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  [No.1346] 【無修正版】 こちら鏡屋メタモンでありんす。 投稿者:巳佑   投稿日:2011/06/21(Tue) 16:23:43   52clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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前置き:これはポケスコに出したもので、修正してません。

 

 【宣伝編】
 
 この世には色々な生き物がおる。人間という生き物や、そして、わらわっちのようなポケモンという生き物もおる。ポケモンと言ってもその種類は一言で表すことはできぬ。紫色の柔らかい体を持っているわらわっちはメタモンというポケモンじゃ。
 わらわっち、メタモンと呼ばれておる者はその身を七色変化に変えることができるのじゃ。そうじゃな……例えばピカチュウという電気ネズミのポケモンとか、化け猫ポケモンと呼ばれておるニャースなど、実に様々じゃ……不思議であろう? 一目見たものであれば、ほぼ完璧にそのものに『へんしん』することが可能なのじゃ。
 わらわっちはこの能力をもっと活かそうと、色々なところに旅をして、さまざまな経験を培って、あることを始めてみたのじゃ。カガミの森のわき道をまっすぐ進んでみよ。その先にある一本の大木の下にわらわっちがおる。
 
 お主はどのような姿を知りたいのじゃ? 
 未来かのう? 
 または過去かのう? 

 まぁ、お主の知りたい姿を申せば、わらわっちがどんなものでも見せてやろう。
 よいか? カガミの森のわき道をまっすぐ通って、一本の大木のところまで目指せ。そうすれば、紫色のゼリー状の体に、そうじゃな……手には昔もらった、キセル、という物……まぁ、とりあえず、何か持っている奴がおるから。
 それと、自分のことを『わらわっち』と呼んでおるし、これも特徴的よのう? 

 ん? 何故、自分のことを『わらわっち』と呼んでおるか,じゃと?

 旅をしているときにのう、艶やかな(あでやかな)着物を着ている人間達が自分のことを『わらわ』や『わっち』と呼んでおる者がおってな、二つとも可愛かったから繋げてみたんじゃ。
 それで……ええぃ!! 話が長くなるぞ!? わらわっちのことはどうでもよいから! あっ、言い忘れておったが報酬を忘れぬように、じゃが……わらわっちは人間じゃないから、銅貨や銀貨や札束を持って来られても困るでありんす! 
 そうじゃな……食べ物じゃ。特にわらわっちは甘い物には目がないからのう! モモンの実とか……とにかく甘い物は大歓迎じゃ! 
 ……さて、話が長くなってしまったが、宣伝は今の言葉をお主にうまくまとめて欲しいのう。帰り道には気をつけてくりゃれ? 
 
 鏡屋メタモンは、お主の見たいものをなんでも映してやろう。



 【未来編】

「ねぇねぇ! つぎはグレイシアにへんしんしてみてよ!」
「しょうがないのう、ほれ!」
 カガミの森の奥にある大木の下で、わらわっちはグレイシアに『へんしん』した。紫色の体が水色に染まっていき、額に氷柱のような形をした、蒼い飾りをつけた四足歩行のポケモンになった。
「わぁ〜! かわいいなぁ! ひゃう、つめたい!」
「グレイシアは氷のポケモンじゃからな」
 グレイシアの姿に興奮した依頼者が面白そうにわらわっちに触っては、はしゃいでおる……うむ、童(わらべ)じゃし、お触りは大目に見といてやるでありんす。 
 
 ここは鏡屋メタモン。望むものに『へんしん』をして、依頼者の見たい姿を映すといったものをやっておる。依頼はそうじゃなぁ、例えば自分が進化したときの姿を見せて欲しいというのがあるのう。
 今、目の前にいる、茶色の体にクリーム色の毛を首から生やしておるイーブイというポケモンもその一匹じゃった。
「う〜ん、メタモンおばちゃんにぜんぶ、へんしんしてもらったけど……なやむなぁ……」
 イーブイが小さな前足で頭を抱えながら、う〜んと悩んでおる。
 そう、今朝からわらわっちはイーブイに進化系を見せて来たわけなのじゃが……。
 
 まずは、額に赤い宝石みたいな物をつけているエスパーポケモン、エーフィ。
 お次は、漆黒の体に黄色の模様が映える、悪ポケモン、ブラッキー。
 続いて、オレンジの体にモコモコとした毛をつけた炎ポケモン、ブースター。
 それから、毛が針のように逆立つこともある電気ポケモン、サンダース。
 更に、頭の上からなびく葉っぱが魅力的な、草ポケモン、リーフィア。
 その後は、首回りのエラみたいなものが特徴的の水ポケモン、シャワーズ。
 
 そして、今のグレイシアに繋がったわけなのじゃが……御覧の通り、イーブイには進化系が豊富に分かれておるのじゃ。優柔不断になるほど、分岐がたくさんあるのは……ある意味うらやましいかものう。色々な可能性を秘めておるのがそこから目に見えるわけじゃからな。
 さて、イーブイの悩みの種でもある進化じゃが、今のところ、この世界のポケモンは進化をした後、進化する前の姿に戻ることはできないそうじゃ。
 だから、わらわっちのところに来る者で、進化したときの姿を見せてくれと頼みに来るのはそういうわけなのじゃ。

 進化した後の姿はどうなのだろうか? 
 受け入れられるものなのか? 
 姿が変わって……その先の生活にはどのような影響がありそうなのか?

 それぞれ色々な悩みを持ちながら、わらわっちに自分の進化した後の姿を見せてくれと頼みに来ておる。このイーブイも何かきっとワケありなのじゃろうが……誰だって訊かれたくないことの一つや二つ、あるじゃろう? 
 わらわっちはあくまでその者の見たい姿を映しているにすぎん。本当ならその後のことはその者の責任じゃが……まぁ、どうしても相談に乗って欲しいことがあるというのならば、してやってもよいがのう。
「……メタモンおばちゃん。おねがいがあるんだけど」
 今まで小さな前足で頭を抱えていたイーブイが顔を上げて、わらわっちのことを見る。『おねがい』という言葉から察するに、わらわっちが相談役を買うかもしれんな、これは。
「ひとばん、ここにとめてほしいんだ。もちろん、きのみをいっぱいメタモンおばちゃんにあげるから、おねがい!」
 まさかの『おねがい』にわらわっちも一瞬、困ったでありんす。しかし、帰れと言っても退かぬような眼差しがわらわっちに刺さって来る……負けた、これだから童は恐ろしいのじゃよ。
「分かったでありんす……けど、おぬし、本当に木の実をそんなに持っておるのか?」
 お返しとばかりに意地悪な質問をわらわっちが投げかけてみると、イーブイは横に置いてあった無地のふろしきを引っ張って、わらわっちの前に示すと、結び目を解く。
「だいじょうぶだよ! いっぱいあるから!」
 ふろしきからゴロゴロと可愛げな音を立てながら木の実が転がっていく。
 ……わらわっちの負けじゃな、これは。

 どこかでホーホーが鳴いとる夜空の下。大木の根元にわらわっちとイーブイが座っていた。イーブイからもらった木の実をたらふく食べて……う、動けん。
「メタモンおばちゃん。ボクはなににしんかしたらいいのかな?」
 イーブイがふと声を上げた。まだ、悩んでおるようじゃな……まぁ、進化系が七つもあったら、悩むのは必須じゃろうな。
 グレイシアに『へんしん』した後も、イーブイはわらわっちにもう一度、ブースターやサンダースに『へんしん』をして見せてくれと頼まれてしまってのう……かれこれ、日が沈むまで『へんしん』をされ続けられるはめになってしまったわ。
「……わらわっちはイーブイの見たいものにしか『へんしん』して見せることしかできん。あくまでわらわっちがしているのは、イーブイの背中をちょっとだけ押すようなものじゃ。この先、どうしたいかというのは、全て、お主次第じゃ」
 このイーブイもやがて大人になるじゃろう。今は恐らく、親元で暮らしていると思うが、巣立った後、自分のことは最終的に自分で決めていかなければならん。
「そうか……むずかしいんだね。あ、そういえば、みんなはどんなことをかんがえて、しんかしたのかな……」
「みんな?」
「うん。ボクのかぞく」
 イーブイはどこか遠くを見つめるような眼をした……いかん、つい『みんな?』とオウム返ししてしまったわ。嫌なことを思い出させてしまったかもしれんな。
「ボクね、もともとすてられていたみたいなの。たおれているボクをたすけてくれたのが、ようこママで、それからボクはそのかぞくにおせわになってるんだ」
 イーブイが語り始めた家族の話。
 ようこ、というのはエーフィのことらしい。確かにポケモンの中では自分に名前をつけて混乱しないようにしている者もおる。わらわっちはメタモンのままじゃがな。ようこの他にもイーブイが家族を語り続ける。
 
