ポケモンストーリーズ!投稿板
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  •   [No.2713] 木綿 投稿者:レイニー   投稿日:2012/10/20(Sat) 14:50:58     170clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:ポケライフ】 【カゲボウズ】 【洗濯日和派生】 【作者は拝郷メイコフリーク】 【元ネタはアルバム「ミチカケ」収録の「木綿」】 【ていうか元ネタまんますぎる】 【気になったら聴いてみるといいのよ(ステマ)】 【最新アルバム「BROOCh」もオススメ(ステマ)】 【二次創作×二次創作=四次創作】 【これがやりたかっただけだろシリーズ

     気持ちのいい快晴の朝。絶好の洗濯日和だ。そんな日に私が起き抜けにすることは決まっている。もちろん洗濯だ。
     朝食も食べず洗濯機の前に向かう。籠の中に溜まっていた洗濯物を一つ一つ洗濯機に入れていく。あ、これはネット洗いだ。
     全部入れ終わったら洗濯機のボタンを押し、蛇口をひねる。徐々に洗濯機の中は水で満たされていく。満たされていく途中で洗剤を投入。だんだんと洗濯物は水と泡に埋められていく。
     そして、準備が完了すると、洗濯漕はぐるぐると回り出す。本当は蓋を閉めなければならないのだけど、ついつい中を眺めてしまう。この瞬間がたまらなく好きだ。渦の中に飲み込まれている洗濯物をじっと眺める。泡にまみれて綺麗になっていく洗濯物と一緒に、私の心まで綺麗になっていく気がするから。ぐるぐる回る洗濯物と一緒に、私の心も飲み込まれ、ぐるぐると回っていく。
     向こうで寝ている彼の白いシャツが、泡の中から顔を覗かせた。昨日のことを思い出し、ぐるぐる回る私の心がちくりと痛む。
     あんなところ、見たくなかった。知らない女性を連れた彼を偶然町中で見かけてしまうなんて。一緒に暮らしてるのに、あんな笑顔長らく見ていない。
     悔しい。私といてもあんなに笑顔になってくれないのに、どうして……。
     洗濯をしている満足感は、どんどん見ず知らずの女性への妬みと、そんな自分への嫌悪感に満たされ、存在感を消していく。ぐるぐると目が回りそうになりながら、頭の中も回っていく。綺麗になっていく洗濯物とは裏腹に、私の心は綺麗にならな――

     見られている。その感覚に気がついたのはまさにその時だった。
     彼が起きて来たと思った。こんな姿見られたくないと思った。だからどきっとして後ろを振り向いたら。
     そこにいたのはポケモンだった。いや、ただ「いた」のではない。ポケモンが浮いていた。
     漆黒の柔らかそうな体をはためかせ、三色の瞳で私をじっと見つめている。カゲボウズだ。

     どうして家にポケモンがいるんだろう。まず私の頭の中に浮かんだのは全うな疑問だった。私も彼もカゲボウズを、いやポケモンすら持っていない。鍵はかけてるから野生のポケモンが入ってくるはずは……とまで考えて、はたと気づいた。カゲボウズはゴーストタイプだ。つまり幽霊。幽霊には壁もドアも関係ない。……これじゃプライバシーも何もあったもんじゃない。そのことに気がついて、ため息が一つ飛びだした。
     ……で、どうしてカゲボウズが今ここにいるのだろうか。この不法侵入ポケモンについて、スマートフォンで検索してみる。結論はすぐに検索結果として現れた。カゲボウズは負の感情を食べるらしい。ああ、それで。私の負の感情を見つけて、餌があると思ってやってきたわけか。
     不法侵入者を見てみると、ふわりふわりと浮かびながらじっとこっちを見ているだけだ。こちらに危害を加える様子はなさそうだ。無視していれば帰るだろうかと思い、洗濯機の方に意識を戻す。ぐるりぐるりと回る洗濯槽。
     と、カゲボウズが突然、洗濯機の中に飛び込んだ。私の注目を浴びる洗濯機に嫉妬したのだろうか。ぐるりぐるりとあっという間に渦の中に飲み込まれるカゲボウズ。
     ……いくらなんでもこれはまずい! 慌てて泡にまみれてきらりと光るシャツの隙間から、カゲボウズを救出する。まずい、完全に目を回している。飲みこんだ水を吐き出させ、真水を与え。
     あとは医者だ! 私は洗濯機の蓋を閉め、心なしかさっきより綺麗になったカゲボウズを連れてポケモンセンターへと駆け込んだ。


     結果から言うと、カゲボウズは無事だった。すぐに洗濯槽から引っ張り出したため、大した量を飲み込んでいなかったため大丈夫だったらしい。
    「今回は災難でしたね。でもカゲボウズは布に近い体をしているんから、手洗いの要領で洗ってあげると綺麗になるし、なによりカゲボウズが喜ぶんですよ」
     ……私のポケモンじゃないんですけど、と脳内ではツッコミを入れつつ、私はジョーイさんにお礼を言いながら弱々しく笑った。

     家に帰ると、彼は私の動乱を何も知らずに眠り続けていた。そして洗濯機はその仕事を終え、すっかり沈黙していた。
     洗濯機の中身を回収し、外に出て洗濯物を一枚一枚干していく。遠くから漂う金木犀の香りが心地よい。暑くもなく寒くもない、この曖昧な季節が一番好きだ。
     元気になったというのにまだ私にくっついているカゲボウズは、やはりその様子をじっと窺っている。
    「……何、アンタも干されたいの?」
     こくりとうなずくカゲボウズを見て、私はタライと石鹸を取ってくることにした。
     面倒事が増えるだけだというのにちょっと心が晴れやかなのは、実はカゲボウズが私のネガティブな感情を食べてしまっているからなのか。それともうっとりするような金木犀の香りを運んでくる心地よい風のせいなのか。


     現れた時は真っ黒だったカゲボウズは、石鹸の泡の中、みるみるうちに濃紺に姿を変えた。結構綺麗になるものなんだとカゲボウズを洗った自分でもびっくりしている。
     洗濯バサミで止めるのは痛そうかなと思ってたら、自力で物干し竿にぶらさがった。傍から見たらどう見ても洗濯物だ。
     街路樹の黄色を背景に、濃紺のカゲボウズと真っ白いシャツ。なかなかのコントラストだ。時々黄色が風に揺られてざわめく。すると濃紺と白もゆらりゆらりと踊りだす。

     そういえば、彼と初めて会った時もこれくらいの時期だったっけ。眩しい黄色とちょっと眠りを誘いそうな香りによって、昔のことを思い出す。

     友達の友達に、一目惚れしたんだったっけ。なんでだったか、気がついたら魅入られてて。
     その赤い頬にどうしようもなく触れてみたくなって。気がついたらこの手を当ててその存在を確かめてた。
     初めて会う子にそんなことされて、ちょっとびっくりしながらも笑ってたっけ。
     頭の中で、彼の笑い声がリフレインする。そんな子どもじみた私を笑う声。

     ああ、もう潮時だったんだ。
     本当は自分でもずっと前からわかっていたんだ。いつまでたっても変われない私から彼の心が離れてることなんて。
     だからもう、終わりにしよう。

     洗濯物がひらりひらりと風に踊る。その影が私にかかったり、離れたり。
     それを見ていると、私の決心にもゆらりゆらりと影が踊る。ああ、弱い決心だ。

     だから、私の弱い決心が壊れる前に、早く「正解」に向かわなきゃ。
     そのために、あなたの力、借りてもいい?

    「ねえ、カゲボウズ」
     物干し竿にぶら下がったままこちらを向いたカゲボウズに、私は小さく頷いた。意思疎通はそれだけで十分だった。


     ひらりひらりと白いシャツとカゲボウズが風にゆられて乾いていく。
     彼らが完全に乾ききる頃には、私の淡い恋心はすっかり跡形もなく溶けてしまっていた。



    --------

    拝郷メイコさんの「木綿」という曲が好きすぎて、どうしてもこの世界観でカゲボウズをひらりひらりとさせたくなって書いた。
    ぶっちゃけ意図的にかなり元ネタまんまです。なのでこちらにのみ投稿。

    尚、作者があまりに拝郷ちゃん好きすぎるために布教したいというステマ的理由もあるとかないとか。



    テスト期間が終わったら 溶けてなくなる 跡形もないほどに


      [No.2682] fc2救出記念に 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2012/10/16(Tue) 20:50:57     96clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:ショール越しのふにゃりとした感触

    http://pijyon.blog4.fc2.com/ あんまり更新してない私のブログを貼るテスト

    以下稼ぎ

    諸君、私は砂漠の精霊が好きだ。
    ショール越しが好きだ。
    ふにゃりとした感触が好きだ。
    怪訝な顔をする弾き語りのオッサンが好きだ。
    あの作品が与えた影響ははかり知れない。
    あれはポケモン小説の可能性だ。ロマンなのだ。

    私の小説でしばしば怪訝て言葉が出てくるのはぶっちゃけ砂漠の精霊のオッサンのせいです。
    いやまじで。
    オッサンが怪訝な表情を浮かべたからなんです。

    イスラムの世界観とポケモンがマッチしたのも衝撃だった。
    ポケモンなんでもできるやん! というね。
    まずポケモンを精霊(ジン)と表現したこのアイディアがすごい。
    当時まだダイヤモンドパール出てませんから!
    ミオ図書館ないですから!

    だから六尾稲荷は砂漠の精霊で衝撃を受けて
    うっひょお!こんなことやっていいんだ!ってなった結果なんですよ。
    私が砂漠の精霊で学んだ事を私なりに表現しようとした結果があれです。
    砂漠の精霊がなかったら六尾稲荷を書くことなかったし、カゲボウズもかなり違った方向になったんじゃないだろうか。
    こじらせた結果がリメイクバージョンの影花と今のカケボウズシリーズ。
    最初の影花が同じ短編集に載ってたのは何かの因果であろうと今更ながらに思うのです。

    彼はオスマン帝国(現在のトルコ)が好きで、トルコにもよく行っているイスラムの文化に造詣が深い方です。
    (歴代の皇帝の名前が空で言えるらしい)
    そんな彼の書いたポケモン小説が「砂漠の精霊」でした。

    ポケモン小説の面白さの一つに組み合わせの妙があって、タカマサさんならイスラム文化だし、クーウィさんならアイヌ文化だし、ゴーヤ氏なら情報処理、私の場合だと大学で動物とのかかわりをやってた経験なんだけど、これがうまくドッキングすると威力が跳ね上がるように思います。

    だから私としては、小説を書く方にはぜひポケモン以外の「柱」を持っていただきたいと思っています。
    なんでもいいんですよ。
    高校生には高校生の書けるポケモン小説があるはずだし、
    主婦には主婦に書けるポケモン小説がある。
    料理が好きだったらここにポケモンが介入したらどうなるかって想像すると楽しいじゃないでしょうか。
    バイク乗りだったら、暴走族を主人公にしたらきっといい小説書けますよ。
    ぜひあなたの持ってる「専門知識」や「日常」をポケモン小説に反映してください。


      [No.2645] 愛を込めて花束を 投稿者:NOAH   《URL》   投稿日:2012/09/24(Mon) 14:55:13     104clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:日本語タグ


    シオンタウン郊外に、自転車を漕いでどこかに向う1人の女性
    その自転車の籠にはカラカラがちょこんと居座り、その手には、赤と紫の花束

    女性は白衣を来て、荷台に鞄を括り付けている。
    栗色の髪をうまく纏めて、白い薔薇の嘴ピンで、前髪を止めていた。


    「久しぶりね。こっちに来たの。」

    「カラ……?」

    「だって、私が医大卒業してからはずっとアサギにいたじゃない。」


    女性の言葉に答えるように、籠に居座るカラカラのオスは、前を向いて、小さく鳴いた。
    だいぶボロボロの自転車ではあるが、女性は白衣を靡かせて、ひたすら、どこかに向かっていた


    「さあ、そろそろあの花畑よ。フジさんが先に着いてるはずだから
    失礼のないようにしなさいね?オーカー。」

    「カラ!」

    「よし、いい子!さあ、飛ばすわよ!!」






    僕のお母さんは、ちょっと前に天国へ行ってしまった。
    そのときに、偶然出会ったのが、人間のクルミさんだ。
    クルミさんは、寂しくないように、ずっと僕の側に居てくれた
    そして、そのまま僕のトレーナーになってくれた。

    そのときのクルミさんは、お医者さんになる勉強をしていたため
    クルミさんに着いてきたというチャコールさんに、色々教えてもらった。
    チャコールさんは、とっても強くてカッコいいマニューラの女の人で
    僕の憧れであり、目標としている人だ。

    もしお母さんがまだ生きてたら、チャコールさんみたいに
    戦い方を教えてくれたのかな……。


    「着いたわよ、オーカー……降りれる?」


    お花屋さんで買ってきた、ちょっと高い花束を
    いったんクルミさんに預けて、自転車の籠から飛び降りた。


    「……こんなに逞しくなったの、チャコールのお陰かしら。」


    花束をまた預かると、クルミさんは荷台の荷物を取ってから
    たくさんのお花に囲まれた、丘の上の大きな木へと向かった。
    その木の下に、僕のお母さんのお墓があるんだ。


    「フジさん。」
    「おお、クルミさん。お久しぶりです。」
    「お久しぶりです。腰の具合はどうですか?」
    「ええ、なんとか。しかし、最近のお医者さんはすごいですな!」
    「医学は常に、進歩していますから……それじゃあ、始めましょうか。」


    フジさんと言う人間のお爺さんとクルミさんは
    お母さんのお墓を綺麗にし始めた。

    僕も手伝えることをして、5分くらいで終わった。
    それから花束をお母さんのお墓に置いて
    蝋燭と御線香を立てて手を合わせた。


    「オーカー。私達は向うに行ってるから
    お母さんとたくさん話しておいで。」

    「カラ……?」
    (いいの……?)

    「ほら……行きましょう。」


    クルミさんとフジさんは、丘の下の花畑に行ってしまった。
    それをじっと見送ったあと、僕はお母さんのお墓に向き合った。


    「……お母さん。僕ね、前より強くなったんだよ。」

    「まだまだ未熟者だってチャコールさんは言うけど
    それでも、色んなポケモンと戦ってきたんだ。」

    「お母さん、この花、好きだったから持ってきたんだ
    花の名前は知らないけど、とてもいい匂いがするって言ってたもんね
    これね、赤い方がグラシデアで、紫の方が胡蝶蘭って言うんだ。」

    「お母さん……僕、ずっとずっと、お母さんのこと、忘れないから。」



    ありがとう、愛しているよ、お母さん。


    *あとがき*
    Superflyさんの愛を込めて花束を聞いたときから
    この曲はずっと、ガラガラとカラカラの二匹に会うなぁと思ってました

    カラカラがガラガラに花束を送ると言うイメージが
    焼き付いて離れませんでした。

    感想、お待ちしています。


    【描いてもいいのよ】
    【感想求む】


      [No.2614] 俺のジュペッタがこんなに凶暴なわけが無い 投稿者:門森 輝   投稿日:2012/09/10(Mon) 23:34:48     114clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5

     むぎゅぅ。

     何か潰した。それに気付いた時には蹲らずにはいられなかった。痛い。目が冴えて来る。目の前では黒い人形が俺目掛けて拳を振るっている。あぁ、さっきこいつを潰したのか。それで俺は殴られていると。俺の寝相の悪さを呪いたい。
    「やめっ、ちょっ、痛っ、まっ、待てって待てって! うぐぉっ」
     鳩尾に黒い拳がめり込む。痛い。やばい。何か吐きそう。それでもまだ攻撃は続く。こいつ容赦ねぇ。少しは躊躇えよ。
    「やめっあぅっ……悪かった! 悪かったから一旦やめぐぁっ」
     今度は顎にクリーンヒット。やばい、一瞬意識が飛び掛けた。本当に容赦ねぇ。そんでどうしてこう言う所ばっか狙って来んだよ。と言うか少し潰しただけでどうしてここまでされなきゃならないんだ。こうなんなら抱いて寝なきゃ良かった。とにもかくにも説得しないとまずい。説得出来ないとまずい。
    「だからわざとじゃないんだって! ごめんごめんごめがっ……やめっ、とにかくやめうぉっ……」
     またも鳩尾。声が出て来ない。何だこいつ。本当に中に詰まってるの綿か? 特性がおみとおしとか嘘だろ。絶対てつのこぶしだろ、こいつ。とにかく痛い。やばい。こんな事考えてる間も攻撃続いてるし。とにかくやばい。早く何とかしないとやばい。マジでやばい。あっそうだ、ボール。ボールどこだボール……机の上だ……。この状況で取りに行くとか無理。不可能。インポッシブル。でも何とかして一旦やめてもらわないとやばい。どうしようマジでどうしよう……。

    ――――――――――――――――――――

     チャットでのとある方のジュペッタを抱いて寝たいという発言から浮かんだネタです。ボコボコにされる所までしか浮かばなかったので最初は書く気無かったんですが、そこまでで良いから書くんだと別の方から言われまして折角なので書いてみました。勢いだけで。更に投稿するんだとも言われまして今に到ります。勢いって大事ですね。という訳で中途半端だったり色々酷かったりしますがご容赦下さい。
     あとタイトルは閲覧の方が提案して下さいました。提案して下さった方、ありがとうございました! 

    【書いてもいいのよ】
    【描いてもいいのよ】
    【続かせてもいいのよ】
    【お好きにどうぞなのよ】


      [No.2582] 誰も来ないけど続き書いてみる 投稿者:NOAH   投稿日:2012/08/22(Wed) 14:28:57     77clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5


    かえちゃんの「引っ越し」 と言うものが終わって
    お昼ご飯も食べて、窓側になぜかあったあたしの特等席に立つと
    かえちゃんは急に「何か」 をし出した。

    ロゼッタ(ロズレイド♀)が言うには
    『かえちゃんの本を片付ける』 らしい。
    うー、みんな手伝うのかな……。

    「メイプルー、ちょっと手伝ってー。」

    『なに、かえちゃん!メイプル何でもやるよ!』

    かえちゃんの頭に乗っかって、覗き込んだ。
    かえちゃんの髪、綺麗な赤色でいい匂いー。

    「これ、カーテン。付けれる?」

    『お安い御用だ!』

    よかった。あたしもかえちゃんの手伝いができて。
    カーテンレールの上狭いから乗れないけど、何とかなるかな。

    『メイプル、無理しないでよ?』

    『もう、ロゼッタてば心配症なんだから!
    このくらい平気だよ!と、言うか、これくらいできないと
    かえちゃんの相棒失格になるよ、あたし。』

    『大丈夫よ、そのときは私がカエデの相棒になるから。』

    『え………。』

    『うふふ♪冗談よ♪』

    ごめん、ロゼッタ……冗談に聞こえない。
    まあ、相棒の座を渡す気はないから、いいけどさ!!
    とりあえず、カーテン付けちゃおっと。


    ――――――――――――――――――――――――――


    「きゃああっ!!」

    どさどさ!!

    『な、なに!?かえちゃんどうしたの!?』

    『たいへん だ ! あるじ が ほん の なか に うもれている !!』

    『いけない、助けるぞ!!』

    アコニ(ゲンガー♂)とツァオメイ(コジョンド♂)によって
    かえちゃんは本の中から助け出されました。(気絶してるっぽいけど。)

    あちゃー、部屋の中が本まみれだ。
    大丈夫かな、これ……。

    ―ドンドンドンドン!!

    「秋風さん!どうしましたー!?秋風さん!!」

    『あるじ の おとなりさん だね。でようか?』

    『俺が行く。アコニはここにいろ。
    ロゼッタとメイプルは片付け頼む。』

    あーあ、先が思いやられるよ……。


    *あとがき*
    今回はメイプル視点で書いて見ました。
    全体的にどたっとしてますね、ごめんなさい。

    引っ越し初日でトラブル発生。
    どうしてこうなった……。

    *タグ*
    【書いてもいいのよ】
    【描いてもいいのよ】
    【水東荘新規居住者、及び住人募集】


      [No.2551] 8/10 夏コミに出展します。 投稿者:No.017   投稿日:2012/08/04(Sat) 08:37:25     96clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5
    8/10 夏コミに出展します。 (画像サイズ: 1000×1205 377kB)

    8月10日コミックマーケット82(C82)出展します。
    ポケモン小説本メイン。
    売り子はNo.017、カンツァーさん、なみのりライチュウ氏を予定。
    (586氏は残念ながらお仕事で行けません)

    No.017「赤い花と黒い影」
    586「歪んだ世界」

    が今回のイベントで初売りとなります。
    何卒よろしくお願い致します。



    ■■日時・配置

    8月10日(金)
    東地区“セ”ブロック−26b「ピジョンエクスプレス」



    ■■お品書き一覧


    【小説】

    赤い花と黒い影(No.017)500円
    携帯獣九十九草子(No.017)700円
    クジラ博士のフィールドノート(No.017)500円

    歪んだ世界(586)500円
    プレゼント(586)500円

    マサラのポケモン図書館 ポケモンストーリーコンテスト・ベスト(アンソロジー)500円

    灰色十物語(風見鶏)300円
    ※スペースの関係で展示無しかも。残部極僅少、欲しい方はお声がけ下さい。

    【コミック】
    ShortShort (アンソロジー)500円

    【イラスト集】
    A LOT OF ピジョン 〜ぴじょんがいっぱい〜(アンソロジー)500円


    【お楽しみ】
    ベストの赤い月口絵を描いたカンツァーさんがシールかしおりを作ってくるかも?
    何が飛び出すかは当日のお楽しみ!



    ■■各作品の詳しい紹介


    ●赤い花と黒い影(No.017)500円

    B6/文庫本/232P
    カゲボウズシリーズの第一巻。
    ウェブ上に公開していた「赤い花と黒い影」の大幅リメイク版(28P→100P)他、合計5作品を収録。
    続刊を予定しています。

    ストーリー:
    人には見えないものが見える大学生、ミシマ。
    大通りでたくさんの影が群がっている青年を見つけてしまった彼女がとった行動とは?

    収録作品:
    鬼火 / 聖地巡礼 / 赤い花と黒い影 / ぼんぐりの割れる時 / 喉が渇く

    タグ:
    カゲボウズ、ツッキー、ホウエン地方、カイナシティ


    ●携帯獣九十九草子(No.017)700円

    B5/オールカラー/48P
    ポケモンと日本の伝統文化をテーマとしたイラスト集型短編オムニバス。
    各話ごとにカラーイラストのついた8話を収録。

    収録作品
    隈取 / 詠い人 / 羽衣 / 恨人形心中語
    昇龍ノ祭 / 招き猫 / 達磨 / 替わらずの社

    タグ
    和風、歌舞伎、和歌、能、人形浄瑠璃、
    ゾロアーク、ジュペッタ、コイキング、ギャラドス、ニャース、ヒヒダルマ


    ●クジラ博士のフィールドノート(No.017)500円

    B6/文庫本
    ホウエン地方南南東の海に位置する孤島、フゲイ島。
    その島の海域は、世界最大のポケモン・ホエルオーの一大生息地となっている
    ――うきくじら、そしてうきくじらに魅せられた人々が織りなす、
    ちょっと不思議なポケモンストーリー。

    収録作品
    幻島 / 浮鯨島観光案内 / うきくじら
    メロンパンの恨み / 森と海と / 海上の丘にて / 朝霧

    タグ
    ホエルオー、ホエルコ、ポッポ、ピジョット、
    ホウエン地方、ミナモィティ、キナギタウン、フゲイ島


    ●歪んだ世界(586)500円

    B6/文庫本/210P
    平穏な日常、呆れるほど退屈な日々の風景。
    けれどそこからほんの一歩踏み出すと、終わりのない、とこしえの闇が広がっていた――。
    著者のゆがんだ心象風景をつぶさに描き出した、八つのゆがんだ短編を収録。

    収録作品:
    七八〇の墓標
    オブジェクト指向的携帯獣論
    私の世界
    壁はゆめの五階で、どこにもゆけないいっぱいのぼくを知っていた
    石竹市廃棄物処理場問題<書き下ろし>
    はがねのつばさ<書き下ろし>
    コラッタの頭<書き下ろし>
    変身<書き下ろし>

    タグ
    アンノーン、ポケダン、バグ技、エアームド、コラッタ、ユンゲラー、
    表紙は三人の共犯、トラウマ、最後に読むな、これはひどい


    ●プレゼント(586)500円

    B6/文庫本/420P
    出会いと別れをテーマにした586氏初単行本。
    涙なしには読めない切ない4編を収録。

    収録作品:
    弾けたホウエンカ
    ・−− ・−・ −−− −・ −−・
    プレゼント
    雨河童<書き下ろし>

    タグ
    萌えるマルマイン、ポリゴン、セレビィ、
    切ない系、最後に読むな、指切り、これはひどい


    ●マサラのポケモン図書館
     ポケモンストーリーコンテスト・ベスト (アンソロジー)500円

    B6/文庫本/312P
    10000字で競うポケモン短編小説コンテスト「ポケモンストーリーコンテスト」。
    3回を開催、合計92作品から選ばれた14作が改稿の上、文庫化。
    巻頭では各回大賞作品をイラスト化し掲載。
    巻末に毒舌な審査員、渡邉健太氏の解説付き。
    字数も12000字まで拡大し、さらにパワーアップしたポケモンストーリーをお楽しみください。

    収録作品:
    塀の外 / 久方小風夜
    blindness / 586
    フレアドライブ/ CoCo
    雨街レポート / リナ
    あいつに置いていかれたから / MAX
    ヨーヨー、顔文字、オムライス / 久方小風夜
    レックウザのタマゴ / 鶏
    こちら側の半生 / と
    生まれゆく君へ / hokuto
    記念日 / きとかげ
    居候、空を飛ぶ / No.017
    ベトミちゃん / レイコ
    赤い月 / クーウィ
    Ultra Golden Memories / レイニー
    解説 / 渡邉健太

    タグ:
    ピカチュウ、ドーブル、ゴウカザル、ミニリュウ、テッカニン
    レックウザ、ピッピ、プロトーガ、ゾロアーク、バチュル、
    ザングース、ハブネーク、萌えるベトベター、オムライス食いたい
    衝撃のラスト


    ●灰色十物語(風見鶏)300円

    A4サイズ
    ポケスコ2位の実力者、イケメンこと鶏氏単行本。
    白とも黒ともつかない灰色なポケモンストーリー10編を収録。

    収録作品
    千年彗星 愛情心理 幻影都市 純粋陽炎 倉庫喫茶
    記録迷宮 思考増幅 排他幸福 霊界探検 虚構現実

    タグ:
    ジラーチ、ガーディ、ゾロアーク、イトマル、コーヒー
    ピカチュウ、ユニラン、メタモン、ヨノワール、八割黒物語

    注意:
    スペースの関係で展示無しかも。残部極僅少、欲しい方はお声がけ下さい。


    【コミック】
    ShortShort (アンソロジー)500円

    A5サイズ
    イッシュ地方のモブ職業トレーナーをテーマにしたコミック短編集。
    今回登場するのはブリーダー、看護婦さん、ビジネスマン、ベーカリー、ウェイターさん
    彼らの日常と喜悲劇とは?

    タグ:
    イッシュ地方、モブトレーナー
    チュリネ、タブンネ、ランクルス、ゴルーグ、マメパト、ゾロア


    【イラスト集】
    A LOT OF ピジョン 〜ぴじょんがいっぱい〜(アンソロジー)500円

    A5サイズ/オールカラー/24P
    どのページを見ても、ピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョン
    ピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョン
    ピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョン
    ピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョン
    ピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンピジョンな、一冊。
    これを読んで頭をピジョンにしましょう。1413匹のピジョン。

    タグ:
    ピジョン、少しポッポ、少しピジョット、
    さりげなくマメパト、安定のやきとり
    テンションがおかしい、つっこんだら負け、彼女が出来ました(実話)



    それでは夏コミ会場でお待ちしております。


      [No.2518] タマムシシティの下着泥棒 投稿者:No.017   投稿日:2012/07/19(Thu) 21:42:59     78clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    タマムシシティのマンションの敷地へ侵入し、女性用下着を盗もうとしたとして、タマムシ市警は6日、
    コンビニアルバイトのサルタサルノスケ容疑者(30)(ヤマブキシティ在住)を
    住居侵入と窃盗未遂の疑いで逮捕した。

    発表によると、サルタ容疑者は6日午前2時30分頃、
    タマムシシティ内のマンションの雨どいからマンキーを登らせ
    ベランダに干してあった洗濯物を盗もうとした疑い。
    マンキーが下着を物色中、屋内で飼われていたニャースに見つかり、
    その声を不審に思った住人女性が110番し、逮捕に到った。
    サルタ容疑者は調べに
    「下着欲しさに初めてポケモンをゲットした。ポケモンゲットの動機は人それぞれだと思う」
    と容疑を認めているという。




    【ごめんなさい】


      [No.2487] 出会えたあの日にありがとう。 投稿者:巳佑   投稿日:2012/06/28(Thu) 19:13:23     64clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     まさか、自分の誕生日にこのような作品と出会えるとは……!(ドキドキ)
     タグを見た瞬間、目が丸くなりましたです、嬉しいです、ありがとうございます。


    >  出会えたあの日が
    >
    >  君と僕との
    >
    >  もう一つの誕生日

     このフレーズ大好きです。
     その人やポケモンにとって特別な日。
     色々な出会いがあるんだろうなぁと想像が膨らんでいきます(ドキドキ)

     自分の場合は、小1の頃におじいちゃんとおばあちゃんが送ってくれたゲームボーイポケットと同梱されていたソフト……それがポケモンとの出会いでした。

     その出会いをくれたおじいちゃんとおばあちゃんにもありがとう。

     それでは失礼しました。
     本当にありがとうございました!


