ここは、カモネギ師匠の「いあいぎり道場」。今日は、クリスマス・イブ。道場も今日ばかりは、厳しい修行はナシ。楽しげな笑い声と、美しいイルミネーションの明かりで包まれている。
そんな道場に一匹、コマタナが、困った顔をしてカモネギ師匠を見ていた。
師匠には、クリスマスなど関係ないらしい。今日も、昨日と同じように、ネギの素振り1000回をきっちりこなして、顔が赤く火照らせていた。
コマタナの浮かない様子に気付いた、ストライク。ストライクは、クリスマスを楽しむ気満々で、すでにサンタの衣装に着替えていた。
「どうしたんだ?コマタナ。せっかくのクリスマスに、そんな顔をして。」
ストライクが尋ねる。
「ストライク兄さん・・。いや・・何でもありません。」
「何でもない事無いだろう。それとも、この兄弟子に言えないようなことなのかな?」
ストライクは意地の悪い切り替えしをする。
「そんなことじゃないです!その・・、師匠のことなんですが・・・」
言いづらそうに、コマタナがどもる。
「師匠は、何というか・・・あの・・衣装のような・・せめて『オシャレ』みたいなことは、しないのでしょうか?クリスマスだというのに、朝からずっと修行ばかりして、全く楽しまれていない。」
コマタナの、話を聞いたストライクは、盛大に吹き出した。
「ハハハッ!何を心配しているのかと思ったら、そんなことか。」
「兄さん、そんな笑わないでくださいよ。僕は結構真剣に困っているんですから。」
コマタナは、少しむっとした様子で言った。
「すまん、すまん。だけど、大丈夫だ。師匠は万事心得ていらっしゃる。ちゃんと、夜のパーティには参加なさるし、『オシャレ』だってしている。」
「えっ!どこがですか?」
「それはな・・・」
と、言いかけてストライクが口をつぐんだ。なぜか、その顔はニヤニヤ笑っている。
「兄さん、どうしたんですか?」
「コマタナ!」
コマタナの背後から、カモネギ師匠の声がした。
「師匠!その・・これは・・・。」
ストライクに突っ込まれた時の、100倍コマタナは焦っている。
「黙りなさい。」
師匠が言った途端、コマタナは石になったかのように硬直した。
「私を見て、何か違うと思わないのか?」
「えー、そのー、あ、そう言えば、羽の艶がいつもと違うような・・同じなような・・。あ、師匠の顔がいつもより赤い!」
突然自信満々に、コマタナが叫んだ。
「コマタナ」
怖いほど、穏やかな声で、カモネギ師匠が言った。
「素振り1500回。今すぐやって来い!!」
カモネギ師匠が爆発した。
「師匠、いくらなんでも、無理があるんじゃないですか?」
ストライクが、カモネギ師匠に言った。コマタナが、泣きそうになりながら素振りをする音が聞こえる。
「無理なんかあるものか。コマタナの見る目がまだまだ育っていないだけだ。」
師匠は事もなげに言う。
「でも、いつもの白ネギの、青い所少し切ったって、あまり変わらないと思うけどなぁ。」
「ストライク、お前も素振りしてくるか?」
ストライクは突然パーティの準備をしなければ、と言ってどこかへ消えていきました。
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「ザ・プロフェッショナル」カモネギ師匠と、クリスマスを合わせてみました。
もともと、カモネギでひとつ書いてくれと言われたものに、自分の過去作と、クリスマスを足しただけですが・・・
師匠ならきっと、クリスマスといったら、ホワイトクリスマス。ホワイトなら、白。白いのは白ネギ、くらいの発想をしてそうと思ったもので。
【書いてもいいのよ】【描いてもいいのよ】【批評してもいいのよ】【白ければいいのよ】