 いつも優しくて、けれど時々ドジを踏む、父のブラッキー、ゲツヤ。
 いつも大人の話を教えてくれる長男のブースター、コウタロウ。
 いつもケンカ腰だが、自分のことを守ってくれる二男のサンダース、ライガ。
 色々なことを知っていて、勉強してもらっている三男のリーフィア、ジュラ。 
 物腰が柔らかくて、品が良い長女のシャワーズ、みなも。
 恥ずかしがり屋だが、根はとても優しい二女のグレイシア、つらら。

 このような感じでイーブイの家族話は止まることを知らんかった。最初の『すてられた』という話以降、この家族の話でのイーブイの顔はとても活き活きとしておった。どうやら、幸せな暮らしを送っておるようじゃな。わらわっちは少しほっとしたでありんす。
 どれ、そんな童にもう少しだけ背中を押してやろうかのう。
「……のう、イーブイ。お主は将来、何をしたい?」
「え?」
「さっき、お主自身で言ったではないか。家族の皆はどんなことを考えて進化したのかって。お主が将来やりたいこと……それに向けて進化を選べばいいのではないかのう?」
 一度、進化をしてしまったら二度と元には戻れない。まぁ、人間の奴らが変な機械を作って、進化前の姿に戻れる装置やらなんやら作れば話は変わってくるのかもしれんが、仮にそんな物を作られても、わらわっちは嫌じゃな。
 自分の決めたことは、とことん進んでいって欲しいからのう。この道が嫌じゃったからこの道にしようの繰り返しでは、強くはなりんせん。自分の気持ちに嘘をついて欲しくはないんじゃ。
 自分と向き合って考えられるような機会を与える……それがこの鏡屋の真意だったりするのじゃ。
「じぶんのやりたいこと……」
 イーブイは何かを考えるかのようにしばらく黙ってしまったが、このイーブイが今、自分とまっすぐ向き合っている証拠でもあった。このイーブイがどのような答えを出すのか、楽しみでありんす。
「……………………」
「……ん? ほほ、どうやら考え過ぎて眠ってしまったようじゃな。お休み、イーブイ」
 そういえば、イーブイの名前を訊いてなかったのう。明日、訊いてみるとするか。
 わらわっちにも眠気が襲いかかって来たようなので、静かに目を閉じた。
 どうか、イーブイの選ぶ道に幸あれ、と願いながら。

 翌朝、目が覚めると、そこには昨日の悩み顔とは違って、明るい顔のイーブイがそこにいた。
 何か答えを出したかもしれんな。そんなイーブイの想いをくみ取れるかのような、底なしに明るい笑顔でありんす。
「メタモンおばちゃん! ありがとう! ボク、おもいついたよ!」
「そうかそうか、それは良かった」
「しんかしたら、またメタモンおばちゃんのところにくるね! それまではなににしんかするかはヒミツだよ!」
「なんじゃ、今、教えてはくれんのか?」
「うん! メタモンおばちゃんをビックリさせたいから!」
 イーブイはそう言うと、「またね!」と言いながら、きびすを返す。
「ちょっと待つのじゃ」
「な〜に?」
「お主はなんという名前なのじゃ?」
 イーブイがはにかみながら答える。
「ななる、っていうの」
「そうか、ななる、か。よい名じゃな。また来てくりゃれ?」
「うん、ありがとう! メタモンおばちゃん! またね!」
 イーブイ――ななるが勢いよく走りだした。
 その姿は自分の進みたい道にとことん入っていくという意志が伝わって来た。尻尾が可愛げに揺れている、ななるの後ろ姿を見送りながら、わらわっちは呟いた。

「ふふ、将来は素敵な、おなごになるんじゃろうな、きっと」



 【今編】

 本日も鏡屋メタモンは営業中なのじゃが……これまた、騒がしい客が来たもんじゃと、ため息が漏れそうでありんす。
「ねぇ! わたくしは本当に進化しないんですの!? ねぇ! ねぇってば!」
「だ〜か〜ら! 何度も言うようにお主に進化系はないと言うておるじゃろうが!」
 わらわっちに泣きながら訴えかけて来るのは、黄土色の平たい体に、黄色の尾ひれ、その背中にはビックリマークのような黄色の模様があるポケモン――マッギョじゃった。
 このマッギョ、かなり勢いのある性格でな、わらわっちを見るや否や、いきなり目の前まで跳ねて来よって、これでもか! というぐらいに思いっきり跳ねて顔を近づけながら、こう尋ねたのじゃ。

「マッギョの進化系はありませんの!?」

 残念ながらマッギョの進化系はない。この世界を知るわらわっちが言うんじゃ。ないと言ったらないんじゃ。たまにいるんじゃよ……進化系のポケモンを見て、自分も進化したいと思っておるポケモンが。気持ちは分からんこともないがのう……。
「うぅ……進化して美しくなっているポケモンがいますのに……! 幼なじみのミミロルちゃんとキルリアちゃんが進化できて! なんで! わたくしだけが進化できませんの!? 説明してちょうだいな!!」
 マッギョがまた跳ね上がって、わらわっちの顔すれすれに近づいて来た。膨らみのある唇が、イ、インパクト大なのじゃ……。
 それにしても、ミミロルの進化系はミミロップで、キルリアはサーナイトじゃったか……これはマッギョが嫉妬に燃えるのも仕方がないことかもしれんのう。
 じゃが――。
「わらわっちは学者でもなんでもありんせん!」
「そ、それなら……わたくしはどうすれば……! このままでは結婚も乗り遅れて……しまいには一生、生涯、独身で、孤独のままに……! う、うぅ……!」
 そこまで言った途端、マッギョが泣き崩れてしまった。確かに美しいとか可愛いとか、姿を示す言葉は大事かもしれんな。おなごも男も、皆。
 わらわっちはため息をつきながらも、このまま放っておくわけにもいかんので、『へんしん』を使った。姿はもちろんマッギョじゃ。
「マッギョ、わらわっちを見てみろ」
「……ぐっすん……な、なんですの?」
「わらわっちのこの姿はなんじゃ?」
「え? マッギョに決まっているじゃありませんの」
 当たり前だというようにマッギョが答えた。何を今更という感じがマッギョの声音から伝わって来るのう。確かにマッギョの答えは間違えておらん。じゃが……違うんじゃ。わらわっちが「違う」と言うと、目の前のマッギョが訝しげな(いぶかしげな)表情を見せおった。
「答えはわらわっち……つまりメタモンじゃ」
「……! そんなにわたくしのことをバカにしたいですの!?」
 おちょくられたと思ったのじゃろうな……マッギョが憤慨しそうな顔を向けて来た。
「勘違いするでない。こんなときに冗談が言えるか、たわけ」
「なら……なんだって言いますの?」
「わらわっちはあくまで、お主の姿を映しただけでありんす。中身まで映すことは叶わん」
 わらわっちのメタモン特有である『へんしん』は確かに相手の姿になるだけではなく、相手の持っている技まで使うことができるのじゃが……残念ながら、性格といったようなものまで映すことはできん。
「どんなに姿形を変えようとも、わらわっちはわらわっち。お主はお主なんじゃ……中身を変えること……それも進化の一つじゃないかのう?」
 鏡というのは表面を確認するだけのものではなく、内面も映しているということ、自分自身を見つめるものでもあると、わらわっちは思うておる。
 自分と同じ姿を見て、何かに気づくことができたのならば、鏡屋として嬉しい限りじゃ。
「…………そうですわね。外見ばかりがこの世を決めているわけではありませんよね」
 少しばかり黙っていたマッギョが静かに声を上げた。涙はもう止まっていて、何かに気がついたような顔をしておった。
「中身を変えていくこと……それも進化の一つ……素敵な言葉ですわ! そうですわよね! 外見ばかりに目がいっていたわたくしが恥ずかしいですわ」
 マッギョがはにかみながら言った。もう大丈夫そうじゃな。よい笑顔をしておる。
「そうと決まったら、早速、自分探しの旅に出て、自分を磨いてまいりますわ!」
 中々よい意気込みじゃが……このマッギョ、時々勢いがありすぎなような気もするのう。どこかで問題を起こさなければよいのじゃが。まぁ、仮に問題が起こったとしても、それはマッギョの内面が一つ磨かれる機会かもしれんしな。後はわらわっちがとやかく言うことではありんせん。
 またマッギョと逢えたとき、彼女がどのように進化したのかが楽しみじゃ。
「ありがとうございました、メタモンさん!」
 跳ね去ろうとするマッギョに、わらわっちは慌てて声を上げた。
「待て! お主、報酬は!?」
 やっぱりこのマッギョ、ちょっと心配じゃ。
「あら! ごめんなさい、わたくしとしたことが。えっと……ありましたわ、これを!」
 マッギョの傍にあった木製のバスケットから顔を出したのは……なにやら、赤い液体が入っている謎の一本のビン。
「それを飲みますと、美容に効果がありますのよ! それではわたくしはこれにて失礼させてもらいますわ! 早速、旅の準備をしなければいけませんので……ごきげんよう!」
 マッギョは大きく尾ひれを振りながら去っていた。
 やれやれ……今回はかなり疲れたような気がするのう。あの勢いは類まれにみるものじゃったな。
 さて、マッギョがくれたこの謎のビン……どうやら飲み物のようじゃが、飲んでみることにするかのう。わらわっちはまだまだピチピチなのじゃが、まぁ、普段からのケアは大事だと言うしのう。どれ、ふたを開けて、と――。