    > [みーさんがお誕生日と聞いて]
    【めでたく23歳になりました。ピカチュウの番号まで後(以下略)】


      [No.2455] Re: 【ポケライフ】ダゲキの衣服作り 投稿者:   投稿日:2012/06/09(Sat) 21:56:38     47clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    確かにかかとのあたりは白くなっていますが、足袋のようなものだと思うことにします……w
    あと、服を脱いでいる絵が支部に投稿されていることなどから、服をどこかで作っているという設定に落ち着きました。
    そして、素材はモンメン系統もしくはハハコモリ系統くらいしかおらず、それでいて草食系のポケモンは格闘タイプが天敵という事から考えると、共生関係にあってもおかしくないのではないかと思ったのがこのお話を作る上でのきっかけでした。

    ポケモンでは共生関係にあるポケモンは少ないですが、図鑑に書かれていないことでもこういったつながりがあってほしいものだと思います。


      [No.2424] 酔って候 投稿者:クーウィ   投稿日:2012/05/15(Tue) 14:32:28     93clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     ねぐらから這い出た時、最初に感じたのは肌寒さだった。
     反射的に片眼を上げて空を拝むも、そこにあったのは予想に反し、何時もと寸分変わりの無い、澄み切った青があるばかり。
     天高く馬肥ゆるとかいう言葉そのまんまの、能天気なまでの秋の空。……けれども一方、毛皮を通して肌に染みて来る空気には、一年分の余所余所しさと嫌厭感が、ウンザリするほど滲み込んでいた。
    「そろそろまた冬か……」
     思った事が口を衝いて出る、その事自体にも動かし難い既視感を覚えつつ。俺はかったるい思いを溜息に籠めると、ゆっくりと住処を後にして歩きだした。
     

     物心付いた時から、俺には家族がいなかった。
     何故いないのかは考えた事が無い。事実いなかったし、深く考えるのも馬鹿らしかったから。
     ぬくぬくと森に住んでいるポケモンや、自由にフラフラ飛び回れる羽根の生えた連中なら、「それはおかしい」とか何とか言ってくるかもしれない。だが、『街』に住んでいる俺達の様なポケモンから言えば、そんな甘ったるい感傷に浸っている暇や余裕なぞ、ある訳が無いのである。

     記憶に残っている最古の風景は、ビルとビルの隙間から覗く、目抜き通りの雑踏の様子。どうしてそれが記憶に残っているのかと言うと、痩せ細って小さくなっていた当時の俺が、直後に飛び込んできた食い残しの目立つフライドチキンの残骸で、何とか露命を繋いだからだ。
     人間の臭いがこびり付いた汚らしい鳥の骨に、夢中で武者ぶり付いたガリガリのコジョフー。俺と言うポケモンの、記念すべき出発点である。
     今では街の野生ポケモン達の中でも最も腕が立ち、身軽ではしっこい存在として知られている俺にも、そう言う時代があったってわけだ。

     そんな俺が現在どうやって食ってるかってぇと、これがなかなか洒落たものなのである。
     昔はゴミ漁りなんかで辛うじて凌いでいたが、それもとっくに過去の話。徐々に経験も積んで体が出来てからは、人間相手にかっぱらいもやったが、これはこれで目立ち過ぎて、トレーナー連中に追い回される危険が常に付きまとう。散々に逃げ走り駆けずり回った挙句、追い立てられてドブネズミの如く排水溝に潜り込むのは、如何にも泥臭くて頂けない。
     そこで無事進化も終え、コジョンドとなった俺が選んだのが、力ずくで目当てのものを奪い取るかっぱらいではなく、スマートに獲物を掠め取る、いわゆる掏摸(すり)と言う奴だった。
     実力的には尚の事力ずくが通りやすくなったが、それに頼っていたのではいい加減目立つ格好になったのもあり、本格的に駆除される恐れも無いとは言えない。野良ポケの間でも知られた存在になっていた事だし、何時までも汚い下水道に走り込むよりは、小奇麗にしていた方が格好も付く。
     何より、漸く実力に見合うだけのプライドを保ち、気持ちに余裕を持って生きる事が出来るようになったと言うのが、非常に大きかった。直接食いものを狙うよりもやり甲斐はあったし、『金』と言うものも持って行きどころさえ覚えれば、軽くて嵩張らない分取り回しが良い。
     身なりを整えて出すものを出せば露店の店主ぐらいは動かせたし、路上で憂鬱そうな顔をしている連中に少し多めに持っていけば、それなりの見返りは期待出来た。

     そして、起き出した俺がねぐらにしている排水管の残骸から離れ、今日最初のターゲットとして選んだ相手と言うのが、目下前方で浮付いている、一組の主従と言う訳である。



    「うわぁ、凄い……!」
     両脇に控える彼女らの中央で、引率役である少年は、無邪気な歓声を上げた。目の前にそびえる巨大な駅舎に目を輝かしつつ、年相応にはしゃぐそんな主人に釣られてか、反対側に位置する彼女の息子も、浮付いた気持ちを隠す事無く表に出して、周囲に広がるあらゆるものに、好奇の視線を彷徨わせ続けている。
     そんな両者の有り様に、事実上の最年長者でもある彼女は、溜息半分苛立ち半分と言った思いで、そっと軸足を入れ替えつつ肩を回す。物見遊山に来たような雰囲気の両者と違い、常に素早く、それでいて鋭く視線を移動させている彼女には、何処にも『隙』と言うものが無い。
     道行く人間とポケモンの波に向けられるその視線にも、無意識の内に相手の技量を推し量る武芸者としての本能が滲み出ており、淡く険を交えたその目付きは、即座に動き出せるように配慮された立ち姿と相まって、佇んでいる一匹の雌コジョンドに、自然と周囲を俯伏させる、侵し難い威圧感を与えていた。
     それは同行している両者には日常の一部分に過ぎなかったが、多少の心得を持って此方を窺っている招かれざる客人には、この上なく面倒な代物であった。

     しかし、無論彼女は、そんな事など知る由もない。目下の彼女の一番の関心事は、明らかに早きに過ぎた街への到着時刻と、好奇心にうずうずしつつ落ち着きの無い、二人の若者の動向についてであった。
     案の定、傍らに立っている少年は、駅舎の正面に掲げられている大時計と、自らの腕に装着されたCギアのデジタル表示を見比べつつ、首を傾げ始める。
    「う〜ん…… ちょっと、早く着き過ぎちゃったな。まだ約束の時間まで、3時間近くもあるよ」
     困(こう)じ果てたようにそう口にした少年の表情が、再び明るくなるのに大した時間はかからない。「まぁ」に続いて吐き出されたその意思表示を、彼女自身は渋い顔で、一方反対側に控える彼女の息子の方は、目を輝かせて受け止める。
    「まぁ、じゃあ折角だし、時間が来るまでにどこかへ行ってみよう! スイもサイも、ライモンの街は初めてでしょ? 姉さんからお小遣いも貰ってるし、偶にはゆっくりしようよ」
    「何時も頑張って貰ってばかりだからね」と付け加えられると、流石の彼女も何時までも仏頂面でいるわけにもいかず。時を移さずして一行は、ライモンの象徴である中央駅舎を離れ、主流となっている雑踏の波に乗って、東に向かって歩き始めた。



     駅前広場できょろきょろしていた連中が動き出したのは、間もなくの事だった。
     主人だと思われるガキンチョが腕時計を確認した後、俺と同族に当たる二匹の手持ち達に向け、何やらごにょごにょと話しかける。でかい方が不承不承、チビの方が嬉々として、と言った感じで頷くと、彼らの主人は先に立って、商店街が並んでいる東の方角に向けて進み始めた。
     その際、集団の中で最も長身である雌のコジョンドが、発ち際に鋭い一瞥を周囲に投げ掛け、駅舎の傍の植え込みに蹲っている俺の心臓を、薄気味悪く一撫でする。……無論見つかりはしなかったものの、余り良い気分ではない。正直止めて頂きたい。
     一応俺はこの街の野良の中では最強であると自負しているし、それ相応の実力もあると信じている。が、流石にああ言う手合いにちょっかいを出して、まともに立ち合えるとまでは思っていなかった。
     この街は、人間達によるポケモンバトルが盛んなせいだろう。偶に居るのである。逆立ちしても勝てそうにない様な、キチガイじみた戦闘マシーンみたいなのが。今視線の先にいる同族も、多分そう言った連中の一種であろう事は想像に難くない。
     目付きと言い立ち姿と言い、「私強いかんね、手ぇ出したらボコボコの半殺し確定だかんね」っつー感じの主張が、色濃く滲み出ている。恐らく生まれてからずっと、武辺一筋に生きてきたコチコチのバトル屋で間違いないだろう。そこそこ良い顔してるのに、勿体無い話だ。

     普段なら、ああ言う物騒な奴が関わっている的には、手を出さないのが賢明である。無理にリスクを冒さなくとも、ここは天下の大都会。標的になりそうなとっぽい野郎は、ちょっと探せばそこら中にゴロゴロしている。
     けれども今回、俺は敢えて、目の前の連中の後をつけて行く事に決めた。かなりリスキーな相手であるのは間違いなかったが、それに見合っただけの価値はあると踏んだからだ。
     恐らく、懐具合は温かい筈である。……と言うのも、主人に当たるガキの態度はどう見ても御上りさんのそれであったし、浮付いていて微塵も影の無いその様子から見ても、手持ちに不足があるとは思われない。此処の所余り良い収穫に恵まれていなかった俺としては、そろそろ一発当てて、好物をたらふく味わいたいと思っていた矢先だったのだ。
     俺もこう見えて、結構グルメなのである。昔苦労した分、貫禄が付いてからは反って世の中の楽しみや道楽と言うものに敏感になっちまったらしく、今では揚げ物の油がどれぐらい使い回したものかや、素材の鮮度がどんなものかぐらいは察しが付くようになってしまった。『野良ポケモンと言えば残り物』、と言った程度の認識しか持っていない屋台のオヤジ共から上物を召し上げるには、多少は割高の金額が必要になってくるのは説明するまでも無いだろう。

     そして、更にもう一つ。実は俺、大の酒好きなのである。ビールや焼酎、ウォッカにウィスキーまで、『アルコール』と付くものなら何だって構わないほどに、酒の類に目が無いのだ。
     昔、今の俺のねぐらに一緒に住んでたホームレスの泥鰌髭が、しこたま買い込んで来た酒とつまみで良い具合に出来上がっちまってた時、無理矢理缶ビールを押し付けられたのが、そもそもの切っ掛け。それ以来、俺はぐでぐでに酔っ払った時に来る、あの幸せな酩酊感の虜になってしまっていた。
     一杯引っ掛けて酔眼で周囲を見渡すと、自分の心の中がスッキリ晴れて、世の中の全ての事柄が、笑って許せるような気がして来るのである。舌も普段以上に良く回るようになるし、平素なら恐ろしくて出ていけないような場所にも、積極的に踏み出したくなってゆく。別に飲まなくてもやって行けるが、実に愉快な気分にしてくれるあの飲み物は、ある意味俺の生き甲斐の一つとも言えるものであった。
     ところがここ数年の内、人間達の間で何があったのかは知らないが、街角に立っている自動販売機から酒の類が尽く消え失せて、以前のように気軽に手に入れる事が出来なくなってしまっていた。前はコインを何枚か用意すれば造作も無く買えたと言うのに、今ではそれとは別途の手間賃も伴って、顔見知りのルンペン連中を通してでないと、缶ビール一本傾ける事が出来ないのである。起き立ちに感じたあの憂鬱を吹き飛ばす為にも、俺は是非とも久しぶりに、一杯やりたかった。
     俺は主に酒手を稼ぐ事を目当てに、此処で一勝負仕掛けてみる事にしたのである。



     駅前から出発した三者の内、最も小柄なコジョフーのサイは、今や前方を歩いている主人以上に、浮き立つ気持ちを抑えかねていた。
     歩けば歩いただけ珍しいものが目に入るこの街は、修業に明け暮れている普段の生活からは想像も付かないほどに刺激に満ち溢れており、文字通り退屈する暇がない。街に入った当初こそ、謹厳な母親の存在が頭の片隅にこびり付いていたものの、そんな事がどうでも良くなるのに、然したる時間はかからなかった。
     まだ日も昇り切らぬ未明の空の下、シッポウシティの外れにある小さな道場を出発した時には、こんな楽しい余暇が取れようとは、夢にも思ってはいなかった。それだけに、喜びも一入である。
    「へぇ……! 最新型の加湿空気清浄機だって。『臭いセンサー及びプラズマクラスター搭載、イオンの力で快適な日々を!』かぁ。なんだか良く分からないけど、すごいね」 
     箱形の機械が沢山並んでいるお店のショーウィンドウの前で、少年が感嘆の声を上げる。無論主人にも良く分からない様な代物が、ポケモンである彼に理解出来よう筈もなかったが、例えアイアントの爪先ほどの知識さえ持ち合わせていなかったにせよ、彼の気分が下向きになる様な事はなかった。『ぷらずまくらすたぁ』でも『いおん』でも、何だって良いじゃないか。別に噛みついてくる訳でもないだろうし。

     そうやってワイワイ騒ぎながら、尚も目抜き通りを進んでいく内。不意に先頭を歩いていた少年が立ち止まると、何やら目を輝かせつつ、前方の空を指差した。
     見上げた先にあったのは、鉄製の籠状の物をぶら下げた、巨大な輪っかの様なもの。機を移さず軌道修正した彼らは、遠くに見えるその奇妙な物体に向け、足取りを速めて進み続ける。
    『あそこに見えるのは、何だろう?』 ――期待を込めて弾む足取りで道行く彼には、背後に続いている母親の、不興気な眼差しに気が付くだけの余裕はなかった。



     好き勝手ふらふらしている連中の後をつけ狙いつつ、俺はなかなか手出しが出来ない事に、若干の苛立ちを覚えていた。
     大まかな流れは、当初の想定通り。ガキンチョ二匹はどうにもならない位に隙だらけで、唯一あのコジョンドだけが、当面の障害として立ちはだかっている格好である。
     傍から見る限り、チビのコジョフーの方も足運びや反射神経自体は悪くは無く、年の端の割にはそこそこ出来そうな雰囲気ではあったが、やはりそこはガキの哀しさ。見るもの全てに心を奪われ、主人共々きゃいきゃい騒いでいるばかりで、例え真後ろから髭を引っ張りに行ったとしても、絶対に仕損じる事は無いだろう。
     それに比べると、両者の後ろに影のように付き従っている同族の方は、兎に角薄気味悪いほどに死角が無かった。常に黙りこくって歩を進めているばかりで、必要以上に周りに気を取られる事も無く。時折周囲を鋭い目付きで睥睨しては、その度に物陰に避難している、俺の寿命を削り取っていく。止めろ。
     一度なんかは、ここぞとばかりに忍び寄って行った刹那、まさにジャストタイミングで振り向かれて、もう少しで叩き殺されるとこだった。咄嗟に近くにいたオッサンの傍に寄り添い、手持ちのふりをして事なきを得たが、正直生きた心地はしなかった。……何となく胡散臭そうな目で見られた様な気はしたが、思い過ごしだと信じたい。
     取りあえずその時は難を逃れた訳だが、もうこれで同じ手は使えなくなった。腹いせにケータイに向けてがなり立てているその中年サラリーマンの尻ポケットから紙入れを抜いて、中身を確認した後でゴミ箱にinしてやったのは余談である。スリの俺が言うのもなんだが、耳障りだから余所でやれっての。財布の中も如何わしげな写真入り名刺ぐらいしか入ってねぇし。
     そうやって俺が脂ぎった親父と戯れている間、連中は電機屋の店先で屯しつつ、機械の箱の群れにうつつを抜かしている。店先を通り過ぎる際、ついでにウィンドウの中を覗いてみると、箱の列線の傍にはズラリ並んだゼロと共に、『空気清浄機・加湿器』の文字。カシツキぐらい俺の住処にもあるっつーの。野晒しになってたのを昔の同居人が拾って来ただけだから、別に動く訳じゃないけれども。

     やがてそうこうしている内、不意に進路を変えたターゲットは、そのまま街の外れにある、遊園地の方へと向かい始めた。
     派手なアーチと街路樹の並木を抜け、躊躇いもなく中へと入って行く連中に続いて、俺も偶々同じ方角に向かっていた二組みの家族連れに紛れ、何食わぬ顔で敷地内に踏み込む。互いが互いのポケモンだと思ってちらちらと視線を向けて来る彼らを尻目に、ちょっと気取って大型の花壇を一つ飛び越えてやると、興味深げに見つめて来ていたガキ共が、揃ってはしゃぎつつ歓声を上げた。
     普段ならチラリと振り返って、格好付けて見せてやるのも悪かねぇ所だが、生憎今の俺は忙しい。案の定前方に視線を戻すと、追いかけていた連中は屋台に寄って、呑気にたこ焼きなんぞ頼んでやがる。
     チビ助コジョフーが受け取っているのは、立ち昇る白い湯気も眩しい、アツアツのチーズが乗っかった一品。物珍しげに楊枝をつまみ、嬉しげに頬張っているその様子に、未だ朝飯すら食ってない俺の腹が、虚ろな音色を響かせる。
     隣にいる主人の方は、受け取った自分の食いブチを少しでも冷まして置こうと口を尖らせており、その吹き掛けられた息によって煽られた削り鰹が、忸怩たる思いで見つめる此方の鼻の頭に、得も言えぬ様な香ばしい匂いを運んで来る。
     降って湧いたこの狼藉に、俺はますます逆上しつついきり立ち、戦意を燃え立たせる訳なのであるが――この期に及んでも例によって、空気の読めない同族野郎が行く手を阻む。主人に勧められるも首を横に振った雌コジョンドは、相も変わらず険を交えた表情で、ジロリと周囲を一亘り見回した後、己の前でたこ焼きを食べている、小さな同族に視線を戻す。
     ……何か当初よりも更に目付きが厳しく、ご機嫌斜めになっているように見えるのは、僕の気のせいで御座いましょうか?



     たっぷりの花鰹と揚げ玉が乗った、大粒のたこ焼きを頬張りつつ。少年は次の予定を定める為に、つまんだ楊枝を次の一個に突き立てて置いて、腕に装着したCギアを覗き見た。
     デジタル表示の文字盤は、現在午後1時を回った所。約束されている時刻まで、まだ1時間以上あった。
     ホッと一息吐いた彼の面上に浮かんだのは、勿論零れる様な笑み。傍らに控えている二匹のポケモンに対し、まだまだ時間が余っている事を告げた後、彼はもう一度爪楊枝を手に取ると、食べ良い具合に冷めて来たたこ焼きの更に奥に向け、その切っ先を潜り込ませる。
     手にした白樺の木片が、起点となる堅い蛸の身をしっかりと捉えたのを確認すると、鰹節が上面を覆い隠しているそれをゆっくりと持ちあげ、一口に平らげる。最初の一個で火傷した箇所が少し痛んだが、揚げ玉の歯触りと甘辛く濃厚なたれの味わい、そして主役とも言うべき蛸の切り身の噛み応えが織り成すそれは、そう簡単に飽きが来るようなものではない。
     満足げな表情でトレイの上蓋を閉じた少年は、続いて同じ様に食べるのに夢中になっているパートナーと、此方は中々打ち解けてくれず、何時も通りの雰囲気のままで付いて来ている武術ポケモンに、次なる目的地を指し示した。
     再び動き出した彼らの行く手には、ここに来る際目印となった、あの巨大な観覧車が鎮座している。

    「特定のポケモンについてはお断りさせて頂いておりますが、それ以外のポケモンでしたら、重量制限内なら問題ないですよ」
     一緒に乗れるのかと言う少年の質問に対し、係員の男性は笑顔で答える。念の為、特定のポケモンについて尋ねてみたところ、ダストダスやベトベトン、スカタンクの様な、色々な意味で密閉空間にはそぐわない種族が該当するのだと言う。それなら、格別問題は無いだろう。
    「原則的に二人乗りですが、小柄なポケモンやお子様連れであらば、多少の超過は大丈夫です。ごゆっくりお楽しみください」
    「ありがとうございます! ……だって、サイ、スイ! 大丈夫みたいだし、折角だから乗って行こうよ」
     振り返って声をかけると、二匹のポケモンはそれぞれの反応で、彼に対して意思を示す。……やはり、母親であるコジョンドのスイは、嬉しそうに踊り上がる息子と違って、あまり気乗りがしない様子だった。
     元々彼らがこの街に来たのは、彼女と言うポケモンの情報を、バトルサブウェイの対戦用システムデータに加えたいと言う申し出が、サブウェイの運営側からなされた為であった。言ってみれば、彼女にとっては今日の行程もその内容も、ある意味修行の一環に他ならないのである。
     どうやら謹厳な性格のスイには、今の様な物見遊山に等しい時間の潰し方は、それほど好ましいものではないらしい。少なくとも、そこまでは経験未熟な少年からも、窺い知る事が出来た。……そう、そこまでなら。

     けれども生憎彼には、本来は姉のポケモンであるコジョンドの気性を、完全に見抜く事は出来ていなかった。その為、コジョンドに向けられていた彼の注意は、直ぐに目の前に現れた別の存在へとシフトしてしまう。
     再び前方に視線を移した彼の目に留まったのは、ただ一つだけ他のものとは形状の異なる、妙に装飾の行き届いた籠であった。他の籠の2.5倍はある大きさのそれは、モンスターボールではなくゴージャスボールを模した塗装がなされており、内部には大きなテーブルが置かれていて、数人の大人達が食事を楽しんでいた。
    「あの、あれは?」
     先ほど言葉を交わしたばかりの係員に向け、少年は自分が見た物への疑念を、率直にぶつけていく。それに対し、親切な壮年男性職員は、今度も懇切な言葉と態度で、目を丸くしている子供に向け、笑いながら言葉を返してくれた。
    「ああ、あれはディナーワゴンだよ。あの20番ワゴンだけは特別製でね。予め予約を入れてチャーターすると、あそこで食事をしながら風景を楽しむ事が出来るんだ。君も大きくなったら、一度乗りに来てくれると嬉しいね」
    「へえぇ…… あんな高い所でご飯かー。良いなぁ」
    「まぁ、興味があるのなら、一度親御さんとも相談してみて。取りあえず今日は、ポケモン達と普通のワゴンに乗ってみて、観覧車がどんなものかを体験してみると良いよ」
    「さぁどうぞ」、と乗り場に続く扉を指して、一歩引いてくれた係員に対し、少年は元気良く返事をすると、そのまま次にやって来た籠の中に、二匹と共に乗り込んで行った。



     ガキ共が観覧車に潜り込んだのを見ると、遂に俺は待ちに待ったチャンスが訪れたものと意気込んだ。
     既に、隙をついて目的を達成出来る見込みは無いだろうと、諦めかけていた所である。こうなったら多少強引にでもと思った矢先に、この展開。まだまだ捨てたものではない。
     あんな所に缶詰めになってくれるのであらば、攻める側としては願ったり叶ったりの状況である。狭いあの密室の中では、例え何かが起こったとしても、迅速な対応は望めまい。不意を突いて死角から行けば、あの厄介な同族が暴れ出す前に、取る物盗ってずらかる事も、そう難しくは無いだろう。
     一度勢い付くと、物事と言う奴は考えれば考えるほどに、成算に満ち溢れているが如く感じるものである。雀躍した俺は、今度こそあの連中に目に物見せてやらんと、機を移さずに行動に移った。
     乗り場の手前でおずおずと佇んでいるミニスカートを横目に、同じくゲートに詰めている係員のオッサンの目をすり抜けて柵を乗り越え、回転している巨大な鉄枠の向こう側で身を伏せる。
     連中が乗り込んだ籠が目の前に差し掛かった所で、俺は素早く立ち上がるとそいつに手をかけ、他の人間の目に触れないよう反対側にぴったりと身を押し付けた状態で、遥か上空へと昇って行った。



     狭いワゴンの中は、異様な空気に満ちていた。
     より正確には、単に元々立ち込めていた雰囲気が、密室状態と言うその環境によって、露わとなったに過ぎないのだが……それでも、今までずっとそれに気付かなかった彼にとっては、それは文字通り唐突に訪れた災難以外の、何物でもなかった。
    「あの……母上?」
     無言のプレッシャーに負けて、コジョフーが恐る恐るといった調子で声を上げる。乗り込んだ当初こそ嬉々として目を輝かせ、持っていたチーズたこ焼きの残りをぱく付いていた小柄な武術ポケモンは、今や明らかに危険な雲行きを示している現状況に、完全に委縮してしまっていた。
     果たして目の前の彼の生みの親は、今日この街に着いてから初めて口を開いたと見るや、思わず全身の毛孔が縮み上がる様な低い声音で、目尻を痙攣させつつ声を絞り出す。……この間、彼らの主人は全くこの状況に気が付いておらず、更に外にへばり付いている招かれざる客は、密かにワゴンの扉を固定しているストッパーを緩めて突入の機会を窺っていたのだが、既に我慢の限界に達していた彼女には、そんな事に対して配慮を見せるような気配は一切なかった。
    「一つ、聞きたい。……一体私は、遠く外地に赴く際の心得と言うものを、普段お前にどう教えていた?」
     どう見ても穏やかならぬと言った風情の表情が、爆発寸前の憤怒で彩られるのに然したる時間は掛らなかった。思わず総身の毛を逆立てて竦み上がる息子に向け、あからさまに怒気――もとい、青光りするほどの殺気を放射しつつ、ゆっくりと無意識の内に腰を浮かし始めたコジョンドは、更にその数秒を以て、自らの中に立ち上ってくる憤怒を、言葉の形に捏ね上げて吐き出して行く。
    「卑しくも武芸家ともあろう者が、見知らぬ地にて何処までも腑抜けに気を緩め、一時として夢見心地から戻って来やぬとはどう言う……? あまつさえずっと付け狙われているのにも気付かず、主人の身を案じもしないで享楽にふけるとは……!」
    「……え゛?」
    「いや、あの……その」
    「……? どうしたの、スイ?」
     事ここに至って、流石に彼らの主人も異変に気付き、場違いなほどに無邪気な声で、激高しつつあるコジョンドに向けて尋ねかける。また紡ぎだされたその言葉は、外から中の様子を窺っていた招かれざる客の耳にも、しっかりと届いていた。……しかし、それら全てが既に遅く、また余計な刺激であった事は、誰の目にも明らかであった。
     次の瞬間、凄まじい勢いと剣幕で立ち上がり、「恥を知れ!!!」と怒号したコジョンドの一撃によって、息子のコジョフーは一瞬でワゴンの扉を突き破って外に飛び出し、外部にへばり付いていた客人はその煽りをもろに喰って、木っ端の様に宙を舞っていた――



     籠の中での会話に驚愕するあまり、思わず全身が固まっちまったその刹那――突然ものすごい吠え声と共に何かが炸裂し、鉄板にへばり付いていた俺は呆気無くそこから引っぺがされて、何が何だか分からないまま、中空に向けて放り投げられた。
     胸板を思いっきり打ん殴られた様に感じた次の瞬間には、頭から真っ逆様の状態でフライ・アウェイ。正直その時は、自分の置かれている状態が寸分も理解出来ずに、半ば茫然とした思いで、真っ青な空を見上げていた。
     多分そのまま何も起こらずに落下していれば、俺は正気に戻る前に頭から地面に叩き付けられ、実に詰まらん死に様を晒していたのは間違いなかっただろう。実際余りに唐突だったのと、全身に受けた衝撃がかなりのものだった為、直後何者かに右足を掴まれるまで、俺の意識は完全に上の空のままだった。
     しかし、そうはならなかった。逆さまにぶら下げられた状態で、俺は地上に向けて落下して行く鉄の扉を息を押し殺して見送った後、下界で上がる悲鳴を余所に、顎を引き下げ上を見る。そこには、片手で吊り籠の底部に掴まりつつ、もう一方の手で俺の右足を捉まえて歯を喰い縛る、あのチビ助コジョフーの姿があった。
    「うわぁあああ!? スイ、一体どうしたのさ!?」
     そんな主人の間の抜けた声が響き渡る中、小さな武術ポケモンは咄嗟に掴んだのであろう俺の片足を離そうともせず、表情を歪めて荒い息を吐いている。と同時に、どうやら地上でも事態に慌てふためいたのか、今まで回転していた観覧車の動きがガタンという音と共に停止してしまい、俺達は完全に、この広い空に取り残されてしまった。
    「……離せよ。お前じゃ無理だ」
     顔を真っ赤にして耐えている相手に向け、俺は思わずそう口走った。……正直この高さから落っこちて無事に済むとは思えなかったが、そこは俺も男である。
     義理も面識も無い相手に対し、ここまでに必死になれる様な根性の持ち主を、おいそれと道連れにはしたくない。我が身が可愛いのは山々だったが、薄汚い野良犬にも最低限度の意地はあるのだ。
    「このままじゃどうにもならん。一緒に落ちたかねぇだろう」
     だが、尚もそう呼び掛ける俺の男気にも、頑固なチビは一向に耳を傾ける気配が無い。それどころか、もう一度口を開こうとした次の瞬間、そいつは思ってもみなかった方法で、目下の情勢を是正しようと試みる。
     何とそいつは、大きく息を吸って指先に力を込めたと思いきや、鋭い気合いと共に俺の体を振り被って、一気に吊り籠の上部へと放り投げたのだ。
     流石に微塵も予想していなかった展開に、思わず俺は「ンきゃあああ!?」等と言った感じの意味不明な悲鳴を上げながら、無様な格好で投げ上げられた天井に落っこちる。辛うじて足から接地し、何とか武術ポケモンとしてのメンツは保たれたが、直後視界の内に入って来たのは、一番居て欲しくない相手であった。
    「……ウス」
    「う゛、母上……」
     間を置かず飛び上がって来たコジョフーも、俺と同じく息を呑み。吊り籠の屋根で俺達を迎えたのは、燃えるような瞳で此方を睨みつけている、あの恐ろしい雌コジョンドであった。隣に立っているチビが掠れた声を発すると、そいつはゆっくり足を開いて半身に構え、必死に愛と平和(ラブ・アンド・ピース)を希う俺の気持ちも弁えずに、自らの意思を明確に示す。
     更にそれに応じる形で、傍らに立っているコジョフーの方も雰囲気を一変させ、決意も新たに身構えるに及び、堪らず俺は首を巡らせると、隣のチビに抗議する。
    「おい、ちょっと待て。俺はまだやるとは言ってねぇぞ……!? 大体勇ましいのは結構だが、どう考えても勝てやしねぇだろ!?」
    「どうせ逃げても逃げ切れっこありません……! それなら寧ろ堂々と受けて立った方が、怪我も軽くて済みます。今ならまだ、二、三日呻るぐらいで勘弁してくれる筈……!」
    「ちっとも嬉しくねぇよ!!」
     救いの欠片もない相手の見通しに、全力で突っ込みを入れつつも。結局は俺の方も、前方の同族に向けて相対すると、何が起こっても即座に対応できるよう、重心を下げて軸足を直す。
     逃げようにも逃走ルートは一つだけで、そのたった一つの脱出口は、鬼婆コジョンドに塞がれている。何だかんだ言った所で、所詮は袋の鼠。目の前の相手を何とかする以外、手など無い。
     そして、そう俺が覚悟を決めたその刹那――まるで此方が決意するを待っていたかのように、殆ど微動だにしていなかった前方の相手が突如として動き出し、此処に戦いの幕が切って落とされた。

     俺が片足を引いて半身を下げ、嫌々ながらも戦う意思を示したその直後。いきなり前方で身構えるコジョンドの右腕が翻ったかと思うと、隣に立っているチビ助が、小さく詰まった呻き声を上げた。
     反射的にそちらを振り返って見ると、小柄な武術ポケモンは天を仰いでたたらを踏んでおり、驚愕に目を見張ったその額には、何か細い棒状のものが突き刺さっている。
     眉間の辺りに突き立っていたのは、先ほどまでコジョフー自身が使っていた、あのたこ焼き用の爪楊枝。俺は慌ててコジョフーの右腕を引っ掴むと、そのまま場外に向けて引っ繰り返りそうになっているチビ助を、際どい所で自分の側へと引き戻した。

     ところがしかし、危うい所を救ってやった相手の口から漏れ出たのは、礼では無くて警告の叫び。「気を付けて……!」と絶叫するチビ助の言葉にハッと顔を上げると、そこには既に何かの影が、目の前一杯にまで迫って来ていた。
     既に、回避も何も出来たもんじゃない。次の瞬間、俺はそれによって強かに顔面を打たれ、寸刻気が遠くなると共に、完全に視力を失った。
    「ンがあッ!? 目が、目がぁーーーっ!!」
     顔を押さえてそんな事を喚いている俺の体を、更に何者かが突き飛ばす。無様に金属板の上に転がる過程で何かが勢い良く風を切って頬を掠め、続いて鋭い気合いと共に何かがぶつかりあう衝突音が、「ん目眼めメMEぇ!」と全力で騒いでいる俺の背後から聞こえてくる。

