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  [No.1293] 夜明けの戦いへ 投稿者:キトラ   投稿日:2011/06/07(Tue) 20:21:56   63clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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 日差しが日に延びていく。深く降り積もった雪も、空へともどっていくかのよう。新緑が土から顔を出し、残雪とまじった風景を見せるこの時期に。

「捕まるわけないだろっ」
一匹のプテラが飛んで行く。捕獲しようとトレーナーが頑張っているけれど、プテラは相手もせずに空へと舞い上がる。追い掛けるようにムクバードが来るが、雲の上まで飛ぶと追い掛けて来なくなった。プテラにとっても雲の上まで行くほど高いところは気圧の関係で目眩がしてくる。雲にまぎれるようにしてゆっくりと高度を下げた。
 そして誰にも深追いできない森へと急降下する。シンジ湖のほとり、深い森の中。翼でスピードを下げ、上手く地面に着地するとプテラは地上に置いたリュックを探り出す。服を引っぱりだすと、安心したかのようにその姿を変えた。人間の男の子。寒さもあって、着替える速度は早い。そして自分のポケモン、クロバットとミロカロスに帰ったことを告げる。
「おかえり、コウキ」
「どうだったコウキ?」
「上々!思いっきり飛ぶのも悪くない」
マサゴタウンに行くと告げる。ここからなら歩いてすぐにある。もう友達のジュンも戻っているはず。実力試しのような依頼の報酬を、あのナナカマドのじいさんに払ってもらわないといけない。いきなり表れ、テンガン山の頂上に行ってユキノオーを捕獲してこいだの、無茶を言うじいさんだった。しかも時間制限付きだ。これはコウキにしか達成不可能のはず。自力で空を飛べて、しかもゆっくりではなく素早い動きで、さらに強敵揃いのテンガン山に行けとなると、普通のトレーナーじゃ達成が難しい。
 201番道路に差し掛かると、フタバタウンからジュンが走ってくる。コウキの小さい頃からの友達で、脚力がすごい。蹴り技ならポケモンに負けてないんじゃないかってくらいに。晴れてる日や、夏が好きで、夏になるとやたら活発になる。ちょうど、今の季節は冬から春への移り変わり。冬に元気がないので、春はすごい活発だ。
「コウキ!マサゴタウン行くのか?俺も行く!」
「何も一緒に行かなくてもいいだろ、俺は俺であるんだよ」
コウキの話を聞いていたのか、聞いてないのか、ジュンは既に走り去っていた。誘った意味がねえ。コウキはつぶやくとマサゴタウンに歩いて行く。草むらではムックルやビッパが顔を出すが、コウキの威圧感に負けたのかすぐに去って行く。昔は寄ってきたのに、薄情なやつらだ。
 何事もないようにマサゴタウンに着いた。大きな建物が目印だといっていたナナカマドのじいさん。確かに田舎町にふさわしくない立派な建物がある。漁業が盛んなところなのに、網や船が一つもないところ。確かに目立つ。コウキはそこに入って行く。すると全く世界が違うのかと錯覚するような作りの研究所が広がる。受付で名前を書くとコウキは奥へと案内される。そして連れて行かれた部屋は「所長室」と書かれた部屋。まさか、まさかなと言い聞かせるように頭の中で繰り返す。そのまさかが実現されるのはその数分後。
「約束通りの時間とポケモンだな」
白衣を着て、立派なヒゲを蓄えた所長。それがナナカマドのじいさんだった。むしろここではナナカマド博士と言った方がいいのか。コウキは驚いて声も出ない。それに構わず、ナナカマド博士はお金の入った封筒を取り出した。
「そのお金の数倍は出す。もう一つ頼みを聞いてくれないか?」
「これの倍以上?今度はどんなポケモンを・・・」
「今度はポケモンではない。人間の救出だ」
ナナカマド博士は真剣な顔で話し始めた。シンオウ地方に蔓延っている悪、ギンガ団に捕らえられている女の子を助けて欲しいのだという。その子は研究員の娘。世間にはポケモントレーナーになるために旅に出たと言ってあるが、本当は無理矢理連れ去られていったのだという。
「なんでその子に執着する?警察に言った方がいいんじゃないか?」
「それは君と同じような子だからだ。君は並のトレーナーが達成できないことをやってのけた。それは君がポケモンに変化するからだろう?」
言葉に詰まる。誰にも見られていないはず。飛び立つ時も戻ってくる時も。ナナカマド博士がカマをかけているようには見えない。コウキは返事をすべきかすべきでないか迷っていた。そのことは誰にもばらしてはいけないと言われてきた。ポケモンとして人間に使われることを恐れた両親からは特に。しかし知られてしまった以上、隠し通す自信は無い。
「何、別に脅そうというわけじゃない。なぜギンガ団にあの子のことがバレたのかは解らないが、あの子のことを理解してやれるのは君たちしかいないと思ってね、いろいろ調べさせてもらっただけだ」
「君、たち?まさか」
扉がノックされる。入って来たのは先に行ったはずのジュン。きっとまたマサゴタウンをふらふら見物に行って遅くなったのだろう。足が速いのもいいけれど、用事はちゃんと済ませないといけないと解ってるはず。
「あ、コウキ!なんだコウキもナナカマドのじいさんに呼ばれたのか」
「まさかの登場か・・・俺たちに女の子助けて欲しいってさ」
フタバタウンにいる人たちでも知らないこと。コウキがプテラ、そしてジュンがメガニウムになること。それは家族以外は秘密だったが、この二人は何となく解ってしまった。他の人たちよりもポケモンに近くて、何よりポケモンの技のようなものが使える。自分と同じような人間が側にいたら解らないわけがない。
「えええ、女の子!?それってどんな子なんだよ?」
「最初から話そう。研究員の娘がギンガ団にさらわれた。君たちと同じような子だ、すぐに解ると思う」
写真を持ってくる。黒くて長い髪の女の子。ただこれはかなり前のものだから、もしかしたら変装するために短くなっているかもしれないし、もっと違う顔をしているかもしれない。
「博士、この子は何になるのかは知ってるのか?」
コウキが訪ねる。シンオウにいないようなポケモンだったらすぐ解るし、何より普通のポケモンより頭が回る分、動きが全く違う。
「それが解らない。ただ、空を飛んだり素早く走ったりできるとは言われてる」
「言われてるって、なんでますますギンガ団がわかったのかわからないな。とりあえずわかった。ギンガ団から取り戻す」
二人はナナカマド博士に宣言する。お金という部分もあったけれど、何より自分たちと同じような境遇の子をそうやって引きはがして平気な顔をしているギンガ団が許せない。たまに出会うこともあるが、全てのポケモンをよこせと脅してくる。そういうとき、クロバットが追い払ってくれる。特に町中では技を出すわけには行かない。

 最初はギンガ団の情報を集めるか。そう二人は判断した。ここは二手に別れて行こう。そう提案した。けれど言葉は横切る疾風に遮られ、届かない。海が近いから風が強いのだろう。コウキは飛んで行きそうな帽子を押さえた。風の行く方向を見る。もの言いたげなキュウコンがいた。その毛並みは美しく、コンテストで何度も優勝しててもおかしくない。きっとトレーナーのポケモンなのだろう。それにしても近くにトレーナーが見えないけれど。放し飼いにされているのか。
「ほっほっほっほ、ギンガ団の情報が知りたいのじゃろう?」
全てを悟ったようなキュウコンに、二人は黙ってうなずく。ついて来いと言われるまま、9つのしっぽを追い掛ける。軽やかな足取り、柔らかい身のこなし。ただ者ではない。そして敵でもなさそうだ。時々キュウコンが振り返ってこちらを見ている。けれどポケモンにだって負けてない。半分ポケモンなんだから。
 森の中を随分と入って行く。そして残雪が多い開けた場所に出た。たくさんのポケモンたちがこちらを見る。その中にキュウコンが入って行く。まわりのポケモンたちは口々に長老長老と敬っていた。ポケモンたちをなだめながら、長老はその中をかきわける。そして一番明るいところに出ると、長老は振り返った。
「ふう、では何から話そうかの?」
「え、ギンガ団のことだろ!?」
「俺たちはナナカマド博士に頼まれたんだ!」
長老は若者を笑い飛ばす。
「そこまで急ぐな。ではリクエストにお答えしてギンガ団のことからにしようかのう。お前たちが探しているのはヒカリという娘じゃな」
「そこまで知ってるのか!?」
「何でも知っておる。その子はお前たちより強いんじゃ。だからギンガ団も狙っておる」
「なんで狙っているんだ!?全く話が見えない」
「ではギンガ団の目的を話そうかのう。ギンガ団の目的は、戦争のやり直しじゃ。このシンオウには昔、一組の夫婦のポケモンがいての。新しく入ってきた人間に対してどうするかでモメたのじゃ。その戦いはまさに戦争じゃ。他のポケモンたちはどちらかについて、争っての。それを見たシンオウの神様がテンガン山で東と西に分けて平和にしたんじゃ。けれど優勢だったのはどっちじゃったか、とにかく人間と共存する道を選んだ方じゃったよ。そのポケモンについていった人間とポケモンたちが今のシンオウを作ったんじゃな。ギンガ団はその戦争をやり直し、どちらが正しいかを再び選択しようとしておる」
長老の語りは重みがあり、冗談や嘘で出来るとは思えなかった。二人とも声が出ない。
「その時にそれぞれ夫婦についた6匹のポケモンが手足となって戦ったのが、現在のポケモンバトルに生かされているのう。まあそれはおいといて、その6匹のポケモンを人間に封じ込め、またの戦争に備えたのがお前たちじゃ。だからギンガ団はヒカリを欲しがったのじゃな」
「なんだってー!!!!」
二人は仰天。まさか自分たちの歴史に秘められたことを知らなかった。戦争の道具だとは。今まで人とは違うぜラッキーくらいに捉えてなかった。けれどそこにあったのは、深い怨恨のような歴史。
「まあそういうことじゃ。わしはお前たちより何倍も生きてるでのう、何でも知っとるよ。もちろん、嘘でもなんでもないわい。で、ギンガ団の情報じゃが、巨大な船で移動しとる。おそらくどこからかギンガ団ごと移動しとるのじゃろう。陸のアジトと違って、船は狙いやすいからのう、つまりは」
「つまり、今が奇襲を仕掛ける絶好のタイミングなんだな!」
「そういうことじゃ。突然のことで上手く飲み込めないかもしれんが、わしはいつでもおまえたちの相談にのってやろう。若いもんはすぐに道を迷うでのう」
「でもなんでキュウコンのじいちゃんが協力してくれるんだ?」
「わしは平和主義でのう、やっと収まった戦争を掘り起こされてもこまるんじゃよ。さて、行かなくていいのかの?シンオウの海は寒いぞ、上着をやろう」
長老から上着を一着ずつ。コウキは青、ジュンは緑色。着てみるととても暖かい。
「ありがとう、キュウコンのじいちゃん!」
「ほほ、金髪のはジュンと申すか。長老と呼ぶのがいいじゃろう。黒いのはコウキじゃな。お前たちが見事ギンガ団を止めてくれることを祈っておる」
「わかった、いい報告できるようにするぜ!」
コウキとジュンは教えられた通りに海に向かう。自分たちの役割を果たすために。


ーーーーーーーーーーー
長老がシンオウに来てくれるとな!
書こうと思っているプラチナがこんな感じの始まりだったらいいなーと
シンオウトリオは、ドラクエ2のトリオを彷彿させます

とおもったら、白黒発売され、こちらの方がぴったりではないかと思われましたが、やはりアカギさんの最終目標はこうなのかなと推理する次第です。

ロング向き?ロングは手一杯です。

それよりも、長老が違ったらすいません。チャットに住まうもふもふを管理していると聞いたのですが、シンオウに来てくれるならこんな感じではないかと思いました。違うところあったら指摘ください。


  [No.1314] 長老の呟き。 投稿者:巳佑   投稿日:2011/06/12(Sun) 21:59:55   53clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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 その身を黄金に染めた一匹の九尾狐がマトマをかじりながら、夜空を見上げていた。
 全国でも比較的、寒いこの地方の夜には散らばった星と月がよく映えている。
 マトマをかじり、真白の吐息が空を舞っていく。

「コウキとジュン、か……ふふふ。あやつら、今頃、どの辺りまで辿り着いておるかのう」

 今日、出逢った二人組の少年とその会話を思い出していく九尾の狐。
 何でも知っている自分の言葉に何回も驚いていた少年達の顔が浮かぶと、思わず、笑みが零れてしまう。
 それと、いつでも相談役に乗ると宣言したことに「仕事が増えそうじゃな」と呟いていたが、その顔は楽しそうな顔だった。
 そして、少年達の言葉も――。

『キュウコンのじいちゃん!』

 九尾の狐の頭に何かが引っかかった。

『ありがとう、キュウコンのじいちゃん!』
『キュウコンのじいちゃん!』
『じいちゃん!』

「あれか、そうか、これが俗にいうボーイッシュってやつなのか? そうか、そうか、男っぽく見えたのか、そうなのか……」

 しかし、九尾の狐は一回、目を閉じて……それから緋色の湖を開けて――。 

「わしは女じゃーーーーーー!!!!」

 九尾の狐が泣きながら何かを訴えかけるような鳴き声を一つ、月夜に吼えたのであった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 前置き:長老は一応、女です。 

★長老の件 

 灯夢さんに引き続き、コラボありがとうございます!
 長老がすごい活躍してますね!(ドキドキ)
 色々なことを知っているのは流石の一言に尽きます。(ドキドキ)
 そして、平和主義者と言いながら、今日もチャットにて、人間をもふる長老がそこにいる。(笑)
「もふもふは正義じゃから問題なしじゃ!」と言い返されそうですが。(汗)


★物語の件

 人がポケモンに姿を変えることができる設定、そしてその背景にあるものに……ドキドキしました。
 他にも長老が言っていた一組の夫婦とは?(ちなみに夫婦の予想はディアルガとパルキア、そして戦争を止めたのがアルセウスと予想)
 例の六匹のポケモンの内、残り四匹は何のポケモンか。
 また、後三人は一体誰なのか。(ギンガ団の中に一、二人いたりして……そして後の一人は中立的な感じ? と予想)
 
 色々と伏線が張られていて、この先がとても気になります!(ドキドキ)
 きっとお忙しい中(『流星を追い掛けて』もありますし)……難しいと思いますが、出来れば……機会があれば、続きを! 連載を!(キラーン)
 そして、また長老を出してあげて下さい。(ペコリ)
「うむ。待っておるぞ(キラーン)」 
 
 それでは、失礼しました。


【ジュン君、いい走りしてる!】


  [No.1322] な、なんですと! 投稿者:キトラ   投稿日:2011/06/13(Mon) 20:19:21   55clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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>  その身を黄金に染めた一匹の九尾狐がマトマをかじりながら、夜空を見上げていた。
>  全国でも比較的、寒いこの地方の夜には散らばった星と月がよく映えている。
>  マトマをかじり、真白の吐息が空を舞っていく。
やっぱりマトマかじってるんですね、ここがかなりツボでした


> 長老は一応、女です。 
な、なんだってー!!(AA略
ちょ、長老、どうかチャットで怒って、もふらないでください



> 「もふもふは正義じゃから問題なしじゃ!」と言い返されそうですが。(汗)
もふもふは正義です。問題なしです。



>  他にも長老が言っていた一組の夫婦とは?(ちなみに夫婦の予想はディアルガとパルキア、そして戦争を止めたのがアルセウスと予想)
ふふふ、そんな大層な伝説ポケモンは私には動かせません・・・


>  例の六匹のポケモンの内、残り四匹は何のポケモンか。
>  また、後三人は一体誰なのか。(ギンガ団の中に一、二人いたりして……そして後の一人は中立的な感じ? と予想)
ほら、27才に見えない方がいらっしゃるじゃないですか


> 「うむ。待っておるぞ(キラーン)」 
もふらないでください、お願いします(

こちらこそ、長老の出演許可をいただき、ありがとうございました