[掲示板へもどる]
一括表示

  [No.1243] 短編2(ポリゴン・またまたヌケニンのお話) 投稿者:スウ   投稿日:2011/05/29(Sun) 16:49:47   71clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
タグ:TEST1】 【TEST2】 【TEST3】 【TEST4】 【TEST5







   ■ポリゴン

 ポリゴンの瞳は物事の本質をよく捉えている。傍目にはどこを見ているのかわからない事が多いが、何事においても実によく観察している。その瞳から得た情報を体内でデータ処理し、必要があらば書き換えてしまう。この機能をテクスチャーと呼ぶ。

 トレーナー達がこのテクスチャーを用いる例として、最もよく目にするのが、格闘タイプのポケモンと対峙した時だろうか。

 まず、ポリゴンにシャドーボールという技を覚えさせておく。これはゴーストタイプの技だ。ゴーストタイプの技は、このシャドーボール一つだけにしぼり、残りの技をノーマルタイプのものばかりで固める。
 こうしておけば、テクスチャーを使用した際、ポリゴンは失敗の心配なく、ゴーストタイプのポケモンに変化することができるのだ。相対した格闘タイプのポケモンはご自慢の格闘技の威力を振るえず、返り討ちにされるという寸法である。一時、この戦術はポリゴン好きの間で流行ったが、それも今は昔の話だ。

 今は、適応力を身に付けたポリゴンZが、その反則的な威力のトライアタックや破壊光線で、相手に行動の暇さえ許さず、一撃で黙らせてしまう。
 時代は変わってしまった。
 観察の必要が無くなり、テクスチャーで遊ぶことができなくなったポリゴンは、ただ単に、事務処理を行うだけの砲台と変わりないのではないだろうか。

 そびえ立つ塔がどんどん高くなり、地下鉄の線路がどんどん遠くまで伸びる昨今、ポケモンバトルというものは遊びの一環ではなく、もはやただの作業となりつつある。
 テクスチャーを奪われたポリゴンはよく知っている。





   ■またまたヌケニンのお話

 きっとこれまで幾人もの人間が、ヌケニンの背中の隙間を恐る恐る覗いてみたことだろう。
 そしてその後、彼らは内心冷や冷やとしながらも、自分の肉体がまだちゃんとある事に安堵して、こうほくそ笑んだことだろう。

「いやあ、別になーんにも起こらなかったよ。やっぱり、あれは迷信だった。
                     だいじょーぶ。ぜんぜん平気へいき」

 で、彼のその声が、友人達やオーキド博士に届くことは、もう決して無かったりするのだ。