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じゃ、フランス留学経験のある俺が勉強を見てあげるという名目で。
たぶん、行けると思う。
「おっ、久しぶり」
大学の中庭にある椅子に座ってのんびりしていると、声をかけられた。文学部でフィールド文化だか何だかを専攻している、僕と同郷の幼馴染だ。
「お前が中庭にいるの珍しいなぁ。ヤミラミ元気?」
「まあたまにはね。ヤミラミはまあ、相変わらずだよ」
僕は隣のいすでぐったりとしているヤミラミに目を向けた。暑さでだれている。
「はっは、やっぱ暑いか」
「暑いだろうねえ。ねえ、何か涼しくなるような話ない?」
「えー? そんなこと言われてもなぁ、どっちかって言うと僕は涼しくなるより笑えるような体験しかないぞ」
小学校の4年(くらいだったと思う)に越してきたそいつは、人一倍霊感が強いことで有名だった。
残念ながら、僕はそういう霊的な体験を全くしたことがない。いっそ清々しいほど、ない。……と思う。
有名な心霊スポットやら幽霊屋敷やら連れて行かれたことがあるけど、何もない。というか、僕が行くと何も起こらなくなる、らしい。
そう言えば昔、こいつのおばあちゃんに、僕はすごく強い守護霊を連れていると言われたことがあった。
気になったから、僕とこいつともうひとりの幼馴染達とで花火をしているときにこいつに聞いたら、確かにいる、と言われた。
「確かに、すごいのがついてる」
「すごいの? それって例えば、お侍さんとか、軍人とか?」
「いや、ポケモン」
「ポケモンかぁ。じゃあ何だろ、カイリューとかギャラドスとか?」
すごく強いポケモン。僕はこの頃ポケモンについてはちっとも詳しくなかったけど、ちょっとドキドキする。
そしたらこいつ、僕の足元をじっと見て、こう言った。
「いや、ネズミ」
僕ともうひとりの幼馴染は声をそろえて「は?」と言った。
ネズミって。いや、ネズミって。
「……何それ?」
「かわいいよ。うん。かわいい」
そう言ってこいつは、僕の足元の何かをなでるしぐさをした。
まぁ当時の僕はポケモンの名前を言われても、何もわからなかっただろうから、それ以上聞なかったしこいつも教えてくれなかったけど。
「……ねえ、そういえば、僕には未だにそのすごい守護霊がついてるの?」
「うん。超強いのがついてる」
そいつはあっさりとそう答えた。
「お前の守護霊のおかげで、お前の周辺全然霊いないんだぜ。あーやべー超癒される」
「そ、そんなすごいの?」
「うん。悪霊も呪いも裸足で逃げ出すレベル」
そう言うとそいつは、僕の足元から何かを持ち上げるしぐさをした。
かわいいんだぜ―こいつ、とそいつはにこにこ笑って言う。
一体何なの? って聞いたら、そいつはカバンの中を漁り始めた。
「多分、見えると思う。超強いから」
そう言って渡されたのは、双眼鏡のような何かだった。
曰くこれは、シルフスコープとかいう、姿を消したゴーストポケモンが見えるようになる眼鏡らしい。最近の技術ってすごいよな、とそいつは言った。僕についてるのはゴーストポケモンじゃないけど、相当強いから多分見える、とのこと。
そいつはテーブルの上に抱え上げた何かを置いて、ここにいるよ、と言った。僕はシルフスコープを装着した。
長い鼻先。クリーム色と黒の丸い体。細い目。
ちょっと待ってこれ図鑑で見たことある。ええと何だっけ。
確かどこぞでは初心者向けのポケモンとして配られてるんだったような気がする。
「思い出したヒノアラシ!」
「おー、やっぱ見えるか」
そのヒノアラシは、テーブルの上にちょこんと座っていた。
ああなるほど、かわいい。かなりかわいい。……いや、かわいい。かわいいけども。
じっと見つめていると、ヒノアラシはぴょんとテーブルから飛び降りて、物陰に隠れてしまった。幼馴染は和んだ顔をして言った。