     やがて何とか目をしばたかせつつ顔を上げ、涙ボロボロの状態で視界を取り戻して振り向くと、件の親子は目下盛んに技を繰り出し合って、狭い足場の上で暴れ回っている。顔面に『猫騙し』を喰らった俺がどうにか無事に済んでいるのは、どうやらコジョフーが俺の体を突き飛ばした後、身を持って時間を稼いでくれている御蔭であるらしい。
     しかし、それも長くは持ちそうになかった。
     腕先の毛を鞭の様に振るって攻め立てるコジョンドによって、コジョフーの体はあちこち腫れ上がって痛々しい有り様になっており、このままでは何時均衡が破れてもおかしくは無いだろう。……俺が顔面に一発喰らっただけで転げ回ったほどのダメージだ。あれだけボコボコにされて、平気で居られる訳がない。
     とは言ったものの、ここで俺が奮起して加勢に馳せ参じたとしても、事態が好転するとはバチュルの毛先程も思えない。同じコジョンドとは言え、向こうはもう何年も正統な修業を積んで来た化け物である。闇雲にぶつかった所で、勝ち目なぞあろう筈がない。
     と、その時。思わず絶望の呻きと共に天を仰いだ俺の目に、遥か頭上で泰然と鎮座している、一台の吊り籠が飛び込んできた。
     途端、俺はまるで電気仕掛けの人形の様にガバリと跳ね起きると、頭上に伸びる鎖を掴んで、鋼鉄の籠を吊り上げている、太い支柱によじ登り始めた。まるで何かに憑かれた様な面持ちで懸命に腕を動かす傍ら、未だ争っている二匹の同族の方をチラリと見やって、もう少しだけ耐えてくれよと、祈る様に念を送る。

     ――もうこうなったら、あれの力に頼るしかない。



     倒れていた野良コジョンドが、勢い良く立ち上がった時。コジョフーのサイはまさに藁にも縋る思いで、自分よりずっと長身の、その細身の獣に目を向けていた。
     既に体力は粗方消耗し尽くしており、これ以上孤立無援で戦うのは、事実上不可能に近い状態だった。完全に守りに徹しているにもかかわらず、母親の攻め手は何時も通りに峻烈で、僅かな呼吸の乱れや逡巡が伴う度に、彼の体に鋭い打撃を加え続けて来る。致命的な大技こそまだ貰っていなかったものの、このままの展開が続けば遠からず体が思う様に動かなくなって、『飛び膝蹴り』や『はっけい』辺りで止めを刺されてしまうのは目に見えていた。
     ところが、そんな彼の願いも虚しく――上を向いて起き上ったそのコジョンドは、パッと足元を蹴って飛び上がったと見るや観覧車の鉄枠に掴まって、必死に戦っている彼を尻目に、さっさと戦線を離脱し始めてしまう。
     直後に繰り出された『はっけい』をかわす為、咄嗟に横っ跳びに鋼鉄の板の上を転がるも、彼は見捨てられたと言う事実を前に、空漠たる思いが募って来るのを、如何ともする事が出来なかった。

     やがて万策尽き、体力も残り僅かとなった所で、彼は眉間を狙った一撃を避け損ね、楊枝が刺さって出来た傷を打たれて、「うっ!」と呻いてバランスを崩す。
     すかさず放たれた追撃の『はっけい』が強かに脇腹を捉えると、痛みと麻痺で息を詰まらせたサイは、横様に突き転がされたまま起き上がる事が出来なくなった。
     咳を交えた荒い息を吐きつつも、何とか持ち直そうともがいていたまさにその時――不意に自分の直ぐ隣でけたたましい落下音が轟き渡り、同時に身を横たえている鋼鉄の床面が、ぐらぐらと揺れた。
     痛手を負った体に多いに障ったその衝撃に、思わず顔を顰めている彼に対し、降って来たばかりのその人物は、実に能天気な声音で話しかけて来る。
    「ぃよお! 待たせたなぁ!!」
     声に応じて顔を上げたサイに対し、明らかに目が据わっていないその同族は、見て分かるほどに赤らんだ相貌を綻ばせ、実に愉しげな様子で笑い掛けて来た。



     突然戻って来た同族の様子に対し、今まさに一戦終えたばかりのスイは、今日と言う日が始まって以来最も強い、凄まじいまでの怒りの発作に見舞われていた。
     今目の前に立っているコジョンド――どうやら良からぬ企ての下、ずっと後を付けて来たと見えるその相手の状態は、明らかに普通ではない。視線は全く定まって無いし、上半身は固定されず、ふらふらとだらしな気に揺れている。顔色は傍から見てもあからさまに赤く染まっており、時折ダラリと垂らされる舌が、これ見よがしにペロリペロリと口元を舐める。
     臆面も無しに逃げ出した揚句、事が終ってからノコノコと帰って来たそいつは、どこからどう見ても完全に、『出来上がって』いた。

     普段から謹厳・糞真面目で通っている彼女にとって、それがどれだけ腹立たしい事なのか? ……残念ながらその事実を知っている者は、身に受けたダメージも忘れてポカンと同族の顔を見上げている、彼女の息子以外には誰もいなかった。



     吹きっ晒しの心地良い風に抱かれ、素晴らしい眺めが堪能出来るその場所に戻って来た俺は、最高にハイだった。
     先ほどまで一体何に怯え、何を恐れる必要があったのか? ホンの十数分前の出来事だったと言うのに、もう何も思い出せない。一体この場に、この世界に、何の不都合があると言うのか!

     あの後、俺は『何故か』必死になってこの大きく美しい観覧車の鉄枠をよじ登り、丁度俺達が今居る籠の斜め上に止まっている、一等馬鹿デカイ籠の中へと入り込んだ。
     そこで何が行われているかを知っていた俺は、突然扉が開いて驚き慌てる正装した男女を尻目に、真っ白いテーブルクロスの敷かれた中央にある食事台から、お目当てのものを取り上げてラッパ飲みにする。その瓶はワインであった。
     一本終えるとまた一本、更に選んだ最後の一本は大当たり。料理の仕上げにも使われる香り付け用のブランデーを飲み干したところで、俺はいよいよ今までの義理を果たすべく、勇躍その場を後にして、下方に見えるこの籠に向け、一っ跳びに帰還して来たという訳である。
    『行きは良い良い帰りは恐い』とは人間達の言うところであるが、よじ登るより飛び降りた方がずっと早いのだ。全く世の中、悲観的な考えが多くて困る。

     ところがこれほどまでに幸せな気持ちで一杯で、いっそ殴り合うよりも肩を抱き合って歌でも歌いたいぐらいの俺に対し、目の前に立っている同族は、到底そんな気分にはなれないらしい。
     どう見ても表情が引き攣ってるし、目元はピクピクして今にも耳から湯気が出そうな按配である。……よせよせ、そんな面。まだ若ぇだろうに皺になっちまうぞ。
     そんな心配を密かにしてやっていたのであるが、困った事にどうやらそれが、口を衝いて出てしまったらしい。いきなり相手の顔色が変わったとみると、瞬時に恐ろしい形相で地を蹴って、喚き叫んで突っ込んで来た。
     思いもかけない展開で、しかも動きがヤバいぐらいに速い。呆気にとられて目を見張る内、相手は一瞬で距離を詰めて来ると、低い軌道で地を蹴って、『飛び膝蹴り』をかまして来た。
     無論そんな物喰らえば、幾らなんでも平気では居られない。腹に入ればゲロッぱするだろうし、顎に当たれば宙を飛んで、ケンタロス座辺りまでぶっ飛んでしまう。流石にそれは頂けない。
     なので当然俺の方は、全力を傾けてそれをかわした。……いや、かわそうとしたと言うべきか。
     後ろに素早く足を送って、体を開いて避けようとした。ところがここでアクシデントが勃発し、後ろに足を送った所で、上半身が後ろにのめって流れてしまう。
     慌ててバランスを取ろうと手足を総動員してバタつかせたところ、あろう事か持ち上げた左膝が、突っ込んで来た相手の胃の辺りに、まともに突き刺さってしまった。相手の膝の方は俺がのけぞったので此方まで届かず、丁度カウンターが決まった形だ。
    「げッ……ほ!」と苦しげに呻き、ぐらりとよろける相手に対し、俺は何とか渾身の力で体勢を持ち直して、ふら付きながらも衝撃を受け止め、倒れないように踏み止まる。一方相手の方は、息を乱しながらも素早く立ち直り、俺が支えてやろうと手を伸ばす前に、サッと飛び退って再び距離を取った。
     尚も敵意を込めて烈しい視線を向けて来る雌コジョンドを呆れた思いで見詰めている内、俺はその強情さに辟易しながらも、今までは全く気が付かなかった、彼女の容姿に目を奪われる。多少怒りとダメージに青ざめながらも、顔の道具の配置や作りは俺好みであったし、厳しい修行に耐えて来たのであろう痩身は、力強く引き締まっていて誠に美しい。
    「良く見たら、あんた美人だなぁ……! こりゃ驚いた!」
     ――思った事がついつい口を衝いて出てしまうのが、飲んでる時の俺の悩み。特に今回は久しぶりだった事もあり、ちょっとハメを外し気味だった事は認めよう。

     だが、しかし……。気分良く褒めた心算だったのに、何故この台詞で怒るのであろうか?

     一瞬目を丸くしたように見えた相手は、直後今度こそ完全にぶち切れて、憤怒の塊みたいになった。
     顔は『赫怒』と言うのはこう言う状態を指すのだなと思えるばかりに紅潮し、最早赤いを通り越してドス黒く見え、口元は歯を食い縛っているのだろう、口辺が上がって尖った犬歯が覗いている。その余りの剣幕に、此処までずっと大人しくしていた、足元のコジョフーまでが悲鳴を上げ出した。
    「う……うわぁ!?」
    「何でここまで怒る必要があんだ……?」
    「そりゃ怒りますよ! どうする気なんですか!? もう此処まで来たら、一体どうすれば良いのか……」
     実の息子ですらこれである。となれば、赤の他人である俺なんぞに、有効な手立てが思いつく訳もない。
     流石にこの期に及んでは、続けてラブコールなぞ送れるもんではない。この状態で生まれて初めて、おぼろげながらも恐怖を感じた。これは本格的にヤバい。
     最早こうなってしまったからには、何とかして『良いところ』を見せ、少しでも怒りを解いて貰うより仕方ない。そう思った俺は、ここで普段でも滅多に見せない取って置きの大技を、彼女に対して披露する事に決めた。

     思わず竦み上がる様な形相で殺到して来た相手に対し、俺は平手で一発自分の顔を叩くと、真正面から一歩踏み出し、迎え撃った。
     初撃の『猫騙し』はしっかり引き付けて『見切り』でかわし、咆える様な気合いと共に打ち込まれた『はっけい』は、『はたき落とす』で軌道をずらす。
     一歩踏み込まれれば迅速に退き、振り上げられた鋭い蹴りを、体を反らして寸前で外す。更に止まらず三歩引き退く俺に向け、彼女が青白い波導を弾丸状に練り始めたところで、初めて俺は構えを改め、自分の方から攻勢に出た。
     両足に全身の力を込め、姿勢を沈み込むように下げた俺に向け、彼女は裂帛の気合いと共に、『波導弾』を解き放つ。高度な技量と豊富な修行量をして初めて可能となる必中の妙技は、青白く渦を巻きつつ凄まじい勢いで、俺を目掛けて突っ込んで来る。
     それに対する俺の方は、眦を決して覚悟を決めると、「はっ!」と短い気合いを上げて、思いっ切り後ろに向けて地面を蹴った。空中に浮かび飛び行く先に存在しているのは、このバトルフィールドとなっている吊り籠を支える太い鋼鉄の鎖と、それを固定している鉄骨の支柱。地を蹴りながら捻りを加えていた俺の体は、支柱に激突する頃にはほぼそれと相対する形となっており、接触した俺はそこに叩き付けられる代わりに、更にそこから手と足を使って壁を突き放し、三角跳びの要領で空へと駆け上る。
     流石の『波導弾』も、この急激な運動には対応し切れなかった。尚もしつこく俺の体を捉えようと追尾して来たものの、更に上を飛び違えるその軌道には付いて来れずに、何処までも高く澄み切った、遥か蒼空へと消えて行く。一方流麗な弧を描いて宙を舞う俺の方は、下方で茫然と目を見張り、今己が見た物を信じかねている雌コジョンドに向け、一直線に降下して行く。
     俺の奥の手・『アクロバット』。身軽で敏捷な特質を持った性格で、尚且つ高い身体能力を持った者だけが体得できる、飛行タイプの大技である。

     ……ここまでは上手く行っていた。そう、『ここまで』は。
     予定では俺は彼女の隣に着地して、とびきり爽やかな笑みを浮かべてこの技の感想を仰ぎつつ、あわよくば良いムードにでも持ち込む腹ですらあったのである。
     しかし、俺は酔っていた。……どの道酔いでもしてないと殆ど出さない大技ではあったが、それでもやはり素面の時に比べれば、多少は精度が怪しくなるのは致し方ない事である。

     軌道を僅かにずれていた俺の体は、そのまま彼女の手前ではなく、直接相手の頭の上までオーバーランして、盛大な浴びせ蹴りを、その美しい顔に叩きつけたのである。

    『こうかは ばつぐんだ !』



     満天の星空の下、俺はすっかり良い気分になって、自分の住処に帰って来た。
     片手に握った紙袋の中には、更に追加の缶ビールが何本か。つまみの類もしっかり買い込んで来て、抜かりや不足は更にない。

     あの後、俺は目を回している雌コジョンドや丸くしているコジョフーと共に、乗客の救助に当たっている係員等の飛行ポケモン達によって、他の乗客らと同様地上へと下ろされた。
     白昼堂々施設をぶっ壊した事もあり、かなり面倒な事態になりかかっていたものの、偶々例の大きな吊り籠(ディナーワゴンと言うらしい)に乗っていた客達が、俺と雌コジョンドの試合を大層気に入って取り成しや尻拭いをやってくれた御蔭で、大事には至らなかった。
     全部終わって釈放されると、ガキの奴はあんな目にあったと言うのに馬鹿なのか能天気なのか、事態が丸く収まったのは俺の御蔭だと言う結論に至ったらしく、一日連れ回される破目になった代わりに、実に良い思いをさせてくれた。
     彼らは俺の案内で街のあちこちを回り、礼と称して俺が目を付けたものは全てその場で買って分けてくれた。……ただあの雌コジョンドだけは、回復してからも塞ぎ込んじまって、自分のボールに閉じ籠っちまったきり、出て来ようとはしなかったのだが。

     別れ際、小僧は最後まで俺について来ないかと誘いをかけ、断り切るのに骨が折れたが、それは何とか振り切る事が出来た。
     そしてその時だけ、何故かあの雌コジョンドは自らボールを揺らして外に出る意思を示すと、巣に向けて戻って行く俺の背中を、刺すような視線で最後まで見送って来た。……御蔭で、折角の締めが幾分心臓に悪かったと言う事を、付け加えておかねばなるまい。ああ言うシチュエーションは二日酔い以上に性質が悪い。


     そして、今俺は独りねぐらに座り込んで、静かに星を見上げつつ酒を飲んでいた。……既に十分に酔い、この上もなく良い気分になっていたと言うのに、何時の間にかあの高揚感は消え去って、飲めども飲めどもちっとも盛り上がらなかった。
     昼間にかけられたある言葉が、ずっと頭の中にこびり付いて離れないのだ。

    「僕も大きくなったら、あなたや母の様な、強いコジョンドになりたい」
     二人きりになっても畏まった言葉ばかり使うチビ助に茶々を入れ、『ワタクシ』だの『母上』だのはねぇだろ、と突っ込んでやった時。はにかむ様に笑って言葉を改めたチビコジョは、からかう様にニヤ付く俺の顔を真っ直ぐに見返して、澄んだ瞳でそう告げたのだ。
     あの時の、嘘偽りの一切ない、真っ正直な告白。それが何か奇妙なうねりを、俺の心の底に植え付けてしまっていた。
    「あなたの様に」。『貴方の様に――』。これは果たして、適当な言葉なのだろうか……? こうして飲んだっくれている、しがない都会暮らしのスリを相手に。

     奴はまた、こうも言っていた。
    「僕も頑張って修業を積んで、何時か母に負けない位強くなります。何時かまた、出会えた時……その時は、僕もあなたに挑ませてください」、と。


     更に一頻り喉を鳴らすと、持っていた缶は空になった。
     次を出そうと袋の方へ手を伸ばすも思い直し、空き缶をヒョイと背後に投げ捨てた俺は、ふと思い出した事柄につられ、ぶっ壊れてただの粗大ゴミ以外の何物でもない、錆びついた加湿器に目を向ける。
     ――それを拾ってきた奴を、記憶の底から思い起こす為に。

     俺に酒の味を教えた相手。ガラクタを拾って来ては弄り倒し、暇にかまけて俺に人間の文字を教えたその男は、ある時奇妙な道具を自作して、このねぐらから出て行った。
    「もう、此処には帰らねぇ」
     そう言い捨てたその時は、『まーた始まりやがったか』としか思わなかった。……しかし、結局奴が戻って来る事は無かったのだ。
     数年後、その男が作ったガラクタが、『締め付けバンド』と言う名前でヒット商品になっているのを破れた古新聞で確認したのは、ある秋の終り頃の事だった。
    「そろそろまた冬か……」。そう呟く俺に合わせる様に、「そろそろまた冬が来るなぁ」と毎年の様にぼやいていた、物臭な同居人。寝場所を取り合い身を寄せ合い、酔っ払っては絡んで来たあの鬱陶しい居候が、心の底に空虚な穴を穿って行ったのに気が付いたのは、果たして何時頃の事だったろう――?

     そこまでの回想が終ると、俺はつと立ち上がり、紙袋を手に歩き出した。
     先程放り出した空き缶を蹴っ転がし、月を見上げて間延びしたおくびを一つ洩らした所で、漸く鬱々とした思いが吹っ切れ、何時もの調子が戻って来る。
     めっきり少なくなって来た虫達の声を掻き分けながら、俺は紙袋から干し烏賊の切れ端を摘まみ出し、端っこを一口齧り取ってから、口先に咥えてニタリと笑った。
     鼻先のスルメをピコピコさせて調子を取りつつ、鼻歌と共に上機嫌で進む俺の後ろには、縦に長細く引き延ばされた二重の影が、躍りさざめき付いて従う。

     やさぐれイタチ酔って候。
     気儘な夜風に背中を押され、過ぎ行く我が家にウインク一つ。小洒落たネオンに背中を向けて、足の向くまま気の向くまま。
     ……この酔いが醒めた時、果たして自分はどこにいるのか――? 今は全く分からないが、恐らくもう二度と、此処に戻って来る事は無いのだろう。

     それだけは、何処かではっきりと理解している気がしていた。





    ――――――――――――――――――――

    またもやお久しぶりになってしまいました(汗)
    何かとゲーム方面が忙しくて書き物が進まなんだとです。対戦脳もほどほどにってね……
    ジャパンカップは70戦以上やりましたが、レートは1500以上を維持するのが精一杯で残念、伸びませんですたorz まだまだ修行が足りませんね。 まぁ、リオルとカイリューが活躍できたから良しとして(ry

    言い訳はほどほどにして…… 此方は、ポケノベさんの所で開催された『文合わせ 冬の陣』にエントリーさせて頂いたものです。
    残念ながら、期間ぎりぎりだった上にテーマ不備で採点対象から外れる事となってしまいましたが、個人的に書きたかったものが書きあげられたのもあって手直ししてみました。あちらで評価して頂いた方々にも精一杯のお礼を込めて――

    尚、このお話の原案はtekoさんから頂きました。チャットで「最近ろくに書けなくて……」と愚痴ってたら、気分転換にとショートストーリーを提供して下さって、それが骨格となりました次第。
    故に、個人的にはこの作品は、tekoさんに捧げたいと思います。 有難う御座いました……!


      [No.2393] 師匠と弟子 投稿者:ことら   《URL》   投稿日:2012/04/17(Tue) 22:20:12     85clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    前書き:エロいです。カップリングです。http://masapoke.sakura.ne.jp/lesson2/wforum.cgi?no=2335&reno= ..... de=msgviewの続編です。








    「あ、そう。まぁジムリーダーなんて名前だけだし」


     初対面で、まだトレーナーになりかけ、しかもジムリーダーとして父親のことを尊敬していたのに、それを一言で一蹴したヤツがいた。

     その名はダイゴ。



    「まだまだ甘いね。本当に言ったこと解ってる?」
     メタグロスの目の前には倒れたライボルトがいる。顔色を変えず、ライボルトをボールに戻した。
    「解ってます」
     ダークトーンのむくれた声はハルカ。瀕死になったライボルトに元気のかけらを与えている。目の前にいる人間を視界に入れないようにして。
     彼女の目の前に立っているのが、ハルカのポケモンの師匠ともいうダイゴ。 トクサネシティにあるダイゴの自宅の地下にある、ポケモンの修行のための場所で。
    「いや解ってないね。ラグラージの使い方からなってないね。一体いつになったら覚えるのかな?」
     爽やか笑顔のイケメン! そうトレーナーたちでは持て囃されているけど、ハルカにとっては嫌味のトサカ頭にしか思えない。 弱点を即座に見抜き、痛いところを毒針で刺すような言い方をする。
    「いつか覚えると思いますが」
    「全く。なんで素直じゃないかな。素直になりなよ」
     ダイゴはハルカのトーンにつられることなく、静かに言った。子供なハルカに対して、大人のダイゴは笑顔だった。ただし目は笑ってない。
     素直に、というのも、これだけ反抗、反発、逆らっておきながらダイゴに教えてもらっている状況を見ての通り、ハルカはダイゴの方が好きだ。 きっかけは本人が覚えていないくらいに、気付いたらダイゴが好きだった。
     けれど、ダイゴはムカつく。会った時に人をけちょんけちょんにけなし、認めようとしない。その矛盾にハルカは結局、反抗という態度しか取れなくなっていた。
    「じゃあ今日はここまでで良いから。早く帰った方が良いよ。何か雨っぽいし」
    「わかってますー」
     むくれたままポケモンをしまった。帰る支度を始める。ハルカの本音としてはもっとダイゴと一緒にいたい。けれどあんな態度を常日頃とっているのだ。きっと嫌われてる。その事実がハルカの手を自然と早くする。その彼女とは対象的に、ダイゴは窓から外を眺めている。うなる風に激しい雨。窓ガラスが叩き付けられ、今にも割れそうだ。
    「じゃあ今日はありがとうございましたー」
     ぶっきらぼうな挨拶をして、玄関の戸を開ける。その瞬間、暴風と暴雨が室内に舞い込んだ。ハルカが慌てて閉めると、風がうなりをあげてぶつかってきていた。
    「すごい風!」
    「天気予報つけて」
     ハルカがテレビをつける。よせば良いのに、ミナモシティの海岸で台風さながらの実況中継をしている。しかもどのチャンネルも。画面の端には各地の情報が流れている。
    「トクサネは?」
     雨戸を全てしめながらダイゴがたずねた。ハルカはテレビの前のソファに座ってトクサネの情報を待つ。
    「暴風警報と波浪警報と洪水ですね」
    「え、そんなに酷いの?」
     ハルカの後ろからダイゴが聞いて来た。遠くにいたものだと思っていたから、思わず振り向いた。
    「なお、ポケモントレーナーには、勝負やなみのり、そらをとぶなどの技を控えるよう、注意がされています!」
     まず飛ばされそうなリポーターをしまった方がいい。近くを看板が暴風にのって飛んで行く。
    「ねえ」
     ダイゴはまっすぐハルカの目を見る。
    「帰れるの?」
     帰れるわけがない。ハルカの家はここから空を飛んで半時間のミシロタウン。空を飛べないならば、海に囲まれたトクサネシティから出られるわけがない。それを説明すると、ダイゴはハルカにとって意外な返事をする。
    「それは無理だね。今はポケモンセンターもトレーナーでたくさんだろうから、しばらく家にいなよ」
     ハルカは心の中でガッツポーズをした。喜ばないわけがない。まだダイゴと一緒にいられる。それだけなのだが、ハルカにとって非常に嬉しかった。


     先ほどまであれだけ言ってたのに、お茶を入れてくれたり、お菓子を出してくれるダイゴ。これにはハルカもあの時の不機嫌はどこへやら、ダイゴを相手にニコニコ。
    「それでですね、ユウキはキノココの方がかわいいって、進化させないんです〜」
    「あの子もまるっこいポケモン好きだねぇ」
    「そうなんですよ!それで」
     自分でも解らないくらい、話したいことが次々に出て来る。いつもこう、話せたら良いのに。話すのを一度やめて、ため息をつく。
    「君もそうやっていつもニコニコしてればかわいいのにね」
     風で外の何かが倒れる音がする。ダイゴは見に行く為にレインコートを羽織った。
    「素直になりなよ」
     まさか同じことを二回も言われるとは思わず、返事をしようとした時には遅かった。ダイゴはすでに外。
     テレビは変わらず警報を鳴らしている。予報によれば、今日の夜遅くには晴れるという。居られるのも夜中までか、とため息をついた。同時にダイゴが入って来るなり、ハルカに言った 。
    「思ったより酷い。こんな暴風じゃ帰れないでしょ。家でよければ泊まっていくかい?」
     返事を待たず、ダイゴはびしょぬれのレインコートを脱いだ。短時間であったのに、髪はかなり濡れていた。そんなダイゴをずっとみながら、ハルカは嬉しさが隠しきれなかったらどうしようと、そればかり考えていた。

     一方、天気は夜になっても回復どころか悪化の勢いだ。窓の外を見ればライボルトの集会のように雷が鳴っている。雨は大粒、風は暴風。風がぶつかる度に家が揺れる。
     ダイゴは天気など気にせず、残りの仕事と言って、パソコンに向かっている。その横顔をじっと見ていたらいきなり振り向かれる。
    「何?」
     まさか見とれていたとも言えない。上手い返しも解らず、ハルカは黙っていた。
    「ああ、雷鳴ってるから停電するかもしれないし、早めにお風呂はいっておいで。着替えも、そうだね……客用のパジャマがあったかな」
     イスから立ち上がり、ダイゴはクローゼットの中からほとんど使われてない寝間着をハルカに渡す。
    「たまに友達が来た時に使うんだけど、こういうのしかなくて。嫌?」
     ハルカはそれを広げる。明らかにかなり身長が高い男性のもの。これを着ればかなり引きずることは目に見えている。
    「え、あの……ちょっと大きいですし……」
     ダイゴは困ったような顔をした。サイズが合わなすぎるのを渡したのもいけないが。しばらくダイゴは黙った後、ハルカから寝間着を受け取る。
    「じゃあ、僕のお古になっちゃうけどそれでもいい?」
     その言葉はハルカの心に波打った。ダイゴの着ていたものを着れる。首を縦に振り、ハルカはダイゴから少し大きい前開きの半袖と短パンを受け取る。
    「それ、旅行先で買ったんだけど、サイズ間違えたんだよ。ほとんど着てないから」
     そして上の棚から大きめのバスタオルを取り出した。ハルカをそれを受け取る。肌触りがいつも使っているものと全く違う。バスタオルに残ったいい匂い。それにぼーっとしていたのを不思議そうにダイゴが見ている。その事に気付き、ハルカはさっと方向転換してバスルームに向かう。
    「全く……」
     ダイゴはため息をついた。黙って返されたパジャマを折り畳む。

     ハルカがシャワーから上がっても変わらず、ダイゴは書類の作製中。足音に気付いたのか、ちらっとハルカの方を見たが、すぐにパソコンの画面に目を戻した。
    「ああ、先に寝てなよ。寝室でよければ使って」
    「ダイゴさんはぁ?」
    「これが終わったら今日は終わるから。子どもはもう寝た」
     ダイゴに言われるままにドアを開ける。いつも師匠が使っている部屋。整頓され、ベッドにはシワ一つない。緊張と嬉しさが混じり、ベッドにもぐりこんでいた。眠れる訳がない。
     あの師の、好きな人のいつも使っている空間。そこにいるのだから、たまらなくなる。少しベッドに残ったダイゴの匂いがハルカの心を締め上げる。掛け布団を抱きしめ寝返りをうつ。と思ったらすぐさま反対を向いて。
    「ダイゴさんに素直になれたらなー。きっと嫌われてんなぁ」
     ため息が出る。もっと素直に可愛げのある弟子になれないものか。そうしたらもっとかわいがってもらえないだろうか。
     あーだこーだ画策していると、その思考を止めるように雷が光と同時に鳴った。爆音にも等しく、側にあったタオルケットを掴む。

     ドアが開いた音に、ダイゴは目をやった。懐中電灯の漏れた光に映るのはタオルケットを抱えているハルカ。ダイゴは書類を片付けていた手を止める。
    「あ、あの、パソコン大丈夫ですかっ?」
     ハルカの声にダイゴはイスから立ち上がる。そしてディスプレイに触れた。
    「間一髪、電源抜き。さっきのは大きかったね。落ちたかな」
    「そうですか。まだ仕事、あるんですか?」
     いつもと何か違う教え子の態度。ダイゴはふと昔を思い出して笑ってしまう。おかしくて仕方ないのだ。
    「どうして?」
     ハルカと目を合わそうとするが、たどたどしく視線が合わない。こういう態度に出る時は決まっているのだ。何か言いたくて言えないことを抱えてる時。
    「雷が怖い?」
     タオルケットを力強く握ってる。子供ならこんな大きな雷が怖くても仕方ないだろう。ダイゴはなるべく優しく聞いた。