 数秒後、わらわっちの口から『だいもんじ』が出おった。
 
 まるでマッギョの旅立ちを盛大に祝うかのような激しい炎じゃった――。

「……って、そんなわけあるかい!」

 わらわっちのノリツッコミこそが、マッギョの背中を押すかのように響いていった。



 【過去編】
 
 始まりはいつも突然なのじゃが、今回のは失礼な突然じゃった。
 カガミの森の奥にある一本の大木。わらわっちは普段はその木の上に乗って寝ておるのじゃが……ホーホーの鳴き声を音楽に、わらわっちが寝ておると、いきなり木が揺れて、わらわっちは地面へと強制的に落とされた。
 くっ……いきなりの訪問の上に真夜中、そして失礼すぎる呼ばれ方にわらわっちは顔をあげると、月明かりに照らされた張本人と思われる奴をにらんで、そして目を丸くした。
「よう、おめぇが鏡屋メタモンか?」
 身の丈は百六十五センチメートルほど、髪は黒、耳には装飾品。
「……人間がここに来るとはのう、久しぶりじゃな。確かに、わらわっちが鏡屋メタモンでありんす。それで……何用じゃ?」
「へぇ〜。おめぇ、人間の言葉をしゃべれるんだな。まぁ、いいや。最近、ここにイーブイってポケモンが来なかったか?」
 人間にはいい奴もいれば、悪い奴もおる。わらわっちの言葉一つでそのイーブイに迷惑をかけてしまうかもしれん。最近のイーブイというと……ななるぐらいか。とりあえず、下手なことは言えんな。
「それをどうしてわらわっちに訊いてくるのじゃ?」
「最近、そのイーブイがここのメタモンに会ったって話を風のウワサでな」
「そのイーブイとお主はどのような関係なのじゃ?」
「いちいちうるせぇな。俺様が間違えて高個体のイーブイを捨てていなかったら、こんな変な場所になんか来なかったのによぉ、マジでかったりぃ」
 相手にものを頼むときの言葉使いがなっておらん……というのもあったのじゃが、それよりも引っかかる言葉がわらわっちの中にあった。
「今まで、何十のタマゴを手に入れて、ようやく高個体のイーブイを手に入れたと思ったのによ……ちくしょう、絶対にアイツを拾ってみせるぜ」
 この人間の言葉からまだ推測段階なのじゃが、わらわっちの中では何かが煮えたぎるようなものが出て来た。この人間の言葉を整理すると、今まで手に入れたタマゴを孵して、高個体ではなかったポケモンはすぐ様その場に捨てる、そのような考えが出てもおかしくはなかった。
 
 タマゴ……それにはかけがえのない命が詰まっておる。
 わらわっちも遠い昔、旅をしていたとき、その命をもてあそぶかのような現場を見たことがある。
 あれは頻繁に戦があった頃じゃったかな、人間がポケモンに大量のタマゴを産ませていて、孵ったポケモンの中で役に立つと判断された者はそのまま育てられるのじゃが、役に立たないと判断された者は……その場で殺されておった。
 
 しかも、そこにおったのはわらわっちと同じポケモン、メタモンじゃった。
 
 メタモンは相手に合わせたポケモンのタマゴを産むことが可能なのじゃ。今日の人間達もその能力を便利そうに利用しているみたいじゃが……利用されているメタモンは大変じゃぞ。
 わらわっちは経験がないから、あくまで聞いた話なのじゃが、タマゴ一個を産むにはそれなりの体力が必要なようじゃ。新しい命を宿すのじゃからな、そりゃあ、体力も使うじゃろう。
 
 大量にタマゴを産まされて死んでしまったポケモンもおるらしい。
 
 当時、わらわっちはその利用されているメタモンを助けようとしたが止められた。もしも捕まったら、わらわっちもこの地獄を味わうことになるから、と……。

 何度もタマゴを産まされて、目の前で何匹も我が子が殺されるという地獄が――。

 そのメタモンと話をしている途中に、どうやら敵国らしいものの急襲が起こってな、その場は大爆発が起こって、辺り一面、焼け野原になった。
 そのメタモンがどうなったのか、わらわっちは気絶してたから知らぬ。
 騒ぎに乗じて逃げられたのか、それとも――。
 ちなみに、この一件でわらわっちが人間全員に対して嫌悪感を持っているわけではない。あの後も旅を続けて多種多様な人間を見て来たからな。まぁ、あの事件後のわらわっちは最初、人間不信に陥っていたが。
 この、わらわっちが持っとるキセルは当時、情緒不安定だったわらわっちに手を伸ばしてくれた人間から、親友の証としてもらった物なんじゃ。
 
 ポケモンにタマゴを産ませるということも断固反対というわけではありんせん。人間達が愛し合っている手持ちのポケモン達のことを察しているのかもしれんし。
 じゃが、その二匹の間から産まれたタマゴを孵す前に取るのはどうかとわらわっちは思う。そして、孵ったポケモンを役に立たないから捨てるなどとは言語道断じゃ。せめて、里親を探すとか、責任を持て。
 わらわっちが言えることはただ一つ。

 命を大事にして欲しい。
 ただ、それだけじゃ。

「のう、お主。知っておるか?」
「なんだよ、さっさと教えろって――」
 人間の目が丸くなっていく。当然じゃ。今、わらわっちはお主の姿になっておるからな。
「捨てられたポケモンはな、成長すると、やがて捨てられた意味というものを知って、捨てた人間に復讐するのだそうじゃ」
 人間の顔が徐々に青ざめていく。
「こんな風にのう」
 人間の姿を取っていたわらわっちは徐々にその体を溶かしていき、人間の皮膚がなくなると、中から血肉が現れ、やがて骨だけの存在になった。
「あ、あ、あ、あぁぁぁあああ!! ごめんなさいぃぃいい!!!」
 人間は悲鳴を上げながらその場をさっさと去っていった。案外、怖がりじゃったな……あの人間。これで、少しは反省してくれるとよいのじゃが……はてさて。
 恐らくこの先、人間達はポケモンにタマゴを産ませることを止めないじゃろう。それを止めさせる権利は残念ながらわらわっちにはない。月夜を見上げ、ななるのことを思い浮かべながら、わらわっちは呟いた。
「願わくば、あの子のように強く生きて欲しいでありんす」


