プラットホームには私たち以外誰もいなかった。塗装の剥がれた灰色のコンクリートに長く伸びた影は二つだけ。私の影と、それよりちょっとだけ背の低い、私の親友の影。
地平線から顔を出したばかりの太陽は、今日も橙色の眩い光で世界を照らし出していた。毎日毎日、本当に早起きだよなあと思う。朝の弱い私は彼を見習うべきだろう。ホームの前を横切る古びた線路を挟んで向かい側に広がるのは、背の高い針葉樹の森。尖ったその丈夫な葉は冬でも枯れて落ちることはない。人工的にそこに植えられた彼らはちゃんと両手を広げて一定の距離をとり、等間隔に立ち並ぶ。時折風が通り抜け、ざわざわと葉が揺れる。
森から聴こえるのは、鳥ポケモンたちによる即興ハーモニー。どれもオカリナのように透き通り、フルートのように芯のある歌声だった。日頃磨いた歌唱力を互いに競い合うかの如く披露する、森のコンサート会場。このプラットホームは申し分ない特等席だ。あっ、今のアルト、とっても綺麗。ピジョン――かな。
「はっくしょいっ!」
隣りで盛大なくしゃみの音がして、私は振り向いた。コンサートで咳やくしゃみが録音されてしまうことは、よくあること。この街クラムフーシュでは待ちに待った夏のバカンスがやってきたばかりだが、朝のこの時間帯に限ってはまだまだ肌寒かった。
<上着着た方がいいよ、ジーン>
私とジーンは、クラムフーシュの郊外に位置するこの駅で、二時間に一本の鈍行列車を待っていた。
「そうだね――」
ジーンはそう言ってボストンバッグのファスナーを開けた。屈んだ拍子に被っていた黒のストローハットが落ちそうになったのを、私は念力でそっと支えた。
彼女の仕事は雑誌モデル。ジーンがずっと前からなりたかった仕事で、一昨年の春、その夢が叶った。その仕事が決まった時、ジーンは私のことを思いっきり抱きしめて喜んだ。私も、自分のことのように嬉しかった。でも最近は仕事先の人に怒られたり、撮影がすっごく長引いたりして、家に帰るとため息ばっかり。ジーンの一番の夢だったのに、なんだか変だなぁと思ったけど、人間ってそういうものなんだろうなとも思った。
今日からジーンもお仕事が休みだから、列車に乗ってセント・ヴィズに帰る。私たちの故郷だ。
一年前の春クラムフーシュに引っ越して来るまで、ここからずっと南の街、セント・ヴィズに私たちは住んでいた。私とジーンが出会った場所でもあるセント・ヴィズは、昔まだ戦争中だった頃、敵からの攻撃を防ぐために作られた「輪壁」と呼ばれる石の壁にぐるりと囲まれた街だ。今となってはところどころ崩れてしまっているけれど、その七割ほどは、レンガ造りが特徴的なその古い街の景観と共に残されている。
そしてなんといってもセント・ヴィズの特徴は、街全体に「運河」が張り巡らされていることだ。
川幅の大きな「大運河」から、小さなゴンドラしか通り抜けることができないような細い水路まで、まるで毛細血管のように張り巡らされた運河は、セント・ヴィズに住む人々の生活そのもの。自動車通勤ならぬ「ゴンドラ通勤」が当り前になっているくらい水運が発達し、客船や商船、水上タクシーなど様々な役割を持つゴンドラたちが赤茶色のレンガで組まれた家々と共に街の風景を彩っている。
幼い頃のジーンはその迷路のような街を探検するのが好きだった。私は走るのが遅かったから、ジーンのことをしょっちゅう見失っていた気がする。そして気付いたら彼女は、運河に落っこちているのだった。念力を使い、やっとの思いで引き揚げたジーンは身体中びしょびしょのまま、また狭い路地目がけて走り出す。慌てて私は追いかける。