「照れ屋さんなんだなぁ。お前に見られるの恥ずかしいみたいだぞ」
「あ、そう……」
僕はシルフスコープをそいつに返した。そいつはしゃがみこんでテーブルの陰の何かをなでている。
いやーかわいいなぁ、と言うそいつに、僕は疑問を投げかけた。
「……本当に強いの?」
「超強いよ。見た目はかわいいけど。多分、どっかの神様か何かじゃないかなぁ。うらやましいよ、僕は見えるくせに守護霊いないから」
マジ連れて帰りたいわー、とそいつは言った。
にわかには信じがたいけど、そいつが言うならそうなんだろう。……いや、信じがたいけど。
あ、そうだ、とそいつが言ってきた。
「ちょっとさ、協力してくれないかな」
「はぁ」
何でも、そいつの研究室の奴らが、今夜どこぞの心霊スポットに肝試しに行く計画を立てているらしい。そいつ曰く、その場所は割と冗談抜きでヤバいらしくて、必死で止めたけど、幽霊が見えることで有名なこいつが必死で言うもんだから余計に面白がっているとか。
それで一同の護身のために、今夜一緒に来てくれないか、と。まぁ今夜は特に予定ないし、いいよ、と僕は返した。
じゃあ今夜8時に文学部棟の前な、と言って、そいつは僕の膝の上に(多分)ヒノアラシを置いて、去っていった。
僕は隣の椅子の上でぐったりとしているヤミラミにたずねた。
「なあ、お前、ここにいる奴見えてる?」
ヤミラミはだるそうに頭を上げると、何が? とでも言いたげに首をひねった。
……なるほど。必ずしもゴーストポケモンに幽霊が見えるってわけじゃないらしい。まぁ確かにこいつは見えそうにない。
夜8時、僕はヤミラミを連れて大学の文学部棟に行った。
幼馴染と、研究室の同級生と先輩らしい人たちが3人。合計5人。
先輩の車に乗り込む。幼馴染は顔色が悪い。マジで頼りにしてるから、と耳打ちされた。
車でしばらく走って着いたのは、山の中の少し開けた場所だった。
幼馴染の同級生曰く、古戦場だったやら自殺の名所やら火葬場が近いやら、何かよくわからないけどすごいらしい。
ぐいとTシャツの裾を引っ張られた。言うまでもなく幼馴染のあいつだ。人間の顔って本当に青くなるんだなぁ、と僕は思った。
ヤミラミが頭にしがみついてきた。こいつも何か感じているのだろうか。残念ながら、僕はまだよくわからない。
車を降りることになった。そっと幼馴染に、何が見えるか聞いてみた。幼馴染は他の人たちに聞こえないように声を抑えていった。
「す……っごいいっぱいいる。何が何だかよくわからないくらいいる。やばい。すし詰め。ラッシュアワーとかいうレベルじゃない」
とりあえず、降りたくなくなった。
幼馴染以外の人たちが早く降りようとせかすから、ドアを開けた。
瞬間、ぞわわっと悪寒が走った。
初めての体験だった。何かよくわからないけど、何かいる感じがした。視線を感じる。
やばいもう無理、と幼馴染がつぶやいた。
他の人たちは、不気味ー、とか、こわーい、とか言いながら、先へ進んでいった。
おい、あいつら追いかけろ、と幼馴染が慌てて言った。
どうした? と聞くと、そいつは冷や汗をかきながら言った。
「あの先、崖だ」
そう言われて、僕は慌ててハンドライトを向けた。数10メートル先から地面がない。他の人たちもそこそこ明るいライトを持ってるのに、全然気がついていないようだった。
僕と幼馴染は、急いで車から飛び出した。
ぐい、と何かに足を掴まれた。
いや、足だけじゃない。腕や肩、服の裾。何かにしがみつかれているような感覚。
ヤミラミが短い叫び声を上げたけど、ほとんど声にならない。僕も声を出そうとしたけど、声が出ない。
そうこうしている間に、他の人たちは刻一刻と崖に近づいている。
僕は体中の力を振り絞って、声を出した。
「く……そっ、放せ――――っ!!」