    『素直になりたい
    素直になっちゃえ
    っていうか言ってしまえ私!』


    「あ、あのっ、邪魔しないから、一緒にいても良いですかっ!?」
     ハルカからしたら、告白に近かった。勇気を出して振り絞った言葉。初めて素直に自分の気持ちを口に出した言葉。それなのにダイゴは腹筋がよじれそうなくらいに笑っている。 なぜ笑われたのか解らないまま、ハルカは立ち尽くした。
    「そんなこと聞くまでも無いよ。おいで。まぁ座りなよ」
     手招きに誘われ、ソファーに座る。もちろん、ダイゴにピッタリくっついて。ハルカは熱くなっているのを隠すのに必死。タオルケットを顔までかぶり、その隙間からじっとダイゴの方を見る。
    「ねえ」
     ダイゴはハルカのかぶってるタオルケットを取る。いきなりのことに、ハルカは思わず叫んだ。
    「返してー!」
     ダイゴは遠くにタオルケットを投げる。もうハルカの顔を隠せるものはない。そして気付けば、ハルカはダイゴの膝に片手をついていた。思いっきり顔をそむける。
     何をしてしまった。何がどうしてそんな近づいてしまった。ハルカの頭の中に後悔がぐるぐると回る。それはダイゴが優しく肩を抱いてくれたのも気付かないくらいに。
    「そんなに雷が怖いの?」
     ハルカはダイゴの顔を見た。本当に心配してる顔だ。けれどすぐに目をそらした。するとダイゴはハルカを自分の方にさらに引き寄せる。
    「大丈夫だよ。落ちないから」
     雷なんて聞こえてない。ダイゴの声しかハルカには届いてない。肩におかれたダイゴの手が暖かく、ハルカは思わずダイゴの着てるものを掴む。
    「そう、じゃないです」
     こんなに近いのにダイゴに言うべき言葉が出て来ない。あの時もそうだった。言いたいのに言えない。ダイゴの胸に顔をうずめ、思いっきり抱きしめたいのにそれができない。せめてダイゴのパジャマの袖をぎゅっと握ることが、ハルカなりの好意の示し方だった。それすらも拒否されているのではないか。そう思うと、ダイゴの顔など見えない。
     暖かい手がハルカの顔に触れる。導かれるように顔をあげた。ダイゴと目があう。
    「何遠慮してるの?さっきから隠そうっても無駄だよ。こっち見て」
     ハルカはもう何も言えない。緊張しているのもあるし、「余裕」の表情でこちらをみているダイゴには勝てない。口が乾き、心拍数が上がる。電気が消えて小さな灯り一つだというのに、目の前のダイゴはいつも以上にはっきりと見える。
    「前に言ったよね。出す順番を間違えることが命取りになるって。君はポケモンもそうだけど、恋の勝負も知らなすぎる。僕の勝ちだ」
     優しくダイゴがハルカの頬をなでる。けれどハルカには全く意味が解ってなかった。今、なぜダイゴがこんなことをしているのか、恋は惚れた方の負けということ、そしてその勝負を仕掛けてられていたこと。
    「何を言ってるんですか!そもそもまだ解らないじゃないですかっ!」
    「君は降参を認めてることを言ってるのに解らないの?勝負はいつも、二手先を見るんだよ」
     もう、そんなことはどうでも良かった。ダイゴに抱き締められ、ダイゴにされるまま唇を塞がれる。柔らかく、そして熱い味が体に広がった。頭から足の先まで痺れる。すぐ側にダイゴの息を感じ、ハルカの体温をあげていく。何をされているのか、どうなっているのかなんてハルカには解らない。けれどダイゴが自分に対して何をしているのか、どうなっているのかは理解できた。それを感じ、ダイゴの膝の上にいながらも涙が出る。
    「…僕何か泣かせるようなことした?」
     唇を離し、困ったような顔でダイゴはハルカを見つめる。
    「いえっ…してないですけど、私、ダイゴさんに、嫌われてると…」
     頭を撫で、強く抱き締める。涙をぬぐうハルカを慰めるように囁く。
    「それが恋の勝負だよ。君より多く生きてる分、君に勝ち目は無いんだよ」
     雨音が少し弱まる。そんなことに構うことなく、ダイゴは再びハルカの唇を塞ぐ。しびれ薬のように、ハルカの体を麻痺させた。それに気付いたのか、ダイゴは一度ハルカを解放する。そして目があった。
    「ダイゴさん、好きです。ずっと好きでした」
    「知ってるよ。ずっと待ってた。だからこうして君が欲しい」
     待たされた時間を埋めるかのごとく、何度も口づけを繰り返す。ダイゴは優しく、そして自分のものにしていくかのようにハルカを抱きしめ、唇に触れる。それだけでなく、舌をからませた。ハルカは抵抗の仕方も解らず、ダイゴにされるがまま。その身をダイゴに預け、目を閉じた。
     そのうち、ハルカはダイゴの手が、パジャマに触れていることに気付く。そして前開きのボタンを一つ一つ、上から外し始める。
    「なぁに?元は僕のだからいいじゃない。それに、君くらいの年齢なら僕が望んでること、解るよね」
    「わ、かりますけど、でも……」
    「怖い?」
     ハルカは頷く。ダイゴはハルカの頭を撫でた。
    「本当に嫌なら、君が決めれば良い。時期が早いのは良くないし。それに君の年齢だと、下手したら僕が捕まるからね」
     出会った時から「通り魔に会ったら、このボスゴドラで攻撃するから大丈夫だよ」とか犯罪すれすれのことをさらっと言う人だった。今もハルカの返事を待たずにやわらかい乳房を包み込むようにして触っている。
     まだ発達段階であるけれど、それなりの大きさがある。 試しにダイゴは乳房の先、乳頭に触れた。その瞬間にハルカの表情が変わる。
    「痛いっ」
    「ごめんごめん。まだ若過ぎるからねぇ。もう少し大きくなれば、また違う感じがするよ」
     そう言いつつも、ダイゴはハルカの胸を離さない。初めての感触にハルカは目を閉じて耐えるしかなかった。
    「この先も僕に見せてよ」
     ハルカの下着とズボンを素早く下ろす。そしていつもは触れられない場所に手を伸ばした。
    「大丈夫?痛くない?」
    「はい」
    「若くてもちゃんと反応はするんだね。」
     たまごの白身のようにヌルッとしていた。指で撫で、場所を確認する。 ハルカの体の下の方に違和感が生じた。そしてそれは体内の中心へ向かっている。思わず息を飲んだ。そして痛みが来て悲鳴に近い声を上げる。
    「そう。困ったなぁ。これが痛いならなぁ」
     痛がるハルカをよそに、指は動く。奥に行ったり来たり、入り口を広げるようにしたり。ハルカは目を瞑り、ダイゴにしがみつく。そうして痛みに耐えていた。好きな人にされてるからと言い聞かせる。
    「いれたら気持ち良さそうだね」
     ダイゴは独り言のようにつぶやいた。
    「入れるよハルカちゃん」
     ハルカが答える前に、何か硬いものが体の下に押して来ていた。最初は触れていただけ。次第にそれが奥に来ようとしてる。 そしてそれが入って来た瞬間、電撃が走ったかと思われるほどの痛みがハルカの体を支配する。
    「いたぁっ!」
     ハルカはダイゴの膝の上というのも忘れて暴れる。一番の痛みから逃げるように。
    「大丈夫?」
     黙って首を横に振る。入ろうとしたダイゴの男性器はただ呆然とそこにある。
    「痛かった?」
    「はい」
    「そうか」
     入っていたのはほんの少し。最初から予感はしていた。あまりに小さいこと、そして未発達な部分があること。そんな状態で決行できるわけがない。
    「ごめんね。いろんなことがまだ早過ぎたみたい。君に痛みを与えたいんじゃなくて、気持ち良くなって欲しかったから」
     ハルカのおでこにキスをする。それに応えるようにハルカはダイゴに抱きついた。
    「ハルカちゃんがもっと大きくなったら、この続きをしよう。時間はたっぷりあるから、焦らなくていい」
     ダイゴは耳元で囁き、今まで高ぶった感情を落ち着かせようとした。けれど少しでも味わってしまった感触は中々消えない。ずっと待っていたのだからなおさら。唇、指先、性器の先に残った感覚は、収まってくれそうになかった。
    「ダイゴさん」
    「どうしたんだい?」
    「できなくてごめんなさい。だからせめて一緒に寝てください。ダイゴさんと一緒に寝たいです」
    「……君は素直になったと思ったら残酷なことを言うんだね」
     言われた意味も解らない。ダイゴに抱きかかえられて一緒に寝室に入り、ベッドに降ろされる。そしてハルカの隣にダイゴが入ってくる。
    「ダイゴさん」
     痛くてできなくてもまだハルカだって足りない。ダイゴに抱きつき、唇に触れた。
    「ハルカちゃん、もう寝なさい。君はまだ身体的には子供なんだから。大きくなれないよ」
     ダイゴに撫でられて、ハルカはもう一度口づけをした。
    「おやすみなさい」
    「うん、おやすみ」
     ダイゴに抱きつき、ハルカは眠気に身を任せた。




     けたたましいキャモメの声に目が覚めた。ハルカが起きると、ベッドにいて、着衣もちゃんとしている。
    「あれ……?昨日のは……」
     空は突き抜けるように晴れ上がっている。あんなにダイゴが優しかったのも夢だったからか、と一人納得してベッドから出た。
    「おそよう。人のうちで良く寝れるよね」
     いつもの鬼師匠だ。朝ごはんに呼ばれる。ガッカリして食卓に着く。
    「そういえば…」
    「なんですか?」
    「やっと素直になってくれたんだし、今日は修業抜きでどこかデートでも行こうか?」
    「……ダイゴさんっ!!!」
     あまりに嬉しくて、ハルカはダイゴに飛び付いた。いきなりのことだった為、ダイゴも受け止められず後ろに飛ばされ、手はテーブルに触れて一部食器がジャンプする。
    「あの、あのっ!!!行きたいです!!!大好きです!!!」
    「ふふっ、もう全部知ってるよ。でも今まで通り、教える時は容赦しないからね」
    「はい!ついてきます!」
     夢じゃなかった。目の前に抱き締めているのは紛れもなく、一番好きな師匠、ダイゴ。年の差はあれども、誰よりも大切な人。確認するように、もう一度抱き締めた。



    ーーーーーーーーーーーーー
    好きすぎてトチ狂ったわけではない。
    ポケモンのエロパロスレのために書いたもの。それを修正して仕上げた。

    好きな人に嫌われる前に、その態度を改めて好きだと伝えて来ないと、後悔するのは貴方ですよ。ツンデレなど二次元の産物でしかありません。


    【好きにしてください】


      [No.2360] Re: 黒竜 投稿者:紀成   投稿日:2012/04/07(Sat) 12:44:01     37clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    題名に騙された。題名詐欺とでも名付けようか。
    シリアスな感じかと思ってたらこれだよ!

    そうかーイケメンにしか興味ないのかー 中身もきちんと見た方がいいぞー
    イケメンで性格いいなんて男はリアルにはそうそういないからな!多分!

    レックウザさんいいよね 私も欲しい ミミズくらいの大きさでいいから欲しい


      [No.2329] (一)二度桜 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2012/03/30(Fri) 02:59:23     84clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     ホウエンで、桜は二度見られる。

     一度目は山の桜。
     三月下旬に見られる木に咲いた桜だ。
     古来より豊縁人は山の桜を楽しんだという記録が地の民の記録に遺されている。
     土地の支配者達は、しばしば山に桜を植えさせた。
     大きなポケモン達に桜の苗を運ばせて、木を司るポケモン達に育ませたということだ。
     それは自身が愉しむ為であり、民に力の大きさを示す為でもあった。
     彼らは言う。
    「我々は一番先に桜を楽しめるのだ」と。
     薄い紅に染まった山を背景にして彼らは語る。
     
     そして、二度目は海の桜。
     山の桜が散ってしまった頃、海に桜が舞うのだ。
     海の民はそれを花弁魚と記している。
     花弁魚は今で言うラブカスである。この時期、繁殖期を迎えたラブカス達は群れをなして、浅瀬に集まってくる。この時期の彼らは婚姻色と呼ばれるいっそう鮮やかな色に染まっており、一年の中で最も美しい。そんな彼らが集まると海が鮮やかに染まるのだ。
     そんな時だけ、彼らは漁と渡り以外で船を出す。
    「二度目の桜は、山の桜より鮮やかで美しいのだ」
     花弁に染まった海を背景にして、そう彼らは語る。


     陸と海には共通の言い伝えがある。
     山から流れてきた桜の花びらが花弁魚になるのだ、と。
     そう彼らは長い間信じてきた。
     実際、陸地から流れ込んだ栄養が、海の生き物を育てていることを考えれば、あながち間違いではないだろう。

     そして今、ホウエンの人々は年に二度の桜を楽しんでいる。





    【描いてもいいのよ】
    【書いてもいいのよ】


      [No.2296] Re: 【告知】3/18(日) HARUコミックシティ打ち上げ会 投稿者:風見鶏   投稿日:2012/03/12(Mon) 23:16:33     45clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    こんにちは。マサポケでは鶏でたまに顔を出しています。
    散々参加するだのしないだのと言っていたので、お知らせがそろそろ決めんかい、と言っているような気がしました。

    今書いているものが完成したら、スペースをお借りしてコピー本を売らせていただくことになっています。
    その時は昼間から参戦致します。

    お初の方々、マサポケとは縁の薄い浮浪人ですけれども、よろしくお願いします。


      [No.2265] 【告知】3/18(日) HARUコミックシティ打ち上げ会 投稿者:   《URL》   投稿日:2012/02/29(Wed) 23:51:26     165clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    ご無沙汰しております。586です。

    No.017さん主催の「ポケモンストーリーコンテスト・ベスト」の頒布を行うイベント・HARUコミックシティの開催が近づいてまいりました。
    ポケスコの力作群を集めた、まさに珠玉の一冊になる予定です。
    ちなみに、当方も昨年のコミックマーケット82にて頒布した「プレゼント」の再販を行う予定です(しれっと宣伝

    さて、3/18(日)のイベント終了後に打ち上げを行いたいと思います。
    時間帯はイベント終了後、少々余裕を持って17:00前後開始を考えています。終了は状況にもよりますが、概ね20:00頃の見込みです。

    つきましては、参加を希望される方を当スレッドにて募らせていただきます。
    なお、既に参加を表明されている方に付きましても、今一度メンバーの確認を行うため、当スレッドにて記名いただけると幸いです。
    イベントに参加されてそのまま雪崩れ込む予定の方も、打ち上げだけ参加されるという方も、どちらも大歓迎です! 奮ってご参加ください(´ω`)

    以上、よろしくお願いいたします。


      [No.2233] 【書いてみた】vs壁 投稿者:きとら   《URL》   投稿日:2012/02/02(Thu) 23:15:34     59clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    「おい、そのピカ何とかの鳴き声はいいから、普通に喋れよこの不法侵入者」


    「らーい」



     おいおい今度はもっと言葉が通じないやつが来たぞ。ピカなんとかの鳴き声はもういいっていったらライなんとかの鳴き声にしやがった。
     代わり映えのない芸しかもたねえ、つまらないやつだ。しかもずっと壁の中かららーいらーいと言っている。答えて欲しいのかこいつは。
    「らーい」
     義務的に俺が声を発すると、明らかに壁の中の空気が変わった。

    「らーい!」

     さらにテンションが上がる。こんなのテレビの中でしか見た事無いぞ

    「らーい!」

     俺に言えというのか。俺の答えを待っているのか。そんな恥ずかしいことできるか!!!!

    「らーい!!」

    「……らーい……」

    「らい!?らい、らいらいらい!!」

     おいおい一人でやり始めたぞ。俺はなんで壁に向かってこんな茫然と立ち尽くしてんだ。人の入らなそうな薄い壁の中から、足音がドタバタとする不思議。一人目の時もそうだったが、どうやって動いてるんだ。
    「おい、いい加減にしろ!」
     思いっきり壁を殴った。壁は黙った。気配も消えた。こんなことなら最初から叩いておけばよかったかもしれない。

    「セイセイセイセイ!」

     やたら落ち目の芸人の真似するやつだ。感心してる場合じゃない。
    「いい加減にしろ不法侵入者!」

    「イーヨー!」

     ちなみにテレビは反対側だ。どうやって壁の中でこんなのができるんだ。疑問だらけだ。壁からギターの音色が聞こえる。

    「マサラタウンはポケモンがいないって言うじゃなぁい!?」

    「オチは解ったから黙れ」
     俺の言葉はやっと通じたか、壁は黙った。いやむしろそれが正解だ。壁がペラペラこうも喋っては気味が悪い。
     明日業者を呼ぼう。それがいい。そしてこの壁を解体して調べてもらおう。
     そう決意した後ろで、壁が再び「らーい」と言った。

    ーーーーーーーーーー
    「ピカー」に対抗できるのは「ライー」しかないと思った。
    こんなんで書いてみたと名乗っていいのか物凄い疑問
    本当に疑問。
    しかし壁の中の言い出しっぺとして書かずにはいられなかった
    【げしげししていいのよ】【もしもし、あたしキトラ!いま貴方の後ろにいるわ】


      [No.2198] 面倒なこと 投稿者:西条流月   投稿日:2012/01/14(Sat) 01:45:45     85clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     どうにも面倒くさい。

     お前がもう一人の英雄だとか戦わなければポケモンを開放するぞとか言われた時に思ったのはそれだけだった。
     こちとらこの間野生のポケモンに全滅させられそうになったんだぞ。そんな人間に世界の命運を任せる神経が理解できない。四天王とかチャンピオンとか強いトレーナーは掃いて捨てるほどいるだろう。

     きっとこの石に宿ってるもう一方のポケモンだってそう思っているに違いない。そこいらの草むらでタブンネ狩ってるような人間が実は英雄だとかいうことだってあるに違いない。
     いちいち英雄なんて旗を担がなくても、伝説のポケモンなんていなくても、あいつらのやってることが正しくないと思うなら、止めちゃえばいい。数に任せて強引に抑え込めばいい。

     言いたいことはたくさんあった。
     それでも言わなかった。

     結局は戦いに行くんだ。うだうだ言ってもしょうがない。
     ただ、一つだけ明確にしておきたいことはある。
     単に自分の仲間と別れさせられるなんて選択肢を選べるはずがない。それだけは嫌だから、面倒くさくてもできることがあるならやろうと思っただけだ。
     世界を背負うなんてことに憧れたわけでも、いろいろな人に頼りにされたわけでもない。
     ただそれだけのことだ。
     そう言おうと思ったけれど、恥ずかしくて言えはしなかった。



    ―――――――――――


    いろいろ思ってるからこそ、言えない感じのうちの主人公
    【書いてみたのよ】
    【好きにしていいのよ】


      [No.2167] 旅路 投稿者:moss   投稿日:2012/01/02(Mon) 21:01:47     53clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     青空のような瞳をして、真新しい黒いコートだか何だか着て、小さな肩が埋もれそうなくらい大きなリュックを背負い、じいさんーーもというんちゃら博士から俺の入ったボールをしっかりと握って受け取って。ポーカーフェイスを気取りながらもボールを持つ手が震えていたのは緊張か、興奮か。流れる漆黒の髪の下、俺は確かにうざそうなやつだと思った。お前は俺をハシバミと呼んだ。
     どうせこいつもむちゃくちゃな指示ばかりすんだろうなと思っていたら、はじめての勝負ーー町のチンピラにからまれ挑まれた(これをはじめての勝負といっていいのだろうか)とき、はじめてにしては慣れた手つきでボールを投げ、「とりあえずひっかく」と何と呑気な指示か。相手のチンピラが出したラッタには到底勝てそうになかったが、指示されたようにとりあえずひっかいたが倒れなくて。ラッタが凄いスピードで突進してきたときはあまりに無謀だと思った。だけどお前は違った。「壁まで走れ!」と今まで聞いたことの無い真剣な声。全力で駆けた俺はそこで「伏せろ!」地に伏せる。ゴシャっと音がして見たらラッタが壁に突っ込んで目を回していた。俺らの初勝利だった。
     それからというもの俺らの旅は順調に進んだ。はじめて来た町で傷ついた鳥を一匹お前は拾った。人目も気にせずに、慌てることなくポケモンセンターへ行って「あなたがやったんですか!?」と疑われていたのはさぞ笑えた。結局その鳥はお前が引き取り、ポッポという種族名にらしからぬアサギと名付けた。その翌日ジムを制覇した。
     その後も二つ三つとバッヂを集め、俺は濃いオレンジ色の前より少々ゴツい姿になり、アサギも冠羽と尾羽が色付いて大きくなって仲間も増えた。ラプラスという種族の大人しい彼女はベニと言った。
     四つ目のジムで俺らは負けた。手持ち最強の俺と相性が悪かった。最後に俺が敵のカメックスから波乗りを受けて倒れたとき、お前は真っ先に俺の元へ来て抱き締めた。耳元で「ごめん」なんてカッコつけて。でも悪くなかった。ジムリーダーに「惜しかったね」などと言われてカチンときた俺らは三日三晩修行して、俺が進化して火竜になってから再度挑戦した。圧勝だった。
     それからものんびりまったりとジム巡りの旅をした。仲間も手持ち限界まで増えジムを制覇しては強くなっていった。そしてとうとう八つのバッヂを集め、リーグへの出場権を得た俺らはそれまでの間、強敵の出るところでそれなりに危険なダンジョンで修行することにした。恐ろしく強い野生ポケモンやそこを訪れるトレーナー。時に負けたがその分勝利した。さあいよいよ本番は近い。そんなある日のことだった。
     お前は馬鹿みたいに無表情で不器用で呑気で優しい。そんなことはもう十分な位見てきた。だからーー
     その日俺らは修行していた山の中で悲鳴を聞いた。お前は「……行くよ」と勇敢に駆けつけた。そこは崖で、悲しいことに見知らぬ女性が見知らぬ女性をポケモンを使って突き落とそうとしていた。普通なら自分も危険だから人を呼ぶなり警察に通報するなりする。それなのにお前はその細い体で突き落とそうとする女性を横に突き飛ばし、落下しそうな女性の腕を引っ張った。まあ落ちたら俺が飛んで拾いに行くだけだが。そんなことも無く無事なのを見て不覚にも安堵してしまった。だから気付けなかったのだ。突き飛ばされた女がギラリと光るナイフを片手に立ち上がったのを。
     そこから先はあまり正確には覚えていない。ただナイフの女が奇声を発しながらお前の横の女性を刺そうとして、それをかばったお前が崖から落ちた。その瞬間最大限に加速してあまり長くない腕を必死に伸ばして凄い速さで落ちていくお前の手を掴もうとした。けどお前は「ごめん、ハシバミ」とだけ言ってベルトに装着された六つのボールを一斉に俺へとパスをした。反射的にそれらを受け止めてから追いかけたがそこはもう崖の下で、それなりに危険なダンジョンであったために尖った岩肌に頭をぶつけて盛大に血を流していた。青空のような瞳に光はなかった。
     あれから丁度一年が経った。俺以外のアサギやベニ達はそれぞれ野生に返った。たまに俺達が全員で作った小さな墓に俺のいないときに誰かしら来ているらしく花や木の実が耐えない。恐らく二ヶ月ほど前に俺がお前の家族に伝えたからかもしれないが。
     俺は今でもここにいる。お前の墓が荒らされたら困るし何より俺はお前のパートナーだ。俺は死ぬまでここにいる。俺は最期までお前の片割れであり続ける。


      [No.2136] 無理ぽ 投稿者:小春   投稿日:2011/12/22(Thu) 22:04:59     55clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     無理。
     無理な気がする。
     俺の前――というか、ロトムの前に置かれたものを見て、俺は無謀なチャレンジャーの気分だった。

    「ばあちゃん。……これ、なに?」

    「冷蔵庫よ」

     ばあちゃんは至極まっとうな答えを返してくれた。
     そう、ロトムの前に置かれているのは冷蔵庫だ。ばあちゃん曰く、一昔前の。

    「上に氷を載せて冷やすのよ」

     うん。知ってる。これ、懐かしの生活展で展示されてた。
     ロトムは冷蔵庫でフォルムチェンジするけど、こいつでできるのか? 無理だろ、どう考えても。というか、これは家“電”なのか。電気はどこで使うんだ。

    「ばあちゃん。俺、これは無理だと思う……」

    「あらぁ、でもロトムちゃんは冷蔵庫で形が変わるんでしょう? これも立派な冷蔵庫よ、だから大丈夫」

     期待に充ち満ちた目で、ばあちゃんはロトムを見る。見られたロトムは助けてくれとばかりに俺を見るが、どうしてやることもできない。言い出したら聞かないひとなのだ、ばあちゃんは。

    「さあロトムちゃん。頑張ってちょうだいね!」

     行け、ロトム。お前も男だ。性別不明だけど。やればできる! てか、見てみたい。木製の冷蔵庫に収まったロトムの姿を。
     俺も期待を込めてロトムを見つめる。ばあちゃんも期待を込めてロトムを見つめる。
     逃げ道はないと悟ったのか、はたまた腹をくくったのか、ロトムがごきゅっと妙な音を立てて動いた。

     ロトムの手(っぽい部分)が木製の冷蔵庫に触れた――!

    ☆★☆★☆★

     家電じゃない家電を差し出されたらロトムはどうするか。
     ふつうにフォルムチェンジできるのか、あの形状のままフォルムチェンジするのか、はたまたフォルムチェンジは無理か。
     逃げ出すと見せかけてジャンピング土下座――からの

    【バトンタッチ!】


      [No.2105] ドータクンの寝顔 投稿者:イケズキ   投稿日:2011/12/07(Wed) 20:23:55     49clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     俺はポケモントレーナー。午前のトレーニングを終えて今は昼ごはんの時間だ。
     「食べるのが大好き」な俺のエンペルトは、この時を待ってましたとばかりにポケモンフードの前まで駆けて来てガツガツと食事中だ。「暴れるのが好き」なドンファンは、まだまだ運動したりないらしく、ヌオーに向かってとっしんを繰り返していた。「打たれ強い」ヌオーはそれを軽く受け止めている。
     「こらっ、ドンファンのお皿元に戻しなさい!」
     「イタズラが好き」なサーナイトが、こっそりと念力でポケモンフードの乗った皿を俺のバッグの影に隠そうとしていた。サーナイトは少しむくれてみせると、それでも素直に皿を元に戻した。
     「あぁあぁ、グレイシア……」
     グレイシアの周りには、皿からこぼれたポケモンフードが散乱していた。「物音に敏感」なコイツは、大きな音を聞くと激しく驚いてしまうのだ。さっきの自分の怒鳴り声が原因ではあるが、いい加減音に慣れてほしいものだ。
     
     そんなこんなのやり取りをしている中、唯一大人しく佇んでいるポケモンがいた。ドータクンだ。プカプカと地面から2.3センチ浮きながらじっとしている。
     「お前はいつでも冷静で、手がかからなくてありがたいよ……他の奴らときたらいつだって、落ち着きないもんなぁ」
     そう言って俺は後ろからドータクンのそばにより、背中(?)をそっと撫でた。ひんやりすべすべの肌(?)ではあるが、俺は確かにそこに生き物としての温もりを感じた気がした。
     「さっ、それじゃお前もいっしょに昼ごはん食べようか」
     俺はそっと声をかけた。
     しかし、ドータクンは動かない。
     「ん? どうした? お前もあんなトレーニングして腹減っただろ? 早く食べに行こう」
     俺はさらに言った。
     が、それでもドータクンは動かない。

     ――クスクスクス……

     後ろから笑い声がした。見ると俺のポケモン達が皆そろって笑っている。何か俺は嫌な予感がして、ドータクンの顔(?)を見てみた。
     ……いつもは赤い目(?)の部分が白濁している。

     
     日の光に照らされて、「昼寝をよくする」ドータクンの気持ちよさそうな寝顔が輝いていた。


    ―――――――――――――――――――――――――――――

    こんなもんでいかがっすかーてこさーん! (30分クオリティっすがwwww


      [No.2074] 飽食のけもののプロット 投稿者:乃響じゅん。   投稿日:2011/11/17(Thu) 00:12:04     94clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    B6のノートに手書きしたものです。


    (1ページ目)

    主人公:スージィorロコ(※結局ロコに決定)

    家に閉じこもり気味だが、たまたまお茶会へ。
    人食いが出る、というウワサを聞く。

    帰り道、林道に入ると、ウワサの人食いに出くわす。(3mのウインディ)
    用心棒倒され、馬車も倒れてしまったところを一人の男に救われる。

    ディドル・タルト(※スペースの都合上ドドがあだ名であるという設定はカット)
    占い師であり、妖しい屋。(※最終的にまじない師)
    金髪赤目の男、キュウを従えている。(※スペースの都合上キュウは人間に化けずじまい)
    名前を見抜かれたウインディをぎょっとさせ、逃げさせる。←仮
    ウインディをどう逃げさせるか(※結局逃がさなかった)
    キュウを戦わせる?

    帰ってみると、屋敷全体が異臭を放っていることに気付く。
    手紙を送る。窓から投げて。
    その夜、着替えて眠ろうかという頃、窓を叩く者が現れる。
    不審に思いながら開けると、ドドが部屋に入ってくる。
    驚くロコ。「なるほど、確かにひどい」
    キュウもそれに伴ってついてくる。


    (2ページ目)

    キュウの嗅覚を頼りに or 妖力を頼りに 屋敷内を探し回る二人。(※結局手法については明言せず)
    みな寝静まるころに行動。
    2階の隠し階段。1階通り越して地下へと続く。
    そこで見たのは、紫色のヘドロの塊。
    『ベトベトン』という人食いだという。

    ベトベトンとの問答。
    誰の差し金?
    何を食べているのか。人間のシミやほくろ、くすみなど。
    ロコ、動揺。キュウの炎で燃やそうとした時、クラウディア夫人到着。
    部屋に入られた時、知らせるシステム。(※没設定)
    ドド、名乗る。夫人、「私のものだ」と主張。
    どこでこの人食いを手に入れたか。
    →行商から買った。
    説得を試みる。どれだけの人に迷惑がかかっているのか。美しさを過剰に求めることに、意味はあるのか。
    ロコの一言で、クラウディア夫人は決断する。
    「この子を、燃やして下さい」


    (3ページ目 ある程度書き終わった後、内容に幅を持たせるための追加シーンを考える)

    ・「でも、どうして私、こんなにひどいにおいに気付かなかったのかしら」
    「こいつは、人間の老廃物を食うたびに副産物として少しずつこのヘンな匂いを吐き出すんだ。だからあんたは、少しずつ増えて行くにおいに気付かなかったんじゃないのかな」とキュウ。
    確かにロコはここ数ヶ月間、屋敷を出たことがなかった。

    ・クラウディア夫人
    「こんなところに勝手に入るなんて……さては泥棒ね? 人を呼ぶわよ」
    「お待ち下さい。私は街のまじない師。こちらのロコお嬢様の依頼により、異臭の原因を探りに参ったのです」
    「ロコが……?」
    夫人、動揺。
    「お母様、このひどい臭いに気付きませんか。このヘドロを、一体どこから手に入れたのです」
    「ヘドロだなんてとんでもないわ。だってこの子に浸かるだけで、私の美しさは保たれる。まさに魔法の薬よ。すばらしいものなのよ」
    「でも、あれは日に日にひどい臭いを出している。私は耐えきれず、吐いてしまった。耐えきれないの。このままでは、私のような人が増えてしまう」

    ・キュウをもう少し出番増やすべし(※増えた)
    ・ドドは何故お嬢様と最初から呼んでいたのか
    →服。ただし説明は省いてもよい。
    「うわさ」をひらがな漢字統一のこと。(※確か漢字に統一したような気がする)


      [No.2042] 続いてしまいました 投稿者:CoCo   《URL》   投稿日:2011/11/07(Mon) 22:34:12     78clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     マコさんお久しぶりです! 感想ありがとうございます。
     勢いとなんかあれだけで書いたので面白がっていただけて幸いですー。

     溶岩の場所はどこなのでしょうか……。
     イメージはデラウエアだかキラウエアだか、どろどろした赤い血のような溶岩が流れている感じです。
     後日、青年は隣人から「お前のクソつまらん夢がダダ漏れだから排気をやめろ」と受けるかもしれません。

     E.T

     ツイッターで「おもしろい!」といってくださった方もほんとうにありがとうございました!
     でりでりさんのポストからなにかを受けて追い詰められながら書いたものですが、公開してよかったです。


      [No.2009] 『まんまるふくろう、タマネギを待つ。 』感想(仮 投稿者:りえ   投稿日:2011/10/18(Tue) 22:14:08     79clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    ・作者はもっと物を読んでそれをコピーして書くといいと思う
    好きな小説(出版されている奴)の真似をして書いていくといいよ。


    まず言いたいことは「読みづらい」です。
    そのことをどう解決するかを考えてみました。以下の通りです。

    ・ホーホーの一人称のスタイルをとっています、このこと自体には問題がないです。
    ただし、一人称スタイルの鉄則に近い法則を無視しているので読みづらいのです。
    その法則は「できる限り思考を枝分かれ・後戻りさせないこと」です。
    おそらく、その部分を削ったらだいぶ、読みやすくなるのではないでしょうか。

    ・さらに、情報はできる限りまとめて出すといいと思います。
    祠だったら「祭りの主役が現れる場所」「ぼんやり光っている」「森の奥にある」など、さまざまな祠に関する情報があちこちに飛んでいます。
    これも、読みづらさを加速させる一因だと考えています。

    ・改行の使い方も、少し考えてみるとよいのではないかと思います。



    ちょっとだけ書き直してみました。嫌だったらごめんなさい。

    (出だし)
    広くなったり、狭くなったり。
    普通はこのことを、「長くなったり短くなったり」と表現するんだと、きょうの待ち合わせ相手は力説していた。
    ボクと、キミと、あとほかの誰かの言い方とか見方が違っても、いいと思うんだ。
    それを聞いた待ち合わせ相手のタマネギさんは、「めんどくさいから統一しようよ」ってむくれてた。


