当に信じ込んでいたのだという。
     実際は彼岸の後に海でドククラゲやメノクラゲが多くなるのとそう変わらない、ただの季節の風物詩なのだろうが、この骸骨のような見た目の仮面や、基本的に夜に現れると言った習性がそんな言い伝えを生んだのであろう。
     そして、この短歌には続きのような歌がある。
    『彼岸すぎ こちら側より 東風が吹く わかれと告げて ししゃは旅立つ』
     春分を告げる彼岸の日を過ぎ、春の訪れとともに東風(こち)が吹く。こちら側の世界とは、もちろん生者の世界である。そこから別れを告げるように吹く東風。わかれというのも、別れの辛さを分かれと言う、二つの意味を持った掛け言葉で構成されている。死者の魂は運ばれていくのだろうか。そして使者たるヨマワル達も西へと消えてゆくのだろうかと。
     この歌は同じ作者の作品で、これまた掛け言葉の多さが特徴だ。
    「……分かれ、か」
     頭ではわかっている。だが、もっと親孝行してあげたかったという思いは消えない。
     再びヨマワルが現れる。今度は二匹で、仲良くおはぎを食べに来たようだ。
     さっとそれを差し出してやると、二匹のヨマワルはかぶりつくようにそれを食べた。
     今はそう。どこかでばあちゃんが私を見ていてくれるなら、立派に生きて幸せになることこそが親孝行だ。うじうじしていても仕方がないのだ。

     すぐに割り切ることは出来ないだろうが、いつかは立ち直らなければならない。私はおはぎを地面に置くと、ゆっくりと夕日に願掛けをしてからその場を去る。
     もしもまだばあちゃんが安心して天国へ行けず、まだ成仏していないのであれば、安心して逝けるように生きてみよう。その時はばあちゃんの道案内をよろしくと餌を与えたヨマワルに言って、墓地を場所を後にする。


    ――――
    短歌作ったはいけれど、なんかもう内容がまとまらなかった。


      [No.2352] 図書館は取り返しました。 投稿者:No.017   投稿日:2012/04/02(Mon) 01:04:07     63clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    図書館は取り返しました!
    けど看板が上書きされちゃったのでこれからちょっと直してきます!!!!


      [No.2331] サクラサク 投稿者:ヴェロキア   投稿日:2012/03/30(Fri) 09:57:02     47clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    ちょっとだけ挨拶します。こんにちは。
    もう桜の季節ですね。このお題にナットク!
    でわ、スタートッ!!




    ここはイッシュ地方のカノコタウン。もうすぐ桜の季節だ。

    川沿いを歩いていたツタージャは、ぷかぷかと浮いているコアルヒーを眺めていた。

    「ようゼスト!何かあったのか?」

    このツタージャの名前はゼスト。オスのレベル11らしい。

    「ううん。別に。」

    ゼストは体育座りでため息をついた。

    「絶対なんかあっただろ。え?!」

    コアルヒーがゼストのほうへ飛んできた。ツタージャの頭をなでている。

    そこへ、凄く小さな黄色い物体がのそのそとやって来た。

    「バチュバチュ、カル、何してるの?そしてこのツタージャ誰?」

    その物体はバチュルだった。コアルヒーを呼んだようだが、ツタージャには聞こえなかった。

    「おいおい、お前、カルって言うの?」

    「うん。そしてコイツは友達のミオ。」

    全く知らなかったので、ツタージャは握手を求めた。

    「僕はゼスト。よろしく。」

    しかしミオは聞いていない。

    「もしもし?」

    「あぁ。えーと、ゼストって言うんだったな。よろしく。」

    握手をすると凄く手がしびれた。

    「うわわわわ・・・・なんだこれ。」

    「ごめん。女の髪がモサモサ(アララギ博士)の家から電器吸ってきちゃった。」

    そう言うので、皆はアララギ博士の研究所を覗いてみた。

    <なんでパソコンが使えないのよッ!エイッ!あぁーーー!!」

    「何か騒動になってるな。」

    【クスクスクス】

    笑い声が聞こえた。

    「僕もアララギの馬鹿な行動見てたんだけどさ、あんた達もおもろくってさぁ!アハハハハハ!!」

    「バル!!」

    またコアルヒーが名前を呼んだ。バルジーナのバルというようだ。

    「カル、お前知り合い多いな。」

    「それより、アララギの研究所見てみろよ。おもろいぜ。」

    アララギ博士が感電していた。

    「アハハハハハハ!!!」

    一人だけバルが爆笑していた。周りはシーンだ。

    「もう解散しよ。明日の午前10時ね。ここ集合。」

    続く?!


      [No.2308] 同志よ 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2012/03/17(Sat) 11:33:39     60clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    > 作者は3DSの立体ポケモン図鑑でキュレムのおしりがかわいいと評判をききつけ、犯行に及んだと供述している。後悔しているが、反省はしている様子はない。
    >
    > 一応、ドラゴンタイプだったはずですよね

    あえて言おう!
    キュレムのケツはすばらしい!!!!!!!!


      [No.2287] Re: 【告知】3/18(日) HARUコミックシティ打ち上げ会 投稿者:風間深織   投稿日:2012/03/11(Sun) 16:07:12     57clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    予算の見直しをしていただいたそうで、どうやら私も打ち上げに行けそうです。
    今月のマステは我慢します……
    春コミではお手伝いをさせていただきますので、よろしくお願いします!
    めいみちゃんの遺影持っていきますね!


      [No.2266] 場所は浜松町or新橋付近? 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2012/03/01(Thu) 07:04:01     73clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    記事立て乙です〜
    場所は浜松町か新橋付近ですかね。

    HARUコミの場所自体は東京ビッグサイトです。
    http://www.akaboo.jp/event/0318haru17.html
    入場に1300円かかりますので、他の同人誌(ポケも出てますし、他ジャンルもあります)を見て回りたい人以外は
    打ち上げだけ あるいは しめしあわせてどっかで遊んでいるといいかも。


      [No.2244] わたしたちが見たもの【超今さら書いてみた】 投稿者:砂糖水   投稿日:2012/02/15(Wed) 01:03:48     92clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     あそこをくぐり抜ければNがいる。ゲーチスが何か言っていたけれど、関係ない。わたしはただ、Nに言いたいことがあるだけ。
     心臓が暴れまわり呼吸が乱れる。パートナーの入っているモンスターボールを握りしめて、わたしは覚悟を決めた。

     行こう、Nのもとへ。


     Nが、ゼクロムを呼んだ。呼びかけにこたえて、玉座の向こうから黒い竜が現れる。黒い竜は力を誇示するように吠え、電気のエネルギーを撒き散らす。圧倒的な力。あれが、伝説の竜。
     体が震える。勝てるだろうか。違う、何をしてでも止めるって決めたんだ。
     大きく息を吸う。若草色の目を見据えて、わたしは告げる。





     N。わたしはきっと英雄なんかじゃない。だってそうでしょう? ゼクロムが現れても、ライトストーンは反応しなかった。
     わたしは、あなたに言いたいことがあって来たの。わたしには求めるべき真実なんて分からないよ。この世界のことをほとんど知らないもの。
     あなたは多分戸惑っているよね。わたしがこんなに喋るところを見たことがないだろうし。ベルもチェレンも、今のわたしを見たら驚くだろうね。でも、わたしにだって言いたいことがたくさんあるんだ。

     聞いて、N。
     
     わたしには分からなかった。なんでわたしが英雄なのか。どうしてNはわたしにこだわるのか。これは、今でも分からないよ。
     あなたは何度も接触してきては、一方的に喋り、勝負を仕掛けてきた。電気石の洞穴では、勝手にわたしをニュートラルだと決めつけた。たしかに理想も、真実も知らなかったけど。それに、わたしの意思なんかお構いなしにわたしを選んだなんて言う。竜螺旋の塔でもそう! わたしにライトストーンを探せと言った。
     なんで! どうしてわたしなの!
     あなただけじゃない。みんな、みんなそう。わたしにやれと言う。わたしの気持ちなんて知ろうともせずに、英雄になることを強制した。流されるままのわたしも悪かったよ。でもさ、だんだん、言えなくなった。言える雰囲気じゃなかった。
     みんなわたしに期待して……押しつけて。わたしは、まだこどもなのに。大人たちも、アデクさんくらいしかあなたに挑もうとはしなかった。そのアデクさんだって、わたしにライトストーンを持てと言った。正直怖かった。なのに、受け取れって。押し付ける形になってすまない? だったらやめてほしかった。でも、受け取る以外の選択肢なんてなかった。
     あはは、こどもだよねえ。わたしもみんなに負けず劣らず自分勝手だよねえ。でも、もうやめるわけにはいかなかった。わたしだって、ポケモンのいない世界は嫌だったから。わたしがやるしかないって、言い聞かせてた。
     ねえ、N。わたしね、あなたの考えには少し共感しているの。傷つくポケモンがいるのはやっぱりいい気はしないよ。たとえば、ずっと一緒にいるこの子たちが誰かに傷つけられるのは、嫌。でもさ、方法が間違っていると思う。たしかに、ポケモンと人間を引き離せば、人間に傷つけられるポケモンはいなくなるよ。でもその代わり、新しい悲しみが生まれると思う。
     N。あなたは言ったよね? わたしたちみたいな人ばかりだったら、ポケモンの解放なんてしなくていいって。あなたは迷っているんじゃない?

     あなたの部屋を見せてもらったよ。ずっとあの部屋の中で過ごしていたんだってね。
     あの部屋を見て、ずっと迷っていたけど分かったんだ。言ったでしょう? 自分がどうして英雄なのか分からないって。ここに来るまであなたと戦うことに踏ん切りがつかなかった。英雄であるだけの、理由なんてなかった。でもこの城に入って、あなたの部屋を見て、あなたの過去を聞いて、自分がどうしたいか分かった。

     あのね、N。あなたの見ていた世界はすごく狭くて小さいよ。
     わたしも似たようなものだけど。わたしだってカノコタウンから外に出たことがなかったから。

     ねえ、あなたは「外」で何を見た?

     わたしはポケモンをもらって、外に出ていろんな経験をした。トレーナーとはポケモンバトルをしたし、ポケモンを交換することもあった。ミュージカルに参加したこともあった。人の仕事を手伝っているポケモン、ううん一緒に働いてた。みんな、楽しそうに笑ってた。ポケモンの言葉は分からないけど、見ていてそう感じた。
     たくさんの人たちと、ポケモンたち。お互いがお互いを思いやっていた。

     N、あなただって見たでしょう?

     うん、そう。あなたがあの部屋で見てきたことも本当のことだよ。実際、人間に苦しめられているポケモンもいる。でも、ね。わたしが見たのはたいていプラズマ団のせいだったよ。ムンナの煙が必要だからって、蹴ったりして煙を出させようとしていたことがあったんだ。あの時はすごくびっくりした。この人たちはポケモンを大切に思ってないんだって、口先だけだったんだなって思った。あなたとはずいぶん違っていた。思えば、あれがあったからわたしはここにいるのかもしれない。
     それから、ポケモンを解放するんだと言って、ポケモンと人を引き離していたよね。でもポケモンたちは、大切な人と引き離されてつらそうだった。ベルがムンナをプラズマ団に奪われたとき、ベルもムンナも、両方とも悲しんでた。やっぱりそういうのを見ると、こんなのは違うって思ったんだ。

     ポケモンと人が出会って、たしかに悲しみが生まれたと思う。でも、それ以上に喜びが生まれたんじゃないかな。あなたは今ある喜びを、幸せを、すべて悲しみに変えるの?
     それがあなたの『理想』なの? 目指すべきなのは、今ある幸せを壊すことなんかじゃなくて、悲しみを減らすことなんじゃないの?
     わたしはこの子たちと出会えてすごく嬉しかった。喧嘩することもあったけど、一緒にいられて幸せだったよ。
     ねえ、N。あなたはポケモンと一緒にいて幸せじゃなかったの? 幸せだったはずだよね?
     それはあなたもわたしも、そして他の大勢の人も一緒なんじゃないの? あなたはきっとそれを見てきたはず。

     なのに、あなたは自分が見てきたものを否定するの? 
     あなたがしようとしていることは、今まで見てきたことを否定してまでやるべきことなの?

     わたしたちが見たのは、『真実』じゃないの?





     そこまで言ったとき、バッグがもぞもぞと動いた。はっとして、バッグを開ける。


     ライトストーン、が――――。








    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――


    超今さらですが書いてみました。
    書く書く言ってから大分たったのでわたしが言ったこと自体、皆様忘れてると思いますw
    ぶっちゃけプレー中は、電気石の洞穴あたりから完全に置いてきぼりされてたので、こんなことは考えてないですw
    これを書くためにプレー動画見てみたんですが、ゼクロム登場からレシラム登場までほとんど間がなく、思わずずっこけました。
    もうね、明らかにゼクロム現れたから出てきただけだろ状態。
    実際にプレーしてたときはあんまり気にならなかったんですけど。
    というわけで、こんな感じのことがあったんじゃないかなあという妄想でした。
    今更過ぎてごめんなさい!




    【書いてみたのよ】【今さらでごめんなさい】


      [No.2223] 解き方 投稿者:きとら   《URL》   投稿日:2012/01/24(Tue) 12:39:28     26clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    ゼロの焦点っぽくスピード感のある解き方ですね。

    >締め切りは守りましょうwww
    あーあー聞こえない


      [No.2198] 面倒なこと 投稿者:西条流月   投稿日:2012/01/14(Sat) 01:45:45     85clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     どうにも面倒くさい。

     お前がもう一人の英雄だとか戦わなければポケモンを開放するぞとか言われた時に思ったのはそれだけだった。
     こちとらこの間野生のポケモンに全滅させられそうになったんだぞ。そんな人間に世界の命運を任せる神経が理解できない。四天王とかチャンピオンとか強いトレーナーは掃いて捨てるほどいるだろう。

     きっとこの石に宿ってるもう一方のポケモンだってそう思っているに違いない。そこいらの草むらでタブンネ狩ってるような人間が実は英雄だとかいうことだってあるに違いない。
     いちいち英雄なんて旗を担がなくても、伝説のポケモンなんていなくても、あいつらのやってることが正しくないと思うなら、止めちゃえばいい。数に任せて強引に抑え込めばいい。

     言いたいことはたくさんあった。
     それでも言わなかった。

     結局は戦いに行くんだ。うだうだ言ってもしょうがない。
     ただ、一つだけ明確にしておきたいことはある。
     単に自分の仲間と別れさせられるなんて選択肢を選べるはずがない。それだけは嫌だから、面倒くさくてもできることがあるならやろうと思っただけだ。
     世界を背負うなんてことに憧れたわけでも、いろいろな人に頼りにされたわけでもない。
     ただそれだけのことだ。
     そう言おうと思ったけれど、恥ずかしくて言えはしなかった。



    ―――――――――――


    いろいろ思ってるからこそ、言えない感じのうちの主人公
    【書いてみたのよ】
    【好きにしていいのよ】


      [No.2177] この自販機欲しい 投稿者:門森 輝   投稿日:2012/01/04(Wed) 18:40:05     30clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     コメントありがとうございます! 

    > 読んでてこの曲が頭の中でループして止まらなくなったのだよ
     晴れのち曇りのち雨のち雪のち晴れのち曇りのち雨n(ry

    > ゴルダックの関西弁の違和感が全くなくてどうしよう
     違和感ありませんでしたか! 自信ないので少し安心しました。

    > お正月から笑わせてもらいました。
     ありがとうございます! 

     最後にもう一度、コメントありがとうございました! 

    【無限ループって怖くね?】


      [No.2156] 彼と彼と彼と彼と彼と彼の、疑問。 投稿者:ラクダ   投稿日:2011/12/28(Wed) 19:51:57     50clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     1:大人

    「ねえ」
    「ねえ」
    「ねえ」
    「ねえ」
    「ねえ」
    「お母さん」
     六つの声がこだまする。大きな椰子の周りを跳ねるそれらは、口々に質問を投げかける。
    「僕達はさ」
    「僕達ってさ」
    「僕らはさ」
    「僕達ってね」
    「僕らはね」
    「大きくなったらどうなっちゃうの?」
     ぴたりと止まってじいっと見上げる。六対の視線にさらされた大木は、質問の意味を正確に読み取った。
    「大丈夫、表に出てる顔は三つだけだけど、残りの三つもちゃあんといるよ。体は一つ、でも心は六つで一つ。それは大きくなっても変わらないよ」
     それを聞いて安心したのか、六つの玉はきゃあきゃあと転がり跳ねる。
    「そっかぁ」
    「そうなんだあ」
    「そうなんだね」
    「それはいいねぇ」
    「それでいいねえ」
    「ああ良かった。僕達は皆揃って“僕”のままなんだね」
     満足そうに揺れる六つの玉達。ゆさゆさ歩く椰子の後ろで、今日も仲良く飛び跳ねている。


     
     2:ひび割れ

    「ねえ」
    「ねえ」
    「ねえ」
    「ねえ」
    「ねえ」
    「お母さん」
     六つの声が呼びかける。大きな椰子を囲む彼らは、慌てたように転がり回る。
    「僕達の体のね」
    「僕らの体にね」
    「僕達の顔もね」
    「僕らの顔もだよ」
    「僕らの顔と体にね」
    「少しずつひびが入ってるんだ。どうしよう、僕達割れちゃうの?」
     心配そうにじいっと見上げる。不安な眼差しを受けた大椰子は、からから笑ってこう言った。
    「気にしなさんな、坊や達。それは成長の証さ、ひびが増えるほど進化の時が近づいてるんだよ。『割れる』のはおめでたい事さね」
     それを聞いて嬉しくなったか、六つの玉は喜び勇んで跳ね回る。
    「良かったー」
    「良かったよー」
    「良かったよねぇ」
    「良かったねえ」
    「良かったなー」
    「ああ、ほっとした。僕達、ひびが入るのが楽しみになってきたよ」
     幸せそうに揺れる六つの玉達。のしのし歩く椰子の後ろで、今日も元気に飛び跳ねている。



     3:金の……

    「ねえ」
    「ねえ」
    「ねえ」
    「ねえ」
    「ねえ」
    「お母さん」
     六つの声が母を呼ぶ。大きな椰子はそれに答えて、頭を揺らして屈みこむ。三つの顔が一斉に、どうしたんだい、と問いかける。
    「あのね、さっきね」
    「うん、ついさっき」
    「今よりちょっとだけ前にね」
    「そう、ちょっと前ね」
    「あのね、えっとね」
    「出会ったニンゲンに『君達が色違いだったら、おじさんの“きんのたま”にしてあげるんだけどねぇ』って言われたんだけど、どういう意味なの?」
     無垢な瞳でじいっと見つめる。答えに窮した大木は、しどろもどろでこう言った。
    「まあ、あれだよ、ほら……大人になったら分かるよ、きっと。お前達にはあんまり関係ない話なんだけどねえ……」
     それを聞いてがっかりしたのか、六つの玉は不満そうに転がり跳ねる。
    「つまんないの」
    「つまらないね」
    「つまらないよねぇ」
    「つまらないよぅ」
    「つまんないよね」
    「なんだ、僕達には関係ないのかぁ。でも大人になったら分かるんだね。楽しみだなあ」
     期待に揺れる六つの玉達。もそもそ歩く椰子の後ろで、今日も無邪気に飛び跳ねている。






    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

     犯行の動機;「書いてみた」が上手く進まずに苛立ち、ついカッとなって書いた。後悔はしている。……ほんのちょっぴりだけ(

     初代赤時代で遭遇したとき、グラフィックに震え上がったのがタマタマとナッシーでした。ゲンガーといい彼らといい、どうも体にいきなり顔が付いているタイプが苦手だった模様。
     1:ドードーやディグダみたいに増えるならともかく、進化後に減るってどういうこと? と思って書いた小話でした。きっと中の人ならぬ中の玉になるにちがいない、と。
     2:ひび割れの件は図鑑説明より。しかし一個、中身が見えるほど割れちゃってるのはホントに大丈夫なのか……。
     3:例のおじさんの手持ちには、きっと色違いタマタマがいるに違いないという妙な確信がありまして(以下略)
     これは一体誰得? もちろん俺得。と妙な満足をしたところで作業に戻ることにします。読了いただきありがとうございました!

    【何をしてもいいのよ】


      [No.2135] 違和感 投稿者:紀成   投稿日:2011/12/21(Wed) 13:00:45     35clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    「ユエさん、何か暑くありませんか、ここ」
    「暖房が効きすぎているのかしら。まあ紅茶も飲んでいるしねえ…… かと言って暖房止めたらそれはそれでまた寒くなるだろうし」
    「何か話でもしてくださいよ、ちょっと冷える話」
    「んー…… じゃあ私が中学生の時に聞いた話でもしましょうか。私の担任は国語の先生で、大学は登山部でもあったの。その人の友達が経験した話よ」


    えっと、その人はその日自分を入れた五人の仲間と一緒に登山していたんだって。かなり高い山で、上に行くに連れて天候が荒れて吹雪いてきたらしいの。皆は足元に気をつけて万全の体制で登っていたんだって。
    だけどね、途中で一人の人が行方が分からなくなってしまったらしいの。この天気でしょ。山で命を落とす人ってやっぱり多いらしいわ。それで下手に探そうとしたら自分達も危ないってことで、涙を呑んで残りの四人は歩き続けたんだって。
    それで、中盤あたりで小さな小屋を見つけたんだって。暖房もない、真っ暗な空間。このまま休んだり眠ってしまったらそれこそ全滅しちゃうって思って、あることをしたの。
    ――それは、四人が小屋のそれぞれの四隅に立って、一晩中相手の手にタッチし続けること。つまり、壁に沿って歩いて、次の隅にいる人にタッチする。そうされた人はまた壁に沿って歩いて、次の人にタッチする。
    それを繰り返して、その四人は翌日無事に登山を終えて戻って来れたらしいわ。


    「へー…… すごい根性ですね」
    「でもそこまでヒヤリとは」
    「あら、分からない?」

    静かな空間に、カップを置いた音が響いた。

    「よく考えて。四隅に一人ずつ。自分が相手の手に触れようとすることで、当然自分の後ろには誰もいなくなる。次の隅の人にタッチすれば、その隅には自分が来る。そう繰り返していくと、何が起きるか」
    「えっと……」

    Aが始めにBにタッチする。四隅を1、2、3、4と振り分けておく。1にいたAは2に行き、2にいたBは3にいたCにタッチする。Cは4にいるDにタッチして――

    ……あれ?

    「Dは、誰にタッチするんですか」



    ――――――――
    わざとここで終わらす。国語科の先生に聞いた話。いやー、登山部OBの話ほど恐い物はないね☆(と、場を明るくしてみる)
    ちなみにまだあるけど恐いんでやめておきます

    【何をしてもいいのよ】


      [No.2114] 自分の単行本を妄想するスレ 投稿者:No.017   投稿日:2011/12/14(Wed) 20:10:54     74clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    自分の小説で単行本を出したら……?
    そんな妄想をしてみようというスレです。

    タイトルや目次、
    カバーの紹介文や、帯の煽り、あとがきなんかを妄想してみませんか?
    書けば案外実現するかも?


      [No.2093] VS受験勉強 投稿者:moss   投稿日:2011/12/02(Fri) 19:45:06     32clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     ――検討会の結果なんだけどね

     検討会。生徒たちの志望校を先生たちが集まり判断する会議。校長、教頭、学年主任、その他各クラスの担任や教科担任を含む。

     ――……は生活面では、あぁ身だしなみとか態度とかね。その辺はいいんだ

     身だしなみ。女子はスカート丈は膝下。男子は冬服の第一ボタン開けを禁止。靴下はくるぶしソックス以外の白いものを着用。脱色、ピアス、染色、アクセサリー等は禁止。スカート丈は足が太いので上げられないし、髪を染めたいとも思わない。眼鏡ちゃんなので見た目はけっこう真面目ちゃんである。よってこれは大丈夫。

     態度。日ごろの授業態度や授業外での先生方に対する態度。共に私は特に普通にしているため問題はない。先生と喋るのは別に嫌いじゃない。喋っておくとこういうときに便利だし。

     ――私立についても大丈夫だったよ。このまま併願で受けなさいって

     私立。私にはただの滑り止め、最悪の場合に通うことになる高校。説明会に行ったらもう国立大学にはいけない未来が待っていた。あと体育祭が激しかった。ここを落としたら後は無い。落ちないだろうけど。

     ――問題は公立高校なんだ。やっぱり他の先生にも突っ込まれたんだけど、実力がね、足りないって

     実力。確かにこないだのテストの点数は低かった。いや、まぁその分平均も低いんだけど過去最低合計点だった。内申も現状維持が限界だろう。上がることは無い。わかってる。内申も全く足りない。ありえない。一年生の頃と二年生の前期が低かった所為である。後悔はないけど不満はある。でも模擬ではけっこういい点なんだけどなぁと思ったけど内申の欄が下がるじゃんとなって落胆。あさってやだなぁ。

     ――だからやっぱり一生懸命勉強をね、やんないといけないねぇ。まあがんばって……




     小学生の頃の私は文章もまともに書けない、字は下手、テストは七十点(周りのみんなは八十点とか百点だった)というどちらかというと馬鹿な子だった。
     中学生になり、一年生の最初のテストではよくなかったが、その後だんだんと上がっていき、最後のテストでは夢の四百点に到達した。うわあ、やればできんじゃん、この野郎と舞い上がる。二年生では眼鏡をかけて真面目ちゃんになった。黒板が見える分、授業をよく聞いた。ノートも丁寧にとるようになった。字も
    丁寧に書けるようになった。テストでは点数を落とさないように一生懸命勉強した。成績が後期で最高潮を迎える。そして三年。勉強が難しくなった。めんどくさがりになった。でも授業は真面目に受けていたので授業態度だけはよいまんまだった。テスト前の勉強をちょっとずつやらなくなった。でもやらないことはなかった。矛盾はしてない。点数はあまり変わらなかった。通知表の数が少し下がった。まあしょうがない。勉強は難しくなってきてるし、周りがちょっとずつ受験に向けてがんばり始めたんだから。私もがんばんなきゃ行けないんだけどなぁとパソコンをしながら思う。塾の回数が一回増えた。




     「もうすぐ受験だねぇ、勉強してるー?」

     「してなーい。うち塾あるし。つか塾だらけなんですけどー。寝れねー」

     「わかるー。うちもー」

     「模擬どうだった?」

     「やばい。数学八点だったー。超うけた見たとき」

     「うそ、それやばっ。でもうちも四十五点だったしなぁ」


     私は五十五点だったよ数学。判定はAだよ。まだ内申が公立用のじゃなくて過去最高のもので書いてたときの話だけど。結局やらない子はやっぱり馬鹿だし、やる子はどんどん成績を上げていく。私の友達はやる子だったので、私よりはるかに点数を稼ぎ、もっと偏差値の高い高校を志望していた。頑張り屋さん。きついところはちょっとあるけど、授業態度は私よりも悪いけど家じゃ比べ物にならないくらい勉強してるんだよね。だから今回のテストで五十点も差がついた。塾行って頭よくなりやがって。




     「うわもう十二月だね。受験まであと一ヶ月くらいしかないじゃん」

     やばいねーと友人がホワイトボードを見ながら呟いた。ほんとだね。勉強してる? と聞いたら全然と返事が返ってきた。

     「何言ってんの? もうとっくにそうだから。勉強しろよ」

     次、数学だから早く移動しようよ。やる子な友人の確かすぎる答え。微妙にやる子な友人とホワイトボード前で目配せをする。やっぱりやんなきゃいけないよね。でもその日は家に帰って塾に行って寝た。




     「うーん。……は、現状維持です」

     後期の理科の成績。やはり現状維持が限界だった。近頃自分の限界を感じる。いや、ほんとは限界なんて無いんだろうけど自分でそれを決め付けている。ただ勉強がしたくないがために。ただ今更そんな子と言ってぐだぐだしていてもどうしようもないのでそうですかとだけ言って次の人を呼びに行った。悪い成績じゃない。志望校の内申の基準が高すぎるだけ。そう文句を言っては勉強をしない。馬鹿で最低なのは自分じゃないか。そんなことを言ってる暇があるなら勉強をしろよ。頭はいつでもそんなことでいっぱいである。でも九教科の三年間の合計が“110(だったはず)”というのは他の高校に比べて高いほうなのだ。じゃあ技能教科が神ってればいいじゃん。そんな話。だけど私は体育、技術が苦手である、特に体育。人類は何故高跳びなんていう棒を飛び越す危険極まりない競技を生み出したのか。何故人間は走るのか。何故体力が必要なのか。必要だとしても何故マラソンなんてしなければならないのか。翌日に筋肉痛になって歩くたびに痛い思いをするのは辛い。しかもそれを何故冬にやる。
     その日に国語の成績も聞いてはみたけど教えてくれなかった。というかまだ成績を出してないそうだった。授業の小テストで二十点満点中七点しか取れなかったことがあり、それが大いに成績に響くらしいのだが、今回の中間テストの点数は平均十点以上はあったので(それでも過去最低だった)下げないでくださいと言いに行ったら、……は今ぎりぎりのところにいるんだよねと言われた。でも今までの成績と態度でも評価するんですよねと食いついたらそんな簡単には下げないと思うよとさらりと言われた。はたしてどうなのかは先生しか知らないが。




     震える手で玄関を開けてただいまと言う。親は仕事でいないので当然返事はない。最近寒くなってきたので家の中が妙にあったかく感じる。幸せ。そのまま部屋に鞄を置くと、リビングに着替えに行く。実はこの制服寒いのよね。セーターは着てるけどこんなのじゃ真の暖はとれないのである。
     小腹が空いているので自然と手が冷蔵庫へ向かう。これぞ太る原因。みんなは真似しちゃ駄目だよ。適当にプリンかヨーグルトを取ってパソコンをつける。ここでいつも見ているサイトやらツイッターに呟きに行ったりニコ動で歌を聴きながら小説読んだり漫画読んだりかれこれ一時間。眠くなってパソコンをやめる。部屋へ行ってベッドに横たわる。目を閉じる。寒いのでひざ掛けと毛布と布団を軽くかけてみる。そのまま二十分後、起床。そんなに長い時間は眠らない。そしてまだ親が帰らないのでどうしようか。ここで(というか帰ったらすぐにやれよって話だが)勉強をしようという意見が頭のどこか片隅によぎる。しかしよぎっただけで実行には移らない。結局机の上で絵を書く作業に入ることにした。最近は漫画チックな人物の絵とか書けるようになりたいななどとほざいているため人を書いたり。あぁ本当はこんなことしてるんじゃなくて勉強しないといけないんだよと思いつつ手は一向に止まらない。あ、ここの線ぶれた。消しゴムを取ろうと手を伸ばした――

     ――そのときだった。

     「何やってんだよ。んなことやってねぇで勉強しやがれこの数学万年五十点台野郎がっ」

     後頭部に強い刺激を確認。視界がぶれる。あ、ここの線がぶれたどころじゃない。じんじんぐらぐらする頭を両手で押さえながら後ろを向いた。しかしそこには私のベッドがあるだけで他にはなにもない。……いや、いた。ベッドじゃないところに悠然と存在している。

     「そんなんだからまともな内申もとれないしテストでも点取れないし、模擬の結果も良くないんだよ馬鹿野郎」

     「……ぇ、うい……あ、ぁ誰?」

     首に黄色いスカーフを巻いて、黒いパーカーにちょっと違う黒の半ズボン。ベルトになにかチャラチャラしたアクセサリー的なものをつけ、黒髪に丸い耳を生やした小四くらいの少年がふわふわぷかぷかと浮いていた。真っ黒だなオイとも思ったが、実は黒いパーカーの裏は黄色い生地で、ちらちらとのぞいていた。つーか浮いてるし飛んでるし顔かわいいし。最後のは私の趣味です関係ないですごめんなさい。

     「んなことよりさっさと勉強しやがれ。あさってには模擬が待ってんだぞ。これで受けんの最後だろ? だったらちょっとくらい勉強しろやアホ」

     むかついた。めっちゃむかついた。私は立ち上がると近くにあったレシラム人形(レシラムかわいいよねレシラム)をむんずと掴み、奴に向かって投げた。

     「何すんぉぶっ」

     顔面ヒット。そのまま足を掴んでぐいっと下に引っ張り下ろし、床に墜落させた。ごつんと音がしてたぶん頭でも打ったんだろうがそんな些細なことは気にせずに私は息を吸い込んだ。

     「だぁれがアホだこのクソっカスっ餓鬼っ! こっちだってやろうとは思ってんだよ口出してんじゃねぇよっ!」

     「あんだようっせーな! てめぇが勉強しないからわざわざ言ってやったんだろーが!!」

     右腕で頭を押さえながら少年が反論した。その一言にいらいらのボルテージを上げた私は先ほどよりボリュームを上げてさらに反論する。

     「うるさいのはそっちだっつーの! 何処の誰とも知らないわかんないあんたに言われたかねぇわっ!!」

     そこまで言い切って椅子に座る。疲れた。不法侵入だ。どうしよう。警察に通報すべきか。そんなことを考える。とりあえず机の上にある書きかけの絵をしまった。丁度そのとき少年が立ち上がる気配がしてそっぽをむく。

     「……そうやって、今俺を見ないみたいに嫌なことは全部見なかったことにしてきたんだろ。見ないやらない関係ない。何で? だって自分にはもう無理だとか限界だとか今はやりたくないからこんどにしようとか、避けてきた。だけどそのままずっと逃げていったら……」

     「うるさいうるさいうるさいっ。そうだね確かにいろんなことを後回しにしたりやりたくないの一言でやらなかったこともあった。でもやるときはやったしテストも――

     「でもどんどん成績は下がってきてるじゃないか」

     ぐさっときた。心臓に何かが突き刺さって抜けない。まるで硝子の破片のような、抜こうとしたら逆に手を傷つけてしまう。そんなかんじ。でもこのまま認めてしまうのは私の変なプライドは許さないので無視することにした。お互いに何も言わない。無言の圧力。潰れてしまいそうだ。気を紛らわせるために本を一冊手に取った。妙に薄いなとおもったらそれは社会の一問一答式の問題集だった。ちょうど文庫本とかと同じ大きさの。それをつかんでいる手は私だけじゃなかった。

     「実力がないわけじゃない。でも努力をしないと自分の好きなことは好きなだけできなくなるよ。あんたにはそうなてほしくないから。ちゃんとやらなきゃいけないことくらいはやれよ。やるべきときに」

     見上げると少年がいて、角度と光の反射で表情は見えなかったけど。え、と聞き返そうと口を開けて

     「……え?」

     目が覚めた。私はベッドの上にいた。どうやら夢オチらしい。携帯で時間を確認すると四十分くらいたっていた。二十分で起床なんてしていなかったようだ。親はまだ帰ってきていない。ふと机の端にDSiが開いて、しかも電源のついたまま置いてあった。充電切れるわー、いつからついてたんだしといいながら画面を見ると

     「ぷはっ、そのまんまじゃん、格好」

     手持ちのなかのエース、エモンガのエモちゃん(ニックネームにはしてないけどそうやって言ってる)のステータス画面だった。
     私は電源を切ると、それをあるべき場所に戻し、ため息をつきつつも数学の教科書を開いてそれからノートも開いてちょっとだけ勉強をしてみることにした。






    ―――――――――――

    体験談をまじえて。内申が足りないのは本当です。あと数学が五十点台なのも本当です。

    このままじゃ落ちるのも成績が下がってるのもあさってが模擬なのも本当ですね、はい。

    とりあえず現実逃避したい。


      [No.2072] だってコウキは 投稿者:きとら   《URL》   投稿日:2011/11/16(Wed) 21:39:54     25clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    ダイヤで始めたとき、コウキにしたんですが、やつの後ろ姿は不敵に微笑んでますよ(そう見えるだけ)
    それに、ダイパ出る前の新しいのが、ファイアリーフだったのもあって、どうみても、ファイアリーフの主人公に似てるし。どちらも。
    だから、レッド二号だと思っていたのは内緒。


    ヒコザルは、「オッス、オラ(当局にスナイプされました)」でも似合いますね。
    なんにせよ、標準語ではない、少しくだけた言い方が似合います。


      [No.2050] ツッコミどころが多すぎるだろwwww 投稿者:No.017   投稿日:2011/11/11(Fri) 09:43:00     48clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    ツッコミどころが多すぎるだろwwww

    ・精肉売り場でバイト
    ・桃が出てこないのに桃太郎
    ・ケンホロウじゃないのwwwww あ、カントーだからかwwww
    ・スケベクチバシきたこれwwwwww(カントーなのに
    ・ミュウツーどうなったwwwww

    その他いろいろ

    最後はちょっと切なかった


      [No.2028] 電球咥えた電気ポケモンって可愛いと思うんだ 投稿者:海星   投稿日:2011/10/31(Mon) 23:04:10     58clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     久し振りに徹夜をした。
     寒いし静かだし寂しいのでCDでもかけようかと思ったが、ちょっとカッコつけてラジオにしてみる。
     選局ボタンを長押しして適当に電波をキャッチしてみると、滑らかなピアノの旋律が流れてきた。
     だがしかし聞いていると眠くなってきたのですぐ消した。
     これぁ駄目だぁ。
     デジタル目覚まし時計を見ると日付が変わって随分経っていた。
     もう寝よっかなぁ。
     明日はテストである(しかも結構大事)。
     勉強スイッチが入ったのは昨日の夜である(テスト二日前の夜)。
     まだプリント終わってないけど寝ちゃおうぅう……。
     仕方ないので社会の教科書片手に布団に潜り込む。
     が、電気に悩む。
     のろのろと這い出て机の蛍光灯を片方点けたまま部屋の明かりを消すと、想像以上に明るかった。
     これでは寝られない(普段は真っ暗)。
     試行錯誤の末、要らない紙を蛍光灯に貼りたくり、何とかぼんやりさせることに成功した。
     まだ明るめだが……妥協しよう。
     もごもごと口の中で教科書を読みながら温まった毛布に戻り、寝心地を追求する。
     ああ……眩しい。
     持ち上げた腕が痛くて教科書を投げ捨てる(訳にもいかず枕の下に忍ばせる)。
     ああ……電気タイプのポケモンがいたらなぁ。
     ふと、テスト一週間前のくせにダイヤモンドのポケトレに目覚めたあの日を思い出す。
     四十連鎖ちょっきりで飛び出てきたあいつ。
     あの桃パチリスが蛍光灯代わりに机で寝そべっているのを想像する。
     確か性格きまぐれだったな、ふふ。
     桃『何か眠くなってきた……電気消していい?』
      『ええ、どうせ勉強してないじゃん。この明度、微妙だから疲れるんだよね』
      『ていうか尻尾ピリピリしてきた』
     Me「あああ! カフェイン(紅茶)! カップ倒すなぁあノートがぁああ!」
     ん、そういや♂だった。
     桃『え? 電気エネルギー? ふっ、気が向いたら教えてやるよ』
     あのオレンジほっぺにもキザな笑窪はできるのだろうか。むふふ。

     ……何て考えていたらいつの間にか朝だった。
     いつの間に寝ちゃったんだろう、ていうか目覚まし時計を止めた記憶なんてない。
     あああプリント終わってない!
     慌てて布団から跳ね起きる、そんな日常。


    ―――――――――――――――
     
     お久し振りです。
     もうポケスコ速報チャットの季節ですか。
     何とかして見に行きます。

     ※この作品はノンフィクションです。

     【なにしてもいいのよ】


      [No.2006] 『鳥籠の隙間』感想(仮) 投稿者:りえ   投稿日:2011/10/17(Mon) 22:27:13     55clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    ・大事なポケモンが死んで悲しんでるとってもかわいそうなひとに、こんな失礼な口の効き方するやつはもう通報されるべきだと感じました。
    ただただもう、“陋劣な彼”がムカつきます。
    中二病ひきずっちんじゃねえよタバコ吸うような年齢になってまでよ! というものが主な感想です。

    ・真面目な話、喪失の直後(喪服を着ているなどの描写から察するに、亡くなってすぐみたいですね)だと、「居なくて悲しい」よりも、
    「何が起こったのかよくわかりません」という気持ちのほうが強いのではないか、と思います。
    そして徐々にじわりじわりと居ないことに強制的に気が付かされるというのが、
    大切なひとやものがいなくなったときの感覚なのではないかと思います。
    個人的な亡くした経験からすると、
    とてもこんなに言葉は出てこなかったような気持ちにすらなります。

    ・なので、一年ぐらい経った設定で、ポッポへの手紙という形にすればいいのではないかと思います。


      [No.1984] 真っ赤なエリートトレーナー 投稿者:いろは四季   《URL》   投稿日:2011/10/12(Wed) 16:11:47     44clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    「・・・ツバキ! 好きだ! 俺と付き合ってくれっ!!」
     俺の、一世一代の告白。初恋の相手は、俺には到底釣り合いそうもない美人のエリートトレーナー。
    『恋? そんなもん当たって砕けなさい!』
     それはもう書ききれないほど色々と世話になった、ミニスカートの彼女からの縁起でもない教えを頂いた時は、内心
    『こいつ何てこと言いやがる・・・!』
     とか思ったけど、もうこの際、玉砕でも何でもいい!! 目の前にいる君が!! 好きなんだ!!
     この思いだけでも伝えたいん・・・

    バシィ!!