ジーンはそんなことじゃ泣かない。初めて会ったジーンは泣いてばかりいたけど、私がキルリアになってしばらくたった頃から、めったに涙なんて見せなくなった。強くなったんだ、ジーンは。今でさえ毎日お仕事で辛そうにしてるし、時々弱音も吐くけど、でも、強いんだ。
ジーンがTシャツの上からカーディガンを羽織り、ついでにポケットティシュで鼻をかんだ。
そしてまた私たちは、まるで風景画の中に佇むように、静かに列車を待ち続けた。
太陽はゆっくりと木々のてっぺんのあたりまで昇っていき、日差しも強くなってきた。
プラットホームは一人、また一人と列車を待つ客が増えていった。コンクリートの床を大きなトランクがガラガラと音を立てる。高そうな革靴がコツリコツリと得意気に鳴り響く。切符をもぎる駅員はずっと事務所のイスに座っていたが、乗客が姿を見せ始めたのをしおに、改札窓口の前ちゃんと立っていることに決めたようだ。
私は足元を見つめた。濃い茶色のペンキで塗られていた痕跡があったが、灰色のコンクリートが圧勝している。このクラムフーシュに引っ越してきた日もこのホームに降りたけど、あの時もこの床、塗り直さないのかなと思った記憶がある。でも駅員さんが眠たそうに老人の切符をもぎっているのを見て、あと五年くらいはほっとかれそうだなと思った。
霧で霞んだ線路の北の果て。濃いグリーンの車体がゆらりと姿を現した。
ゴトン、ゴトン。ゴトン、ゴトン。列車は音を立てて駅へと近づいてくる。初めて列車を見た時、私はもう本当にびっくりして、ジーンの脚に巻きつくようにして身を隠した。鉄どうしが軋む音はまるで悲鳴のように聞こえたし、車体はいつかどこかで見た凶悪ポケモンのように見えた。ジーンから列車についていろいろ説明されて、恐る恐るその中に乗ってコンパートメントに座ってからも、私はビクビクしてジーンに抱きついていた。そんな私を見てジーンとその家族は笑っていた。
ギーッ。プシュー。列車は駅に到着した。
「やっと来たぁ――もう待ちくたびれたよ」
<うん>
私たちは一番先頭のドアから列車に乗り込み、四人乗りのコンパートメントに向かい合って座った。ジーンが座席の横にドサリとボストンバッグを置く。乗客も少ないし、二人で陣取ってしまっても誰も文句は言わないだろう。混んできたら詰めればいいことだし、満席になるようなことがあれば、私がモンスターボールに戻ることもできる――それはちょっとさびしいけど。
先頭車両には私たち二人と、大きなトランクを引っ張り上げて乗り込んできた初老の男の人だけしかいなかった。彼はトランクを荷棚によっこらせと乗せると、私たちの二つ後ろのコンパートメントに腰掛けて、目を閉じた。
車内は静かだった。木々の揺れる音も、鳥ポケモンのオーケストラも、ここまでは届かない。私たちが座ったシートも車体と同じ濃いグリーン。ジーンの腰に着いている私のモンスターボールの赤とあいまって、私はクリスマスを思い出した。
「あー、こっから長いんだよね。エコノミー症候群になったらどうしよう」
<どのくらいかかるんだっけ?>
「五、六時間はかかるかな。鈍行だから。特急に乗ればもっと早く着けるけど、お金もかかるしね」
ジーンは両手を組んで、盛大に伸びをした。黒のストローハットを被りっぱなしだったことに気付き、ボストンバッグの上にそれを置いた。少しだけ、髪に帽子の跡が残っている。
「そうだ、今度『イルミネ』の表紙、また載れることになったんだ」
ジーン言う「イルミネ」とは、中学生から高校生くらいの女の子向けのファッション誌だ。前にも一度、ジーンが表紙を飾ったことがある。
<すごいね、また表紙なんて>
「ほら、あそこの編集長結構私のこと気に入ってくれててさ、やっぱり付き合いは大事だよねー。そう、それでね、編集長が今度はぜひレイも一緒に載らないかって」