    次第に夜の帳も降りてきて、森の木々が、影なのか木なのかわからなくなってきた。
    この深い森の中に、今日のお祭りの主役のタマネギさんが現れる予定の、仄かに光る祠がある。
    祭囃子が街の方から聞こえてきた。お祭りが始まる合図だ。なんだかわくわくする。
    あっ。
    「ぽー
    ぽー
    ぽー
    ぽー
    ぽー
    ぽー
    ぽー」
    森中のホーホーたちが一斉に七度鳴いた。もうこんな時間だ。今年のタマネギさんは遅い。
    せっかく一年に一度の遊べる日だから、太陽が出てるときから待ってたのに。早く来てよ。

    止まっている枝が暖まってきた。夏のこの時期の暖かい枝は気持ち悪いので、僕はぴょんと別の枝に飛び移る。
    ちょっとずり落ちそうになる。眠いから。横目で祠を見ていたせいかもしれない。


      [No.1976] 白は真に黒は理にと太陽が謳いて 投稿者:巳佑   投稿日:2011/10/08(Sat) 01:51:19     48clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     大宇宙を灯す灼熱の六花をはためかし
     あの世界に謳いましょう
     純白の焔に萌ゆる真実を一つ謳いましょう
     その心に残りし痕はきっと貴方を導くでしょう
     
     大宇宙を灯す灼熱の六花をはためかし
     あの世界に謳いましょう
     漆黒の雷に咲きし理想を一つ謳いましょう
     その心に映りし夢はきっと貴方を導くでしょう

     白に真を萌ゆらせて
     黒に理を咲かせて
     私は謳い続けましょう
     
     大宇宙に漂う灼熱の六花から覗く
     純白の焔に浮かぶ蒼い湖に溶ける貴方の姿
     追い求めていた謎かけの答えに伸びゆく手に
     幸あれと謳いましょう   

     大宇宙に漂う灼熱の六花から覗く
     漆黒の雷に浮かぶ紅い玉に溶ける貴方の姿 
     ようやく掴んだ希望の種を持ち進む足に
     幸あれと謳いましょう

     白に真を萌ゆらせて
     黒に理を咲かせて
     私は謳い続けましょう

     真実を求む者よ
     理想を求む者よ
     足元が見えなくて怖いのならば
     せめて私の六花で灯らせてあげましょう
     しかし
     その先は貴方の意志で進みなさい
     真実との鬼ごと
     理想との鬼ごと
     捕まえることができるのは他ならぬ貴方の意志なのですから 

     白に真を萌ゆらせて
     黒に理を咲かせて
     私は謳い続けましょう
     
     白に真を萌ゆらせて
     黒に理を咲かせて
     私は謳い続けましょう




    【歌ってみました】

     宇宙科学という授業で太陽のことを学んだときのこと。
    「白斑……黒点(強い磁場があるようです)……まさかレシラムとゼクロムは、実は太陽……ウルガモスから産まれたポケモンだったりし(以下略)」とかなんか大胆なことを思いついて今回の物語(というより詩かな)が産まれました。  
     

     ありがとうございました。


    【何をしてもいいですよ】


      [No.1941] ポケスコ匿名校正スレ。 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2011/10/01(Sat) 11:29:09     69clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    1週間ほど伸びたことだし、すでに応募の方等も校正をしてみてはいかがでしょうか?
    匿名で作品を貼り付けてください。暇な人が誤字脱字とかを見てくれるかも知れません。
    欲しいアドバイスがあったら、それも書いておくといいんじゃないかな。
    書きかけ晒してもイイヨ。

    書いてる作品がバレるとあれなので、応募してる人がアドバイス送る場合も匿名がいいかもね。
    まぁこのへんは自由裁量でよろしく。


      [No.1910] コットンガード 投稿者:   《URL》   投稿日:2011/09/23(Fri) 11:18:01     65clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    おまちかねのコットンガード。

    -------------------------------------------------------------------------

    <タイトル>
    「コットンガード」

    <テーマ>
    ・苦手な「起承転結」を徹底してみる
    ・とにかくテンポを意識して
    ・ママに当たるエアームドとの対比を入れる

    <起>
    ・ママに毛づくろいをしてもらうチルチルちゃん
    ・チルチルちゃんとママの羽の違い
     →実の親子ではないことをここで明示する

    <承>
    ・ママのようになりたいと願うチルチルちゃん
    ・が、チルチルちゃんはふわふわ羽でママは鋼の翼
     →少ししょんぼりする

    <転>
    ・公園を一人で散歩するチルチルちゃん
    ・そこへ突然上からクヌギダマさんが!
    ・慌ててふわふわ羽でガードするチルチルちゃん
     →ノーダメージで吹き飛んでいくクヌギダマさん

    <結>
    ・飛び跳ねるようにママの下へ帰るチルチルちゃん
    ・新必殺技「コットンガード」を披露する
    ・防御力が大幅にアップしたチルチルちゃんをうれしそうに抱きしめるママ
     →二人は立派な物理受けになってくれることでしょう

    -------------------------------------------------------------------------

    これでもなお完成稿で変更が入り、物理受け云々は(多分作風に合わないとの理由で)筆者コメントに移動されている。


      [No.1879] フタバスズキリュウ 投稿者:キトラ   《URL》   投稿日:2011/09/17(Sat) 23:09:24     38clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    「何が楽しいんですか石ばっかり」
    貴重な休日をこんな洞窟の奥に強制連行され、ユウキは皮肉をこめてダイゴに聞いた。アシスタントならハルカだってよかったはずなのに、彼女は上手いこといつも用事を作って逃げている。
    「古代のロマンがあるじゃない!たとえばこの地層は」
    「ああもういいです!!」
    のらりくらりとユウキの敵意をかわし、自分のペースにするのはダイゴの得意技。今も地層についての講義を始まるところだった。
    「そうかい。じゃあそこの道具をとって」
    「はいはい」
    下手に投げると後で物凄い嫌味を言われる。指定された道具をダイゴに渡した。
    「ありがとう。ほら、ユウキ君、めずらしいよ。全身の化石だ」
    地層の表面にあらわれたでこぼこ。ユウキにはただの岩にしか見えないが、よく目をこらせば全身の化石というだけあってなんとなく持ち主の輪郭が見えてきた。
    「これはラムパルドだね。こんな全身の骨なんか珍しいよ!」
    お祭りに来た子供のようなダイゴ。一層目を輝かせて、化石を眺める。
    「はぁ……」
    「この前なんかね、頭だけだったんだけど、それでも価値はあるって言うんだよ。そしたらどこで発見したのか解らないけれど違う化石と交換してくれたんだよ。いいよねえ、化石仲間って!」
    ユウキはもうダイゴを見てない。こうなったダイゴを帰らせるには時間がかかるからだ。早く帰りたいユウキはため息をつく。
    「それ全部掘り返すまで帰れませんよね。何日かかりそうですか?」
    「うーん、何日だろう。すっごく大きなラムパルドだよねえ。ああもう、今からワクワクする。もし新種のラムパルドだったら……」
    「新種?ラムパルドはラムパルドでしょ、新種なんているんですか?」
    ユウキの問いに、ダイゴの顔は引きつっていた。何を言ってるんだ君はというように。ユウキはあんまりダイゴの方を見ていない。
    「いるよ!ラムパルドだってたくさん種類がいてね、大陸に住んでいたのは」
    「ああ、解りましたからもういいです。どうせ何日も付き合わされるんですから、ゆっくり聞きます」
    「ユウキ君」
    さっきまでは打って変わってダイゴは静かな声だった。
    「君はフタバスズキリュウを知ってるかい?」
    「はぁ?なんすかそれ?」
    「恐竜だよ。もう絶滅した。なぜそんな名前なのか知ってるかい?」
    「知りません。興味ありませんから」
    「これは発見した高校生の名前だよ。周囲から絶対違うって言われていた石を自分を信じて化石を掘り進めた功績が名前になるということ」
    「はぁ」
    「自分を信じてなきゃ出来ない事だ。それに、フタバスズキリュウは存在を知らないまま埋もれていたかもしれない。僕はそういう埋もれた地球の歴史を知って行くのが楽しいんだ」
    いつにもないまじめなダイゴをユウキはじっと見ていた。反抗的な言い方もしないでただずっと。


    ーーーーーーーーーーーーーーー
    フタバスズキリュウのくだりはうろ覚え。
    のらりくらりな人が意外に夢を語る時はかっこよくみえる不思議。

    【好きにしてください】


      [No.1846] あるトレーナーがゴンべになっちゃったので日記をつけたお話 投稿者:荒塩飴@夏蜜柑(改名)   投稿日:2011/09/12(Mon) 19:46:27     35clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    こんにちは、僕は通りすがりのトレーナーです。だけども、ちょっとした出来事で僕はゴンべになっちゃったんです。え?肝心のゴンべはどこにいるかって?もちろん騒ぎが起こらないようにおうちにいます。僕と一緒にいます。 
    でもなんだか、ポケモンになるっていうのも悪くないかもと思ったりしてます。だって、こんなこと滅多にないですもん。


    ---一日目---
    今日は星と月の光がとても綺麗です。せっかくなので電気を消して、空の光で過ごしてみました。電気代の節約にもなるし、一石二鳥です。


    ---二日目---
    今日は雨です。そんな時は窓を開けておきます。なんで窓を開けるのかって?この家、雨漏りするんで濡れたっておんなじです。ボウルや鍋に落ちる水音が心地いいです。ついつい鼻歌を歌ってしまいました。


    ---三日目---
    今日は晴れ。窓枠に頬杖をついていると、どこからか声がします。おや、焼き芋屋さんですね。いいにおいです。焼き芋、食べたいなぁ・・・・・・。
    きっと明日は今日より晴れるでしょう。空にはふわふわ漂う綿菓子・・・おっとまたお腹がすいてきました。


    ---四日目---
    今日は風がそよそよ吹いています。窓を閉め、ぼんやりと外を眺めます。目と鼻が痒いです。花粉症のせいかな。ゴンべはぐうぐういびきをかいて寝ています。のんきだなぁゴンべは。今日もどこかで声がします。多分お花見とかの人たちの声です。お花見行きたいなぁ。
    明日は今日よりもっと晴れるだろう。笑っていれば幸せ。雨が降っても、傘をさせばいつもとおんなじです。これを読んでいる人も、風邪には気をつけましょうね。


    ---五日目---
    目を覚ますと、自分の体に戻っていました。うーん、なんだかいつもと同じような感じが。まあ、いいか。ゴンべは僕に寄り添って寝ています。ほんとに寝てばっかだなー、そこが可愛いんだけどね。         


    これで僕の不思議な体験はおしまい。もしかしたら君も、もう入れ替わってるかもね。


      [No.1815] その意外性に拍手! 投稿者:マコ   投稿日:2011/08/30(Tue) 11:26:41     43clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    スウさん、初めまして。
    マコと申します。

    最初、タイトルを見て、「酒に溺れた人が出るのかな?」とか思っていましたが、本文を見て納得しました。
    成る程、そういうアル中か、と。

    どのバージョンでも、私のパーティは、基本的に非伝説ポケモンばかりですが(600族は使うこともあります)、田ノ浦さんみたいに、アルセウスにこだわる人がいても、悪くはないと思います。
    ただ、敵に回すと、その変幻自在な立ち回りと伝説ポケモンならではの高い能力値に、悲鳴をあげる人が続出するでしょうね。

    なかなか考えさせられる作品で、面白かったです。


      [No.1782] 手芸屋『黒木綿』 投稿者:Teko   投稿日:2011/08/24(Wed) 17:34:19     80clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     ポケモン達の暮らす賑やかな村がありました。子供達が走りまわり追いかけっこをしていたり、井戸端会議が行われていたり……おやおや、お店から真っ青な顔をして飛び出してきたポケモンも。遅れて、お店の中から凄まじい声が聞こえてきました。あの彼に一体何があったというのでしょうか?

     さて、この村を離れ、木々に囲まれた北へ続く小さな道をだらだらと歩いていくと、あけた空間に出ます。小さな広場のようなものですが、柔らかな草が生え、小さな花が咲いています。お花畑とも草原とも言うことは出来ませんが、お昼寝をするのにはぴったりな場所でしょう。その空間を超えれば、道は森の中へと入っていきます。もっとも、入っていく人は多くありません。

     村の北側に広がる森――『黒い森』。不気味な鳥の声と、ざわめくモミの木々。昼間でも暗く、迷い込むと森の外へ出ることはとても大変です。村の子供達が外に遊びに行く際にかならず母親達はこう言います。「北の森には入ってはいけません」それがいってらっしゃいの挨拶のようなものでした。
     ですから、子供達はその森が恐ろしいと知っているのです。けれど、だからこそ入ってみたくなるのも確かなのです。毎年、興味本位で入っていって、戻ってこれなくなる子供が二、三匹はいるのです。大人たちでさえ森の中に入ったことのないポケモンのほうが多いのです。飛んで上空から探そうと思っても、あまりにも木々の葉が生い茂っていて、内部を見ることが出来ません。

     もし、あなたの友人が森から出てこられなくなってしまったら? そんなときは焦らないで『黒い森』出身の彼女の元へ行きましょう。きっと不満をぶつぶつといわれることでしょうが、大体は力を貸してくれるはずです。彼女はどこにいるかですか? お店にいますよ。もしかして、ご存知ありませんでしたか? あらあら、それはそれは――


     手芸屋『黒木綿』――それが彼女のお店です。

     
     『黒木綿』は村の端とも森の端とも言える場所にありました。要するに、本当にギリギリの境に建っていて、ある人は森に飲み込まれてしまうんじゃないかなんてことも言いました。
     そもそも、村と森の間にあるあけた空間は『黒木綿』を建てるためにひらかれた空間なのでした。しかし、店主である彼女はそんな陽の当たる場所は嫌だと言い張って、森に埋もれるような場所に店を構えたのでした。
     お店自体は小さいのですが、重厚なゴシック様式の建築であり、さらに壁いっぱいにツタの蔓がへばりつき青々と葉を広げていることもあってどうにも近寄りがたい雰囲気であることは間違いありません。人が住んでいる感じはするのですが、どこか幽霊屋敷のようなそんな気配があります。重そうな木で出来た扉には『黒木綿 布・糸材料 仕立て その他』と看板がかかっていました。その看板の下には『営業中』どうやら営業中ではあるようです。さっそく、中に入ってみ――おや、誰かやってきたようです。

     ぎいいぃぃぃときしむ音をたてて扉が開きました。中に入ってきたのは赤い身体に鋭い刃を持ったキリキザンです。
    「おい」
     誰もいない室内にキリキザンのドスの効いた声が響きます。聞いただけで背中がまっすぐに伸びてしまいそうな声です。どこかで聞いたことのあるような――いや、あれは人違いでしょう。飲食店がお客さんを外にたたき出すわけがありませんから。
     それにしても、室内には何の反応もありません。声一つ、物一つ動いた気配もありません。誰かがいるとは思えないほど、室内は静まり返っていました。
     キリキザンは顔を思い切り、しかめました。
    「営業中の看板出してるなら、仕事しやがれ!」
    「うるさいなぁ……まったく……寝てるのに……」
     どこかから声がしました。薄暗い室内ですが、色とりどりの糸や布が意外にもきれいに整頓されて並べられています。キリキザンはまわりを見渡しますが、誰もいる気配はしません。
    「出てきやがれ!」
    「前にいるでしょもぅ……遠視なの…?」
     そう言って、むくりと動いたのは、椅子に座っていたぬいぐるみでした。ただのぬいぐるみではなかったのです。それはジュペッタ――彼女こそがこの手芸屋『黒木綿』の店長です。
    「何の用だい……?」
     キリキザンは少し戸惑いました。いい仕立て屋はどこだと聞いてコータスに聞いて来たのに、ぜんぜん良くない。それもそうです。キリキザンはコータスの話を最後まで聞かずに飛び出してきたのですから。コータスはこういったのです。「仕立てなら『黒木綿』がいいですよ。―――……まぁ、いろいろアレなんですが……」
    「……。まぁ、そのだな、作業ふ」
    「ちょっと待ったああああぁぁぁぁ!!!」
     ドアを勢いよく開け入ってきたのは、キリキザンの相棒、コータスです。ぜいぜいと息を切らして、コータスは「ちょっと待って」と言いました。キリキザンは不機嫌そうに顔をしかめました。
    「今から頼むところだ。注文が終了してからにしてく」
    「だから、ちょっと、待って!ってば」
     いつもは穏やかなコータスの強い口調に驚いたキリキザンは少しの間声が出ませんでした。そんな中をジュペッタがただただ不機嫌そうに見ています。コータスはそんなジュペッタにぺこりとお辞儀をしました。
    「ま、また後日お邪魔します!!」
     「事情は後で話す。とりあえず今日は帰ろう」コータスはキリキザンに小さく耳打ちして、のしのしと歩き出しました。いつもは威勢のいいキリキザンもそんなコータスの珍しい態度にすっかり調子が狂ってしまい、ただ黙ってコータスについていきました。

     
    「全く、最後まで話を聞いてから動いてくれ」
    「どういうことか全然分かんねぇ。分かりやすく説明してくれ」
     コータスは大きくため息をついた。
    「……君に似てるなぁと思ってたけど本当だったんだね。……あのジュペッタさん腕はピカイチなんだけど、異常なまでにすごい頑固なんだ」
    「誰が異常なまでにすごい頑固だって?」
    「で、君なら、怒鳴り散らして「帰れ!」終わりなんだけど……あのジュペッタさんは違って……言わないんだ」
    「……?見上げたプロ根性じゃねぇか……だめなのか?」
    「それを発散するのに彼女は、商品作りで発散するんだ。糸で布を織り、糸と針で縫い合わせ……君のキャベツの千切りよりも、多くの作業がある。その作業一つ一つに君が吐き散らす怒りが詰まってる」
     キリキザンはようやくコータスの言おうとしていることがわかりました。気づいた瞬間に、背筋を舌でなめられたような強い悪寒が走りました。
    「あのジュペッタを怒らせて、物を仕立ててもらったやつらは必ず悪いことが起こるって噂だよ……病気になったり、事故にあったり、消息が不明になった者もいるらしい。彼女の恨みがこもってるって話……」
    「そ、そんな仕立て屋を教えるんじゃねぇっ!!」
    「う、腕は本当にすごいって聞いたから! ちゃんと彼女に作ってもらったものはどんなものよりもなじむし、使いやすいし、いつまでも使い続けることが出来るって聞いたから!」
    「でも……それって完璧にアウトかセーフしかねぇってことじゃねぇか……」
    「とりあえず明日は私が行きます……!」
     

     翌日。
    「駄目だった……」
     うなだれて帰ってきたコータス。

     翌々日。
    「もういかねぇよあんなとこよぉ!!」
     キレて帰ってきたキリキザン。

     翌々々日
    「うーん……」
     頭を抱えて帰ってきたコータス。


     キリキザンとコータスは悩みました。もちろん、「作ってくれ」では駄目なのです。けれども、下手にでても駄目なのです。いくらジュペッタをほめて、どれだけ欲しいかを言ったって、ジュペッタはますます不機嫌になっていくばかりなのです。
    「もう、アレはあきらめたがいいんじゃねぇのか」
    「う、うーん……」

     頭を抱えるキリキザンたちを物陰から見つめるポケモンが二匹。小さな彼らは、精一杯背伸びをして、キリキザン達の会話を盗み聞きしていました。下にいた黒い影がすすすすと店の外へ出て行きます。それに緑の小さな影が続きました。

    「うーん……どうしようもないかなぁ……キリさんが駄目なのはそもそもだけど、コータスさんが出来ないなんて……」
     そう言ったのはカマドという名前で呼ばれているヒノアラシです。彼はキリキザンのお店でコータスの弟子のような存在です。いつもは元気一杯ですが、今日ばかりはその元気もどこか空の向こうに飛んでいってしまったようです。
    「私、行って……こよう、かな」
    「レタスが!?」
     レタスと呼ばれているのは小さなチュリネです。幼い頃に、母親と別れてしまいその母親を今でも探しています。ただ、非常に恥ずかしがり屋というか内気な性格なので、物事には引っ込み思案でした。
     だから、今回のような出来事に自分から行くとレタスが言ったことに、カマドは非常に驚いたのです。目を丸くしたカマドの前で、レタスは恥ずかしそうに顔を赤くしました。
    「どうしてそんなに驚くの……?えっ、わ、わわわ、キゃーーー!」
    「あっ、ちょ! レ、レタス!?」
     カマドが声を発するよりも早く照れてしょうがなかったレタスは遠くへと消えていきました。あいつも、昔に比べてかわったぁなんてことをカマドは考えつつ、レタスの行く方向へ走っていくのでした。


     とんとん、とんとん。
    「しっ、失礼します!!」
     小さなレタスは力をこめて、扉を押しました。薄暗い室内に佇むジュペッタの赤い目の光だけが動き、ぎろりとレタスを睨みます。
    「こ、こんにちは……」
     ふんと鼻を鳴らして、ジュペッタが椅子からひらりと飛び降ります。長い時をを経た床板が軋み、不気味な音をたてました。レタスは小さく悲鳴を上げました。足が動きません。怖いのに逃げれません。来なきゃよかった、そんな考えがレタスの脳内に過りました。
    「わっ、私レタスって言います! キ、キリキザンさんの『切り切り亭』で働いてます! あのっ……」
    「あぁ、アレの……こんな小さい子を働かせてるって言うのかい…あいつは……」
     レタスはぶんぶんと首を横に振りました。
    「ちっ、違います! 私が働かせてくださいって頼んだんです! キリさんは悪くな――」
    「どうして」
     レタスが言い終わらないうちにジュペッタは尋ねました。
    「どうしてあの場所で働いてるんだい」
     その口調は今までのジュペッタになかったきっぱりとしたものでした。
     レタスはジュペッタのその口調の変化にさらに縮みあがってしまい、さらに動けなくなってしまいました。でも、逃げちゃ駄目だ。大きく息を吸い、少し真を置いて、レタスは話し出しました。
    「――お母さんを探しているんです。私のお母さん、この村に昔いたドレディアの――」


    「あれは何……だろう?」
     レタスを追いかけてやってきたカマドは、『黒木綿』の横で不思議なものを見つけました。店の隣に備え付けられている小さなテントのような建物の下には、色とりどりの布が干されています。そして、その下でちょこちょこと動くとんがり帽子のようなもの。とんがり帽子はミルクティーのような穏やかな茶色で、レースがたくさん縫い付けられていました。
    「帽子……かなぁ?」
     でも、動く帽子なんて変。カマドはそっと帽子に近づました。すると、とんがり帽子はくるっと振り返り
    「わ、わわわっわわぁああ!」
     カマドは驚いて腰を抜かしました。とんがり帽子だと思っていたそれは、素敵なカバーをかぶったパラセクトなのでした。
    「……客?」
    「う……うん」
     パラセクトはちょこちょこと動いて、水の入った鍋が乗っている釜戸のほうへ歩いていきました。
    「あ、あの……」
    「客……店中……入る」
     端に積んである牧の山から、細く短い木の束を持ちだし、空っぽの釜戸の中に全て投げ込みました。そして、その木々に火をつけようと火付け石をかっちんかっちんやるのですが、うまくいきません。何しろパラセクトは火が大の苦手なのです。おそるおそる火をつけるのが習慣になっていました。それを見かねたカマドは口からいくつかの火花を出して、その木々に日をつけてあげました。
    「火……嫌い、助かる」
     パラセクトから感謝されたカマドは、照れくさそうに「えへへ」と笑いました。
    「僕、カマド! 『切り切り亭』で働いてるんだ」
    「あのポケモン……所。パラセクト……布糸……草木で染める……」
    「あの、布は全部草と木から出た色なの!?」
     カマドは目を丸くして、聞きました。ピンク、赤、青……あの様々な色が全て、草木から出ている色だなんて信じられませんでした。
    「左から、桜……紅花……――」
     パラセクトは少し戸惑いながら答えました。今まで、自分に自己紹介をしてきたポケモンなんていなかったのです。いや、二人だけいました。初めてあったときのジュペッタと昔の知り合い。それ以外のポケモンとまともに喋ったことも関わったこともなかったのです。『黒木綿』を訪れるポケモンの相手は全てジュペッタがやってしまっていましたし、パラセクト自体もあまりに無口なこともあり、ジュペッタ以外に関わったのは本当に本当に久しぶりのことでした。
     カマドに染色のことを話していくと、彼はちょっとしたことでも、すごく感心して大きく反応しました。それも、わざとらしいものではなく、本当に心から驚いているようでした。
     そうなると、パラセクトも嬉しくなって、普段は喋らないようなことをどんどん話しました。



    「ほぅ。そのドレディアを探すために働いてるって言うのかい」
    「は、はい……で、でも今はそれだけでもなくて」
    「なくて?」
    「あの……お店で働きたいって思ったから」
     レタスは言いました。今までのようにうつむいてではなく、ジュペッタの眼を真っ直ぐ見て言いました。
    「……そうかい」
     ジュペッタは大きくため息をつくととてとてと歩いてチェストの引き出しを開けました。中には細々とした針やボタンが入っています。その中に一本入っていた様々な緑色の糸でできた束――。
     昔、よく来た彼女。美しい容姿に、艶やかな花を身につけていた彼女。彼女の草木に対する知識は大変すばらしいものでした。全ての草木を愛し、太陽のような明るいオーラを持っていました。


     ――もう、随分前のことになるのか。
     ――あれは。

    「うわっ!……あ、あの、これは……?」
     数本の糸で複雑に編まれた一本の緑色の糸。レタスはその糸を手に、不思議そうな顔でジュペッタを見つめました。
    「ドレディア一族のお守りなのだそうだよ。もっとも、わたしゃ知らんがね」
    「ドレディア……!?」
    「この編み方を私が教わったときに、見本としてそのドレディアが置いていったもの……指が編み方を覚えたときには、見本は不要なものとなる。……ドレディア一族のお前が持ってきな」
     ジュペッタはぶっきらぼうに、吐き捨てるようにいいました。けれど、その言い方はどこかひっかかりのある、わざとらしいものにも見えました。
    「ちょっと待ってください! そのドレディアってわた――」
    「さあ、さっさと帰っておくれ。それをやったんだ。帰ってくれ」
    「私のお母さんのこと、知って――」
    「はやく!」
     

    「はやく、帰っとくれ」


    「ジュペッタさん……」



    「この赤色はキリさんみたい。情熱って感じで……あ!この黄色はコータスさんって感じ! 黄色だけど、どこか落ち着いてて――それから」
     勢いよくドアの開く音とともに、飛び出してきたのはレタスでした。いつもの
    レタスにはありえないスピードで走っていきました。
    「レタス……? ちょっと、僕もいきます! パラセクトさん、また!」
     小さなレタスを追いかけて走っていくカマドの後姿をパラセクトはただ黙って見送りました。
     穏やかな風が草原を撫でるように、吹いていました。


     夜になりました。『黒木綿』の光は夜遅くになってもまだついていました。それもそのはず、店主のジュペッタは夜行性なので、ほとんどの作業を夜にやってしまうのです。
     こんこん。
     ひかえめなノックの音にふりむくと、そこにいたのはジュペッタの予想通り、パラセクトでした。
    「なんなんだい、パラゼン」
     ついでにいえばパラセクトも夜行性です。といっても、干したりはお昼にしか出来ないので、夜は基本的には何もしていないはずなのです。
     パラセクトはかんそうはだなのでいつもジュペッタの作ったカバーを被っていました。特に何もないときは、レースやボタンといった飾り物のついたカバーを被っています。しかし、今日のパラセクトは作業用の麻で出来た質素なカバーを被っていました。
    「……珍しいねぇ」
    「……」
     ジュペッタは目を細めました。パラセクトが他人に関わることですら珍しいというのに、他人のために何かしたいと思ったことなどなかったのです。そのパラセクトが今日会った、小さな子供にものを作ってやりたいというのです。
    「……分かったよ、分かってるよ」
     もともと、パラセクトにいわれようがいわれまいが、ジュペッタは作るつもりでいたのです。

     ――返せなかった借りを、返す機会。


     数日後。

    「今日こそは、ドカンと言ってやるぜ……」
    「ダメだよキリさん……!」
     
    『切り切り亭』では今日も、キリキザンとコータスが『黒木綿』に行こうとしています。 
     いい加減、我慢ができないキリキザンはいつも以上にキリキリしています。『切り切り亭』だけに、ですね。
    「くそ!! あのジュペッタ野郎めっ!!」

     バタンッ!

    「……ジュペッタ野郎で悪かったねぇ」
    「……」

     ドアを開けた先にいたのは、ジュペッタとパラセクトでした。
    「なっ、なんでここにいらしてるんですかっ……!?」
     半ば混乱状態のコータスが尋ねました。もちろん、顔を真っ青にして。
     立ち尽くすキリキザンの手にジュペッタは強引に籠を押し付けました。
    「こっ、これは……!?」
    「頼まれてたもの、お代はいらない、恨んでない」
     そう言うとジュペッタはくるりと背を向けて歩き出しました。後にパラセクトが続きます。
    「あっ、あの、ありがとうございます!!」
    「礼、あの子達、……言う、よし」
     あの子達? とコータスは不思議に思いました。あの子達といわれて思い浮かぶのは、カマドとレタスです。しかし、あの子達が何かしたなんて聞いていません。
     そのとき、店の奥からその二人が飛び出してきました。
    「こら!仕込み中だろう!」
    「パラセクトさん!」「ジュペッタさん!」

    「「ありがとうございます!!」」

     ジュペッタは振り返って頭を下げる二匹を見て、言いました。
    「いい弟子をもったねぇ」
    「あ、あぁ」
    「うらやましい限り……さ。パラゼン帰ろう」
     ジュペッタはそう言って笑いました。けれど、朝日に照らされたその笑顔は少しだけさびしげにも見えました。パラセクトは相変わらずいつもどおりでした。


    「いらっしゃい!」
     今日も『切り切り亭』は大賑わいです。真っ赤な前掛けをかけたキリキザンが、自慢の刃を振るいます。小さなチュリネも同じように前掛けをかけています。その前掛けはよくチュリネに似合った桃色でした。その桃色の前掛けの紐の部分に編まれた緑の糸が揺れています。
     熱い厨房内で、火を操る二人、コータスとカマド。彼らの汗の光る額には、鉢巻が巻かれています。コータスは黄色、カマドは青色。
     どれも、しっくりと似合った色でした。この色以外にこれ以上似合う色がないといえるほど。

     ――パラセクトさん、僕が言ったこと覚えてくれてた。

     あれは僕が選んだ色。そう思う度、カマドは誇り高い気持ちになりました。


    ――――――――――――

     御昼時。
     黒い森の端。
     御客は誰も来ない。
     蝋燭の火の揺れる室内。
     ロッキングチェアの揺れる音。
     とんがり帽子の黒い影。
     ただ廻り廻る糸車。
     村の手芸屋。
     黒木綿。




    黒木綿のBGMイメージ
    http://www.youtube.com/watch?v=pnfX09LLszA






    【あとがき】

     思ったより長くなりました。途中で筆が進まなくなってるのがバレバレですがゆるしてください。
     パラゼンさんがお気に入りです。

     あと、トンカツ食べてなくてすみません。
     あとはイケズキさんに投げますよろしこ!