     返ってきたのは言葉じゃなく、やっぱりビンタだった(予想はしてたけど)
     そして近くの木からポッポ、草むらからオニスズメが飛び出して逃げていく。
     なにこのデジャヴ。
     凛とした声で、彼女は言う。
    「さん付けは? あと、敬語」
    「すみませんツバキさん、ホントすいません。でも、あの、ブーツ痛いです」
     俺は普通の運動靴だよ!
     トレッキング対応可のブーツで踏まれたら激痛だよ!
     しかし彼女――元ミニスカートで、初対面の俺に鼻血が出るほどのグーパンをお見舞いしてくれた『ツバキさん』は、なかなかどうして俺に対して鬼畜極まりない。
    「年下のくせに敬語使わないからよ」
    「判りましたすみませんごめんなさい!」
     いいから早く踏むのやめてよ! 血が出るよ! マジで!
    「反省してるわけ?」
     もう見慣れた絶対零度の視線でツバキさんは俺を見下す(残念ながら、俺はまだツバキさんより身長が低い)
    「も、ホントにしてますって! 心の底から反省してます! ごめんなさい!」
     やばい、もう泣くかも・・・
     と思っていたら、ようやく俺の足へのふみつけ攻撃が終わった。
     今やったら絶対逆鱗食らうから、足の手当ては後でしよう。絶対あざできてる。絶対。

     これ以上ないくらい整った顔立ち(目つき除く)、華麗なウェーブが美しい栗色の髪、そしてスタイルは抜群。
     ここだけの話、胸はもうちょっとふくよかでもいいんじゃないかと思う。ぽよんぽよんのおっぱいとか、男の浪漫だよな?あの魅力について語るとしたら、まず(以下略
    「で、さっきの寝言は一体何? アンタ、起きたまま寝言言えるわけ?」
     ほら、ひどくね? いくらなんでもひどくね? でも俺、この人好きになっちゃったんだよなぁ・・・・・・
     惚れたモン負けっていうのかな。中身がテッシードみたいでも、好きなことに変わりはないんだよな・・・
     俺もつくづく物好きだとは思う。
     告白されてビンタとブーツで踏み放題なんか返す女の人なんか見たことも聞いたこともないもん、俺。
     この人初対面からぜんぜん変わってないよ・・・・・・。ていうか、変わる気がしないよ・・・・・・。
     いや、別に変わって欲しいわけじゃないけど。むしろそのままのツバキさんが好きなんだけど。

     深く息を吸って、吐いて、俺は今度こそ真剣に言った(開き直った、というのが正しいかもしれない)
    「寝言じゃないです、俺、本当にツバキさんが好きです。付き合ってください」
     ツバキさんは、俺の言葉を聞いて更に呆れたようだった。
     が。
    「どこが」
    「へ?」
     唐突かつ意味が判らない問いに戸惑う間もなく
    「私のどこが好きなのか具体的に上げてみなさいよってことよ! この××××!!」
     なんかキレられた! 理不尽だ! っていうか、その最後の一言!!
    「ツバキさんそれダメです! 放送禁止用語っていうか、作者困ってますって!」
    「作者がなによ! ○○で△△△△な××××が!!
    「ツバキさんやm・・・!!


    *しばらくお待ちくださいませ
    *ツバキが暴走しておりますので、大変危険です
    *写真撮影などもご遠慮ください。後々の責任を負いかねます


    「お、ちつき・・・・・・ました、か・・・」
     ツバキさんも俺も虫の息で、丈の短い草の上に寝転がっている。
    「クソ・・・作者・・・」
    「そんなこと言ってると・・・もう書いてもらえないかも知れませんよ・・・」
     あ、ツバキさんが黙った・・・・・・書いてもらいたいんだ・・・・・・。
     こういう、不意打ち気味に可愛いところが好きなんですよ、とか、さらっと言えたらいいのにな・・・。
    「・・・・・・よ」
    「へ?」
     ボソボソ言われると、作者も俺もよく聞き取れないですツバキさん。
    「えっと・・・わた・・・か・・・き・・・ない・・・って・・・か・・・」
    「だから、聞き取れないです・・・ツバ――
     その時俺は気付いた。
     俺と顔を合わせないようそっぽを向いたままのツバキさんの耳が真っ赤だってことに。
    「すいませんツバキさん、全然聞こえないです。はっきりお願いします」
     俺はどうにかニヤニヤを心の中だけに抑えながら、極めて冷静に問いただす。
     ほらさ、この人さ、全然正直じゃないし、キレると怖いし強暴だし(俺だけ痛いし)、そのくせいつも余裕だし、エリートで、俺なんかバトルでは勝ったことなんて一度もないし、案外世間知らずだし、口も悪いけどさ・・・・・・

    ツバキさんは耳を真っ赤にしたまま

    「わ、私も! その! アンタ・・・じゃないや・・・カシのこと! 嫌いじゃ・・・ない・・・」

     尻すぼみになったけど、聞こえた。
     でも俺はあえて意地悪してみる。

    「意味が判らないです。はっきり言ってください」

     ツバキさんはしばらく、もぞもぞと変な動きをしていたけれど、やがて負けを認めるみたいにこっちを向いた。

    「わ・・・たしも、カシのこと・・・す、好き・・・よ・・・」
     あぁ! ちくしょう、可愛いなぁもう!!
     この表情は俺だけのもの。他の誰にも見せてたまるか。
     たまに痛いことされるくらいで、こんな可愛い人嫌いになれるわけがねーよ。
    「・・・・・・反則ですよ、それ・・・」
     俺はそう言って、真っ赤なお耳のエリトレさんを抱きしめた。
     ワカバタウンのカシ――つまりは俺だけの、可愛い可愛いエリトレさんを。


    Fin.






    一応言い訳を……
    「おうふくビンタと拳」のこぼれ話? 続編?
    いや、私にもよく分からない作品なんですが
    出来心です
    ラブコメが書きたかったんです!
    活字で糖度100%くらいのやつを!
    ポケモンほとんど関係ないですが(出てこないし)
    最近、私の中でショボーンな出来事が結構あったので自己満足してます

    明日から頑張る。


    【描いてもいいのよ】
    【でも描いたら危ないかもよ】
    【批評していいのよ】


      [No.1958] Re: 誤字発見 投稿者:匿名   投稿日:2011/10/02(Sun) 05:33:59     65clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    ご指摘ありがとうございます。修正しました。

    > > ピカチュウのちっちゃい銅を抱っこして、ゆっくり移動する。
    > 「胴」と思われます。


      [No.1937] 遅ればせながら 投稿者:tyuune   投稿日:2011/09/30(Fri) 07:43:46     44clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     遅ればせながら、感想ありがとうございます。tyuuneと申します。てこさん、こちらこそよろしくお願い致します。
     いやはや、感想をいただけるとモチベーションが上がりますね。とてもありがたいです。
     まだまだへっぽこながら、精進していく次第です。

     さて、この度、このような小説をこの場に投稿させていただいたのには、ある理由があります。五日ほど前まではこのポケモンストーリーズという板の存在を知りませんでしたが、ツイッターにてその存在を知り、投稿された小説を読み、強い感銘を受けました。
     そして、「私もこのような短編を書いてみたい!」と、やる気が急上昇し、勢いのままにこの短編を書きました。
     その為、このポケモンストーリーズという板のおかげで、この作品が書けたと言っても過言ではありません。
     なので、こちらに感謝の意味も込めて投稿させていただいた次第です。

     私は、ポケモンストーリーズの小説を読み、創作意欲が刺激されました。そして、貴方は私の作品を読んで創作意欲が刺激されたとおっしゃる……。素晴らしい好循環ですね。この調子で、このポケモンストーリーズ全体がさらに賑わって頂ければ幸いです。

     蛇足ですが、私がハッピーエンドを書くのは、珍しい事です。はてさて、次回作はどうなる事やら。あまりハッピーエンドに期待しすぎると、衝撃を受ける事になりかねないので、ご注意をば……。


      [No.1916] やっぱりキャラが立ってる! 投稿者:小樽ミオ   《URL》   投稿日:2011/09/23(Fri) 18:45:49     50clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     こんにちは、小樽です!


     はじめに、もすさんはやっぱりキャラの描き方がお上手だな、と思いました。
     確か以前別の作品を拝読したときもそのように感じた覚えがありまして、キャラを立たせることに手馴れていてお上手だな、という印象を持っています。さすがですね!

     組織の権力によって望まぬ力を持ってしまった少年少女たち。
     実は私も別所でこういう主題の小説を書いていたことがあり、このテーマは好み(好み……?)なのであっという間に引き込まれました。


     そして語らずにいられないのが7019ちゃんの魅力!
     ゴスロリに「悪魔」というフレーズ、くひひと笑う声。
     扱うのは傘、鎌、己の四肢。余裕綽々でいながら突然激昂する。
     しかも風に広がるゴスロリ付きとは……全部ひっくるめて7019ちゃんのキャラが好きだなんて言えない言えない、ヒミツヒミツ(


     チャットでご一緒したときに「流れには特に意識している」という趣旨の話を聞かせてくださったと思いますが、まさしく仰るとおりに感じました!
     それぞれの人物やポケモンの動きも、表情もバッチリ読み取れるのに、決してそれがくどいということがなくて。一万文字超とはとても感じないくらいの流速がありました。
     くどすぎない描写を心掛けてはいるのですけれども、自分はどうもそれがうまく行っていないように思えてしまって。なのでもすさんが努めて意識なさって文字に起こされている「流れ」は勉強になります。
     むぅ、納得いくまで努力を重ねないうちに他人を羨んじゃいけないとは覆うのですが、それでもやっぱり羨ましい……(笑)


     ここまでなんとなく偉そうな雰囲気の言葉を書き連ねてしまってすみません……(×
     でも、これが私の率直な感想です。楽しませていただきました上にモチベーションまで分けていただいたなんて、ありがとうございましたのひとことじゃ足りないですね(^^;


     最後になりましたが、このおはなしはいつか長編化するのでは……と期待していたり。
     当然教団が狙ったエスティを諦めるはずはなく、そのそばにいた「男」にも手が伸びるのは必然的。
     そして7019ちゃんが自由へと解き放たれることはあるのかどうか。……そういった複数の事項を考えると、先行きにわくわくしてしまってついつい続きが気になってしまいます(笑)


     とりとめのない長文になってしまってすみませんでしたっ(汗)
     執筆お疲れ様です、そしてどうもありがとうございました!(ペコリ
     


      [No.1895] 【書いてみました】いつの間に付いたーっ!? 投稿者:銀波オルカ   投稿日:2011/09/20(Tue) 21:22:03     65clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    マコさんありがとうございます!

    > オオサカのある劇場で、マイコがお世辞にも、女とは思えない悲鳴をあげ、のたうち回っていた。

    何があったんだマイコちゃん……

    > 話は、冒頭の30分程前に遡る。
    > マイコ達7人宛てに、木の実詰め合わせが届いた。
    > クラボやモモン、オレンといった一般的なものから、チイラやラム、サンやスターといった貴重なものまで。
    > 中には一杯入っていた。

    う、うらやましい。サンやスターなんて…送ってくれたの一体誰ぞ!?

    > この場には、マイコ、オオバヤシ、ハマイエ、トキ、カワニシ、アキヤマ、キザキの7人がいる。そして、7人とも、かなり真剣だった。どんなに辛い食べ物が好きな人でも、マトマを食べると悶絶するくらいらしいので、皆食べたくないのだ。唐辛子やハバネロなんか目でもない。

    何故人間は『運試し』の欲求があらかじめ備わっているものなのでしょうね…

    > で、結局……。
    > 「うわああああっ!」
    > 「よっしゃぁー、勝ったーっ!」
    > 負けたのはマイコだった。

    ついてないなマイコちゃんww なんとなく主人公としてフラグが立っていた気もするぞ!

    > 「ひいー、水が欲しい水下さい水をくれ水頂戴水みずミズmizu I want water!」

    このセリフに腹筋崩壊。

    > 結局、ラグラージやダイケンキ達水ポケモンから水をたっぷり貰い、涙目になりながら辛さを1日かけて追い出すマイコだった。

    後引く辛さに、おつかれさんでした。

    > マコです。
    > 辛い木の実代表、マトマの実が題材の話。ロングの掲示板の連載、ポケリアと絡ませてみました。
    > ちなみに、私は辛い食べ物が嫌いです。そして、ヒロインであるマイコちゃん、結局じゃんけん4回負けました。

    まさかポケリアの方々とコラボしていただけるなんて…頭が上がりませんよぉ。
    本当ありがとうございます!

    > 悲惨な罰ゲームです。

    全くその通りでございます。

    > 【辛い食べ物に気を付けましょう】
    【モモンの実とかは食べてみたい】


      [No.1874] 彼女はきっと、メロメロ習得済み 投稿者:ラクダ   投稿日:2011/09/17(Sat) 18:27:43     62clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     ステータスは恐らく『特性:魅惑 老若男女関係なくメロメロになる』ではなかろうか、と想像。「ボク」さんに限らず、私も彼女の魅力にやられた一人です。

     日常にイライラしてささくれ立った心に、すうっと染み入る素敵なお話でした。例えると、疲れた時に飲む甘ーいミックスオレのような……いや、砂糖を追加した特製ココアのような……?
     あまりの甘さにニヤニヤが止まりません。どうしてくださるんですか(コラ

     リア充(リア獣?)なお話を堪能させていただきました、どうもごちそうさまでした!


      [No.1851] 【四コマ風味】 おつきみだんごっ! 投稿者:巳佑   投稿日:2011/09/13(Tue) 00:05:43     42clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    【今宵は満月なのです】

     空を見上げれば、そこにはまん丸なお月様。
     思わずウットリしそうな綺麗な姿に、わたしの足どりは怪しくなる。

    「あ、ミミロップ! ボーッとしながら歩くと危ないって!」
     丸刈りで背の高い殿方――ご主人の声にハッと気がついたわたしは足をピタっと止める。
     
     ふぅ〜危ない、危ない。
     わたしがご主人に「ありがとう!」の意味を込めて一鳴き上げると、ご主人はやれやれといった感じな苦笑いを向けてくれた。

     わたしはミミロップ
     お月様とお団子とご主人が大好きな、茶色いうさぎポケモンです。 



    【やっぱり月より花より団子?】

     今、私とご主人は十五夜の月見をする為に団子の準備をしていまして。
     ご主人がお団子を作って、それを縁側まで持っていってます。

     お供え物などをするときによく使われる木製の台に、お団子がピラミッド状に積み上がっています。
     先程みたいによそ見をすると、手元を狂わせて、お団子を取りこぼしてしまうから注意なのです。

     それにしても、なんて美味しそうなお団子なのでしょうか……。
     流石、ご主人様は器用です……ゴクリと喉を鳴らしてしまって――。

    「あ、コラ! ミミロップ! 勝手につまみ食いするなって!」



    【良い子の皆へ。食べ物で遊んではいけません。その1】

     縁側に団子を乗せた木製の台と、飲み物が入ったグラスが二本。
     それといくつかの小皿がありまして、それぞれしょうゆ、つぶあん、きなこが入っています。

    「好きなものにつけて食べればいいから」
     訝しげな瞳を向けたわたしにご主人はそう教えてくれます。なるほど。

     あぁ……美味しそうな団子なのですが、こう綺麗なまん丸を見ていますと、なんだかウズウズしてきます。
     何故かは分からないのですが……綺麗なまん丸な団子が雪玉に見えてきて――。

     あ、思い出しました! 雪合戦です!



    【良い子の皆へ。食べ物で遊んではいけません。その2】

    「こら! 食べ物を投げるなぁ!」

     わたしが放った最初の投球は見事にご主人の頬に当たりました。
     ご主人がキッとした鋭い目付きでこちらを見ながら口を開いたのと、わたしが手を滑らしたのはほぼ同じでした。

    「まったくぅ!? んむ? ☆%#*%%&!!??」 

     わたしの投げたお団子がご主人の口の中にスッポリ入っちゃいました、てへっ☆  



    【ぴよぴよ】

    「%&#☆!!」
     あれ、ご主人が胸元をたたいてなんだか苦しそうな顔をしていますね。
     もしかして……喉に詰まっちゃったとかですか!?

     あわわ! ど、どうすれば……!? 
     パニック寸前のわたしがとっさに取った行動は――。

     ご主人の胸元にピヨピヨパンチ一発!! 

     重い音が鳴った後、ご主人はうなだれ「あ、ありがとう」と呟いています。
     た、助かって、本当に良かったです……それと食べ物で遊んでしまって、ごめんなさい。



    【ようやく月見】

     ご主人がとりあえず飲み物を飲んで一回落ち着いた後、ようやく月見が始まりました。 
     
     まん丸なお月様を覗きながら、つぶあんをつけたお団子をもぎゅもぎゅ。

     お月様が完全に顔を出しているのも好きですが、途切れ途切れに流れて来る雲に薄らかかる姿も神秘的でとても好きです。

     顔を月に向けながら、手は団子の方に動かして――同じく団子に手を伸ばしたご主人の手に触れました。



    【月のお伽話】

     ドキリとわたしの胸が打ったのとご主人の手が離れるのはほぼ同じでした。
     ご主人は恐らく真っ赤になっているわたしの顔は見えておらず、お団子をもぎゅもぎゅしながら月を眺めています。

    「あ、そういえば月といったらこんな話があるなぁ」
     ご主人は月に顔を向けながら、わたしに語ってくれます。

    「昔ね、俺たちがいる星と月がケンカして、縁が切れそうになったときにミミロルやミミロップといったウサギポケモン達が美味しい団子を作って、二人(?)を仲直りさせたんだって」 

     わたし達の先祖様たちが……今、こんな素敵な夜をくれているんだなぁ……と感謝しながら団子にわたしは手を伸ばしました。



    【お伽話からの】

    「それで、団子は月とこの星を結んでくれたことから、団子……まぁ、餅だけに縁をくっつけるっていう縁起のいい食べ物になったんだよな」

     縁をくっつけてくれる、その言葉にわたしのお団子を持った手が一瞬止まります。

     今、食べているお団子もこうやってご主人との縁をくっつけてくれるものなんだと考えたら、胸の鼓動が早くなってきまして。
     わたしはご主人を呼ぶ為に一声鳴きました。

    「ん? なに? ミミロップ――」



    【月も顔を真っ赤にさせて】

     ご主人がわたしに振り返るのと同時にわたしはお団子を口に入れまして。

     一気にご主人との距離を縮めまして。

     ご主人の唇とわたしの唇が重なりまして。

     わたしはご主人のお口の中にお団子を置きました。
     縁がもっともっと強く結ばれることを願いながら。



    【きっと今夜はお楽しみで(以下略)】 

     ご主人は驚いた拍子にお団子を飲み込み、そして縁側の床に倒れ、わたしがご主人の上を覆う形に。

    「ミミロップ、まさか……」
     顔は真っ赤になってますし、もうばれてますよね。
     わたしのこの気持ち……ご主人と番になりたいほど大好きな気持ち。

    「でも、お前」
    「きゅう?」
    「確かオスだったはずじゃあ……」

     愛に性別なんて関係ありませんわ! とわたしは一声鳴きました。
     今宵はあの満月に見せ付けるほど……うふふ。



    【書いてみました】
     
     
     今夜20時頃、月見しながらみたらし団子でも食うかなと思い、近場のコンビニに行く途中で思いついた物語です。多分……掲載しても(主に後半)大丈夫のはず(汗)
     今宵の月が沈まぬ内に書かねばと思い、筆を急がせた所存でございます。
     最後のオチに驚いた方がいたら、嬉しい限りです。(ドキドキ)

     ちなみに月に関しての昔話は私の想像です。
     お月見団子のことを考えていたら、思いつきました。(ドキドキ)
     

     ありがとうございました。


    【月見団子と月見酒をもぎゅもぎゅして(以下略)】
    【何をしてもいいですよ♪】

         


      [No.1830] 【書いてみた】しろいぼうし 投稿者:キトラ   《URL》   投稿日:2011/09/05(Mon) 22:45:54     98clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5

     昼間だというのに鬱蒼としたウバメの森は、すでに薄暗かった。それでも何かを探すように緑のバンダナが動く。それを身につけているのは小さな女の子。緑色は森にとけて野生のポケモンから身を守るため。そしてその後ろでは、ピンク色のエネコが主人と一緒になって探していた。
     ポッポが横切り、キャタピーが葉を食べている中で、ひたすら探していた。時には上を向いて、探し物がないか確かめて。その顔は焦っている。日がくれる前に家に帰らなければならない。けれど探し物はいくどもいくども見つからない。
     ふと上を見上げた。ウバメの森の奥深く。来たことのない、人の通る道を大きく外れてしまったところ。後ろを振り返っても、横を見ても知らないところ。どちらに行けば元の道に戻れるのかも解らない。早起きなホーホーの鳴き声が聞こえた。
     薄暗い道、ホーホーの声。心細さに感情が溢れそうだった。大声を出しても誰も来ない。トレーナーだってこんな時間は滅多に通らない道。助けを求めることは不可能。勘で歩くけれど、いってもいっても覚えのある道は見つからない。足は疲労し、木の根に躓く。派手に転げ、落ち葉が体中につく。
    「うわーーーん」
    転げたことで感情の抑えが壊れた。その場でエネコを抱えて泣き出す。野生のポケモン達がその大声から逃げるように離れる。ただ一つの足音以外は。

    「どうしたのかな、緑猫(みどりねこ)ちゃん」

    優しくて明るい声に顔を上げる。目の前にいるのは女の人。なのだけれども。涙のせいなのか、輪郭がぼんやりとしている。いや違う。ぼんやりとしているのは薄く光っているようだった。肌が白くて綺麗な人。泣く子も黙る美しさ。というより奇妙さ。なんというか、不思議な絵画の世界に迷い込んでしまったかのようだった。
    「どうしたのかな、緑猫ちゃん。お腹すいたのかな?」
    にっこりと微笑まれても、言葉が出て来なかった。迷ったのと疲れたのと探し物がみつからないのと、全て言いたかったのだけど、緑猫から出てくる言葉はそうじゃなかった。
    「お……ねえちゃんだれ?」
    「わたし?ふふふ、教えなぁい」
    今まで会ったことのないようなふわふわとした手応えのない会話。次に出てくる言葉が見つからずにしばらくその人を見た。
    「そんなに見つめられたら困っちゃうなぁ」
    語彙がそんなに無いので、形容のしようがない。一つだけ言えるのは、こちらの会話をのらりくらりかわす、手強い相手だということ。
    「……わたし、みどりねこじゃないもん」
    「かわいい緑のバンダナして、猫みたいだよね。だから緑猫ちゃん。連れているのはエネコかな?」
    「そ、そうだよ。この前、ホウエン地方から来た人がくれたの」
    エネコはその人の足元によって、匂いをかいだりしていたが、やがて不安になったのか主人の元へと戻って行く。
     変な名前を勝手につけられた。けれど緑のバンダナの巻き方が猫の耳のようだと言われたこともないわけではない。だが名前も聞かずに見た目で名前をつけるなんて。
    「……おねえちゃん誰なの?」
    「ないしょ。ここには寄り道しに来たの。これからヒワダの方に行くの」
    かみ合ってない会話に混乱。けれどもヒワダに行くと聞いて、思わず立ち上がる。
    「おねえちゃんヒワダ行くの?あのね、わたしコガネシティに行きたい!ついていっていい?」
    「反対方向だけど、いいのかな?」
    「途中まででいいの!帰る道が解らなくて、来た道に戻れれば後は帰れるから!」
    帰れるなら何でも良かった。人間じゃなくても良かったのである。
    「緑猫ちゃん、知らない人はそう信じちゃダメよ。この暗さならヤミカラスだって飛んでるんだから。ついていったら迷って食べられちゃうよ」
    「でもお姉ちゃんはそんなことしないから大丈夫だよ」
    「何を根拠に言うのかな?」
    「解らないけど、お姉ちゃん悪い人じゃないもん!」
    「緑猫ちゃんは疑うことも覚えようね。でもいいよ、途中までね」
    その一つ一つのしぐさがやはり不思議だった。振り返り、歩き始める瞬間。踏みしめる落ち葉の音が自分より小さい。歩くたびにエネコがむずむずするのか落ち着かない様子で走り回る。
    「あの、おねえちゃん」
    「疲れたのかな?」
    「ううん、あのね、白いぼうし、なかった?」
    「ぼうし?見てないよ。探してるの?」
    「ずっと探してるんだけど、見つからないの。大切なものなのに」
    「大切なものはね、手放しちゃだめよ」
    「うん……」
    「どこで無くしたのかな?」
    「それが解らなくて。気付いたらなかったの。でも昨日、ウバメの森にブリーの実を取りに来たからその時しか考えられなくて。どうしよう、明日のために買ってもらったのに」
    「明日?どこかへ行くの?」
    少しだけ、その質問に食いついてきた。けれどこの不思議な人が今さら何をしようが気になるわけもない。
    「行くよ!明日は学校でラジオ塔の見学に行くんだ!展望台まで行くんだよ。いつもは帽子の代わりにバンダナだけど、せっかく行くからって私のお姉ちゃんに買ってもらったんだ!」
    少し調子を狂わされた。そのまま無言で歩いて行ってしまったから。少し速度を早めたその人に、おいてかれまいと走る。
     突如、歩みを止める。その少し後ろで立ち止まった。
    「緑猫ちゃん、明日は絶対に学校お休みしちゃいなよ」
    突然のことで、言葉が出ない。楽しみにしていたことなのに、休めと言われて。
    「ね?」
    「明日は楽しみにしてたから、行かなきゃ。友達も楽しみにしてるから」
    「そうかあ。でもね、本当明日はラジオ塔は見学するところじゃないんだよ。お家に帰ったら、明日は休んだ方がいいよ」
    「なんでそんなこと言うの?」
    「なんでかなあ、緑猫ちゃんだから話したくなっちゃったのかもね。ほら、ついたよウバメの森の道」
    薄暗いけれど見える。森の神様を奉っているほこらがあって、遠くには低い柵のある池も見えて。
    「ありがとう!おねえちゃんのおかげで……おねえちゃん?」
    振り返ってもそこには何もなかった。淡く光る綺麗な人。薄暗いウバメの森ではすぐに見えるはずなのに、何も見えなかった。
    「エネコ知らない?」
    エネコは遠くを見つめていた。主人に呼ばれていることを知ると、エネコはすぐに返事をして寄ってきた。何かを持って。
    「何拾ったの?みせてー!」
    エネコが持っていたのは小さなつぶつぶ。よく見えないけれど、石ではなさそう。
    「何かの、タネかなあ?どこで拾ったの?」
    この辺りでみないタネ。家に帰ったら植えてみようと、ウバメの森を後にした。エネコもついていく。一回だけ、森の方を振り向くと、短い声で鳴く。そしてやたらと速い主人の後を追いかけた。



     あのお姉ちゃんは森の神様の使いだったのかな。
     その次の日、ラジオ塔が爆破された事件が、朝からニュースでやっていた。そのおかげで見学は中止。先生たちは何も被害がないうちで良かったといっていた。クラスの友達も中止になって残念そうだった。
     けれど、あのお姉ちゃんの言う通りじゃなかったら、どうなっていたのだろう。私には全く解らない。
     あれ以来、私を緑猫と呼ぶお姉ちゃんには会わなかった。ウバメの森で待っていても、ヒワダタウンに行っても。不思議な綺麗な女の人を、トレーナーは誰一人見ていないといった。
     
     そうそう、あの時エネコが持っていたタネを植えてみた。庭は狭いからほんの隅っこだけど、花が咲いたんだ。図鑑で調べたその花。
     ホウセンカ


    ーーーーーーーーーーー
    ゴーヤロック信者が、一生懸命ご神体を彫った結果のようです。
    【ごめんなさい】【石を投げないでください】【食べないでください】【お好きにどうぞ】


      [No.1809] 少年の夏(後篇) 投稿者:久方小風夜   投稿日:2011/08/29(Mon) 17:43:08     214clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:少年の夏】 【マリモねえさん】 【ちなみにこれ】 【現在書きなおし中です】 【あしからず

     翌朝、純はラジオ体操をさぼった。
     朝食を食べ、部屋で映りの悪いテレビを見ていると、窓ガラスを叩く音が聞こえた。
     確認するまでもなく、頼光と地鉱だった。純が窓を開けると、2人はすぐにそろって頭を下げた。

    「ごめん! 俺ら、ほんまに何も知らんかったんじゃけど、ジュンが隠しとったこと……」
    「ジュン嫌がっとったのに、僕ら何も考えんとぉ……ほんまにごめん!」

     ああ、本当に必死なんだな、と純は思った。最近はだいぶ馴染んできたように思われた標準語が引っ込んで、初対面の時のように訛りが全開なことでもそれがわかる。
     いいよ、と言おうとして、純は1回大きくため息をついた。

    「……僕もごめん。2人には全部、ちゃんと話すよ。あがって」


     頼光と地鉱は庭に靴を脱いで、縁側から直接純の部屋へ入ってきた。玄関から入れないと怒られるかな、と純は一瞬考えたが、まあいいだろう、と結論付けた。
     それぞれ顔を向かい合わせるように座った。頼光はあぐらをかき、地鉱は体育座りをし、純は背筋を伸ばして正座した。
     3人の間に、一瞬気まずい空気が流れた。その時、こんこん、と引き戸を叩く音がした。

    「あきちゃん、よりちゃん、ちぃちゃん、入るよ」

     純の祖母が、冷たい麦茶とコップを3つ、お盆に載せて部屋に入ってきた。祖母はいつものにこにことした顔でお盆を3人の真ん中に置き、部屋を出た。
     大きな声も出してないのによくわかったな、これも一種の霊感なのだろうか、と純は考えた。

     ガラスのコップに麦茶を注いで、頼光と地鉱に渡した。2人はありがとう、と受け取り、ぐいと一気に飲んだ。
     純も麦茶に口をつけた。香ばしい香りが鼻に抜ける。きんとくる冷たさが、エアコンのない部屋に嬉しい。


     3人それぞれがふう、とひと息ついたところで、純は切り出した。

    「僕、幽霊が見えるんだ」

     頼光と地鉱は何も言わない。純は深呼吸をして、続けた。


    「生まれた時から、普通の人と同じように、僕には幽霊が見えた。家にいると、お父さんがいて、お母さんがいて、他の知らない人たちがいた。外に出るとわからないね。みんな知らない人だから、どの人が幽霊でどの人が生きてる人間なのか、小さかったから区別がつかなかったんだ」

    「最初に気付いたのはお母さんだったよ。僕が家の中でも外でも、誰もいないところで誰かと話をしたりしていたから。お母さんは幽霊なんて信じないっていう人だったから、僕のことを気味悪がってた。でも僕は分からなかった。みんなにも見えてると思ってたからね」

    「小学校に上がって少ししたくらいの頃かな。僕はようやく、僕にしか見えない人がいるらしいってことに気がついた。じきに、人間と幽霊も何となく本能的に見分けられるようになった。でも、気づくのが少し遅かったんだ。お父さん、お母さん、クラスのみんな、近所の人たち、みんな僕を気味悪がってた」

    「気がつくと僕は独りぼっちだった。僕に関わってくる人たちは、僕を気味悪がって遠ざけるか、僕を傷つけようとするか、どっちかだった。近所の人たちは道ですれ違うたびに陰口を叩いてきた。クラスメイト達は、蹴ったり、殴ったり、僕の持ち物を壊したりしてきた。お父さんとお母さんは幽霊の存在なんて断固認めなくて、僕を病気だと言って病院に入れようとした」