 翌朝、木から降りると、一匹のポケモンがこっちに向かっているのが見えた。
 ほのかな紫色を身にまとい、額に赤い宝石をつけたポケモン――エーフィじゃった。
 先端のほうで二本に分かれとる尻尾を楽しそうに揺らしながら、わらわっちの前まで来た。
「メタモンおばちゃん、おはよう! ひさしぶり!」
「お主……ななる、か?」
「うん! そうだよ!」
 ふふふ、この鏡屋をやっていて、いいことの一つには、再会した者の成長を見られることじゃ。
「立派なエーフィじゃな」
「うん! ボク、ママみたいにだれかをたすけてあげられるようなポケモンになりたかったから、ママみたいにあたたかいものをあげられるようなポケモンに!」
 ななるの笑顔が太陽を受けてキラキラと輝いておる。

 
 その笑顔は希望あふれる未来を映しておった。


(10000字 前置き除く)


  [No.1347] 【改稿版】 こちら鏡屋メタモンでありんす。 投稿者:巳佑   投稿日:2011/06/21(Tue) 16:36:59   56clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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 前置き:これは改稿版です。
      今編まではちょこちょこ変わっていますが、過去編では大幅に書き換えています。
      それと、過去編では暴力的な表現があるかもです。閲覧にはご注意を。(汗) 

 

 【宣伝編】
 
 この世には色々な生き物がおる。人間という生き物や、そして、わらわっちのようなポケモンという生き物もおる。ポケモンと言ってもその種類は一言で表すことはできぬ。紫色の柔らかい体を持つわらわっちはメタモンというポケモンじゃ。
 わらわっち、メタモンと呼ばれておる者はその身を自由自在に変えることができるのじゃ。そうじゃな……例えばピカチュウという電気ネズミのポケモンとか、化け猫ポケモンと呼ばれておるニャースなど、実に様々じゃ……不思議であろう? 一目見たものであれば、ほぼ完璧にそのものに『へんしん』することが可能なのじゃ。
 わらわっちはこの能力をもっと活かそうと、色々なところに旅をして、様々な経験を培って、あることを始めてみたのじゃ。カガミの森のわき道をまっすぐ進んでみよ。その先にある一本の大木の下にわらわっちがおる。
 
 お主は何が見たい? 
 
 お主が見たいものを申せば、わらわっちがどんなものでも見せてやろう。
 よいか? カガミの森のわき道をまっすぐ通って、一本の大木のところまで目指せ。そうすれば、紫色のゼリー状の体に、そうじゃな……手には昔もらった、キセル、という物……まぁ、とりあえず、何か持っている奴がおるから。
 それと、自分のことを『わらわっち』と呼んでおるし、これも特徴的よのう? 

 ん? 何故、自分のことを『わらわっち』と呼んでおるか,じゃと?

 旅をしているときにのう、艶やかな着物を着ている人間達が自分のことを『わらわ』や『わっち』と呼んでおる者がおってな、二つとも可愛かったから繋げてみたんじゃ。
 それで……ええぃ!! 話が長くなるぞ!? わらわっちのことはどうでもよいから! あっ、言い忘れておったが報酬を忘れぬように、じゃが……わらわっちは人間じゃないから、銅貨や銀貨や札束を持って来られても困るでありんす! 
 そうじゃな……食べ物じゃ。特にわらわっちは甘い物には目がないからのう! モモンの実とか……とにかく甘い物は大歓迎じゃ! 
 ……さて、話が長くなってしまったが、宣伝は今の言葉をお主にうまくまとめて欲しいのう。帰り道には気をつけてくりゃれ? 
 
 鏡屋メタモンは、お主が見たいものをなんでも映してやろう。


 【未来編】

「ねぇねぇ! つぎはグレイシアにへんしんしてみてよ!」
「しょうがないのう、ほれ!」
 カガミの森の奥にある大木の下で、わらわっちはグレイシアに『へんしん』した。紫色の体が水色に染まっていき、額に氷柱のような形をした、蒼い飾りをつけた四足歩行のポケモンになった。
「わぁ〜! かわいいなぁ! ひゃう、つめたい!」
「グレイシアは氷のポケモンじゃからな」
 グレイシアの姿に興奮した依頼者が面白そうにわらわっちに触っては、はしゃいでおる……うむ、童(わらべ)じゃし、お触りは大目に見といてやるでありんす。 
 
 ここは鏡屋メタモン。『へんしん』という技で、依頼者の見たい姿を映すといったものをやっておる。依頼はそうじゃなぁ、例えば自分が進化したときの姿を見せて欲しいというのがあるのう。
 今、目の前にいる、茶色の体にクリーム色の毛を首から生やしておるイーブイというポケモンもその一匹じゃった。
「う〜ん、メタモンおばちゃんにぜんぶ、へんしんしてもらったけど……なやむなぁ……」
 イーブイが小さな前足で「う〜ん」と頭を抱えた。
 そう、今朝からわらわっちはイーブイに進化系を見せて来たわけなのじゃが……。
 
 額に赤い宝石みたいな物をつけているエスパーポケモン、エーフィ。
 漆黒の体に黄色の模様が映える、悪ポケモン、ブラッキー。
 オレンジの体にモコモコとした毛をつけた炎ポケモン、ブースター。
 毛が針のように逆立つこともある電気ポケモン、サンダース。
 頭の上からなびく葉っぱが魅力的な、草ポケモン、リーフィア。
 首回りのエラみたいなものが特徴的の水ポケモン、シャワーズ。
 
 そして、今のグレイシアに繋がったわけなのじゃが……御覧の通り、イーブイには進化系が豊富に分かれておるのじゃ。優柔不断になるほど、分岐がたくさんあるのは……ある意味うらやましいかものう。色々な可能性を秘めておるのがそこから目に見えるわけじゃからな。
 さて、イーブイの悩みの種でもある進化じゃが、今のところ、この世界のポケモンは進化後、進化前の姿に戻ることはできないそうじゃ。
 だから、わらわっちのところに来る者で、進化後の姿を見せてくれと頼みに来るのはそういうわけなのじゃ。

 進化後の姿はどうなのだろうか? 
 受け入れられるものなのか? 
 姿が変わって……その先の生活にはどのような影響が?

 それぞれ色々な悩みを持ちながら、わらわっちに自分の進化後の姿を見せてくれと頼みに来ておる。このイーブイも何かきっとワケありなのじゃろうが……誰だって訊かれたくないことの一つや二つ、あるじゃろう? 
 わらわっちはあくまでその者の見たい姿を映しているにすぎん。本当ならその後のことはその者の責任じゃが……まぁ、どうしても相談に乗って欲しいことがあるというのならば、してやってもよいがのう。
「……メタモンおばちゃん。おねがいがあるんだけど」
 今まで小さな前足で頭を抱えていたイーブイが顔を上げて、わらわっちのことを見る。『おねがい』という言葉から察するに、わらわっちが相談役を買うかもしれんな、これは。
「ひとばん、ここにとめてほしいんだ。もちろん、きのみをいっぱいメタモンおばちゃんにあげるから、おねがい!」
 まさかの『おねがい』にわらわっちも一瞬、困ったでありんす。しかし、帰れと言っても退かぬような眼差しがわらわっちに刺さって来る……負けた、これだから童は恐ろしいのじゃよ。
「分かったでありんす……けど、おぬし、本当に木の実をそんなに持っておるのか?」
 お返しとばかりに意地悪な質問をわらわっちが投げかけてみると、イーブイは横に置いてあった無地のふろしきを引っ張って、わらわっちの前に示すと、結び目を解く。
「だいじょうぶだよ! いっぱいあるから!」
 ふろしきからゴロゴロと可愛げな音を立てながら木の実が転がっていく。
 ……わらわっちの負けじゃな、これは。

