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  [No.1014] ミスミのカミヤカオリ観察日記 投稿者:紀成   投稿日:2010/12/05(Sun) 10:40:12   50clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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ミスミが変な物をつけはじめた。byミコト

某月某日 晴れ

次の小説のネタにするため、ある人物を観察することにした。
その名はカミヤカオリ。私のクラスメイトで、ミステリアスな雰囲気を持つ。
別に美人とかそういう問題ではない。個性的な物は全て私の小説のエサになるのだ。
常に集団から一歩離れたポジションで、静かに皆を見ている。寂しいという雰囲気は全く感じられない。むしろけなしている気がする。
私が知りたいことは、ただ一つ。
彼女に危害を加えようとした者が、どういう風になるのか。
噂では、病院通いになるほどのダメージを受けるらしいが・・
取材に危険はつきものである。


某月某日 曇り

早速朝からの彼女の行動を書いてみる。
遅刻ギリギリで教室に入ってくる。別に寝坊をしたわけじゃなさそうだ。ちゃんと髪が梳かされている。
一時間目は音楽。歌のテストだったので、個室で受ける。先生に質問してみると、彼女は歌が上手いらしい。
「オペラ歌手志望?」と聞いたら、そっけなく「いえ」と言われたそうだ。
二時間目は英語。彼女は予習ノートを見せた後はずっと外を見ていた。時々髪の毛が引っ張られたりしているが、何も言わない。
ってか、誰も引っ張ってないのに・・
三時間目は数学・・だったんだけど、突然後ろの子が倒れた。酸欠と痙攣。すぐに保健室に運ばれたけど、なんで酸欠・・
彼女はずっと欠伸をしていた。
四時間目は国語。シンオウ地方の神話をやった。この時はちゃんと起きていた。なんか雰囲気がいつもと違う気がしたが、気のせいだろうか。
昼食の時、彼女は教室を出て行った。後を追いかけようとしたら、転んだ。何も突っ掛かる物なんて無いんだけどなぁ。
あと、右足を掴まれた気がする。
五、六時間目は体育でバスケットボール。ドリブル練習をしていたら、どこからともなくボールが飛んで来て、私の頭にぶつかった。痛い。
彼女には協調性が無いため、試合ではひたすら突き進む。でも妨害しようとした相手は必ず派手に転ぶ。

放課後、彼女の姿が見えなくなったため捜しに行ったら、案の定今日転んだ子に睨まれていた。
もしかして私は今、とんでもない現場に遭遇してるんじゃないのだろうか・・
彼女を叩こうとした瞬間、その子の動きが止まった。いや、固まったの方がいいかもしれない。
何か黒っぽい青色のオーラがその子を包み、そのまま崩れ落ちた。
私は怖くなって、そのまま逃げ帰ってきた。

某月某日 雨

昨日、彼女に危害を加えようとした子は休みだった。当分来れないらしい。
ふと彼女と目が合った。視線をそらすことが出来ない。
その時、私は見た。彼女の影の中から四本の黒い腕が出てくるのを。


「本当なの?」
僕は机に倒れているミスミに言った。
「うん。流石に怖かった」
「後輩にも聞いたんだろ」
美術部の中二の子。名前は空峰 緑。ソラミネ ミドリ だ。
「同じ境遇でも無いって。一つだけ教えてくれたけど」
「どんな?」
ミスミは周りを見た後、徐にダストダスを出した。指示を出す。
「変な雰囲気とか、しない?」
ダストダスはキョロキョロと見渡した後、首を振った。
「あのね」

『カミヤの血が流れていると言えば・・大丈夫でしょうか』


「カミヤ?」
「そ。私も調べてみたの。漢字だと火宮。そして分かったの。
あの子は・・」

言う前にガラッという音がした。
「・・・」
噂をすれば、とは正にこのこと。
カミヤカオリが立っていた。
「昨日から五月蝿いんだけど。雰囲気でバレバレだよ」
「な、何のことでしょうか」
ミスミがテンパっている。敬語を使うなんて、相当動揺している証拠だ。
「私のことを調べてるんでしょ。別に良いけど、何にも面白くないから」
それだけ言うと、彼女は教室を出て行った。
それだけなら気にしなかったかもしれない。

でも。
僕達は見た。

彼女の影を。

一つしかない彼女の影に、何か沢山の影が繋がっているのを。