    「ポケモンを始めたのは、カウンセリングの意味合いもあったんだ。病院の先生に勧められて。バトルで強くなったらみんなも見直してくれるかなと思って、僕はがむしゃらに頑張った。……でも、無駄だった。結局僕は独りぼっちだった」

    「でも、幽霊さんたちはみんな、僕に優しかった。時々ちょっとしたいたずらをしてくる人たちはいるけど、でもやっぱり、優しかった。幽霊ってね、みんな寂しいんだよ。そこにいるのに、誰にも気づいてもらえないから。だからみんな、僕が『見える』ことをとても喜んでくれたんだ」

    「わかってたよ、このままじゃいけないって。僕たちとは違う世界にいるんだから。それでもやっぱり、僕は生きている人間より、幽霊の方が好きだった」

    「駄目だったんだね。入っちゃいけないところまで、行っちゃったんだね」

    「幽霊ってね、心がむき出しなんだよ。だから、周りの影響を受けやすいんだ。特に、マイナスの感情の影響を。霊の中には、この世のマイナスの心をどんどん吸収して、周りによくない影響を与える霊……悪霊になってしまう人がいるんだ」

    「そうなるのを防ぐために、魂を回収していくポケモンがいるんだって。だけど、僕はそれが耐えられなかった。だって、僕は幽霊が大好きだったから。生きている人間なんかより、幽霊が好きだったから」

    「だから僕は、そのポケモンを倒した。それで僕は幸せになるはずだったんだ」

    「僕と仲のよかった幽霊の1人に、兵隊さんの幽霊がいてね……。いつも銃剣を背負ってた。霊が悪霊になってしまうことがあることも、魂を回収するポケモンの話を教えてくれたのも、教えてくれたのはその人だった。……きっと、気づいてたんだろうね」

    「自分が、悪霊になりかけていたことに」

    「この傷は、僕が兵隊さんと最後に会った時につけられたものだ。僕が最後に見た兵隊さんは、兵隊さんじゃなかったね。化け物だったのかもしれないし……もしかしたらポケモンだったのかもしれない」

    「気がついたら病院だった。7日7晩生死の境を彷徨ってたらしい。残念なことに両親も幽霊の存在を認めざるを得なくなって、お母さんはばあちゃんに泣きついたんだ。……で、元の学校でいじめもあったことだし、怪我の静養も兼ねて、僕はここに引っ越してきたというわけ」


     話を終え、純は麦茶を飲んだ。随分とぬるくなっていた。
     しばしの沈黙の後、頼光が麦茶をひと口飲んで言った。

    「……そうか、ジュンは幽霊が見えるのか」

     純は頷いた。
     秘密をばらせば、2人は離れていくだろう。今までの人たちと同じように。純はそう思っていた。

     しかし、頼光と地鉱の答えは予想と全く異なっていた。

    「すっげぇ! ジュンかっこいいな!」
    「幽霊って本当にいるんだ! 僕も見て見たいなぁ!」

     2人があまりにも目を輝かせていうので、純は少し拍子抜けしてしまった。

    「……気持ち悪いだろ? だって、自分には見えないモノを見えるって言ってるんだよ?」
    「何で? ジュンがいるって言ってるんだから、いるんだろ?」
    「いないって思うより、いるって思う方が面白いよね。もー、そう言うことなら早く言ってくれればよかったのに」
    「本当だよ! 黙ってたなんてずるいじゃないか! 今度幽霊に会ったら俺らにも教えてくれよ!」

     そう言って頼光と地鉱はきゃっきゃとはしゃいだ。純は呆気にとられて2人を見ていた。
     幽霊の話をして、離れていかなかった人は初めてだった。それどころか、逆に喜んでいる様子だった。

     ぼろっ、と純の目から涙がこぼれた。

     がらりと引き戸が開いた。純の祖母がいつも以上のにこにこ顔で、お昼だよ、と桶に入ったそうめんを持ってきた。




     昔から純にとって、8月は最も楽しい時期で、最も憂鬱な時期だった。
     2週目に入った頃から毎年、普段とは比べ物にならないほど幽霊が増える。言うまでもなく、お盆だからだ。

     昼下がり、純は縁側に座って麦茶をすすっていた。
     エンジンの音がした。大型バイクにまたがった男性が、部屋を突っ切って庭へ出ていった。純は気にすることなく、麦茶をすすった。
     先祖がキュウリの馬だか何だかに乗って帰ってくるのなんて嘘だ、と純は思っている。
     幽霊の世界は意外とフリーダムらしい。徒歩で帰ってくる人もいれば、ポケモンに乗って帰ってくる人もいるし、先程のようにバイクに乗ってくる猛者もいる。純が今までに出会った中で最も衝撃的だった人物は、真っ赤な左ハンドルのオープンカーを華麗に運転する、ブランド物のサングラスをかけた武士だった。

     帰ってきた人たちと話をするのが、純は好きだった。その人の生きていた時の話を聞くことが一番楽しかった。
     あの世の話も、聞けば少しは教えてくれた。こちらの世界とあまり変わりはないらしい、と色々な話を総合して純は結論づけた。

     ただ、だからこそ、周囲の人間はこの時期は特に純に対して冷たかった。



     しかし、今年は違う。
     クラクションの音がした。白い軽トラックが純の家の前に停まっている。

    「ジュンー、燈籠届いたから配りに行こうぜ」

     頼光が軽トラックから降りてきて言った。荷台には、1.5メートルほどの竹の先に、六角錐の骨組みが取り付けられ、その面には赤、黄、紫など色とりどりの紙が貼られているものの束の束が積んであった。
     盆燈籠と呼ばれるそれは、この地域でお盆の墓参りの際に持参する仏具の一種で、墓参りの際に墓の近くに立てる。
     純が越してきた地域の人々は、お盆に野菜の牛馬も作らないし、送り火もしないし、夏祭りはあるが盆踊りはない。唯一やることが、墓参りをし、その際に盆灯篭を墓の周囲に立てることだ。
     周辺地域ではスーパーやコンビニやフレンドリィショップ、果てはポケモンセンターでまで売っているが、純の家から一番近い商店まで、車で行っても15分はかかる。若者ならまだ平気だろうが、この地域の8割以上を占める老人には酷な道のりである。

     そういうわけで、まとめて注文をとり、若人がそれぞれの家へ売り歩く方法を、この集落では採用した。若人といっても働き盛りの年代は田畑の仕事で忙しいので、駆り出されるのは夏休み真っ盛りの小・中学生である。
     燈籠を運んできたのは頼光の伯父だったが、配るのを手伝ってはくれないらしい。荷台から燈籠の束を下ろすと、頼光だけ置いて軽トラックを走らせていった。
     純は燈籠の数を数えた。配る先が8件で、本数が全部で37本。

    「ちぃは?」
    「今日は山だってさ。ジュン、アブソルの力借りようぜ。重すぎてやれんわー」
    「わかったわかった」

     アブソルは純の部屋の中から、頼光の抱える燈籠の束を見、純の顔を見て、こんな暑い中行くのか、とでも言いたげな目線を送ってきた。頼むよ、と純と頼光が言うと、しょうがないなあ、という様子で庭へ降りてきた。
     燈籠の束の束を3分割して、1つをアブソルの背中にくくりつけ、残った2つを純と頼光がそれぞれ担いだ。分割しても1つの束が12本ある。

    「えーっと、どうしようか」
    「近いところから配っていけばいいんじゃないか? 一番遠いの俺ん家だけど、置いてってるはずだし」
    「じゃあ黒塚さんの家からか」
    「あの家車あるじゃん……自分で買いに行けよ全く……」
    「そうだね。重いもんね」

     ため息と愚痴をこぼしつつ、2人と1匹は荷を軽くすべく歩き出した。
     2人を追い抜いて、スクーターに乗った髪の長い女性が、青々と茂る田んぼを突っ切っていった。こういう時は僕も幽霊になりたいなぁ、と純は思った。



     最後の1束を売り終わった頃、2人は両手にビニール袋を抱えていた。
     おかきの小袋。商店街で売っている利休饅頭。稲荷寿司。ピーナツの乗ったせんべい。チョコレート。茶の間に置いてあるお菓子などの一部が詰め込まれている。周る先々でもらった結果だ。
     抱えている灯篭が減るたび、受け取った代金と袋の中身が増えていった。まだまだ子供の2人は素直に喜んだ。
     どこかで遊ぼうか、と相談していると、アブソルがふいに顔を上げた。

    「? どうしたの?」

     ぽつり、ぽつりと雨粒が落ちてきたかと思うと、大粒の雨が勢い良く降り始めた。
     2人は慌てて雨宿りできる場所を探した。近くに家はない。木の下などほとんど役に立たない。
     アブソルが駆けだした。見ると、古びた石の鳥居がある。

    「そう言えば、ここなら雨宿りできる場所があるな。廃墟だけど」
    「……何か変な感じがするけど、まあ、いいや。行こう」


     石段を登りきると、朽ち果てた本堂と、屋根の付いたやや新しい舞台が目に入った。アブソルはすでに参道を登り切って、本堂の屋根のある場所で2人を待っていた。
     頼光は本堂と舞台に向かって一礼し、靴を脱いで上がった。純も同じようにして上がった。
     ようやく屋根のある場所に着いて、頼光と純はほっと息をつき、靴下や袖をしぼった。

    「神楽舞台だけど、もうずっと使ってないし、いいだろ」
    「神楽……そうか、ここで神様に捧げる舞いを舞っていたんだね」
    『まぁ、もう何十年と前の話だがな』

     突然、2人の知らない声が聞こえてきた。アブソルが屋根の下から出てきて、低く唸っている。
     2人の後ろに、金色の体毛を身にまとった、9つのしっぽの狐がいた。頼光は飛び上がった。

    「こっ……このキュウコン、いつの間に!?」
    「何驚いてるんだライコー。最初からいたじゃないか。……ああ何だ、幽霊か」
    『ほう、そっちの方は見えていたのか。大した奴だ』
    「キュウコンがしゃべったあぁぁぁぁぁっ!!」

     頼光はまた飛び上がった。アブソルがキュウコンに吠えた。
     純だけは平然としていた。純はポケモンの幽霊もこれまでに何度も見たことがあるし、人間の言葉をしゃべるポケモンの幽霊も見たことがある。幽霊の世界は意外とフリーダムらしい。
     キュウコンは長い尾をゆらゆらと揺らし、平然としている純に向かって言った。

    『貴様、なかなか強い力を持っているようだな。世が世なら、私を封印した安部何とかという陰陽師ともはりあえたかもしれん』
    「気のせいだよ。僕はちょっと幽霊がよく見えるだけの一般人さ」
    『なるほど。そこのアブソルは貴様のか。そんなに敵意を向けることもあるまい。雨に打たれて寒いだろう、こっちに来るがいい』

     キュウコンがそう言ってもアブソルは動かなかったが、純がおいで、というと、キュウコンをにらみつけながらも舞台に上がってきた。

    『ふむ、貴様は半崎の次男坊だな。貴様の家は昔からよく知っている』
    「何だ、お前ここの神社の神様なのか?」
    『その通り、私は神』
    「違うよ。ただの幽霊さ」

     キュウコンの言葉を遮って純が言った。

    「たまにいるんだよね、勘違いしてる奴。まあ確かに、一般人のライコーにも姿が見えるってことは、それなりに強い力を持ってるってことだろうけど。まぁでもよく言って妖怪だね」
    「何だただの幽霊か。いやまぁ幽霊も初めて見るけど。でもただの幽霊か。何か残念だな」
    『怒るぞ』

     くしゅん、とアブソルが小さくくしゃみをした。それにつられてか、純と頼光もくしゃみをした。
     冷えてきたようだな、とキュウコンは言うと、尾の先に小さな青白い炎を灯した。

    「お、『おにび』か?」
    『間違ってはいないが、ここはぜひ狐火と呼んでもらいたいところだな』
    「やべぇあったけぇ。Tシャツ乾かそう」

     頼光はシャツを脱いで炎にかざした。純は少しためらって、同じようにTシャツを脱いだ。
     キュウコンはそれを見て、なるほど、力がある者も苦労するようだな、と小さくつぶやいた。

     しばらく火にあたって2人と1匹の全身は乾いたが、雨はまだ降りやまない。止むまで待つか、と頼光はあくびをした。

    「さっきもらった菓子でも食って、のんびり待とうぜ」
    「賛成」
    『ふむ、では私はこれで』
    「稲荷寿司あるけど、食べる?」
    『頂こうか』

     差し出された稲荷寿司に、キュウコンはぱたぱたとしっぽを振った。
     狐が油揚げ好きっていうのは本当なんだな、と頼光は純にささやいた。


    『半崎の。今日はいつも一緒にいるあの小僧はいないのか』
    「ちぃのことも知ってるのか。そう言えば昔はよくここで遊んでたっけ。お前あの頃からいたのか?」
    『私はもっと昔からいるよ。貴様らの祖父母がまだ生まれていない頃からな』
    「でもここ何回も来てるけど、お前と会うのは初めてだ」
    『あー……あっちの小僧はなぁ……。何というか、奴の守護霊とは相性が良くないのでな……』

     出たくとも出られないんだ、とキュウコンは言った。
     稲荷寿司は1つ残らずキュウコンに持って行かれたので、純はピーナツの乗ったせんべいを開けた。湿気ていた。雨のせいだけではなさそうだった。
     最近ようやくこの周辺でも頻繁に目にするようになった500ミリリットルのペットボトルを片手に、頼光がたずねた。

    「ところでお前、名前とかないの?」
    『金毛白面九尾の狐(こんもうはくめんきゅうびのきつね)……と呼ばれていた頃もあった』
    「長っ」

     純は冷静につっこんだが、頼光はぴたりと動きを止め、キュウコンの顔をまじまじと見つめた。

    「お前……まさか、『玉藻前』?」
    『ほう、さすが半崎の。よく知っているようだな』
    「たまものまえ?」
    「その昔、大陸で大国を2つも崩壊させ、日本にやってきてもお上に取り入って、悪行を働いた末に退治されたって言う超有名な伝説の狐……の化けた時の姿」
    「なるほど。やっぱり妖怪か」
    『妖怪って言うな』

     どうりで頼光にも姿が見えるわけだ、と純は心の中で納得した。伝説に残るくらいのポケモンならば、そこらの幽霊と比べ物にならないくらい強い力を持っていても不思議ではない。
     純は数え切れないほど幽霊とその類のものは見てきたが、有名な伝説にまでなっているのは初めてだった。
     すげぇなぁサインほしいなぁ、と頼光は目を輝かせて言った。

    「ってことはお前、人間に化けられるのか?」
    『朝飯前だ』
    「やっぱり玉藻前ってすっげぇ美人だったのか!?」
    『当たり前だろう。わたしが化けているのだぞ。私が思い描く最高の美女になるわ』

     ふふん、とキュウコンは鼻を鳴らした。
     すげーすげー、と頼光は興奮して言った。

    『見たいのか?』
    「見たい!」
    「まぁどっちかというと見たい」
    『ふふんいいだろう。心して見るがよい!』

     キュウコンは立ち上がり、その場でくるりと回った。
     身体が一瞬金色の尾に隠れ、次の瞬間こっちを向いていたのは紛れもなく人間だった。
     長い黒髪に白い肌。赤い袴に十二単。齢15、6ほどの女性の姿だった。
     おお、と純と頼光は拍手をした。

    『どうだ、美しいだろう』
    「おぉー、確かに美人! きれい!」
    「でも古いよね」

     純がさらりと言った。その場の空気が一瞬固まった。

    『古い……だと……?』
    「だって十二単なんて現代で着てる人いないじゃん。霊界に行かずにこっちに留まってるから感性が古いままなんじゃないの? 今は侍が1200ccのバイクを乗り回す時代だってのに」
    「何それ詳しく」
    『うむむ、死んでからあちこち放浪していたせいで時代の流れに取り残されてしまったか。何たる不覚』

     玉藻は悔しそうに唇を噛んだ。
     とりあえず洋服にすればいいんじゃないかな、と純は言った。

     そこから、純と頼光による玉藻改造計画が始まったが、詳しいことは割愛する。



     日の光が差し込み始めた。雨が止んだようだ。
     純と頼光はすっかり乾いた靴下と靴を履き、お宮の境内へ降りた。

    「やー、何とか止んだなぁ。よかったよかった」
    「止まなかったらどうしようかと思ったよ」

     アブソルが純の脇腹に鼻先をすりよせた。純はアブソルの頭を撫でた。
     純と頼光は舞台の上に視線を向けた。

    「それじゃ玉藻、また来るよ」

     舞台の上には、長い黒髪に、金糸の刺繍が入った白いワンピースと赤い上着を纏った、とてもかわいらしい少女が立っていた。

    『好きにするがいい』
    「わかった。稲荷寿司は持ってこない」
    『何……だと……?』

     玉藻は心底絶望したような表情を見せた。純と頼光はけらけらと笑った。

    「冗談冗談。じゃあまたね」

     二人はキュウコンに手を振って、石段を下りた。
     途中、頼光は振り返って境内を見たが、少女の姿もキュウコンの姿もすでに見えなかった。



     空は茜色に染まり始めていた。赤い空にヤンヤンマの影が見える。

    「ちぃにも今日のこと教えないとな」
    「見えるかどうか分かんないけどね。守護霊の相性がどうたらって言ってたし」
    「うーん残念だなぁ。あっ、アブソル」

     アブソルが駆けだした。
     赤い太陽を背負った、小柄な影が見える。リュックサックを背負っているようだ。

    「ライコー! ジュンー! ただいまー!」
    「あっ、ちぃだ! おーい!」

     ちぃが道を走ってきた。純と頼光も駆け寄った。

    「おかえり! 雨大変だったろ?」
    「うん。近くの崖が崩れてさ、もう死ぬかと思ったよーあはははは」
    「ちょ、それって笑いごとじゃないよね?」

     生きてるから大丈夫だって、と地鉱は笑いながら言った。
     ちぃはいつもこうだからなぁ、と頼光は呆れて言い、笑った。

    「ねえ、今日の夜花火しようよ。花火。昨日母さんが買ってきたんだ」
    「いいな! 俺らも今日のこと色々話したいし!」
    「じゃあ今日の夜、ちぃの家に集合だね」
    「俺スイカ持ってく! スイカ!」
    「スイカならうちにもあるよー」
    「俺んちの中身が黄色いんだぜ!」
    「マジで?」
    「虫よけスプレー余ってたっけなぁ」
    「俺いっぱい持ってる」
    「あっ、一番星だ」
    「えっどこどこ」



     3人と1匹の影が伸びる。
     早くも青い穂をつけた早生の稲が、夕の風に吹かれて揺れていた。






    ++++++++++The end


    やまなし。おちなし。いみなし。田舎帰りたい。


      [No.1786] 地上に海。 投稿者:キトラ   《URL》   投稿日:2011/08/25(Thu) 18:21:23     83clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5

    その日、私は旅行帰りだったのである。船旅で、9時半頃下船の予定。船では散々遊び、ルーレットなんて覚えて帰ってきやがった。
    そして、スーツケースを親に預け、一人集合場所というかポケセン東京のある駅に向かった。
    そのため、事前に遅れると連絡していたのだが、10:30集合だったのだが、到着は10:15頃。
    普通に集合間に合ってますよ奥さん。

    ゴーヤさんに掛川の借金を返し、
    るっきーには夏コミあつかったねーーーと返し
    クーウィさん登場してエアコンの効き過ぎた屋外でべらべら喋っていたりして。

    そのうち。
    「レイニーさんと鳩さんは遅刻だそうです」あれ、前回も・・・・?


    誰が誰だか解らないため、点呼とられて、ポケセン東京に向かう。
    ポケセン東京についた目的はただ一つ。
    ブラックシティを廃墟から脱出すること!誰かホワイトフォレストの住民をゆうk、じゃなくて連れてこようと入り口前でがんばっていた。
    この頃、現マサポケチャンピオンのりえさん登場。

    そして、昼はカレー。
    となりにいたもっすんは、大学の時の後輩にとてもよく似ていて、いじり方まで同じで良かったとはおもわなかっt

    前にいたみーさん、辛さ50倍を注文する。なぜかと聞けば
    「長老に挑戦したかった」
    長老・・・・・
    味見させてもらいましたが、舌がしびれて、辛さがずっと残ります。それを完食したみーさん、やはり長老の弟子。

    実は、茶色さんとこまさんの区別が微妙につかなかったのですが
    両替してくれたいい人で、インターネットつながらないと嘆いていたのが茶色さん。
    すげえプログラマーなのがこまさん。
    で、あってるだろうか


    そして、昼食終わってラウンジのようなところでわいわいがやがや
    ここでひさかたさんからぱちももこ(パチリス)とぱてぃ(ムックル)、それぞれ色違いを貰う。
    きとら「うひょひょ、ありがとうございます!」
    ひさかたさん「ポケトレ好きなだけですから」
    ポケトレで粘れる根性は素晴らしいです。

    わいわいがやがやしていると、見慣れた男性がいる。
    しかしいつもと違う
    そう、それは和服を着たマックスさんであった。
    その渋さと顔つきで、異常なほどマッチしていたのである。というか、成仏屋(脱出ゲームのキャラ。当日のマックスさんそのもの)にしかみえない。

    あと誰かにドイツ語夢イーブイ雌をあげた気がするが、その後がたがたしていたのであんまり覚えてない非道。
    あの時、うちのブラックと通信した方は、ユナイテッドタワーのオーストリアのところが開いてるはず。


    それからカラオケに行くのですが、男性陣が恐ろしいことになっていました。
    でも、みおくんはとても似合っていたのです。
    そしてマックスさんも似合っていたのです。
    後の人は、申し訳ありませんが記憶にございません。
    見たい方は写真とってた人が何人かいるから見せてもらおう!誰がとっていたかまでは把握していない!

    カラオケで、ゴーヤさんと趣味が一緒なことが判明。
    カラオケで、クーウィさんに「まさにこんな世界観ぴったり」と言われた歌。うーん
    私の世界は ちゅうにせかい のようです。漢字は好きに当てはめてください。
    マサポケオフは歌うまがかなりいる。
    久方さん
    みおくん
    みおりん
    この人たちの歌は聞かないと損だ。そう思った。
    そしてレイニーさんは期待を裏切らない人だと確信した。

    もっすんを見送って、飲み屋にうつったらそこはりえさんの天下だった。
    もう、ついていきます姉御!
    と思ったら、私より年下だったorz

    てこりん、かわいいギャルなのだが、始まってからかなりおかしい。
    あれ、まだ2杯目?3杯だっけ?でも早くないか、からみはじめるのは!!!!
    そして、クーウィさんが鳩さんとゴーヤさんに囲まれて、まさかの本を出す作戦を!!!!
    買うよ!出たら絶対買うよ師匠!
    けれどクーウィさんに断わられてしまった。

    さらに衝撃事実が二つ発覚するのだが、それはオフに出ていた人たちの秘密にしておこう。

    最後に。
    「明日ひさかたさんと有楽町の焼き鳥屋行くけど誰か行くか!?」
    の声に集まったるっきー、みーさん、りえさん、てこりん、マックスさんで、有楽町のガード下へ行くこととなった。


      [No.1763] 夏コミの本について 投稿者:No.017   投稿日:2011/08/18(Thu) 12:14:55     48clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    No.017です。
    宣伝失礼いたしまする。

    夏コミに来れなかった方で、本が欲しいという方、いらっしゃいましたら当日もっていきますので、
    ご連絡くださいませ。

    対象となる本
    「Rainy Days」 500円
    「クジラ博士のフィールドノート」 500円
    「ポケモンイラスト集 STREET」 800円


    なお、586さんの「プレゼント」についてはゴーヤさん本人に確認してください。
    人数分もっていくらしいことはおっしゃっていましたが。
    よろしくお願いいたします。


      [No.1742] 黄昏夫人と三人の胡乱な娘 投稿者:紀成   投稿日:2011/08/12(Fri) 16:19:34     57clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    紀成と旅行に行ってから数日後。私はマダムに言われていた物を預けに黄昏堂のドアの前に立っていた。本人が望んでいた物かどうかは分からないが、私の想像力ではこれが限界だ。
    夕暮れだが夏なので暑い。ジリジリと太陽の光が髪を焼いてくる。
    私は深呼吸すると、ドアを一気に開けた。

    「…」
    「…」
    一人の女と目が合った。マダムじゃない。下手すれば十もいかないんじゃないかと思うくらい、幼い子供だ。白黒ボーダーのマフラーに、セミロングの髪。色は銀のような、白のような。
    高級感溢れる絨毯に寝そべり、ドアの邪魔になっている。目は虚ろで、何も映していない。簡単に言えば、目が死んでいる。
    だが体自体が死んでいるのではないことは、すぐに分かった。目玉が時折動く。そして何故か彼女の周りには皿が散らばっていた。割ったような跡がある物もある。
    ―いや、これはどう見ても『歯型』だ。まさか齧ったのか?
    このまま考えていても埒が明かないので、私は彼女を移動させた。意外に重い。力を抜いているからだろうか。
    そうしてやっとドアを閉めた私の目にもう一人、異様な行動をしている人影が入って来た。商品のサンプルが掛けられている壁に向かって、ずっと鼻をつけている。全く動かずに。右手にはステッキとそしてさっきの女と同じマフラー。
    「なんだよこいつら」
    「…」
    案の定、返事がない。面白いこと好きのカゲボウズがそっと様子を伺おうとしたが、どうやら変な雰囲気を感じたらしい。気味悪そうに戻って来た。君が言えたことじゃないと思うんだけど。
    「何?生きている感じがしない?」
    デスカーンが黒い腕をニュッと伸ばして彼女の頬を突いた。推理漫画ならここでドサッという音と共に仰向けに倒れるものだけど、全く倒れない。ちゃんと力は入っているようだ。
    「生きてるよ。多分」
    多分、と付け足したのはここが普通の場所では無いからだ。マダムの術と扱う薬にかかれば、錬金術や神の前で禁忌とされてきた人体練成や死者蘇生も簡単に出来てしまう。
    そして最後に私が見た物は、いつも通り椅子に座り紅茶の味と香りを楽しむマダムと、その側でやはり寝転がって大量のタオルに囲まれている女だった。こちらも目が死んでいて、ボーダーのマフラーをつけている。
    「よく来たな」
    「…マダム、とうとう壊れたかい」
    「安心しろ。世間一般から見れば、私は既に壊れている」
    「ああそう」
    ゾロアークが椅子を持って来た。言われるがままに座れば、そのままテーブルまで運んでくれる。飲み物は、という素振りを見せたので普通にダージリンを注文した。
    「持って来たと言えば持ってきたけど」
    私はマダムにそれを渡した。銀細工の結晶。ネックレスになっている。マダムが目を細めた。喜んでいるようだ。
    「普通の溶けない氷で作られた物よりずっといい。感謝するぞ」
    「礼はいいから教えろ」
    「…お前の血を何に使ったのか、か?それならもう答えを見ている」
    私はハッとした。慌てて足元を見る。タオルに顔をうずめながらこちらを伺っている女。目は死んでいるが、髪の色は三人とも同じだ。そして、私とも。
    「最近エドワード・ゴーリーにはまってな。『うろんな客』からヒントを得て作ってみた」
    三人がのろのろと並んだ。左からステッキを持った女、皿を齧っている女、そしてタオルを持っている女。
    「紹介しよう。私の胡乱な三人娘だ。ステッキ、ディッシュ、そしてタオル」
    三人揃ってお辞儀をした。ギギギという音がしたような気がした。
    「作った意味は」
    「材料収集、情報収集。私が指示を出さない限りは動かないが」
    マダムが手を叩いた。すると突然空気の抜けた風船のように三人ともその場に倒れこんだ。完全に目が死んでいる。何も映していない。
    「悪趣味」
    「だがお前はその悪趣味に血を渡した本人だ」
    首が痛痒くなってきた気がして、私は思わず爪を立てた。

    「本当は少年が良かったんだがな。合った人形が見つからなかった」
    「見つかったらまた血をよこせとか言うなよ」
    「伝説のポケモンの血を入れたらどうなるのか…」
    完全にマダムは一人妄想の世界に入ってしまったようだ。ゾロアークに手を振ると、私は誰も寝そべっていない絨毯を踏みしめ、ドアを開けた。

    ――――――――――
    [書いてもいいのよ]


      [No.1721] 投稿するつもりはなかったのですが 投稿者:ふに   投稿日:2011/08/09(Tue) 22:11:45     49clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    >
    > 無理を言いまして、ふにさんに投稿していただきましたイケズキです。
    >
     いらっしゃいましー

    > 昨日、これをチャットのPMから読ませていただいた時、ツボに入ったと言いますか、とても感動しまして、さらにこれがチャットの即興作品だということを聞き、もう興奮で暴走気味になってしまいました。
     暴走しちゃってもいいのよ……ふにも最近暴走気味なので

    > シンプルな展開でストレートな表現をしているはずなのに、らぃちゃんの幼い恋心や、それに悩む姿がすっごく伝わってきて、強烈に惹きつけられました。
     らぃとかぃなのでしょうかね〜 どうでしょうかね〜 にやにや

    > ふにさんの、「言葉使い」とも言う部分には、毎度驚かされっぱなしです……。
     難しい言葉がわからないだけですよ
     簡単な言葉を並べただけです
    >
    >  それは、ある夜の出来事。
    >
    >  小さな丘の月の下で、小さな幸せが生まれました。
    >  
    > とっても綺麗な言葉だと思いました。情景がパッと広がって、まるでそれだけで一つの詩のような、美しい言葉…… ん〜なんとも言い尽くせないのがもどかしいのですが、とにかく好きです!
     気に入ってくれて何より
     そう言ってくれるのが一番うれしいです〜

    > >  新しい幸せに 
    >
    > 新しい幸せに!

     ずっと続きますように!


      [No.1698] それでも僕はやっていない 投稿者:ワタル   投稿日:2011/08/07(Sun) 00:56:53     105clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     それでも僕はやっていない 〜 改造説を信じるあなたへ 〜


    目次

     序章 …… 潔白のチャンピオン 歩む正義の道筋

     ・生い立ちから滲む正義 〜竜の里の少年〜
     ・ポケモンとの絆 〜竜の里の試練〜
     ・チャンピオンへと至る道
     ・不正を許さぬ心 〜ロケット団残党排除へ〜

     第一章 …… 改造とは何か?

     ・ポケモンの生態 〜竜でもわかる携帯獣学〜
     ・ポケモンの進化レベル 〜低レベルでの進化〜
     ・ポケモンの技習得レベル 〜習得速度の相違〜
     ・ポケモンの特性 〜夢特性は改造じゃない〜

     第二章 …… 許されざる改造(チート)

     ・改造がポケモンに与える悪影響
     ・生態系へのダメージ 〜いかりのみずうみに見る〜
     ・そもそも改造っていう響きがよくない
     ・改造、ダメ、ゼッタイ

     第三章 …… チャンピオン・ワタルに改造は要らない

     ・チャンピオンの実力 〜百戦錬磨の竜使い〜
     ・進化は愛情の成せる奇跡 〜カイリューと歩む365日〜
     ・命に代えても守りたいもの 〜竜翼と黄金の壁〜
     ・改造の要らない理由 〜強さを求めて〜

     第四章 …… 徹底検証 改造説の盲点

     ・改造説と情報操作 〜ネット世界の動向〜
     ・ズバリ! 改造説のここがおかしい
     ・切断厨のほうがタチが悪い
     ・チャンピオンの見解 〜名誉職へ批判は付き物〜

     終章 …… それでも僕はやっていない


    序文

     僕は竜の里と名高きフスベシティに生まれ、幼い頃からドラゴンタイプのポケモンと触れ合って生きてきました。厳しい掟の下、竜族という扱いの難しいポケモン達との生活を続ける中で、感じられた自然との一体感、世界(ほし)の呼吸、そして生命の神秘――これらは筆舌に尽くしがたいものがあります。
     そして僕の最も憎むべき「改造(チート)」とは、それらを冒涜する立場にあります。自然界で培われてきた営みに手を加える行為は、とても許されるものではありません。以降何度も触れますが、かつてこの美しいカントー地方を根城に活動していた『ロケット団』という組織は、人間の持つ文明技術を悪用し、ポケモンの改造に手を染めていました。それにより、いくつもの地域で野生のポケモンの分布に悪影響が起こっています。特に彼らの解散後、残党が起こしたいかりのみずうみでの事件は有名でしょう。これについては、僕自身も、あの美しい湖がみすみすと汚されてゆくことに黙っていられず、自ら足を向けました(詳しくは第一章P43、不正を許さぬ心 〜ロケット団残党排除へ〜に書いたとおりです)。
     しかし、巷では僕の手持ちポケモンに対して「そのレベルで進化しているのは、不自然ではないか?」「なぜ、本来覚えない技を習得しているのか?」など、疑惑の声が上がっています。あまつさえ「チャンピオンでありながら、改造を行っている」などと心ないことを言われることもあります。
     考えてもみてください。
     僕は物心のつく前からドラゴンポケモンと共に暮らし、彼らの最も自然たる姿の雄大さをこの目で、この身体で、この心で感じ続けているのです。
     そして、チャンピオンというこの名誉職は、決して小手先の改造などで守り得るものではありません。幾度もの挫折と敗北を乗り越え、愛すべきポケモン達と傷を分かち合い、成長し、戦略を究めたからこそ、僕はこの地方の頂点を名乗ることができたのです。
     また、ポケモン世界にはまだ多くの謎が秘められています。トレーナーからの愛情を受けることで進化するポケモン、新たな技、種族、特性、既存のポケモンの新たなる進化形態――年を重ねるごと、ポケモンに関する発見は留まることを知りません。それは時に、奇跡としか形容し得ないような結果を残し、学会に波紋を起こすことも少なくありません。
     人は未知のものに触れるとき、おのずとそれを躊躇し、恐怖するでしょう。僕も一番最初にカイリューの背に跨ったときの、あの胃の腑の浮かぶような感覚は忘れられません。しかしそれらは、同時に強い好奇心を伴います。未知の存在に触れるという恐怖と期待、その表裏一体こそがこの話題を燻らせてやまない人々の深層心理なのではないか、と僕は考えます。
     ただ、一つだけ言わせて欲しい。
     それでも僕は、改造など、やっていないと。

     僕自身と、そして神聖な「チャンピオン」という肩書きにかけられた無実の汚名を晴らすため、こうして僕は慣れない筆を執ることとなりました。
     これを読んで、僕の考えるポケモンというものへの理想と情熱を、そして改造というタブーの絶対的無価値を感じ、考えていただければ幸いです。

     カントー・ジョウトポケモン連盟 チャンピオントレーナー ワタル


     1580円 


      [No.1677] トップシークレット 投稿者:紀成   投稿日:2011/08/02(Tue) 13:32:37     62clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    カクライが去って数時間後。ドス、という平穏のへの字も無い音が、扉を貫いた。あっという間にバラバラに切り裂かれる扉。銀色の刃が、ギラギラと光っている。
    「もう少し静かに入って来れないのか」
    「なんならドアごと燃やしてやっても良かったんだよ」
    ファントムはイラついているようだった。いつも冷たい目が今回は鋭さが増している。
    「ようやく火影を渡してくれる気になったのかい」
    「何度も言っているはずだ。これは私が扱うべき業物なんだ」
    マダムは火影を欲しがっていた。長年生きてきた彼女も、これほどまでに強い力を持つ妖刀は見たことが無かった。どんなに珍しい物と交換すると言っても、ファントムは聞かない。
    ゾロアークが紅茶を運んできた。ウイスキーをひとさじ。ファントムは警戒して手をつけないが、付いて来ていたカゲボウズが集まって飲んでいた。
    案の定、酔っ払うカゲボウズ達。
    「カゲボウズか…懐かしいな。ジュペッタはいるのか」
    「後ろにね」
    壁に掛けてある商品のサンプルを見ていたジュペッタが、ぎゃっという悲鳴をあげた。サンプルがいきなり牙を剥いたのだ。
    「全部ゾロアが化けた物か」
    「そうだよ。さて、今日は何用かな?」
    ファントムはポケットから古い布のような物を取り出した。
    「『れいかいのぬの』この前モルテが熱中症で倒れてね。その看病をしたら、御礼にと貰ったんだ。
    私は使う機会なんて無いし、あのまま放置してたら厄介事になりそうだったから。こういう物はプロに任せた方がいいんじゃないかと思って」
    マダムは手袋をした手で受け取り、まじまじと眺めた。滑らかな感触と、感じる霊気。これがサマヨールをヨノワールへと進化させる。
    不思議な力を秘めたアイテムだ。
    「最後に一つ、いいか」
    マダムは人差し指を出した。
    「ファントムの血を分けてくれないか」

    瞬間、マダムの顔を切り裂く火影。ゾロアークとゾロアがファントムを囲む。だがマダムは血の一滴も流さない。ぶくぶくという音と共に髪や目が復活する。
    「これで一回死亡」
    「死亡もアレも無いと思うけど」
    「私だって裂かれれば痛いんだけどな」
    マダムは小さなナイフを出した。ドラピオンの牙で造られた物だ。
    「何のために使うんだ」
    「トップシークレットということで。その代わり、ナイトメア・スカーフやるから」
    ナイトメア・スカーフ。ダークライの首から作られた黄昏堂の中でも最高ランクに入る商品。付けて眠れば、他人の夢を自在に操ることが出来る。悪夢を見せるも、淫夢を見せるも人次第だ。
    「一つのダークライの首から作れるのはたった一つ。しかも捕獲が難しいときた。
    簡単にあげていいのか?」
    「私には協力者が沢山いるからな」
    カクライ以外にも、な―

    ファントムの白い首筋から、一滴の赤い血が滴り落ちる。ポケモン達が固唾を呑んで見守る。だがファントムは痛そうな顔一つしない。
    ぽたり。ぽたり。レジアイスの体から作ったグラスに血が落ちていく。氷タイプから造ったはずなのに、全く溶けない。常温では溶けないくらいに芯まで凍り付いているのだ。
    「…よし、これくらいでいい。ほら、ラッキーのタマゴから作った絆創膏」
    剥がし、首に貼る。十秒数えてから剥がせば、もう血が止まるどころか傷口すら無くなっている。
    「便利だね」
    「その分費用も嵩むけどな…でも人形やぬいぐるみが増えるから」
    悲しげな表情をした人形とポケドールがずらりと並ぶ。幸せそうな顔をした物は、一つもない。
    「道を踏み外したトレーナーの成れの果て、か」

    明日から北へ向かう、という話をするとマダムは欲しい物があると言って来た。
    「雪の結晶が欲しいんだ。あの形のメカニズムを解明したい」
    「今は夏だ」
    「持ってきてくれれば、お前の血を何に使うのか教えてやる」
    まんまと吊られた気もするが、別に悪い気はしない。さて、どうしようか…

    ――――――――――――――
    書いてみました。カクライさん全然出てないけど…
    アイテムを考えるのは楽しいです。そしてファントムが北へ向かう、というのは実は本当だったりします。
    明日から三泊四日の北海道!帰ってきたら彼女にレポートを提出してもらいましょう。
    その時にマダムに頼まれた結晶も渡すとしましょうか。

    [何をしてもいいのよ]


      [No.1656] 無邪気な残酷さがいい 投稿者:クロトカゲ   投稿日:2011/07/28(Thu) 18:37:42     60clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    面白かったです。最初の作品がこれだけ書ければもう、今後も期待大ですね。

    改行でコンパクトにまとまってる雰囲気や最後の締め方から、外国の残酷な童話のような綺麗で残酷な独特の雰囲気が素敵でした。

    ビアンカがディアになるくだりも、ポケモン世界ではひょっとしたらありえるんじゃないかと思いましたねー。人を食べると人になる、というのはいかにもポケモンに広まってそうな伝説で、この部分もすごく好きでした。

    旅人が自分について語らなかったり、赤ずきんのやりとりや演劇的なセリフなど、旅人の謎めいたところもクライマックスに向けて話を一気に引き締めて、雰囲気を出すのに一役買ってたのかなと思います。

    次回作も楽しみにしてますー。


      [No.1635] 感激……! 投稿者:イサリ   投稿日:2011/07/23(Sat) 18:59:58     48clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     ラクダさん! 感想ありがとうございます!!
     自分にはもったいない言葉をいただいてしまって、嬉しいやら、恐縮するやら……でも嬉しいです!!