瞬間、辺りが紅色の炎に包まれた。
いつのことだったか詳しく覚えていないけど、まだ小さい頃、父さんに連れられて山に行った時のことだったと思う。
気がついたら父さんがいなかった。はぐれて道に迷ってしまったのだと思う。
道に迷った時は山を降りるんじゃなくて、とにかく登りなさい、そして道を探しなさい、と父さんに言われていた僕は、泣きながら山を登って道を探した。
地図の見方や万が一の時の対処法は父さんに仕込まれていたけど、怖くて心細くてしょうがなかった。
そんな時、僕は壊れた小さな木の建物を見つけた。
その建物は大きな岩の下敷きになっていた。落石で潰されたらしい。
ふと近くを見ると、何か小さな生き物が、石の下で暴れている……ような気がした。僕は小さな子供が抱えるのは少々大きなその石を動かした。だけど何もいなかった。
次の瞬間、周りが炎に包まれた。
僕はびっくりして、何が何だか分からなくなった。
気がついたら、僕は父さんの後ろをついて、山道を歩いていた。
父さんに聞いても、僕はずっとついてきていたと言われた。
よくわからなかったから、夢だと思うことにした。そしてその記憶も成長するにつれて薄れていった。
幼馴染のおばあさんに守護霊のことを言われたのは、その直後のことだ。
それからというもの、山に行って危ないことがあっても、僕はけがひとつなく帰ってこられた。
そうだ。これは、あの時見た炎と同じだ。
炎が消えた。体が動く。幼馴染はその場にへたり込んだ。ヤミラミが僕の頭にしがみついて震えている。
僕の前に一瞬、小さなヒノアラシの姿が見えた。
うわっ崖だ、あぶないなぁ、という先輩たちの声が遠くから聞こえた。
帰りの車の中で、幼馴染はずっと膝の上の何かをなでていた。ありがとなー、と小さな声で何度も言っていた。
そいつは膝の上に乗っている(らしき)ものを僕の膝の上に乗せて、言った。
「さすが土地神様は強いなぁ」
「みたいだね……」
ヤミラミが膝の上に降りてきた。幼馴染は僕の膝の上から何かを持ち上げて、自分の膝に乗せた。
なるほど、僕にはとんでもないものがついているらしい。
何の因果か、僕を守ってくれているのだから、悪い気はしない。ありがたいことだ。
でもとりあえず、もう二度と肝試しには関わるまい、と僕は誓った。
おわれ。
電波って大事だよね。
【好きにしていいのよ】
ぼくはようやくこのやみのせかいからぬけだすのだ
ながいあいだせわになったこのからだにわかれをつげ
ずっとあこがれていたひかりのせかいにこのはねをひろげるのだ
いちどだけみあげたそとはあまりのもまぶしかったが
きっといまのぼくにはだいじょうぶだろう
なぜならちかのせかいにてきしたからだから
おおぞらをとびまわるためのはねをてにいれたのだから
ぼくのぶんしんよ ぼくがおいていくことをゆるしておくれ
きみもぼくであることにはかわりはない
ただ ぼくはきみをわすれない
ぼくはこれからめいいっぱいぼくのいっsh
ばきっ
めしゃ
もぐもぐ
ごっくん
ピジョン「あー進化したてのテッカニンうめぇ。早起きしてよかったー。 あ、そこにヌケニンもいる」
【書いても良いのよ】 【批評しても良いのよ】
崖が崩れはじめる。俺よりも上の方にいたフーディンが、足を取られ、転ぶのが見えた。
「だああぁぁぁっ!」
渾身の力を振り絞りフーディンの体を受け止める。重いなぁぁぁ!!ちくしょううぅぅ!!この頭でっかちいぃぃ!足を泥に沈ませ、何とか転ばずに耐える。つもりだった。
かかとがわに草か何かがまきつき、重心が一気に後ろに傾くのを感じた。視界が上へと向いた。空が見えた。
「うぐっ!」
