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  [No.1004] 硝子が生まれた日 投稿者:紀成   投稿日:2010/12/04(Sat) 00:00:13   66clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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幼い記憶―

母さんは料理ベタだった。チキンを焼けば脂っこくなり、ケーキのクリームはいつも甘すぎた。
それでも、欲張って食べていた。たとえ次の日の朝、胸やけで起きることになろうとも・・
父さんは毎日仕事が遅くて、帰ってくる時間は大体日付を過ぎてからなんだけど、その日だけは六時くらいに帰って来てくれた。
大きな荷物を抱えて。


中学に入るまでは、毎年そうだった。
でも、今は違う。家族が一つの場所に集まるなんて、絶対無い。
なぜって、母さんも父さんも外国にいるから。いつもスケジュールがパンパンだから。
特にこの時期は年末のため、休みを取るなんて不可能に近いこと。
だから、時々他の月の子が羨ましくなるんだ。

寒さを感じて、私は目を覚ました。ベッドの上でツタージャが丸くなっている。
どうやら、ステンドグラスの歴史の本を読んでいてそのまま寝てしまったらしい。窓が開いている。
私は窓を閉めると、暖房を入れた。続いてツタージャに毛布をかけてやる。こんな時期に何もかけないで寝たら、風邪を引いてしまう。
「・・」
窓の外を見る。闇に包まれた空に、星が少し。
空がいやに遠く見えた。

小さな館で知り合ったツタージャは、最近では私の家で一緒に過ごすようになっていた。
私もそれが嬉しかった。一人は流石に寂しかった。誰にも言ったことはなかったけど、話し相手がいないことは、なかなか辛いものがある。
今日学校であった出来事も、嬉しいことも悲しいことも誰とも分かち合うことが出来ないのだから。
でも、ツタージャに出会ってからはすごく楽になった。寂しくないし、温かいし。
何より、話し相手がいるのが幸せだった。

携帯電話にはメールも着信も入っていない。両親が外国に行くときに買ってくれた物だ。ほとんど登録していないけど。
そんなディスプレイを見つめていた時だった。
「!?」
手の中で携帯電話が震えた。着信だ。メロディは、チャイコフスキーの『弦楽セレナード』。
ディスプレイに出された文字は、六つ。

『カミヤ カオリ』

カミヤカオリ。漢字で書くと『火宮香織』うちの私立学校の高等部一年生だ。私は中二なので先輩に当たる。
とにかくミステリアスな人で、意味深なことを言っては周りの人を疑問の渦に叩き込む。だけど悪い噂も多い。彼女に悪意を持って接した人は、必ず学校を去るらしいのだ。
「はい」
冷静な声が聞こえてきた。
「ハロー。元気?突然なんだけど、今から家の前に来てくれないかな」
カミヤ先輩の家は、この街の外れにある。知る人は少ないが、大きなお屋敷だ。
「今から、ですか?」
「寂しいならポケモン連れて来てもいいよ」
この時間に一人で行くなんて無理がある。電話を切った後、私はツタージャを起こした。
そして鍵をかけ、家を出た。


「デスカーン、ヒトモシ達を呼んで来て」
カオリは電話を切った後、指示を出した。側に置いてある袋には大量のクラッカーが入っている。
『人を呼ぶなんて初めてじゃないのか』
「普通なら呼ばないよ。でも、何か放っておけなくて。親がいないのは同じだし」


一人で寂しくそれを向かえる点が、共通していた。
共通していないのは、ゴーストタイプを扱えることと・・

親に会おうと思えば会えることだろうか。

「喜んでくれるといいんだけど」
カオリの手には、小さなステンドグラスがあった。
端っこの方に名前が書かれている。
『MIDORI』
と。

ミドリがカオリの家に来るまであと一時間。
ミドリがカオリの家のドアを開けるまであと五十分。
カオリがミドリをクラッカーで迎え入れるまであと四十分。

ミドリの驚く顔が笑顔になるまで、あと・・

[HAPPY BIRTHDAY MIDORI!]

ーーーーーーーー
12月4日。
ミドリの誕生日のついでに、紀成の16年目の歴史も祝ってやって下さい。


  [No.1005] 一年に一度は十人十色 投稿者:クーウィ   投稿日:2010/12/04(Sat) 04:02:24   56clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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深夜徘徊は一種の習慣。  …ならばこそ、時々思いもかけないものに出会うもんです……

まさか、あの両作品が繋がるとは思わなかったなぁ…(汗)
どんどん広がるグラス&ゴーストワールドが何処に行き着くのかが、新しく今後の楽しみに加わりました(笑)

…この掲示板(ここ)は、本当に巡回するに期待を裏切らないから、嬉しい限りだわぁ……(嬉々)


>小さな館で知り合ったツタージャは、最近では私の家で一緒に過ごすようになっていた。

どんどんと距離が縮まってますねー  …良い事だ!

