|
ブースターとリーフィアという微妙に物足りないポケモンを選んでいるのがじわじわきました(リーフィアはブースターよりましですが)。
ご主人がリーフィアにウッドハンマーやパワーウィップを教えてますが、彼の知恵はつばめがえしを教えたところがピークだったみたいですね。改造で能力を上げたりしたら、技を気にする必要がなくなるので技のタイプ被りも気にならない。その辺が上手く表現されているのが光ってました。せめて地震を教えていれば……。やはり、楽しくバトルするためにも改造はやるべきではありませんね。
<14時00分>
ジャノビーの体力はすぐに回復した。
問題は心の傷だ。
勝利宣言までしたあとにボコボコにやられたことで、プライドが傷ついてしまったのだ。
今は昼食も食べず、部屋の角でふて腐れている。
ジャノビーというのは、種族的に元来自尊心の強い所がある。そのことは、私のジャノビーにしても例外ではない。こんな状態になると、下手したら一週間拗ねたままなんてこともある。
「ジャノビー」
と、呼んでみても
「・・・・・」
完全に無視。こちらに目を向けすらしない。
−これは、困ったな
そろそろ特訓を始めたいのだが、こう臍を曲げられてはいつまでも始められない。
仕方ないので、私は他のポケモン達だけでも練習を始めておこうと思った。
別にこういうことは初めてじゃない。
プライドの高いジャノビーは、バトルで負ける度に拗ねだすが、時間が経てばまた元気になる。
「ジャノビー、先に練習始めてるから後でくるんだよ」
ジャノビーは一瞬ピクンと体を震わせたが、振り替えろうとはしなかった。
―んー、やっぱりダメかぁ
できればここでついて来て欲しかったが、そう上手くはいかない。
<15時24分>
私はあのバトルフィールドにまた来ていた。練習ならここが一番しやすい。
ここに来てもうだいぶ経つが、私はまだ練習を始めていなかった。
もう何度目になるだろうか。私はまたフィールドの入り口に目をやり、ため息をつく。
別にこんなこと、少しも珍しいことじゃない。
拗ねたジャノビーに付き合っていたら、いつまでたっても先へ進まない。だからいつもこんな時、私はジャノビーに自力で気を取り直してもらうことにしている。
私はとにかく早く結果をださなければならない。だから、個人的な事情にかまってはいられない。
今さらそれを間違いとも思わない。
私は観客席から立ち上がった。
バトルフィールドへ向かう階段を一歩一歩下っていく。
私はまた、入り口を見た。
―気にしちゃダメだ。
ポジションに着き、腰からボールを一つ取り出して開閉ボタンを押す。
ここで私は手の中で膨らんだボールを見た。
―このボールにジャノビーはいない。
私は再びボールのボタンを押し、腰のベルトに戻した。
<15時46分>
負けた理由が自分にあるとわかっているからか、ジャノビーに早く新技を覚えて欲しいからか、それともノベルタイプな自分がこの方が感動的だと思ったからか。
理由はこの際どうでもいい。とにかく私は部屋に戻った。
<15時55分>
相変わらずジャノビーは拗ねている。
好きな食べ物をあげてみても、無視
気分転換に散歩しないかと誘ってみても、無視
あんまり拗ねていたらここに置いて行ってしまうぞと脅してみても、無視
―まったく、どうして私がジャノビーに無視され続けなければいけないのだ。バトルに負けたくらいで、そんなに落ち込まなくてもいいのに。
<16時07分>
「いい加減にしろっ!」
狭い部屋に私の怒号が響いた。
「いつまでそんなことしているつもりなんだ?
お前のせいでみんな迷惑しているのがわからないのか!」
突然の怒鳴り声に驚いたジョーイさんが、ドアの外からどうしたのかと聞いてくる声がする。
−もう、うんざりだ
私は悪くない。なのにどうして。どうしてジャノビーは私の言うことを聞かないんだ?どうして物事は私の思うようにいかないんだ?
