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  [No.1250] 焼けてない。 投稿者:スズメ   投稿日:2011/05/30(Mon) 21:51:49   109clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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「焼き鳥が一羽、焼き鳥が二羽・・・」

 その日も焼き鳥屋さんは、電線にとまるポッポたちをそう数えていました。
 焼き鳥屋さんから見れば、生のポッポ(野生のとも言い換えられる)も加工された鶏肉さんも同じだったのです。
 
 「あいつらが捕まえられたら、どんなに生きの良い焼き鳥になるか」

 窓の外を眺め、毎日同じ言葉を漏らします。
 はてさて、言動はともかくこの焼き鳥屋さん、何気に地元じゃ人気のある焼き鳥屋さんです。
 ちょっと年期の入った調理場はすすけて、なんだか居酒屋という雰囲気がしますが、ここは焼き鳥屋。
 別名居酒屋といっても差し支えのない親父さんお勧めのお店ですから、問題ナッシング。
 焼き鳥屋さん自身も鳥の鮮度や質にはめっぽううるさいものの、店の汚れに関しては興味を持たず汚れたまんま。
 お客さんの座るカウンターまですすけてたりしますが、焦げてたりするだけで汚れがつくというものでもなく、これも問題ナッシング。

 さてさて、こんなお店を電線の上からのぞく影がいくつか。 もちろん人間じゃありません。
 そんな焼き鳥さん・・・いえ、ポッポさん達の会話を聞いてみましょう。

 
 ポッポA「おい、始まったぞ」
 ポッポB「焼け始めた、いいにおいだ」
 ポッポA「あれがなんだか知ってるか?」
 ポッポB「さあ、でも焼き鳥と呼ばれていたらしいぞ」
 ポッポA「焼き鳥か、初めて聞くな。 よし、今日の夕飯はあれにしないか?」
 
 そんな会話の中に入り込んできた影もまた焼き鳥でした。

 ポッC「何の話をしてるんだ?」
 ポッA「あ、ポッポC。体調は治ったのか?」
 焼き鳥C「ああ、何とかな。それはそうと、さっき言っていた焼き鳥とは何のことだ?」
 焼き鳥B「あそこで毎日発生及び消滅する謎のおいしそうなものだ」

 ポッポBは、茶色のつばさをピンと伸ばして焼き鳥屋さんをつばさ指しました。
 ポッポAは勿体つけたように大きく息を吸い、頭の羽を揺らしながらこういいました。

 焼き鳥A「今日の夕飯はあれにしようと思うんだが、ポッポCも作戦に参加するか?」


 こいつらは何を食おうとしているんだという突っ込みはおいておいて、焼き鳥屋のメニューでも紹介してみましょう。
 まず始めに、今日の焼き鳥はニワトリのようですが、その日によって「豆鳩」や、「ぽっぽ」「スバメ」などの食材が店に並ぶ
 ということも、このお店のポイントです。 珍味として人気らしいですよ。


 さて、こちらは店を開けようとしている焼き鳥屋さん。腕まくりをしながら張り切っています。
 暑いから腕まくりをしているだけだったりもしますが、まあいいでしょう。
 いつもと違ったのはここから。
 昨日までは見ているだけだった焼き鳥(生)が、自らこちらに向かってくるではありませんか。

 「あいつらもとうとう焼かれに来たのか!」

 何かを勘違いしています。 正確に言うと焼かれるためではなくむしろ食べに来たのですが、そんなことは焼き鳥屋さんには関係ありませんでした。
 
 「いやっほー!」といいながら持ってきたのは、焼き鳥の串。 この人は何をする気なんでしょうか。

 焼き鳥(生)の進入してきた窓は真っ先に閉められ、退路はふさがれました。 
 焼き鳥屋さんの暴挙に焼き鳥(生)達はパニックを起こして逃げ回ります。もうおいしそうなものなんて頭から抜け落ちていました。
 なにしろ、焼き鳥なだけにとり頭。

 盛大な見世物バトルの末(野次馬が集まっている)つかまったポッポ3匹は焼き鳥屋さんに品定めをされています。
 
 「こいつ(焼き鳥A)は海沿いの出身か、羽がつやつやしているからな、健康状態もよさそうだ」
 
 そういって、焼き鳥屋さんは焼き鳥(生)Aをいけすならぬ鳥かご(大きい)に突っ込みました。

 次につかまったのは焼き鳥(生)C。

 慌ててつばさをばたばたさせる焼き鳥さんのけづやはいまいち。

 「こいつはあまり体調が良くなさそうだ、うちは鮮度と質を命にしているからな、いらん」

 そういわれ、ぽいっと外に捨てられた焼き鳥(不良品)Cはふらふらと逃げ出しました。
 やっぱりこいつの頭からも、他の焼き鳥(生)のことは忘れ去られています。

 最後につかまった焼き鳥(生)BはAよりも一回り大きく、立派な体格をしていました。
 風起こしをしようとするのもむなしく、つばさは風を切るばかりでつかめません。
 まあ、強かったなら焼き鳥以外にも食べ物が手に入るはずですし、良かったのは体格だけだったりしました。
 作戦の実行力は一番で、いつも危険な目にあうどじっこさんでもあったのです!
 
