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  [No.1893] ポケモンウォーズ 投稿者:キトラ   《URL》   投稿日:2011/09/20(Tue) 19:41:30   32clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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どこか遠い宇宙の果てに。

 ポケモンを使い、世界を支配しようとしている帝国があった。それを阻止しようとホウエン議員が交渉し、両者は膠着状態にあった。
 帝国側が建造したポケモンリーグで常に交渉が行なわれていた。

「姫を探せ」
 ポケモンと共に乗り込んで来たリーダーは、狭い機内で抵抗する乗組員を次々と手にかけていた。
「姫を守れ!」
 乗組員たちは応戦するも、ケッキングの破壊力にはかなわない。逃げようにも、ここは空の上。逃げられるものではない。
 そのような乱戦状態の中、急ぐ足音が一つ。議員の使者としてポケモンリーグのあるサイユウシティまで来ていたハルカである。
「ポリゴン2、出て来て」
 モンスターボールからまるっこい鳥のようなロボット型のポケモンが出てくる。そしてポリゴン2を脱出用のポッドに入れる。
「ちゃんと、伝えなさい」
 そういうとスイッチを押した。ハッチが開き、上空の冷機がハルカに当たる。そしてポッドは出ていった。

 機内を制圧した男の前に、探していた人間を突き出す。それこそが議員側の使者であるハルカだった。
「貴方だったのねマスターセンリ。使者を攻撃するなんてどういうこと?」
 あえて強気な態度に出る。センリにはそれは通じない。表情を崩さず、冷静にセンリは言う。
「使者とはご冗談を。貴方がスパイだということは周知の事実。連れて行け」
「マスターセンリ、たったいまこの飛行機から脱出したポッドがありましたが、生物反応ありません」
「誤射だろう。放っておけ」
 引き上げて行くセンリたちにも目もくれず、ハルカはすでに雲海の下に入ってしまったポッドを見る。どうか無事で、あの人に着くように。


 何もない死の町。そう表現する人もいる。何にも染まらない町ミシロタウン。というものの、ただ何もないところである。それを良い事に、この付近には他の場所で何かしらの犯罪経験があるものが集まっている。まだミシロタウンはいい方。
 そこが何かしら騒ぐときがある。遠くの地方から持ってこられたポケモンを売る一団が来る時だ。そこに住む少年、ユウキはずっとそれを見ていた。家族に言われた買い物を。並べられる売り物に近づき、確認するととても珍しいポケモンが混じっているのが解る。科学技術で作られたポリゴン2だ。けれど家の経済的に珍しさだけでは買うことが出来ない。
 必要なポケモンは穴を掘るポケモン。発電できたらもっといいのだが、そんな便利なポケモンとなると値段が跳ね上がる。
「すいません、このナックラーをください」
 ユウキは金を払おうとした。けれども後ろから肩を叩かれ、振り向き様に殴られる。後ろに転び、買おうとしたナックラーを取られる。向こうも子供よりも金になるとおもったのか、そちらにナックラーを譲る。こういうことなど日常茶飯事なのだ。ここは。
「ちっ」
 あんな大人には絶対なるものか。そうおもって、再び選ぼうとするが、すでにそんなポケモンはいない。残っているのは生活にあまり必要ないポリゴン2のみ。
「さっきは災難だったなぼうや」
 にやにやと笑いながら話しかけてくる。
「このポリゴン2なら、安く売ってやるんだがなあ」
「盗品だろどうせ」
「そうでもなければ、手に入らないだろ?ポケモンなんか。特に今は帝国に全部取られちまってんだから」
 足元を見やがって。ユウキはそう思いながらも、ポリゴン2の交渉に入る。発電はできるのか、力仕事はできそうか。話すにも売ってる方はどっかで拾ってきたものだから解らんとしか言わない。まあ当たり前のこと。ポリゴン2の方も簡単な会話は出来るようで、一通りのユウキの要求することはできるようだ。
「解った。買おう」
 まわりからなんであんな必要のないポケモンを買うのかという嘲笑したような視線がユウキに刺さる。欲しかったものを買えず、ユウキは足早に帰った。
「ただいま」
 ポリゴン2を見て両親はとても驚いていたが、経緯を話すとまあ仕方ないと言う。赤く腫れた頬を押さえ、ポリゴン2を明日から可動させることができるよう、手入れをする。
「全く……早くこんなところ出て行きたい。こんな町……」
 カナズミシティまで行けばかなり治安はいい。そこの大学で学んで、ここを出ることがユウキの目標だった。
「お前もちゃんと働けよ。そうじゃないとお前の世話なんかしないからな」
「助けて」
 ポリゴン2の目がいきなり光る。そしていきなり再生される立体映像。
「助けてオダマキ博士。マスターセンリは……」
 そこで途切れ、最初から繰り返される映像。ユウキは思わずその映像を見て言った。
「ポリゴン2、これは誰だ?前の主人か?」
 何も言わずポリゴン2は映像を再生し続ける。ユウキはその中に映る女の人に釘付けだった。綺麗な女の人、同い年くらいで、素朴な人。
「ユウキ!ごはんよ」
 夕飯に呼ばれ、ポリゴン2を置いてリビングへ行く。黙々と食物を流し込むように父親が食べていた。
「父さん、あのポリゴン2、前の主人がメッセージ入れてたみたい。オダマキ博士っていってた。町外れの変人アキレギアのことかなあ?一応、あの人詳しいみたいだし」
「……忘れろ。そんなメッセージは消しておけ」
 しばらく黙々とした食事の時間。ユウキもモーモーミルクに手をつけ、パンを口に入れた。
「ユウキ、大学のことだが」
 珍しく父親から話して来た。思わずユウキは手を止める。
「来年行け」
「なんで?去年だって次の年にしろって。そうやってなんで約束を破るんだ」
 残った食事をいらないとユウキは立ち上がる。そしてそのまま外へと出ていった。
「貴方、あの子にはこんなちっぽけな町に収まらないわ。あの人の血を引いてるんだもの」
「だからこそだ」
 それだけ言うと、食事を再開する。