<私?>
「うん。今の子たちの中でサーナイトってやっぱ結構人気みたい。しかもちょうど来月号は『ポケモンと街に繰り出そう!』っていう特集なんだってさ。だから『是非、レイチェルちゃんにも』って」
<えー、どうしよう――>
表紙に載るってことは、いっつもジーンがカメラに向かってやっているようにポーズをとったりするのかな。あんな風に綺麗に撮ってもらえるのなら、ちょっとやってみたい気もする。でも、やっぱりちょっと恥ずかしいな――
「まあ休み明けだから、ゆっくり考えといてよ」
<――分かった>
ガコンと車体が揺れたかと思うと、スルスルと列車が動き出した。窓の外の針葉樹が後ろに流れていく。
最初はとてもゆっくり。しだいに速度を上げていき、線路の繋ぎ目に当たるゴトン、ゴトンという音をリズムよく刻みはじめた。森はすぐに途切れ、広大な平原が現れた。太陽の日射しが一気に列車を照らし出した。ジーンは、目を細めて外の景色に目を向けた。
「綺麗、原っぱが光ってる」
長い長い列車の旅の、はじまりだ。
◇ ◇ ◇
「うーん、朝コーヒー飲んじゃったから、寝るにも寝れないなー」
駅を出発して間もなく、ジーンはそう言って退屈そうにした。
列車は広い広い平原の真ん中をのんびりと横断していた。といっても線路の通っている周辺にはまだポツリポツリと民家が点在し、その周りに畑や果樹園が広がっている。みずほらしい顔をしたカカシをあざ笑うように、ヤミカラスがその麦わら帽子にとまって羽根の下を毛づくろいしていた。
<コーヒーって、そんなに目が冴えるの?>
「レイは全然飲まないもんね。まあカフェインが効く人と効かない人で差があるけど、私は一杯飲んだらもうギラギラ」
<そうなんだ――でも、カフェインってどうして眠れなくなるの? なんで人によって効いたり効かなかったりするの?>
「さあ……そこまで考えたことないな。とりあえず、カフェインはそういうものってこと」
<――ふーん>
ここ最近、くだらないことが異様に気になることが増えたような気がする。私はカフェインという、コーヒーに含まれる謎の成分がなぜか頭から離れなくなった。一体ナニモノなのだ? コーヒーが黒いのはカフェインの仕業なのか? どうしてカフェインは人を眠れなくする? どうして人によって効き方が違う? そもそもなんでコーヒーに入ってるんだ? そもそも――
<ジーン、コーヒーってなに?>
「は?」
<いや、なんか、気になって――コーヒー豆からできてるってことは分かるんだけど>
私は怪訝な目つきでこちらを見つめるジーンに作り笑いを浮かべた。
「うーん、コーヒー豆が原料だってこと知ってたら、ポケモンとしては十分すぎるくらいだと思うけど」
コーヒーは、コーヒー豆からできる。それは知っている。でも何だろう? このもやもやは。眠れなくなるカフェイン。カフェインはコーヒーの中。コーヒーは元コーヒー豆――
<コーヒー豆は、コーヒーになるために現れたの?>
ジーンは吹きだした。静かな車内で大笑い。初老の男性が閉じていた目を開け、不機嫌そうにチラリとこちらを見た。
「あっははは! その発想はなかった! 『現れた』って――あんた天才!」
<――馬鹿にしてるでしょ>
「いやーごめんごめん。でも考えてみると不思議、人間がコーヒーを飲もうなんて思わなかったらコーヒー豆はただの豆だったのかなー」
<どっちが良いんだろう? コーヒー豆と、ただの豆>
「さあね、コーヒー豆の方が名前付きなだけ位が上な気がするけど。豆にそんなの気にする頭はないだろうけど」
<――うん>
名前が付くと、良いのか。