     この作品を書くにあたって、鳥使いの少女とチルットとの絆をどう表現するか、長い間考えました。
    「歌」をキーワードにすることは最初から決めていたのですが、どうすれば最大限に活かすことができるのかと。
     最終的に、チルット・チルタリスが覚える技「ほろびのうた」を暗示するようなラストに繋がるように、ストーリーを組み立てることにしました。

     文章表現に関しては『<自分が>最も読みやすい文体』を心がけるように書いています。つまり完璧に自分の好みです(笑
     創作の経験には乏しいもので、何が良くて何が悪いか論理的に分析するような知識がないため、せめて自分で何度も読み返してみて、一番突っ掛らずに読めるような文章を書きたいなぁと考えております。
     簡潔で読みやすい文体と感じてくださり、何よりでございます……!


     主人公が息を引き取るシーンは作品中で最も力を注いだ箇所でした。

     死の間際の人間の心情というものは、(当たり前ですが)自ら経験したこともなく、『幸いなことに』今まで身近な人から聞く機会もありませんでした。
     ですので、創作でそれを描くことには多少緊張も致しました。軽々しい描写は、生命の軽視とも捉えられかねませんから……。
     自分の価値観、人生観、死生観……それらが偏っていることは承知の上で、今の自分の経験でもって、でき得る限りの表現をしようと推敲を重ねました。
     その表現が読んでくださった方の心に響いたならば、これほど嬉しいことはありません。


     重いテーマの話になりましたが、これを書けて良かったと心から思えます。
     この作品を書く機会を与えてくださったことに、ただただ感謝しています。

     ラクダさん、本当にありがとうございました!
     これからも、よろしくお願い致します!!


      [No.1614] 繰り返す 投稿者:レイニー   《URL》   投稿日:2011/07/17(Sun) 21:38:54     47clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     ついに最後の一匹、ユクシー発見! こいつを捕獲さえすれば俺の図鑑は完ぺ……

     ……あれ?俺、一体何してたんだ? ポケモン図鑑……? あ、最後の一匹を捕まえようとしてたんだっけ。よし!早速そいつを探しに行くぞ!


    ※99字


      [No.1593] 大流星群ってあるらしい 投稿者:キトラ   《URL》   投稿日:2011/07/13(Wed) 20:17:16     25clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    地上に降りるまではきっと綺麗だろう
    天体観測してたら何も知らずに感動してそうだ。
    毎回、流星群を見てちょろちょろしかなくてがっかりしている身としては見てみたい。
    当たるのはちょっと(


      [No.1572] ・・・だいばくはつ 投稿者:キトラ   《URL》   投稿日:2011/07/09(Sat) 16:07:45     59clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    みんなのコメントのサーナイト♀はリア充って・・・
    あの世界にもやはりそういう価値観が・・・それはそれで恐ろしい。
    というかそこじゃないだろ、リア充!

    小さなブラックホールを天の川に飛ばせば良かったのに・・・


      [No.1551] Re: 断り書き 投稿者:クロトカゲ   投稿日:2011/07/08(Fri) 23:57:08     54clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    なんだろうとスクロールしたら、これはやられた!

    こういういちげきひっさつ!なオチ、すごく好きです。


      [No.1530] 「……俺は?」 投稿者:音色   投稿日:2011/07/07(Thu) 23:44:56     62clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    「君達はどんなポケモンが好きかい?」
    「ボクはヤナップが良いなぁ」
    「わたしバオップが良い!」
    「俺はそうだな、ヒヤップが欲しい」
    「ははは、みんなお猿さんが好きだなぁ」  マンキー(・・・)オコリザル(・・・)



    ※100字


      [No.1509] 価値観の相違 投稿者:キトラ   《URL》   投稿日:2011/07/07(Thu) 20:11:28     64clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    そういった、価値観の違うものが友達でいることが、人生の旅で醍醐味である。

    はず。


      [No.1488] 忍耐 投稿者:音色   投稿日:2011/07/07(Thu) 00:01:15     64clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    我慢じゃないのです。忍耐なのです。じっと耐えるのです。それしか取り柄がないのです。
    「ソーナンス!“カウンター”!」
    「そーぉなんっすぅぅ!」
    それが特技です。自慢です。誇りです。こればっかりは負けません。


    ※100字


      [No.1467] クールティーチャー 投稿者:久方小風夜   投稿日:2011/07/06(Wed) 18:10:46     53clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    コメントありがとうございます!

    > 夏休みの絵日記と、それを見た先生の赤ペンのコメントが浮かびました。
    まさにそんなイメージです。
    夏休みの宿題は日記が一番面倒だったけど一番好きでした。

    > プルリル・・・ではなくクラゲに刺されたことあるので、海はまじ危険。
    幸い刺されたことはないですが、ゴムボートにつかまって泳いでいて、足に「ぬるっ」っとしたものが当たったことならあります。
    海まじ危険。


      [No.1446] 夏休み欲しいナカーマ 投稿者:ラクダ   投稿日:2011/07/05(Tue) 22:29:12     65clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    投稿、見直し、ツリー表示へ、の間に感想が付いていてびっくらこきました。
    嬉しかったです、ありがとうございます!

    そう、夏と言えばもこもこの入道雲、真っ青な空、五月蝿いくらいの蝉の声は欠かせませんよね!
    ……それが揃ってても休みが無けりゃ完璧じゃないんだようー orz

    大人しく思い出に浸るだけで我慢しておきます……。


      [No.1425] だめだこりゃw 投稿者:   《URL》   投稿日:2011/07/05(Tue) 20:28:58     47clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    >鳩さん

    XDトゲチック「特性はりきりになりました」
    ホウエン狸「くいしんぼうに転職しました」
    今日進化したマリル「性別かわりました」
    ですねわかります。


    >キトラさん

    伝説のポケモンだって恋をするんだね☆

    ってちょっとスイクン! クリスタル版で主人公の前に現れたのはそういう意図からかいっ!
    思わず警察に通報したくなる素敵さです。にしても重力に逆らってる綺麗な御髪って、じわじわくるw そこ、萌えるポイントだったのかスイクンよ!

    そしてミミロップ。お前も「中々難しいのよー」とか言ってんじゃない、守備範囲広すぎ!w
    つっこみきれませんコイツらはw

    【書いてみた】ありがとうございました。
    こんな短い文なのにキャラがしっかり立っててすげー……


      [No.1404] 軒下で《百字で書いてみた》 投稿者:西条流月   投稿日:2011/07/05(Tue) 18:12:02     66clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     僕は軒下が好き。だって近くに人間が、食料の感情をいっぱい持つ生き物がいるから。今日も今日とて、軒下に。そこにいたのは角のない真っ白な先客。満足そうに目を細めている見知らぬあなたは一体何を食べました?

    ――――
    今日も百字を布教する

    【もっと百字が流行ればいいのよ:】
    【好きにしていいのよ】


      [No.1383] とあるオタマロの混沌恋愛 投稿者:西条流月   投稿日:2011/07/03(Sun) 03:15:45     76clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     タカミネさん家のカケルくんが目を覚ますとベッドの上でした。何故なんでしょうか。いまいち記憶にないのですが。うんうん唸って思い出そうとするところに、一人の女の子が話しかけました。
     ここ、シッポウシティに住むハトリ家の一人娘、キヨカちゃんです。カケルくんはキヨちゃんと呼んでいます。
     小麦色の肌に黒い髪とは対照的な白いワンピース。腰の部分と頭にアクセントとして、瞳と同じ色の明るい青色のリボンが使われていて、とても愛らしいです。
    「ジョーイさんが言ってたよ。今日も負けたんだって?」
     あぁ、なるほど。頭をぽりぽりと掻きながら、現状を把握。ここはポケモンセンターのようです。それもここ最近、手持ちが全滅するたびに運び込まれているシッポウシティのポケモンセンターです。
    「そういえば……ヤグルマの森に行ったんだっけ」
     カケルくんはもうシッポウシティのバッヂを手に入れているので次の町へと向かおうとして……
    「またオタマロにここまで運んでもらったんだって聞いたよ」
     そうです。カケルくんはここ最近、オタマロに手持ちを全滅させられてばっかりなのです。そして、目の前が真っ暗になったカケルくんを運ぶオタマロの姿は、地方新聞に取り上げられるほどに有名になっているのです。キヨちゃんと知り合ったきっかけもこの記事を読んだ彼女が面白がって話を聞きに来たことが最初でしたっけ。
    「通算何敗目?」
    「確か、八十八敗」
     言わなくとも分かるとは思いますが、これはオタマロに全滅させられた回数です。朝昼晩の三回、ヤグルマの森に行くのが日課となっているので、シッポウシティへの滞在日数はバッヂを手に入れてから、ほぼ一か月です。暑気は去りきって、イチョウが色づく季節となりました。
    「カケルって弱いんだね」
     ポケモンマスターが夢であるカケルくんにとって、弱いという言葉は心を刃で削るどころか、ダイナマイトで粉砕する勢いの口撃でした。
     子供はいつだって残酷です。躊躇や迷いなんてどこ吹く風。天真爛漫で無垢だから、オブラートに包むということをしてくれません。
     カケルくんだって子供なので、受け入れることなんて全然できません。
    「俺は弱くない」
    「でも、全滅してるんじゃない」
    「オタマロが強すぎるだけだ」
    「でもさー、カケルの手持ちってダイケンキ、ドリュウズ、ゼブライカじゃない。それもだいぶ強いってアロエさんが褒めてるぐらいよく育てられてるポケモンなのに。オタマロに全滅させられるっていうのはカケルが悪いとしか思えないんだけど」
     ぐうの音も出ないとはこのことですね。いや実際はお腹がすいてるのでいつ鳴りだしても、おかしくはないのですが比喩表現というやつです。
     そんな文学的主張はさておき、キヨちゃんの言うことは間違ってはいません。カケルくんの手持ちはジムリーダーに褒められるぐらいの強さを持っているのに、オタマロに全滅させられているのは事実です。オタマロが水タイプだから、ドリュウズは不得手としていますが、ゼブライカは電気タイプなので、絶好の相手ですから、まったくもってその通りなのです。この辺りに出るポケモンのレベルは低いですし、普通に戦えば負けるはずはないのですから、キヨちゃんの発言は全くもってその通りなのです。
    「カケルって才能ないんじゃない」
    「そんなことないから。ポケモン育てたのは俺だから」 
    「じゃあ、ブリーダーの才能はあるんだ」
     やっぱり黙るしかないカケルくん。仕方ありませんね、古来より口喧嘩で女性に勝てる男の人なんていないのですから。柳に風と受け流すのが一番いいのです。
     勝ってはいけない、勝たせないといけない勝負。それが女性との口喧嘩なのですから。
     事実しか言われてないから反論できないとかとはまったくもって関係ないのです。
    「絶対次の町に行って、強いってこと証明してやるから」
    「あはは、それはないでしょ」
    「いや、次こそは勝つから」
    「遠いところから応援だけはしておくよ」
     からかうように笑いながら、そう言うキヨちゃんにカケルくんができるのは憮然とその言葉を受け入れるだけでした。


     そんなやりとりをした数時間後、カケルくんの姿はヤグルマの森へと続くシッポウシティの出口にありました。当然、次の町へと行くためです。
     今、カケルくんの表情はポケモンリーグ決勝戦に出るトレーナーと同じぐらい張りつめています。町を出るだけなのにこんな表情をしなきゃいけないんでしょうか。
     それはカケルくんの目の前にいる一匹のオタマロが最大の原因です。
    「ンーフフフフ。ダーリン、こんにちは。とうとうあちしを引き取りにきてくれたのね〜ん」
     はい、こんなことをほざくオタマロさんが最大の原因なのです。
     ちなみにめちゃくちゃ流暢に喋ってます。微妙にお姉口調な気もしますが、ぺらぺらです。
     そう、このオタマロ(名前未定)こそがカケルくんを八十八回もの全滅に追いやっている張本人だったりします。
     なぜか喋れたりもするハイスペックなオタマロです。
     なぜ喋るかについてなんですが、よくわかりません。ただ、

     ◆ ◆ ◆

    「ていうか喋れるんだね」
    「オタマロのアルファベットで勉強したのよ〜ん」
     自信満々に胸……はないので体全体を心持ち反らすオタマロさん。顔は当然ドヤ顔です。
     なかなか向学心溢れるオタマロさん。そんなことどうでもいいことではありますが。
     それにしてもオタマロのアルファベットってなんなんですかね。もしや、オネエ口調の原因なんでしょうか。
    「貴方は私を愛さなければならないのA!」
     ちなみに、オタマロのセリフ”あなたは私を愛さなければならない”を英訳すると、”You must love me”となるのでどこにもAは使われてません。きっと超次元的にAが混入したんですね。

     ◆ ◆ ◆

     というようなやりとりがあったということだけをここには書いておきます。
     こんな些細なことなんてどうでもいいのです。
     今重要なのは、どうやってこのオタマロを回避して、次の町に行くかなのですから、別にいいのです。
    「誰か、他の人にお願いしてください。ちょっと急いでるんですから」
     とりあえずはいつも通り言葉で希望を伝えます。話し合いって重要ですよね。
    「逃げるのはダ☆メ☆よ」
     バチーンとウィンク飛ばして、甘ったるい口調でカケルくんへの警告。流し目は標準装備です。
     アウトです。このセリフはアウトです。女の子が言わなきゃ……オタマロさんは女の子でしたね。じゃあ、OKということにしておきましょう。
    「あなたがこの町を出れるのは、あちしをゲットしてからよん」
     その言葉を皮切りに、近くの石、木の陰といったありとあらゆる場所から、オタマロがあふれ出てきます。戦うたびに見ているのですっかり見慣れた光景です。しかし、見慣れたとはぞっとしますね。
     あまりの恐ろしさに思わずカケルくんは右の方を向きました。現実逃避ですね。
     しかし、逃避した先に広がっていたのは、より大きなカオスでした。
     なぜなら、そこには見渡す限り、
     オタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオクマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマコオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロが並んでいたからです。
     …………その数の多さは文字列にするとちょっとオタマロでゲシュタルト崩壊が起きそうなので逆方向へと視線を向けてみます。
     やっぱりそこには、
     オタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオサマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオラマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロオタマロが並んでいた。
     …………予想通りというか織り込み済みというか、オタマロゲシュタルト崩壊現象が起きそうな光景が広がってました。ここの生態系はどうなってるんでしょうね。オタマロ多すぎです。絶対亜種とか混じってます。
     後ろなんて怖くて見れません。同じような光景だと精神が崩壊しますけど、きっとそうでしょうし。
     目の前見ても悪夢というかカオスな光景には変わりありませんがね。
     そして、これがカケルくんがオタマロ相手に何度も全滅している理由です。
     レベルの低いオタマロと言えども、塵も積もれば山となると言えばいいのでしょうか。この数では流石に倒しきれないのです。今だって、この数を見れば、折れてしまいそうです。
    「んーフフフフ。あちしの彼氏になってくれる覚悟はできたようね」
     できてません。あと一億と二千年待ってもらっても多分無理です。やっぱり彼女は同種族がいいですよね。できれば、色気溢れる年上のお姉さんがベストです。
     カケルくんは頭が痛いを通り越して、脳みそがミキサーで磨り潰されてる感じがしています。主に常識が。
    「すいません。未来永劫あなたの彼氏になる気はありません」
    「んーフフフフ。あちしの伴侶になってくれる覚悟ができたようね」
     なんだか、段階が一段上がってますね。なんでなんですかね。トリックルームでも発動してるんでしょうか。カケルくんは確かに断ったんですがね。
    「何が起きても、あなたとこれいじょう距離は縮めるつもりはありませんのでそれでは」
     そうして、無視して通り過ぎようとします。いや、あれですよ? カケルくんも分かってるんです。オタマロを無視して進めないことぐらいはね、分かってるんです。世界の意思がオタマロを無視してはいけないと命じていることぐらいは八十八回もオタマロに全滅させられていたら、自ずと悟るものなのです。
     でも、無視したいじゃない。人間だもの。
    「ダーリン、私を置いて、どっかに行っちゃうなんてひどいじゃないの〜。そんなことゆるさないんだからね」
     もうツッコミが間に合いません。恐るべし、恋するオタマロ。
     カケルくんLOVEなオタマロから距離を取ろうと一歩後退するとそこには彼女の取り巻きのオタマロがいつの間にか回り込んでいました。というか、周りの地面がオタマロで足の踏み場もないぐらいです。
     その多さたるや……本気で精神が崩壊しそうなぐらいの数がいるので文字列に表わすのはやめましょうか。気持ち的には十万三千匹ぐらいいそうです。
     オタマロと言えど、流石に踏み潰そうとは思えません。逃げるのを諦めました。現実に向かい合います。現実は辛いよ。でも、それが現実なのです。
    「大体、あちしはお買い得よ〜ん、イッシュでは数少ない水タイプのポケモンだし」
    「ダイケンキがいるんで間に合ってます」
    「おしゃべり、ゆうわく、メロメロっていう普通のオタマロじゃありえない技構成してるし」
    「その技構成なら、普通の女の子がいいです」
     宇宙の真理ですよね。
    「もう、ダーリンのイ☆ケ☆ズ! わたしの 全身から 溢れる あなたへのLOVE を受け取りなさいよ」
    「ごめん、無理です」
     これもまた宇宙の真理ですよね。
    「今日こそは次の町へ向かって見せる」
     確かな意思を見せるカケルくん。それを見ていたオタマロは今までのドヤ顔から一転、どこか寂しさとむなしさを感じさせる表情へと変わると
     それは変わることのない強い意志。オタマロを手持ちに加えずして、次の町に行くという強い意志。腰にぶら下げたボールから相棒たちを呼び出せば、彼らはやる気満々。オタマロ大群に恐れてなんかいません。伊達に八十八回も全滅させられてません。意気揚々とオタマロの群れへと向かってきます。千切っては投げ、千切っては投げと彼らを倒していけます。そして――


     そして――気が付けば、ポケモンセンターです。どうやらカケルくんはまたもや倒しきれず、全滅してしまったようです。
     目を開ければ、そこにはキヨちゃんがいました。
    「ていうかさー、カケルはなんでオタマロに求婚されちゃってるの?」
    「それが分かれば苦労してないよ」
     本当になんでなのか。それさえわかれば、先に進めるのに。カケルくんは内心でそう思いながら、キヨちゃんに笑いかけました。思えば、彼女とは意外と長い付き合いになっています。
     ベッドに腰掛けた彼女はからからと笑っています。カケルくんが出れなくて困ってるというのに、いい気なものです。はやく次の町に行って、ジムリーダーと、まだ見ぬライバルたちと戦って、強くなりたいのに。こんなところで足踏みはできない。躓いてばかりじゃいられない。それが分かっているのに、オタマロに勝つことができない現実はカケルくんを悩ませます。
     いつになれば、カケルくんはここから抜け出せるのでしょうか。
    「まあまあ、焦んなくてもいいんじゃない?」
     表情に出ていたんでしょうか、キヨちゃんはそういうと、カケルくんの焦りを解すように頭を撫でました。
    「どこにいても、強くなることはできるかな」
    「そうそう」
     一生懸命に伸ばされるキヨちゃんの手で撫でられながら、しばらくはいいかと思ってしまうカケルくんなのでした。


    ――――
     
     間違いなく、マサポケ内で一番オタマロって書いた小説だと思う

    【オタマロなのよ】
    【カオス】
    【好きにしていいのよ】


      [No.1362] Re: 主人公の条件、追加 投稿者:あつあつおでん   投稿日:2011/06/24(Fri) 20:55:10     36clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    1つ 主人公はヒロインと両想いにならねばならない。

    1つ 主人公は必ず挫折を味わわねばならない。

    1つ 主人公は必ずバランスの良いパーティを構成しなければならない。

    1つ 主人公は他の登場人物と比べ、相対的によい子でなくてはならない。これによって空気になっても気にしない。



    ダルマ「はっくしょん!誰か俺のうわさでもしてるのかな……」


      [No.1341] 浦島太郎(嘘) 投稿者:リナ   投稿日:2011/06/19(Sun) 23:46:18     102clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     今、なんとも古めかしい格好で浜辺を散歩している彼は、タロウ・ウラシマ。この海で漁師を営んでいます。なにか起こりそうなので、後を追ってみましょう。

    「見つめ合〜うとぉ〜、素直に〜、おしゃぁ〜べり〜、できぃ〜なぁ〜い〜♪」

     懐かしいナンバーですね。サザンオールスターズで「TSUNAMI」です。ダブルミリオンを達成した名曲なんですが、彼が歌うとその面影もありません。ちょっとモノマネしているのに全然似ていないのが非常にイタいです。正直言って下手です。音楽への冒涜です。

     そんな漁師にとって不謹慎な歌を口ずさんで浜辺を歩いていると、小さな岩に一匹のゼニガメが腰掛けていました。彼はサングラスをかけ、足を組み、じっと海を見つめています。そのあまりのシュールさに、ウラシマはぞっとしました。

    「――あの、いじめられてる設定じゃ?」

     設定云々は言ってはいけない約束なのですが。この状況ではいたしかたないでしょう。

    「いじめられっぱなしじゃいられねぇのが男ってもんよ」

    「いや、てかいじめられてすらいないですよね? そのサングラスも傷一つないし」

    「俺はジョニー。おめぇ名前は?」

    「そっか、あんたアホなんだね」

     話が全くかみ合いません。仕方なくウラシマは名を名乗り、ストーリーを強引に進めることにしました。

    「とりあえず、竜宮城に連れてけよ」

    「――ボスに何の用だ?」

    「あんたヤクザか。まあ見えなくもないけどさ。てか本当はそっちが連れてってくれる流れなんだから別に用なんてないんだけどさ」

    「仕方ねぇ、案内してやるか」

     マジ面倒臭ぇ。ウラシマボーイは思いました。ですがとにかく、ジョニーはウラシマを竜宮城へ案内してくれるようです。

    「よろ」

     ジョニーはてくてくと浜辺を歩き始めました。歩きながら「最近波に乗ってねぇな」とか「ちっ、葉巻切らしてんだった」とかぶつぶつ言っていましたが、ウラシマは全て無視しました。そして彼がいっこうに海に入ろうとしないことに突っ込むこともしませんでした。面倒だったからです。

    「さぁ、着いたぜ。竜宮城だ」

     案内されたのは、沖縄県の田舎に一般的に見られる形の家屋でした。玄関口にしっかりシーサーがふんぞり返り、災厄からこの家を守っています。

    「質問、いいですか?」

    「端的にな」

    「これのどの辺が竜宮城なんですか?」

    「良い質問だ。お前、昔沖縄がなんて呼ばれてか知ってるか?」

    「――琉球。え? まさか琉球→りゅうきゅう→りゅうぐう→竜宮とか言うつもりですか?」

    「お前、見た目に寄らず頭良いじゃねぇか。大学出てんのか?」

    「少なくともあなたの考える大学は出てません」

     そうだったのです! ウラシマの目の前にそびえる「城」は、まさしく竜宮城だったのです!(こんな感じで良い?)

    「ボスもきっと喜ぶぜ。宴の準備だなこりゃ」

     一体どんな「ボス」が出てくるのか、ウラシマは全く興味はありませんでしたが、万が一、億が一、「ボス」が美人だった時のことを考えて無理矢理モチベーションを上げ、ジョニーと共に「竜宮城」に入りました。

    「ボス! お客さんですぜ!」

     ジョニーがそう呼びかけると奥から「はいはぁーい」と、気の抜けた声が聴こえました。その声が女性だったので、第一関門はクリアです。

    「あら、人間のお客さんは久しぶりかも。ふふ、めんそーれ☆」

     現れたのは、全身ピカピカの鱗をまとったミロカロスでした。「ちっ、配役ポケモンか」と思ったウラシマですが、下手な女が現れるよりはよっぽど良いと思い、スレスレ第二関門もクリア。

    「宴の準備、しやすか?」ジョニーは多分、宴がしたいだけです。

    「もちろんじゃない! ほらほら、大急ぎでお願いね! 泡盛もよろしく☆」

     なんだか「ボス」と呼ばれるポケモンにしてはキャピキャピとギャルっぽい話し方をするミロカロスだと、ウラシマは思いました。実際のところポケモンなので年齢は不詳です。

     ウラシマは客間に通されました。名前を名乗ると、彼女も自己紹介してくれました。「フェモニール」と言うのでした。

    「それで? どちらからいらしたの?」

    「どちらからって言われても――わりと近所です」

    「そうなんだ〜じゃあいつでも会えるね☆」

     なんだか勘違いを起こさせるような言い回しですね。でも多分これが彼女のデフォルトなのです。

    「そうそうウラシマさんはツイッターやってる?」

    「はい、一応」

    「やったー! じゃあフォローしとくね☆ そうそう、最近ルナトーンちゃんが『スケベクチバシ』ってあだ名付けられちゃってね、すっごく盛り上がったんだから! それと、この前チャットでリレー小説やってたらさぁ――」

     それからは彼女の独壇場でした。ペラペラと良く動く口です。よっぽど話し相手に飢えてたんだなとウラシマは思いました。

    「――あらやだ〜なんかアタシばっかり話しちゃってる。ウラシマさんもなんか面白い話してよん☆」

    「む、無茶ぶりですね……」

     そこへちょうど料理の支度が整ったようで、客間には先程のジョニーの他様々な水タイプのポケモン達が食べ物を運んできました。オリオンビールと泡盛もありました。思いのほか豪華な食事に、ウラシマは完全にネタ扱いしていた「竜宮城」を少し見直しました。

    「とりあえず乾杯しましょ! さぁ皆の者! ウラシマさんの今後の人生の充実を祈願して――」

    「余計なお世話です」

    「かんぱーい☆」

     ――いまさらですが、ウラシマは亀を助けていないので、この竜宮城に歓迎される理由がありません。しかしギンギンに冷えたオリオンビールのせいで、そんなことはもうどうでもよくなってしまいました。
     どんちゃん騒ぎとはこのことかと、ウラシマは思いました。こいつらほとんど学生のノリで互いにコールをかけ合っているではありませんか。一番ウラシマのツボにハマったのが、

    「むかしむかし浦島は♪ 助けた亀に連れられて♪ 龍宮城へ来て見れば♪ 乙姫様は飲んだくれ♪ (ハイ! ※合いの手)ミロカロス☆ ミロワロス☆ ミロワロタ☆ ミロオワタ☆」

     こいつらもう駄目です。

     さて、宴もたけなわ、ウラシマはそろそろ帰る時間です。漁師の朝は早いのです。

    「すみません、私はこの辺で――」

    「えぇ〜!! もぉ帰っちゃうのぉ〜!!」飲んだくれことミロカロスのフェモニールは完全に出来上がっていました。一体彼女、四十度の泡盛を何杯飲んだんでしょう?

    「泊ってけばいいじゃない? ねっ☆」

    「『ねっ☆』ってそんな上目遣いされても駄目です。明日朝早いんですから」

    「ちくしょー、『フェモちゃん視線』が通用しないとは、ウラ様まさかかなりのプレイボーイ?」

    「違います」

    「そんなドライなところも素敵よ☆ しょうがないわねぇ、今お土産を用意させるから、それだけお持ちになって。ジョニー?! 例のものを」

    「へいっす!」

     さあついに来ましたね。大きな箱と小さな箱の、究極の二択。さてウラシマ! キミはどちらの玉手箱を選ぶんだ?! う〜ん、レッツチョイス!(今、カビラっぽく言ってみたんだけどどう? イケてた?)

    「持ってきやしたぜ」

     この辺りは通説に沿って、ちゃんと普通の玉手箱です。

    「さて、ウラ様が欲しいのは大きい箱? 小さい箱? ――それとも、ア・タ・シ? きゃあ〜言っちゃった☆」

    「『どちら』にするか迷いますけど、小さい箱ですね。大きいのは持てないですし」

     あくまで二択です。

    「連れないわねぇ、ウラ様は。またいつでも遊びに来て頂戴ね。ジョニー?! 送って差し上げて」

    「へいっ」

     ウラシマはフェモニールと他の水ポケモン達にお別れとお礼を言い、竜宮城を後にしました。
     すっかり外は夜、アルコールで火照った身体に海風がとても気持ちが良く、ウラシマは思わず深呼吸しました。

    「ウラシマさん、うちのボス、ぶっ飛んでるでしょう?」

     ジョニーがどことなく静かな口調で切り出しました。

    「そうですね、天真爛漫というか、なんというか」

    「正直ウザい。そう思ったでしょうや?」

    「――まあ、少し」

     ジョニーは暗闇の中に浮かぶお月さまを眺めながら言いました。

    「許してやって下せぇ。ボスはミロカロスになる前、それはもうみずほらしい姿で、だれからも相手にされず、一人ぼっちやったんでせ。だからボスは、誰よりも明るく、おしゃべりで、あんな大酒飲みになんたんでぇ――」

     姿かたちが醜くいのなら、せめて誰よりも元気に、明るく振る舞って、心だけは美しく光り輝いて生きたい。フェモニールはそんな思いであのような性格になったのでした。

    「そう、だったんですか」

    「ツイッターで、たくさんのポケモンと繋がっていられるのも、あの方のお人柄ひとつでせ。俺ら、みんなボスのことが大好きでせ。これからも、時々顔出してくだせぇ、ウラシマの旦那」

     そしてウラシマは、ジョニーと出会った小さな岩のところで別れを言いました。
     今頃乙姫様は、ぐでんぐでんに酔い潰れてポケモン達に介抱されているのかな――ウラシマそんな光景を思い浮かべて、微笑みました。愛されてこそ、「ボス」の役職は務まるのです。

     ウラシマはお土産の小さな玉手箱に気付きました。通説通りだと、これを開けてしまうとおじいさんになってしまいます――まあ、そんなことは「浦島太郎(嘘)」では起こり得ませんが。彼はその箱を開けました。
     そこにはモンスターボールが一個だけ入っていました。

     カタカタとモンスターボールが揺れました。なんだかあの末恐ろしい感覚が、ウラシマに戻ってきました。

    「――有り得ない話ではない。でもいつも間に……」ウラシマは呟きます。

     開けるか否かの選択は、ここからが勝負です。負けるな! ウラシマジャパン!(あ、間違えた! ついノリで「ジャパン」付けちゃった! てへ☆)



     ――――――――――


     ……ノーコメンツ!

     【好きにしていいのよ】


      [No.1320] あまつぶ 投稿者:巳佑   投稿日:2011/06/13(Mon) 12:44:41     60clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     あまつぶ ひーとつ のみこんだ
     なんだか ちから が わいてくる

     あまつぶ ふーたつ のみこんだ
     できなかったこと が できるよう に なった き が する

     あまつぶ みーっつ のみこんだ
     なんだか からだ が きゅうくつ に なって きた

     あまつぶ よーっつ のみこんだ
     きゅう に じぶん の からだ が  ひかり だして


    「あ! コラ、ハッスー!! また勝手に『ふしぎなアメ』を食べたでしょ!!」


     あたらしい すがた で すいすいっと にげました

     だけど さびしくなって すいすいっと もどってきて おこられました


    【書いてみました】

     お題『雨』にて、ポンっと思いついたものを書いてみましたが……あめはあめでも、『雨』じゃなく『飴』というオチに。(笑)
     
     ちなみに、ハッスーはハスボー(最後はハスブレロに進化してますが)のことです。
     そして、最後の一文の『すいすいっと』は特性の『すいすい』から来てます。(笑)


     
     ありがとうございました。


    【何をしてもいいですよ♪】
       


      [No.1299] 異議なし! 投稿者:ラクダ   投稿日:2011/06/08(Wed) 23:55:28     53clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    まさかスキンヘッズにときめくなんて…思ってもみなかったよ!

    冒頭で、外見と態度はアレだけど常識的な人(バトル云々)だなー、と感心していたら。

    『何そのポケモン、 超かわいい!』

    これにやられました。いや、あなたがかわいいよ!と突っ込まずにはいられませんでしたw
    あれだあれだ! 超可愛がってやるぜって言ったんだよ!、で更にニヤニヤ。

    ツンデレスキンヘッズという新しい境地を開いてくださったことに感謝します。おかげで、以後彼らをそういう目でしか見られなくなりましたw可愛いなスキンヘッズ!

    楽しませていただきました、次回作もお待ちしております!