 どこかでホーホーが鳴いとる夜空の下。大木の根元にわらわっちとイーブイが座っていた。イーブイからもらった木の実をたらふく食べて……う、動けん。
「メタモンおばちゃん。ボクはなににしんかしたらいいのかな?」
 イーブイがふと声を上げた。まだ、悩んでおるようじゃな……まぁ、進化系が七つもあるから当然か。
 グレイシアに『へんしん』した後も、イーブイはわらわっちにもう一度、ブースターやサンダースに『へんしん』をして見せてくれと頼まれてしまってのう……かれこれ、日が沈むまで続いたわ。
「……わらわっちはイーブイの見たいものにしか『へんしん』して見せることしかできん。あくまでわらわっちがしているのは、イーブイの背中をちょっとだけ押すようなものじゃ。この先、どうしたいかというのは、全て、お主次第じゃ」
 このイーブイもやがて大人になるじゃろう。今は恐らく、親元で暮らしていると思うが、巣立った後、自分のことは最終的に自分で決めていかねばならん。
「そうか……むずかしいんだね。あ、そういえば、みんなはどんなことをかんがえて、しんかしたのかな……」
「みんな?」
「うん。ボクのかぞく」
 イーブイはどこか遠くを見つめるような眼をした……いかん、つい『みんな?』とオウム返ししてしまったわ。嫌なことを思い出させてしまったかもしれんな。
「ボクね、もともとすてられていたみたいなの。たおれているボクをたすけてくれたのが、ようこママで、それからボクはそのかぞくにおせわになってるんだ」
 イーブイが語り始めた家族の話。
 ようこ、というのはエーフィのことらしい。確かにポケモンの中では自分に名前をつけて混乱しないようにしている者もおる。わらわっちはメタモンのままじゃがな。ようこの他にもイーブイが家族を語り続ける。
 
 優しくて、けれど時々ドジを踏む、父のブラッキー、ゲツヤ。
 大人の話を教えてくれる長男のブースター、コウタロウ。
 ケンカ腰だが、自分のことを守ってくれる二男のサンダース、ライガ。
 色々なことを知っていて、勉強してもらっている三男のリーフィア、ジュラ。 
 物腰が柔らかくて、品が良い長女のシャワーズ、みなも。
 恥ずかしがり屋だが、根はとても優しい二女のグレイシア、つらら。
 
 このような感じでイーブイの家族話は止まることを知らんかった。最初の『すてられた』という話以降、この家族の話でのイーブイの顔はとても活き活きとしておった。どうやら、幸せな暮らしを送っておるようじゃな。わらわっちは少しほっとしたでありんす。
 どれ、そんな童にもう少しだけ背中を押してやろうかのう。
「……のう、イーブイ。お主は将来、何をしたい?」
「え?」
「さっき、お主自身で言ったではないか。家族の皆はどんなことを考えて進化したのかって。お主が将来やりたいこと……それに向けて選べばいいのではないかのう?」
 一度、進化をしてしまったら二度と元には戻れない。まぁ、人間が変な機械を作って、進化前の姿に戻れる装置やらなんやら作れば話は変わってくるのかもしれんが、仮にそんな物を作られても、わらわっちは嫌じゃな。
 自分の決めたことには、とことん進んでいって欲しいからのう。この道が嫌じゃったからこの道にしようの繰り返しでは、強くはなりんせん。自分の気持ちに嘘をついて欲しくはないんじゃ。
 自分と向き合って考えられるような機会を与える……それがこの鏡屋の真意だったりするのじゃ。
「じぶんのやりたいこと……」
 イーブイは何かを考えるかのようにしばらく黙ってしまったが、このイーブイが今、自分とまっすぐ向き合っている証拠でもあった。このイーブイがどんな答えを出すのか、楽しみでありんす。
「…………」
「……ん? ほほ、どうやら考え過ぎて眠ってしまったようじゃな。お休み、イーブイ」
 そういえば、イーブイの名前を訊いてなかったのう。明日、訊いてみるとするか。
 わらわっちにも眠気が襲いかかって来たようなので、静かに目を閉じた。
 どうか、イーブイの選ぶ道に幸あれ、と願いながら。

 翌朝、目が覚めると、そこには昨日の悩み顔とは違って、明るい顔のイーブイがそこにいた。
 何か答えを出したかもしれんな。そんなイーブイの想いをくみ取れるかのような、底なしに明るい笑顔でありんす。
「メタモンおばちゃん! ありがとう! ボク、決めたよ!」
「ほう」
「ボク、ママみたいにだれかをたすけてあげられるようなエーフィになりたい! ママみたいにあたたかいものをあげられるようなエーフィに!」
 イーブイはそこまで言うと、「じゃあ、またね!」と言いながら、きびすを返そうとした。
「ちょっと待つのじゃ」
「な〜に?」
「お主はなんという名前なのじゃ?」
 イーブイがはにかみながら答える。
「ななる、っていうの」
「そうか、ななる、か。よい名じゃな。また来て、ぜひエーフィの姿を見せてくりゃれ?」
「うん、もちろん! ほんとうにありがとう! メタモンおばちゃん! またね!」
 イーブイ――ななるが勢いよく走りだした。
 その姿は自分の進みたい道にとことん入っていくという意志が伝わって来た。尻尾が可愛げに揺れている、ななるの後ろ姿を見送りながら、わらわっちは呟いた。

「ふふ、将来は素敵な、おなごになるんじゃろうな、きっと」


 【今編】

 本日も鏡屋メタモンは営業中なのじゃが……これまた、騒がしい客が来たもんじゃと、ため息が漏れそうでありんす。
「ねぇ! わたくしは本当に進化しないんですの!? ねぇ! ねぇってば!」
「だ〜か〜ら! 何度も言うようにお主に進化系はないと言うておるじゃろうが!」
 わらわっちに泣きながら訴えかけて来るのは、黄土色の平たい体に、黄色の尾ひれ、その背中にはビックリマークのような黄色の模様があるポケモン――マッギョじゃった。
 このマッギョ、かなり勢いのある性格でな、わらわっちを見るや否や、いきなり目の前まで跳ねて来よって、これでもか! というぐらいに思いっきり跳ねて顔を近づけながら、こう尋ねたのじゃ。