ツタの介の今後が非常に気になるところですが…特に、カオリさんとゴーストポケモン御一行に彼が出会った時、果たしてどの様に感じ、また反応するのでしょうか……?
既に別れというものを経験した事のあるツタージャと、デスカーンらとの接触が、両者にどの様な印象を与えるのかが、個人的に興味深い所です。


>携帯電話にはメールも着信も入っていない。両親が外国に行くときに買ってくれた物だ。ほとんど登録していないけど。

そこに何故、校内でもトップクラスの異色株の登録がなされてるのか!?
…こやつ、なかなかやりおるわ……!(笑  褒めてますよ〜)

 
>「喜んでくれるといいんだけど」
カオリの手には、小さなステンドグラスがあった。
端っこの方に名前が書かれている。
『MIDORI』
と。

ワザワザ用意したというのか……
確かに変わり者は、何時も爪弾きされるものですが――ある意味では、そこで同時に、ヒトとしての器を試されているのかも知れませんね。

HAPPY BIRTHDAY !
 
 
 
16年目ですかぁ……  ふむ、お若い…!(笑  爆)

自らのその頃と比べると、度合いが違い過ぎて最早比較するのも情け無い限りですが……取りあえず、このままのペースでお進みください…!
これだけのペースで、これだけの内容の物語がどんどん紡げるのであらば、やはり合っておられるのだと思いますよ。  これからも頑張ってくださいね!


…今まで過ごされた15年間は、紛れも無く、紀成さんだけの物です。  
その間に得る事が出来た物の重みは、年を経て落ち着いていくに従って、自然と深みを増していくものですから…今はただ、やってみたいと思われる事を、精一杯にやってみてください。

それがきっと、紀成さんの望まれておられる道を、様々な形で助けてくれる筈ですから――   …などと、オジンは語ってみたりした(苦笑  爆) 


それでは。  ……最後にもう一度、おめでとう御座います。

行きがかりの赤の他人では御座いますが…次の16年目が、紀成さんにとって幸多きものとなりますように――


  [No.1006] コメントありがとうございます! 投稿者:紀成   投稿日:2010/12/04(Sat) 07:06:47   65clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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クーウィさんのコメントを読んでいたら、大貫妙子さんの『we miss you 〜愛のテーマ〜』の最後のフレーズが浮かんできました。

『ただ一人道を行く 小さき者に 明かりを』

カオリとミドリは、同じ小さき者なのかもしれません。
でも、進む道も今までの道も全く違う。
『会おうと思えば親に会える』ミドリと、『どう足掻いても親には会えない』カオリ。
ミドリの理由は書けたので、今度はカオリの方にご期待ください←

また一つ年を取りました。
もう喜びとか感じなくなりました(笑)
これが精神的に成長したと言えるのだろうか・・

ありがとうございます!


追伸。

六日に私のクラスメイトがエジプトに旅立つそうです。
親の転勤で、三年間帰って来ないそうです。
グローバルだな!と突っ込んでやってください。

では。


  [No.1007] 特別な日 投稿者:   《URL》   投稿日:2010/12/04(Sat) 10:35:13   56clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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ハッピーバースデー、ミドリさん、紀成さん。
十六……若いなあ。
誕生日が嬉しい嬉しくないに関わらず、祝ってくれる人がいるのは良いものです。


グローバルだな!とそれはさておき。

カオリさんとミドリさんに接点があったとは……
シリーズものならではのこういう関係性は好きです。
あとカオリさんの意外な一面を見れたことも。
彼女の方期待してますよ。

では、これからの一年が実り多いものでありますよう。


  [No.1009] おめでとうございます 投稿者:久方小風夜   投稿日:2010/12/04(Sat) 12:13:16   53clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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 あれ? 何だろう。目から汗が……。

 カオリさんめ、かわいいところあるじゃないか。胸がキュンとしてしまいました。
 ミドリの家庭の事情と誕生日を知っているカオリ。数少ない携帯の登録にカオリが入っているミドリ。
 2人がどんなきっかけで知り合ったのか。気になるところですね。

 どんどん繋がっていく紀成さんの小説の世界。今後の展開も楽しみにしております。


 そしてお誕生日おめでとうございます!
 16か……若いな……って、このセリフ多すぎますね。
 今後ともよろしくお願いします。


【エジプト行きたいのよ】