 そんな焼き鳥(生)Bは焼き鳥屋さんのお眼鏡にもかなってしまいました。まあ、おいしそうですよね。
 
 「こいつは山の出身か? いい物を食べて育っていそうだな、最近街に降りてきたばかりだろう、いいものが手に入った」

 そういわれて連れて行かれた焼き鳥さんは、本物の焼き鳥さんになってしまいましたとさ。
 

 ・・・というのはうそで、ちゃっかり脱走しました。
 焼き鳥屋さんの間違いは、AとBを同じ鳥かごに突っ込んでしまったことです。
 鳥頭と入っても、鳥さんってじつは、脳みその大きさの割りに賢いのです。

 つつくで鳥かごを壊して、焼き鳥屋さんの腕の中にダイブ!!


 計画は念入りに立てないとこの焼き鳥さん(生)達のようになってしまいますよ?

 おわり。

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チャットより転載しました。 以前の閲覧チャットのお題「焼き鳥」より。
【書いてもいいのよ】【描いてもいいのよ】【突っ込んでもいいのよ】【批評してもいいのよ】


  [No.1251] 焼き鳥(生) 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2011/05/30(Mon) 22:22:25   74clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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知ってるか。
鳥は見てかわいく、食っておいしいんだぜ?

豆鳩ェ……
豆鳩をまめぱとと一発読み出来た人はポケヲタ。

あーファミリーマートのフライドチキン食いたいなぁ。


  [No.1257] ポケットチキン 投稿者:スズメ   投稿日:2011/05/31(Tue) 19:22:01   66clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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感想ありがとうございます!
コンビニで食べてきました、フライドチキン。
一瞬ポケットチキン(脳内変換にてポケモンチキン)と見間違えてびっくりしました。

個人的にフライドチキンはファミマが一番な気がします。
読んでくださり、ありがとうございました!

そしてもう一つ、焼き鳥屋さんは強かった。最初は焼き鳥屋さんが返り討ちにあって、ポケモンには
生身なんかで向かっちゃいけませんってはなしにしようと思っていたのがなぜか、焼き鳥屋さん大勝利。
・・・あれー?


後日談。
焼き鳥(生)と格闘していた焼き鳥屋さんの動画がとあるサイトにアップされて注目されたとか。


  [No.1268] なんて美味しそうな話 投稿者:見学者   投稿日:2011/06/02(Thu) 22:07:53   40clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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閲覧仮想大会チャットにて、「正体が見破られたらリクエストを受けるべし」というルールに見事かかったスズメさん。いつも美味しそうな姿で現れるので、「焼き鳥でひとつよろしく」と投げっぱなしジャーマンを決めて退場したのが数日前。

注文どおり、焼き鳥が出来上がってるよ…!


> 「焼き鳥が一羽、焼き鳥が二羽・・・」

この時点で吹きました。

>  その日も焼き鳥屋さんは、電線にとまるポッポたちをそう数えていました。
>  「あいつらが捕まえられたら、どんなに生きの良い焼き鳥になるか」

職業病ですね、分かります。私もトリ類を見る度、ついつい肉付きを確認してしまうので……。焼き鳥屋さんに親近感が沸きました。
でもお店の掃除はするべきだと思う(笑)

その後の焼き鳥屋さんの言動、おバカで愛らしいポッポABC…じゃない、焼き鳥(生)達の行動に終止爆笑、特に『なにしろ、焼き鳥なだけにとり頭。』がツボに入りました。上手い……!こういうの大好きです!

さて、焼き鳥屋さんのお眼鏡にかなってしまった哀れな焼き鳥(生)達の運命は…えっ、本当に焼かれた!?

と思いきや、やれやれちゃんと脱走したのね……って、焼き鳥屋さんの腕の中にダイブしちゃいかんがな!
えーと、計画は念入りに立てないとこの焼き鳥さん(生)達のようになってしまいますよ?ということは、つまり…。

南無。そしていただきます。


とりあえず突っ込ませていただきます。なんでスズメさんの書かれる生き物は皆愛らしいんだ……!素晴らしいじゃないかコンチクショウ!