そのときだった。背中が弓なりに反る。人生で一番、背骨が反ったとか思った。その背骨の反った形のまま、俺の体は静止した。きうぅ。小さな声がした。俺の背中を後ろからぎゅうぎゅう押しているのは、いつの間に出てきていたムウマージだった。サイコキネシスの光が、ゆっくりと俺とフーディンを包み込む。指の先、足の先までが紫の光に包まれている。
けれど、いつもより、弱い。普段の彼女ならもっと強い力を出せるはずだが、体力のない今、長くは持たない。
時間はない。目の前には、フーディンの頭がある。――やるしかない。俺たちがどうなろうとも、これをやるほか、ない。大きく深呼吸をして、唾を飲み込む。フーディンの耳に届くよう、わずかに顔の向きを変え、俺は言った。
「フーディン……頼む!」
――黄金色に輝く二本のスプーンが、大きく折れ曲がった。
土砂は崩れない。木も倒れない。その場所で止まってしまっている。否、止められている。時間が止まってしまったかのように、泥も木も動かない。
突然の状況に戸惑っている彼らに俺は傾いた姿勢のまま叫んだ。フーディンのサイコキネシスの力で、土砂や木々の動きを止めている。
「行ってくれ!はやく、ここから逃げてくれ!」
俺とムウマージがフーディンを支え続けなければ、あっという間に土砂は流れ出すだろう。だから、俺は逃げられない。
――フーディンの力が切れたら?
考えたくもない。
トレーナーは苦い顔をしていた。彼の隣で、彼のポケモンであるリオルが一生懸命に彼の手を引っ張っている。彼の拳が、白くなる見えるほどにきつく握り締められていた。彼のポケモン達も、同じ表情をしていた。けれど、すぐに彼らはずぐに身体を翻し、走って行った。 こういうとき、レンジャーはどうしなければならないか。彼はわかっている。レンジャーの鉄則。より多くを助けられる道を選べ。もし、俺が彼だったら、ああいうふうにできただろうか。ぐずぐずして、困らせそうな気がする。もし、そんな機会があったら俺もあの人のように振舞うようにしよう。――あれば、だけど。
アブソルとリーフィアが道の先導をしている。まぶしい光を放つルカリオの波動弾が藪や木々を吹き飛ばす。
地面が動きはじめる。
「もう少しだ、フーディン!」
フーディンが苦しそうに唸る。いくら、強い超能力を持ったポケモンだとは言え、これだけ多くの物体を一度に操るのは簡単なことではない。だが――
まだ近い。この土砂崩れの規模は分からないが、ひどい場合には広範囲にわたる場合もある。彼らを巻き込まぬよう、少しでも時間を稼がなければ。
俺も全身に力を入れる。超能力はないけれど、やれることをやるしかないのだ。
「ムウマージ、フーディン!力の出し惜しみなぞするなよおぉ!もし、力が切れて土砂に飲み込まれたって必ず死ぬわけじゃないんやぞおぉ!!死ぬかもしれんが、そんなことは考えるな!!」
体の筋肉が悲鳴を上げているような気がする。いや、サイコキネシスで支えられているはずなのだから、体に負担がかかるはずはないのだ。ムウマージの力が、弱く、なってきている。
地面が滑る。パラパラと小さな小枝が顔に降りかかってくる。力を入れて無理やりに木の棒を折ったような、軋んだ音が耳に届く。そして、一気に、滑り落ち始めた――。
もう、無事に逃げ終わったか――?
泥が視界を覆い隠していく。フーディンにまわした腕に力をこめ、背中側に手をまわしてムウマージを抱き寄せる。体が浮いた。自分を支えるものは、もう一つもない。あとは、落下をしていくのみ――。
あ――。
一瞬ではあったが、何か輝くものが見えたのだ。それは光を纏った猫のような形をした、何か。未確認生物カーバンクルのような、額の赤が光っていた。そして、その後ろから古代の翼竜が流れ落ちる土砂をその身体に受け、勢いを止めた。そこまでしか、見えなかった。直後、体の右側に強い痛みを感じ、頭を打った。激しい頭痛が徐々に消えていくよう。そこで、意識が切れた。
――――
痛い。身体中が痛い。
「ん……?」
痛い?