      [No.1278] ちょっとイレギュラーな出会いと顛末 投稿者:   《URL》   投稿日:2011/06/04(Sat) 07:30:53     42clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    ※オリジナルの地名が出てきますが、読み進める上で問題はありません。
     問題ないはず、うん。



     祭りの熱気に浮かれるニシカの街を、首に空色のスカーフを巻いたイーブイが一匹で歩いていた。
     彼の名はアル。普段はパートナーの人間と共にあちこち旅をする身だが、今日は暇(いとま)を貰って彼一匹で来ている。パートナーの彼女曰く、「いつも私の近くにいる必要ないんだよ。たまには離れて散歩でもしといでよ」というわけで、アルは同胞たちとも別れ、一匹きりで街を歩いていた。
     ニシカにある大学が今日は学園祭だそうで、あっちこっち、構内から出て道の方にも模擬店の屋台が出ている。ソースの濃い匂いやら、リンゴ飴や綿あめの甘ったるい匂いやら、食べ物の匂いが目くるめく――鼻くるめく移っていって、ブラブラ街を歩くだけで楽しい。アルの目の高さに小物や飾り物、それにきのみなんかを置いてある店もあって、目の方も十二分に楽しめた。別に、パートナーや同胞たちといて息が詰まるということはない。けれど、こうして誰かの前や後ろを歩かず、一匹気ままに歩くのも、たまにはいいかもしれない。
     アルはそんなことを考えながら、でもやっぱり皆でわいわい騒ぎながら歩くのも恋しいかな、なんて思いながら、祭りに集まってきた喧騒をスイスイとくぐり抜けていた。人だかりが薄まる方へ行って、また小物や飾り物の置いてある店の前に出た。店の人は小さな石を連ねたブレスレットの商談にかかっていた。それを邪魔せぬように、アルはそっと人の隙間を通り抜けた。その隣、きのみの置いてある店の方から甘い匂いが漂ってくるのを感じて、アルは、そういえばお腹すいたな、と思った。
     太陽はまだ一番高いところまで昇りきっていない。お昼ご飯にはまだ少し早いかもしれない。でも、アルはずいぶん歩き回っていたのでお腹が減っていた。それに、お小遣いとして、パートナーからきのみの一つぐらい買えるお金は貰っている。どうしようかな。首元のスカーフと自前の襟巻きに引っかかるようにして、金臭いコインがぶら下がっている。太陽は明るく照っていて、これからぐんぐん暑くなりそうだ。
     よし決めた、とアルは呟いた。きのみには日除けがしてあるし、保存も効くらしいのだけれど、暑さにやられて味が悪くなる前に買って食べるに如くはない。そんなことを考えて、本当は一匹で買い物をするという経験を早くやってみたかっただけなのだけれど、とにかくアルは一歩前に出て、きのみの店の主が気付くよう、声を出そうとした。
     とそこで、店の隅の隅、きのみが籠ごとに分けられたその影で蠢いているそれを発見した。

     それは行儀悪く、体ごとモモンの実の籠に突っ込んで中身を漁っていた。柔らかいモモンは浅い籠に広げるようにして置いてあったから、それにも手が届いたのだろう。ぴちゃぴちゃとモモンの果汁が四方八方に飛び散り、甘ったるい匂いがそこから拡散して、アルの鼻は砂糖の霧に迷い込んだみたいに麻痺してしまった。
    「何やってんの?」
     アルが甘い匂いに目をショボショボさせながら、それに問うた。それは今取りかかっていたモモンの実から顔を上げ、アルの方を真っ直ぐ見た。
     茶色い体に白の襟巻き、狐のような大きな尻尾。特徴を見ればアルにそっくりだし、それはアルと同じ種族のイーブイであることは間違いなさそうだった。けれど、
    「……小さい」
     思わずアルはそう呟いていた。
     アルもイーブイとしては小柄な方で、平均の半分かそれぐらいしかない。しかし、目の前にいるイーブイはアルよりもっと小さかった。高々十センチかそこら、人間の手の平に軽々と乗っかりそうな大きさだ。
    「ノナゥは小さくてもいいんでしよ!」
     ぱっとそれが声を上げた。耳が痛いくらい高い声で、キャンキャン騒いでいた。
    「小さいからちょっとくらいつまみ食いしてもバレないじょ」
     そう言って、再び眼前のモモンの実を食らう作業に舞い戻る。
    「ちょっと、つまみ食いなんていけないだろ」
    「いいんでし。バレても“甘える”とか“嘘泣き”とかすれば誤魔化されるもんね」
    「ダメだったら! お店の物、勝手に食べちゃ!」
     アルが声を大きくした。それに気付いたのか、お店を出している人間がアルたちの方へやってきた。
    「ノナゥ、知ーらない」
     話し方からして恐らく一人称も名前も「ノナゥ」というらしい、小さなそれはモモンの籠の中でそっぽを向いた。明らかに現行犯である。人間もそれが分かったらしく、アルの方を一旦見てから、ノナゥを籠からつまみ上げた。
     それでもノナゥは肝が座っているというかいけ図々しいというか、人間の文字通り手の上にあって、焦りの顔も見せずそっくり返っていた。その余りの図々しさに、思わずアルが飛び出して「ごめんなさい」と言っていた。
    「こいつ、ちょっとルールとか分かってないみたいなんだ。オレが後でちゃんと教えとくから」
     ポケモンの言葉は人間には通じないけれど、アルは声を張り上げてそう伝えようとした。人間は気のない声でふん、と言った後、手の上のちびを指先で撫で始めた。
    「ごめんなさいでし。お腹がとっても空いてたんでしよ」
     何故だか人間の言葉を流暢に離すちびイーブイがそう言うと、人間は「仕方ないなあ」と言う代わりに顔を綻ばせていた。
     それを吉とばかり、ノナゥは小首を傾げて「悪いことをしたのは分かってるけど怒られたら困るなあ」みたいな顔を作ってみせた。目もちょっぴり潤んでいる。なるほど、先に言った通り“甘える”や“嘘泣き”で誤魔化すわけか。そうは問屋が卸さないはずが、あっさりと人間はノナゥを手の平から下ろし、「もう盗み食いするなよ」と言って放免してしまった。
    「分かったでし」
    「あと、これ」
     サービスだよ、と言って人間がモモンの実を一つノナゥに渡した。体ほどもあるきのみを受け取ってフラつきながら、ノナゥは「ありがとでし」を連呼していた。
    「ほら、君にも」
     人間が事の次第をずっと見ていたアルにも、モモンの実の餞別を寄こした。アルが首を横に振っても、「いいから」と譲らない。せめてもの埋め合わせに、スカーフに挟み込んであった硬貨を籠の中に落として、モモンの実を入れ替わりにスカーフに挟み込んだ。
    「モモンの実、ありがと……あ、こら、ちょっと!」
     事の発端になった癖に、平然とその場を後にするちびを追っかけて、アルも祭りの喧騒から離れる方へと駈け出していった。

    「なんで追いかけて来るんでしか?」
    「なんでって……」
     ノナゥはニシカの大学から外れた方、普段から人通りの少ない路地の端っこに座っていた。
     先程貰ったモモンの実はノナゥの口元と匂いにその痕跡を留めるのみになっていた。この小さな体のどこに入っているのやら。呆れながらもアルは用件を口にした。
    「あのさ、あんな風に他人の物を勝手に食べちゃいけないよ? 今回はたまたま許してくれたけど、いつだってそうとは限らないし、それに行儀が悪いよ」
    「ノナゥは誤魔化せるでしよ」
    「そうじゃなくてさ」
     アルの説教に飽きたらしく、ピコピコと歩き出したノナゥの横に並びながら、アルは言葉を続けた。
    「君さ、人間の言葉が上手だし、人のポケモンだと思うんだけど。やっぱり、だったらさ、いけないよ、盗み食いするのは。ノナゥは気にしないかもしれないけど、オレは、人のルールを守るのは大事だって思うよ。オレたち人の傍で生きてるわけだしさ」
     ノナゥの耳がパタパタ揺れた。聞いているのか、聞いていないのか、その丸くて黒々とした瞳からは判断が出来ない。
    「ノナゥがルールでし」
     ちびはそう言って、道の真ん中にぽんと飛び出した。そして、たまたま通りがかった女の子の気を“甘える”のと同じ要領で引いて、その手に持っていたモモンの実をぱっと取り上げ、すかさず飲み込んでしまった。
    「ちょっとノナゥ――」
    「何すんのよ、このチビ!」
     女の子というのは仮の姿で中に雷親父でも入っているのかと見紛う剣幕で、女の子はスカートがまくれ上がるのも構わずノナゥを踏み付けた。容赦のないスニーカーの平底がノナゥを襲い、その一撃でノナゥはきゅうとなった。
    「ああ、もうどうしよう!」
     ノナゥを踏み付けた女の子は、今度は真っ青になって細い路地の方へ入っていった。尋常ではない様子だった。
     気になったアルは、ひんし状態で道に転がっていたノナゥを口に加え、スカーフにモモンの実が挟まっているのを確認してから、女の子が消えた方へ、電光石火で駈け出していった。

     路地の奥の方には、たくさんのゴースと、一匹のムウマがいた。ムウマを心配そうに見つめる女の子の、遥か上の方にゴースがかたまっている。女の子もゴースたちも誰もが困り顔で、その渦中のムウマだけは、ただただ苦しそうに息を吸い、吐き、していた。顔色がおかしい。妙に赤紫がかっている。毒を食らっているのだ。
     ムウマたちに近付こうとしたアルの前に、ゴースたちが立ち塞がった。
    「やっつけに来たんじゃないよ」
     ノナゥを口から離して、アルはゴースたちにそう言った。ゴースたちは、普段は凄みがあるだろう三白眼を昼の光に所在なげに晒して、不安げな表情をした。しかし、アルを通さないことで事態が動くとも思えなかったのだろう、すぐに道を通してくれた。
    「ありがと」
     ゴースたちは野生らしい。この街の匂いがした。ずっとこの街にいて、街と匂いが同化してしまっているのだ。
     対して、毒を食らっているムウマの方は、ゴースたちよりも人間じみた匂いがした。今ムウマの傍にいる女の子とは、また別の香りだ。
    「捨てられた。ムウマ、子ども」
     アルの頭に浮かんだ疑問に答えるように、ゴースの中の一匹が口にした。
    「世話した、でも……」
     そこまで言って、目を伏せる。きっと、ゴーストタイプ同志のよしみでムウマの面倒を見てやろうとしたのだろう。しかし、何かの弾みでゴースの体の毒がムウマに回ってしまった。
    「これから気をつければいいよ」
     殊に落ち込んでいる一匹――恐らくムウマに毒を盛ってしまった張本人――に声を掛け、アルは路地の奥へ進んでいった。
     女の子は可哀想なほど取り乱していた。よく見てみれば、かなり幼い。小学校には入ったろうが、まだトレーナー免許を取れる歳にはなっていないと断言できる。
    「どうしよう」
     堪え切れなくなった涙が、一粒二粒、女の子の鼻先を伝ってムウマの頬に落ちた。ムウマが薄く目を開いて、口角を上げる。女の子はポケモンをゲットできる歳ではないし、ポケモンセンターはここから距離がある。動かすのはまずいからと女の子自らが走って買ってきたモモンの実は、さっきのアクシデントでなくなってしまった。八方塞がりだ。
    「どうしよう」
     もう一度呟いた女の子に鼻面を押し付けて、アルの方を向かせた。アルがスカーフの中に優しく挟んだそれを見て、女の子の顔に血の気が戻った。
    「それ、モモンの実だよね? もしかして、分けてもらえるの?」
     アルは了承の印に、モモンの実をスカーフから転がして出して、ついでに鼻先でムウマの方に押しやった。
    「よかった」
     女の子はモモンの見に飛び付いて、それを指で小分けにしようとしてグチャグチャにしながら、ムウマの口に運んだ。見る見るうちにムウマの顔色が元の、夜空みたいな青っぽい黒に戻り、ムウマが目を開く。まだ体力は戻っていないようだが、ムウマは元気そうにヘヘヘと笑ってみせた。
    「ありがとう、イーブイくん」
     お礼を言う女の子に尻尾を振って、アルは足早にその場を立ち去った。後は女の子とムウマとゴースたちの問題だと思ったのだ。
     路地の出口で不貞腐れていたノナゥをひょいとつまみ上げ、アルは路地を後にした。

    「ノナゥはちょっと悪いことしたでし」
     ポケモンセンターの道すがら、アルの背中に乗って揺られているノナゥがそう呟いた。ポケモンセンターでトレーナーが待っているらしい。ゴースたちがいたあの路地からポケモンセンターまで、遠いのは知っていたが、いざ歩いてみるとかなりの距離があった。当然、話す時間もたっぷりある。
    「しっかり反省して、もう盗み食いなんてやっちゃだめだよ」
     盗み食いより、ちゃんとしたご飯の方がきっと美味しい。
    「トレーナーさんがノナゥのご飯を用意して待ってるんだろ?」
    「用意してないかもしれないじょ」
     背中に乗っているノナゥが、顔を上げる気配があった。
    「でも、帰るんだ」
     ノナゥがコクリと頷いた。

     その日、お腹ペコペコの状態で戻ってきたアルの前に、豪勢な菓子折りが差し出された。なんでも、氷を被った小さな竜が運んできたとか。入っていたのはお菓子と、小さなメッセージカードが一枚。
    「何かいいことしたの、アル?」
    「後で話すよ」
     アルはお菓子を後回しにして、パートナーが用意したご飯にがっついた。
     パートナーの彼女はそんなアルを見て微笑みつつ、メッセージカードに目を通した。

    『空色のスカーフの騎士へ
     ご飯が美味しくなったお礼に』





    **あとがき

    いつかの閲覧チャットで頂いた「アルとノナゥ」というお題です。
    アル、というのは拙作「イーブイの空を飛ぶ!」にて主役を張っているイーブイの名前であります。不甲斐ないかな、肝心の本編が一話しか書けてない故、仲間の名前も全て伏字となっております。ニシカってどこだよと思った方、もう何も聞かないでください。

    【描いてもいいのよ】
    【批評してもいいのよ】
    【十年後にはニシカに着いてるといいなあ】


      [No.1257] ポケットチキン 投稿者:スズメ   投稿日:2011/05/31(Tue) 19:22:01     63clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    感想ありがとうございます!
    コンビニで食べてきました、フライドチキン。
    一瞬ポケットチキン(脳内変換にてポケモンチキン)と見間違えてびっくりしました。

    個人的にフライドチキンはファミマが一番な気がします。
    読んでくださり、ありがとうございました!

    そしてもう一つ、焼き鳥屋さんは強かった。最初は焼き鳥屋さんが返り討ちにあって、ポケモンには
    生身なんかで向かっちゃいけませんってはなしにしようと思っていたのがなぜか、焼き鳥屋さん大勝利。
    ・・・あれー?


    後日談。
    焼き鳥(生)と格闘していた焼き鳥屋さんの動画がとあるサイトにアップされて注目されたとか。


      [No.1235] うむ。(ロスタイム一週間) 投稿者:渡邉健太   《URL》   投稿日:2011/05/27(Fri) 00:25:46     73clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    >No.017さん

    いまから10作品……。
    まあ、ロスタイムが自分の時計だから、気楽にやればいいと思う。

    企画者は、企画という閉じた世界では神だから(笑)。

    またチャットで発表はやるのかな。
    日曜日は遅くなるかと思うけど、やってたら顔出します。

    ぜんぜんリハーサルできてないけど、雨のおかげでスタジオから割引きメール来た。
    久しぶりにギター弾いてくるぜー。(←本番前日)


      [No.1214] 俺のブラック螺旋な日記 ※唐突BAT END 投稿者:音色   投稿日:2011/05/22(Sun) 16:26:07     165clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     彼女は強かった。
     真実を求める白い英雄に選ばれた。そして理想の黒い英雄の僕と戦い、勝った。
     ただ彼女は選ばれたことを放棄した。
     英雄であることを拒んで、僕と戦った。


     ライトストーンから復活したレシラムをボールに収めた彼女は、一度だけ彼を外に解き放ち、一言二言レシラムに語りかけた。
     よくは聞こえなかった。ただ白いドラゴンの『承知した』と言う言葉だけが耳に残り、彼はボールに戻り、そして小さくなった。

    「どういうつもり?」

     ポケモンの入ったボールが小さくなる。その意味は、ボックスに入る、という事だ。
     つまり彼女は

    「レシラムは使わない」

     そう言って、彼女はただのトレーナーとして、ボクに勝負を仕掛けた。


     そして彼女は勝った。ボクが初めてゼクロムと会った塔の名前を持つトレーナーは、あくまでも英雄ではなく、自分の仲間たちと勝利をおさめた。
     元々無口な彼女は、勝利した後でもなにも語らない。
     
     
     そのあとのことは、嵐のように過ぎ去った。

     語られるゲーチスの野望、彼女とゲーチスのバトル、そして、

     崩れ落ちるラセン。


     彼女とゲーチスの最初のポケモンは奇遇にも同じデスカーンだった。
     ラセンのデスカーンはボクのゼクロムを倒す程のレベルではあったけれど、どくどくを喰らい、守りに入るゲーチスのデスカーンとシャドーボールの乱れ撃ちで会い打ちとなった。

     飛び出してきたバッフロンに対抗して彼女のダゲキはインファイトで吹き飛ばす。
     持ちこたえそうになった相手に素早くもう一発をお見舞いすると同時に、飛んできたワイルドボルトにはじかれ彼女は彼を素早く入れ替えた。

     戦闘時には普段のおっとりした様子が一変するワルビアルのダメ押しに、交代で出てきたサザンドラが波乗りで押し流す。
     相性もあって弱り切る彼を彼女は静かにボールに収め、スピードで勝るペンドラ―を繰り出した。

     ここまでは互角に近かった。むしろ、彼女がゲーチスを押し切っているようにさえも見えた。
     そして、螺旋が狂いだしたのは次の瞬間からだ。


     メガホーンで押し切ったはずのサザンドラは持ちこたえ、大文字に焼かれたメガムカデポケモンを彼女は戻すためにボールを取りだし動きが止まった。その瞬間をゲーチスは狙った。
     彼女を守るポケモンが場にいない中、ヘドロウェーブが無防備なラセンを襲う。
     毒の波をかぶって柱に叩きつけられる。チャンピンも、チェレンというトレーナーも、そしてボクも何もできなかった。

    「言ったはずですよ、邪魔なモノは排除すると」

     サザンドラの後ろに控えるガマゲロゲが笑っている。卑怯だと声が上がる中、彼女のボールから咆哮が上がった。
     残りの三匹が飛び出してくる。指示が出せない主人に代わって。

     サザンドラとガマゲロゲの双方から濁流と波乗りが合わさる。相性が一番悪いのを分かってか、ドリュウズは即座に穴を掘り回避に専念した。
     残り体力が危ういダゲキを庇うように彼女の最高の相棒がグラスミキサーを発動する。
     気付けば彼女は立ち上がっていた。ヘドロ塗れの体はそれでも彼等に指示を出す。

     全ての波が緑の渦に弾き飛ばされ、サザンドラにドリュウズの一撃。堕ちるドラゴンの後ろからキリキザンが飛びだす。
     辻斬りと切り裂くがぶつかり合う中、ジャローダのリーフブレードがラセンを襲った毒蛙にお見舞いされる。
     ダゲキのローキックがキリキザンの止めとなったその瞬間、彼はアクロバットで吹き飛ばされた。

     シビルドンが勝ち誇ったかのように電気をまき散らす。エースのプライドか、はたまた不意を突かれたのが悔しいのか、火炎放射を喰らい倒れてもなお立ち上がるジャローダ。
     特性のおかげで得意の地震が当てられない中、岩雪崩で会い打ちを狙って、火炎を喰らいドリュウズも倒れた。

     ここまでくれば、赤子にだって分かる。

     ポケモンが毒や火傷といった症状でも軽症で済むのはその強靭な肉体のお蔭であって、人が同じ物を受ければどうなるか。

     彼女は確かに並みのトレーナーよりも体力があった。しかし、それでもボクとの戦いにおいて消費しすぎていた。

     ジャローダが最後の力でシビルドンに抵抗するのと同時に、彼女はゆっくりと崩れ落ちた。


    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
    余談  昨日ついうっかりでブラックをクリアしてからわき上がった妄想。

    ゲーチス「ワタクシはアナタの絶望する瞬間の顔がみたいのだ!」…のセリフで来た。色々と来た。「じゃあ主人公絶望させようか」となった。

    ゲーチスさんマジ最高。

     バトルの中身は半分本当です。
     にしてもラストバトルで手持ちにレシラムいないってどういう事(爆)

     ハイパー俺得です。スライディング土下座しておくね

    【主人公の名前はラセンです】
    【なにしてもいいのよ】


      [No.1193] シロナさん素敵!と叫ばずにいられない 投稿者:ラクダ   投稿日:2011/05/15(Sun) 22:06:36     58clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    まさか、チャット時の「リクエスト…じゃあ四天王で」「縛りはそれだけで?」「ならハーフパンツもw」「了解です」「マジですか!?」が、マジになるなんて……なんと素晴らしい!

    しょっぱな、『ポケモン協会には服装規定がある。しかし、この規定は協会に属するチャンピオンや四天王には適用されることがない。』でまず笑ってしまいました。確かにぶっ飛んだ格好の人多いよなぁ、と。でもまあ、それ言ったらシロナさんまともな人だし、その人がハーフパンツ履いたところでそんなに変では無いはず……。

    変ではなかった、変では無いが違和感ありまくりだった!
    同じ場に居合わせた、ポケモンリーグ協会の皆様に激しく同情しました(笑)これはツッコミたい、でもそんなことできないよ…!

    四天王の二人登場で解決されるかと思いきや。彼らの逃げっぷりと職員達の悶々ぶりに爆笑。その緊迫の最中、元凶のシロナさんがヒメグマTシャツ&ハーフパンツ姿で、暢気に天ぷら蕎麦待ちながらポケフーズを選んでいる姿を想像して……ww

    先鋒のリョウさんに相当同情しつつ(仰け反った!)、シロナさんの「貰い物を一度は着てみようと思って」という返答に脱力しつつ。
    似合ってなかった?に「「「「「「似合ってますけど!」」」」」と、とうとうツッコんでしまった皆さんに激しく同意しつつ。
    ……某アフロさんの出番がカットされた理由に思いを馳せてニヤリとしつつ。

    存分に楽しませていただきました。リクエストを受けてくださり、本当にありがとうございました!



    追伸;きとかげさんが描いてくださっている…!これは破壊力抜群だwwwシロナさん本当に素敵過ぎる……!!


      [No.1172] 千年星の七日 投稿者:紀成   投稿日:2011/05/10(Tue) 22:05:53     45clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    あるところに 千年彗星という 千年に一度だけ現れる巨大な流星がありました
    その力を受け 千年に一度目覚める 不思議なポケモンがおりました
    そのポケモンは 星の力を授かり 人々の願いを叶える力を持つといいます

    さて 千年に一度といいますが 正確には 千年に一度 『七日間だけ』 目を覚ますのです
    何度かの目覚めの期間に 彼は思いました
    自分が寝ている間にも 宇宙は在り続けている この千年の間に どれだけ変わったのだろう

    ポケモンは彗星に乗って様々な星を回る旅に出ました 七日だけですから 全ての星を回ることは出来ません
    でも なるべく多くの星を回ろうと思っていました 自分が眠っている間にどんなことがあったのか
    教えてもらおうと思ったのです

    まず最初に来たのは 真っ赤に燃え滾る星でした 地表は熱い炎で覆われ 陽炎で遠くは見えません
    地に降り立てばあっという間に熔けてしまうでしょう
    ポケモンはなるべく地から離れて移動しました すると 大きな岩の上に 一人の少女が座っているのが見えました 右目に仮面をつけています
    少女は何もせず 黙ってその燃え滾る星を見つめていました
    「こんにちは」とポケモンは言いました
    「こんにちは」と少女も言いました
    「ここは何の星なの?」「星?」「だって銀河に浮かんでいるじゃないか」
    少女はクックッと可笑しそうに笑いました
    「そうだね 星かもしれないね ここは太陽に近い とても熱い場所なんだ 分かる?
    太陽に愛されない者は冷たく凍りつき 反対に狂うほど愛されている者はこうなるんだ」
    フレアが少女に襲いかかりました ですが 少女には傷一つつきません
    「どうして君は火傷しないの」
    「炎に対するくらい 冷たい何かに守られているからだよ この炎は私に触れることすら出来ない」

    次にポケモンがやって来たのは クリーム色の星でした そこには一人の女性がいました
    「あら 久々のお客様」とその女性は言いました
    「話し相手がいなくて 寂しかったの 少しだけ相手になってくれる?」
    「いいよ」とポケモンは応じました
    「ここにはかつて 私を入れて三人が住んでいた でもある事から 別の場所に移っていったの」
    「君は追いかけなかったの?」
    「彼らが望む場所は 私の望む場所じゃなかった 身体を壊したりして迷惑をかけたくなかった
    ただそれだけよ」
    女性は儚く笑いました それは美しくも在り そうしか出来なかった自分への嘲笑のようでもありました
    「貴方は何処へ向かうの ここもすぐに朽ちてしまうわよ」
    「こんなに綺麗な星だけど」
    「幼い時からの癖なの なんとなく ね」

    次にポケモンがやって来たのは 美しい緑色の星でした そこには可愛らしい少女がいました
    「僕は千年眠っていたんだ その間にあったことを話してよ」
    「千年…ですか」と少女はオドオドしながら言いました「私がここに来たのは三百年前なんです」
    「その前は?」
    「遥か銀河の彼方にある 大きな星に住んでいました でもそれも二百年前に 滅んでしまいました」
    「どうして?」
    「皆が皆 同じ考え方だったからです 生物の誕生にもあるように 単純な構造は いつか破滅を招きます」
    「そうなの」
    少女は抱いていた草蛇のぬいぐるみを抱きしめました
    「ここに一人でいて 寂しくない?」
    「いいえ… と言えば 嘘になります 食べ物も水も空気もあります 住むには申し分無い環境です
    でも 友達がいません」
    「じゃあ 僕が友達になってあげるよ 千年待ってくれる?」
    「はい ずっとお待ちしています」
    ポケモンと少女は握手を交わしました

    四番目の星は 少し変わっていました 紫色の星でした
    「おいしそうだね君 残念だよ 満腹じゃなかったら食べてあげたんだけど」
    赤い目の女性が 大量の骨の上に座っていました
    「僕は鋼だから美味しくないよ」
    「そう でも多少の足しにはなりそうだね」
    女性は側にあった白い骨を齧りました
    「僕はね 他人が嫌いなんだ 愚かで脆弱な奴らなんて この骨と同じくらいどうでもいい物
    この骨を砕こうが 折ろうが 踏み潰そうが 僕の心は揺るぎもしないよ」
    「どうして嫌いなの?」
    「好き嫌いに理由も無いさ 僕が愛してるのは たった一つだけ」
    女性はポケモンの小さな手を取って自分の胸に当てました
    「聞こえる?この中に もう一つ生き物がいるんだ 孕んだわけじゃない ただ 彼は追われていた 僕は彼を守ると決めた 僕と彼は歪んだ愛で結ばれてる この身体を引き裂けば 彼は怒り狂って裂いた相手を殺すだろう
    それでいいんだよ」
    ポケモンは寒気がしましたが 不思議と嫌悪は感じませんでした

    五番目に来た時 ポケモンは疲れていました
    「長旅ご苦労様 何も無いが 休んで行ってくれ」
    一人の男が岩で出来た椅子に座っていました ポケモンはその側にあった小さな椅子に座りました
    「君はここに一人で暮らしてるの?」
    「いや あと二人いる だが今は留守だ」
    「どんな人?」
    「ひと言では言い表せないな …性格は歪み無いな 多分」
    男は疲れているようでした ポケモンよりも ずっと
    「何かあったの」
    「悪い夢を見たんだ あまり思い出したくないし 言いたくない」
    それを聞いて ポケモンは何も言いませんでした
    「君は何処から来たんだ」
    「何処からって訳じゃないんだ ずっと銀河を旅してきた」
    「いつからかな」
    「千年」
    男は驚いた顔をしましたが 冗談には聞こえなかったようです
    「長いな」
    「ねえ この千年の間に 何かあった?」
    「私はあまり時間については詳しくない …別の人に聞きなさい」

    六番目に来た時 ポケモンは既にあと二日で眠りにつく頃でした
    その星は何処か奇妙でした 白と黒が混ざり合った マーブル模様のようです
    「おや 久々のお客様だ」
    男がステッキを持って立っていました 時折顔のビジョンがぼやけて 幾つなのか分かりません
    「ねえ 君はいつからここにいるの」
    「さて いつからでしょう あまり時間にはこだわらないので」
    「どうして?」
    男はシルクハットを被りなおしました
    「世界の何処にいても 時間は平等に流れます 時差があっても かならずその日はやって来る
    千年 一万年 一億年経っても それはきっと変わりないでしょう
    勿論 星に住む者達がいなくなったとしても」
    ポケモンは銀河を見つめました 色々な星が輝いています
    彼らも 悠久の時を歩んで来たのです
    「貴方は これからどうするのですか」
    「もう一つ行って見るよ」
    「そうですか お気をつけて」

    最後の星に着いた時 ポケモンはあと一時間で眠りにつかなければなりませんでした
    綺麗な黒い星には 銀色の髪をした美しい女性が星達を眺めていました
    「はじめまして ここに住んでるの?」
    「はじめまして? ううん 君と私は初対面じゃないよ」
    そう言ってポケモンの顔を見た女性は 右目に仮面を付けていました
    「あ」
    「一番目の星で会ったね 千年彗星の王子様」
    彼女は美しく成長していました 最初に会った時の面影は僅かです
    「どうして君が」
    「私にも分からない ただ これが未来の私なんだろうね 長い長い宇宙を旅するうちに 時間の感覚がおかしくなってしまったみたいだ」
    ふと彼女がポケモンを見ると ポケモンは欠伸をしていました
    「もう眠るのかい」
    「うん ごめんね あんまり話せなくて」
    ポケモンの身体が光に包まれます
    「じゃあ 私の願い 聞いてくれるかな」

    彼女はポケモンの短冊にそっと キスをしました

    「君が千年経っても 一人ぼっちじゃないように」

    眠り繭の状態になったポケモンは 彗星と共に 暗い宇宙に消えていきました
    「おやすみ 良い夢を」

    何処かで 彼は旅を続けています
    また千年後 誰かにめぐり合えるように

    ――――――――――――
    [描いてもいいのよ]


      [No.1148] モミジム三連戦  3/3 投稿者:音色   投稿日:2011/05/05(Thu) 15:40:10     46clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    「ほいじゃあ、ラストはうちじゃけん。 好きなところからかかってきんさい」

     ジョウ、ケンタのバトルが終了し、最後の挑戦者がバトルフィールドの前に来た。うーん、えぇ目しとるなぁ。
    「あんた、名前は?」
    「えっと・・コウジです! よろしくおねがいします!」
    「うちはセトナゆうんよ。 使うのは『水』じゃ」

     貴方に勝ってジムバッチをもらいます、とまぁえらい自信たっぷりに宣言しょうるなぁ。
     ま、ええわ。その自信、片っ端からしばきあげたろう。

    「ジョウ! ちょいこのままじゃとうちバトルするのいたしぃけぇ、いつものに変えてくれんかねぇ?」
    「お? おぉ、ええでぇー。 ちょい待っときぃな」
    「?」

     すでにボール持ってスタンバイしょうたコウジ君にはわりぃけど、うち、海べたの方がやる気出るんよねぇ。
     ガコン ゆぅ派手な音がしてバトルフィールドの半分が割れた。潮の香りがぎょーさん流れ込む。
     瀬戸内海直通の海のフィールドのいっちょ上がりじゃ。

    「じゃ、始めよか。  フカまる、気張ってきんさい!」

     うちがボールを投げる。先方のフカまるは今日もちょーしーようじゃねぇ。

    「ちょ、ちょっと待ってください!」
    「どしたん?」

     なんなん、これからバトルするっちゅーに向こうがストップかけてきようた。

    「ふ・・“フカマル”って、それサメハダ―じゃないですか!?」
    「ほじゃけぇ、“フカ”じゃって。 なにがおかしぃん?」

     なんかすべったころんだようるけど、早くそっちのポケモンだしんさいや。
     追い打ちかけたら、ようやくボール投げよった。うちはどんがめみたいなんは嫌いなんじゃけどなぁ。

    「・・まぁいいや、メガニウム、頼んだ! 『マジカルリーフ』!」

     初っ端からきついのぶつけてくるの。出だしがいきなり必中技かい。
     ま、いつもいつもベンチめげさすアスベストの『ぼうふう』よりゃマシかねぇ。

    「フカまる、『こうそくいどう』じゃ」
    「連続で『マジカルリーフ』!」
    「もぐりんさい」

     飛沫を立てて水の中に影が沈む。標的を見失った葉っぱはばらけて沈んだ。
     おんなじ手をくりかえしゃあこっちだって対抗策考えるのを分からんのかねぇ?
     水の中ならこっちの物、さ、どう出るん?

    「『にほんばれ』だ」

     日差しがきつくなる。ほう、おもろいことするねぇ。意外とおぞいんじゃのう。
     ここから考えられる手は2つじゃが・・ま、まずは仕掛けてみますか。

    「ほいじゃあ・・『アクアジェット』」

     水中から出てきたフカまるに向かって飛んできた指示は。

    「『ソーラービーム』を叩きこめ!」

     ほらきた。おひさんを強くしたおうちゃくもんが撃ってくるでぇ。

    「フカまる、そのまま突っ込みんさい」
    「え!?」

     トレーナーの反応はポケモンの反応。ほらほら、呆然としとったらおおごとになるでぇ?
     ソーラービームが貫いた水流の中身が砕け散る。
     メガニウムの真下からフカまるが飛びあがった。

    「『こおりのきば』じゃ!」

     喉笛に喰らいつく。そのまま大輪の花を咲かせたポケモンはぶっ飛んだ。
     たぶん、目ぇまわしとるでぇ。

    「いつの間に『みがわり』なんて・・」
    「なにを言うとるん? 指示を出さんでもうちのやりたいことを分かってもらわなぁ」

     ほい、次のポケモンだしんさいや。促されてだしとったら遅いでぇ。
     お、ボール投げた。なにが出てくるじゃろ?

    「エレキブル、よろしく頼む!」

     うあちゃー、本気で相性でしばきに来るんかこの子。ほんま、挑戦者ってのはそういうのばぁじゃなぁ。 
     こちとら、それを覆してなんぼじゃけぇなぁ。手加減はせんでぇ。

    「フカまる、『こうそくいどう』」
    「エレキブル、『でんじは』!」

     いけんなぁ、麻痺させられおった。速度を上げてもこいつはきついなぁ。
     けどもこの程度で速度を封じたとは思わせんで。

    「『アクアジェット』じゃ!」
    「『ほうでん』!」

     突っ込むフカまるに電撃が飛ぶ。けど、一撃でやられるような奴じゃ・・。
     って、目ぇまわしとる!

    「生憎と、『ソクノの実』は『どろぼう』で取っておきましたよ」
    「やられたの。  こが―にやられたんは久々よぉ」

     さっきのお返しってわけかい。いつのまにがめられたんじゃろう?これじゃけぇ、バトルはおもろいわ。
     けども、負けるわけにはいかんけぇな。ここでやられたらジョウとケンタの分まで駄目にしてしまうわ。
     そ、れ、に、この程度の子に切り札を出すようなものでもなかろうに。

    「フカまる、お疲れさん。  さて、次の子じゃけど・・、あんたにだすんはもったいないわ」
    「へ?」
    「気ぃ変わった。今日は切り札じゃのうてこっちの子で勝負したるわ。出といで、ビンゴ」

     出てきたポケモンに本日二度目の呆然顔。なんや、ごーいる子じゃねぇ。
     あ、それともうちが海の方じゃのうて陸の方に出したからほうけとるんか?

    「おいセトナ―、せわーないんか―?」
    「ラフィの方出さんでいいんか?」
    「心配いらんって。 任せとき」

     ケンタもジョウも、そんなにミズゴロウじゃと不安なんかねぇ?

