「君に面白い話をしてあげよう」
桃髪の女性はそういって華やかに笑った。
カミサマと人間のお話(創造+混合=人間?)
人間には実は2つの意味があるんだよ。
正確に言うと、昔の人間と今の人間っていうのはちょっと違うんだよ。
昔っていうのは本当にすごく昔。世界が一度滅んだ時よりも前の話。
ああ、あまり深く考えなくていいよ。あくまでお話だと思えばいいから。
今ってさ結構変わってると思わない?
リニアとか電車があるじゃない?あれって便利なのになんで普及してないんだと思う?
1都市と1都市をつなぐだけじゃなくて全部の都市を繋いでしまえば便利になると思わない?
電車やリニアが発明されたのは結構前。
なのに普及してないのは何故?
答えは簡単。それが破滅への道であると経験したから。
昔ね、人間は高度な文明を発展させた。急速に、多くのモノを犠牲にしてね。
犠牲は破滅へと繋がっていくと彼らは分かっていた。
でもね、発展することをやめなかったの。
だって便利なことを知ってしまったら不便な頃には戻りたくないじゃない?
そして、そのまま更なる犠牲のもとに発展を続けていったの。
そうしたら、100年ももたずに生物達は絶滅していき、人間もかなり減ってしまった。
今まで溜めこんだツケが返ってきたの。
大地も荒廃して…滅んだと言っても差し支えない状態だったみたいよ。
愚かしい人間はね、世界をも巻き込んで自滅しようとしたのよ。
彼らは焦ったわ。生きたかったもの。
でも、自分たちの力ではどうすることもできなかったの。
だからね、造ったの。
世界を直してくれるカミサマを……。
え?そんなことができるのかって?
今だって似たようなことしてるじゃない。品種改良とかも新しい種の生成でしょ?
ま、そういうわけで完全無欠かどうか知らないけど、創造することができるカミサマを造ったわけ。
それで、カミサマは荒廃した大地を戻すために人間の記憶の植物や動物を元にして、新しい世界でも生きていけるように手間を加えて新しい生物をたくさん創造したの。
ポケモン達ってその時にできた新しい生物が祖先なんだってさ。
昔は火を吹いたり、水を吐いたりする生物なんて神話くらいにしかいなかったんだよ?
で、そうやってカミサマはこのひろーーい世界を作り直していったの。
だったんだけど……ある時気付くわけよ。
自分が創った生物は沢山増えたけど、今度は人間がすっごく少なくなってたわけね。
絶滅危惧種くらいの数かなあ?まあ、それくらいやばかった。
それに気付いたカミサマは焦ったの。
まあ、人間は愚かしいから滅んだ方が世界の為かもしれないとか考えてたらしいけど。
なら何故焦ったのかって?
カミサマを造ったのは人間でしょ。つまり、カミサマにとって人間って自分の存在理由なのよ。
人間がいなくなったらカミサマは居る意味がなくなっちゃうわけ。
カミサマを望む人間がいなくなっちゃうから。
だーかーら、人間を増やすことにしたわけよ。でもね、人間って1度に何人も生まれないし、産むまでに1年くらいかかっちゃうでしょ?
そんなすぐには増えないわけよ。
そういうわけで、カミサマは考えたの。
人間と新しい生物の間で新しい人間を誕生させようってね。
ほら、昔話でもあるじゃない。
人間とポケモンは同じだった、結婚しているのも普通だったって。
あれってここから来てるのかもねぇ?
で、これは成功して人間は増えていきました〜。
でもね、純血の人間はいなくなっちゃったの。新しい種の血をいっぱい受け継いで、どんどん薄れていった。
だから、今の人間ってね、人間の皮を被った全く違う生物なの。
実は人間の形をしただけの化け物なのかもねぇ?
で、それは今の君達。人間っていうわけ。
だから人間には2つの意味があるの。
昔の純血の人間。
今の人間の形はしてるけど、全く違う新しい種。
その2つがあるっていうお・は・な・し。
……どう?少しは暇つぶしになった?
え?今の話が本当かって?
さあ?だってそういうのはその時生きてた人か、もしくは……カミサマくらいしか知らないじゃない?
だから真実なんて誰にもわからないよ。
あ、ボクは用事があるからこれで失礼させてもらうね。
じゃあね〜
君は今の話を聞いて何を思うのかな?
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桃髪の女性が喧騒の中で空を見上げていた。
「まあ、昔より今の人間のほうが自然を大事にはしてるかなあ。愚かしい所はあんまり変わってないけど」
くすくすと青い瞳を細めて笑う。
「ミウ」
男の声が女性を呼んだ。
振り返れば、肌の白い、紫髪の長身の男性が佇んでいた。
「なあに?ツー」
「溜まった仕事を片付けろ」
「えー、めんどくさいよ」
「人間に紛れこむと決めたならきちんとしろ」
ぺちりと頭を叩かれた。
「わかったよ。面白いことのためにはめんどくさいこともしなくちゃねー」
笑いあいながら、男性と女性は人ごみの中に消えていった……。
造られたカミサマって桃色の身体に青い目をしてたらしいよ?
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初めましてでございます。豆兎と申します。
大バカ者でございますが、生ぬるい目で見ていてください。
今まで見る専門だったんですが友達に出してみたいなあといった所。
「YOUやっちゃいなよ!」
的な事を言われましたので、勇気を振り絞ってみました。
ポケモンがまったく出てない話ですみません。
幻のポケモンって言われてるあの子が主役です。
あの子は腹黒だって私信じてる!
「好き勝手していいのよ」
「感想くれたら踊ったりするのよ」