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  [No.925] 桜糖 投稿者:紀成   投稿日:2010/11/07(Sun) 00:03:46   29clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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淡いピンク色・・この場合は桃色と言った方がいいかもしれない・・小さな塊を私はまじまじと見つめた。
エデラが様子がおかしい私を心配そうに見つめる。大丈夫、私は変になってないから。
『桜味』と書かれた文字をちらっと横目で見つめ、私はそれを口の中に入れた。途端に溶け出し、何とも言えない風味が鼻に抜けていく。
「桜味って程桜じゃない気がする」
『桜の味って何ですか』
「んー」
私は花見を思い出す。今時、花見に桜餅を持って行くような者はいるのだろうか。いや、否定している訳ではない。
ただ、少々ベタな季節の楽しみ方だな、と思う。
「ちょっとしょっぱくて甘いかな」
『その発想は何処から?』
「桜餅の葉っぱの塩漬け」
桜餅にあれは欠かせない。東でも西でも、それは同じだ。
「だから、やっぱこの砂糖の塊は人工的な味、なんだろうな」
『後輩さんに悪いじゃありませんか。誕生日プレゼントのお返しなんでしょう?』
「だから、否定はしてないってば」
わざわざクラスに来てまで渡してくれたのだ。味わって食べなくてはならない。
私は二つ目を口に入れようとした。
『ご主人』
「?」
「僕にも一つ」
その言葉が終わらないうちに、袋から一つ出して口に入れてやる。エデラはしばらく口を閉じていたが、やがて言葉を出した。
『なんか、ほんのり幸せの味がします』
「詩人かい」


パッケージが可愛かったので、写真に撮ってから開封した。
後輩は抹茶を食べたらしいが、いやに薄味だったらしい。
今度そちらも試したい所だ。