私も一応、ただのサーナイトではなく、レイチェルっていう名前がある。ジーンが付けてくれた素敵な名前が。
名前――大事だ。
◇ ◇ ◇
列車の窓から眺める景色は好き。座っているだけで景色の方が動いてくれるから――なんて言うとぐうたらしてるみたいで嫌だけど、列車は世界の色んな顔を見せてくれるから。
晴れ晴れとしたスカイブルーには雲ひとつなかった。太陽の光を受けて黄金色に輝く平原は、どこまでもどこまでも続いていた。ケンタロスの群れがその三本の尻尾をのんびり揺らしながら草を食んでいたり、穴ぼこがたくさんあると思ったらオオタチがひょいっと顔を出す。この広い広い世界で今日もみんな生きているのを見て、どことなく安心を覚える。野生のポケモン達も、トレーナーと生きる道を選んだポケモン達も、いつも通り、朝を迎えている。
遠くにうっすらと山脈が見えてきた。百年よりももっともっと長い時間をかけて大陸が移動し、地面が盛り上がってできたのが山。それがいっぱい繋がったのが山脈。そうそう、山にも色々あって、火山は溶岩が地面から噴き出してできたらしい。吹き出したところがへこんで、雨が溜まって湖になることもあるんだって。それに、海の中にも山がある。実は陸よりも海底の方が山が多いらしい。海底でも噴火が起こったりする。
まるで生き物みたいだ。人間やポケモンと同じで、毎日少しずつだけど、世界も動いてる。
いくつか駅を経由し、ぱらぱらと旅行客が乗り込んできた。家族連れが先頭車両に乗り込んできた時は、小さな男の子が私の方をチラチラ見てくるので、少し居心地が悪くなった。
ジーンの携帯電話のバイブが鳴った。ディスプレイを見たジーンの顔は、ほんの少しだけほころんだ気がした。
「もしもし? おはおは――うん、今まだ乗って三十分くらい――多分昼過ぎかなー。着いたら連絡するよ――うん、はーい」
短く会話をして電話を切ってからも、ジーンの顔は浮ついたままだ。
<だれから?>
「あ、うん。アルから」
<わざわざ電話してくれたんだ、優しいね>
「ホントにねー! もう、どうしよう――」
ジーンは携帯電話をしまいながら、ヘラヘラと変な音程でそう言った。なんか、気持ち悪い。
アルは、ジーンの元バイト仲間の男の子だ。ジーンがまだ学生の頃、セント・ヴィズで喫茶店のアルバイトをしていた。同い年ということもあり、二人は気があったみたいで、当時からすごく仲が良い。こっちに来てからも、時々連絡は取り合っていたみたい。
でも、仲が良いって一口で言ってしまうには、二人の関係はちょっと違和感があった。
最初は他愛ない話で笑いあったり、バイト上がりに一緒に帰っていたりしていた。でもいつからか、特に何かきっかけがあったわけでもなく、ジーンは目が合ってはすぐに逸らしたり、会話がぎこちなくなったりすることが多くなった。
ジーンはアルからのメールに一喜一憂していた。ため息をついたかと思ったら、五分後には鼻歌を歌っていたり、そしてまたベットに突っ伏したり。四六時中「あー」とか「うー」とか唸って、正直面倒くさかった。あの時もジーンの口癖は「どうしよう」だったと記憶している。私はジーンがあんまり情緒不安定だから、なにか悪い病気になってしまったんじゃないかと本気で心配した。
しかしそれは病気ではなく「恋」というものだということを知ったのは、こちらに引っ越してくるときの列車の中だった。
「結局、伝えられなかったな」と、ジーンはその時窓から見える海の青を眺めながら呟いた。ポカンとする私に、「友達以上恋人未満」とか「告白」とか「遠距離恋愛」という用語を教えてくれた。ジーンは分かりやすく説明してくれたのだと思うけど、私は今でもそれらの言葉の持つ意味合いがよく分かっていない。
恋って何だ?