「マッギョの進化系はありませんの!?」

 残念ながらマッギョの進化系はない。この世界を知るわらわっちが言うんじゃ。ないと言ったらないんじゃ。たまにいるんじゃよ……進化系のポケモンを見て、自分も進化したいと思っておるポケモンが。気持ちは分からんこともないがのう……。
「うぅ……進化して美しくなっているポケモンがいますのに……! 幼なじみのミミロルちゃんとキルリアちゃんが進化できて! なんで! わたくしだけが進化できませんの!? 説明してちょうだいな!!」
 マッギョがまた跳ね上がって、わらわっちの顔すれすれに近づいて来た。膨らみのある唇が、イ、インパクト大なのじゃ……。
 それにしても、ミミロルの進化系はミミロップで、キルリアはサーナイトじゃったか……これはマッギョが嫉妬に燃えるのも仕方がないことかもしれんのう。
 じゃが――。
「わらわっちは学者でもなんでもありんせん!」
「そ、それなら……わたくしはどうすれば……! このままでは結婚も乗り遅れて……しまいには一生、生涯、独身で、孤独のままに……! う、うぅ……!」
 そこまで言った途端、マッギョが泣き崩れてしまった。確かに美しいとか可愛いとか、姿を示す言葉は大事かもしれんな。おなごも男も、皆。
 わらわっちはため息をつきながらも、このまま放っておくわけにもいかんので、『へんしん』を使った。姿はもちろんマッギョじゃ。
「マッギョ、わらわっちを見てみろ」
「……ぐっすん……な、なんですの?」
「わらわっちのこの姿はなんじゃ?」
「え? マッギョに決まっているじゃありませんの」
 当たり前だというようにマッギョが答えた。何を今更という感じがマッギョの声音から伝わって来るのう。確かにマッギョの答えは間違えておらん。じゃが……違うんじゃ。わらわっちが「違う」と言うと、目の前のマッギョが訝しげな表情を見せた。
「答えはわらわっち……つまりメタモンじゃ」
「……! そんなにわたくしのことをバカにしたいですの!?」
 おちょくられたと思ったのじゃろうな……マッギョが憤慨しそうな顔を向けて来た。
「勘違いするでない。こんなときに冗談が言えるか、たわけ」
「なら……なんだって言いますの?」
「わらわっちはあくまで、お主の姿を映しただけでありんす。中身まで映すことは叶わん」
 わらわっちのメタモン特有である『へんしん』は確かに相手の姿になるだけではなく、相手の持っている技まで使うことができるのじゃが……残念ながら、性格といったようなものまで映すことはできん。
「どんなに姿形を変えようとも、わらわっちはわらわっち。お主はお主なんじゃ……中身を変えること……それも進化の一つじゃないかのう?」
 鏡というのは表面を確認するだけのものではなく、内面も映しているということ、自分自身を見つめるものでもあると、わらわっちは思うておる。
 自分と同じ姿を見て、何かに気づくことができたのならば、鏡屋として嬉しい限りじゃ。
「…………そうですわね。外見ばかりがこの世を決めているわけではありませんよね」
 少しばかり黙っていたマッギョが静かに声を上げた。涙はもう止まっていて、何かに気がついたような顔をしておった。
「中身を変えていくこと……それも進化の一つ……素敵な言葉ですわ! そうですわよね! 外見ばかりを気にしていた自分が恥ずかしいですわ」
 マッギョがはにかみながら言った。もう大丈夫そうじゃな。よい笑顔をしておる。
「そうと決まったら、早速、自分探しの旅に出て、自分を磨いてまいりますわ!」
 中々よい意気込みじゃが……このマッギョ、時々勢いがありすぎなような気もするのう。どこかで問題を起こさなければよいのじゃが。まぁ、仮に問題が起こったとしても、それはマッギョの内面が一つ磨かれる機会かもしれんしな。後はわらわっちがとやかく言うことではありんせん。
 またマッギョと逢えたとき、彼女がどのように進化したのかが楽しみじゃ。
「ありがとうございました、メタモンさん!」
 跳ね去ろうとするマッギョに、わらわっちは慌てて声を上げた。
「待て! お主、報酬は!?」
 やっぱりこのマッギョ、ちょっと心配じゃ。
「あら! ごめんなさい、わたくしとしたことが。えっと……ありましたわ、これを!」
 マッギョの傍にあった木製のバスケットから顔を出したのは……なにやら、赤い液体が入っている謎の一本のビン。
「それを飲みますと、美容に効果がありますのよ! それではごきげんよう!」
 マッギョは大きく尾ひれを振りながら去っていた。
 やれやれ……今回はかなり疲れたような気がするのう。あの勢いは類まれにみるものじゃったな。
 さて、マッギョがくれたこの謎のビン……どうやら飲み物のようじゃが、早速、頂くかのう。わらわっちはまだまだピチピチなのじゃが、まぁ、普段からのケアは大事だと言うしのう。どれ、ふたを開けて、と――。

 数秒後、わらわっちの口から『だいもんじ』が出おった。
 
 まるでマッギョの旅立ちを盛大に祝うかのような激しい炎じゃった――。

「……って、そんなわけあるかい!」

 わらわっちのノリツッコミこそが、マッギョの背中を押すかのように響いていった。


 【過去編】
 
 水色の体に白い羽毛のポケモン――チルタリスの上に紫色のタマゴが一つ。
  
 ……今朝、散歩しておったら、紫色のタマゴが一つ落ちててのう、近くに親がいる様子はなく、捨てられた可能性が濃厚じゃった。
 とりあえず、そのままにしておくわけにもいかぬから、タマゴを例の大木に持ち帰って……タマゴは暖めさせるのが一番よいから、その役目に叶う羽毛たっぷりのチルタリスに『へんしん』して……今に至るわけなのじゃ。
 
 タマゴか……あの頃を思い出すのう。

 その昔、わらわっちがまだ旅を続けていた頃じゃった。
 空は雲一つない快晴、心地よい温かい風も吹いておって、まさに順風満帆な旅の途中であった。
 いきなりのう、後ろから誰かに襲われてな……あまりの唐突ぶりに流石のわらわっちも遅れを取って、そのまま口元に白い布を当てられ何かを嗅がわされて――意識を失ったのじゃ。
 
 次にわらわっちが目を覚めた場所はどこか建物の中じゃった。
 木製の板で造られた一室で、広さは五、六匹のカビゴンが余裕で寝転がれる程じゃった。物一つなく、窓もなかったが、隙間風が時折入ってきておった。
 ここは一体どこなのじゃ……わらわっち以外誰もおらんし……そう呟きながら辺りを見渡すと、部屋の出入り口であろう戸が思いっきり開かれ、そこから漆黒に染まったポケモン――ヘルガーが現れた。
「よう、気分はどうだい? メタモンさんよ」
 ヘルガーが舌舐めずりしながら、わらわっちに近づいて来る。何か嫌な予感しかならない――と、わらわっちが身構えた瞬間じゃった。
「ヒャッハァ!」
 刹那――ヘルガーが飛び出し、わらわっちを襲い、押し倒した。何をする――と開こうとした口にヘルガーの口が重なる。生臭い匂いがわらわっちの口の中に広がると同時に、わらわっちは違和感を覚えた。
 なんだか体が熱くて仕方ない、疼いて仕方ない――ヘルガーの口が離れたとき、わらわっちの吐息は甘いものを帯びておった。
「へへへ。親分のビヤクが効いているみたいだな。よくとけた顔しやがって」
 媚薬、じゃと? もしかして意識を失っているときに一服盛られたのか? だ、駄目じゃ、体の自由が効かぬ……このヘルガー、一体これから、わらわっちに何を――。
「さぁて、楽しませてもらおうか? ぐへ、ぐへへへ!」

 何度、声を上げては腰を振ってしまったのじゃろう。 
 嫌じゃのに、あのヘルガーに求める自分が惨めで情けなかった。
 しかし、その代わりと言ってはなんじゃが、行為の最中、調子に乗ったヘルガーが口走らせたおかげで今回の経緯を知った。
 
 なんでも、ここは雌のポケモンにたくさんのタマゴを産ませ、そして孵化した中で能力の高い者を高額で客に売りつける人間がおるらしい。
 その人間は雌ポケモンを捕まえる度、この部屋に監禁し、死ぬまで快楽漬けにさせながら、タマゴを産ませておって……この前、その雌ポケモンが死んだから、代わりの雌ポケモンを探しておって、わらわっちは運悪くそやつの目に止まったということじゃった。
 メタモンは相手のポケモンに合わした子を産むことが可能じゃからのう。極論を言えば、全てのポケモンの子を産むことが可能なんじゃ……その能力に目をつけられるのもおかしくなかった。 
「お前はただ、快楽をむさぼって、タマゴ産んでりゃいいんだよ! 雌なんてのは、どうせそれぐらいしかできねぇだろ!? ハハハハハ!!」
 ヘルガーの下品な笑い声がわらわっちの心に刺さる中、また、わらわっちの中で胎動が起きた。
 お腹が苦しい……この苦しみから抜け出すには産む他ない――わらわっちは踏ん張って、お腹に力を込め、時間をかけて押し出すかのようにタマゴを産んだ。
 ポトリと透明な液体を被ったタマゴがわらわっちの中から転がり落ちると、ヘルガーはそれを尻尾で器用に巻きつけ、恐らく親分とやらの元に――ここで、いつもわらわっちは産卵後の半端ない脱力感で気を失い、そして間もなく起こされ、行為がまた再開された。

 一体、何個のタマゴを産まされたのじゃろうか?
 