     こんなんですむいません

    【何してもいいんだぞ】


      [No.1749] 災難の後日譚 投稿者:マコ   投稿日:2011/08/14(Sun) 22:13:06     67clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    リアジュウさんが吹き飛ばされた日の夕方のニュースです。


    「それでは、続いてのニュースです。」
    女性キャスターが冷静に原稿を読み始めました。
    「今日のお昼ごろ、海水浴場で襲撃犯が女性トレーナー所有のラグラージに吹き飛ばされました。そして、吹き飛ばされた方は道路に刺さった状態になりました。」
    (映像として、ノックアウトされて転がっているマルマインと、道路に頭から刺さって犬●家の一族よろしく足しか出ていないリアジュウさんが映る)


    足しか出ていないリアジュウさんを、通りすがりの人がカメラ撮影しています。
    「何これ、ウケるんだけど!」
    「足だけ星人じゃん、こいつ!」
    その人達の連れているランクルスがサイコショックやら雷、気合い玉やらを足にぶつけまくっていました。



    ほとぼりが冷めて、誰もリアジュウさんの方に目を向けてくれなくなりました。
    「うう……、夏もリア充も大っ嫌いだ……。」
    何とか自力で抜け出して、そして足をヒョコヒョコ動かして、家路を急ぐのでありました。



    翌日、足だけ出したリアジュウさんの動画が、ニッコリ動画やPikaTubeといった動画サイトで100万回以上再生されたとか。




    マコです。
    ようやく後日譚を書きました。長かった……。
    かわいそうな、リアジュウさんです。
    【書いてもいいのよ】
    【描いてもいいのよ】


      [No.1718] とある夏のカレーより 投稿者:moss   投稿日:2011/08/09(Tue) 01:26:22     57clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    道端でであった、白い子犬みたいなソイツ。
    断然猫派である私は、それを見たとき「うわ、犬かよ。ってかなんで犬が道端に転がってるんだし」と、
    顔をしかめて通り過ぎようとした。
     が、そのときであった。
     私は見てしまったのだ。
     その白い子犬の腕に、羽が生えているのを。
     気になった私は子犬の隣で足を止めた。しゃがみ込むと、ゆっくり観察する。
     ふさふさの白く艶やかな毛並み。メガホンのような形をした尻尾。両耳からつながる二つのたてがみ
    は、地面にへばりついているためぺたりと垂れている。
    よく見ると、やはり両手にはその体躯に似合わぬ翼がついており、そこから鋭い爪が覗いていた。
     じぃと見つめているとその視線に気付いたのか、ソイツはうっすらと目を開けた。
    吸い込まれるような深い蒼色だった。
     見惚れる私にこう言った。

    「腹減った」

     その後、私がソイツを抱えて家まで走ったのはいうまでもない。
     そのときの季節は丁度夏だったので、家に着いたころにはもう汗だくだった。髪の毛もプールに入っ
    た後みたいになってた。おかげで次の日くらいに背中に汗疹ができてそれはもう、かゆかった。
     これ以上無いというくらいのスピードで靴を脱ぎ捨てキッチンに向かう。
    そしてそこに置いてあった昼ごはんの夏カレー、冷たくて暖めないでも食べられる夏限定のインスタン
    トのキーマカレーを少量やったところ、素晴らしい速度で平らげた。
    口の周りを盛大に汚していて、まぁそれはそれで可愛かったのだけど。
     満足そうな表情を見せるソイツに、私はとりあえず一番気になっていたことを聞いてみた。

    「君は誰?……」

     くわぁと欠伸をした。見た目に反して鋭い犬歯がちらりと覗く。
     子犬は気だるげに答えた。

    「知らない。でもずっとこう呼ばれてた。“レシラム”って」

     そこで始めてソイツがドラゴンであることを知った。



     
     ただいまが言えるってことはいいことだ。あとおはよう、おやすみ、いってきますも言えたらいい。
    一人が寂しいわけでもないけど、何か、こう、一人だと足りないものがある。
    まだ世間を知らない子供の私が言うのもなんだが、それでも家に帰って誰もいないのは、夏でも体の何
    処かが冷える気がするのだ。

    「ただいま」

     玄関を開ける。

    「おかえり」

     低いような、学校でよく聞く声とはまた違った響きをもつ独特な声が私を迎える。
    そして、とことこと廊下を走ってこちらに走ってきた。傍らにはちょいふとめのブラッキー。
    通称でぶらっきーのルゥくんである。

    「飯、はやくな。腹減った」

     であったころと全く変わらない大きさで同じ言葉を言い、すたすたと奥に戻っていく。
    ルゥが足元に擦り寄ってきた。丸い瞳が可愛らしい、というか猫すぎて困る。もう十分なおじさんな年
    であるが、まだまだ可愛い。

    「さてしょうがない。お昼食べようか。私もお腹が空いたんでね」

     ルゥが離れる。私はすぽすぽと靴を脱ぎ捨てる。この癖は急いでてもそうでなくても変わらない。
    幼いころからの癖だ。スリッパを履いて歩き出す。途中で自分の部屋に寄り、学生鞄を放り投げる。
     蝉が騒ぎ始めたこの季節。とにかくじめじめしていてねっとりと暑さが体に纏わりつくような不快感
    がひどい。去年とはまた違った暑さだなとしみじみ思う。暑い。
     リビングにつながる畳の部屋でむさ苦しい制服を脱ぐ。そのままの姿で扇風機の前に行く。

    「すーずーしーぃ」

    「変態。何やってんだ。早く服着ろ、そんで飯」

     あー、とかワレワレハウチュウジンダ、とか言っていたら睨まれた。 
    うるさいなぁ。少しぐらい涼ませてくれたっていいじゃん。こっちは部活帰りで暑いんだよ。
    そう目で訴えたが一瞥されただけだった。仕方ないので扇風機から離れてパジャマ代わりに今朝着てた
    赤いワンピースをすっぽり被る。あちぃーと文句を垂れながら洗面所へ向かう。
    そこで適当に髪を束ねて、よし昼ごはんの準備をしよう。
    といってもたいしたことは何もしないのだが。
     キッチンへ移動し、流しにおいてあるラップされた皿を手に取り電子レンジの中に突っ込む。ぼん。
    そんなに温めなくても平気かなと思い、直感で一分にセット。そのあいだに扇風機に当たりに行く。
    あー、やっぱり冷房より扇風機のほうがすずしーとか、絶対冷房のある場所に行ったら撤回する発言を
    し、そういえばあいつらはどこに行ったのかと部屋の中を軽く見回す。
     空腹で不機嫌そうに窓際で寝そべるソイツを見つけた。
    そんなところにいたら暑くないか?と疑問に思う。
    そしてでぶらっきーがいないと目を走らせる。さすがこの家の年長者ってほどでもないけど。
    なんとまあ以外なところに潜んでいた。こないだ親が買ってきた水のダンボール箱の中だった。
    果たして涼しいのだろうか? 彼らの考えることは私にはわからない。
     チーンと電子音が鳴った。彼らの耳がぴくりと動く。暑さでだれていても、飯のことだけは忘れない
    ようだ。
     扇風機から名残惜しくも離れ、電子レンジから皿を出す。
     そして流しの上に再び置くと、カレーのルーを温めずにそのままかける。
    これぞ夏のカレー。キーマカレーなのである。
     臭いにつられた者たちがやってくる。はいはい。そんな這い上がったゾンビみたいな顔をするなよ。
    怖いよ。空ろな目で見るな、こっちを。
     彼ら専用の食器を並べ、みんなが平等になるように慎重に盛っていく。この集中力を受験勉強に使っ
    て欲しいと誰かに言われる。誰だっけなー?

    「はいできた!」

     とてつもなくきれいに盛れた三人分のカレー。我ながらすごいと思うよ、うん。写メでも撮りたかっ
    たが、ゾンビみたいな顔をして見上げてくる彼らを見ればせざるおえなかった。
     せっせと食卓の上までそれらを運ぶ。すでに彼らは指定の位置にお行儀よくお座りしている。
     さて、おまたせいたしました。

    「じゃ、いただきまーす」

     三者一気にがっつき始める。一番ぼたぼたとこぼすのがルゥで、口の周りを汚しながら食べるのが
    ソイツ。私はスプーンでお上品に食べます。嘘です。

    「ルゥ、ぼたぼた垂らしてるよ。あと――」

     そう言いかけて思い出した。コイツとであってから、もうだいたい一年たったのか。
    あのとき名前を聞いて無いと言ったから、家に帰ってから一晩中名前に悩んでやっと、次の日の昼に
    付けたんだっけか。

    「――シャル! 口の周りが汚い。どうにかして」

     そして一年前もこんなことを口にした気がする。
     本名はシャルレット。長いから略してシャル。意味は無い。

    「ほっとけっつーの、どうせきれいに食えないんだから。なー、ルゥ」

     ぶにゃーと肯定したように鳴く。
     蝉の騒ぐこの季節、暑さを凌げるのはこの何気ない日常であったりする、かも。
     少しピリ辛なカレーを頬張りながら、一昨年はルゥと二人っきりだから、こんなふうに喋って過ごす
    とこなんてなかったなぁ。ルゥは喋れないし。

    「おかわり」

     器を差し出す真白き片翼に、ねぇよと一言。

     さて、こんな受験真っ只中な作者でありますが、どうぞよろしくおねがいします。




    【何してもよろしいですわよ】
    ―――――――――――――――
    はい。ほんとはちゃんとした短編を書くつもりだったのですが、はい。
    何をしたのか、何故かこんなのになってしまったです、ごめんなさい。
    しかも深夜に書いたので意味が不明すぎる。
    モデルはうちのでぶ猫と空想の産物です(爆)


      [No.1685] 冷蔵庫を開けるとそこは 投稿者:音色   投稿日:2011/08/03(Wed) 23:57:40     103clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     レクイエムだった。
     ・・え。
     ええ。
     えええええええ。

    「すいません間違えました」
    「お客様、何をお間違えになりましたか?」

     目の前にはヨノワールのコスプレ(?)をした店主が立っている。
     うん、間違いない。紅い文字でドアノブにかかっている看板はかの有名な『cafe requiem』のものだ。
     ・・。なして俺はこんなところにいるのだ?

     だって俺は、冷蔵庫のドアを開けたはずなんだぞ?

     さっきまでの行動を振りかえろう。
     俺は自分の部屋でベッドでゴロゴロしながらDSでブラックをだらだらとプレイしていたはずだ。
    「ちょ、急所ないだろ!」とか「暴風当たりすぎなんだよはずれろぉぉ!」とか叫びつつ、のどが渇いたなーと一旦閉じてリビングの冷蔵庫にお茶を取りに行ったんだ。
     そして冷蔵庫の扉に手をかけた。
     開けた。


     ・・だからどうして俺はこんなカフェに入ることになったのかまったく意味が分からないんだが。
     大体格好が部屋着だよ。Tシャツに半ズボンだよ。おまけに財布なんか持ってるはずがないよ。
     もちろん、裸足。だって、部屋のなかを靴で歩きまわるってここはアメリカではない。日本だ、俺の住んでるところは!


     だもんで、パニック。どうしようマジでどうしよう。
     いつの間にかカウンターに座ってるし目の前にはサービスで出された珈琲もあるし。
     これはあれか。
     飲めってか。
     ・・・飲めってことだよなぁ。

    「あ、私のことはマスターとお呼びください」

     ならばマスター。頼むから疑問に思ってくれ。
     こんなわけのわからない人間を速いところ投げ出してくれ。

     つづけ

    ―――――――――――――――――――――――――――――――――
    余談 何処かで見たことあるノリだと気付いた貴方はうふふですよ。

    【久方様、ごめんなさいお借ります】
    【続いて欲しかったら拍手ちょうだ(殴】←冗談です


      [No.1654] もう何もこわくない 投稿者:紀成   投稿日:2011/07/28(Thu) 17:16:28     59clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    『その六枚の〜』とは打って変わったイメージに思わずコメントを残そうと思いました。なにこれすごい


    > 「なんだいモノ太君、さっきから耳障りだよ騒がしい」
    > 「わあぁぁーーん!わあぁぁーん!」
    > 「一体何があったって言うんだい」
    > 「アイアンにいじめられたよぉ!」
    > 「あのアリさん? そんなのいつものことじゃないか」
    > 「わああぁーーーん!アイアンをぎゃふんと言わせられるような技を教えてよぉ!!」

    一瞬誰かと思ったが読んでみれば分かるネタ。しかし語呂が良すぎて笑う

    > 「サザンドラえもん!」

    語呂悪っ!(笑


    > 「じゃあ、やっぱりこれじゃない?『か み く だ く』」
    > 「考えてよサザえもん! 相手はアイアンだよ? あんな鋼の体に噛み付いたら僕の歯のほうが折れちゃうでしょ!? 結果的に僕がダメージ食らうよ!」

    本家と違ってそこらへんの知識はある主人公。まあ仕方ないね…ポケモンだからね…

    > 「その前に物理攻撃は無理だよ……僕、命中率悪いもん」
    > 「コンタクトいれればいいじゃないか」
    > 「そういう問題じゃないよ!」

    わけがわからないよ!

    > 「うーん、じゃあ『ほ の お の キ バ』」
    > 「人生やり直せって言うのか!」
    > 「あ、そっか。うーん……もうないや」
    > 「もうないの!?」
    > 「全く君というやつは……そんなことをしてる暇があったらさっさと宿題して、ジヘッドになったらどうだい」
    > 「うっ……」

    突っ込みに定評のある主人公。宿題すれば進化できるのか…ああ、経験値ってことか。
    じゃあ脳みそ筋肉のサイホーンは大変ですね!

    > 「拙者……貴様に恨みはないが、ここであったが運の尽き。くらえ火炎放射!!」
    > 「ぎゃあああああああああああああああ」

    『ご臨終です』チーーン

    >  チャンピオンロードは今日も平和です。

    平和すぎてヤバイ気がしますが。


    > なんだこれ 
    > 頭に蛆でもわいてるのか?夏だからか?
    > とりあえずはサザンちゃんブームです

    育てるの大変ですが私も好きです!

    [もっと書いてもいいのよ]


      [No.1623] 同じ “好き” と違う “嫌い”  投稿者:ふにょん   投稿日:2011/07/21(Thu) 15:45:05     65clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     同じ世界 違う時間
     同じ物 違う物
     同じ気持ち 違う気持ち

     楽しい 悲しい うれしい さみしい
     受け取る気持ちは同じでも
     感じる重さはそれぞれ違う

     同じ好きだと言う気持ち
     違う好きだと言う気持ち
     同じ嫌いと言う気持ち
     違う嫌いと言う気持ち

     あなたは何が好きですか?

     かわいいところ? かっこいいところ?
     柔らかなところ? つやつやしたところ?
     炎のように熱いところ? 氷のように冷たいところ?
     草のように爽やかなところ? 水のように美しいところ?
     ただただ好き…………それもいい
     
     好きがあるなら嫌いもある
     自分は好きでも他人は違うかもしれない
     
     あなたはどんなところが嫌いですか?

     怖いところ? 弱いところ?
     ぬめぬめしてるところ? どろどろしてるところ?
     炎のように暑苦しいところ? 氷のように寒いところ?
     草のように青臭いところ? 水のように暗いところ?
     ただただ嫌い…………それもある

     同じ物でも 同じ生き物でも
     同じポケモンでも
     感じかたは人それぞれ

     “思い” と “想い”
     “喜び” と “悦び”
     “悲しみ” と “哀しみ”
     
     同じようで 同じでない
     同じでないようで 同じ
     

     “違い” の数だけ “同じ” があって
     “同じ” の数だけ “違い” がある
     
     “好き” の数だけ “嫌い” があって
     “嫌い” の数だけ “好き” がある
     ………でも “嫌い” だけで終わらせないで
     すこしでも “好き” な所を探してあげて……

     それが、今できる、最初の一歩だから
     すべてを “好き” になれと言っている訳じゃない
     “嫌い” なところがあってもいい
     ただ 全てを嫌わないでほしいだけ…………

     あなたはどんなところが “好き” ですか?








    ___________________________

     急に書きたくなって………
     それとなーく意味を理解してもらえれれば充分です
     最近何にも好きになれないやつがこんなこと書いてていいのか
     これは自分へのメッセージかもしれませんね

     では、こんな意味不明な文章読んでくれてありがとうございました



    [書いても描いてもいいですよ]
    [意味不明ですね]
    [スランプ中みたいです]


      [No.1592] 【百字】あの子とアイス 投稿者:ピッチ   投稿日:2011/07/13(Wed) 20:14:50     41clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    アイスクリームを買って帰る。
    家で待ってるあの子のために。

    アイスクリームをあの子と食べる。
    アイスが二つなくなった。

    喜ぶこの子を見て思う。
    これって共食いなのかなあ。

    真夏の夕暮れ。
    アイスを食べるバニブッチ。



    ――――
    初期案のアイスはスイカバーでした。好きなんです。


      [No.1561] 加速型 投稿者:スウ   投稿日:2011/07/09(Sat) 00:10:38     69clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    最近WiFiにこってる妻が憤慨してこう言った。
    「また負けたわ! 加速バシャーモってあれ絶対に反則よ!」
    彼女の旦那がそれに答えた。
    「いやあ、へそくりを隠すお前の早技と比べたら、まだまだどうって事ないよ」


      [No.1530] 「……俺は?」 投稿者:音色   投稿日:2011/07/07(Thu) 23:44:56     62clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    「君達はどんなポケモンが好きかい?」
    「ボクはヤナップが良いなぁ」
    「わたしバオップが良い!」
    「俺はそうだな、ヒヤップが欲しい」
    「ははは、みんなお猿さんが好きだなぁ」  マンキー(・・・)オコリザル(・・・)



    ※100字


      [No.1499] 暈すのも一興ですね 投稿者:クーウィ   投稿日:2011/07/07(Thu) 18:47:41     59clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    きとらさん、西条流月さん、感想有難う御座います。・・折角コメントを頂いたと言うのに、お返事が遅れて申し訳ないです・・・(汗)


    > きとらさん

    キャンプは良いですよねぇ。・・・でも、実は自分は殆ど行った事無いっす(爆  汗)
    野宿の経験は結構あるのですが、テントや寝袋を持って泊まりを目的に出かけると言うのは、あんまり無い。 嫌いとかじゃなくて、純粋に機会が少なかったですね・・・(寂)

    昔は、周囲がそう言う経験を語る度に、羨ましいと思っていたクチです。・・・その反動か、漂泊の旅が大好きになりました(苦笑)
    ポケモンの世界観がすごく羨ましく見えてならんです。


    > 西条流月さん

    タイトルのとおり、余り多くを語らないのも良いかなぁと思いまして(苦笑) 
    百文字小説は、個人的に『詩』にも通じる所があるかなと思っとりますので、あえて俳句や短歌にも使われる表現を用いてみました。・・・頭空っぽなので、字数やリズムを合わせるのに苦労しましたが(苦笑)


    ではでは・・・!

    【この波は実に素晴らしいのよ】

    【鶏さん、流月さん、タテタさんに感謝!】


      [No.1468] 危険な世の中になったものだ…… 投稿者:   《URL》   投稿日:2011/07/06(Wed) 18:19:09     62clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    いや、前からか。

    「無事で何より」の連発が心憎い。先生、返事が面倒みたいに見えます! 先生は先生なりにがんばっているんでしょうけど。

    「注意するポケモン」のプリントは一体どれだけの量があるのか……。
    でも、きっと子供らは先生が配ったプリントなんかちゃんと読んでないんだろうな〜。


      [No.1437] whale song 投稿者:キトラ   《URL》   投稿日:2011/07/05(Tue) 21:25:39     77clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     ハルカは目を覚ました。夜中だというのに、なぜか目がさえて。船のエンジンは静かに動いているというのに。夜風に当たろうとハルカは甲板に出て行った。
    「うわぁ・・・。」
    満月の海。真っ黒の海の中に波間が見え、そこだけ白く照らしている。風はそんなに強くない。
    「きれい・・・。海ってこんなにきれいなんだ・・・。」

    ふぁーーーーーーーん

    「あれ?何かきこえ・・・。」
    船の横を大きなホエルオーが飛んだ。ホエルオーの鳴き声だ。黒い海を船とぶつかりもせず、遊ぶようにして飛んでいる。

    ふぁーーーーーーーーーーん

    さっきよりも長い鳴き声で、ハルカを呼んでいるようだ。
    「ホエルオー!?私と勝負するー!?」
    その言葉を理解したか、ホエルオーは海へと潜り、見えなくなった。
    「なんだ、勝負したいんじゃないのか・・・。野生のポケモンってみんな自分を大事にしてるんだな。」

    ふぁーーーーーーーーーーーーーーーん

    「まだいるの?いじめないから出ておいで!」
    再びホエルオーが顔を出す。今度は船尾の方に。ハルカはデッキを走る。
    「遊ぼう!夜の海くらい遊べるよー!」
    船の作る波を受け流し、ホエルオーは再び鳴く。深く、そして低い鳴き声。ユウキのホエルコを見せてもらった時とは違う、野生の鳴き声。闇に入ろうとして、手すりに足をかけた瞬間、ハルカは後ろから抱きかかえられた。
    「こら、ハルカちゃん、危ないじゃないか。」
    「あ・・・ダイゴさん・・・。」
    「夜の海に落ちたら、危ないんだよ。いいかい、まず見つからないから死んじゃうかこのへんのサメハダーに食べられちゃうかなんだ。」
    「・・・はーい。」

    ふぁーーーーーん

    「あ、まだいる・・・。」
    「ホエルオーかい?」
    「うん、そうみたい。さっきから1人で船のまわりにいるよ。」
    「・・・仲間を探してるんだね。」

    ふぁーーーん

    「仲間?」
    「そう、ホエルオーは群れで暮らすポケモンなのに、一匹だけ、船のまわりをまわってるなんておかしいだろ?」
    「あのホエルオー、1人なの?」

    ふぁあああああああん

    「そうかもしれないね。」
    ダイゴはホエルオーを見つめていった。
    「かわいそう・・・パパもママも、お姉ちゃんとかお兄ちゃんもいないのかな・・・。」
    「分からないな、野生だからね。」
    「寂しくないのかな・・・。」

    ふぁーーーーーーーーーん

    「寂しいと思うよ。だから、ああやって仲間を探してるんだ。」
    「友だち、船じゃなくて早く見つかればいいのに・・・。」
    夜風がハルカの髪をさらう。
    「そうだね。」
    「かわいそう・・・。」

    ふぁーーーーーん

    「ハルカちゃんは優しい子だね。」
    「え?なんで?」
    「他人の痛みが分かる、優しい子だよ。」
    「分からないよ。ホエルオーは・・・私と同じだから・・・。」
    「なぜ?」
    ホエルオーの声が遠くに行った。それでもまだ低い声は聞こえる。
    「私は・・・ずっと1人だから。」
    「なんで?お父さんは?ユウキ君は?」
    「ユウキ君は・・・違うの。お父さんも・・・ダイゴさん、あの・・・お父さんは、本当のお父さんじゃないの。」
    「え?それは本当なのかい?」
    「・・・・うん。この前、初めて知っちゃった。戸籍が必要でね、それで、お母さんに聞いたら、本当のパパとママは交通事故で死んじゃったって言ってた。それで知り合いだったパパが引き取ってくれて、でも、その時はまだトレーナーだったパパが子どもなんて養えるわけなくて、パパは家にいなかったよ。それでも私はパパとママの家族が好きだったの。」

    ふぁーーーーん


    「本当の家族だと思ってたの。でも、違うの。ダイゴさん、あのね、私ね、時々、この世で1人だと思うの。なんでか分からないけど、パパも、ママも、誰もいないように思うの。誰かに頼りたいのに、誰かが分からないの。仲間なんて・・・・いない気がして、なんでそう思うのか、最近わかって。ねえ、ダイゴさんは時々、自分が1人だけって思わないの?」
    「・・・思わないな。昔はそうだったかもしれない。でもね、ハルカちゃん。必ずどこかに孤独だと感じる人がいるなら、それをうめてくれる人っていうのはいるんだ。もうハルカちゃんは出会ってるかもしれない。まだ出会ってないかもしれない。誰だかは分からないよ?でもね、必ず会える。だから、会う時までは絶対に生きていなきゃいけないんだ。」
    自然とハルカを後ろから抱き締めていた。ここまで強気で張ってきた子。泣き顔を見られるのは、一番嫌がるだろうから。
    「ホエルオーのように、寂しいと言えば誰かきてくれるかもしれない。それでも、孤独を感じる度にその人が来てくれるとは限らない。」
    「うん・・・。」
    「・・・ハルカちゃんは強い子だね。」

    ふぁーーーーーーーん

    「・・・なんで?」
    「人間は野生の生き物のように孤独に耐えられないんだ。耐えられないから言葉で孤独にならないようにしてるんだ。だからずっと耐えてるハルカちゃんは、強い子だよ。」

    ふぁーーーーーん
    ふぁーーん

    トーンの違う二つの声。近くにホエルオーが2匹以上いる。ハルカは海を見た。
    「あ、ダイゴさん、ホエルオーが・・・。」
    「どうやら、仲間が迎えにきたようだね。」
    「・・・よかった・・・。」
    「ハルカちゃんも、もう迎えに来てくれた人がいるかもしれないね。」
    「え?いないよー。」
    「ほらまた。ハルカちゃんが思ってても、みんな思ってるかもしれないんだから。冷えるからね、もう戻ろうか。」
    「うん。」
    ふぁーーーーーーーーん


    ーーーーーーーーーーーー
    チャットで鳩さんの話を聞いてから、昔のをまた引っ張りだして来た。

    オーボエの素朴でどこか哀愁のあるソロと、ティンパニのクジラの鳴き声が合わさるwhale songを聞きながら。

    【お好きにどうぞ】【見た事ある?】【あるならその人と名前一緒よ】【昔のだからね!】
    参考音源:海の男たちの歌より「whale song」


      [No.1406] 願いというか目標というか 投稿者:西条流月   投稿日:2011/07/05(Tue) 18:37:24     81clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    速筆になりたい

    はやく書けるのは慣れらしいので頑張るのです

    キャラはあまりいないけど、自己主張が半端ないので割愛


      [No.1375] す、すみません…… 投稿者:あつあつおでん   投稿日:2011/06/30(Thu) 21:32:58     33clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    呼ばれた気がしました。
    ゲーチスも同じことしてるだろというツッコミをしたくなっちゃいました(ゲーチスのポケモンは6V)。


      [No.1344] 鳥さん、生のまま。 投稿者:スズメ   投稿日:2011/06/21(Tue) 00:32:46     101clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    いつだったか、家に帰ると飼っていたピジョンが親父に追っかけまわされていた。
     少しの間だからと油断して家においていったのは悪かったが、そんな心配をする必要があること自体、何かおかしい。
     そのピジョン、捕まえたばっかりで家に早くなれて欲しいのと、日光浴のつもりで
     よく日の当たる木の上で休ませていただけだった。
     その時も、親父は野生の焼き鳥とかいいながら人のポケモンを追っかけまわしていたっけな・・・。

     久し振りに家に帰ってきた俺の目の前で、鳥と格闘している親父はあの頃から何一つ学んでいない。
     当時と違うのは、「竹串」という武器を持っているところと、少し老けたってところか。
     野次馬に上手く紛れながら、あのポッポたちをどうしようか考える。
     まあ、逃がすのが正解なんだろうな・・・。
     あのピジョンも、親父に追っかけまわされてから親父恐怖症になって、ストレスのあまり羽を自分で抜いたりだとか
     パニック起こしたりだとかで結局逃がしたし・・・この家で鳥を飼うのは至難の技だ。
     そして、注目されずに実家に入れないとかどんなんだよ。

    「なあ?」とボールの中に入ったフシギソウに話しかけると、カタカタっとボールがゆれた。
     お前、話の内容わかってないだろ・・・一緒にいるようになってから実家に帰るのは初めてだもんな。
     以前はどのポケモンを捕まえてきても、親父に焼かれそうになるせいで、ポケモンを飼えなかったし
     そこまで遠くないくせにと言われながらも、わざわざ下宿を始めたかいがあるって物だ。
     ・・・ぼろいけどな、お化け出るし。 それでもポケモンは飼える。
     ついでに言えば、親父のことでからかわれることも無くなった。

     この後もそうかはわからないが・・・見物客の多さにため息をつく。
     あ、親父がポッポたちに勝利した。 そして警官が来た。
     親父も悪気があってやってるわけじゃないからな・・・それを知ってか、警官も苦笑いを浮かべている。
     見たことがあると思ったら・・・初老という風貌の警官さんは、親父がよくお世話になっていた人だった。
     こうやってポケモン追っかけまわすたびに説教されてるもんな・・・。
     幸い、ポケモンに怪我をさせたりとかはしたことが無いんで、何時も説教で済んでるみたいだ。
     警官さんと一緒に何処かへ歩いていく親父を見送りながら、わざわざ塀に囲まれた裏庭の方へ、進路を変えた。
     あの光景は久し振りに見た、なんか懐かしいな・・・もうみたくないけど。
     
     明るい日差しのなかで、見物者だらけの焼き鳥屋部分から繋がる実家の後ろに回りこんだ。
     目の前のブロック塀は、1メートルぐらいある。
     乗り越えるには老朽化していて危ないにしろ、こっちにはフシギソウという強い味方がいる。

     「よろしく」

     紅白のボールからポンッと現れたフシギソウは、待っていたとばかりにつるを伸ばし、俺を持ち上げた。
     役に立ってるんだぞと言いたげな顔は、おやつの報酬を期待していそうだ。
     悠々とブロック塀を越えて、フシギソウをボールに戻し、塀の中でもう一度ボールから出してやった。
     かばんからポロックケースを取り出し、ポロックを一粒フシギソウにあげた。
     かぷかぷと、幸せそうに味わっているフシギソウの横を通り抜けて、さっき親父に捕まっていたポッポのもとへ。

     脱出劇に失敗したポッポ2ひきは、金属製の鳥かごに入っていた。 かなり窮屈そう。
     人間が来たせいでかなりおびえているポッポにはかまわず、鳥かごの戸を開ける。
     呆然と見つめる鳥さんの前に、フシギソウの好物のポロックを数粒置いた。
     あっという間に嗅ぎつけたフシギソウが、ポロックを求めて走ってくる。
     その勢いにさらにおびえたポッポたちは、広い空へと逃げていった。
     本当は、あのポッポたちにポロックをやりたかったんだがな・・・。
     うれしそうにポロックを食べるフシギソウをみていると、まあいいかという気持ちになってしまうから不思議だ。
     どたどたと足音が聞こえてきた。
     足音の主は、親父。
     
     俺は、ポッポのことなんか知らないからな、お前も話を合わせろよ?
     そういってぽんぽんと叩いたフシギソウの顔は、にこっと笑っていた。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    食べられたか食べられなかったか不明な焼き鳥さん達の補足。
    > 【書いてもいいのよ】【描いてもいいのよ】【突っ込んでもいいのよ】【批評してもいいのよ】


      [No.1313] Re: 本題:批評 投稿者:あつあつおでん   投稿日:2011/06/12(Sun) 07:20:40     49clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    おはようございます。先日はコンテストの批評ありがとうございます。

    批評についてですが、私に限って言えば「なんで俺の頭の中のこと知ってるのwww」といった感じでした。指摘された通り、私は今回のコンテストで「面白さと少しばかりの皮肉」を目指していました。内容自体は陳腐なものでしたから酷評を予想していたのですが、あら不思議。

    私「私の狙いが読み取られている……だと?」

    といった感じでびっくり仰天。こうも的確に指摘されると、私が何に影響を受けているかばれるのではないかと思ってしまいます。

    まあそういうわけで、批評には何ら問題ないと思います。これからも機会があればまた批評よろしくお願いします。


      [No.1282] そういえば、 投稿者:渡邉健太   《URL》   投稿日:2011/06/04(Sat) 19:14:32     60clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    コンテストもおつかれさまでした。