「脱出ポッドは無人ではなかったな」
 墜落地点を捜索していたトレーナーが言う。
「人工ポケモンだ。周囲に聞き込みをし、ポケモンを取り返せ」
 トレーナーたちが散らばって行く。


 ポリゴン2の様子を見るために戻ると、そこにいない。開いたままのドア、そして残されたモンスターボール。一瞬で解った。出ていったのだと。逃がしてはまずい。ユウキは取るものもとりあえず、外へと飛び出す。
「ポリゴン!どこいった!」
 大きな声で捜索するユウキは、暗くなってから獲物を狙う盗賊たちの格好の餌食だった。家から離れ、ミシロタウンから離れかけたユウキの前に、ポリゴン2を確認する。
「お前、何処行くんだよ。夜は危ないんだ」
「オダマキ博士に会いに行く」
「忘れろ。前の主人のことなんて」
 ポリゴン2の頭をさわる。その瞬間、頭に衝撃が走り、自分の体が倒れることを自覚することなくユウキの意識が途切れる。ポリゴン2が反撃のため、電気を溜め始めると、ポチエナに噛み付かれる。
「金持ち相手に売れば金になるぞ」
 ポリゴン2の目が点滅する。警告の赤ランプが灯った。容赦ないならず者へ警告。電気が辺りに飛び散り、ポリゴン2の体が青白い火花に覆われる。
「行け、ジュプトル」
 後ろから放たれる森の狩人ジュプトルの剣技。盗賊がばたばたと倒れて行く。盗賊の持つポケモンでは太刀打ちできず、倒れた仲間を放置して逃げて行く。
「ポケモンの声が聞こえた。大丈夫か?」
 倒れたユウキを揺り動かす。うっすらと目を開けたユウキの目に入ってくるその顔。
「あ、町外れの……」
 変人、偏屈。そんなあだ名がいつからかついていたアキレギア。その風貌も手伝って、リングマに見える。
「私がオダマキだ。そしてなぜ君はこんな暗い中にいる。危険なことは解ってるだろう?」
「そのポリゴン2が、前の主人に会うと。オダマキ博士に会うって聞かないんです」
「オダマキ……博士?」
 ポリゴン2を見る。ポリゴン2は何も言わず、先ほどのメッセージを再生する。
「助けてオダマキ博士。マスターセンリはサイユウシティを乗っ取り、全世界を破壊できるほどの兵器を建造しています。貴方だけが頼りです」
 全てが再生されている。ユウキがなぜさっきは再生できないとポリゴン2に言うが、衝撃で回路が少し痛んでいたといった。電気をためたときにくっついたとか。いまいち納得できないユウキをよそに、アキレギアの方はじっと見ている。
「オダマキ博士か。その名を知っている人がいるとはな」
「知ってるんですか?」
「その名前は随分昔に捨てた。私がオダマキ博士と言われていた人間だ」
 その事実にユウキは声が出ない。