    「・・ふざけてるんですか?」
    「なにがぁ」
    「切り札じゃないってことは、本気じゃないってことでしょ!?」
    「るさーなぁ・・。 なんじゃかんじゃ言うとる暇があったらちぃとは戦ってから言いんさい!」
    「・・っ!  わかりました。 エレキブル、『ほうでん』だ!」
    「『どろあそび』じゃ」

     電気技が来ることは端っから分かっとるちゅーに。
     ま、それが分からんゆーことは相当頭に血がのぼっとるなぁ。そんなんじゃリーグバッチはまだまだ渡せんねぇ。

    「『れいとうビーム』」
    「『でんじは』で動きを止めろ!」

     なんじゃい、またか。地味に嫌じゃな、麻痺。

    「とどめの『かみなりパンチ』!」

     おー、強力なのぶちかましに来たなぁ。

    「ほじゃけど、それが決定打になるんはうちの方じゃ」
    「え!?」
    「ビンゴ、盛大にしごぉしちゃれ!『カウンター』!」

     返し技は向こうが与えたダメージがでかけりゃでかいほど、こっちの規模もでかい。
     となれば・・、決まったの。

    「それみぃ、うちの勝ちじゃ」

     ぶっ飛ばしたエレキブルの上で、ビンゴが楽しげにはねとらぁ。

     

    「「「ありがとうございましたー・・」」」

     あーあぁ、全員項垂れとらぁ。ちょいやりすぎたかいねぇ?

    「まぁまぁ、そんな顔せんの。いつでもいいけ、またきんさいや」
    「ワシらはいつでもここにおるけぇの」
    「そうそう、と言っても、次来た時は全員で三連戦だから覚悟しておいてね?」

     あ、三人ともいびしぃ顔した。

    「あの、一つ聞いてもいいですか?」
    「なんなん? えーっと、・・アキちゃん」
    「ラフィ、ってなんのポケモンなんです? 切り札、って言ってましたけど」
    「あ、俺もそれ気になります」

     顔を合わせて苦笑する。あの状況でラフィを出したら、完全な虐めになってしまうじゃろうけぇビンゴの方をあえて出したんよなぁ。

    「ラグラージなんよ」

     あのエレキブル、確か電気技しか攻撃技をもっとらんかったよなぁ?




     とある5月5日の、モミジシティ、モミジムの話。
    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
    余談  お二人は事前に書いてあっただろうにたった一人だけその日のうちに書きあげるという暴挙。
    執筆時間やく2時間半です。 はい、ハイパー低クオリティでごめんなさい。
    なお、実際にこっちのほうでは『サメ=フカ』ですんで、標準訳したら『フカまる』は『サメまる』君ってことだよ。なんか文句あるゆうじゃったらぶち回すけぇ覚悟しときぃや? うそです。

    あとミズゴロウは完全俺の趣味です。あしからず(笑

    【これにてモミジム三連戦終了です!】


      [No.1127] 【再投稿希望はこちらに】ポケストの中心で愛を叫ぶスレ 投稿者:   《URL》   投稿日:2011/05/03(Tue) 20:11:21     56clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    難しいこと抜きで、

    ・再投稿されてない作品に愛を叫んだり
    ・再投稿してくれと愛を叫んだり

    するスレです。

    対象はログ消失分だと思うんですが、この際だから何にでも告白すればいいと思うよ。

    なお、このスレに希望が上がったからといって、作者様に再投稿を強要するものではありません。そのあたりはご了承の程を。あしからず、ってね。

    あと、再投稿する際は鳩氏が作ったルールに準じてください。(http://masapoke.sakura.ne.jp/lesson2/wforum.cgi?no=1114&reno= ..... de=msgview)このスレに返信ではないのです。



    このスレは

    ・再投稿されてない作品に愛を叫んだり
    ・再投稿してくれと愛を叫んだり

    ・とりあえず愛を叫ぶスレであって

    ・作者様に再投稿を強要するスレではありません。あくまで“してほしいな”と希望を述べるスレです。
    っていうかのんびり再投稿してくださる方もいるし、ログ消えて傷心の方もいらっしゃるし、そんな焦らず、がっつかずに。

    ・愛が過ぎてログを保存してたぜ! って方も是非その愛を叫んでください。

    ・要するに愛を叫ぶスレです。
    ・愛を叫ぶスレです。
    ・愛を叫ぶスレです。

    大事なことなので二、三回言いました。

    それでは愛を叫びたい皆さん、どうぞ。


      [No.1104] Re: ぬおおおおおっ…… 投稿者:巳佑   投稿日:2010/12/28(Tue) 01:02:18     53clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    > あ、あと匿名で掲示板に置いて、事情書いてくれれば、掲載だけしてあとで本人確認とかも出来たかも……など、と。
    > とりあえずそういう時はコンテストスレで相談です。

    …………その手がありましたね。(汗)
    あぁ! 頭が固い自分が恥ずかしいですっ。(汗)
    PCメールが本当に超が付くほどの初心者なので、
    ……恐らく、次回、お世話になると思います。
    そのときはよろしくお願いします。



    > 次回がありましたなら、ぜひ。

    今、考えている物語の中で一つだけ、
    「次のお題を予想してみよう!!」
    ということでコンテスト用に
    暖めている作品が一つ、水面下で動いています。
    果たして、予想が当たるかどうか、今から楽しみにしてます。(汗)



    > 追記
    > どうでしょう。
    > ちょうど、字数オーバーで応募できなかった足跡もあることだし、
    > コンテストが終わってアーカイヴ掲載になる際には一緒に掲載する形では。

    え!?
    いいんですか!?
    もちろん、私はOKですよ。

    本当に色々と……ありがとうございます!


    それでは失礼しました。    


      [No.1083] 飛行訓練 投稿者:   《URL》   投稿日:2010/12/26(Sun) 05:17:29     42clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     五月十四日。

     ライモンシティの中心部から外れた閑静な住宅街、その上空を、遠目にも色鮮やかな鳥が翼を打ち振るって飛んでいた。
     鳥の背中には人影。おそらく、自身のトレーナーを乗せて飛んで

     バランスを崩した。


     トレーナーが体勢を立て直すよう指示するが、空中で左に傾いてしまった体は元の姿勢に戻る術を知らず、更に大きく傾き、首を下に向け、きりもみ回転を始めた。
     そうなると、体勢の戻しようがない。
     一組のトレーナーとポケモンはそのまま重力に従って、住宅街の固い地面にぶつかるものと思われた。

     しかし、ひとりと一匹の体は、空と地面の途中で透明な網に受け止められた。
     網はひとりと一匹分の運動量を受け取り、網が伸び切る限界、地面すれすれの、高さニアリーイコールゼロの地点まで伸びると、伸びた分を弾性力に変えて、今度は上昇を始めた。
     上昇し、最高点に着くと、今度は下降を始める。暫くそれを繰り返して、網の動きが微小な振動へと収束した時、空から落ちてきたポケモンとそのトレーナーは地面に降り立った。


     トレーナーの方は女性で黒いコートを着ており、真っ黒な髪の中に一房、紅色に染めた髪をいじっている。
     続いて降り立った、青黄の原色の羽に飾られた爬虫類と鳥の狭間のような姿をしたポケモンが、気難しそうに髪を触る女性を見上げて、謝るように鳴いた。

    「中々上手くはいかないもんだな、ロー」

     落下のショックを吐き出すように、女性は胸に手を当て、長い息をついた。そしてすぐ笑顔になると、

    「今日は随分長く飛べたな。どんどん上達してるよ」

     そう言って、原色のポケモンの、鱗に覆われた長い首を撫でた。
     ポケモンは嬉しそうな、けれどやはり申し訳なさそうな眼差しで女性を見た。

     女性の目の中には、隠し切れない、空への希求が輝いていた。



     五月十五日。

    「……どうしたんですか、その怪我」
    「落ちた」
    「ええっ!?」

     職場に出勤した女性は、後輩兼部下の質問に、必要最小限の言葉で答えつつ、自分のデスクについた。
     額と右頬には大きめの白い布が当てられている。色白で、他者から常々「美人だ」と評される顔に傷が付いているらしい。
     彼女はそんなことを爪の先ほども気にせず、左手の指先で左頬を掻く。
     そちらの手は無傷だが、右手の方は指の付け根まで包帯に覆われている。
     服の下もきっと傷だらけに違いない。
    「どこから落ちたんですか」
     と呆れた調子で部下が質問した。

    「ロー……アーケオスの背中からだ」
    「また落ちたんですか」

     いつものように淡々と、静かな声で答えた上司に、部下はやるせないという風にため息をついた。
     またですかと言うべきか、気を付けてくださいよと言うべきか、そもそもアーケオスに乗るのが危ないと言うべきか、部下が迷っていると、彼女の方が先に口を開いた。

    「安全対策はばっちりだったんだが、肝心の網が切れた」

     ばっちりじゃないですよね、と部下が嫌味を込めて言うが、彼女はどこ吹く風といった様子で、部下の言葉を丸ごと流した。
     彼女は肩の上に左手を伸ばすと、そこからポケモンを取り出してきて机の上に置いた。
     肩に乗るサイズの、小さなポケモンの代名詞であるバチュルが、酷く疲れた様子で彼女を見上げていた。

     通常、ポケモンの飛行訓練をする時は、テレキネシス――体を浮かせる技――を使えるポケモンを用意するか、下に安全ネットを張っておく。
     そのネットには丈夫で弾力性に富む虫ポケモンの糸を使うことが多いのだが。

     机の上に置かれたバチュルは、心なしか痩せ細って見える。

    「酷使するからですよ」
    「かもな」
     本当にそう思っているのかどうか、推し量り辛い調子で部下の言葉に答える上司。
     その彼女はデスク上に置かれたパソコンをいじっていたが、急にマウスを投げると、部下に顔を向けた。

     顔を輝かせ、いつになくはしゃいだ様子で上司は言った。
    「そうだ! ノクティスも空を飛べるだろう? ちょっと訓練に付き合ってくれ、キラン!」
    「ええ!? なんでですか、それより仕事してくださいよ!」
    「ローが飛べるようになったら、いくらでもやるからさ」

     彼女は有無を言わさず、一度は脱いだコートを手に取ると、バチュルを手に持って、部屋から職場に隣接した青空道場へと駆けて行く。
     その速いことといったら、特性の早足が発動したグラエナのようだ。

    「もう、レンリさんは全くもう……」
     部屋に残されたキランも、仕方なく自分の上着とモンスターボールを持って、道場へ向かった。


     アーケオス、さいこどりポケモン。
     大昔に生きていたとされる始祖鳥のポケモンで、地を駆ける恐竜から、いざ飛び立たんとする鳥へ進化する、その途中の行程を保存したような姿をしている。
     前脚の翼は鳥のそれだが、現代に生きる鳥や鳥ポケモンの姿とは異なって、大胸筋は未発達であり、代わりに地を駆ける恐竜の名残である後脚が発達している。
     太い腕の筋肉で翼を動かしていたと考えられるが、原生の鳥たちと比べればその羽ばたきは力強いとは言えない。
     羽ばたきで積極的に上昇することはせず、後脚が生み出す優れた初速を利用して飛んでいるのだろう。
     翼の力が弱く、旋回や速度調整は不得手なので、低く直線的に飛ぶのが彼らアーケオスである。


     にも関わらず。
     ライモンシティにある警察署の上空を高々と、アーケオスがひとりの女性を乗せて飛んでいる。
     大型の鳥ポケモンのように、翼を広げ風を受けるような真似はしない。
     墜落を恐れているかのように、必死に羽をばたつかせている。
     ポッチャマ一族の泳ぎを“飛ぶように”と比喩するならば、さしずめあちらは“溺れるように飛ぶ”といった感じか。
     道場の地面からアーケオスと女性を見上げる山吹色の髪の青年は、ハラハラしながら、青い顔で彼女に呼びかけている。

    「だーかーらぁー! 危ないですってレンリさん! 頼むからもうちょっと低い場所を飛んでください!」

     そう叫ぶ部下の近くで、同じく青い顔で、ハート型の鼻の蝙蝠が心配気に空を見上げている。
     ココロモリは元から青い顔だが、その顔がさらに青くなっている。

     レンリはそんな地上の部下の様子など毛ほども気にせず、空を飛んで楽しそうに笑っている。
    「大丈夫だよ、キラン。ほら、こっから遊園地が見える」
    「高く飛び過ぎですよ!」
     早く降りてください、と震える声で言うキランに笑いかけ、レンリはアーケオスに「そろそろ降りるか」と伝えた。
     色鮮やかな原色の始祖鳥は翼を更に激しくばたつかせ、道場の敷地の端をなぞるように旋回する。

     そして、旋回で傾いた姿勢を地面と平行な位置に戻せないまま更に傾いて、向きも方向も無茶苦茶になりながらアーケオスの体は地面に向かった。

    「レンリさ……ノ、ノクティス!」
     キランは傍らのココロモリに呼びかけた。
     ココロモリは頷くと、滞空位置からアーケオスと地面を結ぶ線分上へと鼻先を向ける。
    「テレキネシス!」
     ココロモリの鼻から出た桃色の念波が、アーケオスとその背に掴まる女性に当たった。
     彼女たちに働く重力だけが消え失せたかのように、ひとりと一匹の落下速度が弱まって見えた。
     そのまま下向きの速度は落ちていき、彼女とアーケオスの体は人間が走るぐらいの速度で地面にぶつかった。
     始祖鳥はすぐに立ち上がったが、レンリの方は暫く地面に突っ伏していた。

    「……レンリさん?」
     青年は恐る恐る、地面に倒れたままの上司に近付いた。アーケオスが翼のある前足でレンリに触れた。
     と同時にレンリは起き上がると、額のガーゼに手を当てた。
     それを力任せに剥がす。傷口が開いていた。

    「まあ、また練習だな」
     レンリが無事でほっとしたのか、アーケオスが嬉しそうに鳴いた。



     五月十八日、雨。

     上司は寂しそうに外を見ながら、時折パソコンをいじっていた。
     部下の青年は、ほっとした様子でそれを眺めている。
     昨日、一昨日とレンリの無茶な飛行訓練に付き合わされ、ココロモリの青い顔は更に青くなり、キランの寿命は十年分ほど縮んだ。
     テレキネシスやバチュルの糸の安全装置があるので、墜落してもポケモンの方は大事に至らない。
     乗っている人間は生傷が絶えないが。

     レンリは肩に乗せたバチュルにポケモン用の駄菓子を与えながら、左手でマウスをカチカチ鳴らしていた。
     パソコンのモニタにはイッシュ地方の地図と天気図が映されている。

     キランは上司が座っている椅子の後ろまで行くと、
    「仕事してくださいよ」
     と声をかけた。
     彼女は残念そうに地図と天気図を閉じて、文書編集プログラムを起動した。

     高性能低速度のプログラムが起動するまでの時間、レンリは髪の紅く染めた部分をいじっていた。
     右手の包帯は取れたが、左手に包帯が巻かれている。
     アーケオスの体力が減って弱気になるまで止めないので、付き合わされるキランとココロモリは散々だった。
     そもそも、羽ばたきと念力で空を飛ぶココロモリに、飛び方の全く違うアーケオスの指導なんて出来ないのだ。
     長時間の訓練で集中力は落ちて、テレキネシスの発動タイミングは遅れ、正確性は落ちる。
     しかし、ココロモリのノクティスが何度も彼女たちを受け止め損ねて怪我をしても、彼女は自分が納得するまで訓練を止めない。

     何故そこまで執着するのか。

    「レンリさん」
    「なんだ?」
     やっと開いた文書ファイルから目を離して、レンリが後ろを向いた。
     キランは手近な空席に座って、肩のバチュルがこちらを睨んでいるのを気にしながら、レンリに話し始めた。

    「どうしてそこまで、空を飛ぶことに執着するんですか?
     町へ移動するだけなら真っ直ぐ飛べば十分だし、大体、アーケオスは空を飛ぶのが苦手なんだから、別のポケモンを育てるっていうのも……」
    「それは駄目だ。ローが飛ぶのが苦手だからって、鞍替えするような真似は出来ない。何匹も面倒見る程器用じゃないし」
    「でも」

     でも、危ないですよ、と言おうとして、止めた。
     キランが言ったところで、レンリが止める筈がない。
     頑固で、思い込んだらまず聞かない。彼女はそういう人物だ。

    「空を飛べば、速く移動できる」
     レンリが呟いた。苦しそうに目を伏せて。

     レンリが手を組んだ。
    「私が警察になったきっかけは、話したっけな」
     キランは不器用に頷いた。
     正確に言えば、レンリが話したわけではない。何となく、噂になっているのを聞いてしまったのだ。
     彼女のパートナーのゾロアーク、その母親がポケモンの密売組織に誘拐されてしまった。
     レンリはゾロアークの母親を探すために、警察になったらしい。

    「あの時」
     レンリは寂しそうにため息をつく。
    「母さんが誘拐された時、追いつくことが出来ていたら、ってさ」
     誘拐された当初、当然警察が動き、犯人を追跡した。
     しかし、突如として怒った大嵐とそれによる土砂災害で、道は閉ざされ、犯人には逃げられてしまった……らしい。

    「それに、高い所から探せば、きっと見つかる。そう思うんだ。子供っぽいな」
     レンリは自嘲気味に笑うとくるりとパソコンの方を向いて、文書の編纂作業を始めた。
     左手が時々髪を触った。
     まだ、レンリは全てを話していない気がした。
     けれど、キランにそれを聞き出すことは出来なかった。


     外ではまだ雨が降っている。今日は一日、降り続くらしかった。


    「あ、そうだ、キラン」
     パソコンから目を離さずに彼女が言った。
    「次の二十四日が誕生日だったな。何か渡すよ。訓練にも付き合ってもらったし」
     別にいいですよ、と答えて、キランも仕事に戻った。



     五月二十一日。

     レンリは警察署には来ていない。
     アーケオスの飛行訓練が一段落し、後脚の羽と長い尾を利用しての安定した旋回が出来るようになったところで、彼女は数日間の休みをとった。
     どうやら、ホドモエやフキヨセの辺りに行ったらしい。
     これでキランも羽を伸ばせる、と思いきや、彼女はやるべき仕事をメールと電話とファックスでキランに指示してきた。

    「あと、お前、シビシラスとヒトモシを連れてたな」
     仕事内容を伝える電話の最後で、彼女は急にそんなことを聞いてきた。
    「はい、ルーメンとテネブラエですよ」
    「そうだな。分かった」
    「あの、レンリさん」

     何が分かったなのか。疑問に思ったが口には出さず、キランはもっと聞きたかった別のことを聞く。

    「レンリさんって誕生日いつですか?」
    「誕生日? 親がいないからな。知らない」
    「すいません」
    「いいよ。記憶にも残ってないんだから」
     レンリは明るくそう言って、電話を切った。

     せめて直に会って聞けば良かった。
     キランは後悔した。



     五月二十三日。

     レンリはまだホドモエかフキヨセの方にいる。
     キランが仕方なく今日も慣れないパソコンに向き合っていると、机に置いていた携帯電話が鳴った。

    「はい、カシワギです」
     反射的に電話に出て、ついでに離席して窓の側へ行き、ブラインドを開けた。
     外は晴れている。

    「はい、職場の上司ですけど。え? はい、すぐ行きます」

     電話の向こうの人の言葉を聞き終えたキランは、すぐさま上着とモンスターボールを手に取り、外へと走り出した。


     フキヨセシティに着くと、キランはここまで飛んできたココロモリにお礼を言ってボールに戻した。
     柔らかい、春の雨が降っていた。
     キランは濡れるのも構わず、目的の白い建物を見つけると、一直線にそこへ走っていった。

     フキヨセ総合病院。

     キランは開け放たれた扉を躊躇なく潜ると、曲がったパイプで作られた四つの簡易ベッドの内、一番奥に寝かされた女性へと近付いた。
     点滴のパックを取り替えていた看護師の女性が、キランの姿を見ると一礼して、慌てた様子で部屋を出て行った。
     それから一分も経たない内に、別の看護師がやって来た。さっきの人よりも少し年配に見えた。

    「カシワギキランです」
     キランは看護師が来るまでの間、レンリが眠っているベッドの横にしゃがみこんでいたが、看護師が来ると立ち上がって頭を下げた。

    「手持ちのポケモンに乗っていて転落したそうです」
     開口一番、レンリの状態の説明を始めた看護師に、一寸どきりとしながら、キランは一言一句も漏らすまいと必死に耳を傾けていた。
    「幸い、手と膝の擦り傷だけで済みましたが、軽い栄養失調も起こしていて」
     看護師は点滴のパックを確かめるように手に取って見た。
    「それから、ずっとあんな調子なんです」
     キランは眠っているレンリを見た。

     まるでお伽話の眠り姫のようだ、とキランは思った。
     色白で、綺麗で。切れ長の目は今は閉じられているが、それでもその双眸の美しさは隠せない。
     黒い髪は枕に向けてさらさらと流れている。長く伸ばせばもっと綺麗になるだろう。メッシュを入れない方が綺麗なのに、勿体無いと思う。
     点滴の針が刺さった左腕は細く長く、その先にある手の指もほっそりとしている。
     薄い掛け布団に大方覆われている痩身は力強いのに、儚げだ。
     控えめに形作られた唇から、苦しそうな悲鳴を漏らしていなければ、彼女が生きている人間だなんて忘れてしまうかもしれない。

     レンリはうなされていた。

     看護師はキランに彼女の家族の連絡先を聞き、キランが首を横に振ると、残念そうに出て行った。
     なんだよ、とキランは思った。
     レンリのことを大切に思っているのに、自分では駄目なのか。
     ただの異性の部下ではなくて、せめて恋人の位置まで上らないと、好きな人を見舞うことも出来ないのか。

     キランは点滴の管に気を付けながら、レンリの左手を握った。
     こんなの、ずるいけど、と思いながら。

    「母さん……」

     レンリの口から、求めて止まない幼子のような声が漏れた。
     苦しそうに、震える声で。まるで雨の中に置いていかれたみたいに。

    「母さん……母さん……」
     それしか言葉を知らないみたいに、そればかり繰り返す。
     記憶にないはずの母親を探しているのだろうか。
     怪我自体は軽くても、アーケオスから落ちて少しの間は雨に降られていたに違いない。
     凍えた体が記憶を引き戻したのだろうか。

     レンリの左手が、キランの右手を強く掴んだ。
     はっとする。
     いつの間にか目を開き、紅色の濁った瞳が見えていた。

     レンリさん、と呼びかけようとした。

     握っていた筈の右手が乱暴に振り払われた。点滴の針が外れて、振り子みたいにこっちからあっちへ放物線を描いた。
     レンリはキランに背を向けて、体を叩きつけるようにベッドに横になると、簡易ベッドの薄いシーツをきつく固く握り締めた。

    「かあ、さ、……」

     言葉はどんどん切れ切れの切れっ端になり、それでも母親を求める声だと察しが付いてしまった。
     声を邪魔するのは、レンリ自身の喉に吹き込む呼吸だった。
     空気を遮断されたかのように息を呑むのが、かえって苦しみを増すのだが彼女の意志ではそれを止められない。

     暫くそれを馬鹿みたいに棒立ちになって眺めていて、やっとのことでナースコールの存在を思い出して、キランはベッドの頭側に取り付けられたボタンに手を伸ばした。
     その手を色白の指が掴んでいた。

    「平気だ」
     まるで亡霊のように虚ろな目。でも半分だけ現実に戻って来ていた。

     レンリが瞬きして、掴んでいた手を離す。
    「すまないな。大丈夫だ。ちょっと夢見が悪かっただけだから」
     首を横に傾げて笑うレンリの仕草に、思いも掛けずキランは胸を突かれた。
     レンリはそんなキランの様子には気付かず、ベッドから立ち上がった。
     ベッド横のパイプ椅子に置かれたコートを手に取って、
    「帰るぞ」
     とキランに声を掛けた。もうすっかりいつものレンリだった。


     彼女のアーケオスはレンリを背中に乗せると、後脚でフキヨセの滑走路を蹴って速度を上げ、ある瞬間、翼の向きと地を蹴る角度を変え、勢い良く空へと飛び出した。
     相変わらず羽ばたきは激しく、溺れているようにしか見えないが、フキヨセからライモンへの航路を取る時は翼を真っ直ぐ広げ、後脚の羽を立て、尾を円運動の外側に振って体勢を整えた。
     そのまま大きめの円を描いて旋回すると、再び羽ばたきを始めてライモンへ向かう。
     空の上で、レンリの顔が綻んでいた。



     五月二十四日。

     あの後、ライモンシティには戻ったものの、レンリは職場に顔を出していない。

     アーケオスの飛行は上手かった。
     きっと昨日は、フキヨセの風に驚いて離陸を失敗してしまったのだろう。
     そこに栄養失調で貧血気味だったのが重なって、気を失ってしまったのだ。

    「それだけなら、良かったんだけど」
     キランは終わらない文書の打ち込みを諦め、パソコンに背を向けて、背もたれに顎を乗せていた。
     もう日は暮れてしまっている。夜の中で、部屋の明かりだけが煌々と部屋の中を明るく照らしていた。

     レンリは母親と、どういう別れ方をしたのだろうか。
     その上ゾロアークの母親まで奪われ、パートナーにも寂しい思いをさせ、贖罪の思いを抱いたのかもしれない。
     そして、彼女の空への希求は、そのまま母親を探すことに繋がるのだ。

    「だからって、あんな無茶な訓練に付き合わされちゃ、こっちはたまんないよ」
     キランは回転椅子を回しながら、空いた椅子に座って丸くなっているココロモリに同意を求めた。
     その時、机の上の携帯電話が鳴った。

     メールを確認し終えると、キランは上着を取り上げた。
    「行こうか、ノクティス」
     椅子の上の青蝙蝠は、嬉しそうに鳴いてキランを先導した。


     ライモンシティは広い。
     キランは町の西にある警察署から、横方向にライモンシティを突っ切って飛んで来た。
     町の東、存在を主張するかのようにチカチカ光るゲートの手前でココロモリをボールに戻そうとすると、ココロモリが鼻先をキランに押し付けてきた。

     まるで、頑張れとでも言うように。
    「ありがと、ノクティス」
     鼻がハート型の蝙蝠をボールに戻すと、キランはゲートを潜った。

     途端に、辺りは異世界に迷い込んだかのように一変し、騒々しく、光り輝く世界へと変貌する。
     売り子たちがかしましく叫ぶポップコーンやアイスクリームの売り文句の間を通り抜けて、キランはある場所へと向かう。

     それは、規則正しい動きでもって、人間たちを空高くまで運ぶ乗り物だった。

     その付近にいたレンリに、手を上げて自分の位置を知らせた。
    「呼びつけてしまったな」
    「いいですよ、別に」
     どうせ仕事しないですし、と言ったキランの腕を、レンリが引っ張った。
     そのまま目的の建物、観覧車へ向かって行く。

    「一度、乗ってみたかったんだ」
     そんなことを言うと、普通の女の子に見えた。
    「ゾロアークに化けさせれば良かったじゃないですか」
     キランがそう言うと、レンリは口を尖らせてこう言った。
    「それじゃ、つまらないし、有難味が薄れると言うか。兎に角つまらないだろ」
     円形の枠組みの最下点に来た丸いゴンドラに乗り込む。
     作り付けの低い椅子に、レンリが長い脚を邪魔そうに折り曲げて座った。

     キランはその向かいに座った。
     そういう作りだから、仕方がないのだけれど。
     真正面から目が合うと、レンリは照れ臭そうに笑った。


    「これ、誕生日プレゼント」
     そう言ってレンリが両手に余るぐらいの大きさの箱を差し出したのは、ゴンドラが四十五度ほど上がった時、全行程の四分の一が終わったところだった。

     受け取った箱は飾り気の無い白の紙箱だった。
    「開けてもいいですか?」
    「いいよ」
     のやり取りの後、キランはテープで簡単に止められただけの蓋を上げる。

     中には薄緑色をした、透き通った石。
     石の中心を通るように、黄色い稲妻模様が描かれている。

    「雷の石? あ、ありがとうございます」
     イッシュ地方では、進化の石は手に入れ難い。
     法外な値段で売られているところもあるが、それ以外では、各地にある洞窟で探すしかない。

     胸が詰まって何も言えないキランに、レンリはお道化た調子で「気に入らなかったか?」と問う。
     やっとのことで首を横に振る。
     レンリの表情を見られなかった。

    「キラン」
     彼女は窓の外を指差した。
    「意外と綺麗だ」

     キランが窓の外を見ると、そこには限り無く広がる光の海があった。
     街の灯りが視界を埋めていた。
     東の方を見ると、ぽっかり穴を空けた暗い空間の向こうに、立派な橋が見えた。
     キランがその橋をずっと眺めていると、不意にレンリと目が合った。

    「こうやって、高い所から探せば、母親も見つかると思っていた」

     寂しげな表情をしたレンリに、何か言おうとしたが、言葉が見つからなかった。

     キランが黙っているのを見て、レンリは話を続けた。


    「流石に、もうあの時からじゃ遅すぎるか。でも、これからは何が起こってもそこへ飛んでいける」
     困ったらいつでも呼べよ、と言うレンリにキランは「あの」と切り出した。
     急に改まったキランに驚いたのか、レンリは目を丸くして、けれど姿勢はそのままで。

    「僕は、レンリさんのことが好きです」

     その後に、気の利いたことを言う筈が、脳みそが熱にやられて動かなくなったみたいだった。

    「付き合ってくれませんか?」

     それだけ言うのが精一杯だった。

     下げてしまった顔を上げる。
     窓の外では夜景が移ろう。
     光の群れを見つめるレンリの顔が、窓ガラスに映っていた。

     間があって、レンリが口を開く。

    「ゾロアークに育てられた人間がいた」

     目を動かさないまま、言葉だけが動いた。

    「そいつは、自分のことをゾロアの仲間だと思い込んでいたらしい。
     お前はそんな奴の相手は嫌だろう。私も願い下げだな」
     そこまで言って、レンリは笑みを作った。いつものように、不敵で、有無を言わせない笑みを。
     そして真顔に戻った。
    「すまないな、キラン」

     キランに出来たのは、「いえ」と小さく呟いて首を振ることだけだった。

     観覧車は、落ちて行く方向に向かっていた。



     結局、要するに、自分にレンリの恋人なんて無理で、釣り合わなくて、彼女を支えることなんて出来ないのだ、とキランは思った。
     一緒に観覧車に乗って、夜景を見て、浮かれた自分の行動を恨みたかった。軽率だったと思った。
     せめてあの時、もっと何か言えれば良かったのに。
     しかし、どんなに後悔しても、逃した好機は帰って来ない。

     それに、今は彼女の過去を受け止める自信がなかった。
     病院のベッドで垣間見ただけのそれにさえ、キランは身動き出来なかった。
     もっと強くならないと。
     ルーメンがシビルドンに、テネブラエがシャンデラに進化した時になれば、あるいは。

     キランは扉を開けた。

     五月二十五日。

    「お早う、キラン」
    「お早うございます」

     何も変わらないまま、今日も一日が始まる。

     キランはデスクにつき、鞄の中の物を机の上に置いた。
     コトリと何かが当たる音がした。バサバサと羽音がして、青蝙蝠が机の上に飛び乗った。

     ノクティスが薄緑色の綺麗な石に鼻先をくっ付けていた。




    【煮てもいいのよ】
    【焼いてもいいのよ】
    【描いてもいいのよ】
    【批評してもいいのよ】

    クリスマス小説を書いたんですが、ポケモン成分少ないのでサイトに置きました。
    でも折角のクリスマスなのだしと思い、もっとポケモンが出てきて、キランくんが誕生日プレゼントもらって幸せになる話を書こうとした結果がこれです。
    一日遅れですが、メリークリスマス……あ、でも、クリスマスって中止でしたっけね。


      [No.1060] ひと息ついて 投稿者:   《URL》   投稿日:2010/12/24(Fri) 04:19:35     57clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     瞼の向こうに、朝の日差しを感じた。

     もう朝か、と女性は思った。
     布団の中が暖かい。
     もう少し寝ていたい。
     女性が寝返りを打とうとして、腕の中にポケモンがいることに気付く。
     またゾロアか、チラチーノあたりが布団に入り込んだのか、と思う。
     それにしては、何だか平べっちゃくて……

     何だか細いものを掴んだ。

    「ぷぎゅぇっ!?」と腕の中の物体が声を上げた。慌てて女性は掴んだ手を離して、起き上がった。

    「あら!? ちょっと、お姉さん起きはったで!」
     彼女の姿を見た知らないおばさんが、嬉しそうに声を上げ、周囲に伝える。
     体の上には見覚えの無い毛布と、ヒノアラシ。
     さっき彼女が鼻先を掴んでしまったのだろう。ヒノアラシは頬を膨らませて怒っている。

    「悪かった、謝るよ」

     ヒノアラシを膝から下ろし、自力で立ち上がると、女性警官は周囲の状況を確認した。

     付近に、風神、雷神と思われるポケモンの影はない。
     さっきまでのバトルが夢のようだった。
     観光客と覚しき賑やかな一団が、毛布やモーモーミルクを配給している。
     雷神と戦う前はトロピウスの背に乗せられて、具合悪そうにしていた少年は、今は毛布を重ねた地面の上に寝かされていて、その周りに人だかりができている。顔色が随分良くなっていた。
     遠くには平和そのものといった顔で巨体を揺らす、マダツボミの姿。
     ぬかるんだ地面と、ところどころで倒れている木があることを除けば、あの大嵐の爪痕など見るべくもない。


     晴れていた。


     空は青く、風神雷神が呼んだはずの、重たげな黒雲は取り払われ、薄い白い雲が少し残っているだけ。
     いつの間にやって来たのか、誰かのポワルンが赤く小さな太陽の姿で飛んでいる。

     とにかく、バトルは終わったのだ。

     彼女は毛布を綺麗に畳み、その上にヒノアラシを置いておばさんに託し、それから近くで彼女を見守っていた三匹のポケモンに労いの言葉をかけた。
     そして、雨に濡れて重くなったコートを脱いで相棒のゾロアークに持たせた。
     ゾロアークは心配そうに顔を覗きこんでくる。
    「大丈夫だよ」
     バチュルをいつも通り肩に乗せると、彼女はそう言って笑った。
     少し麻痺の残る体をおして、人だかりの方へ歩き出す。


     仮にこさえられた木製の物干し場に、誰かの上下服がはためいていた。
     その下では、ヒトカゲが安らかな寝息を立てている。おそらく、毛布の上で眠っている少年の服だろう。
     彼女は人の群れから離れてた位置で休んでいる、自身の手持ちの三匹を見つけ、そちらに近寄った。

     三匹は配給されたらしいきのみを食べ終え、体力を回復させたところだった。
     彼女らのうちの一匹、ドレディアだけが物欲しそうに、次のきのみをねだった。
     体力は十分なのに。彼女は手渡されたきのみをドレディアの手から奪った。

    「ナン、体力が回復したのにねだるな、はしたない。……すいません」
     そう言って元の持ち主にきのみを返すと、持ち主の女性はいいえと微笑んで、彼女の手にきのみを押し付けた。
    「まだたくさんありますから、遠慮しないでください」
     そう言う彼女の瞼は閉じられている。どうやら目が見えないらしい。
    「じゃあ、……ありがとうございます」
     好意に甘えてドレディアにきのみを渡し、お礼を言うように促すと、ナンは他の二匹から離れた位置に移動し、きのみを持ったまま踊り始めた。

     彼女の目は見えないのに、と思ったが口には出さなかった。
     横を見ると、紅い髪に白いワンピースの彼女は、踊り出したドレディアの方を向いて穏やかに笑っていた。
     視覚以外の感覚が優れているのかもしれない、と思ったが、野暮だと感じて口には出さなかった。

     歩いて二匹のポケモン、コジョンドとチラチーノの間まで行き、そこに腰を降ろした。
     きのみをもらった二匹はすっかり元気になっていた。
     どうやら今回のバトルでは自分が一番ダメージを負ったらしい、と思い苦笑する。
     眠たげに瞼を落としてボールをつついて来たコジョンドをボールに入れ、チラチーノを膝の上に乗せて、暫くの間、ナンの舞を見ていた。

     彼女の近くに、紫の猫又が駆けてきて、続いて橙の火竜が飛んできた。
     おそらく、誰かを暖めたりする手伝いをしていたのだろう。二匹のポケモンに、彼女は労いの言葉をかけていた。

