ごく、とサイコソーダが俺の喉を通った音がした。
木陰にいればマイナス三度。水タイプで暑がりの俺は大きな木の下で湖を見ながら、サイコソーダを飲んでいる。ここシンオウは涼しくていいところだ。
周りには仲間のシュバルゴ、ドレディア、コジョンド、ゾロアーク、ウルガモス。そろって昼寝中。はっきり言って全員が最終進化形態のガチパが木陰で昼寝をしている図は、けっこうシュールだと思う。
「えへへ〜♪ここまでおいで♪」
少し遠くからの声。聞こえた方を見ると、木に登るマイナン。見るからに悪戯好きそうな感じだ。下にはエンペルト。
「よーし!れいとうビーム!」
エンペルトがれいとうビーム発射。避けるマイナン。あ、となり…。
うとうとしているドンカラス。なんか面白い事になりそうだから、黙って見てることにする。
「ん?うわあああ!」ピキーン!
凍っちまったぞおい。内心笑が止まらないんだがどうしてくれるんだエンペルト。
あのマイナンなかなかの策士だなー。
「うわあああ!こくあが凍っちゃった!…どうしよう…」
「…どうしたの?」
困っていたエンペルトに近づくキュウコン。
二匹は少し話をしているそぶりだったが、よく聞こえない。キュウコンが凍ったドンカラスを見上げた。そして、エンペルトの方がさっきのマイナンを追いかけにいった。
そしてキュウコン。え、まさか技で溶かすつもりじゃ……。
「かえんほうしゃ!」
案の定……。火加減、気をつけろよキュウコン。
「あっちゃあああ!!」
あー、まさに焼き鳥、そして予想通り。あれじゃ火傷したな…。
……今なんか思い出しかけた。
あ、そうか、あの時のナスカか! 懐かしい物を思い出す。
ダブルバトルのとき、ファルが凍ってナスカが溶かしたときも、あんな感じだったな。 ドンカラスが当のキュウコンに何かを言っている。会話はよく聞き取れないが、やっぱり似たような雰囲気だったな。その後、俺が冷凍ビームで冷やそうとしたらまた凍らせちまったのも今となっては笑い話。ファルすまん。
あいつら、いつのまにやら夫婦になったもんな……。子供までできやがって。ちくしょー、爆発しろ。
「はっくし!?」
某ペンドラーがくしゃみをした後、つぶやく。
「夏風邪でも引いたか? ……今頃、あいつら北の大地かぁ。うらやましいぜ」
なんか負の感情わいてきたんで、いったん考えるのをやめる。
そういや、マイナンとエンペルトどこいったんだろ。
「…!?キャーー!!」ゴーーー!
そう思っていたら、向こうで突如火柱が立った。あれは……かえんほうしゃとかというよりは……なんか漫画の表現みたいだな。
出していたのはロズレイド。マイナンに木の実だろうか? を投げられたようにも見えた。辛いんじゃないかあの木の実……。賑やかだなーあいつら。
サイコソーダがなくなってしまった。ふと上を向く。と、この木、木の実がなっているじゃないか。桃色の、くるっと曲がったような形の木の実。
アシガタナをさっと振って、二個ほど落とす。食べてみると、甘くてとてもおいしいじゃないか。自慢じゃないが、俺はかなりの甘党だ。自分でも気付いたら、もうすでに二つとも腹の中に消えていた。
仲間たちにも、と思い、もう五個落とす。
「起きろー、うまい木の実があんぞー」
「んあ?」
周りの仲間が、目をこすりながら起きてくる。木の実を手渡して食べてみろよ、と進めると、一番初めに食べたのはコジョンドのレッセ。
「おいしいわね、これ!」
その声を聞き、他のやつらも一口食べ始める。
が、突然。
バタンッ
いきなり、ジュバルゴのナイトが、目を回して倒れた。
「そういえばこの騎士さんってさぁ」
ティラがしまった、というような表情で彼を見つめながら言った。
「甘いもの、苦手じゃなかった?」
……今度、おわびにお土産として辛いものを買って帰ろうと思う。
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自分のパーティって何かと思い入れありますよね、ということで一つ、書いてみました。
こっちもケーキ一つで戦争したり、何かと賑やかですよ。ちなみに、私はシンオウに旅行に行ったわけではないです。夏休みだらだらなうです。