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  [No.2490] 【ポケライフ】改造の血 前編 投稿者:akuro   投稿日:2012/06/30(Sat) 01:19:02   45clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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「ひばな、あなたにはね……改造の血が流れているの」

 言いにくそうに顔を逸らしながら少女が告げた言葉に、キュウコンは目を丸くした。
 月明かりが美しい夜のことだった。

「改、造……?」
「ひばな、「ねっぷう」って技覚えてるでしょ? その技を遺伝させてくれたあなたの親の親の親の、そのまた親が……人の手によって作られた、改造ポケモンなの。……その子達は、逃がしちゃったけど……」

 ひばなは、信じられなかった。でも、自分が熱い風を出す技を覚えているのは本当だし、自分の親に会った記憶が無い。
 それでも、信じたくなかった。知りたくなかった。何故自分のトレーナー、コモモはそんな事を告げたのだろうか。

「ひばな!?」

 ひばなは、気付くと走り出していた。野宿をしていた森の中を、9つの尻尾を縮めてがむしゃらに走った。

◇◇◇

 ああ、言ってしまった。コモモは頭を抱える。
 ずっと、隠し通そうと思っていたのに。あの子がバトルで「ねっぷう」を出す度、胸が締め付けられた。言わなければと思った。
 でも、あの子を傷つけると知っていた。
 言わなければという思いと、傷つけたくないという思い。2つが複雑に混じり合うなかで、ついに言ってしまった。

 追いかけて、謝らなければ。コモモは座っていた切り株から立ち上がると腰についていた小さなボールを手に取り、軽くほうった。

 ポンと控えめな音と共に中から姿を現したのは、白い体に同じ色の翼を持ったトゲキッスだった。

「ハピリル、話は聞いてたわよね……」
「勿論。でも、本当に言って良かったの……?」

 ハピリルは、コモモが1番最初に育てたポケモンだ。最初のメンバーが次々と引退しても、ハピリルだけは残っていた。今やコモモのバトルパーティーのリーダーとなったこのトゲキッスは、ひばなの体に流れる血のことも知っていた。

「今は後悔してる。でも、ずっと言わない訳にはいかなかったの。追いかけて、謝らなきゃ……ハピリル、ひばながどこに行ったのか探してくれる?」
「うん、分かった」

 ハピリルは、白い翼を軽くはためかせて空に浮かび上がると、キョロキョロと辺りを見回し始めた。

「あっ……! 川の方に居るみたいだよ!」
「分かった、案内して!」
「オッケー!」

 コモモは、空からハピリルの案内を受けながら川の方へ走って行った。


◇◇◇

 静寂が戻った森の中。ガサガサと茂みが鳴って、3つの頭が顔を出した。

「ね、聞いた……?」

 ひそひそと小声で話し始めたのは、純白のスカーフが自慢のチラチーノ、レオナルド。コモモからは、レオくんと呼ばれている。

「本当、びっくりだね……」

 レオナルドの話に綿を揺らしながら頷いたのは、エルフーンのコットン。

「改造の血が流れているなんて……ショックだろうな、ひばなちゃん。あたし、明日会ったらなんて言おう……」

 思い詰めたような顔で呟くのは、ひばなと仲が良いリーフィアのひすい。バトルではほとんどひばなとペアで出されている。

「自分達に何か出来ないかな……?」

 レオナルドがそう呟くと、3匹共腕を組んで考え始めた。

「とりあえず、いつもと同じようにしてようよ。僕達に知られたって分かったら、更にショックだろうし……」

「そうね……」




 それっきり、森にはまた静寂が戻った。



続く


  [No.2491] 【ポケライフ】改造の血 後編 投稿者:akuro   投稿日:2012/06/30(Sat) 02:32:18   80clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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 ひばなは水面に映る自分を見つめていた。コモモの言葉を思い出す度に、涙が流れて頬を伝った。

「改、造」

 言葉にするにも忌まわしい。どうしてそんな人間がいるんだろう。コモモは悪くない、そう思うのに。誰かを憎みたくて、でも自分は人見知りで、知ってる人間なんてコモモしかいない。コモモは悪くないのに……!