    「そのエーフィ」
     彼女は猫又の背を撫でる手を止めて、女性警官の方を見る。
    「えっと……世話になったよ。ありがとう」
     アーケオスだけでは土砂崩れを防げなかっただろう。
     それから、彼女のミスでバトルの場から弾き飛ばされた後、エーフィはその場に残ってサポートをしてくれたに違いない。
     雨の中を走り回ったであろう猫又の体は、まだ少し泥で汚れている。

     ふと、大事なことを思い出す。
    「風神と雷神はどうなった……?」
    「どっちも“ひんし”状態ですよ。風神の方はまだ近くに転がってるはずです」
     答えたのは盲目の彼女ではなく、最初にここに着いた時に目にしたレンジャー二人のうち、アブソルとウツボットとトロピウスを連れた若い方のレンジャーだった。
     彼はレンジャーたちの装備なのであろう、小型の通信機を取り出しながら、
    「俺は遭難者の保護に必死でした。皆さんのお陰ですよ」と言った。その皆さんの内のひとり、先輩レンジャーがドンカラスに掴まって、額に包帯を巻いた状態で姿を見せた。
    「こっちは問題ない。二次災害の心配なしだ」
    「こっちも見回り終わりました。大丈夫みたいですね。帰り道も確保されてます」
     嵐の爪痕を見回り、無事を確認した二人のレンジャーは、嵐の後の詳しい地理情報をレンジャー本部に伝えている。
    「あと、嵐の原因となったポケモンですが、彼が懲らしめました」と少年レンジャーがおどけた調子で付け加えると、
    「俺だけじゃ無理でした。他の人たちとポケモンの協力あってのものですよ」と先輩レンジャーが訂正する。
     その“他の人たち”の内、彼女と少しの間共闘した、あの青年はここに姿を見せていない。
     通信を終えた二人は、女性警官と盲目の彼女の方を向き、
    「さて、あのポケモンたち、どうしましょうか」
     どちらともなく、そう言った。

     中々結論は出なかった。
    「警察の方ですよね。逮捕とか出来ません?」
    「野生のポケモンを逮捕する法体系はない」
    「ですよねー」
     いつ自分の身分がバレたのだろう。仮にも休職中の身であるから、こんな所に出歩いていることがバレたら不味いことになる。
    「それより、レンジャーたちの方でどうにか出来ないのか? 保護するとか」
    「どうでしょう。伝説に出てくるポケモンを保護したなんて前例、聞きませんし……」
    「あの……」
     今まで黙っていた紅い髪の女性が、声を出した。
    「ゲットする、……というのはどうでしょう? 皆さん程のレベルなら、彼らも認めると思うんですが」
     今まで話を続けていた三人が黙った。
     ゲットする。トレーナーとしてこんなに基本的なことを、どうして思い付かなかったのだろう。
    「私は遠慮するよ」
     他の三人の顔がこちらを向いて、何か言う前に女性警官はそう言った。
    「自分を殺す気で技を出してきた奴を手持ちに入れる程、心が広くないんでね」
    「そういえば、体の具合、大丈夫なんですか?」
     心配そうに声をかけたレンジャーの額には、中央が赤く染まった白い包帯が巻かれている。
    「そちらこそ、怪我は? 私が未熟なせいで、迷惑をかけた」
     申し訳ない思いでそう口にした彼女に、
    「いやあ、元気、元気。ピンピンしてますよ!」
     とレンジャーは快活に笑って答えた。その隣でドンカラスが血気盛んな風で、大きな声で鳴いた。
    「どちらにしろ、あの青年の意見も聞かないと決められませんね」
     若いレンジャーがそう口にした。

     ずっと踊り続けていたドレディアが、気が済んだらしく、一礼した後、身を翻して森の中へ飛び込んでいった。
     入れ替わりに件の青年が、リュックを背負った状態で姿を現した。
     簡単な挨拶を交わし、今回の事の次第に言葉少なに触れて厚い謝辞を述べた後、青年は先に抜ける意を伝えた。
     その彼に、レンジャーの二人が、先程までの議題であった風神雷神の処遇について問いかける。
    「どう思う?」と尋ねた彼女に、彼は苦笑しながら、
    「どう思うと言われても、ヘマした俺には発言権無いですよ。耳と尻尾はあなたのものです」
     そう軽い口調で答え、「ただ」と付け足した。

    「俺の故郷にはこんな言葉があります。
     『天から下ろされたものに、役目の無いものは何一つ無い』、と。
     ……少なくとも俺自身は、ガキの頃からそう言い聞かされて育ちましたし、それが間違ってると思った事もありません」

     そう言い残して、彼は体の向きを変え、頭を下げた。
    「後の事は宜しくお願いします。縁が会ったら、またお会いしましょう」
     そう言って、彼は足早にその場を去って行く。
     青年の背中を見送ったその後は、またさっきの議題に逆戻りした。

    「どうします? やっぱりゲットしますか。耳と尻尾はあなたのものだそうですよ」
    「耳と尻尾だけゲットしてもなあ」
     そう言ってから考え込んだ彼女に、
    「でも、雷神を打ち破ったのはあなたなわけだから」
     そう意見が述べられた。

     彼女は少し考えて、結論を出した。ゾロアークからリザードンの尻尾の炎で乾かしたコートを受け取り、膝の上のチラチーノをボールに戻すと、その場に残った三人に向けて、こう告げた。
    「風神の処遇はあなた方に任せる。……片を付けたのはあなた方なわけだし……。私は、雷神の方の始末を付けるよ」
     了解しました、と答えたレンジャーたちを残して、彼女はアーケオスに乗ろうとした。

     その時。

    「あのポケモン……」
     一番早く気付いたのは、目の見えない彼女だった。
     彼女が示すその先には、青と黒の小さな獣人、リオル。
    「あの子、彼のポケモンですよね」
     女性警官は静かに頷いた。青年と共同戦線を張った時にもいた、あのリオルだ。
    「確か、ラックル、だったか」
     現場を心配して戻って来たのか、しかしトレーナーである青年の姿は見えない。

     リオルは自分を見つめる四人に、大丈夫だと言う風に頷いて見せて、今は助太刀に来た人々に囲まれている少年の方へ視線を向けた。
     ふと、バトル中、ラックルが少年のヒトカゲと懇意にしていたことを思い出す。

     彼女の考えに、紅い髪の女性も気付いたようで、
    「彼らと一緒に行くことを選んだのかもしれませんね」
     そう呟いた。その後ろでリザードンと、そして何故かドンカラスが勇ましく鳴いた。未来の好敵手を思っているのかもしれない。
     ラックルを迎え入れるかどうかは、少年たち次第だが、仮に断られてもあの青年のリオルなら問題あるまい。
     そう判断した彼女は、待っていた原色の始祖鳥の背に腰を落ち着かせ、森の中へ駆けて行った。


     辿り着いたのは、もう二度とごめんだと思っていた場所。
     森が拓かれた、天然のバトルフィールド。例の雷神の目の前だ。
     ドレディアのナンは先に来ていて、待ちくたびれたように彼女を見上げた。

     彼女はアーケオスから降り、相棒のゾロアークが付いて来ていることを確認すると、バトルフィールドの中央にある、不自然な白い糸の塊に近付いた。
     中にいるであろう雷神は、今は静かにしていた。
    「ベー」
     静かにバチュルの名を呼ぶと、肩に乗った黄色蜘蛛は、心得たとばかり彼女から飛び降りて、雷神を包む糸を切り始めた。
     大方切り終わると、雷神は自分で糸を払って這い出してきた。
     その目にさっきのバトルで見せた覇気はない。バチュルの糸に電気を吸われたらしく、フラフラしている。
     雷神はどうにでもせい、と言わんばかりに、残った力と生意気さでもって彼女を睨めつけた。

    「ナン」
     花人の手から体力回復のきのみを受け取ると、それを雷神の方に差し出した。
     驚いた表情で、きのみを断った雷神に向けて、彼女はこう言った。

    「さっき言われた。……どんな生命にも役割があるらしい。お前たちにも、役目があるんだろう。……私には分からないが。
     ただ、少なくともそれは、ところ構わず暴風雨をまき散らして、民家や畑を壊すことじゃない。人を遭難させるなんて、論外だ。
     そんなことをしたら、私はもう一度お前たちを倒しに行く」

     そして、雷神にきのみを押し付けて、こう付け加えた。

    「それ以外は、勝手にしろ」

     きのみを齧りながら、雷神は彼女を不思議そうに眺めていた。
    「個人的に恨みがあったが、それももうどうでもよくなった」
     と正直に答える。相棒の母親の問題はまだ彼女の心に深く根をはっていたが、それとこの雷神とは、最早無関係な別問題だ。

    「……何か言うことはないか、スー」
     水を向けた相棒は、ゆっくり頭を振って彼女に寄り添った。
     相棒のたてがみを撫でる、その目の前で、雷神が離陸した。

    「お別れだ。もう会うこともない」
     彼女は静かに呟く。
     その声が聞こえたのか、雷神は力強く頷いてから、遠くへ飛び去って行った。

     もう、すっかり日は落ちている。

    「とりあえず……地均しであの大穴を直して、……それから、お礼を言いに行くか。ひとりで息巻いて来たが、随分助けられたよ」
     そう言うと、夜目にも鮮やかな原色の始祖鳥の背に乗って、彼女は元来た道をゆっくり戻り始めた。




    【風神のほうは任せたのよ】
    【あともうひと息っぽいのよ】

     とりあえず雷神は厳重注意の後、釈放となりました。
     クーウィさんとこの青年と、Cocoさんちのレンジャーさんと、てこさんちのレンジャーと、海星さんとこの女性をお借りしました。
     サトチさんとこのツボちゃんと、お人好しそうなおばちゃんも。
     今回会話シーン多いですが、【変なところあったら指摘して欲しいのよ】

     クーウィさん、てこさん、風神討伐お疲れ様でした! この指とまれと補助技を最大限利用する戦いも、相手の風を利用してこちらの攻撃を強化する戦いも、読んでいて非常に心踊るものでした。
     そして海星さん、女性からきのみを大量に頂きました。ナンがあんなんですいません。
     サトチさんからは毛布とヒノアラシを、ありがとうございます。
     まさに「ひとりで息巻いてやって来て、たくさんの人に助けられた」状態。
     そんな迷惑千万な彼女も、そろそろ退場です。地均しぐらいはするかもしれませんが。
     そうだ!みんなでキャンプファイアーすればいいよ(謎

     というわけで、
     きとかげ は 逃げ出した! ▼

    12.25 微修正
    バチュルはあげません。


      [No.1038] 姉さんかっこいいです 投稿者:久方小風夜   《URL》   投稿日:2010/12/14(Tue) 23:50:31     83clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5
    姉さんかっこいいです (画像サイズ: 395×508 69kB)

    >スカートの中からゾロア! がやりたかっただけです。
    >【描けるもんなら描いてみろ】という方向性で。
    >でもどうせ中はハーフパ(強制終了)
    
    何かいろいろあった勢いで描いてしまいましたスミマセン。
    いろいろおかしいような気がせんでもないですが、ツッコミはなしという方向でお願いします(´・ω・`)
    
    
    レンリ姉さんマジかっこいい。
    たくさんのゾロアにバチュル……さては姉さん、モフモフ大好きだな!?
    
    >  パン、と指を鳴らす。ドレスが揺れた。
    > 
    >  黒い子狐が矢のように飛び出し、ライムの足に突撃した。
    >  ライムは体勢を崩しながらも、銃口をレンリに向けた。
    >  引き金に手をかけるより速く、レンリがその手を蹴った。いつの間にか、履き物がスニーカーにすり替わっている。
    
    ここで完全にキュンときました。かっこいいです姉さん。
    前のほうの
    
    >  レンリは個室に入ると、スニーカーに履き替えた。
    >  そして少し考えて、レンリは欠伸をしているゾロアの額をつついた。
    > 
    >  会場に戻ったレンリを、ライムの笑顔が出迎えた。
    >  彼の目が、素早く探るように足元を見る。
    >  そして、がっかりした顔を浮かべた。レンリはスニーカーを履いていなかった。
    
    ここから察するに、ゾロアは靴に化けていたんですかね?
    ずっと踏まれてたゾロア……うらやまs……じゃなかった、お疲れ様です。
    
    ではではこの辺で。


      [No.1017] 審査方法決定 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2010/12/07(Tue) 22:12:06     92clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5

    審査員審査方法について決定したのでご説明致します。


    ■審査方法(一般投票、審査員投票共通)

    投票期間になったら投票フォームを設置致します。
    すべての作品を読んでくださっていれば、参加条件は特にありません。
    小説執筆経験などの有無にかかわらずあなたの感覚で審査をしてください。

    ・点数評価
    ☆、☆☆、☆☆☆ の三段階評価。
    ☆が多いほど評価が高い。参加点という形で必ず☆1個はつく形になります。

    ※応募作品の中に自分の作品がある場合、自作品への評価は☆としてください。
    (事実上、参加点のみ受け取る形になります)

    ・感想/批評(審査員のみ強制、一般投票は書いても書かなくてもいい)
    ☆をつけた理由、ツッコミどころ、よかったとこ、お前○○だろw、愛の告白(笑)その他なんでも
    審査員の方は最低100文字は書いてください。上限はありません。フォームが許す限り好きなだけ。

    ・記名
    自由。伏せても出してもよい。
    審査員はそれっぽく出すのを推奨します。

    ・投票フォームとは別に自由感想フォームを用意する予定
    <こんなときにご使用ください>
    全部は読めなかったけど1個にだけ感想を送りたいような場合
    あるいは後で感想書きたくなったような場合


    ■審査員募集!

    応募作品に対して、規定の方法で審査、100文字以上の感想(あるいは批評)を書いてくださる方を募集しております。小説の執筆経験は問いません。興味のある方は pijyon★fk.schoolbus.jp まで。

    <審査員制導入の狙い>
    個人的な見解ですが、ポケモンというジャンルにおいてビジュアルに訴えるイラスト等に比べると、小説は感想の機会があまり得られることがないように思います。当コンテストでは「応募すれば必ず感想(批評)がつく」ということを応募メリットのひとつとして提供できればと考えております。







    審査員は自分の作品は評価せず、参加点の☆1個のみ与えるに決まった経緯

    ■相談

    ―――です。一つだけお願いが。
    今回私自身が「―――」の筆者でもあるので、
    構図として「筆者が自作作品を評価する」という形になってしまいます。
    これは取り様によっては公平性を損なうと思われる可能性があるので、
    ◆「コンテスト投稿者の名前が明らかになるまで、評価者(―――)の名前は伏せる」
    ◆「コンテスト投稿者の名前が明かされた段階で、評価者(―――)の名前も公表する」
    ◆「『―――』には評価/点数を付けない(理由として『評価者が当該作品の筆者のため』と明記)」
    という形にできないでしょうか?


    ■それに対する返事

    No.017です。

    > ◆「コンテスト投稿者の名前が明らかになるまで、評価者(―――)の名前は伏せる」
    > ◆「コンテスト投稿者の名前が明かされた段階で、評価者(―――)の名前も公表する」

    この2点はクリアできるかと思います。

    > ◆「『―――』には評価/点数を付けない(理由として『評価者が当該作品の筆者のため』と明記)」

    問題はここですね。
    個人的には、自分の作品が一番いいと思ったら素直に☆☆☆つけていいと私は思うのですけど
    不公平感を感じる人がいるだろうなというのはいなめないですね。
    投票人数が20人くらいいれば関係ないと思うのですが
    はじめての開催だと人数が読めませんし、投票数が少なかった場合(最悪、審査員票だけだった場合)
    自分の作品が1,2位僅差で、自作品評価が決め手になるとしたらたしかにイヤだなぁというのはわかります。
    自分の作品に関しては不利になるの覚悟で、審査員が自分の作品を評価するときはみんな☆(最低評価)にする方向でいかがでしょうか?
    (審査員なのでルール上こうなります、と明記の上)
    1つの作品に対する投票の数がおかしくなってしまう為、なしというのはやめたいです。
    幸い最大☆2個分しか差はつかないわけですし、いい作品ならば一般投票や他審査票でひっくり返せるレベルだろうと思いますので。
    審査員のみなさんいかがでしょうか?
    ご意見ありましたらよろしくお願い致します。


    ■意見その1

    自作は審査対象外で、☆ゼロが常識かと思います。
    そもそも自分が真剣に賞をほしいと思うなら、そのコンペの審査員をやっちゃいかんです(笑)。
    ただ、今回は参加賞として☆1は割り振るという方針を確認しているので、
    「配点:☆/理由:参加点/評価:自作のため評価なし」
    ……こんな具合で問題ないかと思います。


    ■意見その2

    しょうがないでしょうねぇ
    でも気持ちとして文言は「最低評価にする」ではなく
    「評価をつけない(参加点のみとする)」でお願いしたいです。


    とのことでしたので、
    審査員は自分の作品は評価せず、参加点の☆1個のみ与える という方向でいきたいと思います。




    ちなみに審査員まだまだ募集中です。
    応募メリットとしてできるだけ感想の数を保証したいからです。
    小説の執筆経験は問いません。感想書いてくれればOKです。

    やってもいいよーという方は pijyon★fk.schoolbus.jp(★→@) か
    掲示板書き込みにてお願い致します。


      [No.995] ファントムガールと死神の対話 投稿者:紀成   投稿日:2010/11/28(Sun) 15:14:55     69clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5

    しばらく前,私は一人の人間と出会った。魂の回収をしていたら,あちらから話しかけてきたのだ。
    彼女は,私が見えていた。見えていた上で,驚きもせず,怯えもせず,私に話しかけてきた。
    驚く私に,彼女は言った。

    『私,見えるんだよね。それだけじゃなく,懐かれるの』
    その言葉の通り,彼女の背後には沢山のゴーストタイプが集まっていた。

    それから数ヶ月経って,私は海辺の街へ仕儀とに来ていた。高台にあり,歩いて数分すれば海岸にたどり着く。
    別に都会ではないから少量の魂だったが,それでも人ある場所に迷う魂はある。人がいなくならない限り,魂が無くなることはない。
    そこへ行ったのは,ほとんどの魂を回収し終わった後だった。海上で命を落とした者の魂が無いかどうか調べるためだ。そんなに海岸自体は広くなく,人もいなかった。
    ただ一人を除いては。

    異様な雰囲気を漂わせていた。普通の人間には分からないだろう。だが,霊感が強ければ分かるはずだ。彼女の周りに纏わりつく,沢山のゴーストタイプの気配が。
    だが,それも見ることはできない。見えるのは,おそらく・・
    私とその主人のギラティナ,そしてやぶれたせかいのレントラーだけだろう。
    彼女は砂浜に座って海を見つめていた。かなり海の方に近いため,履いているスニーカーが白波に濡れているが,全く気にしていない。
    不意に。彼女の後ろで砂をいじっていたジュペッタがこちらを見た。赤い目が大きく見開かれる。彼女の着ているセーターを引っ張る。
    「どうしたの」
    ジュペッタの指す方向を見た彼女の目が驚きの色に変わった。丸い目がさらに丸くなる。
    が,それも一瞬だった。すぐに落ち着きを取り戻した彼女は,私に言った。

    「また会ったね」と。

    ゴーストタイプが波打ち際で遊んでいる間,彼女・・カオリは私と砂浜に立っていた。塩辛く冷たい風が吹き付けても,彼女は表情一つ変えなかった。
    「ちょっと驚いたよ。いきなり後ろにいるんだもん」
    「私の気配なら分かるんじゃないのか?」
    彼女は首を横に振った。
    「集中してる時とか,夢中になっている時は後ろまで気が回らない。特に本を読んでいると,なおさら」
    カオリはジーンズのポケットから棒つきキャンディを二つ取り出した。片方を私に持ってくる。
    「食べる?」
    「いや,いい」
    私が食べるとなると,少々むごい姿になる。何せ,私の口は腹にあるのだから。
    「キャンディは嫌いってこと」
    「そういうわけではない」
    行き場所を失ったキャンディを見て,一匹のムウマージが飛んできた。片方を口にくわえて,また波打ち際に飛んでいく。
    「あの子,甘いものが好きなんだ。チョコレートとか食べてると,必ず寄ってくる」
    「区別がつくのか」
    「うん。同じ種類でも個性はあるから。カゲボウズとかも全く違うし」
    確かに,同じでも性格は全く違う場合が多い。そしてそれによって伸びやすい能力や伸びにくい能力の差が出てくる。
    「それで,ゴーストタイプ達と一緒にいればそれで良かったんだけど・・」
    またポケットを探る。薄いようで厚い,キラキラ光る何か。
    それはどう見ても,硝子の破片だった。
    「それがどうしたんだ」
    「鏡にして,毎晩話しかけてるの」
    鏡。その言葉を聞いた途端ゾクッとした。彼女のしていることの意味が,分かりかけている。
    「・・何故」
    「会いたいポケモンがいるから」

    確信した。
    彼女は。カオリは。
    「何に会いたいんだ」

    「やぶれたせかいの王,ギラティナ」

    時間が,止まった。

    「何故会いたい」
    声が震えないようにして話す。
    「ゴーストタイプで伝説って,あんまりいないでしょ。別に手持ちにしたいわけじゃない。彼は王様なんだから。人間が従えていいものじゃないでしょ」
    硝子の破片を太陽に翳す。反射して,虹が砂の上に出来る。
    「私は,彼とトモダチになりたいの」

    「共通に近い目的を持った子を,この前図書館で見つけた。そのこはルギアを探していた。アルジェント・・銀って名前を付けて,そう呼んでた。どうして会いたいのかって言ったら,こう言われた」

    『私,彼を愛してるの』

    「アルを見つけるためなら,何だってするって感じだった。馬鹿にする人は皆,手持ちのポケモンで氷漬けにしてきたって。
    ・・歪んだ愛って,こういうことを言うんだよね。きっと」
    どことなく冷めた口調だ。自分が思うことの意味を分かっているのだろうか。
    「私は歪んだ愛を捧げるつもりはないよ。人間なんだから。ならせめて,トモダチってポジションにいるくらいはいいよねって思うの」
    カオリの言葉に,嘘も何も無かった。本音を言っていた。
    私は,どう答えればいいのだろうか。

    「・・会えると思う」
    「いつか?」
    「いつか,のいつかは永遠に来ない。ただこの場合は,いつかと言った方がいいのだろう」
    「そうだね」
    カオリは満足げに笑った。やはり,嘘ではなかった。

    「私,そろそろ帰るね」
    夕日が海を照らしかけた頃,カオリは言った。既にポケモン達は集まっている。今日は特に増えてはいないようだ。
    「きっとまた会うんだろうね。何処かで」
    「・・そうだな」
    カオリが背を向けた。ポケモン達も続こうとして・・止まった。
    「彼女に何故ついて行く」
    全てのゴーストポケモンがこちらを見ている。さっきも言った通りの面子,ゲンガー,カゲボウズ,ヨマワル,サマヨール,プルリル,ブルンゲル。etc,etc。
    そして,彼女のパートナーのデスカーンが言った。テレパシーのような物で。

    『お前にはカオリの気持ちなんて分からない。二つの壁に押されて,潰されかけたカオリの苦しみなんて分かりはしない』

    二つの壁。その言葉が引っかかった・
    「どういう意味だ」

    『その壁を壊すためなら,俺たちはどんなことでもする。
    ・・たとえ,人間に危害を加えることになろうとも』

    そのまま,ポケモン達はカオリの後に付いて言った。その姿が,夕闇に包まれて溶けていくように,私には見えた。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーー

    [ツイッター始めたんだぞ]
    [kinari73なんだぞ]


      [No.972] Re: たまむすび 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2010/11/18(Thu) 18:57:38     53clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    某民俗学系の書物によれば、紐を結ぶことには特別な呪力があるそうです。
    (この場合は袖だけど)
    袖を結んだ時に出来る玉とゴースの形が一致しててなんかいいなぁ、と。
    同時に死者をこの世に結びつけておく効果もあるのかもしれませんね。
    ところで、青い光はお母さんの魂ということでok?

    あえていうと
    お母さんに貰ったのを結婚式に使う着物にするとよかったかもしれません。
    玉を結んだ着物を着れなくなり、大きくなったらともらった着物に着るモノが変わるとき、それがまじないの効果が切れる時だって感じが出せたかも……
    まぁあくまで私の好みですw

    あと別パターンとして、お母さんが娘を心配していつまでも成仏してくれないので、
    玉結びの相反するなんかの儀式をしてあの世に返しちゃうってパターンもおもしろいかもなどと、ひねくれた私は考えるのでした(おい


    では


      [No.950] 硝子と傷 投稿者:紀成   投稿日:2010/11/10(Wed) 19:15:24     40clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    日常生活において、こういう力は不便に近いのだろう。
    彼等は私の言うことしか聞かない。
    それは、嬉しくもあり、悲しくもある。

    もし、私が

    『あの子を傷つけて』
    なんて言ったら、

    彼等は

    そうするのだろうか。


    カオリは教室で本を読んでいた。速読という特技を持つ彼女の目は、すばやく細かい文字を追っていく。
    それは、愛する者のために犯罪者になる男の話だった。
    どうして愛なんかのために自分を犠牲にするのか、とカオリは思う。自分は人を愛したことはあるのか。
    忘れてしまった。これが物語の世界で良かったと思う。リアルにあったとしたら、きっと呑気に読むことはしないだろう。
    「現実を物語にするのは・・」
    カオリの影が動いた。一本の手が伸びて来る。それをそっと握る。
    「現実に痛い目を見た人に、失礼だよね」

    人は脆い。
    特に今まで挫折を味わったことがない人は脆い。
    今まで完璧な人が、社会に出た途端、価値観の相違という壁に当たって砕け散るのだ。

    パリン
    ガシャン

    砕け散る、という単語を考えた瞬間、その音が聞こえた。
    一瞬空耳かと思ったが、廊下の方が騒がしいのでとりあえず読みかけの本を片手に出てみる。
    ドアを開けた途端、落胆や罵声に近い声が耳に飛び込んできた。
    『またやったよ』
    『昨日は蛍光灯、今日はガラスかよー』
    その台詞に間違いは無かった。昨日の昼休み、男子数人がボール遊びをしている時、誤って天井の蛍光灯に当てて落としてしまったのだ。
    もちろん、それは粉々に割れた。
    そして、今もガラスが割れた。
    粉々に。

    カオリは集まった人の中をくぐり抜けた。誰も気付かない。
    破片が飛び散っている。掃除をしているのか、破片同士が当たる音が聞こえた。
    カオリは、そのうちの一枚を拾う。自分の姿が映った。
    こっそり、ブレザーのポケットに入れた。


    「ぎーらてぃーなさん」
    ガラスの破片に向かってカオリは話しかけた。破片が話すわけない。それは百も承知だ。
    ゴーストタイプの伝説のポケモン、ギラティナ。
    その存在を知ってから、カオリは情報を集めていた。
    そして、ギラティナは『やぶれたせかい』という場所にいることを知った。この世界を支える軸として存在している場所。
    鏡から、それは見えるらしい。つまり、何かを映す物ならいいというわけだ。
    そのことを知って以来、カオリは鏡に向かって話しかけるようになる。
    洗面所で、お手洗いで。風呂場で。
    そして、ガラスの破片に。
    「そっちはどんな世界ですか」
    破片には自分の姿が映るだけだ。
    それでも、カオリは望んでいた。
    ギラティナという存在に、会える日が来ることを。


    カオリは、元々ゴーストタイプが見えるわけでも、懐かれやすいわけでもない。
    全ての始まりは、


    「痛」

    十歳の時に、親指の付け根を切った時からだ。

    当時、カオリは彫刻刀で木を彫っていた。何も無い日常に嫌気が差して来た時だった。

    「痛っ」

    左手の、親指の付け根。
    かなり深い傷だった。

    その日からだ。
    カオリの周りにゴーストタイプが集まり、カオリもそれが見えるようになったのは。

    「ギラティナ」
    傷を見つめる。もう目立たない。

    「必ず、会いに行くよ」


    [批評してもいいんだぞ]


      [No.929] 雷神と戦ってみた 投稿者:   《URL》   投稿日:2010/11/07(Sun) 04:49:36     61clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5

     一歩、二歩、アーケオスが均した地面から離れ、木々が折れ飛び、けもの道のようになった場所を進む。
     さっきのレンジャーたちの誰かが、道として切り開いたのだろうか。
     彼女は先の青年たちの顔を思い浮かべながら、有り難く使わせてもらうよ、と呟いた。
     風神雷神をあの場所から引き離すのに、使えるかもしれない。
     途中からは森に入ることになるだろうが、それも策のうちだ。

     そこまで考えて、彼女は雨で額に張り付いた髪をかき上げた。
     ……少し、調子が悪い。
     気のせいと思いたかったが、それは事実だった。
     伝説に謳われる風神と雷神。
     この機を逃せば、十中八九、次はない。
     怪我なんかで寝ている場合ではないのだ、と自分自身に喝を入れる。

     近くで雷が落ちた。風が乱れ、右から左から、不規則に吹いては彼女の体を揺らした。

     顔を上げ、ゾロアークの視線の先を探るが、人間である彼女には暗闇と雨以外何も見えない。

     不意に、雨の中に明かりが灯った。
     相棒のゾロアークの様子を窺うが、彼は明かりの方に興味を示していない。
     危険ではないらしい、と判断する間にその正体が知れた。

     彼女は顔をしかめた。
     さっき岩棚の所にいた青年が、何を思ったか、リオルとヒトカゲを連れて、ここに来ていたのだ。

     戻って、救助でも待ったらどうだ。彼女がそう口にする前に、青年が口を開いた。
    「助太刀に来ました……と言っても貴女は断るでしょうが、俺も手伝わせてもらいますよ」
     青年が連れて来たリオルとヒトカゲが、彼女の足元まで来て、やる気満々だよという風に彼女を見上げた。

     青年は、どこか底の知れない瞳で彼女を見ていた。
     トレーナーとして、長い間修行してきたのだろう。
     隠そうとしても隠しきれない、彼の強さと闘いを求める心がその奥にあった。

     彼女には分かった。彼は、帰れと言っても絶対に帰らない。自分もそうだから他人のことをとやかく言えないが。
    「勝手にしろ。ただし、技に巻き込まれて瀕死になろうが、知らないからな」
    「じゃあ、勝手にしますよ」
     そう言って、不敵な笑みを浮かべる。
     青年の腰に付けられたモンスターボールが、カタカタ揺れた。
     彼の体全体から、一挙一投足から、彼の戦士としての技量、隙の無さが見えた。

     青年の、意味ありげな視線が自分に向けられているのを感じて、体の向きを変えた。
     無意識に鳩尾を庇っていた手を外した。
     治りかけた傷が、どうなっているか……だが、倒れるとしたら、奴らを負かした後だ。

     リオルとヒトカゲに手で戻るよう促すと、二匹は青年の近くへ寄っていった。
     その様子を見て、とりあえず邪魔になることはなさそうだと判断する。

     肩に乗せたバチュルが、細い笛に似た音を出し続けている。
     ゾロアークのスーが、視線を固定させて、低く唸っている。
     他のポケモンたちも、それぞれのやり方で、トレーナーの彼女に近づく危険を知らせていた。
     いつの間に現れたのか、先程土砂崩れを防いだエーフィが、雨の中、彼らを見上げていた。
     エーフィがひと声鳴くと、スーが応えるように鳴いた。

     スーが彼女のコートの裾を、軽く引っ張った。
     数メートル下がると、黒狐は肯定するように鳴いて、彼女の斜め前に回った。

     エーフィが彼らに背を向け、耳と尻尾を、ピンと立てた。
     リオルは静かにトレーナーの隣で待機し、ヒトカゲは自分を奮い立たせるように小さく鳴きながら、尻尾の炎を爆ぜさせた。

    「……来るか」

     右手を上げ、バチュルの視界を遮ると、小さな電気蜘蛛はピタリと鳴くのを止めた。
     他のポケモンたちが、動作を止めて、彼女を見上げる。

    「いつもやっている通りだ」
     息を吸う。雨が口の中に入り込む。
     ちょっと危ない奴を逮捕する時と同じだ、と言って笑う。

    「スー、先導を頼む。グンとユンは陽動。ナンは、」
     灰鼠と紫オコジョが片手を上げる。
     彼女がドレディアに目を向けると、特性がマイペースの彼女は、気が早いのか呑気なのか、離れた場所で蝶の舞を踊っていた。
    「……それでいい」


     雨と、風と、雷鳴。
     ひたすらにうるさいのに、妙に静かに感じた。
     音が消え、冷たさが消え、この時間がずっと続くのではないかと思われた、その時。


     時間が目に見えるなら、壊れて弾けた。


     頭を打ち割る大音響と、目が潰れそうな眩い一閃。
     何もかも白くなって、たったの数秒が引き伸ばされて、延々と白の景色を見ていた気がした。


     視界が戻り、雨風が場を支配する。
     さっきの閃光で大きさの狂った瞳孔はすぐには戻らないが、そこに何がいるかは、見ずとも分かる。

     風神と、雷神。

     ……危なかった。エーフィとゾロアークに言われて下がっていなかったら、さっきの白光が彼女の命を奪っていただろう。

     青年を押しのけて、前に出る。
    「ここじゃ、また土砂崩れが起こったらフォローできない。まずはここから引き離す」
     ぎりぎり雨に消されない大きさの声で、青年に伝える。
     了解です、とこの状況にしては軽い調子で青年が答えた。


     雨の中で、二つの影が動いていた。

     ひとつは地面で、腕を支えに起き上がろうとしている姿。
     もうひとつは、地面に這いつくばる兄弟を嘲るように、中空を旋回していた。
     地面に落ちていた方が、体を起こし、宙に浮かび上がった。

     二つの影は、よく似た形をしていた。
     どこか人間に似ているが、雲を支えに空を飛び、一本の輪のような尻尾を持っている。
     互いが互いに、似ている。
     だから争うのだろうか。

     右手を半端にバチュルの前に持っていく。
     バチュルは彼女の意図を察したように、小さく鳴いた。

     紫を多分に含んだ虹色の光が、兄弟神の間を割くように飛ぶ。
     争いの邪魔をされた兄弟神が、光の出所を睨んだ。

     空気が変わった。
     気まぐれな雨が、風が、雷が、彼らの眷属であるというように、意志を持って彼女たちに敵対していた。
     
    「風神と雷神だな」

     静かに発した彼女の声を、黙って聞いているのは、神の気まぐれか、憐れみか。

    「お前たちがところ構わず暴風雨を撒き散らすせいで、迷惑してる」

     片方が、クックッと笑った。
     何がおかしいのか。

     彼女は静かに、人差し指を向ける。

    「だから、成敗させてもらう」

     人間ごときが。そんな声が聞こえた気がした。
     怒りを含んだ空気が膨れ上がる。
     神が、雷鳴、豪風に似た雄叫びを上げた。



     彼らが攻撃の予備動作に入る前にさらに数歩下がり、三匹のポケモンの名を呼んだ。
     すべきことを弁えている三匹は、彼女が名前を呼び終わるより先に、攻撃を繰り出した。

     チラチーノが小さな手にエネルギーを込め、無数の岩を撃ち出す。
     ゾロアークが闇色の刃を撃ち、その行く末を見極めたコジョンドが風神との距離を一瞬で詰め、眉間に腕の体毛の一撃を加えた。

    「下がれ、スー。グン、ロックブラスト。ユン、ストーンエッジ」
    「ラックル、まねっこ」

     黒狐が大きく跳躍して切り開かれた道に降りた。
     数歩下がり、チラチーノたちを道の奥に少しずつ移動させる。
     青年のリオルが、コジョンドを真似てストーンエッジを撃ち出す。
     ヒトカゲとエーフィも、自分で技を選んで彼らに放つ。
     尖った岩と炎が飛び交い、大量の礫に全身を打ち据えられながら、なお風神雷神は泰然自若と笑っていた。

     雷神と風神は顔を歪めて笑うと、尾を光らせ始めた。
     神の力を見せてやろう。
     そう言いたげに雷神が雷鳴と、風神が豪風と同じ声を上げた。

     二体が輪のような尾をしならせ、弾いた――と同時に雷竜が天に昇り、弧を描いて地面への走路を選ぶと、道の後方で大口を開けた、竜のようなような竜巻に迷わず突っ込んだ。
     後方の道の部分でで爆発音が起こり、細かい砂が雨に混じってバラバラと降ってきた。
     ゾロアークの安全を確認しようと後ろを振り向くと、そこにはすり鉢状にえぐれ焦げた地面だけがあった。