「痛いということは……つまり、俺は生きている!」
腕の中のムウマージとフーディンが嬉しそうに微かに鳴く声が聞こえた。俺は二匹をぎゅっと抱きしめた。温かい。動いている。息をしている。俺達は、まだ、生きている。何だか目頭が熱くなって、頬に温かいものが零れた。嗚咽が、漏れる。死を覚悟はしているけれど、死ななくて良かった。本当に良かった。
けれど、そう。まだ、仕事は終わっていない。喜ぶのは帰ってからにしないといけない。両手で、顔をこすり、涙を拭きとった。二、三度叩いて、気持ちを入れ替えてようやく体を起こした。体の上に降り積もった土や落ち葉が落ちる。全身、泥だらけ。腰のモンスターボールを確認する。きちんと三つある。そのうちの一つがぐらぐら揺れている。が出せない。こいつはあまりにも血の気が多すぎて、トラブルをよく起こしがち、すなわちトラブルメーカーである。だから、自分で出てこられないようなモンスターボールに入れてあった。まぁ、今でてきたいという気持ちは分からなくもないが、お前は駄目だ。
ムウマージは抱きしめていたおかげでそこまで負傷はしなかったようだ。フーディンのほうは若干、傷が目立つが……まぁ、だいじょうぶだ。こいつなら。俺の身体も痛みはするが、骨折したり、大量出血はしていない。不幸中の幸い、か。
「フーディン、ムウマージ。緊急事態のアレ、頼む」
合点承知之助だい!とばかりに、フーディンがスプーンを前にかざす。あれだけ、崖を転がり落ちたと言うのに、こいつはスプーンを手放さなかったのだ。見上げた根性である。ある意味。フーディンがじこさいせいをし、それにムウマージがぴったりとくっついていたみわけをする。そうすれば、ある程度までは体力を回復できる。
俺はぼんやりと崖へと目を向けた。まだ、頭がぼうっとして記憶が曖昧だ。一つ、一つ、何が起きたかを思い出していく。
そうだ、輝く猫のようなポケモン。あれはエーフィだ。恐らく、がけ崩れの被害を緩和してくれたのだろう。きっと、フーディンの力だけじゃ、俺たちは今生きていなかったと思う。土砂に埋もれて、死んでいたか、もしくはあの少年のようになっていたと思う。命の恩人、いや恩ポケモン。誰の、ポケモンだったのだろうか。
ムウマージが俺の体にぴったりと張り付く。いたみわけ。
「ん……あと、あれ。なんだっけ。エーフィだけじゃなくて、えーっと……」
「――休んでおけ、ロー」
古代の翼竜――アーケオロスが赤い光となって消えた。泥まみれの俺を一瞥もせず、前をすたすた歩いていったのは赤い女性だった。その女性の顔は一瞬しか、見えなかったが、どこか、危うさを感じた。その人が凶悪とか、怖いとかそんなんじゃない。冷淡な顔に、鋭い眼光、低い声。だが、その奥に重いものを秘めているような気がした。あふれ出してしまいそうなほど、重いものを必死に秘めているような、そんな危うさ――だった。
「大丈夫か!」
レンジャー達が走ってくる。怪我はなさそうだ。少年も、無事なようである。
「大丈夫です!重傷ありません!」
何とか立ち上がる。うん。フーディンとムウマージのおかげで、大分痛みが引いた。
「あの人は……?」
青年のレンジャーが顔をしかめて、彼女を見る。
「あぁ、なんか助けてくれたみたい、です」
「あ……あなたは?」
赤い彼女が振り向いた。風が巻き起こり、雷が近くに落ちた。木の葉が舞い上がり、彼女の赤い髪も舞う。
そんな中、彼女は一切動かずに、ただ平然と直立していた――。
【続けていいのよ】
【むしろ、続けて欲しいのよ】
きとかげさんの彼女さんと、海星さんのエーフィお借りしました。イメージ違ったらごめんなさい。
救助隊は次号で!(すみません
みんな、救助頼んだ!
きとかげさんのアーケオロスをプテラと書いていました。化石=鳥=プテラ の考えはもう古いのかっ
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