「それで、やっぱりオダマキ博士はこの人のところに行くんですか?」
 完全な夜のため、オダマキ博士の家へ行く。質素な造りの中に、珍しいポケモンがいた。
「そうだ。私はまだ行かなければいかないみたいだから。このポリゴン2は譲っては……もらえないようだね」
「そうです。家のポケモンだし、俺の一存で決めるわけにはいきません」
「君はポケモンを持ってないのかい?」
「はい。お金がかかってしまうので持ってません」
 そういうとオダマキ博士が立ち上がり、一つのモンスターボールをユウキに渡す。
「投げてみなさい」
 ユウキが投げる。モンスターボールからは見慣れないポケモンが一匹。
「ほう、初めてでミズゴロウを出すとは……」
「え?入っているものって決まってるんじゃ?」
「これはトレーナーの素質によって出るポケモンが違うんだ。いわば素質を見るためのモンスターボール。ミズゴロウが出たということは……やはり同じか。これは君にあげよう」 
 ボールと共に渡された青いサンショウウオのようなミズゴロウ。ユウキをじっと見ている。
「素質がなかったらどうなるの?」
「ポケモンが出て来ないだけだ」
 そう言いながらオダマキ博士は荷物をまとめている。連れて行くポケモン、逃がすポケモン。それらを選り分けて。
「君はいかないのかい?」
「俺は行きません。父さんとの約束が」
「……そうか。明日の朝、送って行こう」
 ミズゴロウがユウキの足元に寄ってくる。よろしくと言うように。

 次の日、ユウキの家まで車で送るとオダマキ博士はエンジンをかけた。そしてユウキの案内で道を走り続ける。
「……君の家は……」
 白い煙が上がる。もう消えかけた炎が、そこにあった。思わずユウキは車から降りて走った。そこにあるはずの家が跡形もなく燃えている。中には逃げ遅れて、崩れ落ちた屋根の下敷きになったと思われる焼けた死体。
「父さん、母さん……」
 ただ無言で見つめる。ただの失火じゃない。ユウキは激しく燃えた跡があるところを見る。
「まさか昨日の盗賊?復讐に?」
「違うな」
 オダマキ博士が否定する。隣にはパートナーのジュプトルがいる。
「ああいう盗賊は人数をごまかすために一列で歩き、金目のものを盗むために火を使わない。これは帝国の、トレーナーだ」
「帝国の!?」
「そうだ。多分このポリゴン2を取り返すために君の家に火をつけたのだろう」
 二人は並んでただ家を見ていた。そしてしばらくしてオダマキ博士の方から口を開く。
「このポリゴン2は私が引き取ろう。そうでなければ君の身が危ない」
「……いえ、俺も連れていってください。俺の責任だ。弱いからこんな……」
 オダマキ博士は何も言わずユウキの肩を抱く。まだ感情が整理できてないユウキを。

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スターウォーズが好きすぎて、こんなん作っちゃったの巻。重症のようです。
ここらへんで力つきました。
この配役だと、オダマキ博士がセンリと対決して死んでしまうことになりますはい。
サカキさんと金銀ライバル、ゲーチスとNでも考えたのだが、サカキさんとゲーチスだとそれ以上のやつがいないためにあの親子。
いやむしろクロツグとジュンで良かった気もしないでもない。

【好きにしてください】