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  [No.921] 橋の下 投稿者:レイコ   投稿日:2010/11/03(Wed) 15:45:57   37clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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川のせせらぎとは少し違う。
ちゃぷん、と跳ねる水の音。ばしゃん、と起きる波の音。
退屈そうにひれで水面に絵を描いている、ラプラスの子。


ゆらりと浮かぶ影。とぷんと現れる家族の顔。
「これ、用もないのに陸に上がるな」
「じいちゃんっ」
せっかく作った綺麗な波紋を消されてしまい、子ラプラスは咎めるような目で祖父を見た。
孫に睨まれた老ラプラスは、顔の皺数をくしゃっと増やし。
「なんじゃ。とにかく陸は危ないと言ったじゃろ」
「……はぁい」


やっぱりまだまだ敵わない。子ラプラスは拗ねたように、ざぶんと飛び込んだ。
きらきら光る白い川底。きりきり差し込む眩しい日差し。青くて、澄み切った世界。
ああ。なんてつまらない場所なのだろう。


老ラプラスのゆったりした動きを追い越し、くるりと先回り。
辺りがしんと暗くなる。ここは川の端から端まで覆う、長くて広い橋の下。
「あ、足音だ。誰かが橋を渡ってるよ。きっと人間だ!」
「しっ。これ静かにせんか」
あれも駄目。これも駄目。子ラプラスは頬を膨らませ、鼻の穴からぷくぷく息を漏らした。
「じいちゃん。どうして人間に見つかっちゃいけないの?」
「前にも言うたじゃろ」
老ラプラスはごぼごぼと咳をしてから、何か言いたげな幼い孫の顔をじっと見つめる。


「人間はいい奴ばかりとは限らん。姿を見せんに越したことはない」
「でもばあちゃんは、若い頃人間と旅して楽しかったって。僕もいつか、いい人間を乗せてあげたいな」
川面を見上げる子ラプラス。頭の上を、ひゅうひゅう流れるぎざぎざの葉っぱ。
川砂を見下ろす老ラプラス。目の前を、ころころ転がる角の取れた小石。


「少なくとも、今時わしらの背に乗って旅したがる人間なんぞおらん。こいつのせいでな」
「橋? 橋のどこがいけないの?」

「わしらに乗れん波があるとすれば、それは時代の波じゃよ」


老ラプラスはゆっくり泳ぎ出す。子ラプラスは首を傾げ、その年老いた背を追った。







おわり





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はじめまして、こんにちは。レイコと申します。
随分昔にマサポケさんで書かせて頂いたこともありますが、おそらく記憶にない方が大半のはず……
と言うわけで、改めてよろしくお願いします。

今回お題の秘伝技、その一つの「波乗り」に挑戦のつもりが、力不足なためか今一つ活かせきれませんでした。
またちょくちょく投稿させて頂くかもしれません。それでは。

【書いてもいいのよ】【描いてもいいのよ】【批評していいのよ】


  [No.926] 心の中に描ける流れ 投稿者:クーウィ   投稿日:2010/11/07(Sun) 02:40:27   28clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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ラプラス好きだなぁ・・・  
『シードラゴンと 呼ばれる 海の王者です』  ・・・思い返せば懐かしい。


どうも、初めましてです。 クーウィと申します・・・

読んでいて、とても懐かしい気分になれました。
言葉の選び方にリズムが心地良くて、それでいて少し寂しい、ノスタルジックな感じが何とも言えません。

時は過ぎても、変わらない物はある・・・ そう信じて、子ラプラスに小さくとも暖かい思い出が残るような未来が来ることを、願いたいものです――


ちょっと、続きを見てみたいような感じも致しました(笑)

では。 失礼致しますです・・・


  [No.943] 【書いてみた】橋の上から 投稿者:砂糖水   投稿日:2010/11/08(Mon) 23:10:16   29clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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ちゃぷん、ばしゃん。そして、ざぶんという音。
川のせせらぎとは違う音。

なんだろう?
不思議に思って音の聞こえた方へ歩く。
橋の上からなら見えるかな?