 終わりが見えぬ快楽漬けとタマゴ産みの地獄にわらわっちの心も折れかけそうになった。
 しかし、あるときのことじゃった。初回以外、毎回行為の際、ヘルガーに飲まされていた媚薬の効果が弱かったときがあった。
 ヘルガーとの行為の際、なんとか快楽に歯を食いしばって反抗し、悪タイプのヘルガーが苦手とするコジョンドにわらわっちは『へんしん』すると、ヘルガーの腹に思いっきり一撃をお見舞いしてやった。
 効果は抜群で、ヘルガーが意識を失ったことを確認したわらわっちは部屋から脱出し、廊下のような場所に出て、適当に進んでみると、階段を見つけ、昇っていく。
 今までのヘルガーとの行為で体力を奪われていたわらわっちの歩みは少々おぼつかなかったが、立ち止まるわけにもいかぬ。
 また捕まったら……地獄の再来だけはごめんじゃった。
 長くて暗い階段を昇ると、また廊下に出た。とりあえず進んで行くと……襖が見えてきた。中からぼんやりと明かりらしきものと一つの声が漏れた。
「また……低固体か……駄目じゃけんのう。コイツもいらんわい」
 その後、聞こえてくる何かが思いっきり刺される音にわらわっちは嫌な予感がし、すぐさま、その部屋に入った。

 そこには、大量の血を流して倒れておる何匹もの黒い子犬ポケモン――デルビルの姿と、太った人間の男がいた。
 その男の手にある血まみれの小刀、そして顔には返り血、それと恐らく致命傷を受けてしまったデルビル達――。
 
 あれが、わらわっちをあんな目に合わせた人間なんじゃな……?
 それと、あの子達は、わらわっちが産んだ子じゃよな? 
 確かに望まない子じゃったかもしれん。
 だが、あの子達は確かにわらわっちの中で芽吹いた確かな命のはずじゃ。
 その命を塵屑のように扱ったじゃと?
 何様のつもりじゃ?
 
 わらわっちの中で何かが切れた。

 刹那――驚きの顔を見せるその男の元へと、マルマインに『へんしん』したわらわっちは転がった。
 男からは鼻を塞ぎたくなるような獣の臭いが漂う。
「ここまで、花を咲かせた人生を送ったのじゃろう? なら、派手に散るのもまた一興よのう?」
 怒りを込めた笑みをわらわっちは男に向けた刹那――。

 目の前が真っ白に染まった。 

 次にわらわっちが目覚めたときには、そこは焼け野原で、あのヘルガーも、あの男もいなかった……渾身の『だいばくはつ』をお見舞いしてやったのじゃ、恐らくは木端微塵に散ったのじゃと思う。
 それで、わらわっちが体力を使い切って動けずにいたところ、一人の青年が現れてのう――このわらわっちが今持っているキセルはその青年から親友の証としてもらったものなのじゃ。
 他者不信に陥っていたわらわっちを助けてくれた奴でな……それで……ん?

 かすかに羽毛にくるまってるタマゴが揺れた。
 
 少々、過去にひたりすぎておったかのう。
 ……大丈夫じゃ。お主はわらわっちが責任を持って育ててやるから。
 
 タマゴに詰まっておるその命に、わらわっちは微笑んだ。

「力強く、生きてくりゃれ」

(10000字 前置き除く)


  [No.1348] 後書きでありんす。 投稿者:巳佑   投稿日:2011/06/21(Tue) 16:45:47   32clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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 今回、『こちら鏡屋メタモンでありんす。』を読んで下さいまして、ありがとうございました。
 作者の巳佑でございます。
 最近はチャットで、『みーさん』『愛のもふ神様』『一級フラグ建築士』の他に『深夜の帝王』と名付けてもらいました者です。(笑)
 単に……夜更かしばかりしているだけなのですが、まぁ、ともかく! 今回はここで色々と『鏡屋メタモン』や改稿板について、書こうと思います。


★『こちら鏡屋メタモンでありんす。』について
 
 この物語は第二回コンテスト用にと、設定(メタモンが相手の望む物の姿を映す)だけは先に水面下で動かしていた作品でした。
「第二回は絶対、出してやるんだから! …………まぁ、お題から外れてたら、うん、諦めてポケストの方に投下するかー」
 それで後に、お題が『鏡/タマゴ(選択制)』と知り、「よっしゃ! これで行けるべ!」と興奮したのを覚えています。(笑)
 
 とはいったものの、実はこの物語、最初『わらわっち』ではありませんでした。
 一本の草を口に(ドカベンの某キャラの如く)くわえ、そして、頭にねじり鉢巻きを付けたメタモンさんで、一人称も『おれっち』で、タイトルは『メタモンが語る!』みたいなものを最初は考えていました。
 それが、一体何が原因なのか自分でも把握できないのですが、一人称を『わらわっち』にして、ねじり鉢巻きを外して、草の代わりにキセルを持ったメタモンさんが現れました。
 多分、メタモンさんをもっと個性的にしたいなぁ……と考えたときに浮かんだものだと思われます……本当に把握できねぇ、どうなってるんだ一体。(汗)

 さて物語の方なのですが……今を写すという意味での鏡、過去を写すという意味での鏡、未来を写すという鏡……鏡には色々な性質があるよな……と考えた矢先に生まれたのが今回取ったオムニバス形式でありました。
 そして、書いている内に「メタモンだったら……タマゴも入れてみる?」と、そんな我がままが出てきて、メタモンさんの過去を写すという意味も込めて、過去編に『タマゴ』を入れました。
『わらわっち』の説明も入れないと訳分からなくなってしまうかなぁ……なら、自己紹介みたいなところ(宣伝編)も入れちゃえ! と構想は色々と膨らんで「じゃあ、四つの話に分けて書いてみよう!」といざ執筆して、執筆していって、執筆……しっ……ぴつ……。
 あれ? 一万文字ってこんなに短かったっけ? と目が点に。(汗)
 宣伝編で1000文字以内。未来編、今編、過去編をそれぞれ3000文字以内という目標で書いていったのですが……見事に字数オーバーしてしまいました。(汗)
 ああでもない、こうでもないと迷いながらも削って、ようやく完成したのが今回の物語です。 
 オムニバス形式って新鮮でいいかもなぁ……色々な話で読者さんも楽しんでもらえそうかも……と思った反面、批評でも指摘があったのですが、やはり一つの話につき文字数が少ない為、やはり、いささか物足りない感が問題となってしまいました。
 まぁ、文字数が少なくても、物足りなさ感を払拭できるほどのインパクトがあればよいのですが……そこまでは力及ばずでした。(汗) 

 ちなみに、知っている方は知っている(感想にもありましたし)のですが……最初、今編での依頼ポケモンはルージュラでした。  
『今編は乙女の悩みで行きましょう → そうと来たらルージュラさんでしょ!』と書いたのは良かったのですが……見直したときに、「ハッ。ルージュラってムチュールから進化してるんやん! これを書いている時代が初代だったのならいいけど、今の時代じゃ駄目でしょ! この今編は進化しないポケモンにスポットを当てなきゃいけなかったのに、何やってるんだ、私!?」
 というわけで……緊急で学校の行き帰りにて、「どうするか、こうするか、う〜ん……」と悩んだ結果――。
「あれだよな……たらこ唇っぽいポケモンがいいよな。あそこの表現、自分でも好きだし…………そうだ、たらこ唇じゃないけど、膨らみのある唇――マッギョだ! マッギョにしよう!!」
 その日、マッギョは私の救世主となりました。(笑)

 

★一人称について。

 私や俺、僕やわし、色々な一人称がある中で「なんか他にも一人称ってないかな……今後の物語でなんか使えそうな一人称は……」と考えていった結果――。
「『わらわ』と『わっち』を繋げて、『わらわっち』なんてどうよ?」という答えにたどり着きました。
 わらわっち………………わらわっち…………わらわっち……わらわっち、わらわっち!! と何回も呟いてみると、個人的には可愛い音だったので気に入り、今後の物語で使おう! と決めました。
 まさか、メタモンさんに使う日がやってくるとはあの時は思いもよりませんでしたが。(汗)

『わっち』という言葉を使っている以上、花魁言葉もいれていかなければいけないなぁ……とやってみたりしました。
『わっち』という言葉を初めて知った某狼作品の見よう見まねで、頑張ってみました。



★改稿版について。

 この度は様々な感想、批評、ありがとうございました。
 それぞれの話にピックアップしながら、今回の改稿版について書いていこうかと思います。

【宣伝編】
 
(Before) 
 お主はどのような姿を知りたいのじゃ? 
 未来かのう? 
 または過去かのう?
      ↓ 
(After)
 お主は何が見たい?