 そんなことをグルグルと考えていたら、足音が聞こえた。振り返るとそこには今しがた自分が考えていた人間がいて。

「コモモさん……?」

「ひばな……ゴメン!」

 コモモは地面に膝と手を付いた。土下座の格好になられて、ひばなはうろたえる。

「そんなことしないでください……!」

「いや、私はしなきゃいけないの!」

 コモモは目をぎゅっと閉じ、喋りだした。

「あの時の私はどうにかしてた! どうしても覚えさせたい技があるからって、改造ポケモンに手を出すなんて! トレーナー失格よ!」

「コモモさん……」

「GTSであの子が送られて来た時、私はあの子のトレーナーを呪いたいと思った! 人間の勝手な都合で、ポケモンの運命を弄ぶなんて信じられなかった! でも私も同罪よ……! あの時、落ち着いて考えていれば、あの子にもあなたにもつらい思いをさせずに済んだのに……!」

 いつの間にか流していた涙を拭うこともせず、コモモはただ喋り続けた。

「ひばな……本当に、ゴメン……!」

「コモモ、さん……」

 コモモもひばなも泣いていた。そのまま暫く沈黙が続く。辺りには、啜り泣く声だけが響く。上空には、言葉を失ったトゲキッスが佇んでいた。


 その時、ガサリと物音がした。思わず振り向けば、そこには6匹目の仲間がいて。

「ピンキー!?」
「ピンキー……さん」

 ピンキーと呼ばれたのは、桃色の体にふわふわの体毛を持ち、腹に「たつじんのおび」を締めたハピナスだった。

「……まったく、あんた達は。さっきから聞いてりゃウジウジウジウジと……!」

「ピンキー……?」

 すっかり怒り心頭の様子のハピナスは、小さな手を腰に当て、声を張り上げた。

「確かに改造は問題よ。それに、トレーナーとして誤った選択をしたコモモにも責任があるわ。……だからもう2度と謝らなくていいように、トレーナーとして出来ることをしなさい!」

 びしっと、コモモに指を指すピンキー。
 呆然としているコモモとひばな。
 ピンキーの横に、遠慮がちに足を付くハピリル。

「ピンキー、決まったとこ悪いんだけど……それ、ボクのセリフじゃ」
「うるさい! ♂は黙ってなさい!」
「ひいい……はい」

 まるで夫婦漫才のようなやりとりを見ていたコモモは、クスッと吹き出す。

「コモモ! 笑ってんじゃないわよ!」

「ゴメンゴメン。……うん、ありがとうピンキー」

「は?」

 コモモは立ち上がると、ハピリル、ピンキー、そしてひばなの順に目をやり、口を開いた。

「私、みんなの笑顔を守りたい。もう2度とこんなことが起きないように、私なりに頑張ってみる!」

「コモモ……」
「コモモさん……!」
「うん、よく言った。それでこそコモモよ!」

「……じゃあ、みんなも手伝ってね! 1人1人に出来ることは少ないけど……みんなの力を合わせれば、なんだって出来るよ!」



END









ーーーーあとがきーーーー

 どうしましょう、ラストが意味不明なことに(汗)ちょっとクサかったかな……?
 えーと、これはほぼ私の実話です。今ガチパにいるキュウコンの親の親の親のそのまた親……くらいの位置に、GTSで手に入れてしまった改造産ガーディがいます。
 Lv58の時にライモンシティで出会ったって改造ですよね……。
 作中でも書かれているように、私はそのガーディを親にしてタマゴを作ってしまいました。タマゴから熱風を覚えたガーディ♂が生まれたら改造の子は逃がし、生まれた子を親にして熱風を覚えたロコン♂が生まれたら逃がし……そんなことを何回かやって生まれたのがひばなです。
 今は後悔しています。2度とこんなことが起きないように、私も頑張るつもりです。



【書いても描いても批評してもいいのよ】
【改造、ダメ、絶対】