「一年ぶりか――なんだか緊張するな」
青空をバックに悠々と旋回するムクホークを眺めながら、ジーンは言った。
<ジーンは今でもアルに「恋」してるの?>
「――うん、してる。ホントしょうもないと自分でも思うけど」
好きなのに離れ離れなのは辛い。ならいっそ、「好き」を諦めた方がいい。そう言ったのもジーンだった。でも、結局ダメだったんだね――
「仕事に忙しい時は忘れられたけど、時々友達として電話とかすると、すぐあの時の気持ちが戻ってきちゃう」
<――「恋」ってそういうもの?>
「うん、そういうもの。だから困るんだ、恋って」
やっぱり不思議。人間って変。「好き」って気持ちは幸せなはずなのに、ジーンはアルのことが好きなせいで苦しいんだ。
<アルの方はジーンのこと好きなの?>
「はは、分かったら苦労しないよねー」
列車はゆっくりと速度を落とし、クラムフーシュよりもひとまわり大きな駅に到着した。ここはクラムフーシュの隣り、リエパーヤ。ジャガイモが特産品の、のんびりとした田舎町だ。この駅は町の中心に位置し、先程まで点在していた民家がいつの間にか互いに身を寄せ、駅を囲んでいた。
先頭車両には思っていたより多くの旅行客が乗り込んできた。空いていたコンパートメントが人と荷物で埋まっていく。静かだった車内も、だんだんと乗客の話し声が増えて、賑やかになってきた。
そして、列車はまた駅を発つ。
◇ ◇ ◇
リエパーヤを出発してから、列車からの景色は先程までと打って変わって山の中。車体すれすれのところまで生い茂っている木々の隙間を縫い、時々開けた眺めの良い場所からはうねるような深緑の絶景が見て取れた。
<ジーン?>
「ん?」
<セント・ヴィズに帰ったら、アルに好きって言う?>
ジーンは困ったように笑った。「言えたら、楽かもね。でも分からないや、私弱虫だもん」
好きな人にその気持ちを伝えて、一緒にお出かけしたり、仲良くして下さいって頼むことを「告白」と言う。それは、すっごく勇気がいることらしい。ジーンは中学生の時、放課後の教室で好きな男の子に告白しながら緊張して泣きだしてしまったというエピソードを話してくれた。
そこまでして「告白」する理由は簡単で、好きな人と一緒にいたいから。その人と時間を共にしたいから。だから傷つくのが怖くても、勇気を振り絞って言葉にする。
<ジーンは弱虫なんかじゃないよ>
私は「恋」について、人間ほどよく理解できていない。でも、今のジーンにとっては「恋」がすっごく大切で、幸せと繋がっているものだってことは分かる。
<うまく言えないけど、応援してるから。ジーンの「恋」>
親友にできることって言ったら、応援くらいだと思う。そのくらいしかできないから、全力で応援する。
「レイに励まされるなんてね――ありがと。頑張ってみる」
ジーンはライト・ブラウンの髪に手ぐしをかけながらにっこりとほほ笑んだ。こんなに可愛い顔してるんだもの、きっとうまくいく。
列車に照りつける日差しのおかげで車内はぽかぽかしている。ジーンはカーディガンを脱ぎ、Tシャツ一枚になった。私は大きなあくびをした。
<眠くなってきちゃった>
「朝早かったもんね、眠っててもいいよ」
<うん――お客さんも増えてきたし、ボールに戻ろうかな>
セント・ヴィズまではあと四時間はかかるだろう。乗客もそのうち車内に溢れかえる。
私はジーンに<後でね>と軽く手を振って、モンスターボールに吸い込まれた。
◇ ◇ ◇
列車はもうじきクライスト・ノールという街に到着する。ちょうどこの旅の中間地点だ。
ジーンはサングラスをかけ、少しだけ景色を眺めた後、腕を組んで目を閉じた。
――――――
地味に過去作品「しんゆう」の続きです。何気にジーンとレイチェルのコンビ、気に入っていたりw
レイちゃんはテレパシーで話している設定なので、傍から見るとジーンの独り言。これは痛いw