<16時21分>
私は無理矢理笑顔を取り繕いジョーイさんを帰し、再びジャノビーと向かい合った。
いや、正確に言うと向かい合ってはいない。相変わらず、背中を向けて拗ね続けるジャノビーに、私が体を向けているだけのことだ。
−こっち向いてくれよ…
話かけることはもう無くなった。
<16時35分>
ジャノビーが泣いている。
これも今に始まったことではない。私がこの部屋に入った時から、ジャノビーが泣いていることは知っていた。向き合おうとしなかっただけで。
―ジャノビーはいつも負けた時、どう感じていたのだろうか。
突如私の中で疑問が沸き上がった。
そりゃ悔しい思いだったには違いない。私だって悔しい。でもジャノビーにはそれ以上に何かあるような気がする。
ジャノビーは、なぜここまで負けたことを悔しがるのだろうか。
ジャノビーと向き合おうとしてこなかった私には、それがさっぱり分からない。
<16時56分>
「ジャノビー」
それまでの沈黙を破り、私はまた声をかけた。
しかし、ジャノビーは反応しない。ただ静かに啜り泣くだけ。
「そのままでいいから聞いてくれ。お前がどうしてそこまでさっきのバトルを気にするのか、私はどうしても分からない。それは、私の未熟さのせいなのかもしれないし、もしかしたらそれは、気にするお前が未熟なのかもしれない。」
これまでとうって変わって、私は静かに話しかけた。
「でも、バトルに負けたのは間違いなく私の未熟さのせいだ。私があの時幼い意地さえ張らなければ、さっきの勝負きっと勝っていた。だからジャノビー、その事を謝らせてくれ。」
「ジャノビー、本当にすまない」
(17:00)
ジャノビーがこちらを向いている。私はやっとジャノビーと向き合えた。
ジャノビーは泣いていなかった。
目に涙をいっぱいに貯めて。それでも泣いてはいなかった。
私は嬉しくなってジャノビーに近づいた。
(17:03)
「ぐはっ、ごほっ」
本日二度目のみぞおち体当たりが決まって、私は激しくむせた。
―なんでこーなるの!
と、思いつつ体を曲げかけたが、曲げられない。ジャノビーが私の腹から頭を離さないのだ。
私はジャノビーを慌てて引き離そうとしたが、その時シャツを通してじわっと伝わるぬくもりを感じその手を止めた。
「特訓しにいこうか、ジャノビー」
ジャノビーを引き離そうとしたその手で、私はジャノビーを軽く抱き込めた。
(17:44)
ここまで感動的な一日が今だかつてあっただろうか。
私は今出港手続きを終えて、乗船時間を待っている。ジャノビーはバトルで負けたうさを晴らさんとばかりに特訓し、つい20分程前になんとジャローダに進化した。
『現実は小説よりも感動的なり』
−あぁ、間違いない。現実は今日の私なんかより、遥かに強くノベルタイプを貫いている。
(17:51)
私が乗る船の隣の波止場に、ある小さな田舎町へと向かう小さな船が停泊している。私が乗る船と比べたら、本当に親と子程の差がありそうな、ちっぽけな船だ。
しかし、それはいつか私が乗ってみせると心に誓った船だ。
その船に乗れば、きっとノベルタイプにならずにいても大きな感動を得られるだろう。
しかし、私はまだその船に乗れない。
未熟な私はまだ乗れない。
(17:58)
もうすぐ船がでる。行き先はカントー、クチバシティ。
そこには見たことのないポケモンが沢山いて、ポケモンジムもある。忙しくなりそうだ。
−忙しいな
−いや、ちょっと忙し過ぎないか
世の中には過労死というものがあり、忙し過ぎると死んでしまうらしい。
(18:00)
「多忙」な1日をどう過ごすか
私は悩み始めた。
----------------------------------------------------
だいぶ長いこと製作にかかってしまいました。
構想始めたのが9月上旬ごろでしたので、我ながら遅すぎたと反省しています。
かなり小説らしくないので問題があれば、連絡お願いします。
【描いてもいいのよ】
【批評してもいいのよ】
【誰か早く書くコツを教えてください】
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | |