「だるいだるいだるいだるいだりぃ、まじクソかったりぃ」
ボキっと音を立てて芯が折れる。
十二回目のその音に、俺はもうだめだと呟きシャーペンを投げた。
芯が回って書きやすいと評判だったそのシャーペンは、カツンと音を立てて床に転がる。
机に突っ伏してから早三時間。
ことの始まりは三時間前に、珍しくテスト勉強をしようという気になり数学の問題集を開いたことだった。
乗法公式の計算がズラァっと並ぶ。さあ貴様に解けるかな?はっはっはー。
そんな声が聞こえた気がして、やってやろうじゃねぇかとガリガリガリガリ書き綴る。
途中で因数分解やらそいつらのミックスバージョンやら、わらわらと俺の前に立ちはだかったが
そんなもの自称数学スーパーマンの俺にはへでもない。オラオラァ、てめえらまとめて解いたらぁ。
そんな調子で計算問題を解いていったのである。変人じゃねぇかとかそんなの聞こえない聞こえない。
そう、ここまではよかったのだ。
が。
「……なんだ、これ?」
計算問題が終わり、その次には必ずその問題の利用。
つまりは文章問題が出てくるのが常識である。
かくいう俺もそんなことはわかっていた。わかっていたさ、それくらい。
どんな問題が出ようがこの自称数学スーパー(以下略)がけちょんけちょんにしたらぁ、とページをめくり……
撃沈した。
「なんじゃこりゃぁー!」
今がミッドナイトであることを忘れ、大声で叫んでしまった。マズイと口を押さえるが親には何も言われなかった。運いいな、俺。
じゃなくて。もう一度問題を見直す。
そこには
“問い13 このポケモンについて、空欄をうめなさい。
このポケモンは□といい、□タイプのポケモンです。身長は□cm程度で体重は――”
「もはや数学関係ねえじゃねぇかっつーの!てかルビサファまでしか経験ねぇし。誰だよコイツっ」
長ったらしい妙な文章の隣には、黄緑色の猫みたいな生き物のイラストが、ご丁寧にフルカラーで描かれていた。耳や尻尾が草みたいになってて、黒くつぶらな瞳が愛らしい……。
「わかるわけねぇっつーのぉー!」
最後にそう叫んで、俺は机の上に突っ伏した。
妙にリアルなポケモンの絵が笑った気がしなくもない。
おまけ
朝起きるとそこは机の上で、ちゃんと問題集も開きっぱなしでおいてあった。
けど。
「あれ?俺、問題集進んでなくね?」
「何してくれてもかまいませんのよ」
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はじめましての人はじめまして。こんにちは。mossという度初心者です。
テスト期間で勉強したくないよーって時に愚痴る気持ちで書きました。
初心者でチキンな上に、つたない文章ですが、
初短編ということで生ぬるい目で見たいただけたら幸いです。
お目汚し、失礼いたしました。
てか本当にこんな問題が出たらいいのに……。