 これは乃響じゅん。さんからの意見を元に変えた部分です。
 進化に関する姿だけではなく、色々な姿を見せるのが鏡屋メタモンさん……ということで、未来と過去では進化後と進化前だけに意味が限定してしまうのではないか? と思いまして、(After)通りの文にしました。
 ちなみに『何を』より『何が』の方が強く伝わるかなぁ……と思いまして、そこも変えてみました。

 後はでりでりさんが指摘してくださった『七色変化』のところは『自由自在』に変えておきました。


【未来編】

 586さんからのアドバイスを元に、この未来編の最後で、ななるちゃんがエーフィに進化することを伝えるという形を取り、過去編への伏線をなくしました。
 あの未来編から過去編への伏線を気に入ってくれた方には申し訳ないのですが……未来編は未来編で決着(と言ったら大げさですが)をちゃんとつけるべきだと考えたのと、過去編を大幅に変えた結果、そうせざるを得なくなったというのもあります。(汗)


【今編】

 セリフを一部分、削除しただけで、特に他にはあまり変わっていません。
 今編はいらないかも、という意見も頂いたのですが、個人的にも気に入っている話だということと、もう一つ、今回の話の流れなのですが……。
 【宣伝編】で始まるぞ〜! → 【未来編】でほのぼの → 【今編】でギャグ → 【過去編】でシリアス……と色々な話を見せたいというのもありますゆえ、消さないでおくことにしました。 


【過去編】

 丸々、話を一から変えました。すいません。(汗)
 No.017さんと渡邊健太さんからの意見を元に、書いてみました。
 よく考えてみたら、この過去編はタマゴについてもありますが、メタモンさん自身を映すという意味もあったので……ならば……実体験でいきましょう。という結論に至りました。
 ちょっと表現が乱暴な部分とかあったと思いますが……いかがだったでしょうか。



★感想批評ありがとうございました!


●あつあつおでんさん

 確かに、過去編でのタマゴは欲張りでしたね。(汗)
 そして、改稿版でも【過去編】にはタマゴが出て来るという……やはりメタモンさんだけにタマゴは避けては通れない問題だよな……と思いながら、書いてみましたです。


●リナさん

 スターウォーズ……懐かしいですなぁ、と言っても私はエピソード1しか見ていないのですが。(汗)
 
 なるほど……そのような(それぞれが主人公)見解を……! 確かにメタモンさんは背中を押していただけですもんね。
 今回、そのメタモンさんのセリフにも色々と悩んだと思います。いかに、その主人公達の背中を押してやれるかと……いった感じに。(汗)

 ルージュラ版もお気に召してくれましたか! ありがとうございます! 


●レイニーさん

 やっぱり、我がままかもしれませんが色々な話を読者さんに提供したかったので、マッギョさんは外せませんでした。(笑)
 最終的には今編が宣伝編の次に文字数が少なかったのですが、個人的にはやって良かったと思っています。
 
 あう、脱帽とは……こ、光栄です!(ドキドキ)


●カレー屋さん

 好きなキャラでもメタモンさんへの告白、ありがとうございます!
 連載はその……い、いつか、ということで。すいません。(汗&苦笑)


●西条流月さん

 メタモンさんの言葉はちゃんと心に伝わるようにと、考えて書いてみましたです。
 
 そして確かに……メタモンさんの心理面ばかりでしたよね……すいません、今回の改稿版では力不足で掘り下げることが出来ませんでした。(汗)
 ですが、今後の参考にさせてもらいます。ありがとうございます。


●鶏さん
 
 最初は『わらわっち』大丈夫かなぁ……と(なんじゃ、この一人称は? とかいう意味などで)心配していましたが、意外と好評のようでなによりです。
 確かにななるちゃんでの伏線は「え? それだけ?」と言われてもおかしくない物足りなさがありましたよね。(汗)
 もうちょっと、ドラマテッィクな伏線を書けるようになりたい今日この頃です。

●名無しさん

 メタモンさんの魅力が伝わったようで……嬉しい限りです。(ドキドキ)
 オムニバス形式も気に入ってくれたようで……ありがとうございます!


●乃響じゅん。さん

 この感想を見た瞬間、いかに自分の頭が固かったということが分かりました。(汗) 
 何でも映せるんだから、例えば、思い出の品とか、ポケモンに限定することではないですよね。(汗)
 今後、この物語を書く機会がまたあったら、参考にさせてもらいます。ありがとうございました! 


●サトチさん
 
 マッギョのくだりで笑っていただけましたか! ふふふ、まさに計画通り。(・ω・◆)
 そうですね……青年とメタモンさんの話、一体どうい経緯でメタモンさんの心の傷が塞がったのか、というのは今後、鏡屋メタモンを書くとしたら、やりたい話の一つですね。


●音色さん

 十回も読んで下さったとは……! 自分なんか音読一発勝負でしたのに……その読み込みの深さにビックリしましたです。(汗)
 やはり、ななるちゃんの話はありきたりすぎましたか……もうちょっとななるちゃんの家族は実はワケありで……といった感じに料理できたら良かったかもしれませんね。う〜ん難しい。(汗)
  

●でりでりさん

 重複していた文の指摘、ありがとうございました! 読み直しが甘かったと反省。(汗)
 ……確かに、第一回ポケスコの時もでりでりさんの言葉を借りるとポケモンが擬人化しすぎのパターンで……振り返ってみれば、人間とポケモンの触れ合いが少ないのかもと思う今日この頃……今後の課題の一つかもしれませんね。(汗)
 

●渡邊健太さん

 おぉ……! パーソナリティを強調する演出で良かったですか……! ありがとうございます! 個性的なキャラクターを目指していただけにその言葉は嬉しかったです。
 そして、今回の過去編では……実体験で書かせてもらいました。さらっと書くというとあのような感じで良かったでしょうか?(汗) 

●No.017さん

 今回、過去編の大幅改稿のキッカケをくれました、もう一人のお方……ありがとうございました!
 そして……花魁ってそのような事情があったのですか! わっちという言葉と花魁という言葉を知っているだけで中身は知らなかったです……うぅ、勉強不足だ。(汗)
『たまむすび』のときでもそうでしたが、No.017さんの発想力にはいつも脱帽します……! 


●クーウィさん

 ぐ、文体が安定してませんでしたか。(汗)
 それと確かに情景描写は少なかったですね……セリフなどに気を使いすぎていたみたいです。(汗)

 確かに、今回のオムニバス形式というのは、色々な話を読者に提供できるというメリットがある反面、やはり一万文字以内という条件の中では物足りなくなる可能性があるというデメリットがありました。
 ……可能性と表記したのは、短い話でもインパクト大に読者さんの心に伝えることが出来るからなんですが……今回の私の場合はそのデメリットの可能性にピシャリとはまってしまいました。(汗)  
 
『書きたいや読ませたいが多すぎる』に関しては私の欲張りがたたった結果です……申し訳ないです。(汗)


●586さん

 全編全く関係ないオムニバスストーリーにしてみたらいかが? というアドバイスを元に今回の改稿版をやってみました。
 やはり、色々な話を読者さんに提供したいので……そのアドバイスを参考にさせてもらいましたです。ありがとうございました! 


 他にも、わらわっちが好きだと言ってくれました、久方さん、てこさん、名無しさん。
 マッギョとななるが好きだと言ってくれました門森輝さん。

 そして、この作品を読んで下さった皆様、ありがとうございました!



★最後に。

 今回の改稿版で評価が上がったかもしれませんし、逆に下がったかもしれませんし、変わらなかったかもしれません。
 皆様のアドバイスが活かすことができたか、ドキドキしてますが、とりあえず、今やれるだけのことはやってみました。
 ここで鏡屋メタモンの筆を置こうかと思っています。

 まぁ、いつか機会があれば、鏡屋メタモンで何か書くかもしれませんが。(汗)
 もし、その日が訪れたら、また鏡屋メタモンをよろしくお願いします。


 
 ありがとうございました!

 
 それでは、失礼しました。 


【何をしてもいいですよ】