とんとんとん。橋を歩く音。
無駄に大きな橋の真ん中に着いたけど、それらしきものは見えない。

ちぇ、残念。
橋にもたれかかる。
あーあ、ポケモンほしいな。
でもみんな危ないって言ってわたしには触らせてもくれない。

おばあちゃんが昔言ってた。
若いころはラプラスの背に乗って遠くまで旅をしたって。
そのラプラスはもう旅をやめたときに逃がしたからもういない。

うらやましい。わたしもラプラスの背中に乗りたい。
何でダメなんだろう……。
わたしだって……!

「ラプラスー! わたしを背中に乗っけてー!」
意味もなく叫んだ。ラプラスが聞いてくれてたらいいのに。
いたらいいのになあ、ラプラス。
友達になろうよ。そしてわたしを乗せてよ。
本当はさ、叫んだって無駄ってことくらいわかってるよ。でもさ、
「乗りたいなあ……」
願うことくらいは許してよ。


ざぶん。
え、と思って川を見た。何?
「ラ、プラス……?」
夢にまで見たラプラスがそこにいた。
見つめ合うわたしたち。……これは夢?

ざぶん。
もう一度音がした。そうしたら、もう一匹のラプラス。
最初のラプラスと違ってなんだろう、お年寄り?
お年寄りラプラスはわたしをにらみつけるともう一匹のラプラスに向かって鳴いた。
子どものラプラスは嫌々をするように首を横に振る。

どうしたものか。
きっとおじいちゃん(おばあちゃん?)に怒られてる。これは多分わたしのせい。
困ったな。
ぼんやりとしているうちにそれは激しくなって。

ええい、ままよ!

ざっぱーん。派手な音と水しぶき。
水が冷たい。それに思ったよりも深い。
思わず近くにいた子どもラプラスにしがみつく。
またもや合う目。以心伝心?

さて、とわたしは途方に暮れる。
なんでって、何をするかなんて考えもせずに飛び込んだから。
とりあえずにらまれたからにらみ返しておいた。
子どもラプラスはおろおろしている。
もし、攻撃されたらどうしよう。わたしは人間だからひとたまりもない。

「わ、たしは」
何かしなくちゃ。何か言わなくちゃ。
「わたしは、ラプラスの背中に乗りたい。そして、遠くまで行きたい」
何を突然言い出しているんだろう、という自覚はあった。
だけど、今のわたしにはこうやって自分の素直な気持ちを言うしか方法が思いつかない。
「ひどいことなんてしない。一緒に旅がしたいだけ」
自分で言っていて、途中であれ? と思う。
いつの間にか一緒に行くことになってる。
本人(本ポケ?)に了解も得ていないのに。
「橋なんか渡るより、ラプラスの背中に乗りたい!」
こうなったらやけだ。ダメならダメでいいや。
失うものは何もない。あ、命だけは困るな。

お年寄りラプラスはわたしを見つめた後、深い深いため息をついた。
なんだろう……?

そして……。
よろしく、と言われた気がした。

え、と思ってまばたきをしたらもうそこには、誰もいなかった。
残ったのはわたしと、子どものラプラスだけだった。

「えーと、よろしく?」
疑問形で言えば、ラプラスは嬉しそうにきゅーと鳴いた。
目と目が合って、笑い合う。
「じゃあ、とりあえず……背中に乗っけて!」



水面を滑るように進むその乗り心地は想像以上に最高だった。







―――――――――――――――――――――――――――――――――――――




感想を練っていたらストーリーを練っていました。
初めまして、砂糖水といいます。


言葉のリズムがとても心地いい作品だと思いました。
あんまりにもいいな、いいなと思っていたらこんな話が出来ちゃいました。
急いで書いたので少々荒い部分もあります…。
後で修正するかもしれないです。

こんなんでよければどうぞお納めください。



【書いちゃったのよ】
【書いてもいいのよ】
【描いてもいいのよ】
【批評していいのよ】


タイトル修正しました。
寝不足だとしても酷かった…。


  [No.958] ふと見てみれば続きが出来ている…!?   投稿者:クーウィ   投稿日:2010/11/12(Fri) 04:49:56   23clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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ボサっと入って見てみたら、なんとあの物語に続きが……!