焼き鳥話を楽しませていただきました。リクエストを受けていただき、どうもありがとうございました!   見学者(の皮を被ったラクダ)


  [No.1269] 一羽500円です。 投稿者:スズメ   投稿日:2011/06/02(Thu) 22:55:01   51clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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感想ありがとうございます!
焼き鳥屋さん、あの焼き鳥屋さん本当はポッポに倒されるつもりだったのですよ・・・なぜか勝ってるし。
気づいたときにはすり替わっていました、焼き鳥屋さん強い・・・。
誰か様のツイートで、焼き鳥屋をのぞき込む鳩さんの話が出ていたのが元になりました。
焼き鳥屋さんから見たら、おいしそうに違いないと。
途中から焼き鳥(生)に表記が変わっているのも気のせいです。
本当にこんなことをしたら携帯獣なんやらかんたら法に引っかかりそうですが・・・。
焼き鳥さん達がかわいく見えたのならよかったです!
って・・・正体判明しました。
読んでくださりありがとうございましたforラクダさん


  [No.1344] 鳥さん、生のまま。 投稿者:スズメ   投稿日:2011/06/21(Tue) 00:32:46   103clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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いつだったか、家に帰ると飼っていたピジョンが親父に追っかけまわされていた。
 少しの間だからと油断して家においていったのは悪かったが、そんな心配をする必要があること自体、何かおかしい。
 そのピジョン、捕まえたばっかりで家に早くなれて欲しいのと、日光浴のつもりで
 よく日の当たる木の上で休ませていただけだった。
 その時も、親父は野生の焼き鳥とかいいながら人のポケモンを追っかけまわしていたっけな・・・。

 久し振りに家に帰ってきた俺の目の前で、鳥と格闘している親父はあの頃から何一つ学んでいない。
 当時と違うのは、「竹串」という武器を持っているところと、少し老けたってところか。
 野次馬に上手く紛れながら、あのポッポたちをどうしようか考える。
 まあ、逃がすのが正解なんだろうな・・・。
 あのピジョンも、親父に追っかけまわされてから親父恐怖症になって、ストレスのあまり羽を自分で抜いたりだとか
 パニック起こしたりだとかで結局逃がしたし・・・この家で鳥を飼うのは至難の技だ。
 そして、注目されずに実家に入れないとかどんなんだよ。

「なあ?」とボールの中に入ったフシギソウに話しかけると、カタカタっとボールがゆれた。
 お前、話の内容わかってないだろ・・・一緒にいるようになってから実家に帰るのは初めてだもんな。
 以前はどのポケモンを捕まえてきても、親父に焼かれそうになるせいで、ポケモンを飼えなかったし
 そこまで遠くないくせにと言われながらも、わざわざ下宿を始めたかいがあるって物だ。
 ・・・ぼろいけどな、お化け出るし。 それでもポケモンは飼える。
 ついでに言えば、親父のことでからかわれることも無くなった。

 この後もそうかはわからないが・・・見物客の多さにため息をつく。
 あ、親父がポッポたちに勝利した。 そして警官が来た。
 親父も悪気があってやってるわけじゃないからな・・・それを知ってか、警官も苦笑いを浮かべている。
 見たことがあると思ったら・・・初老という風貌の警官さんは、親父がよくお世話になっていた人だった。
 こうやってポケモン追っかけまわすたびに説教されてるもんな・・・。
 幸い、ポケモンに怪我をさせたりとかはしたことが無いんで、何時も説教で済んでるみたいだ。
 警官さんと一緒に何処かへ歩いていく親父を見送りながら、わざわざ塀に囲まれた裏庭の方へ、進路を変えた。
 あの光景は久し振りに見た、なんか懐かしいな・・・もうみたくないけど。
 
 明るい日差しのなかで、見物者だらけの焼き鳥屋部分から繋がる実家の後ろに回りこんだ。
 目の前のブロック塀は、1メートルぐらいある。
 乗り越えるには老朽化していて危ないにしろ、こっちにはフシギソウという強い味方がいる。

 「よろしく」

 紅白のボールからポンッと現れたフシギソウは、待っていたとばかりにつるを伸ばし、俺を持ち上げた。
 役に立ってるんだぞと言いたげな顔は、おやつの報酬を期待していそうだ。
 悠々とブロック塀を越えて、フシギソウをボールに戻し、塀の中でもう一度ボールから出してやった。
 かばんからポロックケースを取り出し、ポロックを一粒フシギソウにあげた。
 かぷかぷと、幸せそうに味わっているフシギソウの横を通り抜けて、さっき親父に捕まっていたポッポのもとへ。

 脱出劇に失敗したポッポ2ひきは、金属製の鳥かごに入っていた。 かなり窮屈そう。
 人間が来たせいでかなりおびえているポッポにはかまわず、鳥かごの戸を開ける。
 呆然と見つめる鳥さんの前に、フシギソウの好物のポロックを数粒置いた。
 あっという間に嗅ぎつけたフシギソウが、ポロックを求めて走ってくる。
 その勢いにさらにおびえたポッポたちは、広い空へと逃げていった。
 本当は、あのポッポたちにポロックをやりたかったんだがな・・・。
 うれしそうにポロックを食べるフシギソウをみていると、まあいいかという気持ちになってしまうから不思議だ。
 どたどたと足音が聞こえてきた。
 足音の主は、親父。
 
 俺は、ポッポのことなんか知らないからな、お前も話を合わせろよ?
 そういってぽんぽんと叩いたフシギソウの顔は、にこっと笑っていた。

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食べられたか食べられなかったか不明な焼き鳥さん達の補足。
> 【書いてもいいのよ】【描いてもいいのよ】【突っ込んでもいいのよ】【批評してもいいのよ】