    「鏡嫌い」を書き上げるのは、ものすごく根気が要ったと思います。
    言葉の表記も、一字空けも、なかなかできるもんじゃない。

    児童文学が好きで、いまだに読んだりもするのだけれど、
    あの平仮名ばかりの文面は大人になると読みにくい。
    だけど「鏡嫌い」では句読点の排除だとか、通常の散文のルールから逸脱して成功している。
    その上、(なんだこれは)という驚きも生まれる。

    これは普段、一字空けを好まない歌人だからなのかもしれませんが。
    自由律の詩を書いている人の意見も聞けたらいいですね。

    今後も面白い作品を楽しみにしております。
    __

    あー。
    自分はNo.017さんの個人的な友人で、たまたま面白そうだからとコメントを書いているだけです。
    特に文壇に業績とかもないし、小物なのでいろいろと恐縮です。

    「またあの審査員、偉そうなこと言いやがって」くらいの扱いで大丈夫です(笑)。


      [No.1250] 焼けてない。 投稿者:スズメ   投稿日:2011/05/30(Mon) 21:51:49     108clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    「焼き鳥が一羽、焼き鳥が二羽・・・」

     その日も焼き鳥屋さんは、電線にとまるポッポたちをそう数えていました。
     焼き鳥屋さんから見れば、生のポッポ(野生のとも言い換えられる)も加工された鶏肉さんも同じだったのです。
     
     「あいつらが捕まえられたら、どんなに生きの良い焼き鳥になるか」

     窓の外を眺め、毎日同じ言葉を漏らします。
     はてさて、言動はともかくこの焼き鳥屋さん、何気に地元じゃ人気のある焼き鳥屋さんです。
     ちょっと年期の入った調理場はすすけて、なんだか居酒屋という雰囲気がしますが、ここは焼き鳥屋。
     別名居酒屋といっても差し支えのない親父さんお勧めのお店ですから、問題ナッシング。
     焼き鳥屋さん自身も鳥の鮮度や質にはめっぽううるさいものの、店の汚れに関しては興味を持たず汚れたまんま。
     お客さんの座るカウンターまですすけてたりしますが、焦げてたりするだけで汚れがつくというものでもなく、これも問題ナッシング。

     さてさて、こんなお店を電線の上からのぞく影がいくつか。 もちろん人間じゃありません。
     そんな焼き鳥さん・・・いえ、ポッポさん達の会話を聞いてみましょう。

     
     ポッポA「おい、始まったぞ」
     ポッポB「焼け始めた、いいにおいだ」
     ポッポA「あれがなんだか知ってるか?」
     ポッポB「さあ、でも焼き鳥と呼ばれていたらしいぞ」
     ポッポA「焼き鳥か、初めて聞くな。 よし、今日の夕飯はあれにしないか?」
     
     そんな会話の中に入り込んできた影もまた焼き鳥でした。

     ポッC「何の話をしてるんだ?」
     ポッA「あ、ポッポC。体調は治ったのか?」
     焼き鳥C「ああ、何とかな。それはそうと、さっき言っていた焼き鳥とは何のことだ?」
     焼き鳥B「あそこで毎日発生及び消滅する謎のおいしそうなものだ」

     ポッポBは、茶色のつばさをピンと伸ばして焼き鳥屋さんをつばさ指しました。
     ポッポAは勿体つけたように大きく息を吸い、頭の羽を揺らしながらこういいました。

     焼き鳥A「今日の夕飯はあれにしようと思うんだが、ポッポCも作戦に参加するか?」


     こいつらは何を食おうとしているんだという突っ込みはおいておいて、焼き鳥屋のメニューでも紹介してみましょう。
     まず始めに、今日の焼き鳥はニワトリのようですが、その日によって「豆鳩」や、「ぽっぽ」「スバメ」などの食材が店に並ぶ
     ということも、このお店のポイントです。 珍味として人気らしいですよ。


     さて、こちらは店を開けようとしている焼き鳥屋さん。腕まくりをしながら張り切っています。
     暑いから腕まくりをしているだけだったりもしますが、まあいいでしょう。
     いつもと違ったのはここから。
     昨日までは見ているだけだった焼き鳥(生)が、自らこちらに向かってくるではありませんか。

     「あいつらもとうとう焼かれに来たのか!」

     何かを勘違いしています。 正確に言うと焼かれるためではなくむしろ食べに来たのですが、そんなことは焼き鳥屋さんには関係ありませんでした。
     
     「いやっほー!」といいながら持ってきたのは、焼き鳥の串。 この人は何をする気なんでしょうか。

     焼き鳥(生)の進入してきた窓は真っ先に閉められ、退路はふさがれました。 
     焼き鳥屋さんの暴挙に焼き鳥(生)達はパニックを起こして逃げ回ります。もうおいしそうなものなんて頭から抜け落ちていました。
     なにしろ、焼き鳥なだけにとり頭。

     盛大な見世物バトルの末(野次馬が集まっている)つかまったポッポ3匹は焼き鳥屋さんに品定めをされています。
     
     「こいつ(焼き鳥A)は海沿いの出身か、羽がつやつやしているからな、健康状態もよさそうだ」
     
     そういって、焼き鳥屋さんは焼き鳥(生)Aをいけすならぬ鳥かご(大きい)に突っ込みました。

     次につかまったのは焼き鳥(生)C。

     慌ててつばさをばたばたさせる焼き鳥さんのけづやはいまいち。

     「こいつはあまり体調が良くなさそうだ、うちは鮮度と質を命にしているからな、いらん」

     そういわれ、ぽいっと外に捨てられた焼き鳥(不良品)Cはふらふらと逃げ出しました。
     やっぱりこいつの頭からも、他の焼き鳥(生)のことは忘れ去られています。

     最後につかまった焼き鳥(生)BはAよりも一回り大きく、立派な体格をしていました。
     風起こしをしようとするのもむなしく、つばさは風を切るばかりでつかめません。
     まあ、強かったなら焼き鳥以外にも食べ物が手に入るはずですし、良かったのは体格だけだったりしました。
     作戦の実行力は一番で、いつも危険な目にあうどじっこさんでもあったのです!
     
     そんな焼き鳥(生)Bは焼き鳥屋さんのお眼鏡にもかなってしまいました。まあ、おいしそうですよね。
     
     「こいつは山の出身か? いい物を食べて育っていそうだな、最近街に降りてきたばかりだろう、いいものが手に入った」

     そういわれて連れて行かれた焼き鳥さんは、本物の焼き鳥さんになってしまいましたとさ。
     

     ・・・というのはうそで、ちゃっかり脱走しました。
     焼き鳥屋さんの間違いは、AとBを同じ鳥かごに突っ込んでしまったことです。
     鳥頭と入っても、鳥さんってじつは、脳みその大きさの割りに賢いのです。

     つつくで鳥かごを壊して、焼き鳥屋さんの腕の中にダイブ!!


     計画は念入りに立てないとこの焼き鳥さん(生)達のようになってしまいますよ?

     おわり。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    チャットより転載しました。 以前の閲覧チャットのお題「焼き鳥」より。
    【書いてもいいのよ】【描いてもいいのよ】【突っ込んでもいいのよ】【批評してもいいのよ】


      [No.1219] A面【50個の「好き」を、次は絶対言葉にするから。】 投稿者:リナ   投稿日:2011/05/23(Mon) 22:28:37     82clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    1.毎朝遅刻ギリギリに教室に駆け込んで先生に叱られてたあなたは、そのたびにおかしな冗談でみんなの笑いをとって、先生を呆れさせていた。そんなあなたが好き。


    2.同じクラスなのに「おまえ、名前なんて言うんだっけ?」と、わたしに訊いたあなた。あの時は失礼な人だなと思ったけど、そのあと私の名前を「可愛い名前じゃん」褒めてくれたあなたが好き。


    3.部活ばっかりで勉強なんて全然してないんだろうなと思ってたら、理科の期末テストが学内五位だったあなた。目の下にクマを作っておきながら「直前に見てたところまんま出たんだよね」と笑うあなたが好き。


    4.いつも友達に囲まれてくだらない話で盛り上がってるあなたが好き。


    5.かと思ったら難しい顔して考え込むあなたの背中も好き。


    6.体育の時間、見学しているわたしに休憩時間のたび話しかけてくれたあなたが好き。


    7.だから体育の授業がある木曜日が好き。


    8.通学が億劫で、学校も嫌いだったけど、あなたがいる教室は好き。


    9.あなたのポケモンがビブラーバだったのは驚いた。この辺りでは珍しいポケモンだから。エドとなずけられたその子を大空へ放ち、あなたが眩しそうに見上げる。その顔が好き。


    10.わたしのゴマゾウ、パウがあなたにすごく懐いちゃった。モンスターボールから出すたびあなたに寄りそうパウに困った顔をしながらも、パウを優しく撫でるところが好き。


    11.階段を上り下りするわたしに、いつも肩をかしてくれたあなたが好き。


    12.「えりあし切り過ぎた!」と言いながらしきりに髪形を気にするあなた。でも、前の髪型も今の髪型も好き。


    13.喉にかかるその声が好き。


    14.奥二重のその瞳も好き。


    15.放課後の教室で、塾までの時間を潰していたわたしに声をかけてくれたあなた。宿題で分からなかった問題を説明してくれようとして、結局「ごめんやっぱおれも分かんない」とごまかし笑いをしたあなたも好き。


    16.その日の夜、「さっきのやつ答え分かった!」と電話をしてくれたあなたも好き。


    17.その電話の最後に花火大会に誘ってくれたあなたのちょっと緊張した声も好き。


    18.人混みの中、あなたを探していたわたしを後ろから脅かしたあなたのしたり顔も好き。


    19.その時初めてみたあなたの私服姿が好き。


    20.もちろん制服姿も好き。


    21.「自転車できたんだけどこんな人多いんじゃ意味ないな」って文句を言いながら、わたしの歩く速さに合わせてくれたあなたが好き。


    22.わたしの足もとをしきりに気にかけてくれたあなたが好き。


    23.「浴衣姿見たかったなあ」と、普段着で来たわたしに何度も言うあなたは、ちょっとしつこかったけど、好き。


    24.最後の特大花火が打ち上がった時、ふと見たあなたの真剣な顔が好き。


    25.人混みを離れて、わたしをベンチに座らせ、ゆっくりと話し始めたあなたの喉にかかる声は、やっぱり好き。


    26.告白された後、嬉しくて泣いてしまったわたしを優しく撫でてくれたあなたが好き。


    27.その日、帰りに家まで送ってくれたあなたが自転車をとてもゆっくり押して歩いてくれた。その優しさでまた泣きそうになるわたしに「もっとゆっくり歩いていいよ、その方が長く歩けるし」と言ったあなたが好き。


    28.ばいばいをした後、すぐによろしくメールをくれたあなたが好き。


    29.それからは、毎日が好き。


    30.遅刻ばかりだったあなたが、わたしの家の前まで迎えに来てくれる時は一回も遅れない。ありがとうを言うと、あくびをしながら「なんで?」と返すあなたが好き。


    31.「いつかエドがフライゴンになったら、おまえのこと一番に乗せてやるから」と、芝生でじゃれ合っているエドとパウをのんびり眺めながら言ってくれたあなたが好き。


    32.あなたは松葉杖を脇に抱えてわたしを自転車の後ろに乗せてくれた。けどバランスを崩してわたしが落っこちた。ちょっと悔しかったけど、あの時少しだけ感じたあなたの背中が好き。


    33.嫌いだった雨の日も、あなたと相々傘ができる日だから好き。


    34.嫌いだった勉強も、あなたが教えてくれるから好き。


    35.もともと好きだったカラオケは、あなたと行くから少し恥ずかしいけど、やっぱり好き。


    36.あなたが食べてくれると思うと、早起きしてお弁当を作るのも好き。


    37.内緒でトレーナーズスクールに通い、エドを鍛えていたあなたが好き。


    38.突然遊べなくなった日はすごく残念だったけど、決まってその日の夜に電話をくれるあなたが好き。


    39.電話を切る時に、恥ずかしそうに「好きだよ」って言ってくれるあなたが好き。


    40.気持ちを言葉にしてくれるあなたが好き。


    41.そして、お別れをなかなか切り出せなかったあなたは――ううん、変わらず好き。


    42.遠い地方に引っ越さなければならなくなったあなたは、一週間前になってそのことを告げた――好き。


    43.お父さんの仕事の都合で――好き。


    44.どうすればいいのかな、おれ――好き。


    45.大人じゃないから、ついて来いなんて言えないし――好き。


    46.ごめん――好き。


    47.お別れの日、あなたはフライゴンになったエドをわたしに見せた。「約束、したろ?」「――うん」「おれも一緒に乗っていい?」「乗って」――好き。


    48.あなたの背中であなたの匂いを感じたのは自転車の二人乗りに挑戦して失敗した時以来だった。ジェットコースターみたいにふわりと身体が浮いて、地面がみるみる離れていった。わたしはあなたの背中に力いっぱいしがみついた――好き。


    49.「おれ絶対エドに乗ってまた帰ってくるから――迎えに来るから!」あなたは震える声でそう言った――好き。


    50.待ってる。ずっと――大好き。








     ――――――――――


     甘ったるくて自分でも最後まで読めない…でも吐き出した【好き】。
     そして、B面は正反対ですw

     【なにしてもいいのよ】


      [No.1188] エチュード『憧れの翅の色』【1120文字小説】 投稿者:小樽ミオ   《URL》   投稿日:2011/05/15(Sun) 13:59:58     49clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     憧れの姿は、ずっと揺るがないものだった。

     私とパートナーのドクケイルとは、学校のみんながうらやむくらいに息の合ったパートナー同士。
     「女の子なのに?」って驚かれることもあるけれど、私はドクケイルが大好き。
     「見た目が怖い」? 「だって虫だもん」? そんな先入観でびくびくしてるなんて、みんな曇った目をしてる。
     見て、この目がいっぱい集まったみたいなドクケイルの瞳! 分かるでしょ、曇りひとつない。覗き込めば覗き込むほど、たくさんの瞳に私の姿が、……ここまで言うと、たいていの人はもう呆れた顔をしてる。
     でもみんなから呆れられるくらい、それくらい私はこの子のことが大好きなんだ。





    (この赤い幼虫を育てたら、いつか綺麗な翅が生えるんだよ)

     ――その言葉を疑うことなく、ケムッソを育てるのに明け暮れたのはいつのことだっけ。
     憧れの姿に手が届くんだ! そう信じてやまなかった。

     女の子たちには、毛虫のような姿のケムッソを育てるのを嫌がる子も多かった。
     本当のことを言うと、私も虫はちょっぴり苦手なの。出会ったばかりのころはケムッソに触れなかったくらい。
     だけどそんなのは幻だった、誰もがそう思うくらいに、私とこの子とはべったりくっつき合いながらここまで一緒に生きてきた。

     私は出会った昔から決めていたから。「この子に綺麗な翅をあげるのは、この私だから!」って。





     ――本当はね、ドクケイルなんて大っきらいだった。
     だって見た目は毒々しいし、両目もちょっぴり怖いし。小さいころ森で私を追い掛け回したのもドクケイルだった気がする。
     私の憧れの姿はずっとアゲハントだった。くるりと巻いた触角、お洒落な紋様の翅。そんなとっても綺麗で愛くるしい蝶が、私はずっと欲しかった。
     ずっと抱いてきた憧れに、ずっと忘れなかったあの言葉に、私はこの赤い色の毛虫を、そして淡色の繭を育ててきたの。あのきらめく蝶を夢見て。
     だからしゅるりとほどけた繭から蝶じゃなくて蛾が飛び出してきたとき、……あのサイケデリックな色味と瞳のような紋様を見た私は本当に驚いた。






    「ドク……ケイル……」

     驚いた。驚いたけれど、――私はドクケイルを抱きしめた。ぎゅっと、翅がくしゃりとこわれるくらいに。
     だって、この子とは何日も何日も同じ時間を過ごして、進化への未来を夢見たもの同士だもの。
     
     毒々しく見えていた翅色、それを嫌っていた遠い日。生まれるのは蝶ではないとも知らず、苦楽をともにしてきた思い出は今、ぜんぶ私の腕の中。
     とたんにその翅の色味は美しい新緑のそれに見えた。薄気味悪いはずだった私を見つめる瞳は、たくさんの鏡のよう。



     えへへ、とってもかわいいね。とっても、蝶のお姫さまよりも、ずっと。



     ――憧れの姿は、ときおり移ろうものなのかもしれない。



    <おわり>



    ◇   ◇   ◇



    お読みいただきありがとうございました。
    「好きなのを書こうとすると取りとめがなくなるから、まずは短めのを書いたらいいんじゃない?」ということで生まれた1120文字小説、第一作目です。
    今回は起承転結を意識したエチュードとしてみました。できてるかなぁ。

    絶対にカラサリスとマユルドの違いを知らなくて、アゲハントを夢見て育て続けた女の子は多いと思うんですよね、ゲームの外でも中でも!
    そんなことを思いながら筆を走らせてみました。でもこの女の子はドクケイルを溺愛しています(笑)



    「1120」という数字は、ツイッターで書く小説、通称「ついのべ」の規定文字数140文字を基にしています。
    起承転結でそれぞれ140文字ずつの予定でしたが、圧倒的に足りなかったので各280文字ずつにした結果としての1120文字です。
    五段分の空行があるところが起承転結の境目で、各280文字ずつとしてみました。

     補記:1120文字にスペース・空行は加算されない模様です。カウンター次第では1120文字を超えるかも。


      [No.1156] Re: 第二回ストコンの投票期間について質問 投稿者:No.017   投稿日:2011/05/07(Sat) 12:18:35     40clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    おっしゃるとおりです。
    土曜日まで募集をし、日曜日中にせっせと投票準備をし、日曜日夜くらいから投票って感じです。
    理由は月曜日が仕事なので、日曜の深夜に投票準備を始めると、死ぬからです。

    日曜日に準備してる間に滑り込み応募が来た場合は受け付けます。
    (いわゆるロスタイム)

    ただ管理人の都合で延びることはありえます。(オイ
    (ただし今度は延びても1日くらいです)



    追伸、
    というか 8日(土)って誤表記にしてたのね(
    すいませーん


      [No.1123] 【再掲】Poooooooon!! 投稿者:久方小風夜   投稿日:2011/05/02(Mon) 23:00:34     417clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
    タグ:てこさん超リスペクツ】 【たのしい】 【なかまが】 【ぽぽぽぽ〜ん!】 【……自分、何やってるんだろう
    【再掲】Poooooooon!!  (画像サイズ: 2340×800 120kB)

    ぜんぶでけた。
    途中で冷静にならないように必死だった。
    (自分、何やってんだろ……」とか思い始めそうだったから)

    ポーズは最後の全員集合したところのものではないのであしからず。
    全体的にひどいけどとりあえずウツドンの格好が謎だ。
    そしてやっぱりウパーがキモい。マッギョもきもい。
    背景は力尽きました。

    描いてる間に何回テレビで「ぽぽぽぽ〜ん」って言ってただろう。
    60秒ver.には遭遇しませんでしたが。

    ぴくしぶ投稿したら2011年3月20日付のイラストデイリーランキング488位に入りました。笑。


      [No.1090] 一応… 投稿者:海星   投稿日:2010/12/26(Sun) 15:13:39     42clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    本文をメールにくっつけて送信したのですが返信待ちです。
    実は送り方が良くわからなくなってしまい、ちゃんと届いたか心配でotz
    しかも件名とか指定された文ではないもので送ってしまってotz
    届いていますでしょうか?
    No.017 さんが御実家なうということなので、夜までパソコンを見張ってます<○><○>


      [No.1057] 黒いクリスマス 投稿者:スズメ   投稿日:2010/12/23(Thu) 22:25:13     44clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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      それは、空から降ってきた。
      ふわふわ・・・そしてひらひら。


      天気予報では曇りだって言っていたのにな。
      まあ、外れてくれてうれしいかもしれない。
      何年ぶりだろうか。 


      白い聖夜 通称、ホワイトクリスマス 




      
       窓から見上げる空は、灰色の雲が覆っている。 
      その上には明るいお日さまと空があるって事は理解している・・・が、
      理解するのと信じるのは別だと思う。 こんな曇りの日に雲の上だけはさんさんと
      いいお天気だなんて・・・うらやましすぎる。

       ピュウと通った風に身をすくませてみれば、その風はもう一回とばかりに追い討ちをかけてきた。
      せめて晴れだったら、日差しぐらいはあったかいだろうに。
      まったく、これでは風邪をひいてしまうとぐちを言いつつ洗濯物をベランダの手すりに引っ掛けて、
      寒い寒いと言いながら戻った部屋には丸まった背中が見え隠れしていた。
      もぞもぞとうごめいている。

     「あ・・・こらー盗み食い禁止! さっきご飯食べたばかりだろーが!」

       丸い背中をポケモンフードの袋から引っこ抜くと、しまったとばかりに細い目をさらに細くして
      そいつは手足をばたばたさせていた。

       そいつ=ヒノアラシ。 一般的に野生のものは珍しいらしい・・・が。
      学校でも街中でもちらほら見かける有名な種族である。
      どれもこれも、ジョウト地方の初心者用ポケモンのせい。
      珍しいはずのこいつらは初心者用として大量発生しているうえに、ポケモンリーグやその辺の大会でも
      よく見かけられる。
      ついでに、捨てヒノアラシや捨てチコリータなど馬鹿に出来ない事態も発生しつつある。
      面倒見れないやつはトレーナーになるなと言いたいが、そういう奴に限って
      最初は面倒見れるつもりだったとか、捨てるつもりなんかなかったと言い出す有様。
      こいつも、保護センターにボランティア活動とかに行ったときに引き取ってきた奴だ。
      そういえば、ボランティアの保護センター清掃活動に参加しようと誘ってきた本人、ユウトは
      誰かを連れ帰ったのだろうか?
      ここしばらく講義を欠席していたがので確認ついでに連絡してみたら、 
     「今日講義なんか聞いてたら住む場所が消える」とか、
     「荷物が瓦礫の下に埋まって燃やされる」やら言われた。
      ポケモンもっていないくせに詳しいから、ヒノアラシのことを聞こうと思ったのに。
      というか、なんでボランティアだけ参加しているんだよあいつ。

     「ヒノヒノー」

       しまった、もがいているこいつのことを忘れていた。
      とりあえず、床におろしてみるとわたわたと部屋の隅っこに逃げていった。

     「まいったな。」

       昨日引き取ってきたばかりなのであたりまえだが、信頼関係はゼロ。
      何をあげればいいのかわからなくて昨日はご飯抜き。
      今日の朝ホームセンターで徳用のポケモンフードを買ってきてあげてみたら必死に食べていた。
      まあ、おなかがすいているのは分かるが・・・二キロのポケモンフードを半分以上食べるとは
      思わなかった。 というか、確実によくない。
      閑話休題。 話がすり替わっている気がする。
      まあとにかく、部屋の隅にうずくまっているこいつをどうにかしたい。
      
     「えーっと・・・」

       名前を呼ぼうとして気づく。 こいつ、名前がない。
      種族名で呼ぶのもなんだし・・・考えるか。
      えーっと、ヒノアラシ、 火の嵐・・・灯の荒しなんだこりゃ。
      安直過ぎるのも考え物だしな・・・茶でも飲むか。
     
       台所に行ってコップに水を入れてレンチン。 それにティーパックを入れれば完成。
      ついでにせんべいを持って部屋に戻る。

       隅っこのやつがせんべいに反応した。
      こいつ・・・くいしんぼうだな。
      食べ物の誘惑に逆らおうとしているが、視線はせんべいに釘付け。
      うーん。 クイタランなんてどうかな・・・同じ名前のポケモンがいた気がする。
      なら、ヒノアラシと食いしん坊でヒノ坊なんて・・・だめか。
      我ながらネームセンスのかけらもないな。 
      そういえば・・・こいつを引き取ってきた日は天皇誕生日だったな。
      今日はクリスマスイブか、まったくどいつもこいつも浮かれやがって。
      デートだかお出かけだか知らないが不景気だというのに財布の紐がゆるすぎる。
      後で金を貸せなんていわれても貸す金なんてないんだぞ?
      なにせ、貧乏だからな。 いや、また話がすり替わっている。
      えーっと、名前だ名前。
      
       部屋の隅を見てみれば、誘惑と戦うヒノアラシ。
      
       そういえば、アンズの花言葉が誘惑だった気がする。
      アンズは、臆病な愛とか、慎み深さって意味もあるけど。
      
       部屋のすみから壁伝いに忍び寄ってくる影が一つ。
      立ったままなのもどうかと思うので、コタツに入る。 あったかい。
      私が動いてびっくりしたのかうしろに飛びずさった影が一つ。
      ズザザザーって。 1mぐらいさがったところで壁に背中をぶつけた。
      なんだこいつ。 ちょっとかわいい。
      
       名前か・・・うーん。
      私ネーミングセンスゼロなんだよなー。
      まあ、安直じゃなかったらいいんじゃね?
      アンズとクリスマスイブでアンイなんてどうか?
      いや、安易と間違えそうだ。 というか、絶対間違える。
      だったら、アンリは? まて、こいつが男の子だったらどうする。
      ・・・まあ、いっか。 今時変わった名前のやつなんてごろごろいそうだしな。  
     
     「アンリ、ほらっ。 ありがたく貰っとけ。」

       そういいながら、さっきと同じ壁からほふく前進をしてくる
      ヒノアラシに向かってせんべいを一枚投げた。 
      

       警戒とはいってもまあ、近寄ってこないだけ。
      実際、ポケモンフードは食べているし、その際噛み付かれてもいない。
      さっきだって、首の根っこをつかんでも炎で攻撃をされてはいないわけだし。
      前に捨てられているわけだから、警戒するのも当たり前だろう。
      だが、見ている限りアンリは誘惑に負けたらしい。
      せんべいにかじりついている。

       私が手をのばしても無反応。
      やっぱり、こいつも人に飼われていたんだなと感じる。
      野生なら、食事中だろうがいきなり触られて反応しないわけがないだろう。
      ものすごいスピードでがりがり削られたせんべいは姿を消し視線は私の手に持っている
      せんべいに狙いを付けている。 

     「アンリ、欲しいのか?」

       アンリという名前にぴくっと反応した。
      一応認知してくれたらしい。

     「ほら、やるからこっちこい。」

       視線はせんべいに釘付けのまま。
      せんべいを振ればふらりふらりと歩いてきた。
      目の前に来たところでほら。 と差し出すと、バキ。 という音と共にせんべいをとられた。
      餌付け・・・成功なのだろうか?
      バキバキバキという音と共にせんべいの粉が飛びちる。
      掃除するしかないか・・・めんどうだな。






     「で、どんなのがおすすめなんだ?」

       私たちは買い物をしていた。
      クリスマスイブだというのに、居るのはショッピングセンター。
      理想とは程遠い場所で、昨日か、もっと前からはしゃいでいた友人の姿が脳裏に浮かんだ。
      クリスマスと、その前のイブにはね! と話す友人が非常に恨めしい。
      
     「・・・そんな顔なんかしているとカゲボウズに引っ付かれるぞ。」

       小型ポケモン用の食器を手に取りながらユウトは物騒なことを言った。
      そういえばこいつ、「あの」幽霊屋敷に住んでいるんだっけ。

     「なんか、失礼なこと考えているだろ。・・・こいつなんか、手ごろな値段だぞ。」

       どうだ? と見せてきたのは、ちょっと深めで大きめの皿。
      
     「アンリには大きすぎない?」

       アンリの顔以上の皿は必要ないんじゃないだろうか。

     「いや、ヒノアラシって顔が長いだろ?」

       なるほど。 と頷いて皿を買い物かごにつっこむ。
      ユウトを呼び出して正解だったな。 
      知り合いの中ではこいつが一番詳しいし。 

     「あとは、水飲み機か。 炎タイプだし、わりと器用なやつらだからボトルタイプがいいだろ。」

       そういって、次の売り場に向かうユウトには迷いがない。
      どうやら、このホームセンターのどこに何があるかを熟知しているようだ。
      ユウトの後を追っている時、珍しいものを見つけた。
      ゴーストグッズなる怪しい品々。
      怨念飴や延命砂糖、悲鳴クラッカーおまけに補修用影綿。
      ご丁寧に、商品のパッケージにはそのグッズに反応するポケモンが描かれている。
      お値段はさほどでもないか・・・そうだ!
      幽霊屋敷のかたがたにプレゼントしてみようではないか。
      安めのものをいくつかかごに入れて、水飲み機売り場へ急いでいった。










      「・・・は? 幽霊屋敷に用がある?」

      「ちょっと実験をしようと思ってね。 アンリ、お店でたから出てきていいよ。」

        ポンという音と共にアンリが姿を現した。
       眠そうに目をこすっていることから、さっきまで寝ていたらしい。

      「ユキナがポケモンを持つようになるとはびっくりだな。」

        からかい混じりの口調で茶化してくるユウト。
       まあ、ポケモンには基本おびえられるのが常の私だからなー。
       べつに、野生のこを捕まえてまで飼おうとは思わないだけ。
       なつかれると面倒だからさっさとあっち行けってやってただけなんだが。
       その威嚇も、キミのところのお化けには通用しなかったけど。

      「そういえば、ユウトはポケモン引き取ったのか?」

        まあなと言いながら、赤と白のボールをつかんだ。
       ポンっとでてきたのは・・・つぼみを背負った緑のポケモン。
       そういえば、こいつらの種族も初心者用だったっけな。

      「フシギソウの、ダンドだ。 曇華って花の名前からとった。」

        またまた、珍しい名前を出してきたもんだとおもう。
       読み方はダンドクだったか。

      「こいつさ・・・気性が荒くて、お化けのやつらに喧嘩売るから大変なんだよ。」
      
        はあ・・・とため息の音が聞こえる。
       お化けのやつらに喧嘩、か。 たいへんだな。
       
      「本当はポケモンを引き取るつもりはなかったんだけどな。
       ご飯代かかるし、お金ないし。 でも、引き取り手がなかったら・・・なんて
       言われちゃうと・・・なあ。」

        理由は私と同じか。
       私もこいつもお人よしなのか、それとも捨てる人が非情なのか。

        そうこういっているうちに屋敷が見えてきた。
       道一本はいっただけでこうも薄暗くなるもんだから驚きだ。
       相変わらず屋敷はボロくてお化け屋敷のようだ。 家賃は安(過ぎる)とはいえ
       ここに住むこいつの気が知れない。 お化けは別にいいが隙間風やカビが問題だ。

      「ちょっと新しくなっただろ?」

      「別に変わった様には見えない・・・ツタが取り払われて割れたガラスが消えたな。」

        だからといって、知らない人が見たらお化け屋敷だ。
       あ、雑草もなくなったかもしれない。 ここ、池なんてあったんだな。

      「改装されたんだよ。 一応」

      「それでしばらく休んでいたのか。」

       確かに、ここの家主が本当にユウトから聞くような人なら、ユウトの気持ちも分からないでもない。
      おおかた、荷物ごと部屋を崩されそうになったんだろう。
      そうゆうハチャメチャな思考の人ならうちの親戚にもいる。
      お正月のときなんか人様の家(私の祖父の家)でどんど焼きをしようとして火事を起こしかけた。
      (母のシャワーズが大活躍だった)
      そういえば、あの人もゴーストポケモンが集まってくるやら何やら言っていたっけ。

      「まあ、お化けたちならその辺にいるから・・・実験するならみんなも呼ぶか?」
      
        携帯電話を片手に門をギギギ・・・(門も変えればいいのに)と開けたユウトが
       提案してきた・・・が、みんなお楽しみ中なのだ。 まったく、恨めしいことこの上ない。