初めましてです、砂糖水さん。 
個人的にも嬉しい内容のお話に、先ずはお礼を言わせてくださいです。


いやいや……テンポの良い言葉のリズムと言い、自分好みな老人の慨嘆と言い、実に嬉しい作品でしたので、思わず続きが読みたいなどとほざいてしまいましたが……(汗) 
願ってみるもんだなぁ…これは…!(笑)

子ラプラスと少女。 互いに求め合う者同士が出会う事によって、老人が見ていた世界とはまた違う未来が、彼らの先に開けた事を嬉しく思います。
何時の時代も、新しい波は若者が起こすものですが……それが常に、古いものを否定する形を取るとは限らないものですよね。  
……時代が変わっても、変わらないものがある――  老ラプラスの心にそれが届いたのならば、それを後悔させないような生き方を示す事を、まだ若い両者に期待したいものです(オジンかぃ)


しかし……流石はこう言った『触れ合い』を描く作品を手がけておられる砂糖水さんだけあって、原作の世界観を全く歪ませる事も無しに、見事に纏められましたな……

個人的に、最も苦手な分野は『感情描写』ですので、原作者のレイコさんもそうですが、こう言った物をスラスラと書ける方は、実に羨ましいっす(笑)

『臆病過ぎた思い』や『幸福の隣』、処女作だといわれる『名前を呼んで』にしても、主格となる二者の種族を超えた絆の深さが露わに表現されており、とても印象深かったです。
…個人的には、三つの中では『名前を呼んで』が一番好きかな…?  実際にありそうな一コマ一コマが、主人公のポチエナの悲しみをはっきりとした形で浮き彫りにしており、実に切なくなりました……
現実も、まぁそう言うもんですしね……(寂)

…なんか、何故か最後に名前を出されちゃってましたが……(汗) あんな厨二病全開の妄想話なんかよりは、砂糖水さんがお書きになられている作品の方がずっと深いし、訴えかけるものがあるんですから、もっと自信を持ってくださいな(笑)
…寧ろ自分は、自分だけ余りにも厨二病全開な作風なのに、ドン引き通り越して自己埋葬しかかってますに……(爆)


…後更に、これ以上ここでこれを書くのも、どうかなとは思いますが……(汗) 個人的には、端書きとして記されていた長編の方も、是非とも読んでみたいと思ってますね(笑)
ミュウツーというポケモンは、映画でもそうでしたが、とかくその手の描写が際立つポケモンですので……これはやはり活字中毒者であらば、興味を持つなと言う方が無理だ()

もし宜しければ、また掲載の方、考えていただければ幸いです(オイ)


では。  …ふと見てみれば続きが出来ていたのを良い事に、なんかそれこそあっちこっちと書いてしまった気がする……(爆)
…関係無い方にも長々と引っ張ってしまい、申し訳ありませんでした……(汗)


  [No.1026] ふと気づいてみれば一カ月が過ぎている…。 投稿者:砂糖水   投稿日:2010/12/11(Sat) 02:22:10   25clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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ようやくパソコンを起動させてみれば一カ月が過ぎていました。
こんばんは砂糖水です。
時間が過ぎるのはあっという間ですね……。


>レイコさん
本当はレイコさんのようにリズムのいい文章を書きたかったのですが、あえなく撃沈しました…。
ああいう文章には憧れちゃいます。
子ラプラスにどうにか旅をされてあげたいなって思ったらああなりました。
こちらこそありがとうございました。