     スーの姿が見えない。地面に倒れていなければ、あいつは無事だ。
     前に向き直ると、勝ち誇ったような笑みを浮かべる雷神と風神の姿があった。

     しかしなおも、ポケモンたちは負けじと攻撃を続けていた。
     彼女たちも足場を確認しながら、後ろに下がっていく。

     えぐれた地面の縁まで来て、彼女は足を止めた。
     場所ではない。音だ。
     雨の中を、こぉーん、と高い声が通ってくる。彼女のゾロアークは仕事をひとつ済ませたようだ。
     土砂崩れで消えているかと思ったが、目を付けていた天然のバトルフィールドはしっかり存在しているようだ。

     傍らの青年を肘でつついた。
    「何ですか」と青年が答える。
     その横顔にふと安心感を覚えた気がして、慌ててそんなことはないと心の中で否定する。

    「場所、変えるぞ」
    「いいですけど、どこに?」
     こぉーん、と雨の中、かすかに聞こえる遠吠え。
     その音の方向を黙って指し示す。青年は静かに頷いた。
     ポケモンたちに陽動の指示を出そうと、口を聞く。

    「グン、ユン、こっちに……」

     突然、鳩尾に鉛の大玉を入れられたような感覚に襲われ、喉も、声も、体の動きも機能しなくなった。
     倒れかけた彼女に、風神が強風を撃ち出す。
     技でも何でもないただ強いだけの風だが、彼女を吹き飛ばすには十分だった。

     棒のようになった彼女の体が、すり鉢状にえぐれた地面の底へ転落した。

     すり鉢の底に着いた彼女は、すぐさま痛みをおして立ち上がった。
     そして、状況が如何に悪いかを知った。

     豪雨で泥と変じた地面は、ただえぐれただけでなく、即席の蟻地獄の巣のように彼女の足を絡めとっていた。
     今の彼女では、ここから出られない。
     ボールからアーケオスを呼び出し、その背に乗る。
     色鮮やかな始祖鳥は、彼女を乗せるや否や、鳴き声を上げる間も惜しんで蟻地獄から駆け出した。

     ――青年がいる方向とは逆向きに。

    「ロー、何やってる!?」

     不可解な動きをした始祖鳥に少しの間戸惑った彼女だが、後ろを向いてようやく事態を把握した。

     雷神が体に余るほどの雷を身にまとい、憤怒の形相で追ってきている。
     奴が、彼女と青年を引き離すよう動いたのだ。その上、道を塞ぐように暴風で出来た壁が出現していた。
     最初からこれが狙いだったのか。
     ポケモンのいないポケモントレーナーなど、魚の卵より簡単に潰せると踏んだのか。
     神の名を冠するとはいえ、一介の野生ポケモンが彼女だけをあの集団から引き離そうとした。高らかに成敗すると宣言した彼女を狙って……悪いことばかり考えても仕方ない。

    「ロー、スーの声だ。あいつの声を追え!」

     飛ぶよりも走るのが速い始祖鳥は、僅かに余裕が出来たのか、クエッとひと声鳴いた。
     狐の声を頼りに、身を翻し、道から外れて脇の山林に飛び込む。
     雨でぬかるんだ地面を蹴り、風で倒れた木々を越えて、アーケオスはひたすらに走り続ける。
     後ろから、低い雷の音が聞こえる。
     至近距離で雷が落ちた。
     アーケオスに立ち止まって技を出す余裕など、ない。しかし。

     雷の音に消されそうなスーの鳴き声を拾いながら、彼女は人差し指を立てて、肩のバチュルの前で軽く振った。
     小さな蜘蛛は、心得た、と彼女の背中側に回り、技を繰り出した。

     パチパチ、と雷に比べると可愛らしいぐらいの電気を込めて、特別な糸で編んだ網を、追いかける雷神に向けて広げた。

     大きな唸り声を上げて、雷神が網に突っ込んだ。
     粘着力と電力両方を備えた糸を払いながら、なおも彼女を追いかけてくる。

     スーの声が、近い。

     木々をかき分け、彼女は相棒の示す場所へ、一目散に飛び出していった。
     森の中でそこだけ、自然に開けた広場となっていた。ポケモンバトルにはおあつらえ向きだ。

     合流を果たした彼女に、おかえりと言うようにゾロアークが鳴いた。
     ここまで駆け抜けた始祖鳥に、奥の山林に隠れるよう指示を出す。アーケオスはすぐさま木々の中に飛び込んだ。
     雷の音を聞きつけた化け狐は、指示を仰ぐまでもなく、彼女の姿を真似た。

     広場に、雷神が姿を現す。
     人間の女の姿を探していた雷神は、探す姿が二つに増殖して、面食らったと見えた。しかし、それから雷神が次の決断をするまでの間は短かった。

     雷神の考えとはつまり――二人いるなら、両方攻撃すればいい。

     さっきとは比べ物にならない程太い黄竜が、広場の中央を穿った。
     彼女とゾロアークは慌てて左右に分かれて飛び退く。
     雷の直撃は免れた。しかし、その余波で撒き散らされた電気は、人間の彼女には耐え難かった。
     体勢を崩し、その場に倒れ込んだ彼女の上に、追い打ちをかけるように雨が降ってきた。

    「ガウゥッ!」

     ゾロアークが焦燥の声を上げた。
     自ら尻尾を出してしまった狐をギロリと睨みつけると、雷神は、地に転がって動けない彼女に、尾を突きつけた。
     今までに、見せつけるように地をえぐる雷撃を撃ち出した、その銃口の部分が、ピタリと彼女に向けられた。

     雷神の持つエネルギーが、肥大化していく。
     その全てを銃である輪っか状の尾に溜め、その先には彼女がいる。

     雷神が勝利を確信し、雷と同じ声を上げて笑った。
     エネルギーが尾の先に収束していく。
     尾の先が放電を始める。

     尻尾の先が下方に揺れ、いよいよだと彼女に突きつけられ、尾の先が眩く輝いた。


     と思うや否や、尾の輝きが消えていく。
     雷に変換されたのではない。
     尾に蓄えられていたはずのエネルギーが、どこかに消失したのだ。

     尾の先には、彼女と――雷神に取り付いたバチュル。

    「フィィィッ!」

     笛のような音を上げて、雷神が尾を地面に打ち据えるより先に、バチュルが雷神から吸い取ったエネルギーを、元の持ち主へ打ち放った。
     かつて雷神のものであったそれは、今は雷神を襲うものとして、光を放った。

     尻尾が地面に当たり、小さな蜘蛛が跳ね返って飛んだ。
     再び雷神がエネルギーをチャージする。

    「ロー、原始の力!」

     体の痺れを振り払って、叫ぶ。
     緑の中から原色の鳥が跳躍し、翼を振るって白い光体を打ち出した。
     白の発光体が、雷神に直撃した。ぐう、と雷神が唸った。効いている! コジョンドたちの攻撃が、ここまで来て功を成した。
     始祖鳥はすかさず、第二、第三の原始の力を撃つ。
     負けじ、と雷神が雷を放つ。
     初撃を避けたローだったが、二撃目は避け切れず、右の翼を麻痺させた。
     バチュルが飛び出し、弱気になりかけたローにすかさず胃液を使った。
     気を取り直したローは地を駆けながら、残った左の翼を打ち振って原始の力を使う。
     雷神の放つ雷が、地面に焦げ跡を作っていく。
     太い光の柱のような雷撃の間を潜り抜け、地を駆ける始祖鳥は確実に雷神の体力を削っていた。

     焦れた雷神は咆哮を上げると、鳩尾を庇い、未だ立ち上がれない彼女に向かって突き進んだ。

     アーケオスが彼女と雷神の間に立った。
     繰り出された雷撃がアーケオスを直撃した。
     雨に打たれ、雷に打たれ、それでも倒れない始祖鳥を見て、雷神が口角を上げ、尾に溢れるほどのエネルギーを充填した。

    「ロー、撃ち落せ!」

     漆黒の尖った岩が、雷神が背にした山林から、銃弾のように飛び出した。
     岩が背骨の中央をしたたかに突いたのに耐えきれず、雷神が高度を下げる。

     雷神の目の前にいた鳥が、ニヤリと笑った。
     輪郭が歪み、元の姿を現す。
     騙し合いを楽しむそれは、化け狐のもの。
     ゾロアークは残った力を振り絞り、雷神に向けて草結びを発動した。急成長した蔦が、雷神の尾に絡みつき、離陸を阻む。

    「今だ。ロー、地ならし!」

     始祖鳥は、雷神と至近距離にいる彼女を困惑の眼差しで見た。
     しかし、このチャンスを逃すことは出来ない。
     黒狐が彼女を守るように抱きしめると、ローに向けて叱咤するように鳴いた。

     ローが不満げに鳴き、両の翼を地面に叩きつけた。

     大地に叩きつけられたエネルギーが、衝撃となって地に接するもの全てを襲った。

     彼女を守るように立っていた黒狐が、苦悶の声を上げる。
     腹の古傷を強く、何度も強く殴られたような衝撃が走った。
     意識を手放すまいと、黒狐の腕を探り、強く握りしめた。

     そしてそれは、地に伏した雷神とて例外なく襲った。
     地面の衝撃が収まり、真っ赤な目で狐と、その向こうにいる彼女を睨みつける雷神は、轟雷の声を三度上げ、いざ飛び立たんとした。

    「フィ、フィッ!」

     突然の、高い声。
     見れば、上空に、一本の糸を頼りに風に遊ばれる、黄蜘蛛の姿があった。
     バルーニング。通常は旅立ちのために使われるその手段で、黄蜘蛛は空に飛び、地ならしを逃れたのだ。
     黄蜘蛛は風に吹かれるまま、雷神に向けて多量の糸を吐いた。
     空で幾何学的多角形を描いたそれは、雷神に被さると、雷神の体を地に縛り付けた。

     蜘蛛の糸で白い団子状になった雷神に、バチュルはさらにもうひと山ほどの糸を吐いた。
     糸の奥から、雷神の怒声が聞こえる。
     雷神は雷を使うだろうが、電気蜘蛛一族の網は、電気ごときで焼け溶ける代物ではない。

     バチュルは勝ち鬨を上げると、始祖鳥と共にトレーナーの元へ駆け寄った。
     彼女はゾロアークにもたれかかっていた。
     小さな蜘蛛は彼女の名前を呼ぶように何度も鳴いた。
     始祖鳥はそんな蜘蛛の様子を見て、申し訳なさそうに項垂れた。

    「大丈夫。……大丈夫だ」
     何とか声に出し、意識を繋ぎ止める。
     雨はまだ降り続いていた。



    〜〜〜

    ここぞとばかりバトルシーンに挑戦してみたきとかげです。
    クーウィさんとこのトレーナーさんとラックルくんと、兎翔さんとこのヒトカゲくんと、海星さんとこのエーフィさんをお借りしました。
    でもなんか、活躍できてなくて申し訳ない。だって皆さんいたら容易く倒せちゃうから、とまあ言い訳です。

    風神は……任せた!

    【風神誰か懲らしめてなのよ】
    【っていうか遭難寸前でごめんなさい】

    あと、
    【アーカイブ賛成なのよ】

    この場を借りて。
    ちょっと曲者な彼女を使ってくださってありがとうございます。なんか、美人になって帰ってきました。
    てこさんへ。
    むしろイメージ通りです。 ありがとうございます!

    海星さんへ。
    >  黒髪美人のおねえさん
     美 人 だ と !

    クーウィさんへ
    加勢! 百人力なのですよ!


      [No.908] ザ・プロフェッショナル 投稿者:イケズキ   投稿日:2010/11/02(Tue) 08:33:43     51clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     「師匠、どうして俺を認めてくださらないのです?」
     一匹の若いストライクが尋ねる。

     「馬鹿なことをいうな。お前なんぞにこの『達人の帯』は、100年はやいわ。」
     若いストライクの師匠、カモネギが答える。

     『いあいぎり』の達人として高名なこのカモネギが、ストライクを弟子にとったのはつい3年程前のことだ。カモネギは、いつか自分の認める「いあいぎり」の使い手になれたら、免許皆伝の証に『達人の帯』を渡すことをストライクに約束している。

     「俺は確かに師匠の弟子になってからまだ日は浅いです。でも、今の俺は師匠にも負けない『いあいぎり』の使い手です。」
     ストライクがムキになってカモネギに詰め寄る。

     実を言うと、確かにストライクの言うとおりなのだ。
     このストライク、師匠のカモネギに弟子入りしてからというもの、まるで渇いたスポンジが水を吸うかのように、あらゆる「いあいぎり」の極意を完璧に吸収してきたのだ。
     その腕前はもはやカモネギ師匠にもひけをとらないと、もっぱら噂されている。

     「青二才が調子にのるな。まだまだお前なんか、ひよっこも同然。私のレベルには程とおいわ。」
     言葉は荒いが、普段と同じ穏やかな顔でカモネギが言う。

     「それなら師匠!」
     まるで相手にされていないことがわかって、ストライクがさらにムキになる。

     「俺と『いあいぎり』で勝負しましょう!もし俺が勝ったら、あの『達人の帯』をください。」
     ストライクは堰をきったように、一気にここまで言い切った。

     「いいだろう。たが、お前が負けたら、これからもしっかり修業を続けるのだぞ。」
     カモネギ師匠はこれっぽっちも負けるとは思っていないらしい。余裕の笑みを浮かべている。

     ストライクはそれが全く気に入らない。
     緑の頬にさっと紅がさしたかと思うと、道場まで来てくださいといってさっさと行ってしまった。


     「一つ目の勝負は、速抜き勝負です。」
     ストライクが言った。

     速抜き勝負とは、帯刀から如何に速く刀を構え対象を切るかの勝負だ。

     「始めの合図と、判定はコマタナにやらせます。」

     ここで、道場の角で正座していた一匹のコマタナが立ち上がり、ペコリとお辞儀した。

     道場はカモネギの弟子達と、どこから話を聞いてきたのか、見物にきた近所の野次馬でいっぱいになっている。
     長い事どっちが上かと噂されてきた師弟だけに、みんなこの勝負の結果が気になるのだ。

     今ストライクが、道場の丁度真ん中に立った。その前には、細い木が一本立っている。
     ちなみにこの道場は『いあいぎり』の修業のため、板敷きの床に40cm四方くらいの穴がだいたい1m間隔ずつ空いていて、そこから俗に言う「きれそうな木」が生えてくるようになっている。練習でどれだけ切っても、次の日にはまた昨日と同じ高さまで成長しているという何とも不思議な木だ。

     「ふぅー」
     ストライクが呼吸を整え、精神を集中させる。
     両手のカマの根本を、それぞれ腰に当てると準備完了。

     「始めっ!」

     と、言うコマタナの掛け声が言い切るより前に、ストライクは全ての動作を終えていた。

     目にも止まらないスピードでカマが動き、「きれそうな木」は真っ二つに切られた。
     興味本位で集まった野次馬にはおろか、勉強させて貰うつもりの弟子達にすら、ストライクの太刀裁きは、微かな残像しか見えなかったことだろう。

     「師匠どうです?俺はもうあなたにだって負けない太刀裁きができるんです。」
     ストライクは自信満々にそう言った。

     カモネギ師匠は相変わらず笑みを絶やさない。

     「なかなか成長したようだな。しかし、まだまだ達人の域には達していない。」
     「強がりはいいですから、次は師匠の番です。位置に着いてください。」
     ストライクは自分のベストパフォーマンスをあっさり流され、ふて腐れてしまっている。

     カモネギ師匠はもう一本の「きれそうな木」の前に立った。その横にはさっきストライクが切った「きれそうな木」の切り株が、まるでのこぎりで切った跡のような美しい木目を残している。

     突然、道場全体にどよめきが起きた。
     それもそのはず、なんと位置についたカモネギ師匠が、羽に挟んでいた「ながネギ」を床に置いてしまったのだ。
     これでカモネギ師匠は完全に丸腰。木を切ろうにも、どうしようもない状態だ。

     「師匠、どういうつもりです?これは、試合放棄ですか?」
     ストライクが聞いた。
     しかし、カモネギ師匠は反応しようとしない。目を閉じて、木の前で立ち続けている。

     「ストライク兄さん、これはどういうことなのでしょう・・・・」
     困ったコマタナが、ストライクに聞く。
     「分からない。」
     同じく困ったストライクが応える。
     「それじゃ勝負の方は、師匠の戦意喪失で、兄さんの勝ちということで・・・・」
     「ダメだ。勝負はこのまま続行する。」
     コマタナの言葉が言い切らないうちに、ストライクが言った。
     「勝負は続行だ。コマタナは始めの合図を出せ。もし、それでも師匠が動かなければ、その時こそ俺の勝ちだ。」

     コマタナは了解したというように、またペコリと頭を下げると元の場所に戻っていった。

     「えー、それじゃ、始めっ!」
     コマタナが気を取り直し、合図を出した。

     「クワァッ!!」
     道場全体にカモネギ師匠の気迫のこもった掛け声が響いた。閉じられていた両目はカッと見開かれ、さっきまでの穏やかな表情は面影すらなく、鬼気迫る形相で木を睨みつけている。

     しかし、何も起こらない。

     「師匠!なぜ、俺と勝負してくれないのですか?」
     ストライクが聞いた。
     道場に集まった他の者達も訳が分からず、口々に疑問の声をあげている。なかには、露骨にカモネギ師匠を非難する者までいる。

     「だから、お前はまだまだひよっこだと言うのだ。」
     ここにきて、ようやくカモネギ師匠が反応をみせた。

     「私は今、確かにこの木を切った。ただ、まだこの木は自らが切られたことに気づいていないというだけのこと。」
     「気づいていない?師匠、おっしゃることの意味が、よく分からないのですが・・・」 ストライクは、師匠が本気なのか、自分がかつがれているのか分からなかった。
     「そのことが分かる日が来れば、お前に『達人の帯』を渡そう。それまでは、しっかり修業することだ。」

     それだけ言うと、カモネギ師匠はながネギを拾い道場を出ていった。

     「師匠、まだ決着はついていません。待ってください。」
     ストライクがカモネギ師匠を追いかけようとしたその時、本日2回目となる道場全体のどよめきが起こった。

     ストライクが何事かと振り返ると、すぐにどよめきの原因がわかった。



     その「原因」を見てからストライクは、カモネギ師匠に「達人の帯」を貰う日まで、ただの一言も文句を言わず修業を続けたそうだ。
     そして、ストライクのカモネギ師匠に対する深い尊敬は、彼の一生を通して貫かれたらしい。





    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

    お題が秘伝技ということで、ポケモン世界で「秘伝」を伝える様子を想像してみました。中島敦「名人伝」という話を参考にしています。ただ、実際の名人伝は弓の話ですし、話に聞いただけで僕はまだ名人伝を読んでいないので、恐らく原形を留めていないかと・・・・すいません。

    必要ないかもしれませんが、最後カモネギ師匠の木は切れています。
    カモネギ師匠によると、どうやって切ったのかは、修業しないと理解できないそうです。


    【書いてもいいのよ】【描いてもいいのよ】【批評してもいいのよ】【修業してもいいのよ】


      [No.887] 応募2作品目、登場。 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2010/10/30(Sat) 11:22:19     68clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    応募2作品目来ました!
    今度は7300字程度。
    最初の相棒との出会いを描いた作品になります。

    URL:
    http://masapoke.sakura.ne.jp/pokemonstory-contest-01-002.html


      [No.866] No.025の計画 投稿者:巳佑   投稿日:2010/10/28(Thu) 02:17:47     41clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    『なみのり』ができるようになった。
    『そらをとぶ』ができるようになった。
    『フラッシュ』はノーマルタイプだけど電気を扱うモノにしてみたら当然だし。
    それと『かいりき』も『いわくだき』だってできるし……。
    次はどんな『ひでんわざ』を体得してみようかな。

    『たきのぼり』の場合。
    ……滝に打たれるだけで、そのまま修行に直行になってしまいそうだなぁ。
    自慢の商売道具のサーフィンボードでも流れに逆らって
    垂直に上がることはできないしね。

    『きりばらい』の場合。
    ためしに特大のうちわを使って霧を飛ばそうかとやってみたけど……。
    腕が疲れるだけで霧は全然晴れてくれなかった。
    せっかくダーテングさんが作ってくれたうちわなのになぁ。

    『ダイビング』の場合。
    ……ごめん。息が続かないというのもあったけど、
    この前、ためしにやってみたら無意識に電撃を放っちゃったみたいで。
    「電気タイプが水中に潜るんじゃねぇぞ!!」って
    怒られたから却下ということで。
    ……ギャラドスさんの説教にはもうこりごりっていうのが本音だけど。

    『うずしお』の場合。
    …………おぼれそうになったので、これも無理。
    しばらくはニョロモ君の体のうずを見たくなかったぐらい、
    トラウマになっちゃったのはここだけの話だよ。

    『ロッククライム』の場合。
    ……うーん。
    木に登るのと崖を登るのとじゃ勝手が違うみたいで。
    僕、森育ちだからさ。崖には慣れてなくて……。
    それとどうしても時間がかかりすぎてしまったから、
    これもどっちかって言われたらアウトだよね。


    「……というわけで、僕は次、この『ひでんわざ』でいこうと思ったんだ」
    友達のコラッタ君に僕はようやくたどり着いた一つの答えを切り出した。
    「え〜と、ピカチュウ? 
     なんでおれっちの頭の上にマトマの実を置くんだい?」
    「いい? コラッタ君、そこから絶対に動いちゃだめだよ?」
    なんだかコラッタ君が戸惑っているようだけど、
    僕はこの『ひでんわざ』を使うために、ある技を使った。
    僕の黄色のしっぽが鋼色に上塗りされていきながら輝きだす。
    「ピカチュウ? それ、『アイアンテール』じゃあ……?」
    『アイアンテール』を水平切りのごとく思いっきり振ってからの……。
    「『いあいぎり』!!」



    「……いいかい、ピカチュウ? 
     こ・れ・は・あくまで『アイアンテール』だから『いあいぎり』って呼べないよ」
    「そうかぁ……。いい線だと思ったんだけどな。マトマの実はちゃんときれいに切れたのにな」
    「……おれっちの頭にもハゲができたしな」
    「…………」
    「…………」
    「ごめんね?」


    うーん、新しい『ひでんわざ』を手に入れるのは難しいなぁ。
    でも、もう少し考えてみたら……なにか思いつくかもしれないし。
    僕の新しい『ひでんわざ』を探す考えゴトはまだ終わりそうにもなさそうだ。



    [書いてみました]
    私はまだブラックホワイトを手に入れてないので、
    最新の『ひでんわざ』事情などは知らないのですが書いてみました。
    『○○○○(ひでんわざ)ピカチュウ』が次出るとしたら……!!
    と期待を込めながら。(笑)
    ちなみにNo.025はピカチュウの(全国の)番号です。
    念の為に書いておきますね。

    ありがとうございました。


    追伸:ちなみにハンドルネームの読み方に質問がありましたので
       ここで書かせてもらいますと、
       私の『巳佑』は『みすけ』と読みます。
       これからもよろしくお願いします。

    それでは失礼しました。


      [No.845] なん……だと…… 投稿者:てこ   投稿日:2010/10/26(Tue) 00:42:41     46clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    書いてみたがある…だと…(ざわ…ざわ…

    てこです!
    はじめて!の下にある文字を一回見て、うつむき、「いや、まさか。夢だろう、夢でないはずがない」と呟き、もう一度顔をあげ

    夢じゃなかったあぁぁぁあ!!
    リアルでウホッとか言ってしまったじゃないか!このぉ!

    海星さん、ありがとうございます!
    改めて、てこです!気持ち悪くてすみません。うれしかったのです許してくださいませ。


    ケーシィ、テレポートミスりすぎです。んでもってちゃっかりしすぎです。こいつめ!呪い死んでやる。

    そして、相変わらずのマニュアル人間の幼馴染で安心というか、よくぞ!
    どのカセットのとか、バージョン設定はしていないのですが、なんだろ……明るい中にウラがありそうでなんか、あれですね。幼馴染は

    こう、アニメ的にパウワウが「モンスターボールには入っていないけれど仲間だよ」みたいな流れになるかと思いましたが、ゲーム界はそう甘くはなかったですね
    でも、きっと別の流れで再開してジュゴンとして活躍しているかもしれません――フーディンと一緒に!

    オチ。そうきたか!
    確かにさいしょから、だと主人公の記憶もケーシィも消えてしまいますよね。だから、最初からの下に 幼馴染から という選択肢を作ったら大じょ(ry

    いやはや、ありがとうございます
    きっと、ケーシィも喜んでることでしょう。主人公をどこかに置き去りにして――。


      [No.796] 【速報】お題決定「足跡」 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2010/10/24(Sun) 02:42:24     71clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    23日〜24日未明にチャット会が行われました。
    散々脱線して大丈夫か? → 早くお題をキメルノデス となり
    マサポケでやる小説コンテストのお題が決まりました。

    小説コンテストお題は

    「足跡」

    となります。

    参加資格はとくにありません。
    投稿したことのない人でも構いません。
    みなさんのご応募お待ちしております。

    詳細はまた後日。


      [No.616] 夕時雨 投稿者:   投稿日:2010/09/09(Thu) 14:28:23     70clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    ――――ねぇ、知ってる? 雨の時はお化けが出やすいんだって。
    は? なにそれ。
    ――――雨の時はみんな傘差してるでしょ? 傘で顔が隠れるから、お化けは雨の時に出るんだってさ。
    ……お化けって傘差すもんなの?
    ――――さぁ? 知らない。

    友達とそんな会話をしたのはいつだったっけか。

    俺は雨の降る暗い夜道を1人で歩いていた。
    右手にはコンビニの安物の透明ビニール傘。左手には漫画雑誌の入ったビニール袋。
    何で俺の家からコンビニはこんなに遠いんだろうか。納得できない。
    漫画買いに行くだけでも往復30分なんて、ありえねぇよ。何のためのコンビニなんだか。
    そうぶつくさ言いながら、俺は傘を透かして空を見上げた。
    空は鉛色の雲ですっかり覆われている。星どころか空すら見えない。これだから雨の日は嫌なんだ。
    ため息をついて視線を前方に戻した俺は、ふと立ち止まった。
    今俺の歩いている道の両端には、等間隔でボロい街灯が立ち並んでいる。
    その街灯の内の1つ、とりわけ汚い街灯の下に誰かが佇んでいるのを発見したのだ。
    よくよく眼を凝らすと、人影は少女のようだった。
    そして頭の上には……どうやらハスらしき大きな葉っぱ。
    見間違いかと思ったけど、そうではないようだった。俺はふとガキの頃に見たアニメ映画を思い出した。その中で、主人公の幼い姉妹が雨の降るバス停で親を待っていると、少女の隣にお化けがやってきて同じくバスを待ち始めるというシーンがあった。そういえばそのお化けも頭に葉っぱを乗っけていたっけ。
    俺は再度ため息をついた。雨の中で頭に葉っぱを乗っけて1人佇む少女なんて、どう考えてもおかしい。
    気にしないでさっさと通り過ぎようかと思った。
    だけどその時、しとしとと降っていた雨が急に勢いを増した。ドウッとすごい音を立てて、雨を伴った強風が吹きつけてくる。少女の肩がビクッと跳ねた。よく見ると、少女はすっかり濡れてしまっていた。寒いのか、肩が震えている。
    俺はしばし逡巡した。だけど結局俺はその少女の元へ歩み寄っていった。……言っておくが俺にロリコンの趣味はない。
    「どうしたの?」
    出来るだけ優しい声で話しかけると、少女が驚いたようにこちらを見た(ようだった)。葉の下から、明らかに戸惑いと警戒の入り混じった視線が飛んでくる。俺は慌てて言った。
    「あ、どうしてこんな所にいるのかなって思っただけだよ。お母さんは?」
    「……今待ってるの」
    ようやく口をきいてくれた。か細い声だった。俺はほっとしてさらに聞いた。
    「君、傘かなんか持ってないの?」
    「……」
    沈黙がその答えを物語っていた。すると俺は自分でも驚いたことに、右手に持っていた傘をすっと少女に差し出した。
    「あ、あの、風邪ひいちゃうといけないからさ、俺の傘貸してあげようか?」
    自分でもアホらしいくらい紳士的な行動だ。馬鹿か俺は。だけど少女はしばらく黙って傘の柄を見つめていると、おずおずと手を出した。俺はその手に傘を握らせてやった。
    傘を差すと、最初の内はおどおどしていた少女も、やがて濡れなくなったことにほっとしたのか、張りつめていた雰囲気が緩んだ。少女は小声でつぶやいた。
    「ありがとう」
    「いいよ」
    俺は笑ってその場を離れようとした。その時、小さな手が俺のパーカーを掴んだ。
    驚いて振り返ると、少女は空いた片手でワンピースのポケットを探っていた。
    小さな手がポケットから何かを取り出して、俺の手に握らせた。わけが分からぬまま俺がそれを受け取ると、少女は不意に背後を振り返って嬉しそうに叫んだ。
    「あ、お母さん!」
    目をやると、闇の向こうで何かがボウッと燃えていた。ギョッとした俺を尻目に、少女は嬉しそうに駆け出して行った。
    その時視界の端で何かが揺れた。

    少女のワンピースの裾から覗いていたのは、6本の先が丸まった赤い尾。
    そして、駆けだした拍子にずれた葉っぱの先から覗いた、髪の毛を掻き分けて突き出した赤い耳。

    それが何なのかを俺の脳が認識する前に、少女の小さな後ろ姿は闇に溶けて消えてしまった。


    茫然と突っ立っていた俺は、ようやく手に握らされたものに視線を落とした。
    しばらくそれをじっと見て、俺はちょっと笑ってから再び歩き出した。


    ――――『ねぇ、知ってる? 雨の時はお化けが出やすいんだって』


    ……まぁ、でもたまにはこういう雨の日もいいもんだ。
    俺の掌の中で、雨粒で濡れたチーゴの実が街灯の光を受けて煌めいた。
    雨はようやく小降りになってきていた。


    ―――――――
    お題:きつねポケモン

    こんな感じでよろしいのでしょうか?
    初めて投稿します、「柊」という者です。よろしくお願いします。
    アドバイスなどありましたら、下さると嬉しいです。

    【書いてもいいのよ】【描いてもいいのよ】【批評していいのよ】


      [No.564] Re: 豊縁昔語―詠み人知らず 投稿者:サトチ   投稿日:2010/08/31(Tue) 21:25:26     46clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    去り行く者なのか、置き去られて行く者なのか。
    我が身の落魄を嘆く小野小町を思わせる歌人と、時に忘れられ一人残された水の住人。
    歌というよすがで出会った二者を、共に時に忘れられようとしている者として結びつけた意外性が新鮮。

    最後にサダイエが見た大鯰は、彼女を迎えに来た水の歌人だったのか、
    それとも水の住人へと姿を転じた蓮見だったのか。しっとりした余韻を残す佳品。


    短歌は苦心の跡が見えますね〜。古典から探すと言っても、そうそうはまる作品はないでしょうし。
    最初、「水芙蓉の歌の後、どうしても歌が詠めなくなった蓮見が水の歌人に魂を売って・・・」とかの
    怖い系の話になるのかと思ったのはナイショ(^^;)


      [No.525] 北の国でもカゲボウズ 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2010/08/26(Thu) 21:23:46     41clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    爆笑しながら読み進めましたw
    ああこりゃあ暖かくなるまでは出て行かないなぁ……
    カゲボウズにくるまって寝るといいよ!



    カゲボウズ座談会。

    カゲボウズ1「毒男さんてばまだ彼女ができないんですって」
    カゲボウズ2「まー、気の毒ねぇ」
    カゲボウズ3「洗濯はうまいんだけどねー」
    カゲボウズ4「負の感情食いたい」
    カゲボウズ5「冷やし中華食いたい」


    【削除しないで!】


      [No.457] ■そろそろ交通整理を。 投稿者:No.017@管理人   投稿日:2010/08/18(Wed) 22:43:14     63clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    いつまで伸びるんだこのスレ!?(笑

    レス途中に差し挟むのがややこしくなってきたので、
    とりあえず【書いてみた】含め、
    「小説」は親記事(http://masapoke.sakura.ne.jp/lesson2/wforum.cgi?no=384&reno=n ..... de=msgview)返信で
    スレの一番下にくっつくようにしてくといいんじゃないかな。
    個々の感想は各小説に返信でおkかと思いますがいかが。



    【もっと伸びていいのよ】
    【もっと親記事に拍手するといいのよ】


      [No.388] ありがとうございます。+おまけ 投稿者:CoCo   投稿日:2010/08/14(Sat) 00:29:01     96clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     みなさんありがとうございます。
     てこさんジュペッタありがとうございます。ついシャドーパンチ喰らいたくなりました。
     No.017さんありがとうございます。ツイッターなんて恐れ多いです感謝です。カゲボウズ暦の長いツッ●ー氏が言うならばやっぱり陰干しですかね?
     拍手くださったみなさんも通りすがりのみなさんもまとめてありがとうございました。私のカゲボウズがよろこびのあまり風もないのになびいています。

     そしてぴくしべで小説が投稿できることに今気づきました。
     イラストコミニュケーションサービスって書いてあったから油断していた……。


    以下おまけという名の妄想と蛇足



     悩める貧乏青年達が集まる郊外の古い安アパートには、まれに数匹、特定のカゲボウズが暮らしていることがあるらしい。
     彼らは宿付きカゲボウズと呼ばれ、都市型に発展したポケモンの生態系の一種であると見られる。
     とくに悩みつらみ凹んでいる住民の窓のさんに取り付き、負の感情にあやかるカゲボウズ達だが、あるアパートではカゲボウズの付き具合を見ておのおの鍋の具材を持ち寄り当該住人の部屋を訪れ、【メシウマ鍋】【ざまあ鍋】や【傷舐め鍋】などを執り行う等、古来より不吉の象徴として見られがちな彼らが、緩やかながら人間の生活に溶け込んでいるという現象も報告されている。

     また最近、なぜか当研究所に「カゲボウズは陰干しなのか?」という類の投書が多く寄せられるので回答させていただくと、陰干しとは本来、木綿素材など水分が蒸発する際に収縮する性質をもつ衣類の変形や、ジーンズなどの変色などを防ぐために風通しのよい日陰で洗濯物を乾燥させることを言うが、洗濯して干したカゲボウズがガビガビになった、カゲボウズが色落ちしたなどの事例は報告されていない。
     しかしカゲボウズはゴーストタイプであり、紫外線に弱いとのレポートも存在するため、カゲボウズを干す場合は結果的に陰干しが適当だとも考えられる。

         ――国立ゴーストタイプ研究所

     追記
     色落ちはしないが、日焼けしてひりひりすることはあるらしい。【要出典】
     暑い夏のことでもあるので、日向でカゲボウズとふれあう場合には十分注意が必要だと思われる。





     以上は、あれ以来うちのアパートに住んでいるカゲボウズの洗濯係みたいになってしまった俺に対して、上の階に住んでいる御影先輩が何も言わずに寄越してきたものだ。怪しい紙である。
     まあ俺の部屋と俺自身は日陰なので干し方には心配なかろう。

     ちなみに御影先輩は相変わらず寝起きの顔がミカルゲにそっくり似ている。あの不運げな顔では今年も落第は免れまい。

     負の優越にひたっていると、水をはったタライの中からカゲボウズがこっちをみつめていた。

     いかんいかん。こいつらを洗うときは無心でなくてはいけない。心に負の念が存在するとこいつらは目を閉じない。じっ、とこっちをみつめて瞬きもしない。
     きゅっと目を閉じているときでさえ洗うのに気をつかうというに、掴んだ手の中からじいっと見上げられているのにごしごし汚れを落としたりなんかできるか?

     なんだか日を増すごとに水浴びにくるカゲボウズは増えているような気がするし。この間なんてジュペッタが紛れ込んでいたし。すぐ飼い主が向かえに来たけどシャドーパンチを喰らっていたし。なにか似たようなものを感じたし。

     俺はタライの中を涼しげに泳ぎまわる黒いひらひら達を見つめながら、昼飯までに終わるかなー、と一人でつぶやいた。



     おわってくれ

    ***

    【批評していいのよ】
    【書いてもいいのよ】
    【描いてもいいのよ】


    毒男「洗濯は手伝って欲しいが、冷やし中華はやらん」


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