      「リカもカナタもみーんなお出かけだと。」
     
        私の一言にユウトが固まった。

      「な、なんだって・・・。」

        あ、カゲボウズがよってきた。
       前より数が増えている気がする。 ついでに他のお化けも出てきた。

       お日さまは傾いて、もうすぐ闇に包まれる。
       帰りはネイティにテレポートで送ってもらうから心配ない。

      
        それより・・・実験実験。 オカルトグッズを試してみよう。
       青春をエンジョイしているやつを見返せるぐらい面白い実験にしてやる!!
       この時、私の後ろでアンリがお化けにおびえていたらしい。
      

      
        まずは「怨念飴」・・・包みをはがしたとたんカゲボウズに持っていかれた。
       あ、すごい。 黒い塊になって喧嘩をしている。
      
      「どこで買ってきたんだその飴は。」

      「さっきのホームセンター。」

        あれ、本当に効くのかよ・・・とユウトが目を丸くしている。
       なんか、原材料名が気になるな。
       見てみた。 原材料、水あめ 砂糖 カラメル色素 怨念
       見なければ良かった。


      「次、延命砂糖。 ヒトモシに使えるらしい」 

      「ヒトモシって命を吸い取るらしいぞ。 まあ、俺の部屋にはお化けは入ってこないし(偶にしか)
       鼠とかがいるせいか、今のところなんともないけどな。」

        なんかちょっと怖いポケモンだな・・・かわいいのに。
       とりあえず、包みをはがしたら・・・はらはらと粉が舞った。
       ヒトモシがわらわらよってきて、粉を浴びている。
       炎が心なしか緑に見える。
       原材料は・・・見るのが怖い。

      「以上、実験終了。 あんまし面白くなかったな。」

      「いや・・・すごい騒ぎになっているんだけど。」

        ユウトの言うとおり、庭はすごい騒ぎになっていた。
       屋敷の庭では黒い塊がぶつかってはばらばらになって、緑の炎が揺らめいて・・・
       幻想的ともいえなくないが、暗い中でそれを見るとかなり恐ろしい。

        ポフッとユウトの頭にネイティが着地した。
       そのまま、じーっと庭の騒ぎを見つめている。
       そういえば、これも買ったんだっけ?
       袋のそこに残っていた黒い飴みたいなのを放り投げてみた。
       説明も何もないし・・・あれ?
       これ、買った覚えなかったんだが。

      「・・・ぇ?」
     
        隣でユウトが間抜けな声を漏らした。
       からかおうとして前を向くと、

      「・・・は。」

        庭に穴。 もしくはダークホール、ブラックホールでもいい。
       お化けたちがいっせいに避難してきた。
       ゴゴゴ・・・と、音はないけれどそんな感じに影が姿をあらわ・・・さなかった。
       途中で消えた。 なんだったんだ。
       ただ、庭の雑草(刈っても根元は残っている)が、そこだけぽっかりと消えた。
       まさか・・・ね。

        私たちが呆けている時、 それは、空から降ってきた。
       ふわふわ・・・そしてひらひら。


        天気予報では曇りだって言っていたのにな。
       まあ、外れてくれてうれしいかもしれない。
       何年ぶりだろうか。 


       白い聖夜 通称、ホワイトクリスマス 

        ならば、黒い聖夜は何なのか。
      
       まあ、もう二度と経験したくはないが。

       ゆーきあるものよ、無謀な挑戦はやめろ。 

       あれはだめだ、出て来なかったから助かったけど、たまったもんじゃない。
       とにかく、クリスマスの夜に黒い飴みたいなピカピカしたやつ、しかも身に覚えのないやつを
       見つけたらてをださないで、そっとしておくべきだ。
      

        じゃないと、投げた場所に影の足跡が残るからな。
       

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
     珍しく、長めの物です。 
     ここまでよんでくださりありがとうございました。
     お化け記念日の方を読むと屋敷の様子が分かりやすいかもです。
    【批評していいのよ】【書いてもいいのよ】【描いてもいいのよ】


      [No.1025] 散歩中にて 投稿者:紀成   投稿日:2010/12/10(Fri) 22:14:17     37clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    小説のネタが詰まると、私はよく二匹を連れて散歩に出かけた。休日なら、たとえ朝だろうが昼だろうが、深夜だろうが、とにかく歩くのだ。
    スラリと長い二本脚を持つバシャーモと違い、脚が無いと言っていい(こんなこと言ったら持ってる人に殺されそうだ)ダストダスは、私達の後を転がるようについて行く。
    まるで運動会の大玉転がしだ。


    歩きながら私はとにかく話す。この前ミコトがワニ二匹を引き連れて他校の不良男子生徒をカツアゲして、先生に怒られたとか。
    あと・・カオリちゃんがなんか最近変だとか。元々不思議な子だったんだけど、最近それが増してるとか。
    後輩のミドリちゃんのこともよく話す。前に聞いた話では、眼鏡だったのを中二になってからコンタクトに変えたらしい。
    まあ、学校のことばかりじゃないんだけどさ。
    たとえば。


    「この世界には、人の手で造られたポケモンがいるらしいの。悪人が金儲けのために、色々なポケモンの細胞を組み替えて作ったんだって」
    前読んだ本に書いてあったことだ。ショックと同時に、体が震えた。
    「本当はポケモンの方が私達より強いはずなのにね・・」

    私の頭に入っているプロットは、ザッと分けて四種類くらいある。
    一つは、前にカオリちゃんに言われたギラティナの話。
    二つは、面白い本を求めて全国を旅する少年の話。
    三つは、ストレートに恋愛もの。苦手だからこそ、練習しないとね。
    で、四つは・・


    「人工のポケモンが、傷ついたまま逃亡して、どこかの廃墟に身を隠していたところへ、主人公が来て・・」


    私の頭の中にプロローグみたいな台詞が浮かんでくる。


    『それを愛したことが罪ですか

    それに愛されたことが罪ですか

    それとも

    私達が出会ったことが罪だったのですか』


    「って感じなの!どう!?」
    「勝手にしなよ」
    「恋愛、恋愛っていうけど相手が人間とは限らないわよね」
    「何で僕に同意を求めるの」
    「氷漬けにされたミコトに聞くのが手っ取り早いかと」
    「今すぐワルビアルがカラカラにしに行くから」


    ミスミ。
    小説を書くにあたり、素晴らしい才能を持つ。

    ただし、暴走すると話が百八十度回転するという・・

    ーーーーーーーー
    [モエルーワ]byミスミ
    [ババリバリッシュ]byミコト


    明日のチャット楽しみです。


      [No.993] 小説作品は小説の辞書 投稿者:渡辺タテタ   《URL》   投稿日:2010/11/25(Thu) 03:06:38     84clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    こんばんは。
    先日は校正について書きましたが、何を手本にしたらいいのかということを。

    手っ取り早く言えば、ご自分の好きな小説を真似てください。
    著名な作家のものでなくても構いません。
    少なくとも出版社を経由した作品は、編集者が赤を入れているはずなので、文体が整っています。
    例えば改行のタイミングや、句読点の位置、記号の用い方など、お気に入りの作品を辞書代わりに書かれるといいでしょう。

    締切りまで一ヶ月。
    みなさん作品を書いている最中かと思いますが、ご参考になればと思います。


      [No.959] 十二番目、逝ってみよー 投稿者:   《URL》   投稿日:2010/11/12(Fri) 21:16:40     79clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    書いた作品の内、投稿しなかったものはほぼ消してしまっているので、私の黒歴史は消失しました!

    と思ったら日記に小説の一部が残ってました。
    ただそれも、日記自体を紛失したため、四、五年前からのしかありませんが。

    書いた時期→三年前の大学入試の数日前

    書いた理由→ストレスが溜まってたんでしょう

    それまでの遍歴→演劇脚本1本、オリジナルの漫画1本は完結。その他書き散らしたオリジナル漫画は完結せず。
    ポケモン長編小説に手をつけたけどろくに書いてない。
    オリトレの冒険譚とか考えましたが、旅に出た次の日ぐらいで投げ。
    ポケダンのニューバージョンとか考えましたが、主人公がギルド行ってチーム結成したら投げ。

    というわけで、浪人時代に書いたものの第一話を晒します。
    自分でも何の話の第一話か分からないんですが。(上のオリトレのでもポケダンのでもない……何これ)

    タイトルは『二匹で怪盗を』

    〜〜〜

     昔々、この大陸にポケモンの一団がやって来て、ここをポケモンの楽園にしようと決めた。
     人間が入って来られないように、何匹かのポケモンがこの大陸全体に結界をはった。
     そうしてここは、ポケモン達だけの大陸に――楽園になった。

     この大陸にはそんな言い伝えがある。
     嘘だ、という者もいるし、本当だ、という者もいる。
     ただ、この大陸に人間が入って来れないのは本当のことだったし、それが結界のせいであることも確かだった。
     だから、言い伝えは本当だという者の方が多かった。
     ただ、その言い伝えが、本当は何を意味するのかまで考える者は……


     クレイヴは思いっきり羽を伸ばすと、そのまま羽を振り下ろして、近くの街灯まで飛び上がった。
     様々に入り組んだ道を、様々なポケモンが行きかっている。

     その光景は、確かに“楽園”にふさわしい、穏やかそうな光景だった。


     クレイヴはぐるりとあたりを見回す。誰かの家の窓ガラスに自分の姿が映る。
     見慣れた山高帽のような頭、大きな嘴を持つ黒い鳥が映っている。
     あの窓の向こうで、誰が、どんな風に暮らしているのだろうかと考えながら、その下の階、そのまた下の階と視線を下ろしていく。

     そこで、一匹のグレイシアに気付いた。目が止まった、と言うべきかもしれない。
     ただ、そのグレイシアは見たことがあるような気がしたのだ。
     クレイヴはじっと、その姿を目で追う。

     雪と氷の力を授かったイーブイは、路地裏へと消える。
     A.M.8:00。
     クレイヴはそこで自分が出勤中だったことに気付き、慌てて飛び去る。

     A.M.8:15頃。グレイシアはある光景を目にする。
     それは、何の変哲もない、珍しくない光景だった。
     だから、このグレイシアが気にも止めず、通り過ぎて行ったとしても、何の不思議もなかった。
     もし、グレイシアがそうしていたら、このまま何も起こらず、物語はここで終わっていただろう。
     だが、そうはしなかった。
     そして、何もかもが変わった。

     道端で、小柄なポケモン2匹が何匹かの図体のデカいポケモン達に囲まれている、
     この楽園と呼ばれる場所で、残念なことに珍しくない風景であった。

     4匹のポケモン――ゴローン、エルレイド、ハッサム、ニョロトノ――が小さなポケモン2匹に難癖をつけていた。こういう場面ではいつも、難癖をつけている方が悪い奴で、その悪い奴が勝つと決まっている。道理ではないが、とにかくそうなっている。
     グレイシアはその光景をじっと見つめる。ただ、何となく見ている。

    「ここいら俺たちのシマなわけ。分かる? 縄張り。領地。テリトリー。分かる?」
     不自然に語尾を上げて喋っているのはエルレイドというポケモンだ。一般にエルレイドは礼儀正しいポケモンらしいが、天地が引っくり返っても、このエルレイドは礼儀正しくないと言える。
    「入って来ちゃだめなの。分かる?」
    「それとも迷子でちゅか〜、おチビちゃんたち」
     エルレイドに続いて、不自然な赤ちゃん言葉で話し出したのはニョロトノだ。トノというのもおこがましい。
    「ここは入って来ちゃいけないんだよ?」
     粘り着くような声で話すのは、ゴローンだ。
    「入って来るような悪い子は、罰を受けなきゃねぇ……」
     そう言って、4匹全員が1歩進む。

    「うっせーな」
     輪の中心から、声がした。その場にいた全員――4匹の悪い奴らと、グレイシアを含めたやじ馬たち――が驚いた。
     この場で下手な事を言ったら、あの世への切符が簡単に手に入る。そんな状況なのだ。
     にも関わらず、さらに声は続ける。
    「俺たちがどこいよーとどこ行こーと俺たちの勝手だろうが。大体ここ道だろ。公有地じゃねえのか?
     公・有・地!」
     4匹が輪をくずしかけて、囲まれているポケモンがグレイシアに見えた。
     ピカチュウと、リオルだ。正直、勝ち目はなさそうだな、とグレイシアは思う。
     彼ら2匹は幼かった。ただいきがっているだけに見えた。その時は。

     ピカチュウが「文句あんのかこらあ!」と叫び、「お前も何か言ってやれよ」とリオルをけしかけた。
     ただ、リオルは「普通に謝って通してもらった方がいいんじゃないですか?」と言っている。
    「そうだよ、嬢ちゃんはよく分かってるじゃないか」
     勢いを取り戻したゴローンがそう言った。
    「いや、だめだ」ピカチュウが言った。「こういう輩は大人しくするとつけ上がるからな」
     リオルが、困ったような表情をした。4匹がさらに詰め寄る。

     リオルは半ば困ったような、半ば諦めたよな口調で喋り出した。
    「でも……」
     その言葉の後にこんな言葉が続くと、この状況で誰が想像しただろうか。

    「正直今、バトルするの面倒くさいです」

     場が凍りついた。


    〜〜〜


    設定を書き散らすのが趣味だったので、無駄に設定が多かったりします。
    むしろ本編がなくて設定集だけあったりしてね。
    設定集のために設定を考えてね。それも厨二病な設定をね。

    きとかげ は だいばくはつ を くりだした!


    【長編書くのに大風呂敷広げるのは若気の至り】
    【みんなも恥ずかしい長編小説の設定を晒せばいいのよ】

    オリトレの話は、何か主人公がポケモンと喋れる設定でした。
    しかし手持ちの中に喋るポケモンがいました。なんという無駄。
    ポケダンの方は主人公のチーム以外にも三つ四つチームがありましたが、全部話に絡んできませんでした。
    あと、十人分くらいポケモントレーナーの設定を考えて、考えただけで終わりました。

    なんだろう、綿胞子で首がしまるようなこの感じ。

    【小説を読んでもらうためには本編を書くべきだ、と気付くのに六年かかりました】


      [No.928] 続編、続編じゃいやぃ! 投稿者:クーウィ   投稿日:2010/11/07(Sun) 03:21:33     56clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    まさかの続編が到来・・・何と言う嬉しい展開か・・!?(笑)

    何度も読み返したけど、最初に読んでからは大分経ってるのは内緒。  ・・・色々あったのよ(爆)


    夜分遅く・・つーか未明ですけど今晩はです。
    前作がとても好きでしたので、またシリーズとして続編が来たのが凄く嬉しい深夜徘徊魔です。

    『瓢箪から駒』が現実になったようなお話なのに、これだけ登場人物のキャラクターがしっかりしてる所は、恐ろしい限りっすね・・・


    取りあえず、今回も大いに楽しませて頂きました・・・!
    落ちの『電話番号』は、最後のシーンまで気が付きませんでした・・・  不覚ナリ・・・

    前作もそうですが、主人公の所々に見え隠れする本音と愚痴が、兎に角楽しくてしょうがない(笑)
    『悪の組織はこう、奥まった部屋にでかい扉をつけてロックをかけて、重要なブツを保存するのが好きなんだろうか』 とか、メタに近いこの手の表現は、読む傍から自然と笑いが込み上げてきて、個人的に大好きです。

    『色々とどす黒い念のこもった台詞を吐きつつ』 ・・ま、人生そう言う事ほど良くあるもんさ――()


    しっかしあの上司・・ハッキングも出来るのか・・・
    それでどうして主人公が、毎回こんな目に合うのかと言えば・・・まぁ、そう言う間柄だからですね(爆  ナンマイダ・・・)

    言葉を喋れないにもかかわらず、毎度主人公をそっと精神崩壊から救ってくれるエルフーンさんは、まさに得難きパートナー。
    大事にしてあげて下さいです・・・


    ・・そう言や、俺は何時になったらヒウンアイスを買えるんだろ・・・(爆)


    では。  失礼致しました・・・


      [No.897] 続きを書かないとぼんぐりを投げます(いいえ 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2010/10/31(Sun) 20:24:40     52clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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     <○><○> ジー


     <○><○> …… ……



    リョウナさんはじめまして!
    ポケストの中の人、No.017と申します。
    デビュー作、しかと読ませていただきました!

    ちょうど神保町古本祭から帰ってきたところでして、
    「陰陽師の本」なるものを購入しまして、
    ポケモン世界の陰陽師の式神ってやっぱポケモンなんだろうなーなんて
    そんな妄想をしていたら、していたら!

    ナンカ トウコウ サレテター!

    なんというタイミング!


    漢字表記のポケモンはすぐにどれだかわかりましたですよ!
    どうせならカマキリもどうせなら漢字(螳螂)にとも思ったんですが、
    ただ表記がむずかしいのでどっちがいいとも言えないですね。

    琥珀丸くんのうろたえぶりがなんともわかりやすい(笑
    いやーこれはね霧彦兄貴のS心を刺激しちゃいますよね。
    反応がわかりやすい人はいじりがいがありますもの。

    とりあえず続編待ってますから!
    続編書かないとぼんぐり投げつけちゃうぞ  つ○(構えつつ

    琥珀丸君の最初の式神はあれですかね。
    やはり竜鯉のこと考えると雷獣系かしら。
    電気鼠かあるいは羊か……。

    予想しつつこれにて。


      [No.866] No.025の計画 投稿者:巳佑   投稿日:2010/10/28(Thu) 02:17:47     41clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    『なみのり』ができるようになった。
    『そらをとぶ』ができるようになった。
    『フラッシュ』はノーマルタイプだけど電気を扱うモノにしてみたら当然だし。
    それと『かいりき』も『いわくだき』だってできるし……。
    次はどんな『ひでんわざ』を体得してみようかな。

    『たきのぼり』の場合。
    ……滝に打たれるだけで、そのまま修行に直行になってしまいそうだなぁ。
    自慢の商売道具のサーフィンボードでも流れに逆らって
    垂直に上がることはできないしね。

    『きりばらい』の場合。
    ためしに特大のうちわを使って霧を飛ばそうかとやってみたけど……。
    腕が疲れるだけで霧は全然晴れてくれなかった。
    せっかくダーテングさんが作ってくれたうちわなのになぁ。

    『ダイビング』の場合。
    ……ごめん。息が続かないというのもあったけど、
    この前、ためしにやってみたら無意識に電撃を放っちゃったみたいで。
    「電気タイプが水中に潜るんじゃねぇぞ!!」って
    怒られたから却下ということで。
    ……ギャラドスさんの説教にはもうこりごりっていうのが本音だけど。

    『うずしお』の場合。
    …………おぼれそうになったので、これも無理。
    しばらくはニョロモ君の体のうずを見たくなかったぐらい、
    トラウマになっちゃったのはここだけの話だよ。

    『ロッククライム』の場合。
    ……うーん。
    木に登るのと崖を登るのとじゃ勝手が違うみたいで。
    僕、森育ちだからさ。崖には慣れてなくて……。
    それとどうしても時間がかかりすぎてしまったから、
    これもどっちかって言われたらアウトだよね。


    「……というわけで、僕は次、この『ひでんわざ』でいこうと思ったんだ」
    友達のコラッタ君に僕はようやくたどり着いた一つの答えを切り出した。
    「え〜と、ピカチュウ? 
     なんでおれっちの頭の上にマトマの実を置くんだい?」
    「いい? コラッタ君、そこから絶対に動いちゃだめだよ?」
    なんだかコラッタ君が戸惑っているようだけど、
    僕はこの『ひでんわざ』を使うために、ある技を使った。
    僕の黄色のしっぽが鋼色に上塗りされていきながら輝きだす。
    「ピカチュウ? それ、『アイアンテール』じゃあ……?」
    『アイアンテール』を水平切りのごとく思いっきり振ってからの……。
    「『いあいぎり』!!」



    「……いいかい、ピカチュウ? 
     こ・れ・は・あくまで『アイアンテール』だから『いあいぎり』って呼べないよ」
    「そうかぁ……。いい線だと思ったんだけどな。マトマの実はちゃんときれいに切れたのにな」
    「……おれっちの頭にもハゲができたしな」
    「…………」
    「…………」
    「ごめんね?」


    うーん、新しい『ひでんわざ』を手に入れるのは難しいなぁ。
    でも、もう少し考えてみたら……なにか思いつくかもしれないし。
    僕の新しい『ひでんわざ』を探す考えゴトはまだ終わりそうにもなさそうだ。



    [書いてみました]
    私はまだブラックホワイトを手に入れてないので、
    最新の『ひでんわざ』事情などは知らないのですが書いてみました。
    『○○○○(ひでんわざ)ピカチュウ』が次出るとしたら……!!
    と期待を込めながら。(笑)
    ちなみにNo.025はピカチュウの(全国の)番号です。
    念の為に書いておきますね。

    ありがとうございました。


    追伸:ちなみにハンドルネームの読み方に質問がありましたので
       ここで書かせてもらいますと、
       私の『巳佑』は『みすけ』と読みます。
       これからもよろしくお願いします。

    それでは失礼しました。


      [No.819] Re: ヤリオッタワァアア・・! 投稿者:   《URL》   投稿日:2010/10/24(Sun) 22:21:06     59clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    > 流石に早い・・と言うか、早過ぎですって・・!  それだけ早く書ける秘訣があるんなら、本気で師事させて頂きたいのですが(本気)

    うーん、そこら辺は人によるというか。
    私は短時間でつめて集中して書くタイプなので、元々製作時間が早いんです。でもそんなの人によりけりだと思うし、締切りに追われてるわけじゃないから、毎日ちょこちょこ進めて、のんびり書いたっていいと思うのです。

    > ・・しかも、ポリゴンZ拘り眼鏡臭いし・・・(汗)
    > 大量にいた研究員が、外部から入ってきた侵入者に完全粘着してる部分が、古き良き時代の潜入ネタを髣髴とさせて好きです(笑)

    笑ってもらって嬉しいです。
    なるほど、拘りポリ乙でしたか(ぇ
    なぜかこういう所の人は、侵入者にたかってくる傾向がありますw

    > この先、どの様に対戦界で発展していくんだろう・・・?
    > 個人的には、新しく悪戯心に目覚めたリオルとヤミラミが欲しくて堪らないザマス。  ・・・遂にリオルやオニドリルが、ネタではなくて実戦に起用できる時代が来た・・!(小躍り)

    オニドリル!オニドリル!
    小説の対戦描写も、おいおい考えないといけませんね。
     
    > 最後の上司に対する主人公の心の叫びが、彼の人生の教訓として機能することを願って・・・

    主人公「ふー……(遠い目)」


      [No.618] 拝見! 投稿者:サトチ   投稿日:2010/09/09(Thu) 19:03:37     75clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    ほのぼのとした雰囲気が暖かい、なんともかわいらしい小品。
    新美南吉の「手袋を買いに」を思わせる少女の愛らしさがよい。

    それにしても、炎ポケモンが雨の中で長時間待ってるって結構デンジャラスなのでは(笑)


      [No.543] Re: うちのマリルが…… 投稿者:ピッチ   《URL》   投稿日:2010/08/27(Fri) 20:46:40     68clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    > 知恵袋に寄せられた相談:
    > 家で飼っているマリルが、水鉄砲でお風呂に水を張ってしまいます。
    > 何度お湯を沸かしても、目を離した隙にマリルが水風呂にしてしまいます。何度叱ってもやめません。
    > 水風呂になるたびに、水を抜いてお湯を沸かしています。光熱費も水道代もばかにならなくなってきました。
    > マリルの水鉄砲は雑巾みたいな匂いがするので、それをそのまま沸かすのも嫌です。
    > 止めさせるいい方法はないでしょうか?

    回答その3:
    一度お風呂場を開放して、マリルをめいっぱい遊ばせてあげてはどうでしょう?
    満足するまで遊べば、マリルもしばらくはイタズラの手を休めてくれるかもしれません。
    その間にあなたはお近くの銭湯にでも行って、マリルとの格闘で流した汗を洗い流してくるのもいいと思います。


      [No.459] 食べに行った+さらに書いてみた 投稿者:レイニー   投稿日:2010/08/19(Thu) 01:39:29     96clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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    食糧が底を尽きた。

    冷蔵庫を開け、その事実に気がついた私は愕然とした。
    そういえばここ数日はコンビニ弁当ばかり。しばらく自炊してなかった。

    でも今から食材買い出しに行って、それから作るのも面倒くさい。
    何より、調理が終わるまで私自身がもつかどうか……。せっかくの休みなのに……。

    そこから外食しに出かけるという決断に達するのは、早かった。


    とはいえ、いったいどこへ行こうか。
    また「マクドオーバ」行くのも味気ないしなぁ……。
    そういえば外食は会社の近くばかりで、あんまりこの辺で食べたことなかったかも。

    あてもなくふらふら歩く私の目にとまったのは「定食屋」と書かれたのれんだった。
    外観は普通の戸建て。いかにも個人がこじんまりとやっている感じだ。


    気がつくと私は、そののれんの文字に引き寄せられるように、店の中に入っていた。
    よほど空腹だったに違いない。というか空腹だ。

    「いらっしゃいませー」
    すぐに人の良さそうなおばさんに迎え入れられた。


    内装も、いかにも個人の家といった感じだ。
    カウンター席しかなくて、すごく狭い店内だけど、なんだか懐かしい空気が流れていて安心する。
    我ながらいい店見つけたなぁ、とちょっと嬉しくなった。


    メニューを見る。

    「…………安っ!」

    思わずその値段に声が出てしままった。
    そのあとで、この近辺が学生街だったことをぼんやりと思いだす。
    会社まで通いやすくて安いとこ……って理由であの部屋借りたけど、そっかそりゃ家賃も安いよなぁ。
    そういえば確かに家のすぐそばに、いかにも貧乏学生が住みそうな古いアパートもあるし。


    ワンコインでもお釣りがくる値段がずらりと並ぶメニューを一通り見る。

    その端に書いてある「夏季限定 冷やし中華」という文字が飛び込んでくる。
    普通の女性の例にもれず、私も「限定」という言葉に弱い。

    「すみませーん。冷やし中華一つ!」
    「プラス50円で大盛りにできるけどどうします?」
    にこやかに訊いてきたおばさんに、大丈夫ですとにこやかに応じ返す。
    お腹は減ってるけど、流石に大盛りにするほどではない。基本大食らいじゃないし。

    「トッピングはどうしますか?」
    渡されたメニューに目を通す。

    『とっぴんぐめにゅう

     紅しょうが 五円
     わかめ 五円
     ……

    や、安い。
    こちらも破格の安さだ。
    その安さに、気がついたら叫んでいた。

    「すみません!全部盛で!」
    「冷やし中華中盛、全部盛ー!」

    ……まあ、全部盛にしても、この値段なら財布も痛くないだろう。
    おばさんの声を合図に、厨房では、いかにもこだわりの料理人といった感じの瞳をしたおじさんが、冷やし中華を作り始めた。
    特にすることもないので、私は厨房で冷やし中華が作られていく様をぼんやり眺めていた。

    鍋から引き揚げられたつやつやの麺が、次の瞬間には流水と氷で冷やされていく。
    そして、水が切られた麺はガラスの器に盛りつけられる。
    さらに、その上にカニカマ、ハム、キュウリ、トマト。見事な手際で盛られていく。
    紅しょうが、わかめ、錦糸玉子、枝豆、鳥ささみ。超豪華。
    さらには目玉焼き。ん?
    不思議に思った瞬間、タレがかけられ、冷やし中華は完成した、……わけではなかった。


    次の瞬間、おじさんはそばに置いてあったカゴから、黒い布を一匹取りだし、完成した冷やし中華の上に載せた。

    「はい、お待ち遠。」
    その冷やし中華をおばさんが満面の笑みで運んでくる。

    冷やし中華の上には、カゲボウズが一匹、ちょこんと鎮座していた。

    「…………?」

    怪訝そうにカゲボウズを見る私に、おばさんが
    「あら?全部盛っていうからてっきりカゲボウズもかと思ったけどいらなかった?ごめんなさいねー。」
    と慌ててやってくる。

    「……カゲボウズですか?」
    「そう。うちの看板息子。嫌なことがあった時でもこの子がいると箸が進むって評判なんですよー。」

    そうなんですかー。あ、せっかくなんで憑けといたままにしといてください、とおばさんに言った後、いよいよ待望の冷やし中華に取り掛かる。

    …………。
    カゲボウズがじっとこちらを見つめている。
    ちょっと食べづらいなぁ。
    そう思いながらも、カゲボウズの下から麺を引っ張り出し、食べる。ううむ絶品。


    カゲボウズかー。
    麺の上に座って相変わらずじっとこちらを見る瞳を見ながら、ぼんやり思い返す。
    そういえば、思い出したくないあの夜も、何故だかうちにカゲボウズが来てたっけ。
    この辺、カゲボウズが多いのかしら。

    ぼんやりあの人のことを思い出す。
    あの日からしばらく経って、やはりあの人のデート現場を目撃したのだろう。
    友達からメールが来て、半ば強引に飲みにつれだされた。

    「アタシもあれだけアイツは辞めとけって言ったけど、まさかアンタの恋があんな形で終わるとわねー。」
    あの娘の言葉が思いだされる。
    「ま、結果的にアンタがアイツに引っ掛かんなくてよかったんじゃないの。」
    その言葉に私、悔しくってムキになって反論したっけ。余計切なくなったけど。

    「とっとと忘れな。新しい良い恋するんだよ。」
    最後の言葉がこだまする。
    私こんなにつらいのに、何もわかってくれないって、どんどん腹が立ってきたっけ。
    あの時の感情がよみがえってくる。


    カゲボウズが、目の前をひょいと横切った。
    どことなく嬉しそうな表情だ。それになんだか気持よさそう。

    その瞬間ふと、気持ちが軽く、そして落ち着いてきた気がした。

    確かに。
    あの時は苛立って一方的に出て行っちゃったけど、今冷静になって思う。
    あの子の言うことも一理ある。新しい恋した方がいいんだろうな。

    後でメールしよ。「ごめん」ってことと「ちゃんと忘れる」ってこと。


    気持ちがどんどん軽くなって、確かに冷やし中華の箸も進んだ。
    カゲボウズは相変わらず、こちらをじいっと見つめていた。

    いつの間にやら、豪華な冷やし中華は皿から姿を消していた。


    「ごちそうさまでしたー。」

    お腹は満たされ、そして心はすっきりして、私は店を出た。
    これが看板息子の力かー。確かに食事前より気持ちいい。
    また来よっかな、とどこまでもまっすぐな三色の大きな瞳を思いだしながら家路に就く。

    さっき思い出したアパートの前を通り過ぎる。
    ふと見てみると、私の記憶の中の物より、さらに年季が入っているように見える。
    洗濯ひもには、黒い布……カゲボウズが気持ち良さそうに風に揺られていた。
    やっぱりこの辺カゲボウズ多いのかしら。


    そして住みなれた我が家の前に来た時。


    「……あ。」

    そこにいたのはこの間のジュペッタと、つぎはぎだらけのヒメちゃんを手に持った、その相棒さんだった。


    おわり

    ---

    【書いてもいいのよ】
    【描いてもいいのよ】
    【批評していいのよ】
    【フラグ立てていいのよ】
    【一匹ほしいよ】
    【食べに行きたい】

    ---

    きとかげさんの定食屋が素敵すぎたのでカッとなって書いた。
    カゲボウズに見つめられながら冷やし中華食べたい。主人公そこ変われ(え)

    さらにてこさんの素敵なレスがついていたので、さらにフラグを立ててみた。
    むしろぬいぐるみボコらせたうえに全力土下座すみません。

    もうこのままみんなでカゲボウズに萌えてさらに伸びればいいと思うよ!


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