>クーウィさん
はじめましてー、クーウィさん。感想ありがとうございます。
実は書き始めたのは11月3日の夜中だったりします。
いざ投稿しようとした時にクーウィさんの感想を見て先を越された!?とびっくりしました。
勘違いでしたが(笑)。


> ……時代が変わっても、変わらないものがある――

正直そこまで深く考えて書いたわけではないのでなんというかこそばゆいです。

> 主格となる二者の種族を超えた絆の深さが〜

言われて初めて気付きました。自分確かにそんなにばっかり書いてました…。
そして今考えてる話もそんなんばっかだったり…。
案外自分のことって分かってなかったりしますね。


お褒めにあずかり光栄ですが、私はやっぱりクーウィさんの方が凄いと思うんですよ。
だってバトルの描写とかは難しくて、とてもじゃないですが普通の人は中々書けないですから。
とまあこう思うんですが、こういうのって自分が持ってないから余計にそう思うものなんでしょうね。
ないものねだりってわけじゃないんですけど。


> ドン引き通り越して自己埋葬しかかって

大丈夫です。私も埋葬したくなってます。特に黒歴史スレに書き込んだあの夜を。
書いた後にやっちゃったなあ、とは思ってたんですよね。
でもさすがに読みたいっていう人いないと思って油断してました。
まさかまさかの事態に恐れおののいてます。
でもやらせていただきます。リクエストいただいちゃいましたから。


そんなこんなで感想ありがとうございましたー。
長々と失礼しました。


  [No.951] ありがとうございます。 投稿者:レイコ   投稿日:2010/11/11(Thu) 21:02:30   23clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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はじめまして。こんばんは。返信が遅れて申し訳ありません。

>クーウィさん
シードラゴン! 懐かしいですね。私もラプラス大好きです。
普段からぎこちない表現になりがちなのですが、リズムが良いと言って頂けて嬉しいです。
そして続きが気になるとは……ありがたいお言葉です。
まだまだ未熟者ですが、どうぞ宜しくお願いします。

>砂糖水さん
か、感激です! まさか続きを書いて頂けるとは……大変驚きました。
私自身、子ラプラスは将来どうなるのかなと思いながら書いたものなので。人間の視点を盛り込むとこうも見方が変わって楽しいとは。そしてとても心温まる続きにして下さってとても嬉しいです。

コメントありがとうございました。それでは。


  [No.969] 乗れない波もある 投稿者:No.017   《URL》   投稿日:2010/11/17(Wed) 12:29:49   22clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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> 「わしらに乗れん波があるとすれば、それは時代の波じゃよ」

だ、誰がうまいこと言えと!w

橋がなかったころのおじいちゃんは人をなみのりで向こう岸に渡したりしていたのかしらん?
橋が出来てお役ご免になってしまって寂しいのかもしれませんね。
こういう「なみのり」の表現もありじゃないかなぁ。



と、いうわけでお久しぶりです! レイコさん!
私ははじめましてではありません(笑)
結構反応遅くなってしまいましたが、
ポケスト!でレイコさんの名前を見て「おおおおおお!」となった人です、ハイ。

気が向いたらまたちょくちょく投稿していってくださいね。
ありがとうございました!

世間はBWですが書く小説はホウエン、時代の波には見事に乗れていないNo.017でした。
リアル九州の地図みながら妄想中です。


  [No.981] お久しぶりです。 投稿者:レイコ   投稿日:2010/11/21(Sun) 17:42:03   24clap [■この記事に拍手する] [Tweet]
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こんばんは。私なんぞを覚えていてくださって光栄です。
BWは波乗りで次の街へ行く必要がなかったので、少し寂しくなったのが切っ掛けでした。
お言葉に甘えてちょくちょくお邪魔すると思うので、どうぞ宜しくお願いします。
世間はBWですが時代は今もDPtと信じて違わないレイコでした。